JP6503134B1 - 塗装板の測色方法、及び、その方法を用いた調色方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法において、実際の補修工程と同等の複層塗膜の測色を、測色計を汚すことなくかつ簡便に、より短時間で精度良く行うことができる、塗装板の測色方法を提供すること。【解決手段】着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法であって、(1)着色塗料を塗装し、着色塗膜を形成する工程、(2)着色塗膜の上にクリヤ塗料を塗装し、クリヤ塗膜を形成する工程、(3−1)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜形成後5分以内に、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、又は、(3−2)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、完全に乾燥していない状態の前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、を含む、塗装板の測色方法。【選択図】図3

Description

[関連出願の相互参照]本出願は、2018年9月7日に出願された、日本国特許出願第2018−168261号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明は、着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法、及び、その方法を用いた調色方法に関する。
塗料販売店、自動車補修工場、調色工場等においては、塗装板を作製し、これを測色計を用いて測色する作業工程がある。
自動車補修塗装の分野では、調色作業の標準化、作業時間の短縮を目的として、カラーセンサーとコンピューターを用いるコンピューター調色法(コンピューターカラーマッチング;CCM)を採用することが一般的となってきている。コンピューター調色法は、高度な調色技能を必要としないことから、だれでも容易に調色を早く行うことができる方法であり、全体での生産性向上に寄与し、広く普及している方法である。
コンピューター調色法(コンピューターカラーマッチング;CCM)は、各調色材料の特性値等のデータをあらかじめコンピューターに入力しておき、補修対象となる自動車ボディーをカラーセンサーで測色して種々のデータを取り、それらのデータに基づいて調色材料の配合率計算をコンピューターで行い、得られた配合率に基づいて1種以上の調色材料を秤量・混合して着色塗料を作製し、得られた着色塗料を基材に塗装して乾燥させ調色試験塗板を作製するものである。
作製した調色試験塗板は、測色計により測色及び/又は補修部分周囲との比色に用いられる。結果がよくない場合には、作製した調色試験塗板の測色データ等を踏まえてコンピューターで再計算して調色材料の配合を修正するか、作業者の感覚により配合を修正して調色し、再度調色試験塗板を作製し、該調色試験塗板を測色計により測色及び/又は補修部分周囲と比色する作業を、合格となるまで繰り返して行う必要がある。
実際の補修塗装現場、たとえば、自動車外板等の補修塗装時には、損傷部をパテやサーフェーサーで埋めた後に、1種以上の調色材料を混合して目標色に向けて調色された着色塗料を、損傷部周辺を中心に塗装し、その上にクリヤ塗料を塗装する方法がとられている。この目標色となる色は、補修部分周囲の色であり、太陽光等の影響により新車時の色調から変化した色調となっていることがあるため、補修部分周囲の色と一致させて違和感のない外観に仕上げるためには、複層塗膜を有する調色試験塗板を多数作製しこれらを測色し、比色する作業が必要である。
したがって、塗装する部分の色を周囲と一致させ違和感のない外観に仕上げるためには、コンピューター調色法を用いて1種以上の調色材料を混合し目標色に向けて調色された着色塗料をもとに着色塗膜を形成し、その上にクリヤ塗料を塗装してクリヤ塗膜を形成して複層塗膜を設けて調色試験塗板を作製し、得られた調色試験塗板を測色計により測色及び/又は補修部分周囲と比色する作業を、目的とする色の複層塗膜が得られるまで続ける必要がある。
このため、自動車補修塗装において、調色作業の標準化、調色時間の短縮による生産性向上を図るために、精度の高い測色をより短時間で行うことができる方法が求められていた。
複層塗膜の調色試験塗板、特に、着色塗膜の上にクリヤ塗膜を有する複層塗膜の調色試験塗板の測色については、クリヤ塗膜がない状態で測色した場合や、実際に用いるクリヤ塗膜とは異なる材料を塗布又は貼り付けした場合等には、測色値が実際の複層塗膜の色と異なるものとなってしまう問題がある。
とりわけ、光輝性顔料を含むメタリック塗料等の光輝塗料により形成した着色塗膜を有する複層塗膜の場合には、着色塗膜のみ単膜での色調と複層塗膜としたときの色調の差が顕著であるため、実際に用いるクリヤ塗膜を有する複層塗膜の状態で測色を行わなければ、精度の高い測色を行うことが困難である。
また、補修塗装現場では、クリヤ塗膜を得るためのクリヤ塗料としては、主剤と硬化剤とから構成される2液型ウレタンクリヤ塗料を用いることが多い。
このような2液型ウレタンクリヤ塗料の調整に際しては、主剤と硬化剤とをそれぞれ正確に計量して混合しなければならず、さらに、焼付硬化にも時間がかかり、多くの手間と時間が必要となっている。
特に、複層塗膜を有する調色試験塗板を多数作製する際には、複層塗膜を焼付硬化する工程(及びその後冷却する工程)に多くの時間を要することから、調色時間の短縮による生産性向上を図るためには、複層塗膜を焼付硬化する工程を省略することも考えられる。
しかしながら、光輝性顔料を含むメタリック塗料等の光輝塗料により形成した着色塗膜を有する複層塗膜の場合において、クリヤ塗膜の乾燥が不十分であると、塗膜中に残存する溶剤によって混層が生じ、アルミ顔料等の光輝性顔料の配向がみだれる等のモドリムラが発生し、仕上り外観が低下することがあり、正確な測色値を得ることができない。
また、クリヤ塗料を塗装後にクリヤ塗膜が未乾燥の状態で接触型測色計を用いて塗装板(調色試験塗板)を測色すると、未乾燥の塗料が測色計に付着して汚れてしまい測色計の清掃に時間が必要となったり、未乾燥塗膜に残存している揮発成分が測色計の部品等を劣化させたりしてしまうため、接触型測色計を用い連続して測色を安定的に行うことが不可能である。
非接触型測色計を用いてクリヤ塗膜が未乾燥の状態で塗装板(調色試験塗板)を測色する方法も考えられるが、同条件で安定して測色を行うための大掛かりな装置が必要となり、また、そのような装置を用いない場合には測定条件が一定とならない等の測色の精度の点で改良の余地がある。
また、依然として揮発成分による測色計の部品劣化の問題があり、誤って未乾燥塗膜に接触させてしまった場合には、部品が汚れて清掃等の問題も生じることとなる。
このような状況において、これまで以下のような提案がなされている。
特許文献1には、調色試験塗板作製に要する時間の削減方法として、調色後のメタリック塗装面Aと目標色のメタリック塗装面Bとを比較する際に、前記塗装面Aを有機溶剤によりあらかじめ湿潤させておく調色判定方法が開示されている。この調色判定方法によれば、時間をかけずにメタリック塗装面の光沢をクリヤ塗料が上塗りされたような外観とすることができるが、目標色によっては、測色計による測定値と実際の色との間でズレが生じ、精度良く調色塗料配合を得ることができない場合もあり、また、測色装置の汚れや有機溶剤による測色計への影響が懸念される。
特許文献2には、指触乾燥された着色塗料塗膜の上に、この着色塗料塗膜を溶解しない液体を塗布し、この上に無色透明で固形状のクリヤ塗料の単離塗膜等の薄膜を載せ、その薄膜を介して着色塗料塗膜の測色を行う方法を含む着色塗料塗膜の色の測定方法が記載されている。しかしながら、メタリック色の調色塗膜に対してこのような方法を用いると、測色計による測定値と実際の色との間でズレが生じるおそれがある。また、薄膜を載せたことによってメタリック色の調色塗膜に発生する「モドリムラ」の制御等ができず、正確な測色値を得ることができないという問題がある。
