JP6503160B2 - 感光性樹脂組成物、及び硬化レリーフパターンの形成方法 - Google Patents
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Description
高温処理によるデバイスの性能劣化を防ぐとべき要請があること
から、表面保護膜又は層間絶縁膜の形成材料に熱硬化温度の低下が求められている。具体的には、300℃に達しない温度における熱硬化性、さらには250℃以下における熱硬化性を求められることも多くなっている。
更に、特許文献2には、ビス(メトキシメチル)ビフェニルとフェノール化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂を含む感光性樹脂組成物が提案されている。この組成物から形成された硬化膜は、一般的なクレゾールノボラック樹脂を用いた硬化膜よりも優れた機械特性を示すことが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている組成物を硬化させた膜は、伸度が低いという問題があった。また、特許文献2に記載されている組成物は、レリーフパターンの形成後、硬化工程において昇温する際に膜が軟化してレリーフパターンが埋まるという問題があることが判明した。
更に、これら特許文献1記載されている組成物から形成された樹脂硬化物の伸度、又は特許文献2に記載されている組成物の硬化レリーフパターン形状を向上させるためには、それぞれの組成物に含有される樹脂の分子量を上げることが考えられる。しかし、これらの場合に樹脂の分子量を上げると、いずれにおいてもアルカリ溶解性の低下が見られ、現像時に残さが発生し、また硬化膜の基板との密着性の低下が見られることが判明した。
前記アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一部に、フェノール類と、少なくとも二つの窒素原子を有する共重合成分と、を反応させて得られる樹脂を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を為すに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(A)下記一般式(1):
X2は下記一般式(X2)で表される1価の有機基であり;
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Yは少なくとも二つの窒素原子を有する炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;そして
*は結合手を示す。}
で表される構造を含む樹脂を含むフェノール樹脂100質量部、及び
(B)光酸発生剤0.1〜70質量部
を含有する感光性樹脂組成物。
R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であり;
m3は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m4は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし、式(X1)中のm3、及びm4並びに式(X2)中のm3、及びm4は、それぞれ、1≦(m3+m4)≦4の関係にあり;
R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜11の1価の脂肪族基、及び炭素数1〜11の1価のフッ素化脂肪族基から成る群より選ばれる1価の基であり、ここで、複数のR3間、R4間又はR3とR4との間で環を形成していてもよく;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。}
前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(Y1)で表される基である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Zは炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
*は結合手を示す。}
前記一般式(1)におけるYが、ウレア、アミド、ウレタン、及びトリアジン環から成る群より選ばれる少なくとも一つの構造を含む、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
前記一般式(1)におけるYが、少なくとも下記一般式(Y1−1)〜(Y1−16)のいずれかの構造を含む、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
R12〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、R12〜R15のうちの二つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。}
R24、及びR25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R32〜R35は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
前記一般式(1)におけるYが、前記一般式(Y1−1)、(Y1−2)、(Y1−4)、(Y1−6)、(Y1−7)、(Y1−9)、(Y1−10)、(Y1−11)、及び(Y1−12)から成る群より選ばれるいずれかの基である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
前記フェノール樹脂が、下記一般式(2)で表される構造をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
R2は炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基並びに下記一般式(R2−1)、及び下記一般式(R2−2)のそれぞれで表される基から成る群から選ばれる1価の基であり;
m3は1〜3の整数であり、m4は0〜2の整数であり、ただし、1≦(m3+m4)≦4であり
R38〜R41は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基又は炭素数1〜10の1価のフッ素化脂肪族基であり;
R36、及びR37は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり;
m5、及びm6は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり;
Wは単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数1〜10のフッ素化鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数3〜20のフッ素化脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基又は下記一般式(W−1)のいずれかで表される基から選択される基である。}
前記一般式(2)におけるR38、及びR39が、それぞれ、水素原子である、[6]に記載の感光性樹脂組成物。
前記一般式(2)におけるWが単結合である、[6]又は[7]に記載の感光性樹脂組成物。
(C)架橋剤1〜50質量部をさらに含む、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
前記(B)光酸発生剤が、ナフトキノンジアジド化合物である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
以下の工程:
(1)[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
(2)前記塗膜を露光する露光工程、
(3)前記露光後の塗膜を現像してレリーフパターンを形成する現像工程、及び
(4)得られたレリーフパターンを加熱して、硬化レリーフパターンを形成する加熱工程、
を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
[11]に記載の方法により製造された硬化レリーフパターン。
半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜として[12]に記載の硬化レリーフパターンと、を備える半導体装置。
表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜として[12]に記載の硬化レリーフパターンと、を備える表示体装置。
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、及び(B)光酸発生剤を含有する。該感光性樹脂組成物は、これら以外に(C)架橋剤を含有していてもよく、更に所望によりその他の成分を含有することができる。
感光性樹脂組成物を構成する各成分について以下で詳細に説明する。なお、本明細書を通じ、一般式において同一符号で表される構造又は基が分子中に複数存在する場合には、それぞれ同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
−特定フェノール樹脂−
実施の形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1):
X2は下記一般式(X2)で表される1価の有機基であり;
