JP6501288B2 - マンガンドープスピネル型赤色蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

マンガンドープスピネル型赤色蛍光体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、赤色を蛍光発光させる酸化物蛍光発光体及びその製造方法に関する。
スピネルはMgAlの鉱物名(和名:尖晶石)に由来し、その構造は、ダイヤモンド構造を基調とした構造で、一般化学式はABのように表されている。この化学式において、Aサイトは4つのXサイトの陰イオン(例えば酸化物イオン)に囲まれた孤立した四面体を形成し、Bサイトは6つの陰イオンに囲まれて辺を共有した八面体を形成した構造で表されている。
スピネル型酸化物の蛍光発光についての研究としては、例えば下記の先行技術が知られている。例えば青色発光するスピネル型酸化物として、非特許文献1には、スピネル型のZnGaが報告されている。また、赤色発光するスピネル型酸化物として、非特許文献2には、マンガンをドープしたカルシウムアルミネイトが提案され、マンガン添加量が発光輝度に影響することが報告されている。
また、特許文献1には、遷移金属ドープ・スピネル型MgGa24(マグネシウムガレート)蛍光体が提案されている。この蛍光体は、スピネル型MgGa24を母体結晶とし、この母体結晶に遷移金属としてMnを発光中心としてドープした蛍光体であり、バンド端励起により、508nmにピークを有する緑色発光と674nmにピークを有する赤色発光をするというものである。また、特許文献2には、遷移金属ドープ・スピネル型MgAl24蛍光体が提案されている。この蛍光体は、Al原料のAlの量に対してMgの量がモル比で数%過剰になるように混合した混合原料を加圧成型して原料棒とし、浮遊帯域溶融により単結晶化して得られるというものである。そして、Mnドープの量は、組成式Mg1-xMnxAlO4において、0.003≦x≦0.01の範囲が好ましいとするものである。
Kim,J.S., "Color variation of ZnGa2O4 phosphor by reduction-oxidation processes", Applied Physics Letters, 82(13), p.2029-2031(2003). 井上幸司、岩田晋也、橋本忍、「マンガンドープカルシウムアルミネイト系赤色蛍光体の合成と評価」、平成22年度三重県工業研究所研究報告No.35(2011).
特開2007−31668号公報 WO2004/101711A1
特許文献1で提案されたMnドープMgGa24が蛍光発光することは知られているが、それらは緑色発光する蛍光体又は緑色と赤色を同時に発光する蛍光体であり、高い発光輝度で赤色発光するものではなかった。また、特許文献2で提案されたMnドープMgAl24も同様、蛍光発光することは知られているが、それらは緑色発光する蛍光体又は緑色と赤色を同時に発光する蛍光体であり、高い発光輝度で赤色発光するものではなかった。このように、従来、赤色発光を主に発光させる酸化物蛍光発光体はなく、その発光メカニズムも検討されていなかった。
本発明は、赤色を蛍光発光させことができる発光メカニズムの検討過程で得られた知見に基づいてなされたものであって、その目的は、赤色を蛍光発光させる酸化物蛍光発光体及びその製造方法を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る酸化物蛍光発光体は、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物であって、前記Bサイト元素がAlである場合におけるMgの過剰量が前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内であり、Mnのドープ量が前記ABスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内であり、前記Bサイト元素がGaである場合におけるMgの過剰量が前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内であり、Mnのドープ量が前記ABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内である、ことを特徴とする。
この発明によれば、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含む特定のスピネル型酸化物は、赤色蛍光発光体として利用することができる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体において、前記過剰量のMgが、X線回折パターンにおいて酸化マグネシウムとして現れる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体において、前記ドープされたMnが、X線回折パターンにおいてMn又はMn化合物として現れない。
本発明に係る酸化物蛍光発光体において、620nm以上750nm以下の範囲内に蛍光発光ピークを有する。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る酸化物蛍光発光体の製造方法は、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物蛍光発光体の製造方法であって、
