本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るステアリング装置の周辺を模式的に示す図である。図2は、本実施形態に係るステアリング装置の側面図である。図3は、本実施形態に係るステアリング装置の平面図である。図4は、本実施形態に係るステアリング装置を車体上方側から見た斜視図である。以下の説明において、図2に示す回転中心軸Zrに沿う方向のうち、ステアリング装置100を車体VBに取り付けた場合の車体VBの前方側の方向は、単に前方と記載される。回転中心軸Zrに沿う方向のうち、ステアリング装置100を車体VBに取り付けた場合の車体VBの後方側の方向は、単に後方と記載される。また、回転中心軸Zrに対する直交方向のうち、ステアリング装置100を車体VBに取り付けた場合の車体VBの上方側の方向は、単に上方と記載される。回転中心軸Zrに対する直交方向のうち、ステアリング装置100を車体VBに取り付けた場合の車体VBの下方側の方向は、単に下方と記載される。すなわち、図2において、図中の左側が前方であり、図中の右側が後方であり、図中の上側が上方であり、図中の下側が下方である。
(ステアリング装置)
ステアリング装置100は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール14と、ステアリングシャフト15と、ユニバーサルジョイント16と、ロアシャフト17と、ユニバーサルジョイント18と、を備え、ピニオンシャフト19と接合している。
ステアリングシャフト15は、入力軸151と、出力軸152とを含む。入力軸151は、一方の端部がステアリングホイール14に連結され、他方の端部が出力軸152に連結される。例えば、入力軸151の表面には樹脂コーティングが施されている。これにより、入力軸151は樹脂を介して出力軸152に連結されている。出力軸152は、一方の端部が入力軸151に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント16に連結される。本実施形態では、入力軸151及び出力軸152は、機械構造用炭素鋼(SC材)、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM材)または冷間圧延鋼板(SPCC材)等の一般的な鋼材等から形成される。
ロアシャフト17は、一方の端部がユニバーサルジョイント16に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント18に連結される。ピニオンシャフト19は、一方の端部がユニバーサルジョイント18に連結される。
また、ステアリング装置100は、入力軸151を回転中心軸Zrを中心に回転可能に支持する筒状のインナーコラム51と、インナーコラム51の少なくとも一部が内側に挿入される筒状のアウターコラム54と、を含むステアリングコラム5を備える。インナーコラム51は、アウターコラム54よりも後方に配置されている。例えば、インナーコラム51およびアウターコラム54は、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM材)またはダイカスト用アルミニウム合金(ADC材)等で形成される。
ステアリング装置100は、車体側部材13に固定されてアウターコラム54を支持するアウターコラムブラケット52を備える。アウターコラムブラケット52は、冷間圧延鋼板(SPCC材)等の一般的な鋼材等で形成される。アウターコラムブラケット52は、車体側部材13に固定される取付板部522と、取付板部522に一体に形成された枠状支持部521と、を備えている。アウターコラムブラケット52の取付板部522は、図3および図4に示すように取付孔522hを有しており、取付孔522hおよびボルト等の固定部材を用いて車体側部材13に固定される。アウターコラムブラケット52の枠状支持部521は、アウターコラム54の両側に配置され、アウターコラム54を締め付けている。また、枠状支持部521には、車体VBの上下方向に長い長穴であるチルト調整孔521hが設けられている。
また、アウターコラム54は、前方端部に設けられるピボットブラケット55を有する。ピボットブラケット55は、回転軸551を中心として回転可能に車体側部材12に支持されている。回転軸551は、例えば水平方向に平行である。これにより、アウターコラム54は、鉛直方向に揺動可能に支持されている。
図5は、図2におけるA−A断面図である。図5に示すように、アウターコラム54は、2つのロッド貫通部31と、第1スリット541と、第2スリット542を有する。ロッド貫通部31は、例えばインナーコラム51の外壁から下方に突出する部材であり、丸孔であるロッド貫通孔31hを有する。2つのロッド貫通部31が有するそれぞれのロッド貫通孔31hは、第1スリット541を挟んで対向している。また、ロッド貫通部31の一部は、枠状支持部521と対向している。ロッド33は、2つのロッド貫通孔31hを貫通すると共に枠状支持部521のチルト調整孔521hを貫通し、操作レバー53と連結されている。
