実施形態について説明する。図1(A)は実施形態に係る撮像装置1の外観を示す図であり、図1(B)は撮像装置1の構成を示す図である。図中のXYZ直交座標系において、X方向およびY方向は、例えば水平方向であり、Z方向は例えば鉛直方向である。X方向、Y方向、及びZ方向の各方向において、適宜、矢印の向きを+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称す。
撮像装置1は、例えば、病理診断支援、臨床診断支援、観察支援などの医療支援に利用される。図1(B)に示すように、撮像装置1は、標本支持部2と、照明ユニット(照明部)3と、検出ユニット(撮像ユニット)4と、校正基準部5と、切替部6と、制御部7と、収容部8とを備える。標本支持部2は、生物の組織BTを含む標本を支持する。標本支持部2は、例えば、矩形板状の部材である。標本支持部2は、例えば、その上面(載置面)が水平方向とほぼ平行に配置され、この上面(載置面)に組織BTを載置可能である。
組織BTは、例えば人間の組織であるが、人間以外の生物(例、動物)の組織でもよい。組織BTは、生物から切り取った状態の組織でもよいし、生物に付随した状態の組織でもよい。また、組織BTは、生存している生物(生体)の組織(生体組織)でもよいし、死亡後の生物(死体)の組織でもよい。組織BTは、生物から摘出した物体でもよい。組織BTは、生物のいずれの器官を含んでもよく、皮膚を含んでいてもよいし、皮膚よりも内側の内臓などを含んでもよい。また、組織BTは、分泌物と排泄物の一方または双方を含んでいてもよい。また、組織BTは、光を受けて励起により光を発する物質(例、蛍光物質、りん光物質)を生物の組織に付与したものであってもよい。また、組織BTは、ホルマリン等の組織固定液を用いて固定されてもよい。
照明ユニット3は、例えば、標本支持部2の上方に配置され、赤外光(以下、本明細書では、「赤外光」と称した場合には「近赤外光」をも含む概念とする)を組織BTに照射する。照明ユニット3は、例えば撮像ユニット4に取り付けられる。照明ユニット3は、光源部11と、保持部材12と、可視光源部13と、光源移動部14とを備える。光源部11は、赤外光を射出する。保持部材12は、光源部11を保持する。保持部材12は、例えば板状の部材であり、その下面側に光源部11を保持する。光源移動部14は、組織BTに対する赤外光の照射角度を変化させる。本実施形態において、撮像装置1は、拡散部材15を備える。拡散部材15は、光源部11からの赤外光を拡散する。光源部11からの赤外光は、拡散部材15により拡散された後、組織BTに照射される。照明ユニット3は、組織BTに近赤外光を照射可能である。また、照明ユニット3は、組織BTに単一の狭波長帯の赤外光を照射可能である。また、照明ユニット3は、無影灯のような無影照明が可能であっても良い。
本実施形態において、照明ユニット3は、可視光を組織BTに照射することもできる。可視光源部13は、可視光を射出する。可視光源部13は、保持部材12に保持される。保持部材12は、例えば、その下面側に可視光源部13を保持する。光源移動部14は、組織BTに対する可視光の照射角度(例、照射方向)を変化させることもできる。可視光源部13からの可視光は、拡散部材15により拡散された後、組織BTに照射される。
図2(A)は、拡散部材15が取り付けられた状態の照明ユニット3を示す図であり、図2(B)は、拡散部材15が外された状態の照明ユニット(A)を示す図である。図2(C)は、照明ユニット3の平面図である。図2(D)は、光源移動部14を示す図である。図2(A)、図2(B)に示すように、拡散部材15は照明ユニット3の射出側を覆うように設けられる。拡散部材15は、開口15aを有し、撮像ユニット4と標本支持部2との間の光路(後述する第1撮像部21の光軸21aおよびその周囲)は、開口15aの内側に配置される。例えば、拡散部材15は、照明ユニット3の射出側に配置されて光源部11及び可視光源部13と一体的に設けられて構成され、標本支持部2と光源部11及び可視光源部13との間に配置される。例えば、拡散部材15は、撮像ユニット4の受光側に配置され、赤外光や可視光などの光(組織BTを介した光)が通過する開口部(例、開口15a)を有する。このように、拡散部材15は、開口部を用いて、光源部11、可視光源部13及び撮像部(第1撮像部21及び/又は第2撮像部22)のうち光源部11の光射出側及び可視光源部13の光射出側を覆うように設けられている。また、拡散部材15は、校正基準部5の退避状態において、標本支持部2に対する上部(天井部)を構成する。