Aサイト元素原料であるMg化合物とBサイト元素原料であるAl化合物又はGa化合物とドープ元素原料であるMn化合物とを含む原材料を準備する工程と、前記原材料を固相反応法又は溶液法で混合した後に焼成する工程とを有し、
前記Bサイト元素原料をAl化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含み、
前記Bサイト元素原料をGa化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含む、ことを特徴とする。
この発明によれば、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含む特定のスピネル型酸化物は、赤色蛍光発光体として利用することができ、そのスピネル型酸化物を製造するための原材料を上記範囲内とすることにより、所望の赤色蛍光発光体を製造することができる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体の製造方法において、前記焼成は、準備された前記原材料を1300℃以上1700℃以下の温度範囲で焼成するように構成できる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体の製造方法において、前記溶液法での混合は、準備された前記原材料を、有機溶媒に加熱溶解して原料溶液とし(原料溶液準備)、前記原料溶液を仮焼した後に1300℃以上1700℃以下の温度範囲で焼成する(焼成)ように構成できる。
本発明によれば、赤色発光させことができる発光メカニズムの検討により、赤色を蛍光発光させる酸化物蛍光発光体及びその製造方法を提供することができた。特に、安価なMgやAlを用いて製造することができるので、安価な酸化物蛍光発光体を提供することができる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体であるMgAl系酸化物蛍光発光体の粉末X線回折測定結果である。 本発明に係る酸化物蛍光発光体であるMgGa系酸化物蛍光発光体の粉末X線回折測定結果である。 過剰量のMg(ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.3)と0.1モル%ドープしたMnを有するMgAl系酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果(A)と、蛍光灯下での状態を示す写真(B)と、励起波長λex=254nmの時の発光状態を示す写真(C)である。 0.1モル%ドープしたMnを有するMgAl系酸化物蛍光発光体において、過剰量のMgをABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0〜0.7の範囲で変化させたときの励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。 過剰量のMgを0.5(ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比)有するMgAl系酸化物蛍光発光体において、ドープするMnを0.025モル%〜1モル%の範囲で変化させたときの励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。 過剰量のMg(ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.5)と0.1モル%又は1モル%ドープしたMnを有するMgGa系酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=687nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果(A)と、蛍光灯下での状態を示す写真(B)と、励起波長λex=365nmの時の発光状態を示す写真(C)である。 0.05モル%ドープしたMnを有するMgGa系酸化物蛍光発光体において、過剰量のMgをABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1〜0.9の範囲で変化させたときの励起スペクトル(λem=685nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。 過剰量のMgを0.5(ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比)有するMgGa系酸化物蛍光発光体において、ドープするMnを0.025モル%〜1モル%の範囲で変化させたときの励起スペクトル(λem=687nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[酸化物蛍光発光体]
本発明に係る酸化物蛍光発光体は、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaのABスピネル型酸化物である。スピネル型酸化物は、Mnがドープされ、ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比を超える過剰量のMgを含んでいる。