特許文献3には、(1)測色用基材表面に調色用の着色液体を噴霧塗装を除く塗装方法により塗装を行って一定膜厚の調色用着色ウエット膜を形成する工程と、(1A)形成された調色用着色ウエット膜を必要に応じて乾燥して調色用着色ドライ膜を形成する工程と、(2)形成された着色ウエット膜もしくは必要に応じて乾燥して形成された着色ドライ膜の表面に透明液体を噴霧塗装を除く塗装方法により塗装を行って一定膜厚の透明ウエット膜を形成する工程と、(2A)形成された透明ウエット膜を必要に応じて乾燥して透明ドライ膜を作製する工程と、(3)透明ウエット膜又は透明ドライ膜の表面から色測定機により測色する工程と、(4)上記(3)の工程により測色された調色用の色と、要求される色見本サンプルを色測定機により測色したサンプルの色との差を算出する工程と、(5)上記(4)の工程により調色用の色とサンプルの色との差が小さく、着色液体の調色が必要ないと判断されるときは調色を終了し、また、差が大きく、更に着色液体の調色が必要と判断されるときは、前記(1)〜(4)の工程を1回もしくは複数回繰り返して、調色用の色とサンプルの色との差が小さく、着色液体の調色が必要ないと判断されるまで調色を行う工程と、を有する調色方法であって、測色用基材表面に塗装される調色用の着色液体として所定の見掛け粘度範囲及び所定の粘性(構造粘性指数)範囲を有するものを用いる調色方法、が記載されている。
この調色方法は、着色塗料の塗装手段としてスプレー塗装を用いるものではないことから、実際の塗装手段がスプレー塗装である場合には、色相関性が悪く調色が難しいという問題がある。また、実質的に、クリヤ塗料を塗装した後に加熱(140℃で20分)して透明ドライ膜を形成後に測色するものであるから、加熱時間及び冷却時間等を含む作業時間の短縮等の生産性向上の点で問題がある。
特許文献4には、塗膜材料の色彩管理を行うために、乾燥硬化前の液膜を測色する装置であって、液膜形成用基材の表面に一定厚みの液膜を形成する液膜形成手段と、液膜の表面に近接した位置で液膜に非接触で測色を行う測色手段とを備え、これらが隣接して配置されているとともに、これらの下方に、液膜形成手段から測色手段へと液膜形成用基材を移送する移送手段を備え、かつ、前記測色手段には、その測定面と液膜の表面との間隔を決める位置決め手段が付設されていて、前記液膜形成用基材を前記移送手段上に保持したままで、液膜の形成と測色を行うようになっており、前記液膜形成用基材には、塗膜を形成する液体材料が供給され水平に配置される平坦な表面を有し、前記液膜形成手段として、液膜形成用基材の表面に沿って相対移動する、かき取り部材を備えていることを特徴とする液膜用測色装置、が記載されている。
この装置は、非接触型測色計だけでなく、接触型測色計を用いても、乾燥していない塗膜である液膜について、精度の高い測色を行い得ることが可能であるとされているが、装置の構成が複雑であって測色操作も煩雑である。
また、光輝性顔料を含むメタリック塗料等の光輝塗料により形成した着色塗膜を有する複層塗膜にも有効であるとの記載はない。さらに、特に光輝性顔料を含むメタリック塗料による着色塗膜と、該着色塗膜上にクリヤ塗膜を設けた複層塗膜とでは、色調・ムラ等の点で顕著な差異が生じることがあるため、クリヤ塗膜を有する複層塗膜の状態で測色を行っていないと、特にメタリックの複層塗膜の塗装板(調色試験塗板)に対しては、精度の高い測色を行えない場合がある。
さらに、スプレー塗装装置を使用するものではないことから、実際の塗装手段がスプレー塗装である場合には色相関性が悪く調色が難しいという問題がある。
特許文献5、6には、積分球分光測色計による測色対象物を対象とした測色動作が行われる際に、測色対象物にマスク部材を押し当てて測色することが記載されている。当該マスク部材は、ターゲットマスク等とも称されるものであって、マスク本体部に測色対象物のうちの測色の対象となる領域(測色対象領域)のサイズを規定する窓部が設けられるとともに装着部が設けられ、当該装着部によりマスク部材が測色計に着脱可能とされているものである。
しかしながら、特許文献5、6に記載されている積分球分光測色計は、光輝材に起因して見る角度により異なる色相や明度となる自動車の光輝性顔料を含むメタリック塗料等の光輝塗料により形成した着色塗膜を有する複層塗膜の測色に通常用いられるものではない。また、このような積分球分光測色計に係る技術を、測色機構が異なるマルチアングル方式の多角度分光測色計に適用することは、特許文献5、6には記載も示唆もされておらず、技術常識からみても困難である。
さらに、当該マスク部材は、構成する材料や厚み等の詳細が明らかにされておらず、未乾燥塗膜に残存している揮発成分が測色計の部品等を劣化させてしまうおそれや、測色計による測定値と実際の色との間でズレが生じる恐れがある。
また、当該マスク部材を未乾燥塗膜に接触させて測色した場合には、複雑な構造のマスク部材の洗浄に時間を要したり、高価なマスク部材が複数必要でコスト面で不利であったりする等の問題がある。
特開平9−178559号公報 特開2001−336981号公報 特開2004−305987号公報 特開平4−370721号公報 特開2016−90537号公報 特開2015−215239号公報
本発明の目的は、上記した種々の問題を解決することであり、着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法において、実際の補修工程と同等の複層塗膜の測色を、測色計を汚すことなくかつ簡便に、より短時間で精度良く行うことができる、塗装板の測色方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、以下のような構成とすることで、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、以下のとおりである。
項1: 着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法であって、
(1)着色塗料を塗装し、着色塗膜を形成する工程、
(2)着色塗膜の上にクリヤ塗料を塗装し、クリヤ塗膜を形成する工程、
(3)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜形成後5分以内に、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、
を含む、塗装板の測色方法。
項2: 着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法であって、
(1)着色塗料を塗装し、着色塗膜を形成する工程、
(2)着色塗膜の上にクリヤ塗料を塗装し、クリヤ塗膜を形成する工程、
(3)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、完全に乾燥していない状態の前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、
を含む、塗装板の測色方法。
項3: 前記(2)工程で形成したクリヤ塗膜を、15〜80℃の温度下に置く工程を含む、項1又は2に記載の塗装板の測色方法。
項4: クリヤ塗膜の固形分含有率を40〜100質量%とする工程を含む、項1〜3のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項5: 前記クリヤ塗料が、水酸基含有化合物及びポリイソシアネート化合物を含有するウレタン硬化型塗料である、項1〜4のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項6: 乾燥後のクリヤ塗膜のガラス転移温度が50℃以上である、項1〜5のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項7: クリヤ塗膜の乾燥膜厚が10〜50μmの範囲内である、項1〜6のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項8: 着色塗膜を形成する工程が、噴霧塗装によって着色塗膜を形成する工程、着色塗膜をセッティングする工程及び着色塗膜に予備加熱を施す工程のうちの少なくとも1つの工程を含む、項1〜7のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項9: 前記保護シートの厚みが10〜200μmの範囲内である、項1〜8のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項10: 前記保護シートの少なくとも一方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする、項1〜9のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
