JP6504635B2 - 木質ボード及びその製造方法並びにマット状物 - Google Patents

木質ボード及びその製造方法並びにマット状物 Download PDF

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Description

本発明は、木質ボード及びその製造方法並びにマット状物に関する。更に詳しくは、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボード及びその製造方法並びに熱圧成形されることにより木質ボードとなるマット状物に関する。
近年、天然資源の保護及び有効活用の観点から、天然木材に代用可能な木質ボードの開発が進められており、その原料として、間伐材や木材加工時に排出される端材等の廃材が利用されている。廃材を用いる木質ボードは、通常、廃材を細分化した木質材料を集成接着することにより製造されている。
このような木質ボードに関する具体的な技術としては、例えば、多数のパーティクル(比重0.2以下のパーティクル)と接着剤との混合物を用いて熱圧成形することにより得られるパーティクルボード等が知られている(特許文献1参照)。
特開2001−293706号公報
木質ボードでは、軽量性(低密度化)及び機械特性(機械的強度の向上)の両者が求められることが多い。しかし、木質ボードを低密度化すれば機械的強度は低下し、逆に、木質ボードを高密度化すれば機械的強度は向上する傾向にあるため、両者は相反する特性といえる。
そして、従来の木質ボードでは、軽量性と機械特性の性能バランス、特に軽量性の観点において未だ十分とは言えず、より軽量であり、且つ十分な機械的強度を備える木質ボードが求められているのが現状である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボード及びその製造方法並びに熱圧成形されることにより木質ボードとなるマット状物を提供することを課題とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、木質ボードの製造方法であって、
靱皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料に、熱硬化型接着剤を付着させる接着剤塗布工程と、
前記熱硬化型接着剤が付着された前記木質材料をマット状に成形する成形工程と、
マット状に成形されたマット状物を熱圧成形する熱圧成形工程と、を備えており、
前記マット状物を前記熱圧成形に供するまでに、前記マット状物を構成している前記木質材料の含水率を8〜20質量%に調整し、
前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記接着剤塗布工程よりも前に、前記木質材料を乾燥する乾燥工程を備えており、
前記接着剤塗布工程において、前記熱硬化型接着剤を水との混合物の形態で前記木質材料に付着させることによって、前記熱硬化型接着剤が付着された前記木質材料の含水率を8〜20質量%に調整しており、
前記乾燥工程後の前記木質材料の含水率は、前記接着剤塗布工程後の前記木質材料の含水率よりも低いことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤であり、
前記ポリメリックMDI接着剤の使用量は、前記木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%であることを要旨とする。
上記問題を解決するために、請求項4に記載の発明は、チップ状の木質材料が熱硬化型接着剤を介してボード状に熱圧成形された木質ボードであって、
全乾密度が0.2〜0.5g/cmであり、
曲げ強度が8MPa以上であり、
前記木質材料は、靱皮植物の芯材を含んでおり、
前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤、フェノール樹脂系接着剤、及びユリアメラミン共縮合樹脂接着剤のうちの少なくとも1種であることを要旨とする。
上記問題を解決するために、請求項6に記載の発明は、熱圧成形されることにより木質ボードとなる熱圧成形前のマット状物であって、
靭皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料と、熱硬化型接着剤とを含み、
前記木質材料の含水率(乾量基準)が8〜20質量%であり、
前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤であり、
前記ポリメリックMDI接着剤の含有量は、前記木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%であることを要旨とする。
本発明の木質ボードの製造方法によれば、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを製造することができる。即ち、軽量性及び機械特性の性能バランスに優れる木質ボードを製造することができる。
また、接着剤塗布工程よりも前に木質材料の乾燥工程を備えており、接着剤塗布工程において、熱硬化型接着剤を水との混合物の形態で木質材料に付着させることによって、木質材料の含水率を8〜20質量%に調整する場合には、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを効率的に製造することができる。
更に、熱硬化型接着剤がポリメリックMDI接着剤であり、その使用量が4〜6質量%である場合には、木質材料を十分に接着することができるとともに、木質ボードをより軽量化することができる。
