以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の建物の屋根構造を、コンビニエンスストアの店舗として使用される建物に具体化したものである。
はじめに、建物10の全体の概要について、図1及び図2(a)を参照しながら説明する。図1に示すように、建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体20と、建物本体20の上方に設けられた屋根部30とを有している。建物本体20は、平面視において矩形状をなし、外壁部21によって屋内外が区画されている。一方、屋根部30は、トラス構造を有して構成され、建物正面側から奥側へ向かって下がる片流れの傾斜屋根となっている。なお、図1では、図示の左側が建物正面側(前側)にあたり、その反対側が建物奥側(後側)にあたる。以下では、この前後を奥行方向とし、それと直交する方向を幅方向又は左右方向として説明する。
建物本体20において、前記外壁部21は、図2(a)に示すように、基礎11に立設されている複数の柱22,23を含んで構成されている。それら柱22,23は、屋根部30をその下方から支持している。柱22,23としては、外壁部21に沿って横並びに配置されたラチス柱22と、ラチス柱22同士の間に配置された間柱23とがある(図1参照)。ラチス柱22及び間柱23は、外壁部21と一体になっている壁付き柱であり、外壁部21に沿って並んで設けられている。また、外壁部21には、前側において、建物10の内外を連通する出入口24が設けられている。
建物本体20には、外壁部21によって囲まれた空間として、屋内空間25を有している。屋内空間25は、外壁部21によって囲まれた空間全域による一つの大空間となっている。この大空間を利用して、商品販売のための売り場スペースや、倉庫や事務所等のためのバックヤードスペース等、店舗に必要なスペースが設けられる。客や店員等の人は、外壁部21に設けられた前記出入口24を通じて、屋外から屋内空間25へ出入りするようになっている。
図1に戻り、屋根部30は、建物本体20の上方全域にわたって設けられるとともに、正面側から前方に突出した部分を有している。この突出した部分が、庇部30aとなっている。屋根部30は、屋根構造体31と屋根パネル部32とを有して構成されている。屋根構造体31はトラス構造を有して構成されており、その上に屋根パネル部32が設けられている。屋根部30は、この屋根構造体31及び屋根パネル部32に加えて、外装材及び防水処理用部材等の各種部材が設けられて構成されるが、以下では、建物10の屋根構造として、屋根構造体31及び屋根パネル部32について詳細に説明する。
最初に、屋根構造体31について、図2(b)〜図7を参照しながら説明する。なお、図2(b)において、一点鎖線は、建物本体20の外壁部21の厚さ方向の中心線を示している。図2(b)に示すように、屋根構造体31は、連結ユニット40とトラス枠61〜66とを有して構成されている。連結ユニット40は複数(この実施形態では4つ)設けられており、それら各連結ユニット40とトラス枠61〜66とが組み合わされて、図1に示すような全体がトラス構造を有する屋根構造体31が構成されている。
図3も併せて参照すると、各連結ユニット40は全体として略直方体形状を有しており、その長手方向に沿って水勾配が設けられている。各連結ユニット40は、長手方向が奥行方向となり、水勾配が建物正面から奥側へ向かうようにして、建物本体20の上方に設置されている。各連結ユニット40の長手方向における長さ寸法は、建物本体20の奥行方向の長さ寸法と略同じかそれよりも長く設定されている。各連結ユニット40は、建物本体20の奥行方向に相対向する一対の外壁部21a,21bの間に架け渡されている。
各連結ユニット40は幅方向に横並びで平行をなすように設けられるとともに、隣接する他の連結ユニット40との間に間隔を設けて、離し置きの状態で設置されている。この場合の間隔は、連結ユニット40の幅寸法W1と同じとなるように設定されている。間隔が設けられることにより、連結ユニット40同士の間には、ユニット非設置空間Kが設けられている。ユニット非設置空間Kは、連結ユニット40の幅寸法W1と同じ幅寸法W2を有し、かつ、その幅寸法W2は連結ユニット40の長手方向に沿って同じとなっている。連結ユニット40の幅寸法W1は、4つの連結ユニット40及び3つのユニット非設置空間Kの各幅寸法W1,W2の合計が、建物本体20の幅寸法と同じとなるように設定されている。