図2(C)に示すように、照明ユニット3は、撮像部(検出部)の光軸(例、受光素子が受光する光の光軸)21aの周囲に複数配置されている。各照明ユニット3において光源部11は、複数の光源16を備える。例えば、複数の光源16は、それぞれ、発光ダイオード(LED)であるが、レーザーダイオード(LD)などの固体光源を含んでもよいし、ハロゲンランプなどのランプ光源を含んでもよい。複数の光源16は、互いに異なる波長帯の赤外光を発する。複数の光源16のそれぞれが発する赤外光の波長帯は、例えば、約700nm以上約2500nm以下の波長帯域から選択される。複数の光源16のそれぞれから発せられる赤外光の波長帯は、例えば、互いに重複しないように設定されるが、重複してもよく、2以上の光源16が同じ波長帯の赤外光を発してもよい。各照明ユニット3において、光源部11が備える光源16の数は、図2(C)では6つであるが、1つでもよいし、2つ以上の任意の数でもよい。各照明ユニット3において、複数の光源16はいずれも保持部材12に保持されるが、複数の光源16が複数の部材に分かれて保持されてもよい。また、例えば、複数の光源16は、制御部7によって制御され、選択的または一括的に赤外光を射出する。
可視光源部13は、発光ダイオード(LED)などの光源を含む。この光源は、レーザーダイオード(LD)などの固体光源でもよいし、ハロゲンランプなどのランプ光源でもよい。可視光源部13は、例えば、約380nm以上約750nm以下の波長帯域の少なくとも一部の波長帯の可視光を射出する。可視光源部13は、例えば、各照明ユニット3に設けられる。各照明ユニット3において、可視光源部13は、例えば、光源部11の複数の光源16と同じ保持部材12に保持されるが、保持部材12と別の部材に保持されてもよい。各照明ユニット3に設けられる可視光源部13の光源の数は、図2(C)では1つであるが、2つ以上でもよい。可視光源部13が複数の光源を備える場合、複数の光源のそれぞれが射出する可視光の波長帯は、2つ以上の光源で互いに異なってもよいし、2つ以上の光源で同じでもよい。
図2(D)に示すように、光源移動部14は、組織BTに対する赤外光IRの照射角度(例、光源部11の照射方向、射出方向)を変化させる。光源部11の照射方向D1は、例えば、光源部11から射出される赤外光IR(ビーム)の中心軸の方向である。光源移動部14は、例えば、保持部材12の姿勢(例、第1撮像部21の光軸21aとの角度)を変化させることにより、赤外光IRの照射角度を変化させる。光源部11からの赤外光IRの照射角度は、例えば、光源部11と第1撮像部21との位置関係が組織BTの表面に関する正反射の関係からずれるように、設定される。光源部11からの赤外光IRの照射角度は、光源部11と第1撮像部21との位置関係が標本支持部2の上面に関する正反射の関係からずれるように、設定されてもよい。
光源移動部14は、例えば、保持部材12と撮像ユニット4とを接続し、保持部材12を撮像ユニット4に対して移動(例、回動)させる。これにより、保持部材12の姿勢が変化し、光源部11からの赤外光IRの照射角度が変化する(変化後の照射方向D1を二点鎖線で示す)。光源移動部14は、例えばギア等を含み、保持部材12を移動させる駆動力を伝達する。光源移動部14は、保持部材12を移動させる駆動力を供給する電動モータなどのアクチュエータを備えてもよいし、アクチュエータを備えなくてもよい。光源移動部14がアクチュエータを備える場合、このアクチュエータは制御部7に制御されてもよい。制御部7は、光源移動部14を制御することにより、赤外光IRの照射角度を制御してもよい。また、光源移動部14がアクチュエータを備えない場合、例えば、オペレータ(ユーザ)の人力により光源移動部14を駆動してもよい。また、保持部材12は、撮像ユニット4と別の物体に接続(例、支持)されてもよく、撮像ユニット4に接続(例、支持)されなくてもよい。光源移動部14は、照明ユニット3ごとに赤外光の照射角度を変化させてもよいし、例えばリンク機構などにより、赤外光の照射角度を2つ以上の照明ユニット3で一括して変化させてもよい。
