JP6505187B2 - 電力変換装置および電力変換装置の製造方法 - Google Patents

電力変換装置および電力変換装置の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、電力変換装置および電力変換装置の製造方法に関し、例えば、電気自動車、ハイブリッド車などの車両に搭載される電力変換装置および電力変換装置の製造方法に関する。
モータを駆動源とする電気自動車、および、モータを駆動源の1つとするハイブリッド車には、電力変換装置が搭載されている。
そのような電力変換装置の例としては、例えば、モータを駆動するためのインバータ、高圧バッテリ電圧から12V系バッテリ電圧に降圧するためのDC/DCコンバータ、12V系バッテリ電圧から高圧バッテリ電圧に昇圧するためのDC/DCコンバータ、商用電源から高圧バッテリに充電するための充電器、高圧バッテリからAC100Vを生成するインバータなどがある。
電気自動車およびハイブリッド車には、このような種々の電力変換装置が搭載されている。
近年の電気自動車およびハイブリッド車に要求される環境においては、各種搭載装置の小型化および低コスト化の要求が特に強く、車両に搭載される電力変換装置も例外ではない。
電力変換装置の小型化の実現のためには、搭載されるトランス及びリアクトルの磁性部品の小型化、および、ダイオード等の整流素子の小型化が必要となる。このような構成部品の小型化を実現しようとすると、必然的に発熱密度が増大してしまう。そのため、各構成部品の小型化を図る際に、各構成部品を性能保障温度以下にさせることが課題となる。
そこで、各構成部品の放熱性能及び耐熱性能の向上が必要不可欠である。
トランス、リアクトルなどの磁性部品の発熱要素には、巻線の銅損による発熱と、コア内部の鉄損による発熱とがある。磁性部品は、一般的には、銅線が巻回されたボビンをコアの脚部に挿入する構造を有している。そのため、巻線の放熱経路は、内側の巻線から最外周の巻線へ伝熱して最外周の巻線から放熱する放熱経路、または、巻線からコアへ伝熱してコアから放熱する放熱経路のいずれかとなる。
しかしながら、コア自体も鉄損により発熱するため、コアからの放熱の有効性は低く、逆に、コア自体の更なる温度上昇を引き起こす事態となる。
そこで、トランスおよびリアクトルの積極的な放熱性向上策としては、例えば、特許文献1に記載の方法がある。
特許文献1に記載の電子機器は、磁性コアと、絶縁基板に導体パターンが形成された配線板とを備えている。当該電子機器では、導体パターンを磁性コアの内部に通すことでコイルを構成している。導体パターンは、複数に分岐して磁性コアの内部に配置される挿通部を有している。電流は、複数に分岐された挿通部に分流して流れるので、各挿通部を流れる電流値は小さくなる。その結果、挿通部の発熱量が少なくなる。こうして、挿入部の温度が過剰に上昇することを抑制している。
なお、特許文献1においては、配線板と電子部品との接続については特に記載されていないため、一般的な半田付けが用いられていると想定される。
特許第5867490号公報
上述の特許文献1に記載されている電子機器は、挿通部を設けて電流を分流させることによって、放熱性の向上を図っている。しかしながら、この種の電子機器では、電子部品を配線板に実装する際に、電子部品と配線板との接合に半田を用いることが多い。そのため、配線板に大電流を流すと、電子部品と配線板とを接合している半田部分の温度が上昇する。また、配線板に電流が流れない場合には、半田部分の温度が下降する。このようにして、半田部分の温度は上昇と下降とを繰り返す。当該半田の温度サイクルによって、半田部分に半田クラックが発生する可能性があり、耐熱性の向上が図れないという課題があった。
また、上述の特許文献1に記載されているような従来の電子機器において、各電子部品は、配線板を構成している絶縁基板の上面に設けられている。そのため、配線板に多くの電子部品を実装させる場合には、実装面積が大きくなるという課題があった。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、耐熱性の向上および小型化を図ることが可能な電力変換装置および電力変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、ベースと、前記ベースの主面上に設けられたトランスと、前記ベースの前記主面上に設けられたダイオードと、前記ベースの前記主面上に設けられたリアクトルとを備え、前記ダイオードは、ダイオード素子を収納したボディと、前記ボディに電気的に絶縁されたピンとを有し、前記ダイオード素子の一方の端子は、前記ボディに電気的に接続され、前記ダイオード素子の他方の端子は、前記ピンに電気的に接続され、前記リアクトルの1次巻線に前記ダイオードの前記ピンが溶接または嵌合された状態で固定されて電気的に接続され、前記トランスの2次巻線に前記ダイオードの前記ボディが圧入される貫通穴を有する圧入部が設けられ、前記ダイオードの前記ボディは、前記圧入部の前記貫通穴内に固定され、前記トランスの前記2次巻線は、自身を前記ベースに固定するとともに電気的に接続する固定部と、前記ダイオードの前記ボディが固定される前記圧入部とを有し、前記圧入部は、放熱シートを介して前記ベースに接触している、電力変換装置である。