このスピネル型酸化物は、Bサイト元素がAlであるMgAl系酸化物蛍光発光体においては、(1)Mgの過剰量がABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内であり、Mnのドープ量がABスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内であり、(2)Bサイト元素がGaであるMgGa系酸化物蛍光発光体においては、Mgの過剰量がABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内であり、Mnのドープ量がABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内である。こうして構成された酸化物蛍光発光体のいずれも、前記したスピネル型酸化物が所定のMgの過剰量とMnのドープ量とを含むことにより、赤色蛍光発光体を得ることができる。
以下、酸化物蛍光発光体の構成要素について詳しく説明する。
(組成)
酸化物蛍光発光体は、Aサイト元素がMgであり、Bサイト元素がAl又はGaであるABスピネル型酸化物である。Bサイト元素がAlの場合は、MgAlであり、Bサイト元素がGaの場合は、MgGaである。酸化物の下付き数字は、化学量論比を示しており、Mgの数字は省略しているが1である。この化学量論比はモル比であり、MgAlについて言えば、Mgが1モル、Alが2モル、Oが4モルの比で構成されている。
酸化物蛍光発光体には、過剰量のMgが含まれている。Bサイト元素がAlであるMgAl系酸化物蛍光発光体においては、Mgの過剰量は、MgAl中のMgに対する化学量論比(モル比)で0.1以上0.7以下の範囲内で含まれている。この範囲内のMgの過剰量を有するMgAl系酸化物蛍光発光体は、高い強度で赤色発光することができる。Mgの過剰量が0.1未満では、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下し、Mgの過剰量が0.7を超える場合も、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下する。なお、例えばMgが0.3だけ過剰に含まれている場合は、合計のMgの化学量論比(モル比)は1.3になる。
一方、Bサイト元素がGaであるMgGa系酸化物蛍光発光体においては、Mgの過剰量は、MgGa中のMgに対する化学量論比(モル比)で0.1以上0.9以下の範囲内で含まれている。この範囲内のMgの過剰量を有するMgGa系酸化物蛍光発光体は、高い強度で赤色発光することができる。Mgの過剰量が0.1未満では、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下し、Mgの過剰量が0.9を超える場合も、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下する。
酸化物蛍光発光体には、Mnがドープされている。Bサイト元素がAlであるMgAl系酸化物蛍光発光体においては、Mnのドープ量は、ABを1モルとしたとき、0.05モル%以上、0.2モル%以下の範囲内で含まれている。この範囲内のMnのドープ量を有するMgAl系酸化物蛍光発光体は、高い強度で赤色発光することができる。Mnのドープ量が0.05モル%未満では、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下し、Mnのドープ量が0.2モル%を超える場合も、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下する。
一方、Bサイト元素がGaであるMgGa系酸化物蛍光発光体においては、Mnのドープ量は、ABを1モルとしたとき、0.025モル%以上、0.2モル%以下の範囲内で含まれている。この範囲内のMnのドープ量を有するMgGa系酸化物蛍光発光体は、高い強度で赤色発光することができる。Mnのドープ量が0.025モル%未満では、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下し、Mnのドープ量が0.2モル%を超える場合も、上記範囲内の場合に比べて、発光強度が低下する。
Aサイト元素がMgであり、Bサイト元素がAl又はGaであるABについては、厳密な化学量論比でなくても許容され、Aサイトの化学量論比は0.99〜1.01の範囲内であればよく、Bサイトの化学量論比は1.98〜2.02の範囲内であればよく、O(酸素)の化学量論比は3.96〜4.04の範囲内であれば、発光強度に大きく影響しない。
なお、酸化物蛍光発光体の組成の定量は、波長分散型蛍光X線分析装置等で行うことができる。
(X線回折パターン)
酸化物蛍光発光体のX線回折パターンとして、Bサイト元素がAlのMgAl系酸化物蛍光発光体では、図1に示すように、MgAlの回折ピークと、Mgの過剰量を示すMgOの回折ピークとが現れる。このX線回折パターンより、Mgの過剰量はスピネル型酸化物蛍光発光体中にMgOとして含まれていることがわかる。したがって、Mgの過剰量は、酸化物蛍光発光体を構成するMgAlとともに、MgAl中のMgに対する化学量論比(モル比)で0.1以上、0.7以下の範囲内のMgOとして含まれているといえる。一方、ドープしたMnは、Mn単体又はMn化合物としての回折ピークは現れなかった。