第1スリット541は、アウターコラム54のうちインナーコラム51の挿入側の一端を切り欠いた長穴である。第1スリット541は、2つのロッド貫通部31の間の位置に設けられている。アウターコラム54は、第1スリット541を有するので、締め付けられると内径が小さくなる。これにより、アウターコラム54が締め付けられている状態では、アウターコラム54がインナーコラム51を覆う部分において、アウターコラム54の内壁とインナーコラム51の外壁とは接触している。このため、アウターコラム54とインナーコラム51との間に摩擦力が生じている。例えば本実施形態においては、インナーコラム51の外壁にアウターコラム54との摩擦を低減するための低摩擦材によるコーティングが施されている。
図5に示すように、ステアリング装置100は、ステアリングコラム5に対する締付保持力を強固にするために、第1テレスコ摩擦板21と、第2テレスコ摩擦板22と、を有する。例えば、第1テレスコ摩擦板21および第2テレスコ摩擦板22は、冷間圧延鋼板(SPCC材)等の一般的な鋼材等で形成される。第1テレスコ摩擦板21は、回転中心軸Zr方向を長手方向とする長穴であるテレスコ調整孔21hを有する板状部材である。第1テレスコ摩擦板21は、例えばアウターコラム54の両側に配置されている。より具体的には、第1テレスコ摩擦板21は、枠状支持部521とロッド貫通部31との間の位置に2つずつ重ねて配置される。第2テレスコ摩擦板22は、例えば、板材を曲げて形成された部材であって、回転中心軸Zr方向から見て略U字形状である。第2テレスコ摩擦板22は、2つの第1テレスコ摩擦板21の間に配置される2つの摩擦部221と、2つの摩擦部221を連結する連結部222と、連結部222に設けられる屈曲部223と、を含む。
摩擦部221は、丸孔であるロッド貫通孔22hを有する。ロッド33は、テレスコ調整孔21hおよびロッド貫通孔22hを貫通している。連結部222が2つの摩擦部221を連結して一体にしているので、摩擦部221を2つの第1テレスコ摩擦板21の間に配置する作業が容易になる。また、連結部222は、屈曲部223を有することで、たわんだ状態を保つことができる。これにより、連結部222は、アウターコラムブラケット52の締め付け状態が変化して2つの摩擦部221同士の距離が変化した場合でも、摩擦部221を引っ張りにくくなっている。このため、摩擦部221が連結部222に引っ張られることによって摩擦部221と第1テレスコ摩擦板21との間に隙間が生じる可能性が低減される。
なお、第1テレスコ摩擦板21は、必ずしも枠状支持部521とロッド貫通部31との間の位置に配置されていなくてもよい。例えば、第1テレスコ摩擦板21は、枠状支持部521の外側に配置されていてもよい。すなわち、第1テレスコ摩擦板21は、枠状支持部521を挟んでロッド貫通部31と反対側に配置されていてもよい。
枠状支持部521が締め付けられると、第1テレスコ摩擦板21および第2テレスコ摩擦板22の摩擦部221は、枠状支持部521によってアウターコラム54のロッド貫通部31に押し付けられる。これにより、枠状支持部521と第1テレスコ摩擦板21との間、第1テレスコ摩擦板21と第2テレスコ摩擦板22の摩擦部221との間、第1テレスコ摩擦板21とロッド貫通部31との間においてそれぞれ摩擦力が生じる。このため、第1テレスコ摩擦板21および第2テレスコ摩擦板22がない場合に比較して、摩擦力が生じる面が増加する。枠状支持部521は、第1テレスコ摩擦板21および第2テレスコ摩擦板22によってより強固にアウターコラム54を締め付けることができる。
操作レバー53が回転させられると、枠状支持部521に対する締め付け力が緩められ、枠状支持部521とアウターコラム54との間の摩擦力がなくなるまたは小さくなる。これにより、アウターコラム54のチルト位置の調整が可能となる。本実施形態において、ステアリング装置100は、図4に示すように第1バネ56と、第2バネ57と、を備える。第1バネ56および第2バネ57は、例えばコイルバネである。第1バネ56の一端は取付板部522に取り付けられ、第1バネ56の他端はアウターコラム54に取り付けられている。第1バネ56は、チルト調整時におけるステアリングコラム5の上下動を補助するとともに、ステアリングコラム5の落下を抑制している。第2バネ57の一端は取付板部522に取り付けられ、第2バネ57の他端は操作レバー53に取り付けられている。第2バネ57は、操作レバー53を介してロッド33に予圧を加えている。具体的には、第2バネ57は、チルト調整孔521hの長手方向に対して交差する方向の予圧をロッド33に加えている。これにより、チルト調整時におけるロッド33のガタツキが抑制される。
また、操作レバー53が回転させられると、枠状支持部521に対する締め付け力が緩められ、アウターコラム54の第1スリット541の幅が大きくなる。これにより、アウターコラム54がインナーコラム51を締め付ける力がなくなるため、インナーコラム51が摺動する際の摩擦力がなくなる。これにより、操作者は、操作レバー53を回転させた後、ステアリングホイール14を介してインナーコラム51を押し引きすることで、テレスコ位置を調整することができる。
図6は、図2におけるB−B断面図である。図7は、図4のうちストッパーの周辺を拡大して示す図である。図6および図7に示すように、ステアリング装置100は、ストッパー7を備える。ストッパー7は、インナーコラム51のうち第2スリット542で露出する位置に取り付けられている。