本発明の木質ボードは、軽量であり且つ機械的強度に優れている。また、このボードを採用することにより、製品の軽量化を図ることができる。更には、軽量化によって運搬性や作業性が向上し、それに伴うコスト削減にも期待できる。そのため、自動車や鉄道等の車両、船舶、建材、家具、日用品等の分野において好適に利用することができる。
また、木質ボードにおける熱硬化型接着剤が、ポリメリックMDI接着剤、フェノール樹脂系接着剤、及びユリアメラミン共縮合樹脂接着剤のうちの少なくとも1種である場合、木質ボードをより軽量化することができる。
本発明のマット状物によれば、熱圧成形に供することにより、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを得ることができる。即ち、熱圧成形により、軽量性及び機械特性の性能バランスに優れる木質ボードを得ることができる。
また、熱硬化型接着剤がポリメリックMDI接着剤であり、その含有量が4〜6質量%である場合には、木質材料を十分に接着することができるとともに、熱圧成形することにより得られる木質ボードをより軽量化することができる。
以下、本発明を、詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。
[1]木質ボードの製造方法
本発明の木質ボードの製造方法は、靱皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料に、熱硬化型接着剤を付着させる接着剤塗布工程と、熱硬化型接着剤が付着された木質材料をマット状に成形する成形工程と、マット状に成形されたマット状物を熱圧成形する熱圧成形工程と、を備える。そして、マット状物を熱圧成形に供するまでに、マット状物を構成している木質材料の含水率を8〜20質量%に調整し、前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、薄片状物と粉体状物との合計を100質量%とした場合に、薄片状物は55〜85質量%含有され、粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とする。
尚、本明細書における「含水率」は、JIS Z2101に準拠した乾量基準の含水率を意味する。
上記接着剤塗布工程では、熱硬化型接着剤が靱皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料に付着される。
上記熱硬化型接着剤としては、例えば、ユリア樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、ユリアメラミン共縮合樹脂接着剤等のユリアメラミン系樹脂接着剤、フェノール樹脂系接着剤、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)接着剤、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)接着剤、TDI(トリレンジイソシアネート)接着剤等のイソシアネート系接着剤等を用いることができる。尚、これらの接着剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの熱硬化型接着剤のなかでも、必要な使用量が相対的に少なく、得られる木質ボードをより軽量化することができるという観点から、ポリメリックMDI接着剤、ユリアメラミン共縮合樹脂接着剤、及びフェノール樹脂系接着剤のうちの少なくとも1種であることが好ましく、特にポリメリックMDI接着剤が好ましい。
熱硬化型接着剤の使用量は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定される。
特に、熱硬化型接着剤としてポリメリックMDI接着剤を用いる場合には、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%であることが好ましく、より好ましくは4.5〜5.5質量%である。この場合、木質材料を十分に接着することができるとともに、木質ボードをより軽量化することができる。
また、熱硬化型接着剤としてフェノール樹脂系接着剤を用いる場合には、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、10〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜15質量%である。この場合、木質材料を十分に接着することができるとともに、木質ボードをより軽量化することができる。
また、熱硬化型接着剤としてユリアメラミン共縮合樹脂接着剤を用いる場合には、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、10〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜15質量%である。この場合、木質材料を十分に接着することができるとともに、木質ボードをより軽量化することができる。
また、熱硬化型接着剤の使用形態は特に限定されないが、水との混合物の形態(例えば、分散液、水溶液等の液状組成物の形態)で用いることが好ましい。この場合、接着剤の操作性が向上し、木質材料に接着剤をより均一に付着させることができる。更には、混合物における水によって、木質材料の含水率を制御することができ、より効率的に木質ボードを製造することができる。尚、混合物における熱硬化型接着剤と水の含有割合は、その種類や粘度、更には目的の含水率等に応じて適宜設定される。例えば、この含有割合[熱硬化型接着剤:水(質量基準)]は、2:8〜8:2(更には3:7〜7:3、特に4:6〜6:4)とすることができる。