また、Bサイト元素がGaのMgGa系酸化物蛍光発光体では、図2に示すように、MgGaの回折ピークと、Mgの過剰量を示すMgOの回折ピークとが現れる。このX線回折パターンより、MgAlと同様に、Mgの過剰量はスピネル型酸化物蛍光発光体中にMgOとして含まれていることがわかる。したがって、Mgの過剰量は、酸化物蛍光発光体を構成するMgGaとともに、MgGa中のMgに対する化学量論比(モル比)で0.1以上、0.9以下の範囲内のMgOとして含まれているといえる。一方、ドープしたMnは、Mn単体又はMn化合物としての回折ピークは現れなかった。
(蛍光発光特性)
図3(C)は、過剰量のMgとドープしたMnとを含むMgAl系酸化物蛍光発光体の発光状態を示した写真であり、図6(C)は、過剰量のMgとドープしたMnとを含むMgGa系酸化物蛍光発光体の発光状態を示した写真である。これらいずれの発光も、励起波長λex=が254nmの時の発光状態を示し、良好な発光状態を示している。なお、図3(B)は一般に市販されている蛍光灯下での発光状態を示した写真であり、図6(B)も一般に市販されている蛍光灯下での発光状態を示した写真であり、いずれも赤色発光しないのがわかる。
この発光状態については、後述の実施例及び図3等でも説明するように、本発明に係る酸化物蛍光発光体は、例えばMgAl系酸化物蛍光発光体に対する励起波長λex=290nmの場合や、MgGa系酸化物蛍光発光体に対する励起波長λex=310nmの場合のいずれにおいても、620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光している。
(性状)
酸化物蛍光発光体の性状は、常温/常湿(25℃±5℃/50%±10%RH)において、粉末であるのが通常である。その粉末の平均粒径は、通常、1nm以上、50nm以下の範囲内である。粒子径の測定は、例えば、小角散乱X線法で測定することができ、測定装置としては、例えば、株式会社リガク製のSmartLabを用いることができる。
本発明に係る酸化物蛍光発光体は、MgAl系酸化物蛍光発光体においては、励起波長が290nm付近と440nm付近に明確に現れ、MgGa系酸化物蛍光発光体においては、励起波長が310nm付近と470nm付近に明確に現れる。そのため、本発明では、MgAl系酸化物蛍光発光体においては、励起波長λex=290nmで蛍光スペクトルを測定し、MgGa系酸化物蛍光発光体においては、励起波長λex=310nmで蛍光スペクトルを測定したところ、いずれも、620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光していることがわかった。このように、本発明に係る酸化物蛍光発光体は、紫外光及び可視光の光で励起することができる。この酸化物蛍光発光体は、後述する製造方法で得られたものであってもよいし、それ以外の製造方法で得られたものであってもよい。
以上のように、本発明に係る酸化物蛍光発光体は、赤色発光させことができ、また、安価なMgやAlを用いて製造することができるので、安価な酸化物蛍光発光体を提供することができる。
[製造方法]
本発明に係る酸化物蛍光発光体の製造方法は、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物蛍光発光体の製造方法である。この製造方法は、Aサイト元素原料であるMg化合物とBサイト元素原料であるAl化合物又はGa化合物とドープ元素原料であるMn化合物とを含む原材料を準備する工程と、その原材料を固相反応法又は溶液法で混合した後に焼成する工程とを有する。
そして、Bサイト元素原料をAl化合物とした場合の原材料が、MgAlスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、MgAlスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含むこと、また、Bサイト元素原料をGa化合物とした場合の原材料が、MgGaスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、MgGaスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含むこと、に特徴がある。
この製造方法により、上記過剰量のMg化合物と、上記範囲内のMn化合物とを含み、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaのABスピネル型酸化物を製造することができる。こうした酸化物蛍光発光体の詳細は上記したとおりの組成とX線回折パターンを示し、また、MgAl系酸化物蛍光発光体においては励起波長λex=290nmで620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光しており、MgGa系酸化物蛍光発光体においては励起波長λex=310nmで620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光している。
以下、各工程について説明する。
(原材料の準備工程)
