JP6501598B2 - スライドファスナーの取付方法 - Google Patents
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Description
ところで、雨の日等に着用されるレインウェア等の衣類については防水性が重要であるが、この種の衣類については、生地自体が防水性に優れていても、スライドファスナーの部分からポケット内に流入するおそれがあるため、スライドファスナーについても、相互に噛み合う一対の務歯列や、これらの務歯列が取付けられているテープ状部材に止水性を付与して、スライドファスナーが閉じた際の止水性を高めたものが存在する。
そのため、止水性をより高めるためには、スライダと上止部分や務歯列との間の隙間を通じて水が浸入することを確実に防止する必要がある。
しかしながら、このカバー部は、基本的には、スライダが外部に露出することによって生じる問題、例えば他の物に接触して傷付けたり、スライダが下止方向、即ちスライドファスナーが開く方向に移動することを防止したりするカバーとして機能させる目的であり、また、膨出部自体も防水性を有しているわけではないため、基本的にスライドファスナーの止水性確保とは無関係である。
さらに、このカバー部は、スライドファスナーとは別部材の布等を別途縫い付ける必要があるため、縫い付けた部分から水が浸み込む可能性があり、スライドファスナーの止水性を確保することが困難である。
(1)表面及び裏面を有する防水性を備えた生地に、一対のテープ状部材と、これらのテープ状部材の長手の端縁部に相互に向き合うようにそれぞれ配設された一対の務歯列と、これらの一対の務歯列を係脱させるスライダとを備えたスライドファスナーを取付けるスライドファスナーの取付方法であって、生地の対象部位に、前記スライダの可動域となる一方向に長いスリットを形成するスリット形成工程と、前記スリットの周縁における、前記スライドファスナーの上止に相当する端部に、該上止に達した前記スライダを内部に収容する、前記生地の表面に向けて膨出する収容部の成形を行う収容部形成工程と、前記一対のテープ状部材を、前記生地の裏面に面接触させた状態で該生地の裏面に接着剤により接合するスライドファスナーの接合工程とを有し、前記スリット形成工程は、前記スリット周縁における前記スライドファスナーの上止に相当する端部に、前記スリットの内方に向けて突出し、且つ該スリットの内方に行くに従って次第に先細る突出部を形成する突出部形成工程を含み、前記収容部形成工程は、前記突出部を前記生地の裏面に向けて折り曲げ、該突出部を該生地の裏面に接着剤により接合する突出部折曲工程と、前記突出部折曲工程後において、前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分に対して、予め定められた前記収容部の内部空間の形状に合わせて形成された型部材を前記生地の裏面から宛てがい、該型部材により前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分を湾曲させて前記生地の表面に向けて膨出させて前記収容部とする膨出工程とを含み、前記スライドファスナーの接合工程は、前記膨出工程後、前記型部材を前記生地の裏面に宛がった状態を維持して該型部材により前記収容部を保形させながら行う、スライドファスナーの取付方法。
(3)前記スライドファスナー接合工程は、前記収容部の形状に適合する形状にくり抜いた貫通孔を有するアルミ板及びシリコン製板を、前記生地と前記アルミ板との間に前記シリコン製板を介在させた状態で前記生地の表面に配置すると共に、これらのアルミ板及びシリコン製板の貫通孔内に前記収容部を位置させた状態で、前記スライドファスナーの前記一対のテープ状部材と前記生地の裏面側における前記スリットの周縁部分に設けたホットメルト型接着剤を、前記生地の表面から前記アルミ板及びシリコン製板を通して高周波により加熱する、前記(2)に記載のスライドファスナーの取付方法。
また、前記収容部は、防水性を有する生地により該生地と一体に成形されているため、この収容部自体も防水性を有し、これにより、収容部を別途縫い付けた場合に比べて、スライドファスナーの止水性を確保することができる。
図1〜図4は、本発明のスライドファスナーの取付方法により形成されたスライドファスナーの取付構造の一実施形態を示す図である。
