本発明の各実施形態に関わる技術について以下に簡単に説明する。
[物理チャネル/物理シグナル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル、物理シグナルについて説明を行なう。チャネルとは信号の送受信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送受信に用いられる物理的な媒体を意味する。本発明において、物理チャネルは、信号と同義的に使用され得る。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造やフォーマット形式が変更または追加される可能性があるが、変更または追加された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、物理チャネルまたは物理シグナルのスケジューリングについて無線フレームを用いて管理している。1無線フレームは10msであり、1無線フレームは10サブフレームで構成される。さらに、1サブフレームは2スロットで構成される(すなわち、1サブフレームは1ms、1スロットは0.5msである)。また、物理チャネルが配置されるスケジューリングの最小単位としてリソースブロックを用いて管理している。リソースブロックとは、周波数軸を複数サブキャリア(例えば12サブキャリア)の集合で構成される一定の周波数領域と、一定の送信時間間隔(1スロット)で構成される領域で定義される。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID(PCI:Physical Cell Identity))と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。端末装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルの物理セルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH:Physical Broadcast CHannel)は、セル内の端末装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報(SI:System Information)))を通知(設定)する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで報知情報が送信される無線リソースがセル内の端末装置に対して通知され、通知された無線リソースにおいて、物理下りリンク共用チャネルによって報知情報を通知するレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)が送信される。
報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI:Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI:Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス設定情報、送信タイミング調整情報、当該セルにおける共通無線リソース設定情報、周辺セル情報、上りリンクアクセス制限情報などが通知される。
下りリンクリファレンスシグナルは、その用途によって複数のタイプに分類される。例えば、セル固有RS(CRS:Cell-specific Reference Signals)は、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルであり、所定の規則に基づいて周波数領域および時間領域で周期的に繰り返される下りリンクリファレンスシグナルである。端末装置は、セル固有RSを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、端末装置は、セル固有RSと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクセル固有RSを使用する。セル固有RSに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。
また、下りリンクリファレンスシグナルは下りリンクの伝搬路変動の推定にも用いられる。伝搬路変動の推定に用いられる下りリンクリファレンスシグナルのことをチャネル状態情報リファレンスシグナル(CSI−RS:Channel State Information Reference Signals)と称する。また、端末装置に対して個別に設定される下りリンクリファレンスシグナルは、UE specific Reference Signals(URS)またはDedicated RS(DRS)と称され、物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルを復調するときのチャネルの伝搬路補償処理のために参照される。
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control CHannel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボル(例えば1〜4OFDMシンボル)で送信される。拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control CHannel)は、物理下りリンク共用チャネルPDSCHが配置されるOFDMシンボルに配置される物理下りリンク制御チャネルである。PDCCHまたはEPDCCHは、端末装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する情報を通知する目的で使用される。以降、単に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)と記載した場合、特に明記がなければ、PDCCHとEPDCCHの両方の物理チャネルを意味する。
端末装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ2メッセージおよびレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバコマンドなど)を送受信する前に自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。なお、物理下りリンク制御チャネルは、上述したOFDMシンボルで送信される以外に、基地局装置から端末装置に対して個別(dedicated)に割り当てられるリソースブロックの領域で送信されるように構成することも可能である。
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control CHannel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK:ACKnowledgement/Negative ACKnowledgement)や下りリンクの伝搬路(チャネル状態)情報(CSI:Channel State Information)、上りリンクの無線リソース割り当て要求(無線リソース要求、スケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request))を行なうために使用される。
CSIは、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)、RI(Rank Indicator)を含む。各Indicatorは、Indicationと表記されてもよい。
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared CHannel)は、下りリンクデータの他、ページングや物理報知情報チャネルで通知されない報知情報(システムインフォメーション)をレイヤ3メッセージとして端末装置に通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。物理下りリンク共用チャネルは物理下りリンク制御チャネルが送信されるOFDMシンボル以外のOFDMシンボルに配置されて送信される。すなわち、物理下りリンク共用チャネルと物理下りリンク制御チャネルは1サブフレーム内で時分割多重されている。
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared CHannel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、上りリンクデータの他、上りリンク制御情報をレイヤ3メッセージとして端末装置から基地局装置に通知するためにも使用される。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンクリファレンスシグナル(Uplink Reference Signal)(上りリンク参照信号、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる。また、サウンディング参照信号には、周期的に送信される周期的サウンディング参照信号(Periodic SRS)と、基地局装置から指示されたときに送信される非周期的サウンディング参照信号(Aperiodic SRS)とがある。
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知(設定)するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを有する。プリアンブル系列は、複数のシーケンスによって基地局装置へ情報を通知するように構成される。例えば、64種類のシーケンスが用意されている場合、6ビットの情報を基地局装置へ示すことができる。物理ランダムアクセスチャネルは、端末装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。
端末装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の上りリンクの無線リソース要求のため、または、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(TA:Timing Advance)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するためなどに物理ランダムアクセスチャネルを用いる。また、基地局装置は、端末装置に対して物理下りリンク制御チャネルを用いてランダムアクセス手順の開始を要求することもできる。