原材料は、Aサイト元素原料であるMg化合物と、Bサイト元素原料であるAl化合物又はGa化合物と、ドープ元素原料であるMn化合物とを含む。化合物としては、酸化物、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物等を挙げることができる。これらの原材料を固相反応法で混合するか、溶液法で混合するかで、化合物が選択される。例えば、固相反応法で混合する場合には、溶媒への溶解性を考慮する必要がないので、酸化物等を選択することができる。一方、溶液法で混合する場合には、溶媒への溶解性を考慮する必要があるので、溶媒溶解性のあるイオン化合物塩等を選択することが好ましい。
そうした各種の塩として、Mg化合物としては、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等を挙げることができる。Al化合物としては、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を挙げることができる。Ga化合物としては、酸化ガリウム、硝酸カリウム等を挙げることができる。Mn化合物としては、炭酸マンガン、酸化マンガン、硝酸マンガン等を挙げることができる。
なお、原材料粉末の粒径等は特に限定されないが、例えば酸化物の場合には、1μm以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内の大きさの粉末を用いることにより、原材料の混合を容易に行うことができる。
原材料の配合は、MgAl系酸化物蛍光発光体を製造する場合においては、Aサイト元素がMgでBサイト元素がAlのMgAl系酸化物になるように、Aサイト元素原料であるMg化合物をMgAlスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内の過剰量となるように配合し、Bサイト元素原料であるAl化合物原料を化学量論比分だけ配合し、ドープ元素材料であるMn化合物をMgAlスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内となるように配合する。
また、MgGa系酸化物蛍光発光体を製造する場合においては、Aサイト元素がMgでBサイト元素がGaのMgGa系酸化物になるように、Aサイト元素原料であるMg化合物をMgGaスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内の過剰量となるように配合し、Bサイト元素原料であるGa化合物原料を化学量論比分だけ配合し、ドープ元素材料であるMn化合物をMgGaスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内となるように配合する。
原材料の配合組成は、最終的に得られる酸化物蛍光発光体の組成と同じになるので、必要量が秤量されて配合される。
この製造方法により、上記過剰量のMg化合物と、上記範囲内のMn化合物とを含み、製造することができる。こうした酸化物蛍光発光体の詳細は上記したとおりの組成とX線回折パターンを示し、また、例えばMgAl系酸化物蛍光発光体では励起波長λex=290nmの場合に、620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光している。また、MgGa系酸化物蛍光発光体では励起波長λex=310nmの場合に、620nm〜750nmの範囲内に蛍光スペクトルピークを有し、赤色発光している。
(焼成工程)
焼成工程は、原材料を固相反応法又は溶液法で混合した後に焼成する工程である。混合は、上記した各原材料の適量を秤量し、ボールミル等の混合装置で行うことができる。
固相反応法では、準備された原材料を混合した後に焼成する。焼成は、1300℃以上、1700℃以下の温度範囲で行うことが好ましく、1400℃以上、1600℃以下の温度範囲で行うことがより好ましい。焼成雰囲気は、大気中、酸素雰囲気中あることが好ましい。
溶液法では、準備された原材料を、有機溶媒に加熱溶解して原料溶液とし(原料溶液準備)、その原料溶液は仮焼した後に1300℃以上1700℃以下の温度範囲で焼成する(焼成)。
溶液法で採用する溶媒としては、原料を溶解できる水や有機溶媒である必要がある。溶媒としては、特に制限はなく、例えば、多価アルコール、単糖、二糖等を挙げることができる。より具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、及びソルビトールからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
溶液法では、加熱濃縮を任意に行ってもよい。この加熱濃縮は、原料溶液を加熱濃縮してこの原料溶液中の水を除去して高粘性溶液にする。加熱温度は、100℃以上、150℃以下とするのが通常である。また、加熱処理の雰囲気は、特に制限はなく、大気雰囲気、窒素雰囲気やアルゴン等の不活性雰囲気のいずれであってもよい。
溶液法では、仮焼を行なう。この仮焼は、加熱濃縮によって得られた高粘性溶液をさらに加熱処理してこの高粘性溶液中の水溶性有機化合物の少なくとも一部を除去して粉末を得る。加熱処理温度としては、例えば上記したプロピレングリコールの場合にはその沸点(188.2℃)よりも60℃程度(40℃〜80℃程度の範囲)高い250℃程度(230℃〜270℃程度の範囲)であることが好ましい。加熱処理の雰囲気は、特に制限はなく、大気雰囲気、窒素雰囲気やアルゴン等の不活性雰囲気のいずれであってもよい。