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Yは少なくとも二つの窒素原子を有する炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;そして
*は結合手を示す。}
R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であり;
m3は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m4は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし、式(X1)中のm3、及びm4並びに式(X2)中のm3、及びm4は、それぞれ、1≦(m3+m4)≦4の関係にあり;
R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜11の1価の脂肪族基、及び炭素数1〜11の1価のフッ素化脂肪族基から成る群より選ばれる1価の基であり、ここで、複数のR3間、R4間又はR3とR4との間で環を形成していてもよく;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。}
で表される構造を有するフェノール樹脂を含有する。一般式(1)で表される構造を有するフェノール樹脂を、本明細書において、以下、「特定フェノール樹脂」と呼ぶ。
前記一般式(X1)、及び(X2)におけるR3、及びR4としては、感光性樹脂組成物としたときの感度の観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の1価の脂肪族基であることが好ましく、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、R3、及びR4のすべてが水素原子であることがより好ましい。
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Zは炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;そして
*は結合手を示し;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。}
水素原子であるか、或いは二つのR9基が結合してカルボニル基を形成することが、特に望ましい。
前記一般式(Y1)におけるZとしては、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、ウレア、アミド、ウレタン、及びトリアジン環から成る群より選ばれる少なくとも一つの構造を含むことが望ましい。ここで、ウレア、アミド、及びウレタン構造とは、それぞれ、以下の構造をいう。
アミド構造:−CON<で表される3価の構造
ウレタン構造:−COO−N<で表される3価の構造
得られる硬化レリーフパターンにおいて、より高い耐熱性を得るとの観点から、Yは、ウレア、アミド、ウレタン、及びトリアジン環から成る群より選ばれる少なくとも一つの構造を含むことが更に望ましく;
下記一般式(Y1−1)〜(Y1−16)のいずれかの構造を含むことが、特に望ましい。
R12〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基であり、R12〜R15のうちの二つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。}
R24、及びR25はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜12の脂肪族基である。)
R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。)
R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。)
R32〜R35は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。)
前記一般式(Y1−2)におけるR12、R13、R14、及びR15;
前記一般式(Y1−7)におけるR16;
前記一般式(Y1−8)におけるR17、R18、及びR19;
前記一般式(Y1−9)におけるR21、及びR22;
前記一般式(Y1−11)におけるR24、及びR25;
前記一般式(Y1−13)におけるR26、R27、R28、及びR29;
前記一般式(Y1−14)におけるR30、及びR31;並びに
前記一般式(Y1−16)におけるR32、R33、R34、及びR35としては、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族基であることが好ましく、水素原子であることが特に望ましい。
前記一般式(Y1−4)におけるV2としては、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、炭素数1〜15の2価の有機基であることが好ましい。
前記一般式(Y1−11)におけるV4としては、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、炭素数1〜15の2価の有機基であることが好ましい。
前記一般式(Y1−12)におけるV5は、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、炭素数1〜15の2価の有機基であることが好ましい。
リソグラフィー特性の観点から、前記一般式(1)におけるYは、前記の一般式(Y1−1)、(Y1−2)、(Y1−4)、(Y1−6)、(Y1−7)、(Y1−9)、(Y1−10)、(Y1−11)、及び(Y1−12)のいずれかの構造を含むことが望ましい。
R2は炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基並びに前記一般式(R2−1)、及び前記一般式(R2−2)のそれぞれで表される基から成る群から選ばれる1価の基であり;
m3は1〜3の整数であり、m4は0〜2の整数であり、ただし、1≦(m3+m4)≦4であり;
R38〜R41は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基又は炭素数1〜10の1価のフッ素化脂肪族基であり;
R36、及びR37は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり;
m5、及びm6は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり;
Wは単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数1〜10のフッ素化鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数3〜20のフッ素化脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、又は下記一般式(W−1)のいずれかで表される基である。)
更に、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から、前記一般式(2)におけるWが単結合であることが好ましい。
前記一般式(2)R1、R2、m3、及びm4の好ましい例は、前記一般式(1)におけるR1、R2、m3、及びm4の場合として前述したのと同じである。
前記一般式(2)R36、及びR37は、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性、及び伸度の観点から、炭素数1〜4の鎖状脂肪族基であることが好ましい。
前記一般式(2)m5、及びm6は、得られる硬化レリーフパターンの耐熱性の観点から0又は1であることが好ましく、0が特に好ましい。
R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であり;
m3は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m4は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし、式(3)中のm3、及びm4並びに式(4)中のm3、及びm4は、それぞれ、1≦(m3+m4)≦4の関係にあり;
R38、及びR39は、それぞれ独立に、水素原子若しくはは炭素数1〜11の1価の有機基であるか、又はカルボキシル基、スルホン酸基、及びフェノール性水酸基可成る群より選ばれす少なくとも一種の基を含む基であり;
R40〜R43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基又は炭素数1〜10の1価のフッ素化脂肪族基であり;
R44は水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基であり;
R45は炭素数1〜10の1価の脂肪族基又は炭素数1〜10の1価のフッ素化脂肪族基であり;
m7は1〜3の整数であり;
m8は0〜3の整数であり;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてよい。)
本実施の形態における特定フェノール樹脂は、前記のような一般式(3)で表される構造を、特定フェノール樹脂の全質量に対して、60質量%以下の範囲で有することができ、5〜50質量%有することがより好ましく、更に10〜40質量%有することが好ましい。