ストッパー7は、例えば、ボルト71と、当て板72と、座金73と、スペーサー74と、通電プレート75と、を備える。当て板72は、円筒状の突起部を備えた金属製の板状部材である。当て板72の円筒状の突起部が、インナーコラム51のうち第2スリット542で露出する位置に設けられた貫通孔に対してインナーコラム51の内側から嵌め込まれている。当て板72は、円筒状の突起部の内壁に雌ネジを有する。ボルト71は、当て板72の雌ネジに締結される。座金73は、ボルト71のボルト頭部と当て板72との間に配置されている。座金73の底面は、インナーコラム51の外壁の形状に沿う形状となっている。これにより、ボルト71の姿勢が安定する。スペーサー74は、第2スリット542の内壁とボルト71との隙間および第2スリット542の内壁と当て板72との隙間を埋めるための部材である。スペーサー74は、例えば貫通孔を備える樹脂製部材である。ボルト71および当て板72がスペーサー74の貫通孔の内側に配置されている。通電プレート75は、例えば金属製の板状部材である。通電プレート75は、例えばボルト71の頭部とスペーサー74に挟まれて固定され、且つアウターコラム54に接している。これにより、インナーコラム51は、当て板72、ボルト71および通電プレート75を介してアウターコラム54と通電状態となっている。本実施形態において、例えばホーンのためにボディアースを行う場合、入力軸151から車体VB側に電気を流す必要がある。しかし、入力軸151が樹脂コーティングを介して出力軸152に連結されているので、入力軸151から出力軸152へ電気が流れない。また、インナーコラム51の外壁に低摩擦材によるコーティングが施されているので、インナーコラム51の外壁からアウターコラム54には電気が流れない。そこで、本実施形態においては、入力軸151からインナーコラム51に伝達した電気をアウターコラム54に流す機能をストッパー7が担っている。
ストッパー7は、インナーコラム51に取り付けられており、テレスコ調整が行われる際には第2スリット542の内壁に対向した状態で摺動することができる。スペーサー74が樹脂製であることにより、ストッパー7は、第2スリット542に対して滑らかに摺動する。ストッパー7は、テレスコ位置の調整時に第2スリット542の後方端部である第2端部内壁542eに接することで、テレスコ位置の調整範囲を規制している。また、スペーサー74が第2スリット542の内壁に接することで、ストッパー7は、回転中心軸Zrを中心としたインナーコラム51の回転を抑制している。
図8は、図2におけるC−C断面図である。図9は、図2におけるD−D断面図である。図10は、図9のうちインナーコラムブラケットの周辺を拡大して示す図である。図11は、図10におけるE矢視図である。図12および図13は、本実施形態に係るインナーコラムブラケットの斜視図である。ステアリング装置100は、例えばアルミニウム合金または鋼材等の金属で形成されたインナーコラムブラケット4を備える。例えば、図10に示すように、インナーコラムブラケット4は、インナーコラム51の下方に配置されている。図12および図13に示すように、インナーコラムブラケット4は、第1連結部材41と、第2連結部材42と、を備える。
図10に示すように、第1連結部材41は、固定部材9によりインナーコラム51に固定された部材である。固定部材9は、例えばリベットである。第1連結部材41は、固定部413と、連結部412と、突出部411と、を含む。固定部413、連結部412および突出部411によって、第1連結部材41は略J字形状となっている。
固定部413は、貫通孔413hを有する板状の部材であって、インナーコラム51に接触している。貫通孔413hは、インナーコラム51に開けられた貫通孔51hに重なっている。貫通孔413hおよび貫通孔51hを貫通する固定部材9によって、固定部413およびインナーコラム51が連結されている。また、図13に示すように、固定部413のインナーコラム側表面413aは、インナーコラム51の外壁の形状に沿った形状である。連結部412は、固定部413の前方端部でインナーコラム51から遠ざかる方向に向かって突出する部材である。連結部412は、固定部413および突出部411を連結している。突出部411は、連結部412の下方端部から後方に突出している。突出部411は、第1孔411hを有する板状の部材であって、固定部413よりも下方に位置している。例えば突出部411は、固定部413と平行に配置されている。後述する図14に示すように、突出部411に設けられた凹部415の底面に第1孔411hが開けられている。
また、第1連結部材41は、少なくとも一部がアウターコラム54の第1スリット541に嵌まるように配置されている。具体的には、第1連結部材41の固定部413が第1スリット541の内壁に対向するように嵌まっている。
図11に示すように、第2連結部材42は、アウターコラム54の両側で対向する2組の第1テレスコ摩擦板21に支持された部材である。第2連結部材42は、差込部423と、架設部421と、連結部422と、を含む。差込部423は、第1テレスコ摩擦板21に設けられた貫通孔に差し込まれる部材である。架設部421は、アウターコラム54の両側の第1テレスコ摩擦板21の間に架け渡された板状の部材であって、差込部423よりも下方に配置されている。架設部421は、第1連結部材41の突出部411の上方に重ねられている。架設部421は、例えば長手方向の中間部分に第2孔421hを有する。連結部422は、差込部423の端部からインナーコラム51に近付く方向に向かって設けられた部材である。連結部422によって、架設部421および差込部423が連結されている。