連結ユニット40は、第1連結ユニット40aと第2連結ユニット40bとに区別される。第1連結ユニット40aは建物本体20の右端に設けられ、建物本体20の外壁部21のうち、幅方向右側にある外壁部21cの上方に側部が置かれているものを指す。第1連結ユニット40aの長手寸法は、建物本体20の奥行寸法と略同じに設定されている。このため、第1連結ユニット40aの前端部は前側の外壁部21aの上に、後端部は後側の外壁部21bの上に置かれている。
第2連結ユニット40bは、建物本体20の右端以外の部分に設けられているものを指す。そのうち、建物本体20の左端に設けられた第2連結ユニット40bは、建物本体20の外壁部21のうち、幅方向左側にある外壁部21dの上に側部が載置されている。第2連結ユニット40bの長手寸法は、建物本体20の奥行寸法よりも長く設定されている。このため、第2連結ユニット40bはその前端よりも奥側の部分が前側の外壁部21aの上に置かれ、後端部は後側の外壁部21bの上に置かれている。
各連結ユニット40は、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42とが連結されることにより構成されている。各トラスユニット41,42は、いずれも略直方体形状をなしている。正面トラスユニット41は連結ユニット40の建物正面側に配置され、その上面は正面から奥側へ向かって下るように傾斜している。正面トラスユニット41は、連結ユニット40が有する水勾配の上側に配置されている。正面トラスユニット41のうち、第2連結ユニット40bを構成する正面トラスユニット41bは、第1連結ユニット40aが有する正面トラスユニット41aよりも前方に延長された長さを有している。このため、第2連結ユニット40bは、第1連結ユニット40aよりも長手寸法が長くなっている。
奥側トラスユニット42は、正面トラスユニット41よりも長い長手寸法を有している。奥側トラスユニット42は、正面トラスユニット41の奥側に、一列の縦並びとなるように配置され、側面部分に設けられた連結プレート43等、強度上の必要な箇所に設けられた連結部材を用いて、正面トラスユニット41と連結されている(図6参照)。この場合、各トラスユニット41,42の下面が同一平面となるように連結されている。奥側トラスユニット42の上面は、長手方向に沿って、正面から奥側へ向かって下るように傾斜している。奥側トラスユニット42は、連結ユニット40が有する水勾配の下側に配置されている。
図4に示すように、正面トラスユニット41は、長辺トラス51と短辺トラス52とを有し、それらが複数組み合わされている。奥側トラスユニット42も、長辺トラス53と短辺トラス54とを有し、それらが複数組み合わされている。長辺トラス51,53は、各トラスユニット41,42の両側部を構成している。短辺トラス52,54は、長辺トラス51,53の間において、トラスユニット41,42の前端部と後端部とにそれぞれ設けられるとともに、強度確保の必要性に応じ、前後両端部の間に1つまたは複数設けられている。
長辺トラス51,53及び短辺トラス52,54は、それぞれが溝形鋼よりなる上弦材55、下弦材56、斜材57及び垂直材58によって構成されている。長辺トラス51,53の上弦材55は、正面から奥側へ向かって下るように傾斜している。短辺トラス52,54の上弦材55及び長辺トラス51,53及び短辺トラス52,54の各下弦材56は、水平方向に延びている。斜材57及び垂直材58は、上弦材55と下弦材56とを連結している。図6に示すように、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42とを連結する前記連結プレート43は、両トラスユニット41,42が突き合わされた部分で前後に並んだ垂直材58にボルトで固定され、垂直材58同士を連結している。
次に、連結ユニット40の間に設けられたユニット非設置空間Kについて、その構成を説明する。図2(b)に示すように、ユニット非設置空間Kは、第1ユニット非設置空間K1と、第2ユニット非設置空間K2とに区別される。第1ユニット非設置空間K1は、3つのユニット非設置空間Kのうちの右端にあるものを指し、第1連結ユニット40aと、第2連結ユニット40bとの間に存在している。第2ユニット非設置空間K2は、3つのユニット非設置空間Kのうち、第1ユニット非設置空間K1以外のものを指し、第2連結ユニット40b同士の間に存在している。
これらのユニット非設置空間Kには、複数のトラス枠61〜66が設けられている。トラス枠61〜66は、前述した短辺トラス52と同様の構成を有している。具体的には、図4に示すように、上弦材71、下弦材72、斜材73及び垂直材74を有して四角枠状に形成されている。図2(b)及び図4に示すように、トラス枠61〜66としては、設置される箇所ごとに、第1トラス枠61、第2トラス枠62、第3トラス枠63、第4トラス枠64、第5トラス枠65及び第6トラス枠66がある。