この発明に係る電力変換装置によれば、トランス、リアクトル、ダイオードなどの電子機器を実装する際に半田付けを使用しないことで耐熱性を向上させ、また、ダイオードを圧入させて固定する圧入部を設けることで従来に比べて実装面積を小さくすることで小型化を図ることができる。
この発明の実施の形態1の電力変換装置の構成を示した斜視図である。 図1の電力変換装置の平面図である。 図1の電力変換装置の側面図である。 図1の電力変換装置のトランスの構成を示した斜視図である。 図1の電力変換装置のリアクトルの構成を示した斜視図である。 図1の電力変換装置のダイオードの構成を示した斜視図である。 この発明の実施の形態2の電力変換装置の構成を示した斜視図である。 図7の電力変換装置の平面図である。 図8の電力変換装置の側面図である。 図7の電力変換装置のトランスの構成を示した斜視図である。 この発明の実施の形態3の電力変換装置の構成を示した斜視図である。 図11の電力変換装置の平面図である。 図11の電力変換装置の側面図である。 図11の電力変換装置のリアクトルの構成を示した斜視図である。
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明する。なお、各図において、同一または相当する部材および部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1〜図6は、この発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す図である。図1は、本実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。図2は、図1の電力変換装置の平面図である。図3は、図1の電力変換装置の側面図である。図4は、図1の電力変換装置に設けられたトランスの構成を示す斜視図である。図5は、図1の電力変換装置に設けられたリアクトルの構成を示す斜視図である。図6は、図1の電力変換装置に設けられたダイオードの構成を示す斜視図である。
本実施の形態1に係る電力変換装置1は、図1〜図3に示すように、基板としてのベース6の主面上に、トランス2と、リアクトル3と、ダイオード4と、放熱シート5とが設けられている。ベース6は、冷却器を含んで構成される。また、ダイオード4は、整流素子として機能する。
なお、図1〜図6においては、トランス2、リアクトル3、および、ダイオード4以外の他の構成部品、トランス2の1次側の構成部品、および、リアクトル3の2次側の構成部品についての図示を省略している。
以下、電力変換装置1に搭載された各構成部品の構成について説明する。
まず、電力変換装置1に搭載されたトランス2の構成について説明する。図4に示すように、トランス2は、トランスコア2a,2bを有している。トランスコア2a,2bは、トランス上側コア2aとトランス下側コア2bとを含んで構成されている。トランスコア2a,2bの脚部には、1次巻線2cと2次巻線2d,2eとが巻回されている。2次巻線2d,2eは、上側2次巻線2dと下側2次巻線2eとを含んで構成されている。
トランス2の積層状態について説明する。トランス2は、図4に示すように、下から順に、トランス下側コア2b、下側2次巻線2e、1次巻線2c、上側2次巻線2d、トランス上側コア2aが、積層されている。
トランス上側コア2aの側面は、図4に示すように、E型形状を有している。すなわち、トランス上側コア2aは、I型形状の本体と、本体に対して垂直に延びる3つの脚部とを含んで構成されている。なお、本体と脚部とは一体に形成されている。以下では、3つの脚部のうち、両端の脚部を外脚部2aa,2abと呼び、中央の脚部を中脚部2acと呼ぶこととする。
同様に、トランス下側コア2bの側面は、図4に示すように、E型形状を有している。トランス下側コア2bとトランス上側コア2aとは、互いに、同じ形状、同じ大きさを有している。トランス下側コア2bは、I型形状の本体と、本体に対して垂直に延びる3つの脚部とを含んで構成されている。なお、本体と脚部とは一体に形成されている。以下では、3つの脚部のうち、両端の脚部を外脚部2ba,2bbと呼び、中央の脚部を中脚部2bcと呼ぶこととする。