この取付構造1は、表面2a及び裏面2bを有し、防水性を備えた素材により形成された生地2と、該生地2に取付けられたスライドファスナー3と、該スライドファスナー3の上止部分に設けられた収容部4とを備えている。
なお、本発明のスライドファスナーの取付方法により形成されたスライドファスナーの取付構造については、例えば衣類、バッグ等の身の回り品等に用いられる。
この生地2は、例えば衣類の外方側に位置する表面2a、及び衣類の内方側(着用者側)に位置する裏面2bを有するシート面を備えていて、スリット5は、このシート面を表面2aから裏面2bにかけて生地2の厚さ方向に貫通するようにこの生地2を切断することにより形成されている。この切断によってスリット5と共に生地に形成される長手の縁が一対の開口端縁5a,5bである。
したがって、これらの一対の開口端縁5a,5b、より具体的には、一方の長手の開口端縁である第1開口端縁5aと、他方の長手の開口端縁である第2開口端縁5bとは、それぞれの端縁同士が相互に対向した状態となっている。
なお、この実施の形態においては、生地2は、生地2全体にわたって同じの素材の単一の基材により形成されている。
また、本発明における生地の形態としては特に限定されず、織物、編物、不織布等、目的に応じていずれの形態でも使用できる。
さらに、本発明の生地については、防水性はラミネーションやコーティング等の手段により付与することができ、また撥水加工等を行うことによって撥水性を備えたものとしてもよく、これにより、生地上の水が弾かれて防水効果を一層向上させることができる。
なお、前記生地の用途については特に限定されないが、例えば衣類、バッグ等の身の回り品等、スライドファスナーが取付けられるものであれば任意に選択することができる。
一対のテープ状部材11,12は、スリット5の長さ方向に沿うように並設されて、生地2の裏面2bに接合されるもので、各テープ状部材11,12の一部が、スリット5内に延出し、生地2の表面2aに露出した状態となっている。なお、これらの一対のテープ状部材11,12のうち、生地2の裏面2bにおける第1開口端縁5a側に接合される方が第1テープ状部材11、第2開口端縁5b側に接合される方が第2テープ状部材12となっている。
また、一対のテープ状部材11,12は、表面(生地2の表面2aと同じ方向を向いた面)に、生地2との接合部分を含め、防水処理が施されている。この防水処理は、一対のテープ状部材11,12、特にスリット5から露出している部分を通して水が浸み込むことを抑止するためのものである。
この防水処理としては、例えば、一対のテープ状部材11,12の表面に、疎水性樹脂を含むテープを溶着させるなど、公知の防水処理を用いることができる。また、防水処理に用いられる疎水性樹脂材料としては、一対のテープ状部材の防水性が確保できれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリクロロプレン、ポリウレタンエラストマーあるいはポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられるが、合成ゴムでもよい。
スライダ15は、一対の務歯列13,14を開閉させるもので、これらの一対の務歯列13,14の長さ方向に沿って摺動自在となっている。そして、このスライダ15は、スライドファスナー3における長さ方向の一方向、即ち上止方向に摺動する際には、これらの一対の務歯列13,14を相互に噛み合わせるようにして係合、一体化させ、スライドファスナー3を閉じる。逆に、スライドファスナー3における長さ方向の他方向、即ち下止方向に摺動する際には、一対の務歯列13,14の係合を解いて相互に分離させて、スライドファスナー3を開いた状態とすることができるようになっている。
この実施の形態においては、上止部材16及び下止部材17として、一対の務歯列13,14をスライドファスナー3の幅方向に跨ぐように縫い付けられた糸がそれぞれ用いられていて、これらの糸によってスライダ15の摺動を阻むことによりこのスライダ15が移動できる範囲を画定している。なお、上止部材16は、収容部4内に位置していて、スライドファスナー3を生地2の表面2aの方向から見た場合には、ほとんど視認することができない。一方で、下止部材17は、スリット5内において露出しているため、視認可能な状態となっている。