さらに、D2D通信の同期をとるために同期元となる装置が送信するD2D同期信号(D2DSS)がある。D2DSSは、基地局装置が同期元となる場合、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルとが用いられる。同期元が基地局装置以外である場合、D2DSSは、Zadoff−Chu系列であるプライマリD2D同期シグナル(PD2DSS)とM系列であるセカンダリD2D同期シグナル(SD2DSS)とが用いられる。また、同期元装置の識別子、同期元装置の種類(タイプ)、制御信号などを通知する物理D2D同期チャネル(PD2DSCH)が検討されている。
なお、それ以外の物理チャネルまたは物理シグナルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。説明を省略した物理チャネルまたは物理シグナルとして、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:Physical Control Format Indicator CHannel)、物理HARQ指示チャネル(PHICH:Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)、物理マルチキャストチャネル(PMCH:Physical Multicast CHannel)などがある。
[無線ネットワーク]
基地局装置によって制御される各周波数の通信可能範囲(通信エリア)はセルとしてみなされる。このとき、基地局装置がカバーする通信エリアは周波数毎にそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。また、カバーするエリアが周波数毎に異なっていてもよい。また、基地局装置の種別やセル半径の大きさが異なるセルが、同一の周波数または異なる周波数のエリアに混在して一つの通信システムを形成している無線ネットワークのことを、ヘテロジニアスネットワークと称する。
端末装置は、セルの中を通信エリアとみなして動作する。端末装置が、あるセルから別のセルへ移動するときは、非無線接続時(アイドル状態、RRC_IDLE状態とも称する)はセル再選択手順、無線接続時(コネクティッド状態、RRC_CONNECTED状態とも称する)はハンドオーバ手順によって別の適切なセルへ移動する。適切なセルとは、一般的に端末装置のアクセスが基地局装置から指定される情報に基づいて禁止されていないと判断したセルであって、かつ、下りリンクの受信品質が所定の条件を満足するセルのことを示す。
基地局装置は端末装置が通信可能なエリアであるセルを周波数毎に管理する。1つの基地局装置が複数のセルを管理していてもよい。
端末装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルのうち、端末装置との通信に使用されるように設定されているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他の通信に使用されないセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。
[無線プロトコル構造]
図6は、EUTRAの無線ネットワーク(EUTRAN)の端末装置及び基地局装置のユーザデータを扱うユーザ平面(UP(User−plane、U−Plane))プロトコルスタックを表す図である。また、図7は、制御データを扱う制御平面(CP(Control−plane、C−Plane))プロトコルスタックを表す図である。
図6および図7において、物理層(Physical layer:PHY層)は、物理チャネル(Physical Channel)を利用して上位層に伝送サービスを提供する。PHY層は、上位の媒体アクセス制御層(Medium Access Control layer:MAC層)とトランスポートチャネルで接続される。トランスポートチャネルを介して、MAC層とPHY層とレイヤ(layer:層)間でデータが移動する。端末装置と基地局装置のPHY層間において、物理チャネルを介してデータの送受信が行われる。
MAC層は、多様な論理チャネルを多様なトランスポートチャネルにマッピングを行う。MAC層は、上位の無線リンク制御層(Radio Link Control layer:RLC層)とは論理チャネルで接続される。論理チャネルは、伝送される情報の種類によって大きく分けられ、制御情報を伝送する制御チャネルとユーザ情報を伝送するトラフィックチャネルに分けられる。MAC層は、間欠受送信(DRX・DTX)を行うためにPHY層の制御を行う機能、ランダムアクセス手順を実行する機能、送信電力の情報を通知する機能、HARQ制御を行う機能などを持つ。
RLC層は、上位層から受信したデータを分割(Segmentation)及び結合(Concatenation)し、下位層が適切にデータ送信できるようにデータサイズを調節する。また、RLC層は、各データが要求するQoS(Quality of Service)を保証するための機能も持つ。すなわち、RLC層は、データの再送制御等の機能を持つ。
パケットデータコンバージェンスプロトコル層(Packet Data Convergence Protocol layer:PDCP層)は、ユーザデータであるIPパケットを無線区間で効率的に伝送するために、不要な制御情報の圧縮を行うヘッダ圧縮機能を持つ。また、PDCP層は、データの暗号化の機能も持つ。
さらに、制御平面プロトコルスタックには、無線リソース制御層(Radio Resource Control layer:RRC層)がある。RRC層は、無線ベアラ(Radio Bearer:RB)の設定・再設定を行い、論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルの制御を行う。RBは、シグナリグ無線ベアラ(Signaling Radio Bearer:SRB)とデータ無線ベアラ(Data Radio Bearer:DRB)とに分けられ、SRBは、制御情報であるRRCメッセージを送信する経路として利用される。DRBは、ユーザデータを送信する経路として利用される。基地局装置と端末装置のRRC層間で各RBの設定が行われる。
尚、PHY層は一般的に知られる開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnection:OSI)モデルの階層構造の中で第一層の物理層に対応し、MAC層、RLC層及びPDCP層はOSIモデルの第二層であるデータリンク層に対応し、RRC層はOSIモデルの第三層であるネットワーク層に対応する。
また、ネットワークと端末装置との間で用いられるシグナリングプロトコルは、アクセス層(Access Stratum:AS)プロトコルと非アクセス層(Non−Access Stratum:NAS)プロトコルとに分割される。例えば、RRC層以下のプロトコルは、端末装置と基地局装置との間で用いられるアクセス層プロトコルである。また、端末装置の接続管理(Connection Management:CM)やモビリティ管理(Mobility Management:MM)などのプロトコルは非アクセス層プロトコルであり、端末装置とコアネットワーク(CN)との間で用いられる。例えば図7に示すように、端末装置とモバイル管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)との間で、非アクセス層プロトコルを用いた通信が、基地局装置を介して透過的に行われる。
[ランダムアクセス手順]
ランダムアクセス手順について以下に説明する。ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス手順(Contention based Random Access procedure)と非競合ベースランダムアクセス手順(Nonーcontention based Random Access procedure)の2つのアクセス手順がある。
競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセス時や基地局装置と接続中であるが、上りリンク同期が外れている状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
非競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが、上りリンクの同期が外れている場合に迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるためにハンドオーバや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置から指示されて移動局装置がランダムアクセス手順を開始する。非競合ベースランダムアクセス手順は、RRC(Radio Resource Control:Layer3)層のメッセージ及び物理下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより指示される。
図8を用いて競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、端末装置がランダムアクセスプリアンブルを基地局装置に送信する(メッセージ1:(1)、ステップS81)。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答(ランダムアクセスレスポンス)を端末装置に送信する(メッセージ2:(2)、ステップS82)。端末装置がランダムアクセスレスポンスに含まれているスケジューリング情報を元に上位レイヤ(Layer2/Layer3)のメッセージを送信する(メッセージ3:(3)、ステップS83)。基地局装置は、(3)の上位レイヤメッセージを受信できた端末装置に衝突確認メッセージを送信する(メッセージ4:(4)、ステップS84)。なお、競合ベースランダムアクセスをランダムプリアンブル送信とも称する。
