PONは、光ファイバ網の途中に分岐装置(光カプラ)が挿入された1本の光ファイバが、複数の加入者で共有可能な光ネットワーク(ネットワークはNWとも称す)である。このPONを適用したNWは基本的にツリー型であり、リング型には適用されていない。PONでは、任意のノードであるONU(Optical Subscriber Unit)間で直接通信を行うことが不可能となっており、基本的にOSUとONU(Optical Network Unit)間の通信のみをサポートしている。このため、ONU間の通信には必ずOSUを経由することが必要となる。
ここで、ブロードバンドアクセス網におけるPONでは、局舎に配置されるOLT(Optical Line Terminal)内のOSUと、ユーザ宅に配置されるONUとが光ファイバ及び光カプラを介してリング接続される。通常、1台のOSUに対して複数台のONUが接続され、OSU−ONU間において、TDM(Time Division multiplexing)又はTDMA(Time Division Multiple Access)を適用して光の領域で信号(データ)の多重分離を行いつつデータを伝送する。複数のONUから1つのOSUへ向かうデータ伝送は、TDMAによるためバースト信号により行われる。このような伝送により、光ファイバ心線やOLT等のリソースが複数ユーザで共用可能となっている。
なお、OLTは局舎側の光回線終端装置(光伝送装置)であり、OSUは、PDS(Passive Double Star)方式の光回線終端装置(上位の光伝送装置)である。ONUは、ユーザ宅側の光回線終端装置(下位の光伝送装置)としての加入者装置である。
ところで、PONを適用したリング型NW等の光トランスポートNW技術は着実に進歩しており、光パス帯域は10Gbpsから100Gbpsへと発展してきている。しかし、実際のサービスにおいて、そのデータレートは10Gbps以下であり、10Gbps以上のサービスは、近い将来でも総インタフェースの数%程度のトラヒック量であると予測されている。このため、NWコストの観点から、1つの光パスに多くのONUによるユーザトラヒックを多重することが重要となる。
一方で、後述のメトロNWに接続され、一般ユーザ向けのIP電話サービスを始めとした各種サービス処理を行うIP(Internet Protocol)エッジルータは、装置当たりのコスト低減化、ユーザ収容効率の向上が課題となり、IPエッジルータへ仮想化技術を適用したクラウドエッジが検討されている。なお、メトロNWは、通信キャリアのデータセンタと企業やビル間等を結ぶ都市部における通信網である。仮想化技術は、物理的に異なる装置間で、リソース使用量に応じた仮想マシンのマイグレーションによりリソース共有を可能とする技術である。例えば、物理的に異なるIPエッジルータ間でのリソース共有が可能となる。これら仮想マシンのマイグレーションにより、将来のメトロNWに流入するトラヒックは、動的に、宛先も含めてその量も変動すると予想される。このため、将来のメトロNWでは、クラウドエッジのサポートと、設備利用効率の向上が重要となっている。
このような仮想化されたクラウドエッジを収容するOSU間での1対1の通信と、ONUとOSU間の通信とを、PONを適用したリング型NW上で行う場合について説明する。
図9は、従来のPONを適用したリング型NWとしての光集線NWシステム(システム)10である。このシステム10は、物理的に独立した上位装置としての複数の光伝送装置11,12と、物理的に独立した下位装置としての複数の光伝送装置13,14とが、光多重分離装置16,17,18,19を介して、信号伝送路としての1本の光ファイバ20によりリング状に接続されて構成される。なお、光伝送装置11,12を上位装置11,12、光伝送装置13,14を下位装置13,14とも称す。
上位装置11,12には、光多重分離装置16,17に接続されたTX(送信機)及びBRX(バースト受信機)を有するOSU21,22が配備されている。下位装置13,14には、光多重分離装置18,19に接続されたBTX(バースト送信機)及びRX(受信機)を有するONU23,24が配備されている。また、OSU21,22にはコアNWを介してコンピュータ等の外部装置25,26が接続され、ONU23,24にはアクセスNWを介してコンピュータ等の外部装置27,28が接続されている。つまり、OSU21,22は、外部装置25,26との間で送受信される信号を終端し、制御主体となる光回線終端装置である。ONU22,23は、外部装置27,28との間で送受信される信号を終端し、制御主体に対して客体となる光回線終端装置である。
