JP6502400B2 - マイクロ波を利用したフッ化スカンジウムの還元方法 - Google Patents

マイクロ波を利用したフッ化スカンジウムの還元方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波を利用して、フッ化スカンジウムを還元する方法に関する。
スカンジウムの合金や化合物は、工業分野において新素材として注目されている一方で、スカンジウム(酸化スカンジウム)を高濃度で含む鉱石が希少であることに加え、上述のように、この鉱石に含まれる酸化スカンジウムを還元する手段についての研究開発が十分でなく、その結果として製造コストが高いという問題がある。
酸化スカンジウムの還元方法として、従来から、鉱石に含まれる酸化スカンジウムを二フッ化水素アンモニウムと反応させることによって、これらをフッ化スカンジウムに変換し、ここで得られたフッ化スカンジウムを、還元剤として金属カルシウムを用いて1873Kで還元し製造する手段が知られている。この方法を反応式で表すと、次のとおりである。
Sc2O3 + NH4HF2 → 2ScF3 + 6NH4F + 3H2O
(Sc2O3:酸化スカンジウム,NH4HF2:二フッ化水素アンモニウム)
2ScF3 + 3Ca → 2Sc + 3CaF2
この方法では、フッ化スカンジウムとカルシウムを反応させる際に、1873Kという高温に加熱しなければならず、この加熱手段として、電気、ガス又は重油等を熱源とする加熱炉が利用されるのが一般的であり、いずれの熱源であっても、エネルギーを大量に消費し、その結果として製造コストが高いという問題がある。
スカンジウムの還元方法を開示した文献として、特許文献1が挙げられる。
特許文献1(特開2007−254822)に記載の技術は、「スカンジウム含有化合物と、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xとからなる溶融原料に、金属還元剤Zの蒸気を接触させて、該スカンジウム含有化合物を熱還元することによりX−Sc−Z合金を得る構成のスカンジウム含有合金の製造方法」に関するものである。
即ち、この技術は、スカンジウム含有化合物とAl等のアルカリ金属と還元剤である金属蒸気を反応させて、スカンジウム含有合金を製造する方法であり、その結果として、スカンジウム含有化合物を還元するというものである。この技術では、加熱源として、外熱式電気炉(加熱装置20)が用いられており、スカンジウム含有化合物、金属X及び金属還元剤Zが収容された密閉耐熱容器12を、電気炉によって加熱する手段を採用している。
しかし、電気炉を加熱手段とする特許文献1に係る技術の場合、密閉耐熱容器12の全体を加熱することによって金属還元剤Zを加熱し蒸発させなければならず、加熱効率が悪く、エネルギーを大量に消費し、製造コストが高いという問題があった。
ところで、物質を加熱する手段として、マイクロ波を物質に照射する技術が知られており、特許文献1において、金属還元剤Zを効率よく加熱し蒸発させる手段として、マイクロ波加熱を用いる手段が考えられる。
しかし、一般的に、金属はマイクロ波を反射するため、誘導加熱(導体に電磁誘導で電流を流して加熱する手段)のモードでしか加熱できない。そのため、金属が加熱蒸発して
しまい、誘導加熱が継続できないという問題があった。また、マイクロ波帯の誘導加熱では、シングルモードしか使用できず、その誘導加熱の領域が狭いという問題もあった。 これらの問題から、例えば、金属を加熱することによって、その金属を連続的に蒸発させて金属蒸気を発生させようとする場合に、その加熱源として、マイクロ波を利用することができないという問題があった。
即ち、仮に、特許文献1に係る技術の加熱源として、マイクロ波を用いたとしても、金属還元剤Zはマイクロ波を反射し、誘導加熱モードを用いない限りは加熱できないという問題が残る。
特開2007−254822
そこで、本発明の課題は、マイクロ波を利用してフッ化スカンジウムを還元する方法を提供することにあり、更に、フッ化スカンジウムを、少ないエネルギーで効率よく加熱し、還元時間の短縮や歩留まりの向上により、低コストの還元方法を提案することにある。
上記本発明の課題は、下記の手段により達成される。
1.フッ化スカンジウムと炭素とを混ぜ合わせて混合体を作製し、