項11: 項1〜10のいずれかに記載の塗装板の測色方法を用いた調色方法であって、前記着色塗料が1種以上の顔料を含む材料を混合して目標色に調色された調色塗料であり、前記調色塗料が塗装された調色試験塗板を前記測色方法により測色し調色塗料の調色配合の合否を判定する工程を含む、調色方法。
なお、本明細書における「乾燥」は、特に規定がない場合、揮発性溶剤の揮発による乾燥(流動性がなくなった状態等)だけでなく、硬化反応の進行(完了)による硬化乾燥をも包含する。
本発明の測色方法によれば、塗装板の測色方法において、既存の測色計を用いて測色が可能で、かつ、揮発成分や未乾燥塗料の付着による汚れ等から測色計を保護することができ、誰でも容易に本測色方法を用いることができ、ひいては調色時間及び測色作業時間を短縮することができる。また、本方法において用いる保護シートは、高価で複雑な構造の補助部材ではなく、比較的安価で取り換えや使い捨ても可能である部材であり、簡便に測色計を保護することができる。
また、本方法は、得られる塗膜が、モドリムラ等の影響を受けて測色データがブレやすい光輝性顔料を含む光輝塗料による光輝塗膜を含む複層塗膜であっても、それを考慮して設計されているため、どんな塗色であっても実際の補修工程と同等の複層塗膜を短時間で精度良く測色することができる。
特に、カラーセンサーとコンピューターを用いるコンピューター調色法を用いた自動車補修塗装において、1種以上の着色塗料を含む材料を混合して目標色に調色された調色塗料の調色配合の合否を判定するため、調色試験塗板の測色方法として好適な塗装板の測色方法が提供される。
そして、このような塗装板の測色方法を用いることにより、短時間で精度の高い測色を行うことができ、調色塗料の調色配合の合否を的確かつ迅速に判定することが可能となることから、調色作業の標準化、特に、調色時間を大幅に短縮することも可能となる。
本発明で用いられる保護シートの一実施形態を例示する図である。 本発明の塗装板の測色方法による測色状態の一実施形態を例示する図である。 本発明の保護シートを測色計に取り付けた一実施形態を例示する図である。
以下、本発明について詳述する。
<1.測色方法>
[1.1 着色塗料;着色塗膜]
本発明の塗装板の測色方法で用いる着色塗料としては、塗料分野において広く用いられている着色塗料を制限なく用いることができ、1液型、2液型、水性、非水性、光硬化性、光及び熱硬化性等、任意のものであってよい。
例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部;等に用いられる複層塗膜を形成する際に用いられる着色塗料や、これらの損傷部分の補修を行う際に用いられる着色塗料等を広く用いることができる。
本発明における着色塗料としては、例えば、ソリッドカラー塗料、メタリック塗料及び光干渉塗料をあげることができる。
また、このような着色塗料としては、1種以上の着色塗料を混合して目標色に調色された調色塗料であってもよい。
着色塗料に含まれる材料としては、結合剤・バインダー(樹脂、硬化性化合物等)、着色顔料又はそのペースト、光輝性顔料又はそのペースト、艶調整剤、分散(助)剤等の着色剤や添加剤等の、着色塗料を構成する成分として通常知られているものの1種以上があげられる。
これらの着色塗料としては、関西ペイント社製の「レタンPGハイブリッドエコ」、「レタンWBエコEV」等の各種市販品を用いることもできる。
着色塗料の色としては、黒、白、赤、緑、黄、青、紫であってよく、また、これらの色を任意に組み合わせて所望の色としてもよい。着色塗料としては、無機着色顔料、有機着色顔料及び光輝性顔料のうちの1種以上を着色顔料として含む塗料をあげることができる。
このうち光輝性顔料としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着又は結合させた鱗片状金属顔料等の光反射性顔料、及び/又は、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料等の光干渉性顔料、等の光輝性顔料のうちの1種以上を用いることができる。
[1.2 クリヤ塗料;クリヤ塗膜]
本発明の塗装板の測色方法で用いるクリヤ塗料としては、塗料分野において広く用いられているクリヤ塗料を制限なく用いることができ、1液型、2液型、水性、非水性、光硬化性、光及び熱硬化性、揮発性塗料(ラッカー等)等、任意のものであってよい。
また、クリヤ塗料としては、最上層に用いられるトップクリヤ塗料であってもよく、クリヤ塗膜の上にさらに塗膜が設けられるようなクリヤ塗膜を形成するクリヤ塗料であってもよい。
クリヤ塗料としては、完全に無色透明のものを用いることができ、塗膜がクリヤ状態を維持し得る範囲で着色されているカラークリヤ塗料であってもよい。
このなかでも、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部;等に用いられる複層塗膜を形成する際に用いられるクリヤ塗料や、これらの損傷部分の補修を行う際に用いられるクリヤ塗料等を広く用いることができる。
このようなクリヤ塗料としては、好ましくは、揮発性溶剤を除去することで乾燥塗膜を形成できるラッカー型クリヤ塗料、主剤と硬化剤とを混合することで乾燥塗膜を形成できる硬化性クリヤ塗料等が用いられる。
揮発性溶剤を除去することで乾燥塗膜を形成できるラッカー型クリヤ塗料は、揮発性溶剤として水を含む水性ラッカーであってもよく、揮発性溶剤として有機溶剤を含む非水性ラッカーであってもよい。
主剤と硬化剤とを混合することで乾燥塗膜を形成できる硬化性クリヤ塗料は、1液型塗料であっても、2液型塗料等の多液型塗料であってもよく、水性塗料、非水性塗料、粉体塗料、エアゾール塗料等のいずれであってもよい。
特に好ましくは、水酸基含有化合物及びポリイソシアネート化合物を含むウレタン硬化型塗料が用いられる。
水酸基含有化合物としては、水酸基を2つ以上有する化合物であればいずれのものであっても用いることができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール、グリセリン等のトリオール等の低分子ポリオール化合物;アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシポリオール等のポリマーポリオール;等をあげることができる。
これらの水酸基含有化合物は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。
水酸基含有化合物の水酸基価や、ポリマーポリオールの重量平均分子量は、架橋密度、耐擦り傷性、耐水性、耐酸性、平滑性等の観点にもとづき、好適なものを用いればよい。
本発明で用いられるクリヤ塗料において好ましい水酸基含有化合物は、少なくとも1種のポリマーポリオールであり、特に好ましくはアクリルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールのうちの1種以上であり、より好ましくはアクリルポリオールである。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であればいずれものであっても用いることができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;ポリウレタンポリイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等のポリマーポリイソシアネート;該ポリイソシアネートの誘導体等をあげることができる。