焼成は、上記した固相反応法の場合と同様、1300℃以上、1700℃以下の温度範囲で行うことが好ましく、1400℃以上、1600℃以下の温度範囲で行うことがより好ましい。焼成雰囲気は、大気中、酸素雰囲気であることが好ましい。
こうした各工程を経て本発明に係る酸化物蛍光発光体を製造することができる。
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実験例1:MgAl系酸化物蛍光発光体]
(試料の作製)
MgAl系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。原材料は、MgO粉末(99.99%)、α−Al粉末(99.99%)、MnCO粉末(99.9%)を用いた(いずれも株式会社高純度化学研究所)。それぞれの粉末を化学量論比で「0.3MgO−MgAl;0.1モル%Mn」となるように、MgOを0.26198g、Alを0.50981g、MnCOを0.00057g秤量した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例1の「0.3MgO−MgAl;0.1モル%Mn」の酸化物蛍光発光体を得た。なお、ここでの湿式混合法は、酸化物粉末をエタノール中で混合するものである。
(蛍光・励起スペクトル測定)
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを測定した。蛍光・励起スペクトル測定は、分光蛍光光度計(日本分光株式会社製、FP−6300型)を用い、フィルターとしてシャープカットフィルターL−37(HOYA株式会社製、370nm以下の波長を遮断する。370nmでは50%遮断する。)を用い、粉末測定用のフォルダーに試料を詰め、分光蛍光光度計にセットして測定した。なお、分光蛍光光度計にフィルターを装着することで倍波の検出を無くした。蛍光スペクトルは、励起側の波長を290nmに固定し、蛍光側の波長を200nm〜550nmの範囲でスキャンさせて得られた結果で表した。また、励起スペクトルは、蛍光側の波長を極大波長(λem=652nm)に固定して、励起側の波長をスキャンさせ、励起光波長(λex=290nm)に対する蛍光強度で表した。
図3(A)は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、620nm〜750nmの範囲内で蛍光発光し、640nm前後で最も高い発光ピークを示した。また、図3(B)は、一般に市販されている蛍光灯下での状態を示す写真であり、図3(C)は、励起波長λex=254nmの時の発光状態を示す写真である。
[実験例2:Mgの過剰量の影響]
実験例1と同様にして、MgAl系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。それぞれの粉末を化学量論比で「xMgO−MgAl;0.1モル%Mn」となるように秤量した。ここでは、xはMgの過剰量であり、MgAlスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7にしたものをそれぞれ作製した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例2の「xMgO−MgAl;0.1モル%Mn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体のX線回折パターンを測定した。測定は、粉末X線回折装置として株式会社リガク製のRINT2200型を用い、CuKα線、印加電圧40kV、印加電流40mAの条件で行った。図1は、得られた粉末X線回折測定結果である。図1に示すように、MgAl系酸化物蛍光発光体の回折パターンが現れているのが確認された。また、過剰量のMgが、X線回折パターンにおいて酸化マグネシウムとして現れることも確認され、その過剰量が大きくなるにしたがって、回折ピークも高くなった。しかし、ドープされたMnは、X線回折パターンにおいてMn又はMn化合物として現れないことも確認された。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例1と同様にして測定した。図4は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、xが0.1〜0.7の範囲で高い発光ピークを示した。
[実験例3:Mnのドープ量の影響]
実験例1と同様にして、MgAl系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。それぞれの粉末を化学量論比で「0.5MgO−MgAl;yMn」となるように秤量した。ここでは、yはMnのドープ量(MgAlスピネル型酸化物に対してのモル%)であり、0、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0にしたものをそれぞれ作製した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例3の「0.5MgO−MgAl;yMn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例1と同様にして測定した。図5は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=652nm)の測定結果及び励起波長λex=290nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、yが0.05モル%〜0.2モル%の範囲で高い発光ピークを示した。