次に、図9を用いて非競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、基地局装置は、プリアンブル番号(または、シーケンス番号)と使用するランダムアクセスチャネル番号を端末装置に通知する(メッセージ0:(1)’、ステップS91)。端末装置は、指定されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを指定されたランダムアクセスチャネルRACHに送信する(メッセージ1:(2)’、ステップS92)。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答(ランダムアクセスレスポンス)を端末装置に送信する(メッセージ2:(3)’、ステップS93)。ただし、通知されたプリアンブル番号の値が0の場合は、競合ベースランダムアクセス手順を行なう。なお、非競合ベースランダムアクセス手順を専用プリアンブル送信とも称する。
[上りリンクデータ送信]
上りリンクデータの送信について以下に説明する。物理上りリンク制御チャネルPUCCHは、物理下りリンク共用チャネルPDSCHで送信される下りリンクデータの応答(ACK/NACK)、下りリンクの無線チャネル品質情報(Channel Quality Indicator:CQI)、上りリンクデータの送信要求(スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR))の送信に使用される。端末装置が上りリンクデータの送信要求を行う場合、基地局装置から割り当てられた物理上りリンク制御チャネルPUCCHを利用して、スケジューリングリクエストを基地局装置に送信する。
スケジューリングリクエスト送信後、基地局装置から物理上りリンク共用チャネルPUSCHのリソースを割り当てられた場合、端末装置は、割り当てられた物理上りリンク共用チャネルPUSCHのリソースで端末装置の送信データのバッファ状態情報を示すバッファステータスレポート(Buffer Status Report:BSR)を送信する。なお、基地局装置は、バッファステータスレポートに基づいて端末装置への上りリンクデータスケジューリングを行う。
スケジューリングリクエスト送信後、基地局装置から物理上りリンク共用チャネルPUSCHのリソースを割り当てられない場合、端末装置は、再度、スケジューリングリクエストを送信する。スケジューリングリクエストの再送を繰り返しても基地局装置から物理上りリンク共用チャネルPUSCHのリソースを割り当てられない場合、端末装置は、割り当てられている物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび上りリンク参照信号を解放して、スケジューリングリクエストを目的としたランダムアクセス手順を実行する。なお、ランダムアクセス手順によるスケジューリングリクエストでは、端末装置は、メッセージ3でバッファステータスレポートを送信する。
[MAC層機能の詳細]
端末装置のMAC層の機能について、より詳細に以下に説明する。MAC層は、各論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングする機能を持っている。また、優先度に応じて論理チャネルから送信データを生成する機能を持っている。この手順は論理チャネル優先順位付け(Logical Channel Prioritization:LCP)手順と呼ばれている。基本的なLCP手順は、各論理チャネルの優先度と、無線ベアラのQoSに対応する一定期間内に送信しなければならない送信ビットレート(Prioritized Bit Rate:PBR)とを考慮して送信データの送信優先順位を決定し、上りリンクグラントを受信した時点での送信優先順位の高いデータから送信データを生成する。基地局装置との接続時にMAC層は、各RBの論理チャネル番号、論理チャネルの優先度とPBR等の情報をRRC層から取得する。
また、MAC層は、各論理チャネルに対応する送信バッファのデータ量を通知する機能を持っている。この機能をバッファステータスレポート(Buffer Status Report:BSR)と言う。BSRでは、各論理チャネルを論理チャネルグループ(Logical Channel Group:LCG)に割り当て、各LCGに対する送信バッファ量をMAC層のメッセージとして基地局装置に通知する。
BSRには、レギュラーBSRとパディングBSRと、ピリオディックBSRとがあり、BSRがトリガされる条件として、いくつかの条件がある。例えば、レギュラーBSRは、ある論理チャネルに属する上りリンクデータが上位層で(RLCかPDCP)送信できる状態になったときに、当該上りリンクデータが、他の論理チャネルよりも優先度が高い場合、または何れの論理チャネルにも送信できる状態のデータがない場合にトリガされる。また、レギュラーBSRは、端末装置が、タイマー(retxBSR−Timer)の計時が満了したときに、何れかの論理チャネルで送信できる状態のデータを持っている場合にも、トリガされる。このretxBSR−Timerは、一定期間BSRが送信されていないことを検出するために使用される。また、パディングBSRは、自端末装置に割り当てられた上りリンクリソースがBSRの一部あるいはすべてを送るのに必要な大きさのパディング領域を持っている場合にトリガされる。また、ピリオディックBSRは、予め定められた周期(タイマー(periodicBSR−Timer)で指定される周期)でトリガされる。SRは、レギュラーBSRのトリガに起因してトリガされる。
なお、BSRには、1つの論理チャネルグループのバッファ状態を報告するShort BSRと複数の論理チャネルグループのバッファ状態を報告するLong BSRがある。また、パディングBSRにおいて、複数の論理チャネルグループのバッファ状態を送信したい場合であって、すべての論理チャネルグループのバッファ状態を送信するためのパディング領域がない場合に、優先度の高い論理チャネルを含む論理チャネルグループのBSRを(Short BSRと同じフォーマットで)送信するためのTruncated BSRもある。
なお、BSRのトリガ条件が満たされた場合にBSRを通知するための無線リソース(物理上りリンク共用チャネルPUSCH)が割り当てられていない場合、MAC層は、PHY層にスケジューリングリクエスト(SR)を送信するように指示する。MAC層は、無線リソースが割り当てられてから、BSRを送信する。PHY層は、MAC層からスケジューリングリクエストの送信を指示された場合、物理上りリンク制御チャネルPUCCHを使用してスケジューリングリクエストを送信する。なお、MAC層は、スケジューリングリクエスト送信のための物理上りリンク制御チャネルPUCCHを割り当てられていない(有効でない)場合、PHY層に対して物理ランダムアクセスチャネルPRACHを使用したスケジューリングリクエストを行うように指示する。
また、BSRを送信するための上りリンクリソースが割り当てられた場合、タイマー(retxBSR−Timer)の計時を開始、あるいは再開始(Restart)する。また、送信するBSRのすべてがTruncated BSRでない場合、タイマー(periodicBSR−Timer)の計時を開始、あるいは再開始(Restart)する。
また、すべてのトリガされたBSRは、上りリンクのリソース割り当てが、送信できる状態のすべてのペンディングしているデータを収容できるが、BSRおよびそのサブヘッダを収容できるのに十分でない場合に、キャンセルされる。また、すべてのトリガされたBSRは、送信されるMAC PDUにBSRが含まれる場合にも、キャンセルされる。
[プライマリセル、セカンダリセル]
また、端末装置と基地局装置は、キャリア・アグリゲーションによって複数の異なる周波数バンド(周波数帯)の周波数(コンポーネントキャリア、または周波数帯域)を集約(アグリゲート、aggregate)して一つの周波数(周波数帯域)のように扱う技術を適用してもよい。キャリア・アグリゲーションにおいて、コンポーネントキャリアとして、上りリンクに対応する上りリンクコンポーネントキャリアと、下りリンクに対応する下りリンクコンポーネントキャリアとがある。本明細書において、周波数と周波数帯域は同義的に使用され得る。
例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、キャリア・アグリゲーションを可能な能力を持つ端末装置はこれらを100MHzの周波数帯域幅とみなして送受信を行う。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数であってもよい。例えば、使用可能な周波数バンドが800MHz帯、2GHz帯、3.5GHz帯である場合、あるコンポーネントキャリアが800MHz帯、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯、さらに別のコンポーネントキャリアが3.5GHz帯で送信されていてもよい。
また、端末装置と基地局装置は、同一周波数帯の連続または不連続の複数のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は端末装置の受信可能周波数帯域幅(例えば20MHz)よりも狭い周波数帯域幅(例えば5MHzや10MHz)であっても良く、集約する周波数帯域幅が各々異なっていても良い。周波数帯域幅は、後方互換性を考慮して従来のセルの周波数帯域幅のいずれかと等しいことが望ましいが、従来のセルの周波数帯域と異なる周波数帯域幅を用いてもよい。
キャリア・アグリゲーションによって、後方互換性のないコンポーネントキャリア(キャリアタイプ)を集約してもよい。この後方互換性のないコンポーネントキャリアのことを、ニューキャリアタイプ(NCT)とも称する。なお、基地局装置が端末装置に割り当てる(設定する、追加する)上りリンクコンポーネントキャリアの数は、下りリンクコンポーネントキャリアの数と同じか少ないことが望ましい。
端末装置と基地局装置は、ある上りリンクコンポーネントキャリアと、かかる上りリンクコンポーネントキャリアとセル固有接続される下りリンクコンポーネントキャリアから構成されるセルを、プライマリセル(PCell:Primary cell)として管理する。また、端末装置と基地局装置は、プライマリセル以外のコンポーネントキャリアから構成されるセルを、セカンダリセル(SCell:Secondary cell)として管理する。