図10に示すように、第2孔421hは、突出部411の第1孔411hに重なっている。すなわち、第1孔411hと第2孔421hとは連通している。例えば、第1孔411hおよび第2孔421hは、それぞれ2つずつ設けられており、内周は全て同じである。また、第1孔411hおよび第2孔421hは、アウターコラム54の両側に配置されたそれぞれの第1テレスコ摩擦板21からの距離が等しい位置に配置される。
図10に示すように、第1連結部材41と第2連結部材42とを離脱可能に連結するため、シェアピン8が設けられている。第1孔411hと第2孔421hとに跨る位置にシェアピン8が挿入されることで、第1連結部材41と第2連結部材42とが離脱可能に連結されている。例えば、シェアピン8のせん断強度は、固定部材9のせん断強度よりも低い。より具体的には、本実施形態においてはシェアピン8が1つ設けられ且つ固定部材9が2つ設けられているので、1つのシェアピン8のせん断強度が、2つの固定部材9のせん断強度の和よりも低くなっている。
インナーコラムブラケット4は、インナーコラム51に取り付けられており、テレスコ調整が行われる際には第1スリット541の内壁に対向した状態で摺動することができる。テレスコ位置の調整時にロッド33がテレスコ調整孔21hの後方端部に接することで、テレスコ位置の調整範囲が規制されている。本実施形態においては、テレスコ位置の前方の限界がロッド33およびテレスコ調整孔21hで規制されており、テレスコ位置の後方の限界がストッパー7および第2端部内壁542eで規制されている。
また、第1スリット541の第1端部内壁541eは、ロッド33がテレスコ調整孔21hの後方端部に接している状態で、第1連結部材41に接しないように配置されている。すなわち、テレスコ位置が最も前方寄りである状態で、第1端部内壁541eと第1連結部材41との間には隙間が生じている。これにより、仮にテレスコ位置が最も前方寄りにされている場合であっても、第1連結部材41が前方に移動できるので、第1連結部材41が第2連結部材42から離脱することができる。
図14は、図10のうちシェアピンの周辺を拡大して示す図である。図15は、図14においてシェアピンのみを側面図として示す図である。本実施形態において、シェアピン8は、アウターピン81と、インナーピン82と、を備える。アウターピン81およびインナーピン82は、例えばポリアセタール等の樹脂で形成されている。
図14に示すように、アウターピン81は、第1孔411hおよび第2孔421hを貫通する筒状の部材である。アウターピン81は、例えば、本体部811と、抜止部812と、フランジ部813と、ガイド孔81hと、を備える。本体部811は、円筒状であって、第1孔411hおよび第2孔421hを貫通している。抜止部812は、本体部811の一端に設けられ、第2孔421hよりもインナーコラム51側に位置している。抜止部812は、円筒状であって、第1孔411hの内周および第2孔421hの内周よりも大きな外周を有する。これにより、抜止部812が第2孔421hの縁に接するので、アウターピン81が第1孔411hおよび第2孔421hから抜け落ちにくくなる。フランジ部813は、本体部811の他端に設けられ円盤状の部材である。フランジ部813の外周は、第1孔411hの内周および第2孔421hの内周よりも大きい。これにより、フランジ部813が凹部415の底面に接するので、アウターピン81が第1孔411hおよび第2孔421hから抜け落ちにくくなる。ガイド孔81hは、フランジ部813から抜止部812までを貫通する貫通孔である。
本実施形態において、アウターピン81は、圧入により第1孔411hおよび第2孔421hに挿入されている。アウターピン81が第1孔411hおよび第2孔421hに挿入されることで、第1孔411hおよび第2孔421hが位置決めされる。例えば、抜止部812が第1孔411h側から第1孔411hおよび第2孔421hに挿入される。抜止部812は、本体部811とは反対側の端部81eにおける外周が第1孔411hの内周および第2孔421hの内周よりも小さくなるように形成されている。これにより、抜止部812は、第2孔421hに挿入しやすくなっている。
なお、アウターピン81は、第2孔421h側から第1孔411hおよび第2孔421hに挿入されてもよい。また、アウターピン81は、本体部811の外壁にリブ等を設けた上で圧入されてもよい。
図15に示すように、アウターピン81は、抜止部812からフランジ部813に向かって設けられるノッチ81sを1つ備える。抜止部812が第1孔411hに挿入されると、アウターピン81の周方向におけるノッチ81sの幅dsが小さくなることで、抜止部812の外周が小さくなる。これにより、抜止部812は、第1孔411hおよび第2孔421hを通過しやすくなっている。以下の説明において、アウターピン81の周方向におけるノッチ81sの幅dsは、単にノッチ81sの幅dsと記載される。
なお、アウターピン81は、ノッチ81sを複数備えていてもよい。ノッチ81sが複数である場合、複数のノッチ81sは、アウターピン81の周方向で等間隔に配置されることが好ましい。
