JP6501144B2 - クリップ - Google Patents
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Description
しかし、このクリップにおいては、一対の把持部のうち互いに対向する挟持面がフラットに形成されているため、仮支持中に引下線が位置ズレし、やり直しが必要になるという課題があった。
また、一対の把持部はいずれも長手方向に沿って直線状に形成されているため、クリップの支軸側に太い直径の電線が配置され、一端側に細い直径の引下線が配置される場合には、引下線と一対の把持部との間に隙間が発生して引下線が落下するおそれがある。そのため、仮支持を行う際には、クリップに対する電線及び引下線の配置を考慮しなければならず、作業に手間がかかるという課題があった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、電線等を確実に挟持できるクリップに関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された鰐口クリップに関する発明は、固定側クリップ片と、固定側クリップ片に対向させた可動側クリップ片と、固定側クリップ片側を常時加圧して可動側クリップ片を開閉操作する操作用レバー片とで構成され、固定側クリップ片は、ガイド長孔と第1軸支孔とを有する軸支片部を備え、可動側クリップ片は、ガイド長孔にて可動側クリップ片に軸支される第1支軸と、操作用レバー片を軸支する軸支体部とを備え、操作用レバー片は、軸支体部の第2軸支孔にて可動側クリップ片に軸支される第2支軸と、軸支片部の第1軸支孔にて固定側クリップ片側に軸支される第3支軸とを備え、操作用レバー片の押圧操作時に固定側クリップ片に対し可動側クリップ片が略平行に移動させるようにしたことを特徴とする。
このような特徴を備えた接続端子用クリップによれば、計測対象線材の線径の大小に拘わらず外れることなく確実に計測対象線材を咬持可能なので、計測作業を円滑に行うことができる。また、固定側クリップ片と可動側クリップ片は、長尺状をなすことから、複数の電線を咬持することも可能である。
特許文献2に開示された発明は、それぞれ主要部を挟んで先端部および後端部を有するとともに主要部を横断するように貫通する第1の軸回りに回動自在に連結された一対の金属片と、各金属片を先端部どうしが閉じ且つ後端部どうしが開くように付勢するバネと、一方の金属片の先端部における他方の金属片側に設けられた板状の第1導電部材と、他方の金属片の先端部を横断するように貫通する第2の軸と、第2の軸回りに回動自在でありかつ第1導電部材に向くように設けられた板状の第2導電部材と、を有することを特徴とする。
このような特徴を有する電気配線用クリップによれば、第1導電部材と第2導電部材は、共に板状であるので、板材に対し、いわゆる「面」で接する。板材からずれにくく、つまり、外れにくく、板材の電気配線に適している。また、第1導電部材と第2導電部材によって、複数の電線を挟持することも可能である。
特許文献3に開示された発明のうち、間接活線工事用クリップは、第1電線を挟持可能な挟持部、及び挟持部に連続し、間接活線工具によって把持される把持部を有する一対の帯板状の第1開閉部材と、一対の挟持部の先端部を開閉可能に、一対の挟持部の基端部側を連結する連結部材と、一対の挟持部の先端部が閉じる方向に力を付勢する第1付勢部材と、基端部が挟持部の先端部と回転自在に連結し、先端部が挟持部の先端部から延設すると共に、第2電線を挟持可能な一対の帯板状の第2開閉部材と、一対の第2開閉部材の先端部が閉じる方向に力を付勢する第2付勢部材と、を有する。
このような特徴を有する間接活線工事用クリップによれば、第1開閉部材と第2開閉部材によって複数の電線(第1及び第2の電線)を同時に挟持することができる。さらに、第2開閉部材は、その基端部が第1開閉部材の先端部と回転自在に連結されるため、例えば、第1開閉部材が太い直径の電線を挟持しながら、第2開閉部材が細い直径の電線を挟持できる場合も考えられる。
また、「挟持部は、把持片に対して傾動軸を中心として傾動自在に取り付けられ」とは、基端部同士が互いに近づいた場合には先端部同士が互いに遠ざかり、逆に基端部同士が互いに遠ざかる場合には先端部同士が互いに近づくように、挟持部が傾動軸を支点として傾動することを意味する。
このような挟持部の傾動は、例えば、電線を第1の挟持片同士の間に押し込むことによって行われる。また、傾動の角度とは、把持片の長手方向に対し挟持部の長手方向がなす角度をいい、第1の挟持片と第2の挟持片がそれぞれ電線を挟持する位置や、これら挟持された電線の直径、及びクリップの中心軸に対する一対の把持部の開閉角度に依存する。なお、クリップの中心軸とは、支軸を通り、かつ一対の把持部を閉じた場合に互いに重なり合う把持部の端面に沿って延びる軸線をいう。