前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのダイマー、トリマー等の多量体、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等をあげることができる。
また、ポリイソシアネート化合物として、上記ポリイソシアネート及びその誘導体中のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
これらのポリイソシアネート化合物及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。
クリヤ塗料には、さらに必要に応じて、水や有機溶剤等の溶剤、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜配合することができる。
乾燥後のクリヤ塗膜のガラス転移温度としては、50℃以上となるように調整されることが測色作業性向上の点から好ましい。好ましいガラス転移温度としては60〜100℃であり、より好ましくは60〜80℃である。
本発明のクリヤ塗膜のガラス転移温度は、例えば、FTレオロジースペクトラー「Rheogel E−400」(UBM株式会社製)を用いて、周波数110ヘルツ、昇温速度4℃/分で測定される動的粘弾性測定において、tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大値を示す温度として測定される動的ガラス転移温度である。試料は、本発明に用いられるクリヤ組成物をポリプロピレン板上に乾燥膜厚が25μmとなるように塗布し、80℃20分の乾燥条件によって乾燥塗膜を形成した後、得られた乾燥塗膜をポリプロピレン板からフリー塗膜として剥離し、端部や欠損等がない部分において、長さ20mm、幅5mmの短冊状に裁断したものを試料とする。
本発明において、水酸基含有化合物とポリイソシアネート化合物とを含むウレタン硬化型塗料をクリヤ塗料として使用し、調色試験塗板を作製した場合には、該調色試験塗板が実際の補修塗装工程で形成される複層塗膜と極めて近い特性の複層塗膜を形成することができることから特に好ましい。実際の補修塗装後の測色とほぼ同等であるため高精度な測色を行うことでき、また、作製された調色試験塗板は、ウレタン架橋結合を有するクリヤ塗膜により保護されることから耐水性に優れ、経時による変色、劣化(膜ヤセ等)等が少なくなり、塗装板を色見本板として再利用等をすることも可能となる。
本発明の一態様においては、少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜形成後5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは1分以内に、クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色される。
したがって、クリヤ塗料の組成を調整することにより、このような態様で測色を行った場合であっても、少なくともモドリムラが生じない特性を備えるものであることが必要である。
また、本発明の一態様においては、少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、完全に乾燥していない状態のクリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色される。
したがって、クリヤ塗料の組成を調整することにより、このような態様で測色を行った場合であっても、少なくともモドリムラが生じない特性を備えるものであることが必要である。
本発明の塗装板の測色方法において、クリヤ塗料を塗装して設けられるクリヤ塗膜は、クリヤ塗料塗装後から測色までの間、15〜80℃の温度下に置かれてもよい。
また、クリヤ塗料を塗装して設けられるクリヤ塗膜は、測色時のクリヤ塗膜の固形分含有率が40〜100質量%、好ましくは40〜99質量%、より好ましくは45〜90質量%とされていてもよい。
クリヤ塗料を塗装して設けられるクリヤ塗膜は、クリヤ塗料塗装後から測色までの間、15〜80℃の温度下に置かれ、測色時のクリヤ塗膜の固形分含有率が40〜100質量%とされていてもよい。
測色時のクリヤ塗膜の固形分含有率を40〜100質量%とする手段として、必要であれば加熱手段等の適当な塗膜乾燥手段を用いてもよい。
ここで、クリヤ塗膜の固形分含有率を40〜100質量%とする時間としては、特に限定されないが、クリヤ塗膜形成後5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは1分以内とすることが好ましく、クリヤ塗料の成分を調整することで、前記時間を調整することができる。
また、クリヤ塗料を塗装し、必要に応じてセッティング及び/又は加熱を施すことで、得られたクリヤ塗膜の固形分含有率を40〜100質量%としてもよいが、省エネルギー、低コスト、安全性、作業性等の観点から、より低温・短時間条件での測色を開始できることが好ましい。
なお、クリヤ塗膜の固形分含有率が40質量%未満である場合、モドリムラが発生したり、クリヤ塗膜が保護シートの開口部を経由して測色計に到達して測色計を汚したり、クリヤ塗膜に含まれる有機溶剤等の揮発成分が測色計に影響を与えたりする等の問題が生じる可能性がある。
クリヤ塗膜の固形分含有率が90質量%を超える、特に99質量%を超えるようにする場合、通常のクリヤ塗料であると、クリヤ塗膜形成から測色まで時間がかかりすぎてしまう。また、無理に高温(例えば80℃を超えて)で乾燥を速めてクリヤ塗膜を得ようとした場合に、均一で色安定性に優れたクリヤ塗膜を有する複層塗膜を形成することが困難になる等の問題が生じる可能性がある。
本明細書における、所定の時点におけるクリヤ塗膜の固形分含有率(質量%)は、下記式により求められたもので、被塗物に塗着した塗料の固形分含有率(塗着NV)ともいわれるものである。
クリヤ塗膜の固形分含有率=(m−m)/(m−m)×100
:塗装前の被塗物の質量(g)
:所定の時点での塗装物の質量(g)
:溶剤が完全に揮発した乾燥塗膜を有する塗装物の質量(g)
クリヤ塗膜の乾燥膜厚は、特に制限されないが、通常は、10〜50μmの範囲内であり、好ましくは、20〜40μm、より好ましくは25〜35μmである。
[1.3 塗装手段;塗膜の形成方法]
本発明の塗装板の測色方法で用いる塗装手段及び塗膜の形成方法としては、塗料分野において広く用いられている塗装方法を制限なく用いることができる。
本発明の塗装板の測色方法で用いられる、着色塗料及び/又はクリヤ塗料の塗装手段としては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー、回転霧化、刷毛塗り、ローラー塗り、インクジェット、エアゾール、浸漬等の1つ以上の手段を用いることができ、1回塗りであっても、複数回塗り重ねてもよい。
好ましい塗装手段としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー、回転霧化といった噴霧塗装が用いられる。
着色塗料を基材上に塗装する際に、汚染物質(油等)で基材上が汚染されている場合には、アルコール等の溶剤を用いて脱脂・清浄化することが好ましく、基材上が清浄である場合には、脱脂・清浄化は特に行わなくてもよい。
基材と塗膜との付着性・密着性を高めるために、粗面化処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理等の表面処理を基材に行ってもよい。
着色塗料やクリヤ塗料を塗装後、セッティング(静置)及び/又は予備加熱を施すことができる。セッティングは、通常は、常温で静置することにより行われ、予備加熱を行う際の加熱温度や加熱時間等は、任意に設定することができる。場合によっては、ブロアー等を用いる強制乾燥を行ってもよい。