アウターピン81が第1孔411hおよび第2孔421hを貫通する前の状態において、本体部811の外周は、第1孔411hの内周および第2孔421hの内周よりも大きい。そして、アウターピン81が第1孔411hおよび第2孔421hを貫通している状態において、本体部811が変形することで、本体部811の外周が第1孔411hの内周および第2孔421hの内周に等しくなっている。これにより、本体部811が第1孔411hの内壁および第2孔421hの内壁を押している。このため、本体部811と第1孔411hの内壁との間の隙間および本体部811と第2孔421hの内壁との間の隙間が生じにくくなっている。これにより、アウターピン81のガタつきが抑制されている。
インナーピン82は、アウターピン81のガイド孔81hに挿入される部材である。インナーピン82は、例えば、胴体部821と、大径部822と、を備える。胴体部821は、円柱状であってガイド孔81hを貫通している。大径部822は、胴体部821の両端に設けられて、ガイド孔81hの外部に位置している。大径部822は、ガイド孔81hの内周よりも大きな外周を有する。これにより、大径部822がガイド孔81hの両端の縁に接するので、インナーピン82がアウターピン81から抜け落ちにくくなる。
なお、ガイド孔81hは、端部に内周を拡大した段差部を備えていてもよい。この場合、大径部822が段差部の縁に接するので、インナーピン82がガイド孔81hの端部から突出しにくくなる。
本実施形態において、インナーピン82は、圧入によりガイド孔81hに挿入されている。例えば、大径部822がフランジ部813側からガイド孔81hに挿入される。大径部822は、胴体部821とは反対側の端部82eにおける外周がアウターピン81の内周よりも小さくなるように形成されている。これにより、大径部822は、ガイド孔81hに挿入しやすくなっている。また、インナーピン82は、両端に同じ大径部822を備えているので、どちらの端部からでもガイド孔81hに挿入することができる。これにより、シェアピン8の組み立てが容易になっている。
インナーピン82がガイド孔81hに挿入される前の状態において、胴体部821の外周は、ガイド孔81hの内周よりも大きい。そして、胴体部821がガイド孔81hを貫通している状態において、胴体部821が変形することで、胴体部821の外周がガイド孔81hの内周に等しくなっている。これにより、胴体部821がガイド孔81hの内壁を径方向外側に押している。このため、胴体部821とガイド孔81hの内壁との間の隙間が生じにくくなっている。これにより、インナーピン82のガタつきが抑制されている。
胴体部821がガイド孔81hの内壁を径方向外側に押すことで、ノッチ81sの幅dsを拡げる力がアウターピン81に作用する。これにより、アウターピン81と第1孔411hの内壁および第2孔421hの内壁との間に生じる摩擦力が大きくなる。さらに、抜止部812におけるノッチ81sの幅dsが大きくなるので、抜止部812の外周が大きくなる。このため、アウターピン81とインナーピン82とが一体となったシェアピン8は、第1孔411hおよび第2孔421hに跨る位置に固定され、第1連結部材41および第2連結部材42を連結している。
ステアリング装置100は、アウターピン81によって第1孔411hおよび第2孔421hの位置決めをした後にインナーピン82を挿入して組み立てられるので、容易に組み立てることができる。
また、本実施形態に係るステアリング装置100は、第1孔411hおよび第2孔421hにシェアピン8を用いることで、樹脂部材を第1孔411hおよび第2孔421hに充填する場合に比較して、樹脂部材を充填するための装置および樹脂部材を受けるための部材が不要となる。このため、本実施形態に係るステアリング装置100は、組み立てを容易にすることができる。
なお、図14に示すように、凹部415の深さd1は、シェアピン8の第2孔421hから突出する部分の長さd2以上であることが好ましい。これにより、シェアピン8がインナーコラムブラケット4の表面よりも突出しなくなる。このため、シェアピン8が外力によって破損する可能性が低減される。
ステアリングホイール14に過大荷重が加えられると、当該荷重は、入力軸151を介してインナーコラム51に伝わる。これにより、インナーコラム51および第1連結部材41が前方に移動する。一方、第1テレスコ摩擦板21に支持されている第2連結部材42は移動しない。このため、シェアピン8にせん断力が加わるので、当該荷重がシェアピン8の許容せん断力を超える場合、シェアピン8は切断される。シェアピン8が切断されると、第1連結部材41と第2連結部材42との連結が解除される。第1連結部材41と第2連結部材42との連結が解除されると、インナーコラム51は、インナーコラム51とアウターコラム54との間に生じている摩擦力によって軸方向に支持される状態となる。よって、操作者がステアリングホール14に衝突して過大荷重が加わった場合、過大荷重が加わった直後にインナーコラム51を移動させるための力が低減し衝撃を吸収する。
また、シェアピン8が切断されても、アウターコラム54は、車体側部材13に固定されたアウターコラムブラケット52によって支持されたままである。また、インナーコラム51は、アウターコラム54によって支持されたままである。このため、シェアピン8が切断されても、ステアリングコラム5は落下しない。
図16は、切断された後のシェアピンの状態を説明するための図である。図16に示すように、シェアピン8は切断面BKで切断される。切断面BKは、シェアピン8のうち第1孔411hおよび第2孔421hに跨る部分に生じる。アウターピン81は本体部811で切断され、インナーピン82は胴体部821で切断される。このため、シェアピン8の許容せん断力は、切断面BKにおける本体部811の断面積および胴体部821の断面積に依存する。