さらに、弾性体としては、例えばコイルバネが使用される。
これに対し、把持部の一端を開いて、例えば、1本目の電線を第1の端面同士の間に押し込むとともに、2本目の電線を第2の端面同士の間に押し込むと、基端部が互いに遠ざかる方向に挟持部が傾動軸を中心として傾動し、弾性体が収縮する。しかし、弾性体の付勢によって、第1の端面で1本目の電線が挟持される。これと同時に、挟持部の上記傾動に伴い、先端部が互いに近づくため、第2の端面で2本目の電線が挟持される。
そして、再度把持部の一端を開き、複数の電線の挟持を解除すると、弾性体の付勢によって、挟持部が傾動軸を中心として傾動し、挟持部は、クリップが電線を挟持しない場合の状態に戻る。
このような構成の発明において、第1の挟持片と第2の挟持片は、あたかも傾動軸を支点とするシーソーのような形状となっている。また、「第1の挟持片の直線軸に沿った長さは、第2の挟持片の直線軸に沿った長さ以下である」としたのは、例えば、第1の端面で太い直径の電線を挟持する場合に、第2の挟持片の先端部同士を近接又は接触可能とするためである。
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、第2の挟持片の先端部同士が近接又は接触可能に、第1及び第2の挟持片の直線軸に沿った長さをそれぞれ設計することにより、太い電線の直径や細い電線の直径に関わらず、第2の端面で細い直径の電線が挟持される。
このような発明において、「第1の端面を被覆しないように凹部が形成される」とは、凹部が、クリップの中心軸側へ第1の端面を超えて延設されないことをいう。
上記構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、凹部が形成されることにより、弾性体の付勢によって、例えば、常に第1の端面が電線に圧接することで、電線が挟持される。
このような構成の発明において、第2の端面は、必ずしも一様な平坦面をなしていなくても良く、例えば、凹凸面や緩やかな湾曲面をなしているが、第2の端面を側面視した場合に、その長手方向に沿って略直線状に形成されていても良い。すなわち、「直線状」とは、第2の端面が一様な平坦面をなしているほか、第2の端面に凹凸面等が形成されることで、第2の端面を側面視した場合に、第2の端面の両端点を最短距離で結ぶ直線に、第2の端面が上記直線からわずかに変位しながら上記直線にほぼ一致して位置することを意味する。
上記構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて、例えば、第1の挟持片に対し第2の挟持片が傾斜する場合では、第1の端面で電線を挟持すると、第2の端面同士が略平行となる場合がある。したがって、第2の端面のうちいずれの位置においても、電線が挟持される。これは、支軸を介して一端を開閉可能に連結される一対の把持部を備え、この一対の把持部の対向する端面が直線状をなす従来技術に係るクリップと同様である。
また、第2の発明のように、第1の挟持片と第2の挟持片がいずれも基端部と先端部を結ぶ直線軸上に連続して配列された場合、先端部同士は鋭角をなすとともに、第2の端面はクリップの中心軸に対して緩やかに傾斜する。そのため、第2の端面における電線の挟持位置を電線の直径に応じて微調整可能である。
上記構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加えて、 例えば、電線に対する第2の端面の圧接力が増加し、電線の落下やズレが防止される。
図1に示すように、本実施例に係るクリップ1は、支軸2を介して一端3a,3aを開閉可能に連結される一対の把持部3,3を備えるクリップである。
一対の把持部3,3は、支軸2から一端3a,3aまでを構成する把持片4,4の長手方向に沿って、挟持部5,5が把持片4,4と別体的に設けられる。さらに、一対の把持部3,3は、それぞれ他端3b,3bと、互いに対向する端面3c,3cを備える。
支軸2には、一端3a,3aが互いに閉じるように付勢する金属製のねじりバネが巻回されている(図示せず)。したがって、ヤットコ等で他端3b,3b同士を開閉する操作を行うと、一端3a,3aが開閉される構造となっている。
把持片4の断面は略コ字状をなしており、この略コ字状の内部に挟持部5が設けられる。
さらに、挟持部5,5は、基端部5a,5aから傾動軸6,6までに挟持片7,7が構成されるとともに、傾動軸6,6から先端部5b,5bまでに挟持片8,8が構成され、把持片4,4に対して傾動軸6,6を中心として傾動自在に取り付けられる。