なお、複数の照明ユニット3は、いずれも同様の構成であるが、その2つ以上が互いに異なる構成でもよい。例えば、1つの照明ユニット3は、保持部材12に対する複数の光源16の位置関係、複数の光源16の数、複数の光源16から射出される赤外光の波長帯の少なくとも1つが、他の照明ユニット3と異なってもよい。また、撮像装置1は、照明ユニット3の少なくとも一部を備えなくてもよい。例えば、照明ユニット3は、撮像装置1に交換可能に取り付けられ、撮像装置1により撮像を行う際に取り付けられてもよい。また、照明ユニット3の少なくとも一部は、撮像装置1が使用される設備の一部(例、室内灯)などでもよい。
図1の説明に戻り、検出ユニットとしての撮像ユニット4は、検出部としての第1撮像部21および第2撮像部22を備える。第1撮像部21は、例えば赤外カメラであり、赤外光の照射により組織BTを撮像する。第1撮像部21は、赤外光の照射により組織BTから放射される光(例、反射光、散乱光、透過光、反射散乱光など)を検出する。第1撮像部21は、撮像光学系(検出光学系)23および撮像素子(受光素子)24を備える。撮像光学系23は、例えばAF機構(オートフォーカス機構)を有し、組織BTの像を形成する。第1撮像部21の光軸21aは、撮像光学系23の光軸と同軸である。
撮像素子24は、撮像光学系23が形成した像を撮像する。撮像素子24は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの二次元イメージセンサを含む。撮像素子24は、例えば、二次元的に配列された複数の画素を有し、各画素にフォトダイオードなどの光検出器が配置された構造である。撮像素子24は、例えば光検出器にInGaAs(インジウムガリウムヒ素)を用いたものであり、光源部11から射出される赤外光の波長帯に感度を有する。第1撮像部21の検出範囲A1は、例えば、標本支持部2上で第1撮像部21が撮像可能な撮像領域、標本支持部2上の第1撮像部21の視野領域である。第1撮像部21の撮像領域は、例えば、撮像素子24の受光領域(光検出器の配置領域)と光学的に共役な領域である。第1撮像部21の視野領域は、例えば、撮像光学系23の視野絞りの内側と光学的に共役な領域である。第1撮像部21は、例えば、撮像結果(検出結果)として撮像画像のデータを生成する。第1撮像部21は、例えば、撮像画像のデータを制御部7に供給する。
第2撮像部22は、例えば可視カメラであり、可視光の照射により組織BTを撮像する。第2撮像部22は、例えば、可視光源部13からの可視光のうち組織BTの表面で反射散乱した光を検出する。第2撮像部22は、撮像光学系(図示せず)および撮像素子(図示せず)を備える。撮像光学系は、例えばAF機構(オートフォーカス機構)を有し、組織BTの像を形成する。撮像素子は、撮像光学系が形成した像を撮像する。撮像素子は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの二次元イメージセンサを含む。撮像素子24は、例えば、二次元的に配列された複数の画素を有し、各画素にフォトダイオードなどの光検出器が配置された構造である。撮像素子は、例えば光検出器にSi(シリコン)を用いたものであり、可視光源部13から射出される可視光の波長帯に感度を有する。第2撮像部22は、例えば、撮像結果(検出結果)として撮像画像のデータを生成する。第2撮像部22は、例えば、撮像画像のデータを制御部7に供給する。
本実施形態において、撮像装置1は、サイズ変更部31を備える。サイズ変更部31は、第1撮像部21と標本支持部2とを、第1撮像部21の光軸21aの方向に相対移動させ、検出範囲A1のサイズを変更する。サイズ変更部31は、例えば、第1撮像部21が設けられた撮像ユニット4を移動させることで、第1撮像部21と標本支持部2とを撮像部(例、第1撮像部21)の光軸方向(例、検出素子が受光する光の光軸方向)に相対移動させる。本実施形態において、拡散部材15を有する照明ユニット3は撮像ユニット4と接続されており、サイズ変更部31は、照明ユニット3を撮像ユニット4とともに一体的に移動させる。サイズ変更部31は、例えば、電動モータなどのアクチュエータ(図示せず)、及びアクチュエータからの駆動力を撮像ユニット4に伝える伝達部(図示せず)を備える。サイズ変更部31は、例えば、制御部7に制御され、制御部7から指定された移動量だけ撮像ユニット4を移動させる。
なお、撮像装置1は、第2撮像部22を備えなくてもよい。また、第2撮像部22は、撮像装置1の外部の装置に含まれてもよい。また、サイズ変更部31は、標本支持部2を第1撮像部21に対して進退移動させてもよく、この場合、サイズ変更部31は、撮像ユニット4を移動させてもよいし、移動させなくてもよい。また、撮像装置1は、サイズ変更部31を備えなくてもよい。撮像装置1(例、撮像光学系23)は、ズーム機構(例、ズームレンズ)を備えてもよい。