トランス上側コア2aの外脚部2aa,2abは、それぞれ、トランス下側コア2bの外脚部2ba,2bbに当接している。また、トランス上側コア2aの中脚部2acは、トランス下側コア2bの中脚部2bcに当接している。その結果、トランス上側コア2aとトランス下側コア2bとは閉磁路を形成している。
また、1次巻線2c、上側2次巻線2d、下側2次巻線2eは、それぞれ、中脚部2acおよび中脚部2bcの外周を巻き回すように配置されている。外脚部2aa,2abおよび外脚部2ba,2bbは、1次巻線2c、上側2次巻線2d、下側2次巻線2eの外側になるように配置されている。
また、上側2次巻線2dの一端には、1つのダイオード4を圧入した状態で固定するための圧入部2gが設けられている。同様に、下側2次巻線2eの一端には、別のダイオード4を圧入した状態で固定するための圧入部2hが設けられている。圧入部2g,2hは、それぞれ、2次巻線2d,2eを厚さ方向に貫通した貫通穴を有している。ダイオード4は、当該貫通穴に圧入されて固定される。また、上側2次巻線2dの他端、および、下側2次巻線2eの他端には、固定部2fが設けられている。固定部2fは、2次巻線2d,2eを、ベース6に固定するとともに、電気的に接続する。
本実施の形態1では、圧入部2g,2hおよび固定部2fが、ベース6の主面に平行な方向において、互いに重ならないように配置されている。すなわち、圧入部2g,2hおよび固定部2fは、図2の平面図で見た場合、並んで配置されており、互いにオーバーラップしていない。また、固定部2fは、圧入部2g,2hの間に配置されている。本実施の形態1では、2個の圧入部2g,2hが設けられているため、圧入部2g,2hの間に固定部2fが配置されている。しかしながら、圧入部が3個以上の場合には、それらの複数の圧入部のうちの隣接するいずれか2つの圧入部の間に固定部2fを配置するようにする。圧入部2g,2hおよび固定部2fの詳細については後述する。
なお、トランス2において、トランス上側コア2aとトランス下側コア2bとの間、1次巻線2cと上側2次巻線2dとの間、1次巻線2cと下側2次巻線2eとの間は、それぞれ、電気的な絶縁物によって絶縁距離を確保する必要があるが、本実施の形態では、それについての図示を省略している。
次に、電力変換装置1に搭載されたリアクトル3の構成について説明する。リアクトル3は、図5に示すように、リアクトルコア3a,3bを有している。リアクトルコア3a,3bは、リアクトル上側コア3aとリアクトル下側コア3bとを含んで構成されている。リアクトルコア3a,3bの脚部には、1次巻線3cが巻回されている。
リアクトル3の積層状態について説明する。リアクトル3は、図5に示すように、下から順に、リアクトル下側コア3b、巻線3c、リアクトル上側コア3aが積層されている。
リアクトル上側コア3aの側面は、図5に示すように、E型形状を有している。すなわち、リアクトル上側コア3aは、I型形状の本体と、本体に対して垂直に延びる3つの脚部とを含んで構成されている。本体と脚部とは一体に形成されている。以下では、3つの脚部のうち、両端の脚部を外脚部3aa,3abと呼び、中央の脚部を中脚部3acと呼ぶこととする。
同様に、リアクトル下側コア3bの側面は、図5に示すように、E型形状を有している。リアクトル下側コア3bとリアクトル上側コア3aとは、互いに、同じ形状、同じ大きさを有している。リアクトル下側コア3bは、I型形状の本体と、本体に対して垂直に延びる3つの脚部とを含んで構成されている。本体と脚部とは一体に形成されている。以下では、3つの脚部のうち、両端の脚部を外脚部3ba,3bbと呼び、中央の脚部を中脚部3bcと呼ぶこととする。
リアクトル上側コア3aの外脚部3aa,3abは、それぞれ、リアクトル下側コア3bの外脚部3ba,3bbに当接している。また、リアクトル上側コア3aの中脚部3acは、リアクトル下側コア3bの中脚部3bcに当接している。その結果、リアクトル上側コア3aとリアクトル下側コア3bとは閉磁路を形成している。
また、1次巻線3cは、中脚部3acおよび中脚部3bcの外周を巻き回すように配置されている。外脚部3aa,3abおよび外脚部3ba,3bbは、1次巻線3cの外側になるように配置されている。
なお、リアクトル3において、リアクトル上側コア3aと巻線3cとの間、および、リアクトル下側コア3bと巻線3cとの間は、それぞれ、電気的な絶縁物によって絶縁距離を確保する必要がある。ただし、本実施の形態では、絶縁距離を確保する状態の図示を省略している。