また、特定フェノール樹脂は、前記のような一般式(4)で表される構造を、特定フェノール樹脂の全質量に対して、60質量%以下の範囲で有することができ、5〜50質量%有することがより好ましく、更に10〜40質量%有することが好ましい。
このような範囲で前記一般式(3)、及び(4)のそれぞれで表される構造から成る群より選ばれる少なくとも一種の構造を有する特定フェノール樹脂を含有する感光性樹脂組成物は、塗膜のアルカリ溶解性、リソグラフィー時の感度、及び硬化レリーフパターン形状に優れるという利点を有する。
特定フェノール樹脂は、フェノール化合物と重合成分とを重合反応させることによって合成できる。
重合成分としては、メチロール基を分子内に2個以上有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物、ハロアルキル基を分子内に2個以上有する化合物、及びアルデヒド基を分子内に2個以上有する化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
フェノール化合物と重合成分との仕込み量は、前記一般式(1)で表される構造を確実に形成するとの観点から、フェノール化合物を当量よりも多く使用することが好ましい。
反応制御、並びに得られる特定フェノール樹脂、及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物、及び重合成分の仕込みモル比(フェノール化合物:重合成分)は、5:1〜1.01:1とすることが好ましく、2.5:1〜1.1:1とすることが好ましい。
フェノール化合物としては、1価〜3価のフェノールが挙げられ、2価フェノール、及び3価フェノールが好ましい。
本明細書において、1価フェノールとは、ベンゼン環に1個の水酸基が直接結合した化合物をいう。具体的には、1価フェノールとしては、例えば、フェノール、及び炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基によって芳香環上の水素原子が置換されているフェノールが挙げられる。これらのうち、得られる硬化レリーフパターンの熱膨張率の観点から、フェノール又はクレゾールが好ましい。
以下、特定の種類、及び数の置換基を有する式(X1)、及び(X2)を導くフェノール化合物の具体例について説明する。
R2がニトロ基の場合のフェノール化合物としては、例えば2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、4−ニトロカテコール、2−ニトロレゾルシノールなどが挙げられる。
この重合成分は、前記の通り、メチロール基を分子内に2個以上有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物、ハロアルキル基を分子内に2個以上有する化合物、及びアルデヒド基を分子内に2個以上有する化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物である。
本実施の態様においては、重合成分として、前記の条件を満たし、且つ少なくとも二つの窒素原子を有する化合物を含む重合成分を使用する。
重合成分は、前記一般式(1)におけるYを与える化合物である。従って、この重合成分は、前記一般式(Y1)で表される構造を含む化合物であることが好ましく;
前記一般式(Y1−1)〜(Y1−16)のいずれかの構造を含む化合物であることがより好ましく;そして
前記一般式(Y1−1)、(Y1−2)、(Y1−4)、(Y1−6)、(Y1−7)、(Y1−9)、(Y1−10)、(Y1−11)、及び(Y1−12)から成る群より選ばれるいずれかの構造を含む化合物であることが、特に好ましい。
この理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように推察している。すなわち、
塗膜がアルカリ溶解性に優れる理由は、窒素原子を有する極性基がアルカリ溶液との親和性に優れているためであり;
硬化後のレリーフパターン形状が良好な理由は、窒素原子を有する極性基が樹脂の水酸基などと強固な水素結合を形成するため樹脂軟化点が高くなり、従って硬化工程における昇温中にパターンが軟化することを防いでいるためであり;
硬化レリーフパターンのガラス転移温度が優れる理由も、前記の強固な水素結合形成のためであり;そして
硬化レリーフパターンが基板との密着性に優れる理由は、窒素原子を有する基が基板と強く相互作用するためであろう。本発明の実施の形態における樹脂組成物がシランカップリング剤を含有する場合には、該シランカップリング剤が基板表面上に偏在し、これと窒素原子を有する基とが強く相互作用することにより、より強力な密着性が発現されるものと考えられる。
パターン形成時(露光時)の光感度の観点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びイソブチルアルデヒドから成る群より選ばれる1種以上がより好ましい。
前記で説明されたフェノール化合物と、前記で説明された重合成分とを、好ましくは適当な重合触媒の存在下で加熱撹拌することによって、本実施の形態における特定フェノール樹脂を得ることができる。
前記の重合触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸性触媒、アルカリ性触媒などが挙げられる。酸性触媒としては、例えば、
塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸;
メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸;
三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などの他、
硫酸ジエチルなどが挙げられる。
触媒としては、酸性触媒を使用することが好ましい。
有機溶剤の使用量は、仕込み原料の総質量100質量部に対して、好ましくは10質量部〜1,000質量部であり、より好ましくは20質量部〜500質量部である。また、特定フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、20℃〜250℃の範囲が好ましく、40℃〜200℃の範囲がより好ましい。反応時間は、好ましくは1時間〜20時間である。
実施の形態における(A)アルカリ可溶性樹脂は、前記の特定フェノール樹脂のみから成っていてもよいし、特定フェノール樹脂以外に、他のアルカリ可溶性樹脂を更に含有していてもよい。他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば特定フェノール樹脂以外のフェノール樹脂、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリアミド、及びポリイミド、並びにこれらの樹脂の誘導体、前駆体、及び共重合体が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有する。
実施の形態における感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有することにより、紫外線、電子線、X線などに代表される活性光線(放射線)に感応して樹脂パターンを形成できることとなる。この感光性樹脂組成物は、ネガ型(未照射部が現像により溶出)又はポジ型(照射部が現像により溶出)のいずれであってもよい。
トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)ビス(4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジンなど。
ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナートなど。
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナートなど。
1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物など。具体例としては、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物など。
β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物、及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物など。具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンなど。
アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類など。好ましい具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなど。
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドなど。
2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(BASF社製 商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(BASF社製 商品名「イルガキュアPAG103」)、[2−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(BASF社製 商品名「イルガキュアPAG108」)、α−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(BASF社製 商品名「CGI725」)など。