なお、本発明におけるスライドファスナーについては、後で詳述する収容部4の開口部4cの向きとの関係で、上止に相当する部分が、下止とほぼ同じ高さか、下止に比べて上方に位置していることが好ましい。
なお、本発明のスライドファスナーとしては、止水性をものであれば任意の構成のものを用いることができ、例えば公知の止水ファスナーや、いわゆるコンシールファスナーを採用することができる。
具体的に、この実施の形態の収容部4は、生地2の表面2aに膨出したドーム状に形成されていて、内部空間4aは、少なくともスライダ15におけるスライドファスナー3の上止側の部分、より具体的には、スライダ15がスライドファスナー3の上止部分に位置した際に、少なくともスライド5と上止部分(さらに具体的には上止部材16)との間を完全に覆った状態でそのスライド5を収容できる大きさとなっている。
また、この収容部4の開口部4cは、生地2の表面2aから離れる方向に凸となる略半円形状の開口となっていて、内部空間4aに対してスライダ15を確実且つ安定的に出し入れさせることができるようになっている。なお、この開口部4cは、幅方向(スリット5の幅方向に沿う方向)の長さ、及び生地2の厚さ方向の長さが、収容部4中において最も大きくなっていて、スライダ15の出し入れが行い易くなっている。
なお、本発明における収容部については、スライドファスナーの上止の位置、あるいは本発明のスライドファスナーの取付方法により形成されるスライドファスナーの取付構造が用いられる物にもよるが、スライドファスナーの上止を下止と同じ高さ、あるいは下止よりも上方に位置させるなどして、開口部の開口方向が上方に向かないようにすることが好ましい。
これにより、雨等の水が開口部から収容部の内部空間に侵入することを可及的に防止することができる。
この実施の形態においては、接着剤層6は、ホットメルト型接着剤により形成されていて、生地2の裏面2bにおけるスリット5の周縁部分と、一対のテープ状部材11,12との間に配設されている。
さらに、この接着剤層6は、スリット5の周縁部分よりもスリット5の内方側に延出していて、スリット5内におけるテープ状部材11,12の表面上に露出した状態となっている。
本発明のスライドファスナーの取付方法は、基本的に、生地の対象部位にスライドの可動域となるスリットを形成するスリット形成工程と、収容部の成形を行う収容部形成工程と、スライドファスナーを生地に接合するスライドファスナーの接合工程とを有している。
前記スリット形成工程は、前記スリットの内方に向けて突出する突出部を形成する突出部形成工程を含んでいる。
また、前記収容部形成工程は、前記突出部を折り曲げて前記生地の裏側に接合する突出部折曲工程と、前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分を、型部材20を用いて生地の表面に向けて膨出させる膨出工程とを含んでいる。
このスリット形成工程は、生地2の対象部位を切断して、前記スライダ15の可動域となる、一方向に長いスリット5を形成する。
スリット5を形成するに際しては、基本的に、スリット5が、前記スライダ15の可動域として必要な長さと、スライダ15がスリット5内をそのスリット5の長さ方向に移動する場合に、第1開口端縁5a及び第2開口端縁5bに接触しない程度の幅となるように生地2をくり抜く。
突出部21は、収容部4の一部を構成するものであり、スリット5の内方に行くに従って次第に先細る形状となっていて、この実施の形態においては、突出部21を、緩やかに先細り、且つ先端が平面視(生地2の厚さ方向から見て)湾曲した、全体として半長円状の外形を有する形状に形成している。
なお、この突出部形成工程において、突出部21する場合には、スリット5を形成するに際して生地2をくり抜くときに、所望の突出部21の形状や大きさに適合するように生地2を切断する。このとき、この突出部21は、第3開口端縁5cと分離されることなく一体に連結された状態で形成される。
ここで、スリット5における第3の開口端縁5cが存在する端部の幅については、前記膨出工程において型部材20により突出部21及び生地2における突出部21と重複する部分を湾曲させて膨出させた際に、即ち収容部4が形成されたときに、スリット5における対向する長手の端縁である第1開口端縁5aと第2開口端縁5bとが平行となる大きさに形成する。つまり、スリット5の第3開口端縁5cが存在する端部の幅については、生地2の表面2aの方向に膨出する収容部4を形成するのに必要な長さ分、第4開口端縁5dが存在する端部よりも幅広に形成し、収容部4を形成した後、即ち突出部21や突出部21と重複する生地2の部分を膨出させた際には、スリット5の長手の端縁である第1開口端縁5aと第2開口端縁5bとが平行となるようになっている。これにより、生地2によって収容部4を形成しても、スリット5は、スライダ5の移動に支障がでない幅をスリット5の長さ方向の全長にわたって維持することができるため、スライダ15がスリット5の第1開口端縁5aや第2開口端縁5bに接触することがない。