また、各OSU21,22に接続されたクラウドエッジ30が1つの装置に見えるように仮想化されている。クラウドエッジ30は、装置のリソース利用状況に応じてユーザ収容位置を動的に切り替える。装置のリソース利用状況はクラウドエッジ間で送受信される。このため、1対1のOSU21,22間で通信を行う必要がある。PONのOSUは連続信号で送信されることが想定されているため、この通信は、「0」、「1」を繰り返す等の連続信号により行われる。例えば、破線矢印Y1で示すように、OSU21のTXから光ファイバ20を介してOSU22へ波長λ1の連続信号が送信される。この送信された連続信号Y1は、OSU22のBRXで受信される。図10(a)に「0」、「1」を繰り返す連続信号Y1の波形を示す。
一方、図9に示すONU23,24は、OSU21,22と例えば10Gbpsのイーサネット(登録商標)で通信を行う。ONU23,24からの通信は、OSU21又は22に時分割で行う必要があるのでバースト的に行われる。このため、ONU23,24からの送信は、図10(b)に波形の一例を示すバースト信号Y2で行われる。このバースト信号Y2は、図9に一点鎖線矢印Y2で示すように、ONU24のBTXから光ファイバ20を介してOSU22へ波長λ1と異なる波長λ2で送信される。この送信されたバースト信号Y2は、OSU22のBRXで受信される。
しかし、このシステム10では、OSU21のTXから送信される図10(a)に示す連続信号Y1と、ONU24のBTXから送信される図10(b)に示すバースト信号Y2とが、OSU22のBRXで並列に受信される場合、次のような不具合が生じる。図10(c)に示すように、BRXで受信される連続信号Y1とバースト信号Y2との双方が重複し、双方が略同レベルであるため双方を適正に受信できなくなる。
そこで、連続信号Y1とバースト信号Y2を、OSU22で並列に適正に受信するための技術として、非特許文献1,2に記載の技術がある。
非特許文献1の技術を、図11に示すシステム10Aにより説明する。但し、図11において図9と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。非特許文献1の技術では、図11に示すシステム10Aにおいて、各OSU21A,22AにRX及びBRXが設けられる。そして、一方のOSU21AのTXから送信された連続信号Y1を他方のOSU22AのRXで受信し、BRXで、ONU24のBTXから送信されたバースト信号Y2を受信するようになっている。この技術によれば、連続信号Y1とバースト信号Y2とを別々のBRXで受信するので、各信号Y1,Y2を受信することができる。
非特許文献2の技術を、図12に示すシステム10Bにより説明する。但し、図12において図9と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。非特許文献2の技術では、図12に示すシステム10Bにおいて、1つの下位装置である光伝送装置13A内に、各OSU21,22と1対1で通信を行う各ONU23,24が配設され、各ONU23,24が、中継動作を行うL2(レイヤ2)スイッチ29を介して接続された構成となっている。この構成では、ONUとOSU間通信では、例えばONU23のBTXから送信されるバースト信号がONU23に対応付けられたOSU21のBRXで受信され、ONU24のBTXから送信されるバースト信号がONU24に対応付けられたOSU22のBRXで受信される。
一方、OSU間通信では、例えばOSU21のTXから送信された連続信号Y1が、当該OSU21に対応付けられたONU23のRXで受信され、この受信された連続信号Y1がL2スイッチ29を介して他方のONU24へ伝送される。他方のONU24では、連続信号Y1がBTXで一旦処理されてバースト信号Y1aとしてOSU22へ送信される。このバースト信号Y1aはOSU22のBRXで受信される。このように、OSU21,22間の通信を、L2スイッチ29で接続された2つのONU23,24で中継して行うことができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る光集線ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示す光集線ネットワークシステム(システム)40は、前述のPON(Passive Optical Network)を適用したリング型ネットワークを構成するものである。このシステム40は、物理的に独立した上位装置としての複数の光伝送装置41,42と、物理的に独立した下位装置としての複数の光伝送装置43,44とが、光多重分離装置46,47,48,49を介して、信号伝送路としての1本の光ファイバ50によりリング状に接続されて構成されている。なお、光伝送装置41,42を上位装置41,42、光伝送装置43,44を下位装置43,44とも称す。また、上位装置41,42は請求項記載の上位の光伝送装置を構成し、下位装置43,44は請求項記載の下位の光伝送装置を構成する。