第1トラス枠61は、第2ユニット非設置空間K2の最前面に設けられている。第1トラス枠61の幅寸法は、第2ユニット非設置空間K2の幅寸法W2よりも若干小さく、高さ寸法は、正面トラスユニット41の前端にある短辺トラス52と同じに設定されている。第1トラス枠61は、隣り合う短辺トラス52と一列に並んで設けられ、その短辺トラス52と連結されている。
第2トラス枠62は、ユニット非設置空間Kにおいて、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42との連結部分の間に設けられている。第2トラス枠62の幅寸法は、ユニット非設置空間Kの幅寸法W2よりも若干小さく、高さ寸法は正面トラスユニット41の後端にある短辺トラス52と同じに設定されている。第2トラス枠62は、当該短辺トラス52と一列に並んで設けられ、その短辺トラス52と連結されている。
第3トラス枠63は、ユニット非設置空間Kの後端に設けられている。第3トラス枠63の幅寸法は、ユニット非設置空間Kの幅寸法W2よりも若干小さく、高さ寸法は奥側トラスユニット42の後端にある短辺トラス54と同じに設定されている。第3トラス枠63は、当該短辺トラス52と一列に並んで設置され、その短辺トラス54と連結されている。
第4トラス枠64〜第6トラス枠66は、第1ユニット非設置空間K1において、第2トラス枠62よりも前方に設けられている。まず、第4トラス枠64は、第1ユニット非設置空間K1の幅方向中央部において、連結ユニット40の長手方向に沿って設けられている。第4トラス枠64の後端部は第2トラス枠62に連結され、前端部は第2連結ユニット40bの前端まで延びている。第4トラス枠64が有する上弦材71は、正面トラスユニット41の上弦材55と同じように傾斜している。
第5トラス枠65は、第4トラス枠64の前端部と第2連結ユニット40bの前端部との間に、第4トラス枠64と直交した状態で設けられている。第5トラス枠65の幅寸法は、第4トラス枠64と第2連結ユニット40bとの間の幅寸法よりも若干小さく、高さ寸法は、第2連結ユニット40bの前端にある短辺トラス52と同じに設定されている。第5トラス枠65は、当該短辺トラス52と一列に並んで設けられ、その短辺トラス52及び第4トラス枠64と連結されている。
第6トラス枠66は、第4トラス枠64と第1連結ユニット40aの前端部との間に、第4トラス枠64と直交した状態で設けられている。第6トラス枠66の幅寸法は、第4トラス枠64と第1連結ユニット40aとの間の幅寸法よりも若干小さく、高さ寸法は、第1連結ユニット40aの前端にある短辺トラス52と同じに設定されている。第6トラス枠66は、当該短辺トラス52と一列に並んで設けられ、その短辺トラス52及び第4トラス枠64と連結されている。
以上のように、建物10の屋根構造体31は、複数の連結ユニット40が離し置きされ、その離し置きによって形成されたユニット非設置空間Kに、複数のトラス枠61〜66が設けられて、全体にトラス構造が構築されている。そして、各トラス枠61〜66は、設置される箇所に応じて高さ寸法を異ならせたり、上弦材71を傾斜させたりしている。これにより、ユニット非設置空間Kでも、各トラス枠61〜66により、連結ユニット40の上面が有する傾斜と同様の傾斜が形成されている。この傾斜が水勾配となる。ちなみに、屋根構造体31において、第2連結ユニット40bが建物本体20より前方に突出した部分と、第3トラス枠63〜第5トラス枠65とによって、屋根部30が有する前記庇部30aが形成されている。
次に、屋根構造体31とともに屋根部30を構成する前記屋根パネル部32について、図5乃至図7を参照しながら説明する。まず、図5に示すように、屋根パネル部32は、複数の屋根パネル81,82が屋根構造体31の上に設置されることにより構成されている。屋根パネル81,82はパネル基部83及び折板材84を有し、それらが工場出荷時において一体的に組み付けられている。パネル基部83は、溝形鋼により形成されたフレームや断熱材を有する。折板材84は鋼板により形成され、パネル基部83の上に設けられている。折板材84の幅方向に沿った断面は台形波形状をなしており、奥行方向に沿って延びている。折板材84の後端は、パネル基部83の後端よりもさらに後方へ突出している(図6参照)。