図6及び図7に示すように、この収容部形成工程においては、スリット5の周縁における、スライドファスナー3の上止に相当する端部、即ち第3開口端部5cが存在する端部に、上止に達したスライダ15を内部に収容する収容部21の成形を行う。
具体的に、前記収容部形成工程は、まず、突出部21を生地2の裏面2bに向けて折り曲げると共に、その突出部21を生地2の裏面2bに接合する前記突出部折曲工程を行う。
この突出部折曲工程においては、図6(a)に示すように、突出部21の基端部分、即ち、突出部21におけるスリット5の第3開口端縁5cとの連結部分を、生地の裏面2bに向けて、スリット5の長さ方向と直交する方向に略直線状に折り曲げる。そして、図6(b)に示すように、突出部21と生地2の裏面2bとが当接する部分を接着剤4dにより接合する。なお、このとき、折り曲げられた突出部21は、スリット5の第3開口端縁5cから離れるに従って次第に先細る態様のまま生地2の裏面2bに接合されることとなる。
突出部21と生地2の裏面2bとの接合に使用する接着剤4dとしては、製造プロセスの容易さからホットメルト型接着剤を用いることが好ましく、突出部2と生地2の裏面2bとの接合に際しては、ホットメルト型接着剤を加熱する。
ここで、前記ホットメルト型接着剤は、常温で固体であるが加熱溶融して塗布し、冷えると固まって接着する接着剤全てを指し、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂、あるいは該ポリオレフィン系樹脂の変性物、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の単独又は二種以上の混合物が使用される。粘着付与材としてロジン系樹脂、石油樹脂など、ワックス類、酸化防止剤、無機充填剤、可塑剤などが配合されていてもよい。
この実施の形態において用いられるホットメルト型接着剤としては、接着面のコントロール及び製造プロセスの容易さの観点から、ポリウレタン系接着剤が好ましい。なお、ホットメルト型接着剤は溶液型、エマルジョン型として提供される他、該ホットメルト型接着剤粉末を水に分散させた分散液型としても提供される。
この突出部折曲工程において、突出部と生地の裏面とをホットメルト型接着剤により接合する場合、いわゆる熱プレス機(例えば、株式会社ハシマ製HP−380A等)を用いること好ましく、ホットメルト型接着剤や生地に種類にもよるが、ホットメルト型接着剤として熱可塑性ポリウレタンを用い、また生地としてナイロンとePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)とからなる素材を用いた場合、単位面積当たり約294.2hPa(0.3kgf/cm2)程度の圧力をかけながら、150℃で15秒程度加熱することができる。
なお、シートタイプのホットメルト型接着剤の仮止めに際しては、手持ちのアイロンによる加熱等、比較的に容易な手段により、このシートタイプのホットメルト型接着剤を、剥離紙を介して加熱して、突出部21に接合する。その後、剥離紙を剥離すると共に、突出部21を折り曲げて生地2の裏面2bに当接させて、再度加熱する。
これにより、突出部と生地の裏面との接合をより容易に行うことができるだけでなく、突出部21を生地2の裏面の適正な位置に安定的且つ確実に接着することができる。
この膨出工程においては、図7(a)に示すように、突出部21及び生地2における突出部21と重複する部分に対して、予め定められた収容部4の内部空間の形状に合わせて形成された型部材20を前記生地の裏面から宛てがう。そして、この型部材20により、突出部21及び生地2におけるその突出部21と重複する部分を、生地2の表面2aの方向に凸となるように押し出して湾曲させ、これにより生地2の表面2bに向けて膨出させる。