上位装置41,42には、光多重分離装置46,47に接続されたTX(送信機)及びBRX(バースト受信機)を有するOSU51,52が配備されている。各OSU51,52のTXは、後述する送信制御部60を備える。また、各BRXと各光多重分離装置46,47との間には、この間に接続された後述の受信処理部62を備える。送信制御部60及び受信処理部62は、本実施形態の特徴要素である。
図1に示す下位装置43,44には、光多重分離装置48,49に接続されたBTX(バースト送信機)及びRX(受信機)を有するONU53,54が配備されている。また、OSU51,52にはコアNWを介してコンピュータ等の外部装置55,56が接続され、ONU53,54には、アクセスNWを介してコンピュータ等の外部装置57,58が接続されている。つまり、OSU51,52は、外部装置55,56との間で送受信される信号を終端し、制御主体となる光回線終端装置である。ONU53,54は、外部装置57,58との間で送受信される信号を終端し、制御主体に対して客体となる光回線終端装置である。
また、各OSU51,52は、仮想化されたクラウドエッジ30に繋がっている。ここで、クラウドエッジ30は、装置のリソース利用状況に応じてユーザ収容位置を動的に切り替える。装置のリソース利用状況はクラウドエッジ間で送受信される。このため、1対1のOSU51,52間で通信を行う必要がある。PONのOSUは連続信号で送信されることが想定されているため、この通信は、「0」、「1」を繰り返す等の1つの連続信号により行われる。例えば、OSU51のTXから光ファイバ50を介してOSU52へ破線矢印Y11で示す波長λ1の連続信号Y11が送信され、OSU52のBRXで受信される。なお、連続信号Y11は、図10(a)に示した連続信号Y1と同様に「0」、「1」の繰り返し波形であるとする。
一方、図1に示すONU53,54は、OSU51,52と例えば10Gbpsのイーサネットで通信を行う。ONU53,54からの通信は、OSU51又は52に時分割で行う必要があるのでバースト的に行われる。例えば、一点鎖線の矢印Y12で示すように、ONU54のBTXから光ファイバ50を介してOSU52へ波長λ1と異なる波長λ2で送信される。この送信されたバースト信号Y12は、OSU52のBRXで受信される。なお、バースト信号Y12は、図10(b)に示したバースト信号Y2と同波形であるとする。
<OSUの構成>
次に、OSU51,52の構成を図2を参照して説明する。但し、各OSU51,52は同構成であり、図2には一方の構成のみを示している。OSU51,52は、バッファ部81と、波長分波部82と、可変ATT(アッテネータ)部83と、光バースト受信部84(BRX)と、信号分離部85と、制御情報受信部86と、カウンタ管理部87と、遅延測定部88と、セレクタ部89と、クロック同期部90と、内部クロック部91と、帯域割当部92と、TS(タイムスロット)制御部93と、光送信部94(TX)とを備えて構成されている。
但し、波長分波部82及び可変ATT部83は、図1に示したOSU51,52のBRXの入力側に接続される受信処理部62を構成する要素であり、図2ではOSU51,52の内部に配備されている様態を示す。つまり、受信処理部62は、OSU51,52の外部、内部の何れに配備してもよい。
バッファ部81は、外部装置55,56から受信したデータに対して、ONU(53,54)宛のデータ(ONU宛データ)o1と、他OSU(51又は52)宛のデータ(他OSU宛データ)o2とを識別して別々のキュー部(図4の81a,81b参照)に格納する。この格納された他OSU宛データo2を、TS制御部93からの指示である他OSU宛データの送信タイミングr1に従って、送信機としてのTX1から連続信号i1で光送信部94へ送信する。同時に、バッファ部81からキュー長情報u1を光送信部94へ送信する。
一方、バッファ部81は、TS制御部93からの指示が無い場合、アイドル信号(無意味の信号)を挿入してONU宛データo1を、送信機としてのTX1から連続信号i1で送信し続ける。この連続信号i1は、図1に示すOSU51であれば、破線矢印Y11で示す連続信号に該当する。また、図2に示すバッファ部81は、信号分離部85で分離されたデータi2を受信機としてのRX1で受信し、この受信データi2をクライアント信号o3として外部装置56へ送信する。なお、アイドル信号を挿入することで、ONU側に配備された連続信号用の受信IF(インタフェース)としてのRXでも、OSUからの信号を受信可能となる。
波長分波部82は、他OSU(例えばOSU51)が光ファイバ50へ送信した連続信号Y11の波長λ1と、ONU(例えば図1のONU54)から光ファイバ50へ送信されたバースト信号Y12の波長λ2とを分ける。言い換えれば、連続信号Y11とバースト信号Y12とに分離する。この分離された連続信号Y11は可変ATT部83に入力され、バースト信号Y12は光バースト受信部84に入力される。
可変ATT部83は、制御情報受信部86からの信号パワーの減衰量を指示する減衰量指定信号m1に従って連続信号Y11を減衰させ、この減衰した連続信号Y11aを光バースト受信部84へ出力する。