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなど。
キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は、例えば、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、米国特許第3,669,658号明細書などに記述されている。
キノンジアジド化合物のうち、1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を、以下、「NQD化合物」ともいう。このNQD化合物は、以下に詳述する複数のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、「ポリヒドロキシ化合物」ともいう。)の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルから成る群から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれか一方を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることができ;
同一分子中にナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、及びナフトキノンジアジド−5−スルホニル基の双方を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることができる;或いは
ナフトキノンジアジド−4−スルホニルエステル化合物とナフトキノンジアジド−5−スルホニルエステル化合物との混合物を使用してもよい。
これらのNQD化合物は、単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
感光性樹脂組成物がネガ型である場合、
(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(B)光酸発生剤の配合量は、0.1質量部〜70質量部であり、0.1質量部〜50質量部であることが好ましく、1質量部〜40質量部であることがより好ましい。該配合量が0.1質量部以上であれば感度の向上効果を良好に得ることができ、一方で、該配合量が50質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好になるため好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(B)光酸発生剤の配合量は、0.1質量部〜70質量部であり、好ましくは1質量部〜40質量部、より好ましくは5質量部〜30質量部である。この配合量が0.1質量部であれば良好な感度が得られ、一方で、70質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好になるため好ましい。
実施の形態における感光性樹脂組成物は、前記のような(A)アルカリ可溶性樹脂、及び(B)光酸発生剤を含有するが、これら以外に、必要に応じて、例えば(C)架橋剤、熱酸発生剤、染料、界面活性剤、シランカップリング剤、溶解促進剤、架橋促進剤などを更に含有していてもよい。
実施の形態では、硬化物の熱物性、及び機械的物性を更に向上させるために、(C)架橋剤を感光性樹脂組成物に更に配合することが好ましい。
商品名で、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(商品名、DIC社製)、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(商品名、ナガセケムテックス社製)などが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化膜の伸度、及び耐熱性の観点から、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、及びEM−150から選択されるエポキシ化合物が特に好ましい。
本明細書におけるアルデヒド変性体とは、加熱により分解してアルデヒドを生成する化合物をいう。このようなアルデヒド変性体の例としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒドなどが挙げられる。
商品名でタケネート500、600、コスモネートNBDI、ND(商品名、三井化学社製)、デュラネート17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(商品名、旭化成ケミカルズ社製)などが挙げられる。
商品名で例えばサイメル300、301、303、370、325、327、350、771、703、712、235、236、238、212、253、254、506、508、1123、1128、1141マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラックMS―11、ニカラックMW―30MH、−100LH、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)などが挙げられる。中でも、得られる硬化膜の伸度、及び耐熱性の観点から、ニカラックMW−30MH、MW−100LH、MW−390、サイメル300、303、1123、マイコート102、105から成る群より選択される1種以上を使用することが特に好ましい。
R47はヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、エステル基、及びウレタン基から成る群より選ばれる1価の基であり;
m9は1〜5の整数であり、m10は、0〜4の整数であり、ここで、1≦(m8+m9)≦5であり;
m11は、1〜4の整数であり;
V10は、m11=1のとき、CH2OR46又はR47(ここで、R46、及びR47は、それぞれ、前記の定義と同じである。)であり、m11=2〜4のとき、単結合又は2〜4価の有機基であり;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。}
前記一般式(C1)で表される化合物の具体例としては、例えばベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニルなどの他;
商品名で例えばDML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)などを;
前記一般式(C2)で表される化合物の具体例としては、商品名で例えばUFR65(三井サイテック社製)、ニカラックMX−270、−280、−290(以上、三和ケミカル社製)などを、それぞれ挙げることができる。中でも、得られる硬化物の伸度、及び耐熱性の観点から、ベンゼンジメタノール、TMOM−BP、TMOM−BPA、及びTML−BPAF−MF、MX−270、MX−280、MX−290から成る群より選択される1種以上を使用することが特に好ましい。
V11は−CH2−、−O−、及び−S−から成る群から選ばれる2価の基であり;
V12は2価の有機基であり;
m11は、0〜4の整数であり;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。}
前記一般式(C3)で表される化合物の具体例としては、例えば、BANI−M、BANI−X(丸善石油株式会社製)などを、それぞれ挙げることができる。
好ましい具体的な多価アミン化合物の例としては、例えばエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,12−ドデカンジアミンなどを、それぞれ挙げることができる。
(C)架橋剤として、多価アルコール化合物、及び多価アミン化合物から選択される1種以上を使用すると、(A)アルカリ可溶性樹脂がカルボニル基を有する樹脂を含有する場合に、カルボニル基への求核置換反応により、樹脂同士を効率よく架橋することが可能となる。
熱酸発生剤としては、例えばカルボン酸エステル類、環状カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、環状スルホン酸エステル類、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、フタル酸無水物などを使用することができる。
これらの熱酸発生剤の中でも、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、メタンスルホン酸2−イソプロポキシエチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、パーフルオロブタンスルホン酸エチル、パーフルオロブタンスルホン酸メチル、パーフルオロオクタンスルホン酸エチル、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトンなどのスルホン酸エステル類、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などを、好ましい例として挙げることができる。
染料としては、例えばメチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーンなどが挙げられる。感光性樹脂組成物が熱酸発生剤を含有する場合、該感光性樹脂組成物中の染料の配合量としては、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましい。