そして、型部材20は、幅広の基端面が略半円あるいは横方向に長い略半楕円状に形成されていて、全体として、基端20cから先端20dに行くに従って次第に先細って、幅及び厚みが小さくなる形状(図7の場合、平面視略二等辺三角形状)に形成されている。
これにより、突出部21及び生地2における突出部21と重複する部分が、生地2の表面2aの方向に膨出する。
このとき、収容部4の外郭部4bは、突出部21及び生地2における突出部21と重複する部分とで形成され、実質的に2枚の生地が重ね合わせられた状態となるため、生地2の他の部分に比べて剛性が高く、収容部4全体を安定的に保形することが可能である。
また、収容部4は、生地2と一体に形成され、収容部形成用の縫い目が一切存在しないことから、収容部4の形成が生地2の防水性を阻害することはない。
前記スライドファスナーの接合工程は、図8に示すように、前記膨出工程後において、型部材20を生地2の裏面に宛がった状態を維持して、型部材20により収容部4を保形させながら行う。
より具体的には、スライドファスナー3のスライダ15が、スリット5の長さ方向、即ち第3開口端縁3cと第4開口端縁4cとの間を移動することができるように、そのスライダ15をスリット5内に位置させた状態で、一対のテープ状部材11,12と生地2の裏面2bとを接合する。このとき、スライドファスナー3の上止部材16を収容部4内に位置させて、スライダ15が上止に移動した際にはそのスライダ15が収容部4内に収容されるように、一対のテープ状部材11,12の生地2の裏面2bへの接合位置を調整する。
これにより、スライダ15が上止に達した際には、スライダ15が収容部内に収容されて、スライダ15と上止部材16との間の隙間、あるいはスライダ15と務歯列13,14との間の隙間が収容部4により覆うことが可能となり、きわめて優れた防水性を確保することができる。
このとき、接着剤層6は、各テープ状部材11,12の長さ方向の端部、及びスリット5とは反対側の長手の端部よりも外方に延出し、且つスリット5の周縁部分よりもスリット5の内方側に延出していて、スリット5内におけるテープ状部材11,12の表面上に露出した状態となっている。この結果、各テープ状部材11,12の周縁と生地2との間や、各テープ状部材11,12とスリット5の周縁との間、さらにはテープ状部材11,12におけるスリット5内に位置する部分の務歯列13,14の近傍までの領域のそれぞれが接着剤層6により被覆される。これにより、スライドファスナーの取付構造全体としての防水性がより高まると共に、テープ状部材11,12の周縁や生地2におけるスリット5の周縁のほつれが防止され、より安定した防水性を確保できる。
また、テープ状部材11,12と生地2の裏面2bとの接合をホットメルト型接着剤によって行うことにより、スライドファスナー3の生地2への取付けに際して縫合を行う必要がないため、生地2の表面2aに縫合に伴う縫い目が形成されないことから、防水性が損なわれることがないという利点もある。
この接合装置25は、生地2に取付けるスライドファスナー3を載置する金属製の基台26と、スライドファスナー3上に置かれた生地2を押さえ、且つ後述する加熱装置28により生地2が過剰に加熱を防ぐための、収容部4の形状に適合する形状にくり抜いた貫通孔27aを有するためのシリコン製板27と、シリコン製板27の上面から電磁波によりホットメルト型接着剤を加熱、溶融して接着剤層6を形成する加熱装置28とを備えている。さらに、接合装置25は、図8(b)に示すような、シリコン製板27と加熱装置28との間に着脱自在に載置可能な、収容部4の形状に適合する形状にくり抜いた貫通孔29aを板面に有する、生地2に対する厚さ方向の調整に供されるアルミ板29を備えている。
この接合装置25を用いて一対のテープ状部材11,12と生地2とを接合する場合、基台26の上に、スライドファスナー3と、このスライドファスナー3上の適切な位置に配置した生地2とを、一対のテープ11,12と生地2との間にホットメルト型接着剤30を配設した状態で載置する。
このとき、アルミ板29及びシリコン製板27については、アルミ板29の貫通孔29a及びシリコン製板27の貫通孔27a内に収容部4を位置させた状態で、生地2の表面にシリコン製板27や剥離紙31を介して間接的に当接させる。なお、剥離紙31は、生地2のスリット5内においてテープ状部材11,12上に露出したホットメルト型接着剤30の一部がシリコン製板27に付着しないようにすると共に、一対のテープ状部材11,12と生地2とを接合が完了した際に、ホットメルト型接着剤30を剥がし易くするためのものである。この剥離紙31は、収容部4を避けるように、生地2のスリット5の部分を覆うように配設する。