光バースト受信部84は、上記の減衰された他OSU51からの連続信号Y11aと、ONU54からのバースト信号Y12とを受信して信号分離部85へ出力する。
信号分離部85は、光バースト受信部84からの連続信号Y11aをデータi2と制御信号j1とに分離し、データi2をバッファ部81のRX1へ出力し、制御信号j1を制御情報受信部86へ出力する。この際、制御信号j1は、他OSU51が送信した連続信号Y11の受信時の信号パワー(光の強度)を示す。
制御情報受信部86は、信号分離部85からの制御信号j1に応じて、可変ATT部83へパワー減衰量を示す減衰量指定信号m1を可変ATT部83へ出力する。また、制御情報受信部86は、他OSU52からの制御信号j1をもとにクロック信号q1を抽出してクロック同期部90へ出力する。クロック同期部90は、クロック信号q1に同期してクロック信号ck1をセレクタ部89へ出力する。また、制御情報受信部86は、制御信号j1に応じて、割当TS情報f1をTS制御部93へ出力する。また、制御情報受信部86は、他OSU51からの制御信号j1内に記載の送信時刻を示すタイムスタンプ値e1を遅延測定部88へ出力する。
更に、制御情報受信部86は、他OSU51からの制御信号j1に従い、クロック同期部90からのクロック信号ck1と、自OSU52の内部クロック部91からのクロック信号ck2との何れかを選択する選択制御信号p1を、セレクタ部89へ出力する。セレクタ部89は、選択制御信号p1に応じてクロック信号ck1又はck2を選択してカウンタ管理部87へ出力する。また、制御情報受信部86は、基準時刻cをカウンタ管理部87へ出力する。
カウンタ管理部87は、セレクタ部89で選択されたクロック信号ck1又はck2に従い、基準時刻cに応じた基準値をインクリメントしてカウンタ値g1を生成し、このカウンタ値g1を遅延測定部88及びTS制御部93へ出力する。
遅延測定部88は、他OSU51からの制御信号j1内に記載の送信時刻を示すタイムスタンプ値e1と、カウンタ管理部87からのカウンタ値g1とを用い、各OSU51,52間の距離(又は遅延時間)n1を測定してTS制御部93へ出力する。ここでは、通信相手の他OSU51に信号を発信してから応答が帰ってくるまでに掛かるRTT(Round-TripTime)を測定して、各OSU51,52間の距離(又は遅延時間)n1を測定する。また、遅延測定部88は、各ONU53,54と各OSU51,52間の距離(又は遅延時間)n2を測定して、TS制御部93へ出力する。
帯域割当部92は、制御情報受信部86で受信された各OSU51,52と各ONU53,54との送信トラヒック量k1を検出し、各OSU51,52と各ONU53,54とに割り当てる帯域量s1を計算し、これをTS制御部93へ出力する。
TS制御部93は、カウンタ管理部87からのカウンタ値g1と、各OSU51,52間の距離(又は遅延時間)n1とをもとに、他OSU51がOSU宛データo2を自OSU52へ送信するための送信タイミングt1を算出して、光送信部94に通知する。また、カウンタ値g1と、各ONU53,54と各OSU51,52間の距離(又は遅延時間)n2とをもとに、他OSU51がONU宛データo1をONU53,54へ送信するための送信タイミングt2を算出して、光送信部94に通知する。各送信タイミングt1,t2は、例えばタイムスタンプとして通知される。また、各OSU51,52間の通信と、各OSU51,52と各ONU53,54間の通信とに割り当てる帯域量s1を光送信部94に通知する。
上述した他OSU51が自OSU52へデータo2を連続信号Y11で送信する送信タイミングt1は、このタイミングt1で送信されたデータo2が自OSU52のBRXで受信される際に、同BRXで受信されるONU54から送信されたバースト信号Y12と衝突しない(又は、重ならない)タイミングとされる。この送信タイミングt1は、後述のように自OSU52から他OSU51へ送信されて他OSU51のTXに設定される。この設定後は、OSU51のデータo2が連続信号Y11に重畳されて他OSU52へ送信される。つまり、図10(c)に示すように、連続信号Y11(Y1参照)の、ONU54からのバースト信号Y12(Y2参照)の受信タイミングに対応するタイムスロットTS1以外のタイムスロットTS2に、OSU51のデータo2が割り当てられて他OSU52へ送信される。
図2に示す光送信部94は、カウンタ値g1と、帯域量s1と、各OSU51,52間通信時の送信タイミングt1と、他OSU51と各ONU53,54間通信時の送信タイミングt2とを、光信号である連続信号i1に付与して、光多重分離装置47を介して他OSU51へ送信する。また、この送信と同様に他OSU51から送信されてきて光送信部94に設定されたカウンタ値g1と、帯域量s1と、送信タイミングt1,t2とに応じて、ONU宛データo1及び他OSU宛データo2を、ONU53,54及び他OSU51へ送信する。なお、連続信号i1は、図1に示すOSU51からの連続信号Y11に該当する。遅延測定部88及びTS制御部93は、請求項記載の送信タイミング導出部を構成する。