屋根パネル81,82は、上段屋根パネル81と下段屋根パネル82とよりなる。上段屋根パネル81は、正面トラスユニット41の上に設けられている。また、上段屋根パネル81は、ユニット非設置空間Kにおいて、第2トラス枠62を含むその前方領域の上とにも設けられている。上段屋根パネル81のパネル基部83は、設置対象となる正面トラスユニット41やユニット非設置空間Kに合わせた大きさに形成されている。そして、上段屋根パネル81のパネル基部83は、図7に一部を示すように、隣り合うもの同士がいずれも、正面トラスユニット41の長辺トラス51が有する上弦材55の上に置かれ、かつその上弦材55に固定されている。なお、この図7は、正面トラスユニット41に設けられた上段屋根パネル81と、その右隣にある第1ユニット非設置空間K1に設けられた上段屋根パネル81との隣接部分を拡大して示している。
第1ユニット非設置空間K1には、第1トラス枠61及び第2トラス枠62の他に、第4トラス枠64〜第6トラス枠66が設けられている。この部分に設置される上段屋根パネル81は、これら各トラス枠61,62,64〜66の上にも置かれている。また、第4トラス枠64〜第6トラス枠66により、屋根構造体31の右前端部が凹状に形成されているため、その形状に合わせて、上段屋根パネル81の前端部には切欠き部85が形成されている。
次に、下段屋根パネル82は、奥側トラスユニット42の上に設けられている。また、下段屋根パネル82は、ユニット非設置空間Kにおいて、第2トラス枠62の後方領域の上にも設けられている。下段屋根パネル82のパネル基部83は、設置対象となる奥側トラスユニット42やユニット非設置空間Kに合わせた大きさに形成されている。そして、下段屋根パネル82のパネル基部83も、上段屋根パネル81と同様、隣り合うもの同士がいずれも、奥側トラスユニット42の長辺トラス53が有する上弦材55の上に置かれ、かつその上弦材55に固定されている。
幅方向に隣接して設けられた屋根パネル81,82の折板材84同士の間は、図7に示すように、連結折板材86が設けられている。連結折板材86は、隣接する屋根パネル70が有する折板材84の幅方向端部と重なり合うように設けられ、その重なり部分に防水シート等を介在させる等によって防水処理が施されている。
また、図6に示すように、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42との連結部分には、正面トラスユニット41の上面と奥側トラスユニット42との間に高低差が設けられている。この高低差を利用し、下段屋根パネル82の前端部は、上段屋根パネル81の折板材84が後方に突出した部分と上下に重なった状態で設けられている。上段屋根パネル81と下段屋根パネル82との重なり部分には、雨カバー87が設けられている。また、折板材84の凹凸によって屋根内部に通じる穴部分には、スペーサ88が設けられて当該穴部分が塞がれている。これら雨カバー87及びスペーサ88によって、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42との高低差部分における防水処理が施されている。
前述したように、連結ユニット40の上面及びユニット非設置空間Kに設けられたトラス枠61〜66によって、屋根構造体31の上面には、建物10の前から奥側へ向かって下がる水勾配が設けられている。その屋根構造体31の上に上段屋根パネル81及び下段屋根パネル82が置かれているため、上段屋根パネル81及び下段屋根パネル82によって構成される屋根パネル部32も、前から奥側へ向かって下がるように傾斜し、水勾配が形成されている。これにより、建物10の屋根部30に雨が降り注ぐと、その水勾配に沿って建物10の奥側に流れる。
以上、本実施形態における建物10の屋根部30の構成について説明した。続いて、建物10の建築現場において、屋根部30を構築する建物屋根構造の施工方法について説明する。
工場からトラック等で、外壁部21、ラチス柱22や間柱23等の建物本体20を構成する部材や、各トラスユニット41,42及び各屋根パネル81,82を建築現場へトラック等にて運搬する。運搬に用いるトラックは10t車等の大型車両とすることが好ましい。建築現場では、基礎11の上に建物本体20を構築した後、建物本体20の上方に屋根構造体31を構築し、その後、屋根パネル部32を構築して屋根部30とする。
屋根構造体31を構築する上では、はじめに、地上において、正面トラスユニット41と奥側トラスユニット42とを連結して、連結ユニット40を組み立てる(地組み)。これが第1工程にあたる。この場合、正面トラスユニット41の高さ寸法が低い側となる後端部と、奥側トラスユニット42の高さが高い側となる前端部とを突き合わせ、縦並びの一列となるように配置した上で、連結プレート43等を用いて連結する。これにより、複数の連結ユニット40を準備する。