なお、前記加熱装置としては、公知の加熱装置を用いることができるが、この実施の形態の加熱装置28は高周波誘電加熱装置である。また、高周波誘電加熱装置としては、任意のものを用いることができるが、例えばクインライト電子精工株式会社製LW5500−APHを用いることができ、この場合は、生地やホットメルト型接着剤の種類にもよるが、概ね、約0.35A程度の陽極電流値で、高周波を約6秒程度発信することが好ましい。また、アルミ板29及びシリコン製板27については、生地の種類や厚さにもよるが、例えば2mm程度の厚さとすることができる。
通常、高周波誘電加熱装置によってホットメルト型接着剤の加熱を行うに際して、突出した収容部を有しない生地の場合、即ち生地が平面状である場合は、生地と加熱装置との間にシリコン製板を載置して、生地表面に対するシリコン製板の当接面が平滑になることで通電に偏りがでないようにしている。一方で、生地表面とシリコン製板との当接面が平滑でない場合は、生地の厚さ方向に局部的に電流が流れるため、生地が溶解する場合がある。
そのため、この実施の形態においては、アルミ板29の貫通孔29a及びシリコン製板27の貫通孔27aを設けて、これらの貫通孔29a,27a内に収容部4を収容させ、これにより、生地2とシリコン製板27との当接面を平滑にして、生地2の厚さ方向に均一な電流が流れるようにしている。また、アルミ板29の貫通孔29a及びシリコン製板27の貫通孔27aに収容部4を収容させることにより、生地2から突出した収容部4を潰さないように厚さ調整を行いながら安定的に加熱を行うことができる。さらに、アルミ板29は熱伝導性に優れるため、生地2への加熱を効率的に行うことができるという利点もある。
また、スライドファスナーの接合工程において、スリット5内におけるスライドファスナー3のテープ状部材11,12の表面に接着剤層6の一部が露出するが、このとき、接着剤層6の露出した部分の形状が変形している場合には、短時間再度加熱して形を整えるようにしてもよい。
さらに、生地2の裏面2bにおけるテープ状部材11,12の長手方向の両端部分に、生地とは別の生地を取付ける、いわゆるパッチ処理を任意に行ってもよい。
そして、スライドファスナー接合工程後においては、一定時間冷却することにより、スライドファスナー3の一対のテープ状部材11,12と生地2の裏面2bとの接合が完了し、スライドファスナーの接合工程は終了する。これにより、スライドファスナーの取付方法の全行程も終了することとなる。
スライドファスナー3の生地2の裏面2bへの仮止めは、例えば、シート状に形成されて、少なくとも一方のシート面に剥離紙が取付けられたホットメルト型接着剤30を使用し、前記収容部形成工程の膨出工程において、型部材20を折り曲げた突出部21及び生地2における突出部21と重複する部分に宛がう直前に、ホットメルト型接着剤30を、アイロン等によって剥離紙を介して加熱することにより行うことができる。これにより、型部材20を突出部21等に宛がい易く、また膨出させ易くなるという利点も生じる。なお、前記スライドファスナー接合工程を実施する際には、ホットメルト型接着剤の剥離紙は剥がしておく必要がある。
これにより、スライダ15がスライドファスナ3ーの上止部分に位置する場合には、スライダ15と務歯列13,14や上止部分との間を収容部で覆って、雨等の水がスライダ15と務歯列13,14や上止部材16との間から侵入することを安定的に防止することが可能となる。
そして、生地を第1の基材及び第2の基材で形成した場合、前記収容部形成工程では、これらの第1の基材と第2の基材のうちのいずれか一方の基材によって前記収容部を形成してもよい。
なお、図10及び図11のスライドファスナー構造において、生地41や、スリット42、突出部43、収容部44以外の構成については、基本的に前記実施の形態と同様であり同じ作用効果を奏するため、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。また、図10及び図11に係るスライドファスナーの取付方法の各工程については、説明した工程の以外については基本的に前記実施の形態と実質的に同じであるため、説明は省略する。