端末装置は、プライマリセルにおいて、ページングメッセージの受信、報知情報の更新の検出、初期アクセス手順、セキュリティ情報の設定などを行う一方、セカンダリセルではこれらを行わないでもよい。プライマリセルとセカンダリセルとを合わせてサービングセル(在圏セル)と称する。
プライマリセルは活性化(アクティベーション(Activation))および不活性化(ディアクティベーション(Deactivation))の制御の対象外であるが(つまり、プライマリセルは必ず活性化しているとみなされる)、セカンダリセルは活性化と不活性化というアクティビティに応じたセルの状態(state)を持つ。セルの状態に関し、活性化されている状態をActivated state、不活性化されている状態をDeactivated stateとも称する。セル(セカンダリセル)の状態は、基地局装置から明示的に状態の変更が指定(通知、指示)される場合もあるし、コンポーネントキャリア(セカンダリセル)毎に端末装置が計時するタイマー情報(セカンダリセル不活性化タイマー;ディアクティベーションタイマー)に基づいて状態が変更される場合もある。
[D2D通信]
D2D通信の中でも、近接した端末装置間のサービス(Proximity based Services:ProSe)として、端末装置同士が近くに位置するか否かを確認(発見)するための仕組み(ProSe Didcovery)と、端末装置同士が基地局装置を介さずに通信を行うための仕組み(ProSe Communication)とが主に検討されている。
ProSe Discoveryメッセージの送信は、基地局装置との無線接続が確立された状態(RRC_CONNECTED状態)であっても確立されていない状態(RRC_IDLE状態)であっても行えるべきである。
また、端末装置間で信号やメッセージを送信する場合であっても、端末装置による送信はネットワークの制御下にあってもよい。すなわち、端末装置が非無線接続状態であっても、ネットワークがProSe Discoveryの信号やメッセージを送信するための無線リソースやパラメータや送信時の状態(無線接続状態か非無線接続状態か)を制御できてもよい。
ProSe Communication(デバイス間のデータ通信)において、通信がグループキャストあるいはブロードキャストで行われる場合は、ProSe Discoveryによる通信相手発見のステップは必ずしも必要ではない。
ProSe Communicationの信号には様々なものが考えられるが、EUTRAのPUSCHと同様の構造を持つ物理チャネルを用いてもよい。
また、ProSe Communicationにおいて、端末装置が使用するリソースとして、スケジューリング割り当て(Scheduling assignments:SA)を受信するためのリソースがリソースプールとして端末装置に提供される。端末装置はリソースプールとして指定されるリソース(時間、および周波数)においてSAを受信することで自装置宛のデータの有無を判断する。リソースプールは、予め設定されてもよいし、基地局装置から通知(あるいは報知)されてもよいし、他の端末装置から通知(あるいは報知)されてもよい。
さらに、上記SAを端末装置が送信するための方法として、端末装置が基地局装置へ送信要求を行い、それに対して送信リソースが割り当てられる方法(以降、Mode1あるいはスケジュール型(Scheduled)とも称する)、または、端末装置が報知情報や予め設定されたリソースを送信リソースとして用いる方法(以降、Mode2あるいは自律型(Autonomous)とも称する)とが用いられてもよい。
ProSe Communicationでは、1対M(Mは自然数)のブロードキャスト通信が用いられる場合、ある端末装置が送信する信号は、他の複数の端末装置が受信することができ、送信する端末装置と受信する端末装置は役割を入れ替えることも可能である。また、ブロードキャスト通信は、公安(Public safty)目的の場合は、基地局装置によるカバレッジ外であっても行えるようにする必要がある。また、ブロードキャスト通信は、専用の周波数(Dedicated carrier)および基地局装置を介する通常の通信サービスに用いられる周波数の両方をサポートする。また、ブロードキャスト通信は一方向通信であるため、レイヤ2(MAC/RLC/PDCP層)でのフィードバックを想定しない。すなわち、MAC層ではHARQによる再送制御が行われず、RLC層ではARQによる誤り訂正を行わない非応答モード(Unacknowledge Mode:UM)で通信が行われる。1対1の通信が用いられる場合には、上記1対Mのブロードキャスト通信を適用(M=1)することも考えられるし、ユニキャスト通信を行うことにより、レイヤ2でのフィードバックを行うことも考えられる。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面を参照しながら本発明の適切な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明において、本発明の実施形態に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の実施形態の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における端末装置1の一例を示すブロック図である。本端末装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、受信データ制御部104、物理レイヤ制御部105、送信データ制御部106、符号部107、変調部108、送信部109、無線リソース制御部110から少なくとも構成される。図中の「部」とは、セクション、回路、構成装置、デバイス、ユニットなど用語によっても表現される、端末装置1の機能および各手順を実現する要素である。
無線リソース制御部110は、端末装置1の無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)層の各機能を実行するブロックである。また、受信データ制御部104と送信データ制御部106は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層における各機能を実行するブロックである。
なお、端末装置1は、キャリア・アグリゲーション、および/またはデバイス間通信による複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)またはセルの同一サブフレーム内での送受信処理をサポートするために受信系のブロック(受信部101、復調部102、復号部103)、および複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)、および送信系のブロック(符号部107、変調部108、送信部109)の一部あるいはすべてを複数備える構成であってもよい。
端末装置1の受信処理に関し、無線リソース制御部110より受信データ制御部104へ受信データ制御情報が入力され、物理レイヤ制御部105には各ブロックを制御するための制御パラメータである物理レイヤ制御情報が入力される。物理レイヤ制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される端末装置1の無線通信制御に必要なパラメータ設定を含む情報である。
物理レイヤ制御情報は、基地局装置2から端末装置1に対して個別(dedicated)に送信される無線接続リソース設定、セル固有の報知情報、またはシステムパラメータなどによって設定され、無線リソース制御部110が必要に応じて物理レイヤ制御部105へ入力する。物理レイヤ制御部105は、受信に関する制御情報である受信制御情報を、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に入力する。
受信制御情報は、下りリンクスケジューリング情報として、受信周波数帯域の情報、物理チャネルと物理シグナルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース制御情報などの情報が含まれている。また、受信データ制御情報は、セカンダリセル不活性化タイマー情報、DRX制御情報、マルチキャストデータ受信情報、下りリンク再送制御情報などを含む下りリンクの制御情報であり、MAC層、RLC層、PDCP層におけるそれぞれの下りリンクに関する制御情報が含まれている。
受信信号は、受信部101において受信される。受信部101は、受信制御情報で通知された周波数と周波数帯域に従って基地局装置2からの信号を受信する。受信された信号は復調部102へと入力される。復調部102は信号の復調を行う。復調部102は、復号部103へと復調後の信号を入力する。復号部103は、入力された信号を復号し、復号された各データ(下りリンクデータと下りリンク制御データ、下りリンクトランスポートブロックとも称す)を受信データ制御部104へと入力する。また、各データと共に基地局装置2から送信されたMAC制御要素も復号部103で復号され、関係するデータは受信データ制御部104へと入力される。
受信データ制御部104は、受信したMAC制御要素に基づく物理レイヤ制御部105の制御(例えば、セルの活性化/不活性化、DRX制御、送信タイミング調整など)や、復号された各データをバッファリングし、再送されたデータの誤り訂正制御(HARQ)を行う。受信データ制御部104へ入力された各データは、関係するデータは無線リソース制御部110へと入力(転送)される。
また、端末装置1の送信処理に関し、無線リソース制御部110より送信データ制御部106へ送信データ制御情報が入力され、物理レイヤ制御部105には各ブロックを制御するための制御パラメータである物理レイヤ制御情報が入力される。物理レイヤ制御部105は、送信に関する制御情報である送信制御情報を、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力する。送信制御情報は、上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、物理チャネルと物理シグナルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