特に、熱硬化型接着剤としてポリメリックMDI接着剤を用いる場合には、水との混合物の形態で用いることが好ましい。この場合、混合物におけるポリメリックMDI接着剤と水の含有割合[ポリメリックMDI:水(質量基準)]は、4:6〜6:4であることが特に好ましく、更に好ましくは4.5:5.5〜5.5:4.5である。含有割合がこの範囲である場合、混合物の粘度が適度な範囲となり、操作性がより向上するとともに、木質材料の含水率を目的の範囲に容易に調整することができる。
また、木質材料に熱硬化型接着剤を付着させる方法は特に限定されず、接着剤の形態に応じて公知の方法が用いられる。
具体的には、例えば、撹拌羽根を備えるブレンダーに木質材料を配置し、撹拌しながら、接着剤成分を含む液状組成物(水との混合物)をスプレー塗布等により塗布することで、接着剤を付着させることができる。
尚、多層構造の木質ボードを製造する際には、各層を構成する木質材料ごとに、接着剤塗布工程が設けられることが好ましい。
上記木質材料としては、靱皮植物の芯材を含むチップ状の材料が用いられる。
上記靭皮植物は、靭皮繊維を採取できる植物であり、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、オクラ等の草本性の靭皮植物、雁皮、三椏、楮、雁皮、桑等の木本性の靭皮植物、麦、稲、竹、サトウキビ(バガス)、葦、エスパルト、トウモロコシ、パピルス、サバイグラス等の茎桿性の靭皮植物等が挙げられる。尚、これらの靭皮植物の芯材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも草本性の靭皮植物の芯材が好ましく、更には、ケナフの芯材(ケナフコア)が好ましい。ケナフの芯材は、特に比重が小さく、より軽量な木質ボードを製造することができる。また、ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等も期待できるため好ましい。
また、靱皮植物の芯材とは、靭皮植物から靭皮を採取した後に残存する植物体の芯部である。靭皮植物からの靭皮採取に際しては、レッティング工程(レッティングを行う工程)等の各種工程を経ることができる。このような靭皮採取に際して各種工程を経ることにより、伐採直後の芯材とは、異なった芯材となり得る。具体的には、例えば、レッティング工程を経ることで、芯材表面(靭皮と芯材との層間)や芯材内部から、レッティング時にペクチン等の植物体を構成する物質が分解除去される。このため、レッティング工程を経て得られた芯材は、レッティング工程を経ずに靭皮が除去された芯材に比べてより低い密度を有し得る。本発明の製造方法で用いる靭皮植物の芯材としては、上述のレッティング工程を経た芯材であることが好ましい。
このレッティング工程は、池や川等の自然環境下において行われるレッティングであってもよいし、所望の微生物を含ませた人工的なレッティング環境下において行われるレッティングであってもよく、これらの両方を経るものであってもよい。
チップ状の木質材料の形状は粉体状物及び薄片状物(フレーク状物)である。尚、これらの木質材料は、所定の目開きの篩等によって分級することができ、木質ボードの層構成に応じて使い分けることができる。
例えば、薄片状の木質材料は、集成して接着した際に接着面積が大きくなりやすいため、ボードの機械的強度をより向上させることができる。そのため、多層構造の木質ボードを製造する場合に、芯層を構成する木質材料として好適に用いることができる。
また、粉体状の木質材料は、相対的に細かいため、集成して接着した際に、表面の平滑性をより向上させることができる。そのため、多層構造の木質ボードを製造する場合に、表面となる層(表層や裏層)を構成する木質材料として好適に用いることができる。
尚、薄片状の木質材料(薄片状物)とは、最も大きな平面積を有する面(以下、単に「主面」という)を上方へ向けて載置した場合に、この主面における最大長さLに対し、最大厚さL(上下方向の最大長さ)が1/3以下(即ち、L/L≦1/3)である形態をいう。Lの長さは5〜40mmであり、より好ましくは15〜38mm、更に好ましくは25〜35mmである。また、平均厚さは1mm以下である。そして、この薄片状物は、目開き0.8〜1.2mmの篩を用いて(本発明では目開き1mmの篩を用いる)分級した際に、篩上となるものである。
また、粉体状の木質材料(粉体状物)の平均径は、例えば、レーザー回折・散乱法による体積基準での平均径D50が、0.01〜1.0mmであり、より好ましくは0.01〜0.7mm、更に好ましくは0.01〜0.5mmである。そして、この粉体状物は、目開き0.8〜1.2mmの篩を用いて(本発明では目開き1mmの篩を用いる)分級した際に、篩下となるものである。
また、本発明の製造方法に用いる木質材料としては、特に、含水率が30質量%以上に調整された靭皮植物の芯材を切削して得られる、薄片状物を含む切削物を用いる。この場合、粉体状物の発生割合を抑制し、粉体状物よりも使用量が相対的に多い薄片状物を効率的に得ることができる。更には、多層構造の木質ボードを製造する際に、薄片状物と粉体状物がバランス良く含まれる木質材料[質量基準で、粉体状物:薄片状物が15:85〜45:55(特に、15:85〜35:65)の木質材料]を効率的に得ることができる。これにより、靭皮植物の芯材を有効に活用し切ることができるようになる。