<ONUの構成>
次に、ONU53,54の構成を図3を参照して説明する。各ONU53,54は同構成であり、図3には一方の構成のみを示している。ONU53,54は、バッファ部71と、光受信部72(RX)と、信号分離部73と、制御情報受信部74と、クロック同期部75と、カウンタ管理部76と、TS制御部77と、光バースト送信部78(BTX)とを備えて構成されている。
バッファ部71は、外部装置57又は58から受信されたデータo5を蓄積し、この蓄積されたデータo5を、データi5として送信機であるTX2から光バースト送信部78へ出力する。また、信号分離部73からデータi6を受信機であるRX2で受信し、これをデータo6として外部装置57,58へ送信する。更に、バッファ部71から各宛先であるOSU51,52毎のキュー長情報k2を光バースト送信部78へ出力する。
光受信部72は、OSU(例えばOSU51)からの連続信号Y11を受信する。
信号分離部73は、その受信された連続信号Y11を、データi6と制御信号j3とに分離し、制御信号j3を制御情報受信部74へ、データi6をバッファ部71へ出力する。
制御情報受信部74は、上記の制御信号j3を受信し、OSU51からの基準タイミングc2と、利用経路に応じたTDM制御タイミングd2とをカウンタ管理部76へ出力し、また、OSU51からの割当TS情報f2をTS制御部77へ出力する。
クロック同期部75は、OSU51からの連続信号Y11に対応する下り信号b2に、自ONU53,54のクロック信号を同期させる。
カウンタ管理部76は、OSU51からの基準タイミングである基準値c2を、クロック同期部75からのクロック信号ck3に従い、インクリメントして得られるカウンタ値g2を、TS制御部77及び光バースト送信部78へ出力する。
TS制御部77は、OSU51からの割当TS情報f2に従い、カウンタ値g2と割当TS情報f2に記載のタイミング値とを比較して、光バースト送信部78のTS送信動作の制御を行う制御信号h2を求める。この制御信号h2により、光バースト送信部78に対してTS送信動作の制御を行う。
光バースト送信部78は、OSU(例えばOSU52)に送信するデータと、制御信号(現在時刻含む)とを合わせて、TS制御部77の制御信号h2による制御指示に従った波長で、光バースト信号Y12を、光多重分離装置48,49を介してOSU52へ送信する。
<送信制御部の構成>
次に、OSU51,52に備えられた本特徴の送信制御部60について、図4を参照して説明する。但し、OSU51の送信制御部60を代表して説明する。OSU51のTX(図2の光送信部94が該当)は、送信制御部60を備え、送信制御部60の出力側にP/S(パラレル/シリアル)変換部94aと、TXドライバ94bとを備える。送信制御部60は、セレクタ60aと、バースト付加部60bと、マルチプレクサ60cと、アイドル付加部60dとを備えて構成されている。セレクタ60aの入力側には、バッファ部81(図2参照)が接続されている。
バッファ部81は、ONU宛データ(図2の符号o1)を格納するONU用キュー部81aと、他OSU宛データ(図2の符号o2)を格納する他OSU用キュー部81bとを備えている。ここで、他OSUはOSU52である。その格納されたONU宛データ及び他OSU宛データは、何れも連続信号Y11に重畳されて、TX(光送信部94)から光多重分離装置46を介して光ファイバ50へ送信されるが、この送信前に、送信制御部60で次の処理が行われる。即ち、他OSU宛データは、指定されたタイムスロットタイミングに従い送信し、それ以外の時間でONU宛のデータを送信し、OSU及びONU宛の何れのデータも無い場合はアイドル信号を送信する。
セレクタ60aは、バッファ部81から、ONU宛データの送信タイミングを示す選択制御信号st1の例えば「L」レベルが供給されている際に、ONU用キュー部81aから出力されるONU宛データを選択してマルチプレクサ60cへ出力する。一方、セレクタ60aは、バッファ部81から、他OSU宛データの送信タイミングを示す選択制御信号st1の例えば「H」レベルが供給されている際に、他OSU用キュー部81bから出力される他OSU宛データを選択してバースト付加部60bへ出力する。
バースト付加部60bは、連続信号Y11に重畳される他OSU宛データの前方側タイムスロットにプリアンブルとしてバーストヘッダを付加する。このバーストヘッダは、他OSU宛データを受信する他OSU52のBRXが、連続信号Y11に重畳された他OSU宛データを受信可能とする、例えばデータ到来の判断や、後述の閾値処理、信号のリセット処理等を行うためのヘッダである。これらの信号処理を可能とするために、バースト付加部60bで連続信号Y11にバーストヘッダを付加して、BRXに連続信号を受信処理可能とするバースト信号フォーマットを行うようにした。