次に、電力変換装置1に搭載されたダイオード4の構成について説明する。図6に示すように、ダイオード4は、下端部が閉口された円筒型のボディ4aと、ボディ4aの中心部に配置された棒状のピン4bとを含んで構成されている。ピン4bは、ボディ4aの円筒形の軸方向に延設されている。また、ボディ4aの内部には、ダイオード素子がモールド樹脂4cによって封入されている。
ダイオード素子のアノード端子は、ボディ4aと電気的に接続されている。また、ダイオード素子のカソード端子は、ピン4bと電気的に接続されている。また、ボディ4aとピン4bとの間には、モールド樹脂4cにより、電気的に絶縁できる絶縁距離が確保されている。
次に、トランス2、リアクトル3、ダイオード4の実装状態について説明する。図1に示すように、ベース6の上面に、トランス2、リアクトル3、ダイオード4、および、放熱シート5が実装されている。
トランス2の上側2次巻線2dおよび下側2次巻線2eは、板金などの導体で構成されている。トランス2の上側2次巻線2dの一端には、上述したように、ダイオード4を圧入するための圧入部2gが設けられている。当該一端は、図4に示すように、山折り、谷折りの順で、のべ2回折り曲げられて成形されることで、先端の平面部分が、放熱シート5を介して、ベース6に接触している。圧入部2gは、当該平面部分に設けられている。
また、上側2次巻線2dの他端には、上側2次巻線2dを下側2次巻線2eと共にベース6と電気的に接続する固定部2fdが設けられている。当該他端は、図4に示すように、山折り、谷折りの順で、のべ2回折り曲げられて成形されることで、先端の平面部分が、放熱シート5および後述する固定部2feを介して、ベース6に接触している。固定部2fdは、当該平面部分に設けられている。
同様に、トランス2の下側2次巻線2eの一端には、上述したように、ダイオード4を圧入するための圧入部2hが設けられている。当該一端は、図4に示すように、山折り、谷折りの順で、のべ2回折り曲げられて成形されることで、先端の平面部分が、放熱シート5を介して、ベース6に接触している。圧入部2hは、当該一端の当該平面部分に設けられている。
また、下側2次巻線2eの他端には、下側2次巻線2eを上側2次巻線2dと共にベース6と電気的に接続する固定部2feが設けられている。当該他端は、図4に示すように、山折り、谷折りの順で、のべ2回折り曲げられて成形されることで、先端の平面部分が、放熱シート5を介して、ベース6に接触している。固定部2feは、当該他端の平面部分に設けられている。
以下では、固定部2fdと固定部2feとを纏めて固定部2fと呼ぶこととする。固定部2fは、図4に示すように、貫通穴を備えて構成されている。当該貫通穴に、ボルト等の固定具が挿入されて、トランス2がベース6に設けられたボスに固定される。また、固定部2fは、導体で構成されたボルト等の固定具を介して、2次巻線2d,2eとベース6とを電気的に接続している。放熱シート5は、ベース6に設けられたボスと干渉しないように、当該ボスの位置に対応させて穴もしくは切欠きを設けている。
トランス2の2次巻線2d,2eに設けられた圧入部2g,2hは、それぞれ、貫通穴を備えて構成されている。圧入部2g,2hには、それぞれ、ダイオード4のボディ4aが圧入される。ダイオード4のボディ4aを圧入する際には、ダイオード4のボディ4aの予め設定された水平位置と、圧入部2g,2dの平面部分の上面とが、同一の平面内になるように位置合わせされる。こうして、ダイオード4のボディ4aが、放熱シート5に接触する位置になるまで、ボディ4aを圧入部2g,2h内に圧入する。これにより、ダイオード4のボディ4aは、放熱シート5を介して、ベース6に接触される。その結果、ダイオード4で発生した熱は、放熱シート5を介して、ベース6に伝熱され、ベース6から外部に放熱される。
また、リアクトル3の1次巻線3cは、板金などの導体で構成されている。1次巻線3cには、図3に示されるように、圧入部2g,2hに圧入された2つのダイオード4のピン4bが、それぞれ、溶接された状態で固定されている。これにより、1次巻線3cとダイオード4のピン4bとは、電気的に接続される。
さらに詳細に説明すれば、本実施の形態1においては、図2及び図3に示すように、リアクトル3の1次巻線3cの側面の2ヶ所に溶接部3caが形成されている。溶接部3caは、1次巻線3cの側面から突起するように棒状の突起部を形成し、当該突起部をL字形状に上方に向かって折り曲げることで形成される。すなわち、溶接部3caは、1次巻線3cの側面から垂直方向に延設されている。溶接部3caは、図3に示すように、ダイオード4のピン4bと溶接により接合される。なお、溶接部3caと1次巻線3cとは一体成型される。