また、送信データ制御情報は、DTX制御情報、ランダムアクセス設定情報、上りリンク共用チャネル情報、論理チャネルプライオリティ情報、リソース要求設定情報、セルグループ情報、上りリンク再送制御情報、バッファステータスレポートなどを含む上りリンクの制御情報である。無線リソース制御部110は、複数のセルにそれぞれ対応した複数のランダムアクセス設定情報を送信データ制御部106に設定してもよい。
また、無線リソース制御部110は、上りリンク送信タイミングの調整に用いる送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーを管理し、セル毎(またはセルグループ毎、TAグループ毎)に上りリンク送信タイミングの状態(送信タイミング調整状態または送信タイミング非調整状態)を管理する。送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーは、送信データ制御情報に含まれる。
なお、複数の上りリンク送信タイミングの状態を管理する必要がある場合、送信データ制御部106は、複数のそれぞれのセル(またはセルグループ、TAグループ)の上りリンク送信タイミングに対応する送信タイミング調整情報を管理する。リソース要求設定情報には、少なくとも最大送信カウンタ設定情報と無線リソース要求禁止タイマー情報とが含まれている。無線リソース制御部110は、複数のセルにそれぞれ対応した複数のリソース要求設定情報を送信データ制御部106に設定してもよい。
端末装置1で生起した送信データ(上りリンクデータと上りリンク制御データ、上りリンクトランスポートブロックとも称す)は、無線リソース制御部110より任意のタイミングで送信データ制御部106に入力される。このとき、送信データ制御部106は、入力された送信データの量(上りリンクバッファ量)を計算する。また、送信データ制御部106は、入力された送信データが制御平面に属するデータなのか、ユーザ平面に属するデータなのかを判別する機能を有する。さらに、送信データ制御部106は、入力された送信データが基地局装置2に対するデータなのかデバイス間通信のためのデータなのかを判別する機能を有する。
また、送信データ制御部106は、送信データが入力されたときに、送信データ制御部106内(図示せず)の上りリンクバッファに送信データを格納する。そして、送信データ制御部106は、入力された送信データの送信に必要な無線リソースが端末装置1に対して割り当てられているかを判断する。送信データ制御部106は、無線リソース割り当てに基づいて、物理上りリンク共用チャネルPUSCH、物理上りリンク制御チャネル(SR−PUCCH)を用いた無線リソース要求、または物理ランダムアクセスチャネルを用いた無線リソース要求のいずれか一つを選択し、選択したチャネルを送信するための制御処理を物理レイヤ制御部105に対して要求する。
また、送信データ制御部106は、入力された送信データがデバイス間通信のためのデータである場合に、送信データが何れのサービスあるいはアプリケーションのデータであるかを識別する識別子情報とバッファサイズレベルを示すインデックスを含むバッファステータスレポートを生成する。また、符号部107は、送信制御情報に従って各データを適切に符号化し、変調部108へと入力する。
変調部108は、符号化された各データを送信するチャネル構造に基づいて適切な変調処理を行う。送信部109は、変調処理された各データを周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。送信部109は、また、無線リソース制御部110より入力されたセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)の送信タイミング調整情報に従って上りリンク送信タイミングを調整する。上りリンク制御データが配置される物理上りリンク共用チャネルは、ユーザデータの他に、例えばレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を含めることも可能である。
図1において、その他の端末装置1の構成要素や、構成要素間のデータ(制御情報)の伝送経路については省略してあるが、端末装置1として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。例えば、無線リソース制御部110の上位には、コアネットワークとの制御を執り行うNASレイヤ部や、アプリケーションレイヤ部が存在している。
図2は、本発明の第1の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置は、受信部201、復調部202、復号部203、受信データ制御部204、物理レイヤ制御部205、送信データ制御部206、符号部207、変調部208、送信部209、無線リソース制御部210、ネットワーク信号送受信部211から少なくとも構成される。図中の「部」とは、セクション、回路、構成装置、デバイス、ユニットなどの用語によっても表現される、基地局装置2の機能および各手順を実行する要素である。
無線リソース制御部210は、基地局装置2の無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)層の各機能を実行するブロックである。また、受信データ制御部204と送信データ制御部206は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層における各機能を実行するブロックである。
なお、基地局装置2は、キャリア・アグリゲーションなどによる複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)またはセルの同一サブフレーム内での送受信処理をサポートするために受信系のブロック(受信部201、復調部202、復号部203)、および複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)、および送信系のブロック(符号部207、変調部208、送信部209)の一部あるいはすべてを複数備える構成であってもよい。
無線リソース制御部210は、下りリンクデータと下りリンク制御データを送信データ制御部206へと入力する。送信データ制御部206は、端末装置1へ送信するMAC制御要素が存在する場合、MAC制御要素と各データ(下りリンクデータまたは下りリンク制御データ)を符号部207へと入力する。符号部207は、入力されたMAC制御要素と各データを符号化し、変調部208へと入力する。変調部208は、符号化された信号の変調を行なう。
また、変調部208で変調された信号は送信部209に入力される。送信部209は、入力された信号を周波数領域にマッピングした後、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行い送信する。下りリンク制御データが配置される物理下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
また、受信部201は、端末装置1から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。端末装置1に対して異なる複数の送信タイミングのセルを設定している場合、受信部201はセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)に異なるタイミングで信号を受信する。受信部201で変換されたデジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。復調部202で復調された信号は続いて復号部203へと入力される。復号部203は、入力された信号を復号し、復号された各データ(上りリンクデータと上りリンク制御データ)を受信データ制御部204へと入力する。また、各データと共に端末装置1から送信されたMAC制御要素も復号部203で復号され、関係するデータは受信データ制御部204へと入力される。
受信データ制御部204は、受信したMAC制御要素に基づく物理レイヤ制御部205の制御(例えば、パワーヘッドルームレポートに関する制御や、バッファステータスレポートに関する制御など)や、復号された各データをバッファリングし、再送されたデータの誤り訂正制御(HARQ)を行う。受信データ制御部204へ入力された各データは、必要に応じて無線リソース制御部210へと入力(転送)される。
また、受信データ制御部204は、デバイス間のデータ通信のための送信リソース要求として、端末装置1からバッファステータスレポートが復号部203から入力された場合、バッファステータスレポートに含まれる識別子情報を送信データ制御部206へ入力し、上位のネットワーク装置やシステムパラメータによって識別子情報と対応づけられたリソースから該端末装置1に割り当てる送信リソースを設定する。
これら各ブロックの制御に必要な物理レイヤ制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される基地局装置2の無線通信制御に必要なパラメータ設定を含む情報である。物理レイヤ制御情報は、上位のネットワーク装置(MMEやゲートウェイ装置(SGW)、OAMなど)やシステムパラメータにより設定され、無線リソース制御部210が必要に応じて制御部204へ入力する。
物理レイヤ制御部205は、送信に関連する物理レイヤ制御情報を送信制御情報として符号部207、変調部208、送信部209の各ブロックに入力し、受信に関連する物理レイヤ制御情報を受信制御情報として受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力する。
受信データ制御情報は、基地局装置2のMAC層、RLC層、PDCP層のそれぞれに対する端末装置1の上りリンクに関する制御情報が含まれている。また、送信データ制御情報は、基地局装置2のMAC層、RLC層、PDCP層のそれぞれに対する端末装置1の下りリンクに関する制御情報が含まれている。すなわち、受信データ制御情報と送信データ制御情報は、端末装置1毎に設定されている。
ネットワーク信号送受信部211は、基地局装置2間あるいは上位のネットワーク装置(MME、SGW)と基地局装置2との間の制御メッセージ、またはユーザデータの送信(転送)または受信を行なう。図2において、その他の基地局装置2の構成要素や、構成要素間のデータ(制御情報)の伝送経路については省略してあるが、基地局装置2として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。例えば、無線リソース制御部210の上位には、無線リソース管理(Radio Resource Management)部や、アプリケーションレイヤ部が存在している。