芯材の含水率が30質量%以上であることにより、薄片状の木質材料が多く含まれた切削物が得られる。この理由は定かではないが、以下3つの理由が例示される。
1つは、含水によって芯材の質量が増加し、切削刃と衝突した際に切削刃に及ぼす力が大きくなるために、切削刃が芯材に入り込みやすくなることが考えられる。即ち、靭皮植物の芯材は、植物材料として極端に低密度であり、軽量な木質ボードの原料等としては適する。しかしながら、低密度であるために、乾燥状態や含水率が30質量%未満のような状態では、切削時の芯材の質量が小さく、切削刃が芯材に入り込むだけの力を加えることにならないのではないかと考えることができる。
また、1つは、含水によって芯材の質量が増加し、特に、所定のリングフレーカーのように、切削刃が被切削物(靭皮植物の芯材)より外周側に位置された装置では、切削時に被切削物が遠心力によって切削刃に押し付けられるのではないかと考えられる。このため、被切削物の質量が大きい程、切削に有利であると考えられる。しかしながら、過度な質量であると、遠心方向の力が大きくなり過ぎて、切削効率が低下してしまうことも予想され、靭皮植物の芯材に適した質量となる含水状態が存在するものと考えられる。
更に、1つは、含水によって靭皮植物の芯材の脆さが低減され、切削に適した柔軟さを出現させることができると考えられる。即ち、含水率が低い状態では、切削刃と芯材とが衝突した際に、芯材が破裂するように破壊される割合が多くなり、粉体状の木質材料が増えてしまうのではないかと考えられる。この点、含水によって、芯材の柔軟さが増すことで、上述のような破壊が抑制されて、切削効率が向上されると考えられる。
芯材の含水率は、結果的に、靭皮植物の芯材が切削される際に30質量%以上であればよい。そのため、含水率を30質量%以上に調整する工程は、芯材の切削前に行ってもよく、切削と同時に行ってもよい。通常、含水率を調整する前の芯材の含水率は30質量%未満であるため、含水率30質量%以上に調整する際には、水への浸漬や水の吹きつけ等により、芯材に対して水を含浸させることになる。
切削時の含水率は70質量%以下である。芯材の含水率が70質量%を超えると、多くの場合、含水させた状態のままでは切削物を、木質ボード等の原料として利用することはできない。このため、例えば、切削物の含水率を低減させる工程を設けることができる。このような場合、切削時の含水率が70質量%を超えると、乾燥のために必要なエネルギーやそのための所要時間が多くなる。
このような観点から、切削時の含水率は、30〜70質量%であり、より好ましくは35〜60質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。
切削する靭皮植物の芯材は、その長さが20〜40mmに予め裁断された芯材であることが好ましい。この範囲では、含水率を30質量%以上にする効果がより得られやすい。即ち、芯材の裁断片の質量が、切削に適したものとなると考えられる。従って、裁断サイズを20mm未満とした靭皮植物の芯材を切削に供するよりも、裁断サイズを20〜40mmとした靭皮植物の芯材を切削した方が、得られる切削物に薄片状の木質材料はより多く含まれる。
また、芯材の切削には、どのような機器を用いてもよく、機器及び切削条件等は限定されない。具体的な切削機器としては、例えば、ナイフリングフレーカー等のフレーカーが挙げられる。
リングフレーカーは、複数の切削刃がリング状に配置された構造を有する切削機器である。通常、複数の切削刃をリング状に保持できる切削刃保持体を有し、この切削刃保持体の所定位置に、切削刃を配置することで、切削刃がリング状に並ぶように構成される。
このリングフレーカーは、大きく分けて2種が知られている。一方は、被切削物よりも切削刃が内側に配置された形態であり、他方は、被切削物よりも切削刃が外側に配置された形態である。
即ち、前者は、複数の切削刃がリング状に配置された切削刃保持体が、被切削物よりも内周側に配置された切削機器である。そして、被切削物は、リング状の保持体の外周側から内側へ向かって切削刃に押し付けられて切削される。また、後者は、複数の切削刃がリング状に配置された切削刃保持体が、被切削物よりも外周側に配置された切削機器である。そして、被切削物は、リング状の保持体の内周側から外側へ向かって切削刃に押し付けられて切削される。
そして、上述のうち、被切削物よりも切削刃が外側に配置された形態のリングフレーカーが好ましい。その理由は、上述したように、軽量な芯材が含水によって質量増加され、より効果的に遠心力を利用できるため、薄片状の木質材料をより多く得易いためである。
また、チップ状の木質材料は、靱皮植物の芯材を主成分として含んでいることが好ましい。具体的には、靱皮植物の芯材の含有割合が、木質材料全体を100質量%とした場合に、90〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは95〜100質量%、更に好ましくは98〜100質量%である。
尚、靱皮植物の芯材以外の他の木質材料としては、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、例えば、靱皮植物の靱皮繊維、スギ、ヒノキ、アカマツ等の廃材等から得られるものが挙げられる。
上記成形工程では、熱硬化型接着剤が付着された木質材料がマット状に成形され、マット状物が形成される。
マット状への成形方法は特に限定されず、通常、公知のフォーミングマシン(マット成形機)が用いられ、所定寸法のマット状物が得られる。この際、形状、寸法又は種類等の異なる木質材料を用いて、隣接する層の構成が異なる多層構造のマット状物を形成することにより、多層構造の木質ボードを製造することができる。