放熱シート5は、電気絶縁性を持った材質から構成されている。放熱シート5は、図1に示すように、ベース6の全面に対して設けられておらず、ベース6の主面の一部に対して設けられている。具体的には、放熱シート5は、圧入部2g,2hが設けられている2次巻線2d,2eの平面部分、および、固定部2fが設けられた2次巻線2d,2eの平面部分が配置されている領域に対してのみ設けられている。
以上のように、本実施の形態1に係る電力変換装置は、ベース6上に各構成部品を実装する際に、半田付けを用いずに、溶接および圧入により各構成部品を固定するようにした。この結果、従来のような配線板に電子部品を半田付けした構成とは異なり、温度サイクルにおける半田クラックの発生のような故障が無く、温度サイクルに対する信頼性を向上させることができる。すなわち、本実施の形態1に係る電力変換装置は、半田付けを使用していないため、半田の使用温度可能範囲を上回った場合においても正常に動作するように、製品の耐熱温度を高くすることができる。
また、従来は、配線板が電子部品によって橋渡しされる状態で実装されていた。これに対して、本実施の形態1では、ダイオード4が、トランス2の2次巻線2d,2eとリアクトル3の1次巻線3cとで上下から挟み込まれる状態で実装されているため、実装面積を小さくすることができる。
さらに、ダイオードの冷却経路は、配線板にダイオードを半田付けで実装する従来の場合には、ダイオード→半田→金属板→放熱シート→ベースであった。これに対し、本実施の形態1におけるダイオードの冷却経路は、ダイオード4が放熱シート5と接していることで、ダイオード4→放熱シート5→ベース6となる。このように、ダイオードの冷却経路が短くなることによって、熱抵抗が低下し、放熱性能を向上させることができる。
また、ダイオードの実装面積は、配線板に半田付けでダイオードを実装する従来の場合には、ダイオード+半田付けエリア+電極の絶縁距離に相当する面積が必要であった。これに対し、本実施の形態1におけるダイオードの実装面積は、ダイオード+圧入代のみの面積だけが必要となる。このため、本実施の形態1に係る電力変換装置は、ダイオード4の実装面積を小さくすることができ、その結果、装置の小型化が可能となる。
また、ダイオードの実装工程としては、配線板に半田付けでダイオードを実装する従来の場合は、配線板に板半田実装→ダイオード実装→半田リフローという各工程が必要であった。これに対し、本実施の形態1におけるダイオードの実装工程は、圧入部2g,2hに圧入→ピン4bを巻線3に溶接という2つの工程のみである。このため、本実施の形態1に係る電力変換装置は、組立性向上、低コスト化が可能となる。
なお、本実施の形態1では、トランスコア2a,2bおよびリアクトルコア3a,3bをE型形状としたが、本発明は、その場合に限定されるものではない。例えば、トランスコア2a,2bおよびリアクトルコア3a,3bをE型とI型の組合せ等で構成してもよい。すなわち、トランスコアおよびリアクトルコアは、閉磁路を構成できる形状であれば、いずれの形状でも構わない。
また、本実施の形態1では、ダイオード4のピン4bとリアクトル3の巻線3cとを溶接により固定するとして説明したが、本発明は、その場合に限定されるものではない。プレスフィット、かしめ等の他の接合方法を用いて、ダイオード4のピン4bとリアクトル3の巻線3cとを嵌合して接合するようにしても構わない。
なお、プレスフィットとは、接合する部材の一方にスルーホールを設け、他方にプレスフィット部を設けておき、当該プレスフィット部をスルーホール内に圧入して嵌合することによって固定させる接合方法である。
また、かしめとは、接合する部材の少なくとも一方を塑性加工して接合する方法で、接合する部材の一方を他方にはめ合い嵌合して延性を有する部材を塑性変形させて結合させる接合方法である。プレスフィットおよびかしめのいずれの接合方法も、嵌合により接合するもので、半田を使用しないため、半田クラックの問題を回避することができる。
また、本実施の形態1では、ダイオード4のボディ4aとベース6との間に、電気絶縁性を持った放熱シート5を設ける構成としたが、本発明は、その場合に限定されるものではない。放熱シート5の代わりに、ペースト、絶縁塗装等の電気絶縁性を持った放熱部材を設けるようにしても構わない。
また、本実施の形態1において、トランス2およびリアクトル3の巻線ターン数、及び、ダイオード4の個数は、必要とする電気回路によって適宜変更されることは言うまでもない。
実施の形態2.