図15に示すように、フランジ部813からノッチ81sの先端81sbまでの距離d3は、フランジ部813から架設部421までの距離d4よりも大きいことが好ましい。これにより、シェアピン8が切断する時の切断面BKにノッチ81sが含まれなくなる。このため、切断面BKにおける本体部811の断面にノッチ81s分の欠損部分がなくなるので、シェアピン8の許容せん断力のバラつきが抑制される。
また、シェアピン8が切断された後において、インナーコラム51が軸方向に対して真っ直ぐ移動することが望ましい。インナーコラム51の移動する方向がアウターコラム54の軸方向に対して角度をなす方向である場合、インナーコラム51の移動が妨げられる可能性またはインナーコラム51とアウターコラム54との間に生じる摩擦力が所定値よりも大きくなる可能性が高くなるためである。
本実施形態において、インナーコラムブラケット4は、図11に示したようにアウターコラム54の両側に配置された第1テレスコ摩擦板21に接合されている。これにより、インナーコラムブラケット4に軸方向荷重が加わったとき、インナーコラムブラケット4は、アウターコラム54の両側からの締付力を受ける。このため、シェアピン8が切断されるときのインナーコラムブラケット4の姿勢が安定する。したがって、インナーコラム51が移動を始める際の姿勢は、軸方向に対して真っ直ぐに保たれやすくなる。よって、インナーコラム51が軸方向に対して真っ直ぐ移動しやすくなる。
また、第1孔411hおよび第2孔421hは、インナーコラムブラケット4を挟んだ両側で対向する第1テレスコ摩擦板21からの距離が等しい位置に配置されている。これにより、インナーコラムブラケット4に軸方向荷重が加わったとき、インナーコラムブラケット4は、アウターコラム54の両側からの締付力をより均等に受けるので、シェアピン8が切断されるときのインナーコラムブラケット4の姿勢が安定する。したがって、インナーコラム51が移動を始める際の姿勢は、軸方向に対してより真っ直ぐに保たれやすくなる。よって、インナーコラム51が軸方向に対してより真っ直ぐ移動しやすくなる。
また、仮にインナーコラムブラケット4が、アウターコラム54の両側からの締付力を均等に受けることができなかった場合であっても、ストッパー7が第2スリット542に嵌まっているので、インナーコラム51は、第2スリット542の長手方向すなわち軸方向に案内される。このため、シェアピン8が切断されるときのインナーコラムブラケット4の姿勢が安定する。
なお、シェアピン8の許容せん断力は、第1孔411hおよび第2孔421hの個数、第1孔411hおよび第2孔421hの断面積、シェアピン8の材料を変更することで調節することができる。例えば、第1孔411hおよび第2孔421hの個数は、それぞれ1個でもよいし3個以上であってもよい。また、シェアピン8は、例えば、アルミニウム合金等の非鉄金属を含む金属、ゴム、プラスチックまたは木等で形成されていてもよい。
なお、シェアピン8は、必ずしも上述したアウターピン81およびインナーピン82で構成されていなくてもよい。例えば、シェアピン8は、第1孔411hおよび第2孔421hに跨る位置に充填された樹脂等が固まることによって形成されていてもよい。
なお、第1孔411hおよび第2孔421hは、それぞれ複数個であって、インナーコラム51の軸方向で異なる位置に設けられていてもよい。このようにした場合、シェアピン8は、軸方向で異なる位置に2つ配置される。これにより、第2連結部材42がシェアピン8を中心に回転することが抑制される。このため、シェアピン8が切断されるときのインナーコラムブラケット4の姿勢がより安定する。
図17は、比較例について、ステアリングコラムの変位量とステアリングコラムを移動させるために必要な荷重との関係を示すグラフである。図18は、本実施形態について、ステアリングコラムの変位量とステアリングコラムを移動させるために必要な荷重との関係を示す図である。図17および図18において、横軸はステアリングコラムの前方への変位量であり、縦軸はステアリングコラムを前方へ移動させるために必要な荷重である。
比較例は、特許文献1に記載の技術のように、アウターコラムがカプセルを介して車体に取り付けられている場合の例である。比較例においては、アウターコラムがインナーコラムよりも後方に配置されており、アウターコラムに過大荷重が加わると、アウターコラムと一体に設けられたテレスコ調整孔の端部にロッドが接触し、ブラケットを介して荷重がカプセルに伝わるようになっている。図17に示す力F2cは、カプセルの許容せん断力を示している。
比較例において、アウターコラムは、ブラケットの締め付けによってインナーコラムとの間に生じる摩擦力によって軸方向に支持されている。図17で示す力F1cは、アウターコラムを支持している当該摩擦力を示している。力F1cは、力F2cよりも小さい。通常使用において加わるような荷重によってアウターコラムが移動しないようにするために、力F1cは、所定値以上に保たれる必要がある。
比較例において、アウターコラムに力F2c以上の荷重が加わると、カプセルが切断されアウターコラムが車体から離脱する。その後、アウターコラムが、インナーコラムとの摩擦力で衝撃を吸収しながら軸方向に移動する。しかし、上述したように、力F1cが所定値以上に保たれているので、アウターコラムの移動を滑らかにして操作者を2次衝突からより保護しやすくすることが難しい。