次に、図3を用いて、端末装置1が基地局装置2からデバイス間のデータ通信のための送信リソースを取得する手順の一例を説明する。
なお、本実施形態ではD2D制御装置を一つの装置として説明しているが、これに限らず、D2D制御装置の機能は、ネットワーク上の様々な装置(例えば基地局装置やMME、ゲートウェイ装置など)に実装されてもよく、さらに、D2D制御装置の複数の機能は、それぞれ異なる装置に実装されてもよい。また、D2D制御装置の機能は、デバイス間通信のサービスやアプリケーション毎に異なる装置に実装されてもよい。
図3において、デバイス間のデータ通信を行う端末装置1は、D2D制御装置に対して、デバイス間のデータ通信を行うサービスへの登録要求を行ない、D2D制御装置からデバイス間のデータ通信で必要となる情報を取得する(ステップS31)。情報には、例えば、単一のサービスやアプリケーションに対応付けられた識別子、複数のサービスやアプリケーションのグループに対応付けられた識別子、単一のサービスやアプリケーションの中で分けられる複数のグループを識別するための識別子などの情報が含まれる。また、情報には、例えば、デバイス間のデータ通信の送信元および/あるいは宛先を識別する識別子の情報が含まれてもよい。また、情報には、例えば、デバイス間のデータ通信が行われるサービスエリアや周波数を示す識別子の情報が含まれてもよい。あるいは、端末装置1は、情報が静的に自装置内に設定されるようにしてもよいし、一度情報取得をした場合に、既定の時間を計時するタイマーの計時を開始し、タイマー満了時には再度情報の取得を行うようにしてもよい。
デバイス間のデータ通信で受信動作を行う端末装置1は、基地局装置2からD2Dリソース情報を取得し(ステップS32)、D2Dリソースにおいて他の送信動作を行う端末装置1から送信されるスケジューリング割り当てを受信する。D2Dリソース情報には、デバイス間のデータ通信において、送信側の端末装置1が送信するスケジューリング割り当て(SA)を受信するための受信リソース(周波数および時間)を示す情報や、送信側の端末装置1が自律的に送信することができる送信リソース(周波数および時間)を示す情報などが含まれる。
デバイス間のデータ通信で送信動作を行う端末装置1は、ステップS31で取得した識別子を選択して(ステップS33)、識別子情報(当該識別子、あるいは端末装置1に設定された複数の識別子に予め対応づけられたインデックス番号等)を送信リソース割り当て要求のメッセージに付加して基地局装置2に通知する(ステップS34)。
送信リソース割り当て要求のメッセージとは、例えば、MAC層のバッファステータスレポートを利用してもよいし、他のMAC層のシグナリングあるいはRRC層のメッセージであってもよい。送信リソース割り当て要求のメッセージが、バッファステータスレポートである場合、当該バッファステータスレポートに識別子情報を含めるために、従来のバッファステータスレポートの論理チャネル識別子(LCID)とは異なる論理チャネル識別子を用いてもよい。また、当該バッファステータスレポートには、識別子情報と、バッファサイズレベルを示すインデックスとが含まれる。また、当該バッファステータスレポートは、複数のサービスあるいはアプリケーションのバッファステータスが含まれるようにしてもよい。すなわち、一つのバッファステータスレポートに複数の識別子情報と、それぞれのバッファサイズレベルを示すインデックスとが含まれるようにしてもよい。また、その他のシグナリングやメッセージを用いる場合には少なくとも識別子情報が含まれる。
送信リソース割り当て要求のメッセージを受信した基地局装置2は、通知された識別子情報に基づき、端末装置1の利用するサービスあるいはアプリケーションが使用するリソース情報をD2D制御装置から取得する(ステップS35)。例えば、基地局装置2が複数の周波数のセルを用いて端末装置1と通信を行なっている際に、端末装置1から通知される識別子情報と、D2D制御装置から取得するサービスやアプリケーションに対応付けられた周波数情報とに基づき、何れのセル(周波数)のリソースを要求しているのかを判断して選択することができる。なお、ステップS35は、ステップS34よりも前の段階で行われてもよい。すなわち、基地局装置2は、予め取得した識別子と周波数情報の対応付け情報に基づき、端末装置1の要求するリソースを判断してもよい。また、基地局装置2は、自装置が制御するセル(周波数)以外のセル(周波数)のリソースを端末装置1が要求している場合に、当該セル(周波数)のリソースを制御する基地局装置2のセルへ端末装置1をハンドオーバさせるようにしてもよい。
基地局装置2は、ステップS34で選択したリソースから端末装置1に割り当てる送信リソースを決定して、端末装置1に通知する(ステップS36)。
このように構成することによって、端末装置1は、送信リソース要求時に、何れのサービスあるいはアプリケーションのデータ通信であるかを識別する識別子情報を基地局装置2に通知でき、基地局装置2は通知された識別子情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することができる。
第1の実施形態によれば、端末装置1が送信リソース要求時に、何れのサービスあるいはアプリケーションのデータ通信であるかを識別する識別子情報を基地局装置2に通知し、基地局装置2が通知された識別子情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することにより、例えば、キャリア・アグリゲーションなどにより複数のセルを用いて通信している場合や、特定の通信用の周波数が通常の通信用の周波数以外に確保されている場合、サービスやアプリケーション毎に異なるリソースを用いる場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。また、端末装置1が複数のデバイス間通信のサービスを行うような場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。また、識別子情報に対応するサービスやアプリケーションが要求する遅延量やビットレート等に基づいて、適切な送信リソース割り当てを行うことが可能となる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
第1の実施形態では、端末装置1が基地局装置2に対して識別子を通知して、基地局装置2が使用する送信リソースを決定する例を示した。
本実施形態では、端末装置1が、何れのリソースを希望するかを明示する例を示す。
本実施形態で用いられる端末装置1と基地局装置2は、送信データ制御部106、受信データ制御部204、および送信データ制御部206が、第1の実施形態と動作が異なるため、それ以外の詳細な説明は省略する。
本実施形態において、送信データ制御部106は、入力された送信データがデバイス間通信のためのデータである場合に、送信データが何れのセル(周波数)のリソースで送信されるサービスあるいはアプリケーションのデータであるかを示す周波数情報とバッファサイズレベルを示すインデックスを含むバッファステータスレポートを生成する。
また、本実施形態において、受信データ制御部204は、デバイス間のデータ通信のための送信リソース要求として、端末装置1からバッファステータスレポートが復号部203から入力された場合、バッファステータスレポートに含まれる周波数情報を送信データ制御部206へ入力する。送信データ制御部206は、周波数情報で示されるリソースから該端末装置1に割り当てる送信リソースを設定する。
次に、図4を用いて、本実施形態における、端末装置1が基地局装置2からデバイス間のデータ通信のための送信リソースを取得する手順の一例を説明する。
なお、本実施形態ではD2D制御装置を一つの装置として説明しているが、これに限らず、D2D制御装置の機能は、ネットワーク上の様々な装置(例えば基地局装置やMME、ゲートウェイ装置など)に実装されてもよく、さらに、D2D制御装置の複数の機能は、それぞれ異なる装置に実装されてもよい。また、D2D制御装置の機能は、デバイス間通信のサービスやアプリケーション毎に異なる装置に実装されてもよい。
図4において、デバイス間のデータ通信を行う端末装置1は、D2D制御装置に対して、デバイス間のデータ通信を行うサービスへの登録要求を行ない、D2D制御装置からデバイス間のデータ通信で必要となる情報を取得する(ステップS41)。情報には、例えば、単一のサービスやアプリケーションに対応付けられた識別子、複数のサービスやアプリケーションのグループに対応付けられた識別子、単一のサービスやアプリケーションの中で分けられる複数のグループを識別するための識別子などの情報が含まれる。また、情報には、デバイス間のデータ通信で用いられる各サービスやアプリケーション毎のサービスエリアや周波数を示す情報(周波数情報)が含まれる。また、情報には、例えば、デバイス間のデータ通信の送信元および/あるいは宛先を識別する識別子の情報が含まれてもよい。あるいは、端末装置1は、情報が静的に自装置内に設定されるようにしてもよいし、一度情報取得をした場合に、既定の時間を計時するタイマーの計時を開始し、タイマー満了時には再度情報の取得を行うようにしてもよい。
デバイス間のデータ通信で受信動作を行う端末装置1は、基地局装置2からD2Dリソース情報を取得し(ステップS42)、D2Dリソースにおいて他の送信動作を行う端末装置1から送信されるスケジューリング割り当てを受信する。D2Dリソース情報には、デバイス間のデータ通信において、送信側の端末装置1が送信するスケジューリング割り当て(SA)を受信するための受信リソース(周波数および時間)を示す情報や、送信側の端末装置1が自律的に送信することができる送信リソース(周波数および時間)を示す情報などが含まれる。
デバイス間のデータ通信で送信動作を行う端末装置1は、送信するデータの所属するサービスやアプリケーションに対応する(ステップS41で取得した)周波数情報に基づき要求する周波数を選択して(ステップS43)、周波数情報を送信リソース割り当て要求のメッセージに付加して基地局装置2に通知する(ステップS44)。