塗装板の基材としては、塗装板を作製する際に通常用いられる基材を用いることができ、各種の金属板、ガラス等の無機材質の板、各種のプラスチック板、紙板等を用いることができ、好ましくは、金属板が用いられる。
これらの塗装板の基材は、リン酸塩処理、クロメート処理、メッキ処理、複合酸化物処理、電着塗装処理、プライマー処理、脱脂処理等の表面処理が行われたものであってもよい。
[1.4 測色計;測色する工程]
本発明の塗装板の測色方法で用いられる測色計としては、表面に色彩を有する工業製品の色の管理及び/又は色の測定を行うために広く用いられている測色計を制限なく用いることができる。例えば、積分球分光測色計、多角度分光測色計等があげられるが特に限定されない。
好ましくは、光輝性塗膜(メタリック塗膜)の測色にも対応できるようにするために、1回の測定で一方向から光を入射して3〜6角度の多角度で受光(例えば25°、45°、75°)する多角度分光測色計を用いることができる。
特に、関西ペイント社製の多角度分光測色計「AIカラーセンサー」、BYKジャパン社製の多角度分光測色計「Tri−COLOR」が好ましく用いられる。
本発明においては、このような測色計を用いることにより、L色空間における、明度を示すL、色相と彩度を示す色度a及びbの値を得ることができる。そして、これらの値を用いて、目標色からの色差を迅速に測定することができる。
ここで、L色空間は、物体の色を表すのに、現在あらゆる分野で最も一般的に使用されている表色系であって、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS(JIS Z 8781−4、Z 8781−5)において採用されている。
色空間では、色相と彩度を示す色度a、bは、色の方向を示しており、aは赤方向、−aは緑方向、そしてbは黄方向、−bは青方向を示し、数値の絶対値が大きくなると色あざやかになり、小さくなるとくすんだ色になる。明度を示すLは、0〜100の数値を取り、L=100が白、L=0が黒である。
本発明の一態様においては、少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜形成後5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは1分以内に、クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色される。
また、本発明の一態様においては、少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、完全に乾燥していない状態のクリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色される。
ここで、クリヤ塗料を塗装して設けられるクリヤ塗膜が、「完全に乾燥していない状態」とは、長時間加熱すること等によってクリヤ塗膜の乾燥を完全に終了させていない状態を指す。すなわち、クリヤ塗料が硬化剤を含まないラッカー型クリヤ塗料の場合は、クリヤ塗料中の揮発性溶剤(水、有機溶剤等)が完全に揮発していない状態を、主剤と硬化剤とを混合する硬化性クリヤ塗料の場合は、乾燥硬化(架橋)が完全に終了していない状態を指す。
一般的には、JIS K 5600−1−1(1999)に規定される「硬化乾燥」状態ではない状態、すなわち、「塗面の中央を親指と人差し指とで強く挟んで、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗面の動きが感じられず、また、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって、塗面にすり跡がつかない状態」ではない状態を意味する。
このような状態としては、例えば、JIS K 5600−1−1(1999)に規定された「指触乾燥状態」(塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れない状態)又は「半硬化乾燥状態」(塗面の中央を指先で静かに軽くこすって塗面にすり跡が付かない状態)であってよい。
[1.5 保護シート]
本発明の塗装板の測色方法で用いられる保護シートは、塗装板の測色の際に、塗装板上のクリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在するものであって、少なくとも塗装板の測色域が開口されているものである。
保護シートに設けられる開口部としては、少なくとも塗装板の測色域を開口するものであれば、任意の形状のものであってよく、例えば、円形、四角形等の形状であってよい。所期の効果が得られるものであれば、測色域より大きいものであってもよい。
保護シートの開口部は、測色計本体に設けられた測色部(センサー窓部や開口部等)に対応するものであり、これにより、測色計の光源からの光を塗装板に直接照射することが可能となる。
保護シートは、前記クリヤ塗膜と測色計の間に存在するものであって、このようなクリヤ塗膜が測色計に付着して測色計を汚染してしまうことを防止する機能や、このようなクリヤ塗膜から揮発する有機溶剤による測色計の劣化又は破損を防止する機能を有している。
また、保護シートの汚染がひどくなった場合には、比較的安価であることからこれを廃棄すればよく、交換も容易である。
さらに、少なくとも塗装板の測色域が開口されており、当該開口部が測色計本体に設けられた測色部(センサー窓部や開口部等)に適合するものであることから、実際の複層塗膜に測色計の光源からの光を直接照射することで測色できる機能を有している。
保護シートの形状等としては、前記開口部が設けられていれば特に制限されず、所期の機能を阻害しない範囲において、その他の開口部、切れ込み等を有していてもよい。また、折り曲げや成形加工等によって、シートの少なくとも一部が所望の形状に成形されていてもよい。コスト等を考慮すると、塗装板の測色域が開口されているだけの平面シート状のものが好ましい。
特に、シート状のものは汎用性が高く、必要に応じて所望の形状へ加工しやすく、多種多様な測色計に容易に適用することが可能である。
保護シートの厚さとしては、任意の厚さのものを用いることができるが、通常は10〜200μmであり、好ましくは20〜150μm、より好ましくは30〜120μmである。
10μmより薄いものでは、保護シートの取り扱いが難しくなったり、破損しやすくなったり、測色計に対するクリヤ塗膜中の溶剤の影響を防ぐことができなくなったりする等のおそれがある。
200μmより厚いものは、周りから光を取り込んでしまい正確な測色を行うことができなくなったり、測色値が実際の複層塗膜の色と異なるものとなったりするおそれがある。
保護シートを構成する材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等の金属材料;洋紙(上質紙、塗工紙、トレーシングペーパー等)、和紙(わら半紙、半紙等)、クッキングシート、セロファン等の紙材料;織布、不織布、編物等の繊維材料;ガラス、木材等の任意素材のものがあげられる。
本発明では、これらの2種以上を含む組成物でもよく、これらの1種以上を含む層を有する積層体でもよい。
本発明においては、保護シートの少なくとも一方の面の少なくとも一部に、粘着層があってもよい。粘着層は片面だけにあってもよく、両面にあってもよいが、片面にあることが好ましい。粘着層は、保護シートの少なくとも一方の面の全面に設けてもよいし、所望の形状等で、部分的に設けてもよい。
このような粘着層が設けられた保護シートとしては、プラスチックシート(フィルム)、紙、金属等の少なくとも一方の面に粘着剤層を設け粘着シート又は粘着テープとしたもの(例えば、ポリオレフィン系樹脂粘着フィルム、ポリエステル系樹脂粘着フィルム、紙基材系粘着シートであるポスト・イット(登録商標)等)があげられる。
粘着層を形成する粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系等の任意の粘着剤を用いることができる。これらの粘着剤は、確実な固定、測色計への影響(剥離時の糊残り防止、剥離時の測色計の部品の離脱防止、粘着剤による測色計の誤作動防止等)等の観点に基づいて、適当なものを選択することができる。