この混合体に、減圧下でマイクロ波を照射して加熱することによって、フッ化スカンジウムを還元することを特徴とするフッ化スカンジウムの還元方法。
2.以下の反応式で示される反応により、フッ化スカンジウムを還元することを特徴とする請求項1に記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
4ScF3+3C → 4Sc+3CF4
3.混合体の最長部分の長さが、照射するマイクロ波の波長の1/4の整数倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
.炭素が、粉末状の黒鉛であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
上記1に示す発明によれば、マイクロ波の照射によっても加熱することが困難で、他の物質と反応させることができなかったフッ化スカンジウムであるが、このフッ化スカンジウムと炭素とを混合して混同体を製作し、この混合体に減圧下でマイクロ波を照射することで、マイクロ波は混合体の一部となったフッ化スカンジウムにも吸収され、これを加熱することができる。この加熱により、フッ化スカンジウムと炭素が所定の反応温度に達し、炭素はフッ素と結合するので、フッ化スカンジウムを還元することができる。
フッ化スカンジウムと共に混合体を形成する炭素は、マイクロ波の吸収性がよく、フッ素との結合性も高いことから、前記混合体にマイクロ波を照射すれば、混合体がマイクロ波エネルギーを吸収することによって加熱され、所定の反応温度に達すれば、フッ化スカ
ンジウムと炭素とが反応して、スカンジウムとフッ化炭素が得られ、これによってフッ化スカンジウムを還元することができる。
本発明は、加熱源としてマイクロ波を用いることで、効率よく加熱することができるので、従来に技術に比べて、還元時間が短縮でき、歩留まりが向上でき、低温での反応が可能であり、還元に用いる装置の構成も簡素である。
これらの効果により、フッ化スカンジウムを、少ないエネルギーかつ低コストで還元することができる。
上記2に示す発明によれば、以下の反応式で示される反応によって、フッ化スカンジウムを還元することができる。
4ScF3+3C → 4Sc+3CF4
上記3に示す発明によれば、混合体の最長部分の長さを、照射するマイクロ波の波長の1/4の整数倍に形成することで、混合体がアンテナ共振するため、マイクロ波エネルギーを混合体内に閉じ込めることができ、加熱効率を高めることができる。
また、マイクロ波の照射によって混合体を500度以上に加熱すれば、フッ化スカンジウムと炭素は反応し、スカンジウムを還元することができる。
上記に示す発明によれば、使用する炭素として粉末状の黒鉛を使用すれば、材料コストを抑制し、結果として還元に要するコストを抑えることができる。
本発明に係る還元装置の一実施例を示す概略構成図 本発明に係る混合体の一実施例を示す概略説明図 検証実験の結果を示す温度変化グラフ 検証実験の結果を示すX線解析グラフ
本発明は、フッ化スカンジウムを還元する方法に関する。
上述のとおり、フッ化スカンジウム(ScF3)は、高温条件下で、金属カルシウムと反応させることによって、金属スカンジウム(Sc)に還元されることが知られている。この場合、所定の温度まで加熱するためには、電気、ガス又は重油等を熱源とする加熱炉が用いられていたが、大量のエネルギーを消費し、製造コストも高いという問題があった。
本発明者らは、加熱効率を改善するため、マイクロ波加熱を利用する手段を発想した。
マイクロ波加熱とは、照射されたマイクロ波が、誘電損失により物質に吸収され、そのエネルギーが熱になることによる加熱手段である。外部熱源による加熱と異なり、熱伝導や対流の影響がほとんど無視できること、特定の物質のみを選択的かつ急速・均一に加熱できること、などの特徴がある。
しかし、単に、フッ化スカンジウムや金属カルシウムにマイクロ波を照射しても、これらがマイクロ波を反射し、マイクロ波が吸収されないので、マイクロ波加熱を利用することができなかった。
そこで、本発明者らは、フッ化スカンジウムと炭素とを混合し、この混合体に真空下(減圧下と同じ。)でマイクロ波を照射することで、混合体にマイクロ波が吸収され、加熱できることを見出した。
これらの作用効果は、フッ化スカンジウムと炭素との混合体にマイクロ波を照射すると