送信リソース割り当て要求のメッセージとは、例えば、MAC層のバッファステータスレポートを利用してもよいし、他のMAC層のシグナリングあるいはRRC層のメッセージであってもよい。送信リソース割り当て要求のメッセージが、バッファステータスレポートである場合、当該バッファステータスレポートに周波数情報を含めるために、従来のバッファステータスレポートの論理チャネル識別子(LCID)とは異なる論理チャネル識別子を用いてもよい。また、当該バッファステータスレポートには、周波数情報と、バッファサイズレベルを示すインデックスとが含まれる。また、周波数情報はキャリア・アグリゲーション等で設定されるセルインデックス(端末装置1に設定されたセルを一意に識別するための情報)であってもよいし、基地局装置2から報知(または通知)される複数のリソース情報のそれぞれに対応付けられた識別子(インデックス)であってもよい。また、その他のシグナリングやメッセージを用いる場合には少なくとも識別子情報が含まれる。
送信リソース割り当て要求のメッセージを受信した基地局装置2は、通知された周波数情報に基づき、端末装置1に割り当てる送信リソースを決定して、端末装置1に通知する(ステップS45)。例えば、基地局装置2が複数の周波数のセルを用いて端末装置1と通信を行なっている際に、端末装置1から通知される周波数情報に基づき、何れのセル(周波数)のリソースを要求しているのかを判断して選択することができる。なお、基地局装置2は、自装置が制御するセル(周波数)以外のセル(周波数)のリソースを端末装置1が要求している場合に、当該セル(周波数)のリソースを制御する基地局装置2のセルへ端末装置1をハンドオーバさせるようにしてもよい。
このように構成することによって、端末装置1は、送信リソース要求時に、自装置が送信するデータが何れのサービスあるいはアプリケーションのデータであるかに基づき、周波数情報を基地局装置2に通知でき、基地局装置2は通知された周波数情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することができる。
第2の実施形態によれば、端末装置1が送信リソース要求時に、自装置が送信するデータが何れのサービスあるいはアプリケーションのデータであるかに基づき、周波数情報を基地局装置2に通知し、基地局装置2が通知された周波数情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することにより、例えば、キャリア・アグリゲーションなどにより複数のセルを用いて通信している場合や、特定の通信用の周波数が通常の通信用の周波数以外に確保されている場合、サービスやアプリケーション毎に異なるリソースを用いる場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。また、端末装置1が複数のデバイス間通信のサービスを行うような場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。
第1の実施形態および第2の実施形態では、送信リソース要求時に何れのリソースを使用するかを決定する例を示した。
本実施形態では、端末装置1がデバイス間通信の機能を用いる時に使用するリソースに関する情報を基地局装置2へ通知する例を示す。
本実施形態で用いられる端末装置1と基地局装置2は、送信データ制御部106、無線リソース制御部110、受信データ制御部204、送信データ制御部206、および無線リソース制御部210が、第1の実施形態と動作が異なるため、それ以外の詳細な説明は省略する。
本実施形態において、無線リソース制御部110は、デバイス間のデータ通信を開始するときに、受信データ制御部104から入力される報知情報や制御データに含まれるデバイス間のデータ通信に使用されるリソースの情報と、D2D制御装置から設定される(あるいは端末装置1上で設定される)使用周波数情報とに基づき、自装置がデバイス間のデータ通信で使用を希望するリソースの情報(報知情報や制御データで基地局装置2からリソースに対して設定される識別子やインデックスなど)を含むデバイス間データ通信開始要求メッセージを生成する。
また、本実施形態において、送信データ制御部106は、無線リソース制御部110より入力された送信データがデバイス間通信のためのデータである場合に、送信データがデバイス間データ通信開始要求メッセージに含まれる何れのリソースでの送信を希望するかを示す識別子情報とバッファサイズレベルを示すインデックスを含むバッファステータスレポートを生成する。
また、本実施形態において、無線リソース制御部210は、受信データ制御部204から入力されるデバイス間通信開始要求メッセージに含まれる識別子と、報知情報あるいは制御データとして端末装置1に報知(通知)したデバイス間のデータ通信に使用するリソースのうち、デバイス間通信開始要求メッセージに含まれる識別子に対応するリソース情報とを、送信データ制御部206へ入力する。
また、本実施形態において、受信データ制御部204は、デバイス間のデータ通信のための送信リソース要求として、端末装置1からバッファステータスレポートが復号部203から入力された場合、バッファステータスレポートに含まれる識別子情報を送信データ制御部206へ入力する。送信データ制御部206は、無線リソース制御部210から識別子情報と対応づけられたリソース情報を取得し、該端末装置1に割り当てる送信リソースを設定する。
次に、図5を用いて、端末装置1が基地局装置2からデバイス間のデータ通信のための送信リソースを取得する手順の一例を説明する。
なお、本実施形態ではD2D制御装置を一つの装置として説明しているが、これに限らず、D2D制御装置の機能は、ネットワーク上の様々な装置(例えば基地局装置やMME、ゲートウェイ装置など)に実装されてもよく、さらに、D2D制御装置の複数の機能は、それぞれ異なる装置に実装されてもよい。また、D2D制御装置の機能は、デバイス間通信のサービスやアプリケーション毎に異なる装置に実装されてもよい。
図5において、デバイス間のデータ通信を行う端末装置1は、D2D制御装置に対して、デバイス間のデータ通信を行うサービスへの登録要求を行ない、D2D制御装置からデバイス間のデータ通信で必要となる情報を取得する(ステップS51)。情報には、例えば、単一のサービスやアプリケーションに対応付けられた識別子、複数のサービスやアプリケーションのグループに対応付けられた識別子、単一のサービスやアプリケーションの中で分けられる複数のグループを識別するための識別子などの情報が含まれる。また、情報には、デバイス間のデータ通信が行われるサービスエリアや周波数を示す識別子の情報が含まれる。また、情報には、例えば、デバイス間のデータ通信の送信元および/あるいは宛先を識別する識別子の情報が含まれてもよい。あるいは、端末装置1は、情報が静的に自装置内に設定されるようにしてもよいし、一度情報取得をした場合に、既定の時間を計時するタイマーの計時を開始し、タイマー満了時には再度情報の取得を行うようにしてもよい。
デバイス間のデータ通信で受信動作を行う端末装置1は、基地局装置2からD2Dリソース情報を取得し(ステップS52)、D2Dリソースにおいて他の送信動作を行う端末装置1から送信されるスケジューリング割り当てを受信する。D2Dリソース情報には、デバイス間のデータ通信において、送信側の端末装置1が送信するスケジューリング割り当て(SA)を受信するための受信リソース(周波数および時間)を示す情報や、送信側の端末装置1が自律的に送信することができる送信リソース(周波数および時間)を示す情報などが含まれる。
デバイス間のデータ通信を行いたい端末装置1は、サービスやアプリケーションに対応する(ステップS51で取得した)周波数情報に基づき要求する周波数を選択して、周波数情報をデバイス間データ通信状況通知メッセージに含めて基地局装置2に通知する(ステップS53)。
なお、周波数情報は、デバイス間のデータ通信で使用されるリソースを報知する報知情報や個別に通知される通知情報に含まれる複数のリソースを識別する情報であればよく、報知情報や通知情報に含まれる識別子やインデックスであってもよいし、端末装置1に割り当てられたセルや周波数を示す識別子やインデックスであってもよい。例えば、識別子Aと識別子Aに対応するリソース(周波数・時間情報)、識別子Bと識別子Bに対応するリソース情報、識別子Cと識別子Cに対応するリソース情報が、デバイス間のデータ通信で使用されるリソース情報として報知されており、端末装置1が識別子Aと識別子Cに対応するリソースで通信を行う場合に、端末装置1は、デバイス間データ通信状況通知メッセージに識別子Aと識別子Cを含めて基地局装置 2に通知するようにしてもよい。あるいは、例えば、端末装置1が基地局装置2と複数のセル(セルA、セルB、セルC)を用いて接続している場合に、端末装置1がセルAとセルCのリソースで通信を行う場合に、端末装置1は、デバイス間データ通信状況通知メッセージに識別子Aと識別子Cを含めて基地局装置2に通知するようにしてもよい。
また、端末装置1は、デバイス間データ通信で使用するリソースに変更が生じた場合に、デバイス間データ通信状況通知メッセージの通知をトリガするようにしてもよい。また、基地局装置2はデバイス間データ通信状況通知メッセージに対して、デバイス間データ通信の許可・不許可を返答するようにしてもよい。これにより、ネットワーク側でデバイス間データ通信の制御を行うことが可能となる。
デバイス間データ通信で送信を行う端末装置1は、デバイス間データ状況通知で通知した識別子から、送信データが属するリソースの識別子を選択して(ステップS54)、識別子情報(当該識別子、および/あるいはデバイス間データ通信状況通知で通知した識別子に対応づけられるインデックス等)を送信リソース割り当て要求のメッセージに付加して基地局装置2に通知する(ステップS55)。例えば、デバイス間データ通信状況通知メッセージに識別子Aと識別子Cを含めて基地局装置2に通知していた場合に、明示的あるいは暗黙的に通知した識別子にインデックス番号が割り振られ、送信リソース割り当て要求のメッセージでインデックス番号を通知するようにしてもよい。
送信リソース割り当て要求のメッセージとは、例えば、MAC層のバッファステータスレポートを利用してもよいし、他のMAC層のシグナリングあるいはRRC層のメッセージであってもよい。送信リソース割り当て要求のメッセージが、バッファステータスレポートである場合、当該バッファステータスレポートに識別子情報を含めるために、従来のバッファステータスレポートの論理チャネル識別子(LCID)とは異なる論理チャネル識別子を用いてもよい。また、当該バッファステータスレポートには、識別子情報と、バッファサイズレベルを示すインデックスとが含まれる。また、送信リソース割り当て要求のメッセージが、バッファステータスレポートである場合、論理チャネルグループを示すフィールドに、インデックス(ステップS55で通知したインデックス、あるいはステップS55で通知した識別子の番号順や配置順に基づくインデックス等)を設定し、通知するようにしてもよい。また、その他のシグナリングやメッセージを用いる場合には少なくとも識別子情報が含まれる。