粘着層があることにより、保護シートを測色計及び/又は塗装板に確実に固定することができ、容易に正確な測色を連続して行うことができ、また、粘着剤の再剥離性を利用することで、測色計又は塗装板に影響を与えることなく保護シートの除去を容易に行うことができる。
また、例えば、測色計及び/又は保護シートに予め両面テープを貼り付けておき、両面粘着テープにより保護シートを測色計及び/又は塗装板に固定してもよい。
本発明においては、クリヤ塗料に用いられる有機溶剤に対する耐久性、コスト、測色計への影響等の点から、保護シートとして、好ましくは、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、紙、片面に粘着層を設けたポリエステル系樹脂フィルム、片面に粘着層を設けたポリオレフィン系樹脂フィルム、片面に粘着層を設けた紙(例えば、ポスト・イット(登録商標)等)を用いることができる。
<2.調色方法>
本発明の調色方法は、前記1.の塗装板の測色方法を用いた調色方法であって、前記着色塗料が1種以上の顔料を含む材料を混合して目標色に調色された調色塗料であり、前記調色塗料が塗装された調色試験塗板を前記測色方法により測色し調色塗料の調色配合の合否を判定する工程を含む、調色方法である。
前記1.の塗装板の測色方法は、複層塗膜を形成後に加熱して完全に乾燥した後に冷却してから測定するものではない。したがって、コンピューター調色法を用いた調色方法において、目標色に向けて調色された複数種類の調色塗料ごとに作製された塗装板(調色試験塗板)を、連続して迅速に高精度で測色することが可能となる。
前記1.の塗装板の測色方法を用いた本発明の調色方法は、高価で複雑な構造の補助部材ではなく、比較的安価な部材で容易に取り換え可能で使い捨ても可能である部材により測色計を保護することができる。また、調色作業を標準化することができ、調色時間及び測色作業時間を短縮することができ、モドリムラ等の影響を受けることがなく、実際の補修工程と同等の複層塗膜を短時間で高い精度で測色することができ、調色塗料の調色配合の合否を的確かつ迅速に判定できる、調色方法である。
特に、カラーセンサーとコンピューターを用いるコンピューター調色法を用いた自動車補修塗装において、1種以上の着色塗料を含む材料を混合して目標色に調色された調色塗料の調色の合否を判定するため、調色試験塗板の測色方法として好適である。
そして、本発明の調色方法により、短時間での精度の高い測色に基づき、調色塗料の調色配合の合否を的確かつ迅速に判定することが可能となることから、調色作業の標準化、特に、1台の車両を補修する際の調色作業における平均調色回数を5回から2回にすることができ、調色時間を大幅に短縮、例えば、1ヶ月あたりの調色作業時間を約60%削減することが可能となる。
以下、具体例をあげて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの例のみに限定されるものではない。
(基準板1の作製)
10cm×10cmの基材(ブリキ板)上に、着色塗料としてコンピューター調色法(コンピューターカラーマッチング;CCM)により塗色がシルバーとなるように調色された塗料SV(関西ペイント社製、鱗片状アルミニウム顔料を含有するウレタン硬化型塗料組成物)を着色塗料種として用いて、ねらい乾燥膜厚が約20μmとなるようスプレー塗装して着色塗膜を形成し、20℃で5分間放置して指触乾燥させた。
得られた着色塗膜の上にクリヤ塗料C1(関西ペイント社製商品名「レタンPGエコ HS(ハイソリッド)クリヤ(Q)」;水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物をNCO/OH比1.2で含み塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が55℃であるウレタン硬化型クリヤ塗料組成物)を、ねらい乾燥塗膜が25μmとなるようにスプレー塗装し、複層塗膜を有する塗装板を得た。
得られた塗装板を、20℃で5分間セッティング(静置)し、その後、温度60℃で30分間加熱して、基準板1を作製した。
(基準板2の作製)
前記塗料SVに代えて、CCMにより塗色がブルーメタリックに調色された塗料BM(関西ペイント社製、鱗片状アルミニウム顔料及び着色顔料を含有するウレタン硬化型塗料組成物)を着色塗料種として用いて着色塗膜を形成した以外は、基準板1を作製する方法と同様の方法により、基準板2を作製した。
(基準板3の作製)
前記塗料SVに代えて、CCMにより塗色がグレーソリッドに調色された塗料GS(関西ペイント社製、着色顔料を含有するウレタン硬化型塗料組成物)を着色塗料種として用いて着色塗膜を形成した以外は、基準板1を作製する方法と同様の方法により、基準板3を作製した。
(基準板1〜3の測色)
基準板1〜3のクリヤ塗膜表面上に測色計(多角度分光測色計;BYKジャパン社製、Tri−COLOR)を静かに置き、3角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))それぞれのLを、それぞれ測定し、得られた測色データを基準値として用いた。
測色の際は保護シートを使用せずとも、測色計に塗膜が粘着したり、反対に塗膜に跡等が付いたりすることなく、安定した測色が可能であった。
(実施例1)
10cm×10cmの基材(ブリキ板)上に、基準板1の作製に用いた塗料SVを着色塗料種として用いて、ねらい乾燥膜厚が約20μmとなるようスプレー塗装して着色塗膜を形成した。20℃で5分間放置して指触乾燥させた後に、その上に基準板1の作製に用いたクリヤ塗料C1を、乾燥塗膜が25μmとなるようにスプレー塗装し、複層塗膜を有する塗装板を得た。
得られた複層塗膜を有する塗装板をセッティングすることなく、クリヤ塗料塗装後の温度条件60℃とし、クリヤ塗料の塗装終了時から5分経過した時点で測色計により測色を行った。
また、測色時における、クリヤ塗膜の固形分含有率測定、クリヤ塗膜乾燥状態評価、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価を行った。結果は、表1に記載したとおりである。
なお、測色計による測色は、以下のとおりに行った。
複層塗膜を有する塗装板を水平に置き、塗装板の複層塗膜表面に、所定の開口部を有する保護シートS1が粘着剤により貼り付けられた多角度分光測色計(BYKジャパン社製、Tri−COLOR)を置き、複層塗膜表面上に所定の開口部を有する保護シートが存在する状態で、多角度分光測色計により3角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))それぞれのLの値を測定した。
(実施例2〜42)
実施例1において、着色塗料種、クリヤ塗料種、クリヤ塗膜のねらい乾燥膜厚、クリヤ塗膜の塗膜Tg(ガラス転移温度)、クリヤ塗料塗装後の温度条件、クリヤ塗料の塗装終了時からの経過時間、クリヤ塗膜の固形分含有量、保護シートの種類、及び、保護シートの厚さを、それぞれ表1に記載されたようにしたほかは、実施例1と同様にして、所定の時点におけるクリヤ塗膜の固形分含有率測定、クリヤ塗膜乾燥状態評価、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価を行った。結果は、表1に記載したとおりである。
(比較例1)
10cm×10cmの基材(ブリキ板)上に、基準板1の作製に用いた塗料SVを着色塗料種として用いて、ねらい乾燥膜厚が約20μmとなるようスプレー塗装して着色塗膜を形成した。20℃で5分間放置して指触乾燥させた後にクリヤ塗料を塗装せずに、温度60℃で30分間加熱して比較例1に係る塗装板を作製した。
得られた塗装板について、実施例1と同様にして測色計により測色を行うとともに、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価を行った。結果は、表1に記載したとおりである。
(比較例2)