続いて、重機を用いて各連結ユニット40を一つ一つ吊り上げ、建物本体20の上方に順次設置する。これが第2工程にあたる。その際には、建物本体20の左右両端部のうちの一端部に、連結ユニット40を最初に設置する。次に設置する連結ユニット40は、左右両端部のうちの他端部に設置する。これにより、建物本体20は、最初の段階で左右両端部が連結ユニット40によって固定され、建物本体20の安定性が高められる。その安定化された状態で、それ以降の屋根部30の構築作業を進めることができる。その後、左右両端部に設置された連結ユニット40の間に、残りの連結ユニット40を、設置済みの連結ユニット40から所定の間隔を空けて設置する。これにより、複数の連結ユニット40が離し置きされた状態となる。
連結ユニット40の設置が終了した後、第1トラス枠61から第6トラス枠66を重機で吊り上げ、ユニット非設置空間Kの各々の設置箇所に配置し、連結ユニット40と連結する。これが第3工程にあたる。連結ユニット40の設置に続き、これら第1トラス枠61から第6トラス枠66が設置されることにより、屋根構造体31が構築される。その後、各トラスユニット41,42及びユニット非設置空間Kの上方に、上段屋根パネル81及び下段屋根パネル82を順次設置する。このようにして屋根部30を構築することができる。
本実施形態における屋根構造及びその施工方法は、以上に説明したとおりである。そして、本実施形態の屋根構造及びその施工方法によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)屋根構造体31は、隣り合う連結ユニット40が離し置きされて、ユニット非設置空間Kが形成されるとともに、ユニット非設置空間Kにはトラス枠61〜66によってトラス構造が構築されている。トラスユニット41,42の連結部分における強度を十分確保すれば、連結部分を支える柱や内壁部が不要となり、建物本体20に広い屋内空間25を確保できる。また、建物本体20の幅や奥行を広げた場合でも、屋根構造体31の全体を連結ユニット40で構成する場合に比べ、連結ユニット40の数、ひいてはトラスユニット41,42の数の増加を抑制できる。これにより、トラスユニット41,42の輸送コストの増加を抑制できる。したがって、輸送コストの増加を抑制しながら、屋根部30の強度やより広い屋内空間25を確保できる。
(2)建物本体20は平面視において略四角形状をなし、屋根構造体31は、建物本体20の左右両端部の上方に連結ユニット40が設けられた構成を有している。この屋根構造体31によれば、建物本体20の上方に連結ユニット40を設置する場合に、建物本体20の左右両端部にまず連結ユニット40を設けることができる。これにより、当該両端部が連結ユニット40のトラス構造によって強固に固定されるため、その後の屋根構造体31の構築作業を安定した状態で行うことができる。
(3)連結ユニット40の間のユニット非設置空間Kでは、正面トラスユニット41の前端部間と、トラスユニット41,42の連結部分同士の間と、奥側トラスユニット42の後端部間とにそれぞれ、第1トラス枠61〜第3トラス枠63が設けられる。これにより、ユニット非設置空間Kの強度を確保できる。
(4)ユニット非設置空間Kの幅寸法W2が奥行方向に沿って同じとなっているため、そのユニット非設置空間Kと複数の連結ユニット40とで、全体として矩形状をなす屋根構造体31が形成される。この場合、連結ユニット40の個数やユニット非設置空間Kの幅寸法W2を調整すれば、屋根構造体31の幅寸法を自由に変更可能となり、建物本体20の大きさに応じた屋根部30を形成する場合の自由度を高めることができる。
(5)屋根構造体31において、ユニット非設置空間Kが複数設けられ、各ユニット非設置空間Kは、連結ユニット40の並び方向において等間隔に設けられている。この場合、各ユニット非設置空間Kに設けられるトラス枠61〜66の寸法を共通化でき、トラス枠61〜66の汎用性が高まり、トラス枠61〜66の設置作業を容易に行うことができる。また、多様な寸法を有するユニット非設置空間Kに合わせてトラス枠61〜66を製造する必要がなくなり、製造コスト上昇を抑制できるし、トラス枠61〜66の輸送もしやすい。
(6)連結ユニット40には、その長手方向に沿って水勾配が設けられている。各トラス枠61〜66は、ユニット非設置空間Kにおいて、連結ユニット40の水勾配と同様の傾斜が形成されるように、それぞれの高さ寸法が異なっている。これにより、連結ユニット40の設置部分とユニット非設置空間Kとからなる屋根構造体31の全体で、水勾配の傾斜をそろえることができる。これにより、屋根構造体31の上に設置される屋根パネル81,82の設置構成が複雑化することを抑制できる。