図7〜図10は、この発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す図である。図7は、この発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。図8は、図7の電力変換装置の平面図である。図9は、図7の電力変換装置の側面図である。図10は、図7の電力変換装置に設けられたトランスの構成を示す斜視図である。
上述の実施の形態1では、図4に示したように、トランス2の2次巻線2d,2eの圧入部2g,2hの間に固定部2fが配置されていた。一方、本実施の形態2においては、トランス2の2次巻線2d,2eの圧入部2g,2hの間に固定部2fを配置せずに、図10に示すように、圧入部2g,2hが配置されている領域の外側に固定部2fが配置されている。従って、図10に示すように、圧入部2gと圧入部2hとが並んで配置され、固定部2fは、それらの圧入部2g,2hが配置されている領域の外側になるように、最外端部に配置されている。
すなわち、本実施の形態2においては、固定部2fを、圧入部2g,2hの領域の外側に配置し、圧入部2g,2hを隣り合わせで配置する構成となっている。それに合わせてリアクトル3における各ダイオード4と接続される2つの溶接部3ca間の間隔L2を、図2に示す実施の形態1における間隔L1よりも狭くする。その他の構成は、上述した実施の形態1の構成と同様である。
本実施の形態2においては、上記のような構成にすることによって、上述した実施の形態1の間隔L1よりも、間隔L2が短くなるため、トランス2とリアクトル3との配線長さが短くなり、装置の小型化が可能となる。
また、配線長さが短くなることにより、リアクトル3の溶接部3ca間の間隔L2が短くなる。その結果、溶接を行う溶接機の移動距離が短くなるため、先の実施の形態1の構成と比較して、組立時間の短縮、すなわち、組立性向上、低コスト化が可能となる。
実施の形態3.
図11〜図14は、この発明の実施の形態3に係る電力変換装置を示す図である。図11は、この発明の実施の形態3に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。図12は、図11の電力変換装置の平面図である。図13は、図11の電力変換装置の側面図である。図14は、図11の電力変換装置に設けられたリアクトルの構成を示す斜視図である。
本実施の形態3では、上述した実施の形態1、2と比較して、ボディ4aとピン4bの極性を反転したダイオード4を使用している。
上述した実施の形態1、2においては、ダイオード4のボディ4aにダイオード素子のアノード端子が電気的に接続され、ピン4bにダイオード素子のカソード端子が電気的に接続されていた。
一方、本実施の形態3においては、その逆で、ダイオード4のボディ4aにダイオード素子のカソード端子が電気的に接続され、ピン4bにダイオード素子のアノード端子が電気的に接続されている。
また、本実施の形態3においては、トランス2の2次巻線2d,2eのそれぞれに、ダイオード4のピン4bが溶接されている。本実施の形態3においては、図11及び図13に示すように、トランス2の2次巻線2d,2eの一端の先端部に溶接部2iが形成されている。溶接部2iは、2次巻線2d,2eの一端の先端部の幅を他の部分に比べて細くし、当該細くした部分をL字形状に、上方に向かって折り曲げることで形成される。すなわち、溶接部2iは、2次巻線2d,2eの一端から垂直方向に延設されている。溶接部2iは、ダイオード4のピン4bに対して溶接される。
また、リアクトル3の1次巻線3cは、板金などの導体から構成されている。本実施の形態3においては、リアクトル3の一端に、図14に示すように、ダイオード4を圧入した状態で固定するための圧入部3d,3eが設けられている。当該一端は、図14に示すように、山折り、谷折りの順で、のべ2回折り曲げられることで、先端の平面部分が、放熱シート5を介して、ベース6に接触している。圧入部3d,3eは、当該平面部分に設けられている。
圧入部3d,3eは、それぞれ、リアクトル3の1次巻線3cを厚さ方向に貫通する貫通穴を備えて構成されている。圧入部3d,3eには、それぞれ、ダイオード4のボディ4aが圧入される。ダイオード4を圧入する際には、ダイオード4のボディ4aの予め設定された水平位置と、圧入部3d,3eの平面部分の上面とが、同一の平面内になるように位置合わせされる。これにより、ダイオード4のボディ4aは、放熱シート5を介して、ベース6に接触される。
その他の構成は、上述した実施の形態2の構成と同様である。