図3(A)、図3(B)は、実施形態に係る撮像装置1の撮像ユニット4の移動を示す図である。図3(B)において、撮像ユニット4は、図3(A)と比較して下方(例、物体に近づく鉛直方向)に配置されている。撮像ユニット4は、下方(例、物体に近づく鉛直方向)に移動するにつれて、対向する物体(例、標本支持部2)と接近し、この物体上の検出範囲A1(図1(B)参照)が狭くなる。撮像ユニット4は、例えば、検出範囲A1が狭くなるほど、検出範囲A1内の物体を拡大した撮像画像を取得可能である。また、撮像ユニット4は、上方(例、物体から離れる鉛直方向)に移動するにつれて、対向する物体(例、標本支持部2)から離れ、この物体上の検出範囲A1(図1(B)参照)が広くなる。撮像ユニット4は、例えば、検出範囲A1が広くなるほど、検出範囲A1内の物体を縮小した撮像画像を取得可能である。
次に、図1および図4を参照しつつ、校正基準部5および切替部6について説明する。図4は、校正基準部5および切替部6を示す図である。校正基準部5は、例えば、少なくとも表面に測定の基準となる校正用部分(例、標準白色板、標準灰色板、標準黒色板など)を有し、第1撮像部21の校正(例、撮像部の受光素子が受光する光の輝度の校正)に使われる。校正基準部5は、例えば、標準白色板などのように公的機関によって校正、検定されたものである。校正基準部5は、板状の部材でもよいし、ブロック状(バルク状)の部材でもよく、シート状の部材、その他の形状の部材でもよい。校正基準部5は、所定の波長帯(例、300nm以上2500nm以下)で反射率がほぼ平坦である。なお、校正基準部5は、第2撮像部22の校正にも利用可能である。第1撮像部21の校正を行う際に、制御部7は、校正基準部5を、第1撮像部21の検出範囲A1内に配置する(配置状態にする)。
図1に示したように、第1撮像部21によって組織BTを撮像する際に、制御部7は、校正基準部5を第1撮像部21の検出範囲A1外に配置させておく(校正基準部5を退避状態にする)。制御部7は、校正基準部5と標本支持部2との少なくとも一方を移動させ、校正基準部5の退避状態(図1)と配置状態(図4)とを切り替える。制御部7は、例えば、校正基準部5の退避状態(図1)から配置状態(図4)に切り替える際に、標本支持部2を、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置する。切替部6は、制御部7に制御され、校正基準部5と標本支持部2とを相対移動させる。制御部7は、切替部6を制御することにより、校正基準部5の退避状態と配置状態とを切り替える。
まず、校正基準部5の退避状態(図1)から配置状態(図4)に切り替える際の動作について説明する。校正基準部5の退避状態(図1)において、標本支持部2および校正基準部5は、例えば、第1撮像部21の光軸21aの方向に沿ってそれぞれ配置される。また、例えば、校正基準部5は、退避状態において標本支持部2の下方(図4のZ方向)に位置し、標本支持部2によって校正基準部5の一面が覆われるように配置されて収容部8に格納されている。例えば、校正基準部5は、退避状態において、標本支持部2の少なくとも一部に対して検出部(撮像ユニット4)と反対側に配置される。例えば、退避状態において、校正基準部5と標本支持部2とは互いに対向するように配置される。例えば、退避状態において、校正基準部5の校正用白色部分が設けられた表面は、標本支持部2の載置面又は載置面と反対面に対向して配置される。また、例えば、標準支持部2は、退避状態において、校正基準部5の上方に配置され、校正基準部5へ入射する光(例、赤外光、可視光)を遮光できる位置に配置される。制御部7は、標本支持部2と校正基準部5の少なくとも一方を、第1撮像部21の光軸21aの方向と非平行な軸周りで回転させる。また、制御部7は、標本支持部2と校正基準部5の少なくとも一方を、第1撮像部21の光軸21aの方向と垂直な軸周り又は直交する軸周りで回転させる。例えば、校正基準部5は、退避状態(図1)において、標本支持部2に対して第1撮像部21と反対側に保持される。例えば、校正基準部5の少なくとも一部(例、校正基準部5の表面や一面など)は、退避状態において、標本支持部2に覆われる。退避状態において、校正基準部5の校正用部分が形成された面は、標本支持部2に覆われる。校正基準部5の退避状態において、標本支持部2は、例えば、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路を遮る位置に、配置される。