界面活性剤としては、例えば
ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリグリコール類、及びその誘導体などの非イオン系界面活性剤;
フロラード(登録商標、商品名、住友3M社製)、メガファック(登録商標、商品名、大日本インキ化学工業社製)、ルミフロン(登録商標、商品名、旭硝子社製)などのフッ素系界面活性剤;
KP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)などの有機シロキサン界面活性剤
などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、限定されるものではないが、例えばフェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p−トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、下記構造のそれぞれで表される化合物などを、好ましい例として挙げることができる。
溶解促進剤としては、例えば、水酸基又はカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。
水酸基を有する化合物の例としては、例えば直鎖状フェノール化合物、非直鎖状フェノール化合物、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミドなどが挙げられる。
光により酸を発生するものとしては、例えばTPS−105、1000、DTS−105、NDS−105、165(商品名、みどり化学社製)、
DPI−DMAS、TTBPS−TF、TPS−TF、DTBPI−TF(商品名、東洋合成社製)などのオニウム塩;
NAI−100、101、105、106、PAI−101(商品名、みどり化学社製)、
イルガキュアPAG−103、108、121、203、CGI−1380、725、NIT、1907、PNBT(商品名、BASFジャパン社製)などのオキシムスルホネート
などが挙げられる。
2,6−ピペリジン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミノ基をウレタン基又はウレア基に変換したもの
などが挙げられる。ここで、ウレタン基としては例えばt−ブトキシカルボニルアミノ基などが挙げられ、ウレア基としては例えばフェニルアミノカルボニルアミノ基などが挙げられる。
イルガキュア819(商品名、BASFジャパン社製)などのアシルフォスフィンオキサイド;
イルガキュア784(商品名、BASFジャパン社製)などのチタノセン;
イルガキュアOXE01、02(商品名、BASFジャパン社製)などのオキシムエステル
などが挙げられる。
本実施の形態における感光性樹脂組成物は、前記の(A)アルカリ可溶性樹脂、及び(B)光酸発生剤、並びに必要に応じて配合されるその他の成分が、好ましくは溶剤中に溶解されて構成される溶液組成物として調製される。
ここで使用される溶剤としては、例えばアミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などが挙げられる。
別の実施の形態では、前記で説明された感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを形成する方法が提供される。硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)前記の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
(2)前記塗膜を露光する露光工程、
(3)前記露光後の塗膜を現像してレリーフパターンを形成する現像工程、及び
(4)得られたレリーフパターンを加熱して、硬化レリーフパターンを形成する加熱工程、
を含む。
(1)塗膜形成工程
先ず、前記で説明された感光性樹脂組成物を、適当な支持体又は基板、例えばシリコンウエハー、セラミック、アルミ基板などに塗布する。塗布時には、形成するパターンと支持体との耐水接着性を確保するために、予め支持体又は基板にシランカップリング剤などの接着助剤を塗布しておいてもよい。感光性樹脂組成物の塗布は、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどにより行うことができる。
次に、前記のようにして得られた塗膜を露光する。露光用の活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できるが、200nm〜500nmの波長のものが好ましい。パターンの解像度、及び取り扱い性の観点から、光源波長は、水銀ランプのg線、h線又はi線が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、又は2つ以上の活性光線を混合して使用してもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、又はステッパ−が特に好ましい。露光後、必要に応じて、80℃〜140℃において30秒〜10分程度、塗膜を再度加熱してもよい。
次に、前記露光後の塗膜を現像して、レリーフパターンを形成する。
この現像工程においては、例えば浸漬法、パドル法、回転スプレー法などの適宜の方法により、現像が行われる。現像により、塗膜から、露光部(ポジ型の場合)又は未露光部(ネガ型の場合)を溶出除去され、レリーフパターンを得ることができる。
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩類など
の水溶液の他、
前記の水溶液に例えばメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒又は界面活性剤を適当量添加した水溶液などを使用することができる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。該水溶液におけるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、好ましくは0.5質量%〜10質量%であり、更に好ましくは1質量%〜5質量%である。
最後に、前記のようにして得られたレリーフパターンを加熱することにより、硬化レリーフパターンを得ることができる。加熱温度は、150℃〜300℃が好ましく、150℃〜250℃がより好ましい。加熱時間は、20分〜5時間とすることができる。
半導体装置がこのような耐熱温度の制約を持たない場合であれば、もちろん、実施の形態においても、300℃〜400℃での加熱処理が行われてよい。
このような加熱処理は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどにより行うことができる。加熱処理を行う時の雰囲気気体としては、空気を用いてもよく、又は窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いることもできる。また、より低温にて熱処理を行う必要が有る場合には、真空ポンプなどを利用して減圧下に加熱を行ってもよい。
形成される硬化レリーフパターンの厚さとしては、1〜40μmが好ましい。
別の実施の形態では、前記で説明された感光性樹脂組成物を用いて、前記で説明された方法で形成された硬化レリーフパターンを有する半導体装置が提供される。
この実施の形態における半導体装置は、半導体素子と該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備えており、そして前記硬化膜は、前記で説明された硬化レリーフパターンである。この硬化膜は、半導体素子に直接接触して積層されていてもよく、又は別の層を間に挟んで積層されていてもよい。該硬化膜は、例えば表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する半導体装置の保護膜などであることができる。
この実施の形態における半導体装置は、既知の半導体装置の製造方法と上述した本発明の硬化レリーフパターンの形成方法とを組み合わせることにより、製造することができる。
更に別の実施の形態では、前記で説明された感光性樹脂組成物を用いて、前記で説明された方法で形成された硬化レリーフパターンを有する表示体装置が提供される。
この実施の形態における表示体装置は、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備えており、そして前記硬化膜は、前記で説明された硬化レリーフパターンである。この硬化膜は、表示体素子に直接接触して積層されていてもよく、又は別の層を間に挟んで積層されていてもよい。該硬化膜は、例えばTFT液晶表示素子又はカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、平坦化膜;
MVA型液晶表示装置用の突起;
有機EL素子陰極用の隔壁などであることができる。
この実施の形態における表示体装置は、既知の表示体装置の製造方法と上述した硬化レリーフパターンの形成方法とを組み合わせることにより、製造することができる。
GPCにより、標準ポリスチレン(昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105)換算で算出した。使用したGPC装置、及び測定条件は以下の通りである。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.01mol/l LiBr/N−メチルピロリドン
流速:1.0ml/min.