本実施の形態3においては、上記のような構成にすることによって、上述した実施の形態2よりも、ダイオード4の放熱性の向上が図れる。その理由について、図10と図14とを比較して説明する。図10に示すトランス2の2次巻線2d,2eの圧入部2g,2hが設けられている平面部分の面積よりも、図14に示すリアクトル3の1次巻線3cの圧入部3d,3eが設けられている平面部分の面積の方が大きい。すなわち、トランス2の2次巻線2d,2eよりも、リアクトル3の1次巻線3cの方が、ベース6に対して放熱する面積が拡大する。その結果、本実施の形態3の方が、実施の形態2よりも、ダイオード4の放熱性の向上が図れる。
さらに、実施の形態2よりも、本実施の形態3の方が、リアクトル3の1次巻線3cの放熱性を向上させることができる。従って、トランス2の2次巻線2d,2eよりも、リアクトル3の1次巻線3cの方が冷却を必要とする場合においても、本実施の形態3の構成は、有効である。
上述した実施の形態1、2では、2つの2次巻線2d,2eのそれぞれにダイオード4を圧入している。そのため、ベース6に対する各2次巻線2d,2eの平面の寸法を揃える必要がある。その結果、各2次巻線2d,2eにおいて、高い寸法精度が必要である。一方、本実施の形態3では、ダイオード4を圧入する巻線は、リアクトル3の1次巻線3cのみの1部品である。この結果、本実施の形態3に係る電力変換装置は、ベース6に対しての平面管理が簡単になり、高い寸法精度は必要でない。
また、本実施の形態3においては、トランス2の2次巻線2d,2eを、別々に、ダイオード4のピン4bと溶接する。この結果、本実施の形態3に係る電力変換装置は、寸法精度を緩和させることが可能となり、製造性向上、低コスト化が可能となる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る電力変換装置においては、トランス2と1次巻線2c及び2次巻線2d,2eと、リアクトル3の1次巻線3cとが、封止樹脂により封止されて、インサート成形されている。
その他の構成は、上述した実施の形態1〜3のいずれかの構成と同様であるため、本実施の形態4の構成については、図示は省略する。
本実施の形態4によれば、上記のような構成にすることによって、以下のような効果を実現できる。
・組立時の部品点数の削減、組立工数の削減による低コスト化
・個々にベース等に固定が必要であったトランス2とリアクトル3の巻線の固定部の個数の削減、組立工数の削減による低コスト化
・インサート成形による耐振性向上および絶縁性向上
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を、適宜、組み合わせ、変形、省略することができる。なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
1 電力変換装置、2 トランス、2a トランス上側コア、2b トランス下側コア、2c 1次巻線、2d 上側2次巻線、2e 下側2次巻線、2f 固定部、2g,2h 圧入部、3 リアクトル、3a リアクトル上側コア、3b リアクトル下側コア、3c 巻線、3d,3e 圧入部、4 ダイオード、4a ボディ、4b ピン、5 放熱シート、6 ベース。

Claims (10)

  1. ベースと、
    前記ベースの主面上に設けられたトランスと、
    前記ベースの前記主面上に設けられたダイオードと、
    前記ベースの前記主面上に設けられたリアクトルと
    を備え、
    前記ダイオードは、ダイオード素子を収納したボディと、前記ボディに電気的に絶縁されたピンとを有し、
    前記ダイオード素子の一方の端子は、前記ボディに電気的に接続され、前記ダイオード素子の他方の端子は、前記ピンに電気的に接続され、
    前記リアクトルの1次巻線に前記ダイオードの前記ピンが溶接または嵌合された状態で固定されて電気的に接続され、前記トランスの2次巻線に前記ダイオードの前記ボディが圧入される貫通穴を有する圧入部が設けられ、
    前記ダイオードの前記ボディは、前記圧入部の前記貫通穴内に固定され、
    前記トランスの前記2次巻線は、
    自身を前記ベースに固定するとともに電気的に接続する固定部と、
    前記ダイオードの前記ボディが固定される前記圧入部と
    を有し、
    前記圧入部は、放熱シートを介して前記ベースに接触している、
    電力変換装置。
  2. 前記圧入部は複数個設けられ、
    前記固定部と前記圧入部とは、前記ベースの前記主面に平行な方向において互いに重ならないように配置され、
    前記複数個の前記圧入部は、並んで配置されている、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記固定部は、並んで配置された前記複数個の前記圧入部のうちの隣接するいずれか2つの圧入部の間に設けられている、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記ダイオード素子のカソードが、前記ダイオードの前記ボディに電気的に接続され、