[実験例4:焼成条件の影響]
実験例1と同様にして、MgAl系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。それぞれの粉末を化学量論比で「0.5MgO−MgAl;0.1モル%Mn」となるように秤量した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合した。焼成条件としては、大気雰囲気、酸素を10mL/分で流した酸素雰囲気、窒素を10mL/分で流した窒素雰囲気でそれぞれ行った。また、焼成温度は、1400℃で5時間、1600℃で5時間の条件でそれぞれ行った。こうして、実験例4の「0.5MgO−MgAl;0.1モル%Mn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例1と同様にして測定した。その結果は図示しないが、大気雰囲気と酸素雰囲気で焼成したものは高い発光ピークを示した。また、1600℃での焼成の方が高い発光ピークを示した。
[実験例5:溶液法での作製]
MgAl系酸化物蛍光発光体を溶液法で合成した。原材料は、硝酸マグネシウム二水和物[Mg(NO・2HO]、硝酸アルミニウム九水和物[Al(NO・9HO]、酢酸マンガン四水和物[Mn(CHCOO)・4HO]、及び水を準備し、「0.5MgO−MgAl;0.1モル%」となるように、MgOを0.26198g、Alを0.50981g、MnCOを0.00057g秤量して混合し、有機化合物(ジエチレングリコール)を加えて原料溶液を準備した。このとき、ジエチレングリコールは、用いたアルミニウムモル比の4倍の量を加えた。次に、この原料溶液を約110℃10分間加熱することで原料粉末を有機溶媒中に溶解した(加熱溶解)。次に、そのゾルを大気雰囲気中350℃で3時間加熱(仮焼)した後、大気雰囲気中1400℃で5時間加熱して炭素(有機物質)を除去し、その後、大気雰囲気中1600℃で5時間の焼成を行った。こうして、実験例5の「0.5MgO−MgAl;0.1モル%Mn」を溶液法で作製した。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例1と同様にして測定した。その結果は図示しないが、高い発光ピークを示した。
[実験例6:MgGa系酸化物蛍光発光体]
MgGa系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。原材料は、MgO粉末(99.99%)、Ga粉末(99.9%)、MnCO粉末(99.9%)を用いた(いずれも株式会社高純度化学研究所)。それぞれの粉末を化学量論比で「0.5MgO−MgGa;yMn」となるように、MgOを0.30228g、Gaを0.93722g、MnCOを0.00029g秤量した。ここでは、yはMnのドープ量(MgGaスピネル型酸化物に対してのモル%)であり、0、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0にしたものをそれぞれ作製した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例6の「0.5MgO−MgGa;yMn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例1と同様にして測定した。図6(A)は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=687nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、620nm〜750nmの範囲内で蛍光発光し、687nm前後で最も高い発光ピークを示した。また、図6(B)は一般に市販されている蛍光灯下での状態を示す写真であり、図6(C)は励起波長λex=365nmの時の発光状態を示す写真である。
[実験例7:Mgの過剰量の影響]
実験例6と同様にして、MgGa系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。それぞれの粉末を化学量論比で「xMgO−MgGa;0.05モル%Mn」となるように秤量した。ここでは、xはMgの過剰量であり、MgGaスピネル型酸化物中のMgに対する化学量論比で0.1、0.3、0.5、0.7、0.9にしたものをそれぞれ作製した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例7の「xMgO−MgGa;0.05モル%Mn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体のX線回折パターンを測定した。測定は、粉末X線回折装置として株式会社リガク製のRINT2200型を用い、CuKα線、印加電圧40kV、印加電流40mAの条件で行った。図2は、得られた粉末X線回折測定結果である。図2に示すように、MgGa系酸化物蛍光発光体の回折パターンが現れているのが確認された。また、過剰量のMgが、X線回折パターンにおいて酸化マグネシウムとして現れることも確認され、その過剰量が大きくなるにしたがって、回折ピークも高くなった。しかし、ドープされたMnは、X線回折パターンにおいてMn又はMn化合物として現れないことも確認された。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例6と同様にして測定した。図7は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=685nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、xが0.1〜0.9の範囲で高い発光ピークを示した。