、フッ化スカンジウムへの電磁波エネルギーの吸収が大きくなるためと考えられる。真空下ではフッ化スカンジウムを効率よく加熱することができ、所定の高温に達すれば、炭素との反応性が高まると考えられる。
以下、図面に従って、本発明に係るフッ化スカンジウムの還元方法について説明する。
図1は、本発明に係るフッ化スカンジウムの還元方法を使用するための還元装置1の一実施例である。
還元装置1は、フッ化スカンジウムと炭素を混合した混合体2を加熱対象とし、混合体2を収容した坩堝3、石英管4、導波管5、マイクロ波源6から構成される。また、必要に応じて、温度測定器7、電力計8、プランジャー9等を設けてもよく、真空ポンプVを接続することができる。
図1に示されるように、還元装置1の構成は、マイクロ波源6に接続された導波管5の中に、石英管4が挿入され、この石英管4の中に混合体2を収容した坩堝3が設置される。この石英管4の内部は、真空ポンプVによって減圧される。
その他、混合体2付近の温度を計測するため、温度測定器7が接続され、マイクロ波の出力等を計測するため、電力計8が接続されてもよい。また、導波管の長さを調整するため、プランジャー9を設けてもよい。
なお、本発明に係る還元方法の実施に用いられる還元装置1は、図1に示される構成や形状に限定されず、混合体2に、マイクロ波を照射して加熱することができる構成であればよい。
図2に示されるように、混合体2は、フッ化スカンジウム21と炭素22を混合することにより作製した集合体である。
混合体1の作製手段について限定はないが、例えば、共に粉末状の形態であるフッ化スカンジウム21と炭素22とを同じ容器(図では、坩堝3。)に入れ、これらを適度に混ぜ合わせる方法を挙げることができる。この際に、混合体2を押し固める等して成型する必要はなく、同じ容器内で混合されていればよい。・フッ化スカンジウム(酸化スカンジウムから)
フッ化スカンジウム(ScF3)21は、フッ素とスカンジウムとを反応させて合成することが可能な無機化合物である。外観の形態は、白色の粉末状である。
例えば、以下の反応式で示されるように、酸化スカンジウム(Sc2O3)と二フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)の反応によって得ることができる。
Sc2O3 + NH4HF2 → 2ScF3 + 6NH4F + 3H2O
炭素(C)22は、非晶質(アモルファス)である黒鉛(グラファイト)や、結晶であるダイヤモンドなど様々な形態のものが存在するが、本発明に用いられる炭素に特別な限定はなく、公知公用の炭素を用いることができる。
ただし、入手が容易で安価であるという点で、粉末状の黒鉛を用いることが好ましい。
混合体2を、所定の大きさに形成することで、マイクロ波の吸収性を高め、加熱効率を高めることができる。
即ち、混合体2の最長部分の長さを、照射するマイクロ波の波長の1/4の整数倍とすることで、混合体2がアンテナ共振するため、マイクロ波エネルギーを混合体2内に閉じ込めることができ、加熱効率を高めることができる。
ここで、混合体2の最長部分とは、例えば、混合体2の形状が直方体であれば最も長い対角線、球体であれば直径、歪な球状体(粒状体)であれば最も長い直径(最長径)、板状体や薄膜であれば最も長い辺又は対角線、円筒形であれば直径又は辺のうち長い方というように、その形状が有する直線距離が最も長い箇所を指し示すものとする。
ここでいうマイクロ波の波長は、大気中での波長である。これは、混合体2におけるフッ化スカンジウム21と炭素22の含有比率が、炭素22の方が圧倒的に多いことによる。この混合比率について限定はないが、炭素のほうが安価であり、入手が容易なためである。もし、フッ化スカンジウム21の含有量が勝る場合は、マイクロ波の波長として、フッ化スカンジウム中における波長を採用することが好ましい。
混合体2を収容する坩堝3は、還元に必要な高温に耐えられる耐熱性を有し、マイクロ波を透過し、マイクロ波の照射によって損傷等することがない容器が用いられる。
例えば、アルミナ製の坩堝を採用することができる。
石英管4は、混合体2を収容した坩堝3を設置する石英製の管である。
この石英管4内は、真空ポンプVと接続され、減圧される領域である。また、フッ化スカンジウムと炭素との反応により得られるスカンジウム金属を、この石英管4内に滞在させ、ここから回収する役割も果たす。