一方、本実施形態において、インナーコラム51は、アウターコラムブラケット52の締め付けによってアウターコラム54との間に生じる第1摩擦力と、第1テレスコ摩擦板21と第1テレスコ摩擦板21に接触する部材(アウターコラムブラケット52、第2テレスコ摩擦板22、アウターコラム54)との間に生じる第2摩擦力と、によって軸方向に支持されている。図18に示す力F1は、第1摩擦力を示しており、力F3は、第1摩擦力と第2摩擦力との和を示している。また、図18に示す力F2は、シェアピン8の許容せん断力を示している。力F2は、力F3より小さくかつ力F1よりも大きい。
本実施形態において、インナーコラム51に力F2以上の荷重が加わると、シェアピン8が切断され、第1連結部材41が第2連結部材42から離脱する。これにより、インナーコラム51と第1テレスコ摩擦板21との連結が解除されるので、上述した第2摩擦力がインナーコラム51に対して作用しなくなる。このため、シェアピン8が切断された後において、インナーコラム51は、上述した第1摩擦力で衝撃を吸収しながら軸方向に移動する。本実施形態に係るステアリング装置100は、第1摩擦力を小さく設定すると、インナーコラム51の移動を滑らかにして操作者を2次衝突からより保護しやすくすることができる。
本実施形態においては、仮に第1摩擦力の設定値を小さくしたとしても、インナーコラム51を軸方向に支持するための力のうち、第1摩擦力を小さくした分を第2摩擦力が補完することができる。このため、本実施形態に係るステアリング装置100は、第1摩擦力の設定値と第2摩擦力の設定値を調節することで、通常使用において加わるような荷重によってインナーコラム51が移動することを抑制でき、かつ操作者を2次衝突からより保護しやすくすることができる。
上述したように、本実施形態に係るステアリング装置100は、インナーコラム51と、アウターコラム54と、アウターコラムブラケット52と、ロッド33と、第1連結部材41と、第2連結部材42と、シェアピン8と、を備える。インナーコラム51は、ステアリングホイール14に連結される入力軸151を回転可能に支持する筒状の部材である。アウターコラム54は、インナーコラム51の少なくとも一部が内側に挿入される筒状であって、インナーコラム51の挿入側の一端を切り欠いた第1スリット541を有する。アウターコラムブラケット52は、車体側部材13に固定され、アウターコラム54を支持し、板材であるテレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)と共にアウターコラム54を締め付ける。ロッド33は、テレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)およびアウターコラムブラケット52を貫通し、テレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)を支持する。第1連結部材41は、第1スリット541で露出するインナーコラム51の表面に固定され、第1孔411hが開けられている。第2連結部材42は、テレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)に支持され、第2孔421hが開けられている。シェアピン8は、第1孔411hと第2孔421hとに跨る位置にあって、第1連結部材41および第2連結部材42を離脱可能に連結する。
これにより、本実施形態に係るステアリング装置100において、ステアリングホイール14に過大荷重が加えられると、当該荷重は、入力軸151を介してインナーコラム51に伝わる。これにより、インナーコラム51および第1連結部材41が前方に移動する。一方、第1テレスコ摩擦板21に支持されている第2連結部材42は移動しない。このため、シェアピン8にせん断力が加わるので、当該荷重がシェアピン8の許容せん断力を超える場合、シェアピン8は切断される。シェアピン8が切断されると、第1連結部材41と第2連結部材42との連結が解除される。第1連結部材41と第2連結部材42との連結が解除されると、インナーコラム51は、インナーコラム51とアウターコラム54との間に生じている摩擦力によって軸方向に支持される状態となる。このため、ステアリングコラム5のうちインナーコラム51が前方に移動することができるようになる。また、シェアピン8が切断されても、アウターコラム54は、車体側部材13に固定されたアウターコラムブラケット52によって支持されたままである。また、インナーコラム51は、アウターコラム54によって支持されたままである。このため、シェアピン8が切断されても、ステアリングコラム5は落下しない。よって、本実施形態に係るステアリング装置100は、ステアリングコラム5が前方に移動する離脱荷重の設定値(シェアピン8の許容せん断力)を下げても、誤動作によるステアリングコラム5の落下を抑制できる。
また、本実施形態に係るステアリング装置100において、シェアピン8のせん断強度は、インナーコラム51および第1連結部材41を固定する固定部材9のせん断強度よりも低い。
これにより、2次衝突時において、固定部材9が切断されるよりも前にシェアピン8が切断される。このため、ステアリング装置100においては、シェアピン8のせん断強度が離脱荷重の設定値となるので、離脱荷重の設定が容易である。