    前記ダイオード素子にアノードが、前記ダイオードの前記ピンに電気的に接続されている、
    請求項1から3までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. ベースと、
    前記ベースの主面上に設けられたトランスと、
    前記ベースの前記主面上に設けられたダイオードと、
    前記ベースの前記主面上に設けられたリアクトルと
    を備え、
    前記ダイオードは、ダイオード素子を収納したボディと、前記ボディに電気的に絶縁されたピンとを有し、
    前記ダイオード素子の一方の端子は、前記ボディに電気的に接続され、前記ダイオード素子の他方の端子は、前記ピンに電気的に接続され、
    前記トランスの2次巻線に前記ダイオードの前記ピンが溶接または嵌合された状態で固定されて電気的に接続され、前記リアクトルの1次巻線に前記ダイオードの前記ボディが圧入される貫通穴を有する圧入部が設けられ、
    前記ダイオードの前記ボディは、前記圧入部の前記貫通穴内に固定され、
    前記トランスの前記2次巻線は、前記ダイオードの前記ピンに電気的に接続され、かつ、自身を前記ベースに固定するとともに電気的に接続する固定部を有し、
    前記リアクトルの前記1次巻線は、前記ダイオードの前記ボディが固定される前記圧入部を有し、
    前記固定部と前記圧入部とは、前記ベースの前記主面に平行な方向において互いに重ならないように配置され、
    前記圧入部は、放熱シートを介して前記ベースに接触している、
    電力変換装置。
  6. 前記ダイオード素子のアノードが、前記ダイオードの前記ボディに電気的に接続され、
    前記ダイオード素子にカソードが、前記ダイオードの前記ピンに電気的に接続されている、
    請求項1または5に記載の電力変換装置。
  7. 前記トランスの前記1次巻線及び前記2次巻線と前記リアクトルの前記1次巻線とを封止する電気的絶縁性を有する樹脂部材を備えた、
    請求項1から6までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記ベースは、冷却器から構成されている、
    請求項1から7までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. ベースの主面上にトランスを搭載するステップと、
    ダイオード素子を収納したボディと前記ボディに電気的に絶縁されたピンとを有するダイオードを、前記ベースの前記主面上に搭載するステップと、
    前記ベースの前記主面上にリアクトルを搭載するステップと、
    前記リアクトルの1次巻線と、前記ダイオードの前記ピンとを、溶接または嵌合により固定することで電気的に接続させるステップと、
    前記トランスの2次巻線に設けられた貫通穴を有する圧入部に、前記ダイオードの前記ボディを圧入して前記貫通穴内に固定するステップと
    を備え、
    前記トランスの前記2次巻線は、
    自身を前記ベースに固定するとともに電気的に接続する固定部と、
    前記ダイオードの前記ボディが固定される前記圧入部と
    を有し、
    前記トランスは、前記圧入部が放熱シートを介して前記ベースに接触するように、前記ベースの前記主面上に搭載される、
    電力変換装置の製造方法。
  10. ベースの主面上にトランスを搭載するステップと、
    ダイオード素子を収納したボディと前記ボディに電気的に絶縁されたピンとを有するダイオードを、前記ベースの前記主面上に搭載するステップと、
    前記ベースの前記主面上にリアクトルを搭載するステップと、
    前記トランスの2次巻線と、前記ダイオードの前記ピンとを、溶接または嵌合により固定することで電気的に接続させるステップと、
    前記リアクトルの1次巻線に設けられた貫通穴を有する圧入部に、前記ダイオードの前記ボディを圧入して前記貫通穴内に固定するステップと
    を備え、
    前記トランスの前記2次巻線は、自身を前記ベースに固定するとともに電気的に接続する固定部を有し、
    前記リアクトルの前記1次巻線は、前記ダイオードの前記ボディが固定される前記圧入部を有し、
    前記固定部と前記圧入部とは、前記ベースの前記主面に平行な方向において互いに重ならないように配置され、
    前記トランスは、前記圧入部が放熱シートを介して前記ベースに接触するように、前記ベースの前記主面上に搭載される、
    電力変換装置の製造方法。
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