2,41,46 生地
2a 生地の表面
2b 生地の裏面
3 スライドファスナー
4 収容部
5 収容部
11,12 テープ状部材
13,14 務歯列
15 スライダ
20 型部材
21 突出部
27 シリコン製板
29 アルミ板
Claims (5)
- 表面及び裏面を有する防水性を備えた生地に、一対のテープ状部材と、これらのテープ状部材の長手の端縁部に相互に向き合うようにそれぞれ配設された一対の務歯列と、これらの一対の務歯列を係脱させるスライダとを備えた止水性を有するスライドファスナーを取付けるスライドファスナーの取付方法であって、
生地の対象部位に、前記スライダの可動域となる一方向に長いスリットを形成するスリット形成工程と、
前記スリットの周縁における、前記スライドファスナーの上止に相当する端部に、該上止に達した前記スライダを内部に収容する、前記生地の表面に向けて膨出する収容部の成形を行う収容部形成工程と、
前記一対のテープ状部材を、前記生地の裏面に面接触させた状態で該生地の裏面に接着剤により接合するスライドファスナーの接合工程とを有し、
前記スリット形成工程は、前記スリット周縁における前記スライドファスナーの上止に相当する端部に、前記スリットの内方に向けて突出し、且つ該スリットの内方に行くに従って次第に先細る突出部を形成する突出部形成工程を含み、
前記収容部形成工程は、前記突出部を前記生地の裏面に向けて折り曲げ、該突出部を該生地の裏面に接着剤により接合する突出部折曲工程と、
前記突出部折曲工程後において、前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分に対して、予め定められた前記収容部の内部空間の形状に合わせて形成された型部材を前記生地の裏面から宛てがい、該型部材により前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分を湾曲させて前記生地の表面に向けて膨出させて前記収容部とする膨出工程とを含み、
前記スライドファスナーの接合工程は、前記膨出工程後、前記型部材を前記生地の裏面に宛がった状態を維持して該型部材により前記収容部を保形させながら行う、スライドファスナーの取付方法。 - 前記突出部折曲工程における前記突出部と前記生地の裏面との接合は、前記突出部と前記生地の裏面との間に設けたホットメルト型接着剤を加熱することにより行うと共に、前記スライドファスナー接合工程は、前記スライドファスナーの前記一対のテープ状部材と前記生地の裏側における前記スリットの周縁部分に設けたホットメルト型接着剤を加熱することにより行う、請求項1に記載のスライドファスナーの取付方法。
- 前記スライドファスナー接合工程は、前記収容部の形状に適合する形状にくり抜いた貫通孔を有するアルミ板及びシリコン製板を、前記生地と前記アルミ板との間に前記シリコン製板を介在させた状態で前記生地の表面に配置すると共に、これらのアルミ板及びシリコン製板の貫通孔内に前記収容部を位置させた状態で、前記スライドファスナーの前記一対のテープ状部材と前記生地の裏面側における前記スリットの周縁部分に設けたホットメルト型接着剤を、前記生地の表面から前記アルミ板及びシリコン製板を通して高周波により加熱する、請求項2に記載のスライドファスナーの取付方法。
- 前記スリット形成工程において、前記スリットを、前記突出部が形成された長さ方向の端部から反対側の端部の方向に行くに従って次第に幅狭であり、且つ前記スリットにおける前記突出部が形成された端部の幅を、前記膨出工程において前記型部材により前記突出部及び前記生地における該突出部と重複する部分を湾曲させて膨出させた際に、前記スリットにおける対向する長手の端縁が平行となる大きさとした形状に形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライドファスナーの取付方法。
- 前記生地は、第1の基材と、該第1の基材の平面方向に連結された、前記第1の基材とは異なる第2の基材とを備えていて、前記突出部形成工程では、これらの第1の基材と第2の基材のうちのいずれか一方の基材によって前記突出部を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライドファスナーの取付方法。
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