実施例1において、クリヤ塗料塗装後の温度条件、及び、クリヤ塗料の塗装終了時からの経過時間を、それぞれ表1に記載されたようにしたほかは、実施例1と同様にして、所定の時点におけるクリヤ塗膜の固形分含有率測定、クリヤ塗膜乾燥状態評価、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価を行った。結果は、表1に記載したとおりである。
(比較例3)
実施例1において、クリヤ塗料塗装後の温度条件、及び、クリヤ塗料の塗装終了時からの経過時間を、それぞれ表1に記載されたようにし、測色計による測色時に保護シートを用いないほかは、実施例1と同様にして、所定の時点におけるクリヤ塗膜の固形分含有率測定、クリヤ塗膜乾燥状態評価、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価を行った。結果は、表1に記載したとおりである。
表1中における、クリヤ塗料種C1〜C6及び保護シートS1〜S5は、以下のとおり。
C1:関西ペイント社製商品名「レタンPGエコ HS(ハイソリッド)クリヤ(Q)」;水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物をNCO/OH比1.2で含み塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が55℃であるウレタン硬化型クリヤ塗料組成物
C2:塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が70℃である速乾性ウレタン硬化型クリヤ塗料組成物
C3:塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が40℃であるウレタン硬化型クリヤ塗料組成物
C4:水酸基含有アクリル樹脂を含み硬化剤を含まず、塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が55℃であるラッカークリヤ塗料組成物
C5:水酸基含有アクリル樹脂を含み硬化剤を含まず、塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が70℃であるラッカークリヤ塗料組成物
C6:水酸基含有アクリル樹脂を含み硬化剤を含まず、塗膜のガラス転移温度(塗膜Tg)が40℃であるラッカークリヤ塗料組成物
S1:A−ONE社製UVカット透明カバーフィルム;厚さ70μm;片面粘着剤付
S2:ポリエチレンテレフタレート製透明片面粘着シートフィルム;厚さ100μm
S3:ポリエチレンテレフタレート製透明片面粘着シートフィルム;厚さ110μm
S4:ポリエチレンテレフタレート製透明片面粘着シートフィルム;厚さ150μm
S5:3M社製、強粘着ポスト・イット(サイズ75mm×75mm);厚さ110μm;片面粘着剤付
S6:上質紙(サイズ75mm×75mm);厚さ110μm
表1中における、クリヤ塗膜の固形分含有率測定、クリヤ塗膜乾燥状態評価、測色計による測色値評価、目視による外観評価、及び、測色作業性評価は、それぞれ以下のようにして行った。
(クリヤ塗膜の固形分含有率測定)
所定の時点におけるクリヤ塗膜の固形分含有率(質量%)は、以下のようにして得たものである。
100mm×150mm×3.0mmのABS被塗物を秤量し、塗装前の被塗物の質量m(g)を得た。
クリヤ塗料を前記被塗物上に乾燥塗膜が表1記載の膜厚となるよう塗装した後、所定の時点において塗装物を秤量し、所定の時点での塗装物の質量m(g)を得た。
クリヤ塗料を前記被塗物上に乾燥塗膜が表1記載の膜厚となるよう塗装し、その後常温20℃で5分間セッティング(静置)し、その後加熱温度60℃で30分間乾燥炉にて加熱乾燥して、乾燥塗膜を有する塗装物を得た。この塗装物を秤量し、溶剤が完全に揮発した塗装物の質量m(g)を得た。
これら、m、m及びmを用い、前記の式;
クリヤ塗膜の固形分含有率=(m−m)/(m−m)×100
:塗装前の被塗物の質量(g)
:所定の時点での塗装物の質量(g)
:溶剤が完全揮発した乾燥塗膜を有する塗装物の質量(g)
により、所定の時点でのクリヤ塗膜の固形分含有率(質量%)を算出した。
(クリヤ塗膜乾燥状態評価)
複層塗膜が設けられた塗装板を用い、複層塗膜の乾燥状態を、JIS K 5600−1−1(1999)における規定に基づき評価した。
また、本発明において、クリヤ塗膜の固形分含有率との関係は以下のとおりとなった。5:硬化乾燥状態(塗面の中央を親指と人差し指とで強く挟んで、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗面の動きが感じられず、また、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって、塗面にすり跡がつかない状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:90質量%以上。
4:半硬化乾燥状態(塗面の中央を指先で静かに軽くこすって塗面にすり跡が付かない状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:75質量%以上90質量%未満。
3:指触乾燥状態(塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れない状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:60質量%以上75質量%未満。
2:指触乾燥状態未満(塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れる状態であるが、測色計を置いた際にズレが生じることなく測色できる状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:50質量%以上60質量%未満。
1:指触乾燥状態未満(塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れる状態であり、また、測色計を置いた際にズレが生じて測色がしにくい状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:40質量%以上50質量%未満。
0:指触乾燥状態未満(塗装直後の未硬化状態。)。クリヤ塗膜の固形分含有率:40質量%未満。
(測色計による測色値評価)
実施例1〜42及び比較例2、3に係る複層塗膜を有する塗装板、又は、比較例1に係る着色塗膜を有する塗装板について、複層塗膜又は着色塗膜表面から、多角度分光測色計により3角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))それぞれのLの値を測定した。
各塗装板の測色値と、同じ着色塗料を用いて作製した対応する基準板の測色値とから、各角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))における、各塗装板と基準板との色差ΔEをそれぞれ求め、下記基準に基づいて測色値評価を行った。◎:全てのΔE値が0.8以下
〇:全てのΔE値が0.8を超えて1以下
〇−:少なくとも1種の△Eが1以下、少なくとも1種のΔEが1を超える
△:全てのΔE値が1を超えて2以下
×:少なくとも1種のΔE値が2を超える
(目視による外観評価)
実施例1〜42及び比較例2、3に係る複層塗膜を有する塗装板、又は、比較例1に係る着色塗膜を有する塗装板と、同じ着色塗料を用いて作製した対応する基準板とを並べ、色調、光沢、ムラを目視で観察・比較し、下記基準にて評価を行った。
◎:色調及び光沢が良好に基準板と一致し、ムラの発生もない。
〇:色調及び/又は光沢について基準板とわずかに差が認められる、及び/又は、わずかにムラが発生しているが、実質的には同じと判断できるレベル。
〇−:色調及び/又は光沢について基準板とわずかに差が認められる、及び/又は、ムラが発生しているが、実用的には問題がないレベル。
△:色調及び/又は光沢について基準板と差が認められる、及び/又は、ムラが発生している。
×:色調及び/又は光沢について基準板と極めて目立つ差が認められる、及び/又は、極めて目立つムラが発生している。
(測色作業性評価)