マルチプレクサ60cは、ONU宛データが重畳された連続信号Y11と、他OSU宛データが重畳されると共にバーストヘッダが付加された連続信号Y11とを多重化してアイドル付加部60dへ出力する。アイドル付加部60dは、多重化後の連続信号Y11に無信号区間が存在する場合、その無信号区間に連続信号と同波形のアイドル信号を挿入して、無信号区間を埋める処理を行う。言い換えれば、連続信号Y11に無信号区間を無くして連続信号化する処理を行う。
アイドル付加部60dで処理後の連続信号Y11は、P/S変換部94aでパラレル/シリアル変換が行われた後に、TXドライバ94bで予め定められた所定パワーの連続信号Y11とされ、光多重分離装置46を介して光ファイバ50へ送信される。
<受信処理部の構成>
次に、図5を参照して、本特徴の受信処理部62について詳細に説明する。受信処理部62は、OSU52(又は51)のBRXと光多重分離装置47(又は46)との間に接続されている。この受信処理部62は、波長フィルタ62a(図2の波長分波部82に該当)と、可変ATT部62b(図2の可変ATT部83に該当)と、バーストアンプ62cと、光カプラ62dとを備えて構成されている。
波長フィルタ62aには、OSU51(図1)から光ファイバ50を経由して光多重分離装置47で分離されてきた波長λ1の連続信号Y11と、ONU54(図1)から光ファイバ50を経由して光多重分離装置47で分離されてきた波長λ2のバースト信号Y12とが入力される。波長フィルタ62aは、その入力された連続信号Y11とバースト信号Y12とを分離し、連続信号Y11を可変ATT部62bへ出力し、バースト信号Y12をバーストアンプ62cへ出力する。
可変ATT部62bは、前述した信号パワーの減衰量を指示する減衰量指定信号m1(図2参照)に従って連続信号Y11のパワーを減衰させる。バーストアンプ62cは、バースト信号Y12のパワーを増幅する。この減衰と増幅は、連続信号Y11のパワーが、バースト信号Y12のパワーの半分以下となるように行われる。この処理は、連続信号Y11とバースト信号Y12との双方が重複{図10(c)参照}しても、別々のデータ受信タイミングであれば、それぞれのデータが受信可能となるように、双方を、BRXで個別に検出可能なパワー差とする処理である。
上記の減衰と増幅を行う場合、例えば、図6(a)に示すように、可変ATT部62bで連続信号Y11のパワーを、BRXの受信パワーの最小値i[dBm]となるように減衰させる。ここで、連続信号Y11のパワーはi[dBm]に減衰される。この時、バーストアンプ62cでは、バースト信号Y12のパワーが、(i+3)[dBm]以上になるように増幅させる。バースト信号がi+3dBm以上のパワーであれば、増幅する必要はない。このように増幅されたバースト信号Y12と、このバースト信号Y12のパワーの半分に減衰された連続信号Y11とが、光カプラ62dで多重化されてBRXへ出力される。BRXは、連続信号Y11とバースト信号Y12とのパワー差が半分以上あるので、別々のデータ受信タイミングであれば、各信号Y11,Y12を個別に検出して受信することができる。
なお、光信号である連続信号Y11は、伝送経路が長い程に減衰するので、減衰量指定信号m1で指示する減衰量は、連続信号Y11が経由する経路の距離に応じてOSU51又はOSU52で決定される。
上記のように受信処理部62で増幅されたバースト信号Y12と、減衰された連続信号Y11とは光カプラ62dで多重化後にBRXへ入力されるが、この際、BRXの入力側に配備された信号レベル判定部64に最初に入力される。
信号レベル判定部64は、光カプラ62dからBRXに入力される信号(連続信号Y11又はバースト信号Y12)のパワーの平均値を求め、この平均値を図6(a)に示すように閾値th1とする。この閾値th1以上の信号レベルを「1」、閾値th1未満の信号レベルを「0」と判定することにより、図6(b)に示すように、バースト信号Y12及び連続信号Y11の各々の「0」,「1」波形をBRXへ出力する。
<実施形態の光伝送動作>
次に、光集線ネットワークシステム40による光伝送動作を、図7に示すシーケンス図を参照して説明する。
図7のステップS1において、OSU51のTXから他OSU宛データが重畳された連続信号Y11が、光ファイバ50を介して他OSU52へ送信される。この際、OSU51のTXにおいて、他OSU宛データと共にONU宛データが連続信号Y11に時分割多重され、この多重化されたONU宛データが連続信号Y11で光ファイバ50を下り方向に経由して、OSU51に対応付けられたONU53へ送信される。