また、挟持片7,7は、互いに対向する端面7a,7aを備え、挟持片8,8は、互いに対向する端面8a,8aを備え、基端部5a,5aを互いに近づける方向(図中矢印)に付勢する弾性体9,9が、把持片4,4の支軸2寄りの端部4a,4aと基端部5a,5aとの間に設けられる。
また、取付部10は、具体的には、把持片4に穿設された一対の孔部(図示せず)と、この一対の孔部に挿入される軸体6a(図2参照)の両端を回動可能に、かつこの両端が一対の孔部から抜き出さないように固定する一対のナット(図示せず)と、から構成される。
傾動軸6は、直線軸Lと直交する方向に沿った長軸を有する軸体6aを備える。そして、軸体6aの両端が把持片4の取付部10(図1参照)に対して固定されることで、挟持片7と挟持片8がそれぞれ軸体6aを中心として傾動自在な構成になっている。なお、具体的には、軸体6aは通しボルトである。
挟持片7,8の上記傾動については、図2(c)に示すように、挟持片7がα1方向に回動すると挟持片8はα2方向に回動し、挟持片7がβ1方向に回動すると挟持片8はβ2方向に回動する。すなわち、挟持部5,5は、挟持片7,7と挟持片8,8が挟持する被挟持物のサイズに適宜対応し、傾動することが可能である。
また、図2(a)に示すように、挟持片7の端面7aと挟持片8の端面8a、及び傾動軸6は、これを側面視した場合に、ほぼ連続する直線状に形成される。このうち、端面8aには、鋸歯状の凹凸面が形成されるが、端面8aを側面視した場合に、直線状に形成される。なお、この「直線状」とは、端面8aを側面視した場合に、端面8a,8aの端点8b,8cを最短距離で結ぶ直線Lminに、端面8aが厳密に一致して位置することのほか、端面8aに凹凸面や緩やかな湾曲面が形成されることで、端面8aが直線Lminからわずかに変位しながら直線Lminとほぼ一致して位置することを意味する。なお、端点8bは、端面8a及び傾動軸6を側面視した場合に、端面8aと傾動軸6との境界部に存在する点であり、端点8cは、同様の場合に、端点8bから直線軸Lに平行して先端部5bの側へ長さL8だけ遠ざかった点である。
図3に示すように、クリップ1を構成する把持部3,3の一端3a,3aを閉じた場合、弾性体9,9の付勢によって、基端部5a,5aが互いに近づき、挟持片7,7の端面7a,7aが互いにクリップの中心軸C上において密着する。挟持片8,8の端面8a,8aも互いにクリップの中心軸C上において密着し、鋸歯状の凹凸面同士が噛合する。なお、端面7a,7aの密着及び端面8a,8aの密着は、挟持片7,7と挟持片8,8の形状や、傾動軸6,6及び取付部10,10の配置を考慮することによって可能となる。
図4に示すように、把持部3,3の一端3a,3aを、それぞれα,β方向へ開いた場合、弾性体9,9の付勢によって、挟持部5,5の基端部5a,5aが互いに近づいた状態が維持されながらも、傾動軸6,6の間隔が拡大されるため、基端部5a,5a同士は鋭角を形成する。また、挟持片7と挟持片8は、いずれも直線軸L(図2参照)上に連続して配列されるため、端面7a,7a及び端面8a,8aは中心軸Cに対して緩やかに傾斜する。
また、長軸M1,M2は、それぞれ把持片4の端部4aと一端3aを結ぶ長軸(長手方向)であり、直線軸L1,L2は、それぞれ挟持片7の長手方向と挟持片8の長手方向に平行し、挟持部5の基端部5aと先端部5bを結ぶ直線軸である。さらに、長軸M1,M2に対しそれぞれ直線軸L1,L2がなす角度が、挟持部5,5の傾動の角度θ1,θ2である。したがって、図4においては、傾動の角度θ1,θ2は、それぞれ0度であって、挟持片7,7と挟持片8,8は、いずれも傾動軸6,6を中心とした傾動を行わない。
図5に示すように、把持部3,3の一端3a,3aを、それぞれα,β方向へ開き、電線D1を端面7a,7aの間に押し込むとともに、電線D2を端面8a,8aの間に押し込むと、端面7a,7aが電線D1によって押されるため、基端部5a,5aが互いに遠ざかる方向に挟持部5,5が傾動軸6,6を中心として傾動する。したがって、図5においては、傾動の角度θ1,θ2は、それぞれ絶対値で0度以上である。このとき、弾性体9,9は収縮するが、その付勢によって電線D1に端面7a,7aが圧接することから、端面7a,7aで電線D1が挟持される。
これと同時に、挟持部5,5の上記傾動に伴い、先端部5b,5bが互いに近づき、電線D2に端面8a,8aが圧接する。よって、端面8a,8aで電線D2が挟持される。なお、電線D1の直径は、電線D2の直径よりも大である。