各合成例で得られた樹脂を、γ−ブチロラクトンに固形分濃度37質量%となるように溶解させて樹脂溶液とした。この樹脂溶液をシリコンウエハー上にスピンコートした後、ホットプレート上で120℃において180秒間プリベークを行って、10μmの膜厚の塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜を、2.38質量%、液温23.0℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、AZ300MIF)中に60秒間ディップした後に、再び膜厚を測定し、塗膜の溶解速度を算出した。溶解速度が0.01μm/sec以上であった場合を、アルカリ溶解性「良」とし、0.01μm/sec未満であった場合を「不良」とした。
本評価において、膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)を用いて測定した。
各実施例又は比較例で得られた感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートした後、ホットプレート上で120℃において180秒間プリベークを行って、10μmの膜厚の塗膜を形成した。この塗膜に、i線(365nm)の露光波長を有するステッパNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて、テストパターン付きレチクルを介して露光量500mJ/cm2のi線を照射した。次に、現像機(D−SPIN)にて、23℃に調温した2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液AZ−300MIF(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて、100μm四方のレリーフパターンが解像するまで現像してレリーフパターンを形成した後、純水でリンスした。リンス後のレリーフパターンを光学顕微鏡を用いて観察し、5μm四方のレリーフパターンの状態を調べた。このレリーフパターン中に残さが見られず、解像していた場合を現像性「良」とし、パターン中に残さが見られ、解像していなかった場合を現像性「不良」とした。
各実施例又は比較例で得られた感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートした後、ホットプレート上で120℃において180秒間プリベークを行って、10μmの膜厚の塗膜を形成した。この塗膜に、i線(365nm)の露光波長を有するステッパNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて、テストパターン付きレチクルを介して露光量500mJ/cm2のi線を照射した。次に、現像機(D−SPIN)にて、23℃に調温した2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液AZ−300MIF(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて、100秒間現像ししてレリーフパターンを形成した後、純水でリンスした。更に、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)を用いて、リンス後のレリーフパターンを窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱して硬化することにより、硬化レリーフパターンを得た。
得られた硬化レリーフパターンを光学顕微鏡を用いて観察し、20μm四方のレリーフパターンが埋まらずに形状を維持していた場合を硬化レリーフパターン形状「良」とし、形状が崩れてパターンが埋まってしまった場合を硬化レリーフパターン形状「不良」とした。
伸度測定用サンプルを以下の方法で作製した。
最表面にアルミ蒸着層を設けた6インチシリコンウエハー基板に、各実施例又は比較例で得られた感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように回転塗布した後、ホットプレート上で120℃において180秒間プリベークを行い、塗膜を形成した。この塗膜を窒素雰囲気下200℃で1時間加熱して、膜厚10μmの硬化膜を得た。前記の膜厚は、大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)を用いて測定した。
得られた硬化膜をダイシングソーで3mm幅にカットした後、濃度10質量%の希塩酸水溶液に2日間浸漬してウエハーから剥離することにより、20本の試料を得た。これらの試料を、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上静置した後、引っ張り試験機(テンシロン)を用いて引っ張り試験を行って、伸度(引っ張り破断伸び)を測定した。この引っ張り試験の測定条件は以下の通りとした。膜の引っ張り伸度としては、20本の平均値を採用した。
測定温度:23℃
測定環境の相対湿度:50%
初期試料長さ:50mm
試験速度:40mm/min
ロードセル定格:2kgf
各実施例又は比較例で得られた感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレート上で120℃において180秒間プリベークを行い、10μmの膜厚の塗膜を形成した。この塗膜を、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)を用いて、窒素雰囲気下、250℃において1時間加熱して硬化を行うことにより、硬化膜を得た。この硬化膜について、JIS K 5600−5−6規格のクロスカット法に準拠して密着性試験を行い、シリコン基板/硬化樹脂塗膜間の接着特性を以下の基準に基づいて評価した。
「良」:基板に接着している硬化膜の格子数が100であった場合
「不良」:基板に接着している硬化膜の格子数が0〜99であった場合
(B−1):下記式で示す光酸発生剤
(C―1):ニカラックMX―270(商品名、三和ケミカル社製、下記式で示す架橋剤)
(D−1):下記式で示すシランカップリング剤
<樹脂P−1の合成>
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換した後、該セパラブルフラスコ中で、2価フェノールとしてのレゾルシン77.1g(0.700mol)、その他の共重合成分としての4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(BMMB)84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸・一水和物0.381g(0.002mol)、及びジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)50gを70℃において混合攪拌して固形物を溶解させ、混合溶液(反応液)を得た。
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した後、反応液にテトラヒドロフラン200gを加えて攪拌し、希釈した。次いで、この反応希釈液を、8Lの水中に高速攪拌下で滴下して、生成した樹脂を分散析出させた。析出した樹脂を回収し、水洗、及び脱水の後に真空乾燥を施すことにより、樹脂(P−1)を収率66%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−1)のGPCによる重量平均分子量Mwは、ポリスチレン換算で12,400であった。
<樹脂P−2〜P−5、及びP−7〜P−9の合成>
前記合成例1において、2価フェノール、共重合成分、及びその他の共重合成分の種類、及び量を、それぞれ、表1に記載の通りとした他は、合成例1と同様にして、樹脂P−2〜P−5、及びP−7〜P−9を合成した。ただし、合成例5においては、2価フェノール、その他の共重合成分、及びp−トルエンスルホン酸・一水和物とともに加えるDMDGの量を116gとした。
各合成例における収率、及び得られた樹脂の重量平均分子量Mwを、表1に示した。
<樹脂P−6の合成>
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換した後、該セパラブルフラスコ中で、2価フェノールとしてのレゾルシン73.4g(0.667mol)、その他の共重合成分としてのBMMB60.6g(0.250mol)、p−トルエンスルホン酸・一水和物0.381g(0.002mol)、及びDMDG50gを70℃で混合攪拌して固形物を溶解させ、混合溶液(反応液)を得た。
得られた反応液をオイルバスにより120℃に加温した。この時、反応液よりメタノールが発生することを確認した。引き続き120℃において反応液を5時間攪拌して反応を行った後に、液温を60℃に降温した。
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、反応液にテトラヒドロフラン200gを加えて攪拌し、希釈した。この反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下して、生成した樹脂を分散析出させた。析出した樹脂を回収し、水洗、及び脱水の後に真空乾燥を施すことにより、樹脂(P−6)を収率77%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−6)のGPCによる重量平均分子量Mwは、ポリスチレン換算で28,600であった。
<樹脂P−10の合成>
容量1.0リットルのセパラブルフラスラスコ中で、m−クレゾール108g(1.00mol)、p−クレゾール162g(1.50mol)、42質量%ホルマリン96.2g(ホルムアルデヒド換算で40.4g、1.35mol)、p−トルエンスルホン酸・一水和物0.381g(0.002mol)、DMDG75gを50℃で混合攪拌して固形物を溶解させ、混合溶液(反応液)を得た。