また、ステップS2において、上記ステップS1のOSU51,52間通信と逆方向に通信が行われる。即ち、OSU52のTXから他OSU宛データが重畳された連続信号Y11が、光ファイバ50を介して他OSU51へ送信される。この際、OSU52のTXにおいて、他OSU宛データと共にONU宛データが連続信号Y11に時分割多重され、この多重化されたONU宛データが連続信号Y11で光ファイバ50を下り方向に経由して、OSU52に対応付けられたONU54へ送信される。
更に、ステップS3において、ONU53のBTXからOSU51へ、OSU宛データがバースト信号Y12により送信される。また、ステップS4において、ONU54のBTXからOSU52へ、OSU宛データがバースト信号Y12により送信される。なお、OSU宛データは、複数のバースト信号Y12で時分割により送信されるため、図7のステップS3,S4では、バースト信号Y12を複数本の一点鎖線矢印Y12で表してある。
上記のステップS1で他OSU52へ送信される連続信号Y11には、OSU51の他OSU宛データが次のように重畳される。まず、OSU51からの連続信号Y11中の他OSU宛データが他OSU52のBRXで受信されるとする。この際に、連続信号Y11における、上記ステップS4でのONU54から送信されたバースト信号Y12の受信タイミングに対応するタイムスロットTS1{図10(c)参照}以外のタイムスロットTS2{図10(c)参照}に、他OSU宛データが割り当てられるようにOSU51で処理する。
この際、OSU51は、送信制御部60(図4)により、連続信号Y11の他OSU宛データが重畳される前段にバーストヘッダを付加して、他OSU52のBRXに連続信号Y11を受信処理可能とするバースト信号フォーマット処理を行う。これによって、他OSU52のBRXで、連続信号Y11中の他OSU宛データと、バースト信号Y12中のデータとが受信される。
また、ステップS1において、OSU52のBRXが連続信号Y11及びバースト信号Y12を受信する前に、BRX入力側に接続された受信処理部62(図5)で、連続信号Y11のパワーを、バースト信号Y12のパワーの半分以下とする処理が行われる。これによって、他OSU52のBRXは、バースト信号Y12のパワーが連続信号Y11の半分以上あるので、各信号Y11,Y12を個別に検出して受信される。
更に、上述のパワー差のある連続信号Y11及びバースト信号Y12は、BRX内の入力側に配備された信号レベル判定部64(図5)に最初に入力される。この信号レベル判定部64では、入力される連続信号Y11又はバースト信号Y12のパワーの平均値が求められ、この平均値が閾値th1{図6(a)}とされ、閾値th1以上の信号レベルを「1」、閾値th1未満の信号レベルを「0」と判定する。これにより、連続信号Y11及びバースト信号Y12の「0」,「1」が適正に判定されて、各信号Y11,Y12に重畳されたデータが得られる。
<実施形態の効果>
以上説明したように、実施形態の光集線ネットワークシステム40は、図1に示すように、外部装置55,56との間で送受信される信号を終端し、制御主体となる光回線終端装置としての複数のOSU51,52と、制御主体に対して客体となる光回線終端装置としての複数のONU53,54とが光ファイバ50で環状に接続された構成において、OSU51,52間通信と、ONU53,54とOSU51,52間通信とを並行して行うようになっている。以下、本発明の特徴について説明する。
(1)OSUの外部又は内部に、受信処理部62を備えた。受信処理部62は、OSU間通信を1対1のOSU間で行う際に、光ファイバ50を経由して一方のOSU(例えばOSU51)から他方のOSU(例えばOSU52)へ送信されてきた連続信号Y11と、ONU(例えばONU54)から送信され、連続信号Y11と異なる波長のバースト信号Y12との双方を受信して分離し、この分離後の連続信号Y11のパワーが、同分離後のバースト信号Y12のパワーの半分以下となるように、連続信号Y11及びバースト信号Y12のパワーを可変処理する。
この構成によれば、受信処理部62で連続信号Y11のパワーがバースト信号Y12のパワーの半分以下とされるので、連続信号Y11を受信するOSUは、連続信号Y11とバースト信号Y12とを並列に受信する際に、個別に識別して検出することができる。このため、OSU間通信を光ファイバ50を介して直接行うことができる。これにより、従来のように、OSU間通信を、L2スイッチで接続された複数のONUで中継するといった処理が不要となり、従来のような、信号の伝送遅延及び伝送時の帯域消費の増加を無くすことができる。つまり、本実施形態によれば、1対1のOSU間の通信と、ONUとOSU間の通信との双方を、信号の伝送遅延及び帯域消費の増加が生じないように並行して行うことができる。
(2)OSU51,52は、通信対象のOSU間の距離又は遅延時間を測定し、当該測定された距離又は遅延時間を基に、連続信号Y11に重畳された他OSU(例えばOSU51)からのデータを、ONU54からのバースト信号Y12に重複しないように受信可能とする、他OSU51における送信タイミングを求める遅延測定部88及びTS制御部93による送信タイミング導出部を備える。そして、送信タイミング導出部で求められた送信タイミングが、他OSUへ送信されて当該他OSUに設定されるようにした。