具体的には、例えば、表層、芯層及び裏層をこの順に備える3層構造のマット状物を形成することにより、3層構造の木質ボードを製造することができる。特に、篩等で分級された木質材料を用意し、相対的にサイズが粗い篩上木質材料(例えば、薄片状物)によって上記芯層を構成し、相対的にサイズが細かい篩下木質材料(例えば、粉体状物)によって上記表層及び裏層を構成することによって、軽量であり、機械的強度に優れるとともに、表面平滑性に優れる木質ボードを製造することができる。
また、3層構造のマット状物を形成する際、各層の質量比は特に限定されないが、例えば、この質量比(表層:芯層:裏層)を、1〜2:6〜8:1〜2とすることができる。
上記熱圧成形工程では、マット状物が熱圧成形され、板状の木質ボードが得られる。
ここで、本発明の製造方法においては、熱圧成形時における接着剤の熱硬化反応を効果的に促し、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを製造するために、マット状物を熱圧成形に供するまでに、マット状物を構成している木質材料の含水率を8〜20質量%に調整する必要がある。
この含水率が8質量%未満である場合、十分な機械的強度(特に曲げ強度や剥離強さ)を有する木質ボードが得られないおそれがある。一方、20質量%を超える場合、熱圧成形時に水蒸気が発生し、その影響により木質ボードが破損(パンク)してしまうおそれがある。更には、熱圧成形に要する時間が大幅に増加し、生産効率の低下を招いたり、木質材料にダメージを与えてしまったりするおそれがある。
尚、この含水率は、得られる木質ボードの軽量性及び機械的強度の観点や、マット状物の操作性の観点から、8〜18質量%(特に、更には8〜15質量%、特に8〜12質量%)とすることがより好ましい。
マット状物を熱圧成形に供するまでに、木質材料の含水率を上記範囲に調整する方法としては、例えば、
(a)接着剤塗布工程後、又はマット状物の成形工程後に、木質材料の含水率を測定し、目的の設定値との差に応じて、乾燥や水の供給等による含水率の調整工程を行うことによって、熱圧成形に供される木質材料の含水率(乾量基準)を8〜20質量%に調整する方法、
(b)接着剤塗布工程よりも前に、必要に応じて、木質材料を乾燥する乾燥工程を設け、接着剤塗布工程において、熱硬化型接着剤を水との混合物の形態で木質材料に付着させることによって、熱硬化型接着剤が付着された木質材料の含水率(乾量基準)を8〜20質量%に調整する方法等が挙げられる。尚、木質材料の含水率は成形工程を経ることによってほとんど変化せず、接着剤塗布工程後の木質材料の含水率と、成形工程後のマット状物を構成する木質材料の含水率は、乾燥工程等を別途設けていない限り、同程度といえる。
これらのなかでも、全体の含水率を容易に且つ均一に調整可能な(b)の方法が好ましい。
上記(b)の方法である場合、原料として用いる木質材料の乾燥度合いから、目的の含水率に調整するために必要な水の量を容易に推測することができる。更には、その量の水と、接着剤とで混合物を調製することによって、含水率の制御を容易に行うことができるとともに、接着剤の塗布性の向上化を図ることができるため、非常に効率良く木質ボードを製造することができる。また、乾燥工程を設けることで、混合物中における水の量を増加させることができ、粘度の高い接着剤や固形状の接着剤を使用する場合に、その操作性をより向上させることができる。更には、木質材料として、上述の含水率が30質量%以上に調整された靭皮植物の芯材を切削して得られる薄片状物を含む切削物を用いる場合に、乾燥工程を設けることで、効率的に接着剤塗布工程に移行することができる。
尚、上記(b)の方法における接着剤塗布工程に供される木質材料は、その含水率が乾燥工程等により、接着剤塗布工程後の木質材料の含水率の設定値よりも低い値[例えば、設定値よりも10〜90%低い値(特に20〜80%低い値)]に調整されたものである。具体的には、18質量%以下(特に3〜15質量%、更には3〜10質量%、特に3〜8質量%、更には4〜6質量%)の含水率に調整されたものであることが好ましい。
熱圧成形工程において、マット状物を熱圧成形する方法は特に限定されず、プレス機等を用いた公知の方法が用いられる。
また、プレス条件(温度、時間、圧力等)は特に限定されず、使用する接着剤の種類、目的とする木質ボードの厚さや密度等により適宜設定される。具体的には、例えば、120〜220℃の温度、10〜30kg/cmの圧力にて、ボード厚1mmに対し15〜25秒のプレス時間という条件で行うことができる。
本発明の製造方法により得られる木質ボードの厚みは特に限定されないが、3〜30mm(特に12〜18mm、更には14〜16mm)とすることができる。
また、本発明の製造方法により得られる木質ボードの全乾密度は、0.2g/cm以上(通常、0.7g/cm以下)であり、特に0.22〜0.5g/cm、更には0.25〜0.4g/cm、特に0.28〜0.35g/cm、更には0.3g/cm以上、0.35g/cm未満とすることができる。尚、この全乾密度は、アルキメデス法を用いて測定することができる。
また、本発明の製造方法においては、上記乾燥工程以外にも、熱圧成形工程の後に、サンディング等の表面研磨工程や、所定寸法への裁断工程を備えていてもよい。
[2]マット状物