制御部7は、校正基準部5の配置状態(図4)に切り替える際に、標本支持部2を回転させる。標本支持部2は、例えば矩形板状であり、Y方向に平行な辺(例、短辺)の一端部(−Y側の端部)が回転軸32に支持されている。回転軸32は、例えば、X方向に平行(例、標本支持部2の長辺に平行)であり、X方向の周りで回転可能である。切替部6は、例えば、上記の回転軸32、回転軸32に駆動力を供給するアクチュエータ36、及びアクチュエータ36からの駆動力を回転軸32に伝える伝達部(図示せず)を備える。
制御部7は、図4の配置状態に切り替える際に、切替部6のアクチュエータ36を制御し、標本支持部2を校正基準部5から離れる向き(図4において反時計回り)に回転軸32を中心にして回転させる。校正基準部5は、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路から標本支持部2が退避することにより、第1撮像部21の検出範囲A1内に配置される。
また、制御部7は、例えば、配置状態に切り替える際に、校正基準部5と第1撮像部21との間隔H1を調整してもよい。例えば、制御部7は、サイズ変更部31を制御し、配置状態における校正基準部5と第1撮像部21との間隔H1を、退避状態(図1参照)における標本支持部2と第1撮像部21との間隔H2とほぼ同じに調整する。また、例えば、校正基準部5は、配置状態(又は退避状態)において、標本支持部2と同じ平面内に配置される、又は標本支持部2に対して並列配置される。
制御部7は、例えば、第1撮像部21と標本支持部2とが衝突しないように、切替部6およびサイズ変更部31を制御する。例えば、制御部7は、切替部6が標本支持部2と校正基準部5とを相対移動させている間、サイズ変更部31による撮像ユニット4(例、第1撮像部21)と標本支持部2との相対移動を制限、または禁止する。例えば、制御部7は、切替部6を制御する制御信号に基づいて、切替部6が動作中であるか否かを判定する。制御部7は、切替部6が動作中であると判定した場合、サイズ変更部31へ動作開始の制御信号を供給しなくてもよいし、動作開始の制御信号の供給を一定の期間(例、撮像ユニット4の動作終了まで)遅延させてもよい。例えば、制御部7は、校正基準部5の配置状態に切り替える際に、切替部6による標本支持部2と校正基準部との相対移動(回転)が完了した後に、サイズ変更部31による撮像ユニット4と標本支持部2との相対移動を開始させる。
なお、制御部7は、例えば、標本支持部2の位置情報に基づいて、切替部6が動作中であるか否かを判定してもよい。例えば、撮像装置1は、標本支持部2の位置を検出する位置センサを備え、制御部7は、位置センサの検出結果(位置情報)に基づいて、標本支持部2が動作中であるか否かを判定してもよい。この位置センサは、例えば、切替部6に設けられるエンコーダなどでもよい。制御部7は、例えば、サイズ変更部31の動作を禁止、または制限する場合に、その旨を、ランプの点滅、音声などによりユーザに報知してもよい。
次に、校正基準部5の配置状態(図4)から退避状態(図1)に切り替える際の動作について説明する。制御部7は、校正基準部5の配置状態(図4)から退避状態(図1)に切り替える際に、切替部6のアクチュエータ36を制御し、標本支持部2を校正基準部5に近づく向き(図4において時計回り)に回転させる。校正基準部5は、例えば、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られることにより、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置される。
標本支持部2は、例えば、Y方向に平行な辺(例、短辺)の他端部(+Y側の端部)がストッパ35に支持され、+X側から見た場合の時計回りの回転位置が規制される。ストッパ35は、例えば、標本支持部2と校正基準部5とが接触(衝突)しないように、標本支持部2の回転位置を規制する。例えば、校正基準部5は、退避状態において、標本支持部2と非接触に配置される。