これによって、OSU間通信時に、送信側のOSU51は、自OSU51に設定された送信タイミングで、受信側OSU宛データを連続信号Y11に重畳して受信側のOSU52へ送信できる。このため、受信側のOSU52で、送信側のOSU51からの連続信号Y11と、ONU54からのバースト信号Y12とを並列に受信した際に、連続信号Y11中のデータと、バースト信号Y12中のデータとが重なることが無いので、双方のデータを適正に受信することができる。
(3)OSU51,52は、設定された送信タイミングに応じて、ONU54からのバースト信号Y12の受信タイミングに対応する連続信号Y11のタイムスロット{図10(c)のTS1}以外の、タイムスロット{図10(c)のTS2}に、受信側のOSU宛データを割り当てるようにした。
これによって、送信側のOSU51は、受信側のOSU52で受信されるバースト信号Y12と重複しない連続信号Y11のタイムスロット位置(TS1)に、受信側のOSU宛データを割り当てることができる。このため、受信側のOSU52で、連続信号Y11中のデータと、バースト信号Y12中のデータとを個別に適正受信することができる。
(4)OSU51,52は、他OSU(例えばOSU52)へ送信する連続信号Y11に、当該OSU52に配備されるバースト受信機(BRX)で検出可能なバーストヘッダを付加する送信制御部60を備える構成とした。
この構成によれば、OSU51(又はOSU52)に通常1つ配備される既存のバースト受信機(BRX)でバーストヘッダを検知することにより連続信号Y11をバースト的に受信可能となる。このため、既存の1つのBRXでバースト信号Y12と連続信号Y11との双方を受信可能となる。この構成では、従来のように、OSUに連続信号Y11とバースト信号Y12とを個別に受信する1つの連続用受信インタフェースRXと1つの高価なBRXを配備する必要がなくなる。従って、バースト信号Y12と連続信号Y11とを受信する通信を、OSU51,52の製作コストが高くならないように実現することができる。
(5)OSU51,52は、受信処理部62からBRXへの入力信号のパワーの平均値を求めて閾値th1とし、当該入力信号のレベルが閾値th1以上の場合に「1」、閾値th1未満の場合に「0」と判定する信号レベル判定部64を備える構成とした。
この構成によれば、受信処理部62からBRXへ連続信号Y11又はバースト信号Y12が入力される都度、平均値が求められて閾値th1が得られ、この閾値th1で当該閾値th1を得た信号レベルの「0」、「1」を判定できる。このため、受信処理部62で信号パワーが可変処理されることにより、連続信号Y11及びバースト信号Y12の各信号のパワーが異なっていても、各信号のレベル「0」、「1」を正確に判定することができる。従って、各信号に重畳されたデータを適正に得ることができる。
この他、図5に示した受信処理部62がバーストアンプ62cを備えない構成としてもよい。この場合、波長フィルタ62aに入力された時点のバースト信号Y12のパワーが、前述したように(i+3)[dBm]以上となるように、ONU54のBTXでバースト信号Y12を増幅してOSU52へ送信する。この際、波長フィルタ62aで分離される連続信号Y11を、可変ATT部62bで(i+3)[dBm]以上のパワーのバースト信号Y12の、半分以下のパワーとなるように減衰する。この減衰により、連続信号Y11のパワーが、バースト信号Y12のパワーの半分以下となる。
或いは、図5に示した受信処理部62が可変ATT部62bを備えない構成としてもよい。この場合、図8に示すように、OSU51(又はOSU52)のTXと光多重分離装置46(又は47)との間に、減衰量指定信号m1に応じて信号パワーを減衰する可変ATT部66を接続する。この構成においては、図5に示す波長フィルタ62aに入力された時点の連続信号Y11のパワーが、例えばOSU52のBRXの受信パワーの最小値i[dBm]となるように、図8に示すOSU51のTXの送信後に、可変ATT部66で減衰してOSU52へ送信する。
その送信された連続信号Y11が、図5に示す波長フィルタ62aに、ONU54からのバースト信号Y12と並列に入力されて双方の信号Y11,Y12が分離された後、バーストアンプ62cで、バースト信号Y12のパワーを、(i+3)[dBm]以上となるように増幅する。この増幅によって、バースト信号Y12を連続信号Y11の半分以上のパワーとすることができる。換言すれば、連続信号Y11のパワーを、バースト信号Y12のパワーの半分以下とすることができる。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。