本発明のマット状物は、熱圧成形されることにより木質ボードとなる熱圧成形前のマット状物であって、靭皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料と、熱硬化型接着剤とを含み、木質材料の含水率(乾量基準)が8〜20質量%であり、木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、薄片状物と粉体状物との合計を100質量%とした場合に、薄片状物は55〜85質量%含有され、粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とする。
上記マット状物における熱硬化型接着剤の含有量は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定される。
特に、熱硬化型接着剤がポリメリックMDI接着剤である際、その含有量は、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%であることが好ましく、より好ましくは4.5〜5.5質量%である。この場合、熱圧成形に供することにより、木質材料を十分に接着することができるとともに、得られる木質ボードをより軽量化することができる。
また、熱硬化型接着剤がフェノール樹脂系接着剤である際、その含有量は、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、10〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜15質量%である。この場合、熱圧成形に供することにより、木質材料を十分に接着することができるとともに、得られる木質ボードをより軽量化することができる。
また、熱硬化型接着剤がユリアメラミン共縮合樹脂接着剤である際、その含有量は、木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、10〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜15質量%である。この場合、熱圧成形に供することにより、木質材料を十分に接着することができるとともに、得られる木質ボードをより軽量化することができる。
また、上記マット状物における木質材料の含水率は8〜20質量%である。この含水率であることにより、熱圧成形時における接着剤の熱硬化反応を効果的に促すことができ、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを得ることができる。
この含水率が8質量%未満である場合、熱圧成形によって、十分な機械的強度(特に曲げ強度や剥離強さ)を有する木質ボードが得られないおそれがある。一方、20質量%を超える場合、熱圧成形時に水蒸気が発生し、その影響により得られる木質ボードが破損(パンク)してしまうおそれがある。更には、熱圧成形に要する時間が大幅に増加し、生産効率の低下を招いたり、木質材料にダメージを与えてしまったりするおそれがある。
尚、この含水率は、熱圧成形することによって得られる木質ボードの軽量性及び機械的強度の観点や、マット状物の操作性の観点から、8〜18質量%(特に、更には8〜15質量%、特に8〜12質量%)とすることがより好ましい。
本発明のマット状物の厚みは特に限定されないが、10〜340mm(特に55〜145mm、更には70〜105mm)とすることができる。
本発明のマット状物を作製する方法は特に限定されないが、例えば、上記[1]の木質ボードの製造方法における「接着剤塗布工程」及び「成形工程」で説明した方法によって得ることができる。
[3]木質ボード
本発明の木質ボードは、チップ状の木質材料が熱硬化型接着剤を介してボード状に熱圧成形された木質ボードであって、全乾密度が0.2〜0.5g/cmであり、曲げ強度が8MPa以上であり、木質材料は、靱皮植物の芯材を含んでおり、木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、薄片状物と粉体状物との合計を100質量%とした場合に、薄片状物は55〜85質量%含有され、粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とする。
尚、木質材料及び熱硬化型接着剤については、それぞれ、上記[1]の木質ボードの製造方法における木質材料及び熱硬化型接着剤の各説明をそのまま適用することができる。
上記木質ボードの全乾密度は、0.2〜0.5g/cmであり、特に0.22〜0.5g/cm、更には0.25〜0.4g/cm、特に0.28〜0.35g/cm、更には0.3g/cm以上、0.35g/cm未満とすることができる。
上記木質ボードの曲げ強度は、8MPa以上であり、特に8〜25MPa、更には8〜18MPa、特に8〜13MPa、更には8〜11MPaとすることができる。
上記木質ボードのはく離強さは、0.15MPa以上であり、特に0.15〜0.45MPa、更には0.15〜0.40MPa、特に0.17〜0.40MPa、更には0.18〜0.35MPaとすることができる。
上記木質ボードの吸水厚さ膨脹率は、12%以下であり、特に5〜12%、更には6〜12%、特に8〜12%、更には9〜12%とすることができる。
尚、これらの各物性は、JIS A5908に準じて測定又は評価されるものである。
また、上記木質ボードは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造の木質ボードとしては、例えば、表層、芯層及び裏層を、この順に備える3層構造の木質ボード等を挙げることができる。この場合、篩で分級された相対的にサイズが粗い篩上木質材料(薄片状物)によって上記芯層を構成し、篩で分級された相対的にサイズが細かい篩下木質材料(粉体状物)によって上記表層及び裏層を構成することによって、軽量であり、機械的強度に優れるとともに、表面平滑性に優れる木質ボードとすることができる。