また、本実施形態に係るステアリング装置100において、第1連結部材41は、インナーコラム51に接する固定部413と、インナーコラム51から遠ざかる方向に固定部413から突出する連結部412と、連結部412から後方に突出し且つ第1孔411hが開けられた突出部411と、を有する。第2連結部材42は、突出部411の上方に重ねられる。
これにより、仮に2次衝突以外の時にシェアピン8が切断された場合であっても、第2連結部材42が第1連結部材41によって支持される状態が保たれる。このため、予期しないシェアピン8の切断時において、第2連結部材42が第1連結部材41から脱落することが抑制される。
また、本実施形態に係るステアリング装置100において、アウターコラム54は、インナーコラム51よりも車体前方側に位置し、且つピボットブラケット55を備えており、離脱したインナーコラム51を挿入可能である。
これにより、アウターコラム54は、インナーコラム51が移動する際にインナーコラム51を案内しやすくなる。このため、インナーコラム51が軸方向に対して真っ直ぐ移動しやすくなる。したがって、インナーコラム51の移動が妨げられることまたはインナーコラム51とアウターコラム54との間に生じる摩擦力が所定値よりも大きくなることが抑制される。
また、本実施形態に係るステアリング装置100において、テレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)は、第2連結部材42の両側に配置される。第2連結部材42は、第2連結部材42の両側に配置されたそれぞれのテレスコ摩擦板(第1テレスコ摩擦板21)に固定される。
これにより、第2連結部材42に荷重が加わったとき、第2連結部材42は、両側からの締付力を受けるので、シェアピン8が切断されるときの第2連結部材42の姿勢が安定する。したがって、インナーコラム51が移動を始める際の姿勢は、軸方向に対してより真っ直ぐに保たれやすくなる。よって、インナーコラム51が軸方向に対して真っ直ぐ移動しやすくなるため、インナーコラム51の移動が妨げられることまたはインナーコラム51とアウターコラム54との間に生じる摩擦力が所定値よりも大きくなることが抑制される。
(変形例)
図19は、変形例に係るシェアピンの周辺部分を拡大し、シェアピンのみを側面図として示す図である。図20は、図19におけるF−F断面図である。変形例は、上述した実施形態と比較して、アウターピン81と異なるアウターピン81Aを備える点が相違する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図19に示すように、変形例に係るアウターピン81Aは、本体部811の外周面に突起部prを備える。突起部prは、弾性変形可能な部材であって、例えばゴム等の材料で形成されている。突起部prは、例えばフランジ部813から抜止部812に向かって直線状に設けられている。図20に示すように、アウターピン81Aは8つの突起部prを備えている。8つの突起部prは、本体部811の周方向に等間隔に配置されている。なお、アウターピン81Aが備える突起部prは必ずしも8つでなくてもよく、7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。
仮に、インナーピン82がガイド孔81hに挿入される前の状態で本体部811と第2孔421hとの間に間隙があっても、インナーピン82がガイド孔81hに挿入されるとノッチ81sの幅dsが大きくなり、本体部811の第2孔421hに対向する部分の外周が大きくなる。このため、本体部811と第2孔421hとの間の間隙は埋められやすい。これに対して、インナーピン82がガイド孔81hに挿入される前の状態で本体部811と第1孔411hとの間に間隙がある場合、インナーピン82がガイド孔81hに挿入されても本体部811の第1孔411hに対向する部分の外周は大きくなりにくい。このため、本体部811と第1孔411hとの間の間隙は埋められない可能性がある。
図19に示すように、第1孔411hの内周が公差の範囲内で第2孔421hの内周よりも大きい場合、本体部811と第1孔411hの内壁との間に間隙Δrが生じる可能性がある。間隙Δrは、シェアピン8Aがガタつく原因となる可能性がある。これに対して、変形例に係るアウターピン81Aは弾性変形可能な突起部prを備えるので、突起部prが間隙Δrを埋めることができる。これにより、本体部811の第1孔411hに対向する部分の外周が大きくなりにくい点を、突起部prが補完することができる。このため、変形例に係るステアリング装置100は、シェアピン8Aのガタつきを抑制できる。
図19に示すように、突起部prの長さd5は、第1孔411hの深さd4に等しいことが好ましい。これにより、第1孔411hの内周が公差の範囲内で第2孔421hの内周よりも大きい場合であっても、間隙Δrが深さd4の全長に亘って埋められる。このため、変形例に係るステアリング装置100は、シェアピン8Aのガタつきをより抑制できる。なお、突起部prの長さd5は、第1孔411hの深さd4より短くてもよいし長くてもよい。
上述したように、変形例に係るステアリング装置100において、アウターピン81Aは、本体部811の外周面に弾性変形可能な突起部prを備える。これにより、突起部prが、本体部811と第2孔421hの内壁との間の間隙または本体部811と第1孔411hの内壁との間の間隙Δrを埋めることができる。このため、変形例に係るステアリング装置100は、シェアピン8Aのガタつきを抑制できる。