得られた反応液をオイルバスにより120℃に加温した。この時、ディーン・スターク管にトラップされた成分をカールフィッシャー水分計で分析し、反応液より水が発生したことを確認した。引き続き120℃において反応液を5時間攪拌した後に、液温を60℃に降温した。
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した後、反応液にテトラヒドロフラン400gを加えて攪拌し、希釈した。この反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下して、生成した樹脂を分散析出させた。析出した樹脂を回収し、水洗、及び脱水の後に真空乾燥を施すことにより、樹脂(P−10)を収率72%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−10)のGPCによる重量平均分子量Mwは、ポリスチレン換算で16,700であった。
<アミド化合物(AM−1)の合成>
容量0.5Lのセパラブルフラスコ中に、3,3’−オキシジプロピオニトリル29.9g(0.241mol)、イオン交換水30g、及び6Nの水酸化ナトリウム水溶液9.00mL(0.0540mol)を仕込んで撹拌し、混合溶液を得た。この混合溶液を、オイルバスにより35℃に加熱した後に、34.5質量%過酸化水素水129mL(0.00131mol)を滴下漏斗から50分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で引き続き1時間撹拌を継続して反応を行った。
反応終了後、反応液に、重曹3.0g、12Nの硫酸水溶液3.0mL、重曹を3.3g、及び二酸化マンガン2.7gをこの順で加えた後、フィルターでろ過を行った。得られたろ液をエバポレーターにより濃縮した後、メタノール、及び酢酸エチルを加えて再結晶を行うことにより、3,3’−オキシジプロピオンアミド単量体15.2gを得た。
このろ液に濃硫酸5.0mLを加えた後、オイルバスにて50℃に昇温し、引き続き50℃で2時間撹拌した。次いで、反応液に重曹の飽和水溶液を加えて中和した後に、エバポレーターにて反応液を濃縮した。濃縮液に塩化メチレン100mL、及び硫酸ナトリウム3.0gを加えて30分間撹拌した後に、フィルターを用いてろ過を行った。エバポレーターを用いて得られたろ液から溶媒を除去した後に真空乾燥を行うことにより、下記式で表されるアミド化合物(AM−1)8.1gを得た(収率20%)。
本合成例を前記の反応スケールで繰り返して実施することにより、以降の合成例で使用するアミド化合物(AM−1)の必要量を確保した。
<樹脂P−11の合成>
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換した後、該セパラブルフラスコ中で、2価フェノールとしてのレゾルシン77.1g(0.700mol)、その他の共重合成分としての4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(BMMB)84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸・一水和物0.381g(0.002mol)、及びDMDG50gを70℃で混合攪拌して固形物を溶解させ、混合溶液(反応液)を得た。
溶解させた反応液をオイルバスにより120℃に加温した。この時、反応液よりメタノールが発生することを確認した。引き続き120℃において反応液を5時間攪拌して反応を行った後に、液温を60℃に降温した。
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した後、反応液にテトラヒドロフラン200gを加えて攪拌し、希釈した。前記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下して生成した樹脂を分散析出させた。析出した樹脂を回収し、水洗、及び脱水の後に真空乾燥を施すことにより、樹脂(P−11)を収率67%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−11)のGPCによる重量平均分子量Mwは、ポリスチレン換算で13,700であった。
<アミド化合物(AM−2)の合成>
反応容器中に、前記合成例11で得たアミド化合物(AM−1)を7.4g、パラホルムアルデヒド9.7g、イオン交換水8.0g、及び6Nの水酸化ナトリウム水溶液1.5gを仕込んで撹拌し、混合溶液を得た。この混合溶液を、オイルバスにより50℃に加熱し、引き続き50℃において6.5時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応液を別容器に移し、メタノールを250mL加えた後、フィルターでろ過を行った。
このろ液に濃硫酸2.5mLを加えた後、オイルバスにて50℃に昇温し、引き続き50℃で2時間撹拌を継続した。その後、重曹の飽和水溶液を用いて反応液を中和した後に、エバポレーターにて反応液を濃縮した。濃縮液に塩化メチレン50mL、及び硫酸ナトリウムを加えて30分間撹拌した後、フィルターを用いてろ過を行った。得られたろ液をシリカゲルカラムにて分離精製することにより、下記式で表されるアミド化合物(AM−2)5.1gを得た(収率51%)。
本合成例を前記の反応スケールで繰り返して実施することにより、以降の合成例で使用するアミド化合物(AM−2)の必要量を確保した。
<樹脂P−12の合成>
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換した後、該セパラブルフラスコ中で、2価フェノールとしてのレゾルシン73.4g(0.667mol)、その他の共重合成分としてのBMMB84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸・一水和物0.381g(0.002mol)、及びDMDG116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させ、混合溶液(反応液)を得た。
得られた反応液をオイルバスにより120℃に加温した。この時、反応液よりメタノールが発生することを確認した。引き続き120℃において反応液を5時間攪拌して反応を行った後に、液温を60℃に降温した。
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した後、反応液にテトラヒドロフラン200gを加えて攪拌し、希釈した。前記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下して生成した樹脂を分散析出させた。析出した樹脂を回収し、水洗、及び脱水の後に真空乾燥を施すことにより、樹脂(P−12)を収率79%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−12)のGPCによる重量平均分子量Mwは、ポリスチレン換算で50,600であった。
[共重合成分]
E−3903:ニカラックE−3903(商品名、三和ケミカル社製)
MX−260:ニカラックMX−260(商品名、三和ケミカル社製)
DMOAGN:2,4−ビス〔ビス(メトキシメチル)アミノ〕−6−メチル−1,3,5−トリアジン、前記式(41)で表される化合物
MX−270:ニカラックMX−270(商品名、三和ケミカル社製)
PDMGU:フェニル化3a、6a−ジメチルグリコールウリル
TTMOBGN:2,4−ビス〔ビス(メトキシメチル)アミノ〕−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、前記式(31)で表される化合物
MW−390:ニカラックMW−390(商品名、三和ケミカル社製)
AM−1:合成例11で得たアミド化合物(AM−1)
AM−2:合成例13で得たアミド化合物(AM−2)
[その他の共重合成分]
BMMB:4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル
CDM:4−メチル−2,6−ヒドロキシメチルフェノール
合成例1〜10、12、及び14で得られた樹脂P−1〜P−12、並びに
樹脂P−13(EP−4080G:m−クレゾール:p−クレゾール=60:40の混合物とホルムアルデヒドとを縮合させたノボラック樹脂、旭有機材社製、重量平均分子量=10,600)、
樹脂P−14(MEH−7851−SS:フェノールと4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルを縮合させたフェノール−ビフェニルジイル樹脂(下記一般式(24):
樹脂P−15(MEH−7851−4H:フェノールと4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルを縮合させたフェノール−ビフェニルジイル樹脂を主として含む樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=10,000)
を用い、上述の方法によりアルカリ溶解性の評価を行った。結果を下記の表2に示す。
(実施例1〜21、及び比較例1〜6)
表3に示した種類、及び量の樹脂、光酸発生剤、架橋剤、及びシランカップリング剤をγ−ブチロラクトン(GBL)150質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過することにより、ポジ型の感光性樹脂組成物を、それぞれ調製した。表3において、成分が空欄の場合は、当該実施例又は比較例において、空欄に該当する成分を使用していないことを示す。
前記で調製した感光性樹脂組成物を用いて、上述の方法に従って、現像時の残さ、硬化時の残膜率、硬化レリーフパターン形状、引っ張り伸度、及び基板密着性を評価した。評価結果は表3に示した。