送信リソース割り当て要求のメッセージを受信した基地局装置2は、通知された識別子情報に基づき、端末装置1の利用するリソースから端末装置1に割り当てる送信リソースを決定して、端末装置1に通知する(ステップS56)。
端末装置1は、デバイス間データ通信が終了したとき(使用するリソースに変更が生じたとき)に、デバイス間データ通信状況通知メッセージを基地局装置2に通知してもよい(ステップS57)。
このように構成することによって、端末装置1は、デバイス間データ通信の開始・終了時に使用するリソースの情報をデバイス間データ通信状況通知として基地局装置2に通知でき、送信リソース要求時に、デバイス間データ通信状況通知の情報に基づく識別子情報を基地局装置2に通知でき、基地局装置2は通知された識別子情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することができる。また、論理チャネルグループを示すフィールドに送信データが属するリソースの識別子に対応するインデックスを用いることにより、送信メッセージを小さくすることができる。
第3の実施形態によれば、端末装置1が、デバイス間データ通信の開始・終了時に使用するリソースの情報をデバイス間データ通信状況通知として基地局装置2に通知し、送信リソース要求時に、デバイス間データ通信状況通知の情報に基づく識別子情報を基地局装置2に通知し、基地局装置2が通知された識別子情報に基づき割り当てる送信リソースを選択することにより、例えば、キャリア・アグリゲーションなどにより複数のセルを用いて通信している場合や、特定の通信用の周波数が通常の通信用の周波数以外に確保されている場合、サービスやアプリケーション毎に異なるリソースを用いる場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。また、端末装置1が複数のデバイス間通信のサービスを行うような場合であっても、適切な送信リソースの割り当てが可能となる。また、識別子情報に対応するサービスやアプリケーションが要求する遅延量やビットレート等に基づいて、適切な送信リソース割り当てを行うことが可能となる。
上記各実施形態において、端末装置1が送信リソースを基地局装置2から取得する例を示したが、デバイス間データ通信のリソースとして個別の送信リソースの要求が必要なリソース(スケジュール型のリソース)と個別の送信リソース要求が不要なリソース(自律型のリソース)とを端末装置1が識別できるように基地局装置2が、報知情報あるいは通知情報で通知する場合、端末装置1が、その報知情報あるいは通知情報に基づき、送信リソース割り当て要求を行うか否かを判断するようにしてもよい。これにより、不要なシグナリングを防止することができる。
基地局装置2は、自装置が制御するセル(周波数)以外のセル(周波数)のスケジュール型のリソースを端末装置1が要求している場合に、当該セル(周波数)のリソースを制御する基地局装置2のセルへ端末装置1をハンドオーバさせるようにしてもよい。これにより、効率的なリソース割り当てを行うことができる。
また、上記各実施形態において、基地局装置2は、デバイス間データ通信のリソースとして、自装置が制御するリソースと他装置が制御するリソースとを端末装置1が識別できるように、報知情報あるいは通知情報で通知するようにしてもよい。この場合、端末装置1は、その報知情報あるいは通知情報に基づき、在圏セルの基地局装置1が制御するリソースを使用する場合にのみ、送信リソース割り当て要求を行うようにしてもよい。これにより、不要なシグナリングを防止することができる。
また、上記各実施形態において、デバイス間データ通信のリソースが周波数やセル毎に設定され、それらのリソースから端末装置1が使用するリソースを選択する例を示したが、これに限らず、同一のセル(周波数)内において複数のリソースが設定される場合であっても同様に適用することができる。
また、上記各実施形態において、基地局装置2の機能は、他の装置が実装してもよい。例えば、デバイス間データ通信の親機となる端末装置1が、上記のデバイス間データ通信の送信リソースを割り当てる機能を実装するようにしてもよい。
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、実施形態で示される各パラメータや各イベントの名称は、説明の便宜上呼称しているものであって、実際に適用される名称と本発明の実施形態の名称とが異なっていても、本発明の実施形態において主張する発明の趣旨に影響するものではない。
また、各実施形態で用いた「接続」とは、ある装置と別のある装置とを、物理的な回線を用いて直接接続される構成にだけ限定されるわけではなく、論理的に接続される構成や、無線技術を用いて無線接続される構成を含む。
また、端末装置1とは、可搬型あるいは可動型の移動局装置のみならず、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器や測定機器、車載装置、さらに身に着けることが可能なウェアラブル機器やヘルスケア機器などに対し通信機能を搭載したものを含む。また、端末装置1は、人対人または人対機器の通信だけではなく、機器対機器の通信(Machine Type Communication、マシンタイプ通信)にも用いられる。
端末装置1は、ユーザ端末、移動局装置、通信端末、移動機、端末、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)とも称される。基地局装置2は、無線基地局装置、基地局、無線基地局、固定局、NB(NodeB)、eNB(evolved NodeB)、BTS(Base Transceiver Station)、BS(Base Station)とも称される。
なお、基地局装置2は、3GPPが規定するUMTSにおいてNBと称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおいてeNBと称される。なお、3GPPが規定するUMTS、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける端末装置1はUEと称される。
また、説明の便宜上、機能的なブロック図を用いて、端末装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するための方法、手段、またはアルゴリズムのステップについて具体的に組み合わせて記載したが、これらは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または、これらを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。
もしハードウェアによって実装されるのであれば、端末装置1および基地局装置2は説明したブロック図の構成以外に端末装置1および基地局装置2へ電力を供給する給電装置やバッテリー、液晶などのディスプレイ装置及びディスプレイ駆動装置、メモリ、入出力インターフェース及び入出力端子、スピーカー、その他の周辺装置によって構成される。
もしソフトウェアによって実装されるのであれば、その機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。
そして、一つ以上の命令またはコードをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された一つ以上の命令またはコードをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより端末装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明の各実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明の各実施形態に関わる端末装置1および基地局装置2で動作するプログラムは、本発明の各実施形態に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
また、プログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の各実施形態の機能が実現される場合もある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた端末装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けの集積回路(ASIC)あるいは一般用途向けの任意の集積回路(IC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。
汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであっても良いが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。汎用用途プロセッサ、または上述した各回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されても良い。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。
以上、この発明の実施形態について具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の各実施形態の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これらの具体例に限定されないことは明らかであり、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明の各実施形態に対して何ら制限を加えるものではない。
また、本発明は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も本発明の技術的範囲に含まれる。