[実験例8:Mnのドープ量の影響]
実験例6と同様にして、MgGa系酸化物蛍光発光体を固相反応法で合成した。それぞれの粉末を化学量論比で「0.5MgO−MgGa;yMn」となるように秤量した。ここでは、yはMnのドープ量(MgGaスピネル型酸化物に対してのモル%)であり、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0にしたものをそれぞれ作製した。秤量した各原材料は、メノウ乳鉢を用いて乾式混合法で10分間混合した後に湿式混合法で20分間混合し、大気中で1400℃5時間焼成し、実験例8の「0.5MgO−MgGa;yMn」の酸化物蛍光発光体を得た。
得られた酸化物蛍光発光体の蛍光・励起スペクトルを、実験例6と同様にして測定した。図8は、酸化物蛍光発光体の励起スペクトル(λem=687nm)の測定結果及び励起波長λex=310nmで測定した蛍光スペクトルの測定結果である。この酸化物蛍光発光体は、yが0.025モル%〜0.2モル%の範囲で高い発光ピークを示した。

Claims (7)

  1. Aサイト元素がMgでBサイト元素がGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物であって、
    Mgの過剰量が前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内であり、Mnのドープ量が前記ABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内である、ことを特徴とする酸化物蛍光発光体。
  2. 前記過剰量のMgが、X線回折パターンにおいて酸化マグネシウムとして現れる、請求項1に記載の酸化物蛍光発光体。
  3. 前記ドープされたMnが、X線回折パターンにおいてMn又はMn化合物として現れない、請求項1又は2に記載の酸化物蛍光発光体。
  4. 620nm〜750nmの範囲内に蛍光発光ピークを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物蛍光発光体。
  5. Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物蛍光発光体の製造方法であって、
    Aサイト元素原料であるMg化合物とBサイト元素原料であるAl化合物又はGa化合物とドープ元素原料であるMn化合物とを含む原材料を準備する工程と、前記原材料をエタノール湿式混合法又は溶液法で混合した後に焼成する工程とを有し、
    前記Bサイト元素原料をAl化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含み、
    前記Bサイト元素原料をGa化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含む、ことを特徴とする酸化物蛍光発光体の製造方法。
  6. Aサイト元素がMgでBサイト元素がAl又はGaであり、Mnがドープされ、化学量論比を超える過剰量のMgを含むABスピネル型酸化物蛍光発光体の製造方法であって、
    Aサイト元素原料である酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び硝酸マグネシウムから選ばれるMg化合物とBサイト元素原料であるAl化合物又はGa化合物とドープ元素原料であるMn化合物とを含む原材料を準備する工程と、前記原材料を混合した後に焼成する工程とを有し、
    前記Bサイト元素原料をAl化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.7以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.05モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含み、
    前記Bサイト元素原料をGa化合物とした場合の原材料が、前記ABスピネル型酸化物中のAに対する化学量論比で0.1以上0.9以下の範囲内の過剰量のMg化合物と、前記ABスピネル型酸化物に対して0.025モル%以上0.2モル%以下の範囲内のMn化合物とを含む、ことを特徴とする酸化物蛍光発光体の製造方法。
  7. 前記焼成は、準備された前記原材料を1300℃以上1700℃以下の温度範囲で焼成する、請求項5又は6に記載の酸化物蛍光発光体の製造方法。
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