また、先端部5b,5b同士は鋭角をなすとともに、端面8a,8aは中心軸Cに対して緩やかに傾斜する。そのため、端面8a,8aにおける電線D2の挟持位置を電線D2の直径に応じて微調整可能である。
さらに、端面8a,8aには、鋸歯状の凹凸面が形成されるため、電線D2に対する端面8a,8aの圧接力が増加し、電線D2の落下やズレが防止される。
これに対し、凹部4b,4bが形成されない把持片4,4の場合には、ヤットコ等により一端3a,3aが一定角度に固定されて開かれているので、電線D1を端面7a,7aの間に深く押し込むことが困難である。仮に、電線D1が端面7a,7aの間に挟持される場合は、把持片4,4が電線D1に直接接触することで電線D1が挟持される。この場合には、電線D1は弾性体9,9の付勢を受けないために把持片4,4からずれ易く、電線D1の落下が多発するおそれがある。このように、クリップ1によれば、凹部4b,4bによって、電線D1を安定的に挟持することができる。
また、端面8a,8aに形成された凹凸面によって、電線D2の落下やズレが防止されるため、クリップ1の付け直し等をする必要がなく、クリップ1の発生を防止できるとともに作業効率を向上させることが可能である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、実施例の変形例に係るクリップ1aは、実施例に係るクリップ1を構成する挟持部5,5が挟持部11,11に置換されたものである。
挟持片12,12は、互いに対向する端面12a,12aを備え、挟持片13,13は、互いに対向する端面13a,13aを備える。
また、挟持片12,12と挟持片13,13は、それぞれ挟持片12に対し挟持片13が傾斜して配列されつつ、傾動軸6を介して一体的に形成される。クリップ1aにおけるこの他の構成は、実施例に係るクリップ1と同様である。
これと同時に、先端部11b,11bが互いに近づき、端面13a,13aが略平行となる。そのため、端面13a,13aのうちいずれの位置においても、電線D2が挟持される。
したがって、クリップ1aによれば、端面13a,13aが略平行となるため、従来技術に係るクリップと同様な使用をすることも可能である。なお、従来技術に係るクリップとは、支軸を介して一端を開閉可能に連結される一対の把持部を備え、この一対の把持部の対向する端面が略直線状をなす構成であるものを指す。クリップ1aにおけるこの他の作用及び効果は、実施例に係るクリップ1と同様である。
この他、クリップ1aにおいて、挟持片12の長さが挟持片13の長さよりも長く構成されても良い。この場合、把持片4に凹部4bが形成されなくても挟持端面12a,12aで細い直径の電線D2を挟持可能であるとともに、端面13a,13aで太い直径の電線D1を挟持可能である場合も考えられる。
Claims (5)
- 支軸を介して一端を開閉可能に連結される一対の把持部を備え、電線を挟持するクリップであって、
前記一対の把持部は、前記支軸から前記一端までを構成する把持片の長手方向に沿って、挟持部が前記把持片と別体的に設けられ、
前記挟持部は、前記支軸寄りの基端部と、先端部と、この先端部と前記基端部の間に設けられる傾動軸と、を備え、前記基端部から前記傾動軸までに第1の挟持片が構成されるとともに、前記傾動軸から前記先端部までに第2の挟持片が構成され、前記把持片に対して前記傾動軸を中心として傾動自在に取り付けられ、
前記第1の挟持片は、互いに対向する第1の端面を備え、
前記第2の挟持片は、互いに対向する第2の端面を備え、
前記基端部を互いに近づける方向に付勢する弾性体が、前記把持片の前記支軸寄りの端部と前記基端部との間に設けられることを特徴とするクリップ。 - 前記第1の挟持片と前記第2の挟持片は、いずれも前記基端部と前記先端部を結ぶ直線軸上に連続して配列されつつ、一体的に形成され、
前記第1の挟持片の前記直線軸に沿った長さは、前記第2の挟持片の前記直線軸に沿った長さ以下であることを特徴とする請求項1記載のクリップ。 - 前記把持片は、前記傾動軸が取り付けられる取付部が設けられ、前記支軸から前記取付部にかけて前記第1の端面を被覆しないように凹部が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のクリップ。
- 前記第2の端面は、これを側面視した場合に、直線状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のクリップ。
- 前記第2の端面は、凹凸面が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のクリップ。
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