本発明の木質ボードの製法は特に限定されないが、上述の「[1]木質ボードの製造方法」で説明した方法によって製造することができる。更には、上述の「[2]マット状物」で説明したマット状物を熱圧成形することによって製造することができる。
本発明における木質ボードは、軽量であり且つ機械的強度に優れているため、自動車や鉄道等の車両、船舶、建材、家具、日用品等の分野において好適に利用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]木質ボードの製造
<実施例1>
(1−1)チップ状の木質材料の作製
ケナフ(靱皮植物)の芯材(ケナフコア、含水率;約10質量%)を用意し、ウッドチッパー(木材粉砕機)にて切断することにより、ケナフコアの木質片(長さ;20〜40mm)を得た。その後、得られた木質片を水に浸漬させ、木質片の含水率を30質量%以上に調整した。次いで、含水率が調整された木質片をナイフリングフレーカーにて切削し、チップ状の木質材料を作製した。
(1−2)木質材料の乾燥工程及び分級工程
得られたチップ状の木質材料を乾燥炉にて乾燥することにより、木質材料の含水率を5質量%に調整した。
その後、乾燥された木質材料をロータリースクリーン[篩;目開き1mm(JIS Z8801に準拠した公称目開きW=1.00mmの篩)]により、篩を通過した篩下木質材料(粉体状物、平均粒径D50;0.5mm)と、篩を通過しなかった篩上木質材料(薄片状物、平均厚み;0.4mm、主面における最大長さL;25〜35mm))の2つの群に篩い分けした。尚、薄片状物の平均厚みは、無作為に抽出した20個の平均値である。また、この薄片状物の最大長さLに対する、最大厚さL(上下方向の最大長さ)は1/3以下であった。
(1−3)接着剤塗布工程
篩分けされた各群の木質材料(篩上木質材料、篩下木質材料)に対し、それぞれ、熱硬化型接着剤を塗布した。
具体的には、撹拌羽根を備えるブレンダーに木質材料を配置し、撹拌しながら、熱硬化型接着剤(ポリメリックMDI接着剤、商品名「コスモネート M−50W」、三井化学SKCポリウレタン社製)及び水からなる液状組成物[各成分の質量比(熱硬化型接着剤:水)は1:1]を吹き付けることにより、接着剤を塗布した。そして、接着剤が付着され、且つ含水率が10質量%の木質材料を得た。尚、液状組成物の使用量は、木質材料の全乾状態を100質量%として、10質量%(接着剤;5質量%、水;5質量%)である。
(1−4)成形工程
接着剤が付着された各群の木質材料(篩上木質材料、篩下木質材料)を用いて、フォーミングマシン(マット成形機)により、篩下木質材料によって構成される表層、篩上木質材料によって構成される芯層、及び、篩下木質材料によって構成される裏層をこの順に備える3層構造のマット状物[各層の質量比(表層:芯層:裏層)は1.5:7:1.5]を成形した。
尚、マット状物を構成している木質材料の含水率は、10質量%のままであった。
(1−5)熱圧成形工程
得られた3層構造のマット状物を、プレス機により、プレス温度180℃、プレス圧力20kg/cm、プレス時間300秒の条件にて熱圧成形した後、離型して、3層構造の実施例1の木質ボード(厚み;15mm)を製造した。
<実施例2>
上記実施例1における(1−2)乾燥工程において、木質材料の含水率を3質量%に調整し、且つ、上記実施例1における(1−3)接着剤塗布工程において、液状組成物である熱硬化型接着剤[ユリアメラミン共縮合樹脂接着剤、商品名「UB−X」、J−ケミカル社製、樹脂分:水分(質量比)=3:2]を用いて、接着剤が付着され、且つ含水率が13質量%の木質材料を得たこと以外は、実施例1と同様にして木質ボード(実施例2)を得た。
尚、液状組成物の使用量は、投入した木質材料の全乾状態を100質量%として、25質量%である。
<実施例3>
上記実施例1における(1−2)乾燥工程において、木質材料の含水率を3質量%に調整し、且つ、上記実施例1における(1−3)接着剤塗布工程において、液状組成物である熱硬化型接着剤[フェノール樹脂接着剤、商品名「レヂトップPL−3630」、群栄化学工業社製、樹脂分:水分(質量比)=1:1)]及び水からなる液状組成物を用いて、接着剤が付着され、且つ含水率が18質量%の木質材料を得たこと以外は、実施例1と同様にして木質ボード(実施例3)を得た。
尚、液状組成物の使用量は、投入した木質材料の全乾状態を100質量%として、30質量%である。
<比較例1>
上記実施例1における(1−3)接着剤塗布工程において、熱硬化型接着剤(ポリメリックMDI接着剤、商品名「コスモネート M−50W」、三井化学SKCポリウレタン社製)及び水からなる液状組成物[各成分の質量比(熱硬化型接着剤:水)は1:5]を用いて、接着剤が付着され、且つ含水率が30質量%の木質材料を得たこと以外は、実施例1と同様にして木質ボード(比較例1)を得た。
尚、液状組成物の使用量は、投入した木質材料の全乾状態を100質量%として、30質量%である。
<比較例2>
上記実施例1における(1−2)乾燥工程において、木質材料の含水率を3質量%に調整し、且つ、上記実施例1における(1−3)接着剤塗布工程において、熱硬化型接着剤(ポリメリックMDI接着剤、商品名「コスモネート M−50W」、三井化学SKCポリウレタン社製)及び水からなる液状組成物[各成分の質量比(熱硬化型接着剤:水)は1:0.4]を用いて、接着剤が付着され、且つ含水率が5質量%の木質材料を得たこと以外は、実施例1と同様にして木質ボード(比較例2)を得た。