(7)正面トラスユニット41の長手寸法は、奥側トラスユニット42の長手寸法よりも小さく形成されている。これにより、トラック等の輸送手段で各トラスユニット41,42を輸送する場合に、より多くの奥側トラスユニット42を1台に積載することが可能となり、輸送コストの増加をさらに抑制することができる。
(8)屋根構造体31を構築する場合に、連結ユニット40を地組みした上で、連結ユニット40を吊り上げて建物本体20の上方に設置する。その後、ユニット非設置空間Kにトラス枠61〜66を設置する。これにより、本実施形態の屋根構造体31を好適に構築することができる。また、トラスユニット41,42を連結して連結ユニット40とする作業が、工場ではなく建築現場で行われるため、トラスユニット41,42の寸法を輸送上の制約の範囲内で設定しつつ、奥行の長い屋根部30を構築することができる。また、地上での連結作業のため、建物本体20の上で連結作業するよりも作業しやすい。
なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、第2トラス枠62と第3トラス枠63との間にトラス枠が設けられていない。ただ、屋根部30の大きさ等により、その空洞部分にもトラス構造を構築して強度を向上させることが必要となる場合もある。このため、図8に示すように、第2トラス枠62と第3トラス枠63との間に、第7トラス枠91を設置するようにしてもよい。この第7トラス枠91は、図示のように複数設けられてもよいし、1つであってもよい。
(b)上記実施の形態では、建物本体20の左右両端部に連結ユニット40が設けられた構成としたが、連結ユニット40をどの位置に配置するかは、建物本体20の幅寸法等に応じて任意である。例えば、図9に示すように、建物本体20の幅寸法が上記実施形態の構成よりも短い場合、左端部に連結ユニット40が配置されない構成を採用してもよい。この場合、連結ユニット40が配置されなかった端部では、トラス枠61〜66の他に、長辺トラス枠92,93を設置してトラス構造を構築する必要がある。
(c)上記実施の形態では、ユニット非設置空間Kの幅寸法W2を、連結ユニット40の幅寸法W1と同じに設置されているが、異なる幅寸法を設定してもよい。例えば、図10に示すように、連結ユニット40の幅寸法W1よりも大きい幅寸法W3を設定してもよい。この場合、強度確保に必要となるトラス枠94〜97を所定の箇所に設置することにより、トラス構造を構築することとなる。また、この例のように、ユニット非設置空間Kは等間隔の幅寸法W2である必要はなく、ユニット非設置空間Kごとにその幅寸法を異ならせてもよい。
(d)上記実施の形態では、隣接する連結ユニット40同士の間にユニット非設置空間Kが設けられた屋根構造としたが、図11に示すように、連結ユニット40同士がユニット非設置空間Kを介さないで隣接した部分が存在していてもよい。つまり、連結ユニット40同士の間に、ユニット非設置空間Kを必ず設けなければならないわけではない。
(e)上記実施の形態では、屋根部30に庇部30aが設けられた構成となっているが、この庇部30aは省略してもよい。また、庇部30aが設けられる場合でも、本実施形態のように正面右端部に設けられた凹み部分のない構成や、その凹み部分を正面左端部に設けた構成を採用してもよい。凹み部分のない構成を採用した場合、屋根構造体31に用いられる正面トラスユニット41をすべて共通化することができる。
(f)上記実施の形態では、4つの連結ユニット40と3つのユニット非設置空間Kとを含んで屋根構造体31が構築されているが、連結ユニット40及びユニット非設置空間Kの数は任意である。例えば、5つの連結ユニット40と4つのユニット非設置空間Kとを含んで屋根構造体31を構築してもよい。
(g)上記実施の形態では、屋根構造体31を構築する場合の施工方法として、初めに、建物本体20の左右両端部に連結ユニット40を設置するようにしたが、最初に設置する連結ユニット40やそれに続いて設置する連結ユニット40を、どの位置に設置するかは任意である。そのため、最初に設置する連結ユニット40を、左右両端部の間の中間部分に設置するようにしてもよい。
(h)上記実施の形態では、トラスユニット41,42を連結して連結ユニット40を構成する作業がすべて行われた後に、各連結ユニット40を建物本体20の上方に順次設置する作業を行う手順とした。これに代えて、トラスユニット41,42の連結作業と、連結ユニット40の設置作業とを並行して行うようにしてもよい。
(i)上記実施の形態では、コンビニエンスストアの店舗として使用される建物10に具体化したものとして説明したが、建物10は、スーパー、商店、事務所等の他の用途に利用してもよい。