本発明においては、公知公用の石英管を特別の制限無く採用することができる。
導波管5は、マイクロ波の伝送に持ち至れる中空導波管であり、円形または方形の断面を持つ金属製の管である。マイクロ波は、管の中に、その形状や寸法、波長(周波数)に応じた電磁界を形成(この態様を伝播モードという。)し、この導波管の中を伝播する。
ここで使用される伝播モードに限定はなく、シングルモードもマルチモードも使用でき、磁場モードも電場モードも使用することができる。
本発明においては、公知公用の導波管を特別の制限無く採用することができ、使用する伝播モードに応じて形状や寸法を決定することができる。
マイクロ波源6は、マイクロ波発振器等から構成され、還元装置1に設置された混合体2に照射するためのマイクロ波を発振させる装置である。
本発明で使用するマイクロ波源6について特別の限定はなく、公知公用の構成を採用することができ、例えば、マグネトロンを採用することができる。
図1に表わされた温度測定器7、電力計8又はプランジャー9は、その設置が任意である。動作の検証等、必要に応じて設置することができる。
温度測定器7は、混合体2付近の温度を測定する機材である。温度測定器7本体は、導波管の外に設置し、温度センサーのみを混合体2付近に設置する構成を例示することができる。
使用する温度測定器7について限定はなく、この種の分野において用いられる公知公用の温度測定器を特別の制限なく採用することができる。例えば、赤外線温度測定システム等を用いることができる。
電力計8は、マイクロ波源6から発振されたマイクロ波の出力を計測する機材である。例えば、マイクロ波源6と導波管5の間に設置することができる。
使用する電力計8について限定はなく、この種の分野において用いられる公知公用の電力計を特別の制限なく採用することができる。
プランジャー9は、導波管5の長さを変化させる装置である。
プランジャー9の役割について、導波管共振器を使って、導波管5内に定在波を立たせる場合を例に説明する。
この導波管5の最も長い辺の長さが210mmである場合、導波管5内に混合体2等の試料が存在しないときは、210mmで定在波が立ち、共振する。
しかし、導波管5内に、混合体2等の試料を収容すると、波長短縮効果が発生し、210mmより僅かに波長が短くなる。このように、波長が短くなると、共振条件から外れる。共振条件から外れると、マイクロ波の周波数2.45GHzでの整合条件から外れるので、電力が投入できないことを意味する。
そこで、波長が短くなった分を補整するため、導波管5の長さを調整する必要があり、この導波管の長さを変化するための装置がプランジャー9である。
プランジャー9について換言すれば、インピーダンスマッチングを行う装置である。また、プランジャーは、棒ピストンとも呼ばれる。
プランジャー9は、導波管共振器の長さを変えることができ、導波管5に混合体2等の試料を入れることによって共振条件から外れた場合に、マッチングを行うための装置である。
使用するプランジャー9に限定はなく、この種の分野において用いられる公知公用のプランジャー(棒ピストン)を特別の制限なく採用することができる。
続いて、上述したような還元装置1を用いた、本発明に係るフッ化スカンジウムの還元方法を説明する。
先ず、坩堝3にフッ化スカンジウム21と炭素22を入れ、これらを適当に混ぜ合わせることで、混合体2を作製する。
次に、混合体2が収容された坩堝3を、石英管4に入れて設置する。この石英管4を、導波管5に設置する。このとき、石英管4のうち混合体2が収容された部分が、導波管5の中に入るよう設置する。
次に、石英管4内を、真空ポンプVで減圧する。1Pa〜10Pa程度まで減圧することが好ましい。
次に、マイクロ波源6から、導波管5へマイクロ波を発振し、混合体2へマイクロ波を照射する。
マイクロ波の出力を徐々に上げると、混合体2が加熱され、摂氏500度に達すると、フッ化スカンジウムと炭素が反応し始める。
使用するマイクロ波の出力や照射時間について、本発明において限定はない。
例えば、マイクロ波の出力を照射開始から10分間で100Wまで上げ、その出力を維持した場合、照射開始から30分程度で、スカンジウム金属に還元されたことが確認できる。
この例の場合、混合体2付近の温度は800度程度に達するが、500度程度に達すれば、フッ化スカンジウムと炭素の反応は開始する。