実施例1〜42及び比較例2に係る複層塗膜を有する塗装板、又は、比較例1に係る着色塗膜を有する塗装板を水平に置き、各塗装板の複層塗膜又は着色塗膜表面に、表1に記載の所定の開口部を有する保護シートを前記粘着剤により貼り付けた多角度分光測色計(BYKジャパン社製、Tri−COLOR)を置き、複層塗膜又は着色塗膜表面上に所定の開口部を有する保護シートが存在する状態で、多角度分光測色計により3角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))それぞれのLを測定して複層塗膜又は着色塗膜の測色を行った際の作業性を下記基準にて評価した。
比較例3に係る複層塗膜を有する塗装板を水平に置き、塗装板の複層塗膜表面に、所定の開口部を有する保護シートが貼り付けられていない多角度分光測色計(BYKジャパン社製、Tri−COLOR)を置き、多角度分光測色計により3角度(25°(ハイライト)、45°(正面)、75°(シェード))それぞれのLを測定して複層塗膜の測色を行った際の作業性を下記基準にて評価した。
◎:ズレ等が発生せず測色計を安定して設置できる。また、クリヤ塗膜又は着色塗膜と測色計又は保護シートとの貼り付きもない。
〇:ズレ等が発生せず測色計を設置でき測色することができる。クリヤ塗膜と保護シートとの貼り付きが若干発生するが、クリヤ塗膜と保護シートとを容易に剥離することができ、保護シートが汚損していたとしても軽微で、保護シートを再利用できる。
〇−:ズレ等が発生せず測色計を設置でき測色することができる。クリヤ塗膜と保護シートとの貼り付きが発生し、クリヤ塗膜と保護シートとが剥離不能であるか、剥離できたとしても保護シートの再利用ができない。
△:気をつけて測色計を設置しなければズレが発生する、及び/又は、クリヤ塗膜と保護シートとの貼り付きが発生し、保護シートの汚損が激しく再利用することができない。
×:測色を行うことが明らかに困難、測色計を設置した際に著しいズレが発生し測色計を設置できない、又は、クリヤ塗膜による測色計の汚損が発生する。
上記実施例にあるとおり、着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色において、所定の保護シートが、クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在する状態で、クリヤ塗料の塗装終了時から5分以内に、クリヤ塗膜表面から測色計を用いて測色する場合には、測色計による測色値評価及び目視による外観評価が非常に優れたものとなり、測色作業性評価も良好であって、基準板と同様の測色データを得ることができる。
したがって、実際の補修工程と同等の複層塗膜について、短時間で精度の高い測色を行うことが初めて可能となった。
また、着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色において、所定の保護シートが、完全に乾燥していない状態のクリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在する状態で、クリヤ塗膜表面から測色計を用いて測色する場合においても、測色計による測色値評価及び目視による外観評価が非常に優れたものとなり、測色作業性評価も良好であって、基準板と同様の測色データを得ることができる。
したがって、実際の補修工程と同等の複層塗膜について、短時間で精度の高い測色を行うことが初めて可能となった。
したがって、実際の補修作業で用いられるクリヤ塗料(ウレタン硬化型クリヤ塗料組成物)を用い、調色時に用いる調色試験塗板を作製しこれを測色する場合において、実際の補修工程と同等の複層塗膜について、短時間で精度の高い測色を行うことが初めて可能となった。
特に、調色試験塗板の作製回数及び測色回数が多いコンピューター調色法を用いた補修塗料の調整に際して、調色塗料の調色配合の合否を迅速かつ的確に判定できるようになり、調色作業を標準化することができ、調色作業時間を大幅に短縮することができる。
比較例1は、クリヤ塗膜がない例であって、実際の補修工程で用いられるクリヤ塗料を塗装し複層塗膜とした際の色調、光沢、モドリムラの発生有無等を評価できず、実際、測色計による測色値評価及び目視による外観評価が悪くなっている。
比較例2は、複層塗膜を有する塗装板の複層塗膜(クリヤ塗膜)が、実質的に硬化乾燥状態となることから、試験片外観の測色値評価及び目視評価いずれも問題がなく、保護シートの貼り付きもなく作業性も良好であるものの、作業時間短縮による生産性向上にはつながっていない。
比較例3は、保護シートを使用しない例であって、測色計を塗膜上に置いた際にズレが生じるとともに、測色計にクリヤ塗料が付着してしまうことから、測色作業性が良いものではなかった。
1 保護シート
1−a 開口部
1−b 粘着層
2 測色計
3 塗装板

Claims (11)

  1. 着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法であって、
    (1)着色塗料を塗装し、着色塗膜を形成する工程、
    (2)着色塗膜の上にクリヤ塗料を塗装し、クリヤ塗膜を形成する工程、
    (3)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、クリヤ塗膜形成後5分以内に、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、
    を含む、塗装板の測色方法。
  2. 着色塗料による着色塗膜と、クリヤ塗料によるクリヤ塗膜と、を含む複層塗膜を有する塗装板の測色方法であって、
    (1)着色塗料を塗装し、着色塗膜を形成する工程、
    (2)着色塗膜の上にクリヤ塗料を塗装し、クリヤ塗膜を形成する工程、
    (3)少なくとも塗装板の測色域が開口されている保護シートを、完全に乾燥していない状態の前記クリヤ塗膜の表面と測色計との間に存在させた状態で、前記クリヤ塗膜の表面から測色計を用いて測色する工程、
    を含む、塗装板の測色方法。
  3. 前記(2)工程で形成したクリヤ塗膜を、15〜80℃の温度下に置く工程を含む、請求項1又は2に記載の塗装板の測色方法。
  4. クリヤ塗膜の固形分含有率を40〜100質量%とする工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  5. 前記クリヤ塗料が、水酸基含有化合物及びポリイソシアネート化合物を含有するウレタン硬化型塗料である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  6. 乾燥後のクリヤ塗膜のガラス転移温度が50℃以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  7. クリヤ塗膜の乾燥膜厚が10〜50μmの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  8. 着色塗膜を形成する工程が、噴霧塗装によって着色塗膜を形成する工程、着色塗膜をセッティングする工程及び着色塗膜に予備加熱を施す工程のうちの少なくとも1つの工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  9. 前記保護シートの厚みが10〜200μmの範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  10. 前記保護シートの少なくとも一方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の塗装板の測色方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の塗装板の測色方法を用いた調色方法であって、前記着色塗料が1種以上の顔料を含む材料を混合して目標色に調色された調色塗料であり、前記調色塗料が塗装された調色試験塗板を前記測色方法により測色し調色塗料の調色配合の合否を判定する工程を含む、調色方法。
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