表3に示した結果から、十分なアルカリ溶解性を有する樹脂を含有する本発明の感光性樹脂組成物は、現像時の残さが少なく、硬化膜の引っ張り伸度に優れ、硬化レリーフパターンの形状が良好であり、そして基板との密着性の良好な樹脂膜を与えることが明らかとなった。
Claims (13)
- (A)下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造を含む樹脂を含むフェノール樹脂100質量部、及び
(B)光酸発生剤0.1〜70質量部
を含有する感光性樹脂組成物。
X2は下記一般式(X2)で表される1価の有機基であり;
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Yは少なくとも二つの窒素原子を有する炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;そして
*は結合手を示す。}
R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であり;
m3は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m4は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし、式(X1)中のm3、及びm4並びに式(X2)中のm3、及びm4は、それぞれ、1≦(m3+m4)≦4の関係にあり;
R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜11の1価の脂肪族基、及び炭素数1〜11の1価のフッ素化脂肪族基から成る群より選ばれる1価の基であり、ここで、複数のR3間、R4間又はR3とR4との間で環を形成していてもよく;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていても良い。}
R2は炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基並びに下記一般式(R2−1)、及び下記一般式(R2−2)のそれぞれで表される基から成る群から選ばれる1価の基であり;
m3は1〜3の整数であり、m4は0〜2の整数であり、ただし、1≦(m3+m4)≦4であり
R38〜R41は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基又は炭素数1〜10の1価のフッ素化脂肪族基であり;
R36、及びR37は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり;
m5、及びm6は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり;
Wは単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数1〜10のフッ素化鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数3〜20のフッ素化脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基又は下記一般式(W−1)のいずれかで表される基から選択される基である。}
- 前記一般式(2)におけるR38、及びR39が、それぞれ、水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(2)におけるWが単結合である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- (A)下記一般式(1)で表される構造を含む樹脂を含むフェノール樹脂100質量部、
(B)ナフトキノンジアジド化合物である光酸発生剤0.1〜70質量部、
(C)架橋剤1〜50質量部、及び
シランカップリング剤
を含有する感光性樹脂組成物。
X2は下記一般式(X2)で表される1価の有機基であり;
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Yは少なくとも二つの窒素原子を有する炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;そして
*は結合手を示す。}
R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であり;
m3は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m4は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし、式(X1)中のm3、及びm4並びに式(X2)中のm3、及びm4は、それぞれ、1≦(m3+m4)≦4の関係にあり;
R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜11の1価の脂肪族基、及び炭素数1〜11の1価のフッ素化脂肪族基から成る群より選ばれる1価の基であり、ここで、複数のR3間、R4間又はR3とR4との間で環を形成していてもよく;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていても良い。} - 前記シランカップリング剤の配合量が、(A)フェノール樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部である、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(Y1)で表される基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
m1は1〜6の整数であり、m2は0〜5の整数であり、ただし、2≦(m1+m2)≦6であり;
Zは炭素数1〜20の(m1+m2)価の有機基であり;ただし、
同一の符号で表される基が複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
*は結合手を示す。} - 前記一般式(1)におけるYが、ウレア、アミド、ウレタン、及びトリアジン環から成る群より選ばれる少なくとも一つの構造を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)におけるYが、少なくとも下記一般式(Y1−1)〜(Y1−16)のいずれかの構造を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
R12〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、R12〜R15のうちの二つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。}
R24、及びR25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。}
R32〜R35は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基である。} - 前記一般式(1)におけるYが、前記一般式(Y1−1)、(Y1−2)、(Y1−4)、(Y1−6)、(Y1−7)、(Y1−9)、(Y1−10)、(Y1−11)、及び(Y1−12)から成る群より選ばれるいずれかの基である、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
- 以下の工程:
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
(2)前記塗膜を露光する露光工程、
(3)前記露光後の塗膜を現像してレリーフパターンを形成する現像工程、及び
(4)得られたレリーフパターンを加熱して、硬化レリーフパターンを形成する加熱工程、
を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。 - 半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜としての硬化レリーフパターンと、を備える半導体装置の製造方法であって、
以下の工程:
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を半導体素子上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
(2)前記塗膜を露光する露光工程、
(3)前記露光後の塗膜を現像してレリーフパターンを形成する現像工程、及び
(4)得られたレリーフパターンを加熱して、硬化レリーフパターンを形成する加熱工程、
を含む、半導体装置の製造方法。 - 前記半導体装置が、高誘電体材料又は強誘電体材料から成る絶縁層を有し、
前記(4)加熱工程における加熱温度が150℃〜300℃である、
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。 - 表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜としての硬化レリーフパターンと、を備える表示体装置の製造方法であって、
以下の工程:
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を表示体素子上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
(2)前記塗膜を露光する露光工程、
(3)前記露光後の塗膜を現像してレリーフパターンを形成する現像工程、及び
(4)得られたレリーフパターンを加熱して、硬化レリーフパターンを形成する加熱工程、
を含む、表示体装置の製造方法。
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