以上の反応後、マイクロ波の発振を停止し、石英管4を導波管5から取り出すと、石英管4の内壁に、金属光沢を目視でき、スカンジウム金属の還元に成功したことを確認できる。上記の反応を、反応式で表すと以下のとおりである。
4ScF3+3C → 4Sc+3CF4
即ち、スカンジウム金属(Sc)とフッ化炭素(CF4:テトラフルオロメタン)が得られる。フッ化炭素は気体であることから、固体として石英管4の内壁に付着したスカンジウム金属との分離は容易である。
<実験例>
本発明に係るフッ化スカンジウムの還元方法について、検証実験を実施した。
使用する装置は、図1に示される還元装置1と同様の構成である。
坩堝3として、アルミナ製の坩堝を使用した。
混合体2を収容した坩堝3を、石英管4に設置した。この際に、プランジャー9によって石英管4の長さを調整し、マッチングを行った。その後、この石英管4の内部を真空ポンプVにより1Pa程度まで減圧した。
導波管5として、導波管型共振器(TE103モード)を使用した。
混合体2付近の温度を計測するため、温度測定器7として赤外線温度測定システムを使用し、この測定端子を混合体2付近に設置した。
また、マイクロ波源6と導波管5の間には、マイクロ波の出力を計測するため、電力計8を設置した。
混合体2は、坩堝3の中に、粉末状のフッ化スカンジウムと粉末状の黒鉛を収容し、これらを適当に混ぜ合わせることで作製した。
混合体の重量は、0.68gであり、フッ化スカンジウムと炭素との分子比は、ScF3:C=1:3である。
続いて、マイクロ波源6からマイクロ波を発振し、導波管5へマイクロ波を照射した。マイクロ波は、10分ほどかけて徐々に出力を上げ、100Wに至ってから15分間に及んでマイクロ波を混合体2に照射した。このときの混合体2付近の温度は、約880度であった。
なお、マイクロ波加熱により、石英管4内部には加熱によるガスが発生し、内部の圧力が1Paから10Pa程度まで上昇する。還元したスカンジウムが酸化するのを防止するため、石英管4内を減圧し続けることが好ましい。
・検証結果
マイクロ波を照射している間、温度測定器7で、混合体2の温度経過を測定した(図3参照)。 図3に示されるように、マイクロ波照射を開始してから10〜15分程度をかけて、出力を100Wまで上げた。
マイクロ波の照射から15分程経過した時点で、混合体2付近の温度は約880度に達し、その後15分程度にわたって、この温度を維持した。
マイクロ波の照射を停止してから、石英管4を取り出した。
この石英管4を観察すると、内壁に金属光沢が確認できた。
上述のとおり、フッ化スカンジウムと炭素を反応させた場合、得られるのはスカンジウム金属とフッ化炭素であり、フッ化炭素は気体であることから、この金属光沢はスカンジウムによるものと判断できる。
続いて、石英管4の内壁に付着した成分を取り出し、X線解析(XRD)を行った。 X線解析の結果を、図4に示す。 図4に示されるように、スカンジウム(Sc)を示すピークが現れた。この結果により、フッ化スカンジウムの還元に成功したことが明らかとなった。
1 還元装置
2 混合体
21 フッ化スカンジウム
22 炭素
3 坩堝
4 石英管
5 導波管
6 マイクロ波源
7 温度測定器
8 電力計
9 プランジャー
V 真空ポンプ

Claims (4)

  1. フッ化スカンジウムと炭素とを混ぜ合わせて混合体を作製し、
    この混合体に、減圧下でマイクロ波を照射して加熱することによって、フッ化スカンジウムを還元することを特徴とするフッ化スカンジウムの還元方法。
  2. 以下の反応式で示される反応により、フッ化スカンジウムを還元することを特徴とする請求項1に記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
    4ScF3+3C → 4Sc+3CF4
  3. 混合体の最長部分の長さが、照射するマイクロ波の波長の1/4の整数倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
  4. 炭素が、粉末状の黒鉛であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のフッ化スカンジウムの還元方法。
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