尚、液状組成物の使用量は、投入した木質材料の全乾状態を100質量%として、7質量%である。
[2]木質ボードの物性
実施例1〜3及び比較例1〜2の各木質ボードにおける、曲げ強度、はく離強さ、及び吸水厚さ膨脹率をJIS A5908に準じて測定した。更には、全乾密度をアルキメデス法により測定した。また、実施例1の木質ボードにおいては、熱伝導率、及びホルムアルデヒド放出量についても、JIS A5908に準じて測定した。これらの結果を表1に示す。
尚、比較例1においては、熱圧成形時に水蒸気が発生し、それにより木質ボードが破損(パンク)してしまったため、各物性の測定は行わなかった。
Figure 0006504635
[3]実施例の効果
熱圧成形に供するまでに木質材料の含水率を所定の範囲(8〜20質量%)に制御した実施例1〜3の木質ボードの製造方法によれば、全乾密度が0.30〜0.33g/cmであり、曲げ強度が9〜12MPaであり、はく離強さが0.06〜0.35MPaであり、吸水厚さ膨脹率が8〜20%である木質ボードが得られた。
これに対し、熱圧成形に供するまでに木質材料の含水率が所定の範囲(8〜20質量%)に制御されておらず、その含水率が30質量%と低い比較例1の製造方法では、熱圧成形時に水蒸気が発生し、それにより木質ボードが破損(パンク)してしまった。
また、熱圧成形に供するまでに木質材料の含水率が所定の範囲(8〜20質量%)に制御されておらず、その含水率が5質量%と低い比較例2の製造方法により得られた木質ボードにおいては、全乾密度が0.30g/cmであり、曲げ強度が5MPaであり、はく離強さが0.11MPaであり、吸水厚さ膨脹率が15%であり、実施例よりも機械的強度に劣っていた。
以上のことから、本実施例の製造方法によれば、軽量であり且つ機械的強度に優れる木質ボードを製造できることが確認できた。
前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。

Claims (7)

  1. 木質ボードの製造方法であって、
    靱皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料に、熱硬化型接着剤を付着させる接着剤塗布工程と、
    前記熱硬化型接着剤が付着された前記木質材料をマット状に成形する成形工程と、
    マット状に成形されたマット状物を熱圧成形する熱圧成形工程と、を備えており、
    前記マット状物を前記熱圧成形に供するまでに、前記マット状物を構成している前記木質材料の含水率(乾量基準)を8〜20質量%に調整し、
    前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
    前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とする木質ボードの製造方法。
  2. 前記接着剤塗布工程よりも前に、前記木質材料を乾燥する乾燥工程を備えており、
    前記接着剤塗布工程において、前記熱硬化型接着剤を水との混合物の形態で前記木質材料に付着させることによって、前記熱硬化型接着剤が付着された前記木質材料の含水率(乾量基準)を8〜20質量%に調整しており、
    前記乾燥工程後の前記木質材料の含水率は、前記接着剤塗布工程後の前記木質材料の含水率よりも低い請求項1に記載の木質ボードの製造方法。
  3. 前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤であり、
    前記ポリメリックMDI接着剤の使用量は、前記木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%である請求項1又は2に記載の木質ボードの製造方法。
  4. チップ状の木質材料が熱硬化型接着剤を介してボード状に熱圧成形された木質ボードであって、
    全乾密度が0.2〜0.5g/cmであり、
    曲げ強度が8MPa以上であり、
    前記木質材料は、靱皮植物の芯材を含んでおり、
    前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
    前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とする木質ボード。
  5. 前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤、フェノール樹脂系接着剤、及びユリアメラミン共縮合樹脂接着剤のうちの少なくとも1種である請求項4に記載の木質ボード。
  6. 熱圧成形されることにより木質ボードとなる熱圧成形前のマット状物であって、
    靭皮植物の芯材を含むチップ状の木質材料と、熱硬化型接着剤とを含み、
    前記木質材料の含水率(乾量基準)が8〜20質量%であり、
    前記木質材料の形状を、目開き1mmの篩を用いて分級した際に、篩上となる薄片状物及び篩下となる粉体状物とし、
    前記薄片状物と前記粉体状物との合計を100質量%とした場合に、前記薄片状物は55〜85質量%含有され、前記粉体状物は15〜45質量%含有されることを特徴とするマット状物。
  7. 前記熱硬化型接着剤は、ポリメリックMDI接着剤であり、
    前記ポリメリックMDI接着剤の含有量は、前記木質材料を全乾状態で100質量%とした場合に、4〜6質量%である請求項6に記載のマット状物。
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