また、制御部7は、例えば、校正基準部5の配置状態から退避状態に切り替える際に、校正基準部5と第1撮像部21との間隔を調整してもよい。制御部7は、例えば、第1撮像部21と標本支持部2とが衝突しないように、切替部6およびサイズ変更部31を制御する。例えば、制御部7は、サイズ変更部31が撮像ユニット4(例、第1撮像部21)と校正基準部5とを相対移動させる間、切替部6による標本支持部2と校正基準部5との相対移動を制限、または禁止する。例えば、制御部7は、サイズ変更部31を制御する制御信号に基づいて、サイズ変更部31が動作中であるか否かを判定する。制御部7は、サイズ変更部31が動作中であると判定した場合、切替部6へ動作開始の制御信号を供給しなくてもよいし、動作開始の制御信号の供給を、サイズ変更部31の動作終了まで遅延させてもよい。例えば、制御部7は、校正基準部5の退避状態に切り替える際に、サイズ変更部31による撮像ユニット4と校正基準部5との相対移動が完了した後に、切替部6による標本支持部2と校正基準部との相対移動を開始させる。
なお、制御部7は、例えば、第1撮像部21の位置情報に基づいて、サイズ変更部31が動作中であるか否かを判定してもよい。例えば、撮像装置1は、第1撮像部21の位置を検出する位置センサを備え、制御部7は、位置センサの検出結果(位置情報)に基づいて、サイズ変更部31が動作中であるか否かを判定してもよい。この位置センサは、例えば、サイズ変更部31に設けられるエンコーダなどでもよい。制御部7は、例えば、サイズ変更部31の動作を禁止、または制限する場合に、その旨を、ランプの点滅、音声などによりユーザに報知してもよい。なお、制御部7は、校正基準部5の退避状態と配置状態とを切り替える際に、標本支持部2または校正基準部5と第1撮像部21との間隔を調整しなくてもよい。
次に、収容部8について説明する。図5は、本実施形態に係る撮像装置1の収容部8を示す図である。収容部8は、標本支持部2および撮像ユニット4(例、第1撮像部21)を収容する。収容部8は、その内部に、標本支持部2および撮像ユニット4を収容する収容空間SPを有する。収容部8は、収容空間SPを外部へ開放可能である。図5(A)には、収容空間SPが開放された状態(開放状態)を示し、図5(B)には収容空間SPが閉鎖された状態を示した。
収容部8は、収容空間SPが閉鎖された状態(閉鎖状態、遮光状態)で、例えば収容部8の外部(例、収容部8以外の撮像装置1の内部、撮像装置1の外部など)からの外光が遮光された状態を保てる暗箱(暗室)として機能する。収容部8は、例えば、収容空間SPが閉鎖された状態で、収容部8の外部から赤外光の光路へ光(例、外光、室内灯からの光、自然光)が進入(入射)することを抑制(低減)する。収容空間SPにおける赤外光の光路は、例えば、光源部11から第1撮像部21の検出範囲A1(例、組織BT、標本支持部2、校正基準部5、照明領域)までの光路と、検出範囲A1から第1撮像部21までの光路の少なくとも一部を含む。また、収容部8は、例えば、収容空間SPが閉鎖された状態で収容部8の外部から可視光の光路へ外光が進入(入射)することを抑制(低減)する。収容空間SPにおける可視光の光路は、例えば、可視光源部13から第2撮像部22の検出範囲(例、組織BT、標本支持部2、校正基準部5、照明領域)までの光路と、この検出範囲から第2撮像部22までの光路の少なくとも一部を含む。例えば、収容部8は、収容空間SPが閉鎖された状態で、収容部8の外部(例、収容部8以外の撮像装置1の内部、撮像装置1の外部など)から収容空間SPに外光(例、室内灯からの光、自然光)が進入(入射)することを抑制(低減)する。
収容部8は、例えば、脚部40と、ベース部41と、フレーム部42(二点鎖線で示す)と、カバー部43と、扉部材44と、を備える。脚部40は、撮像装置1が設置される設置面F(例、机の上面)に接する。ベース部41は、脚部40上に設けられ、脚部40に支持される。フレーム部42は、ベース部41上に設けられ、ベース部41に支持される。フレーム部42には、例えば、制御部7、撮像ユニット4、照明ユニット3、サイズ変更部31、及び扉駆動部45(後述する)の少なくとも一部が設けられる。収容部8は、例えば、標本支持部2を保持する保持部を含む。例えば、フレーム部42は、標本支持部2を回転可能に保持する。また、収容部8は、校正基準部2を保持する保持部を含む。例えば、ベース部41は、校正基準部2を保持する。校正基準部2は、例えばネジ止めなどによりベース部42に取り付けられる。校正基準部2は、交換可能に取り付けられていてもよいし、交換不能に固定されていてもよい。カバー部43は、例えば、ベース部41上にフレーム部42と非接触に設けられ、ベース部41に支持される。カバー部43は、収容部8の内部(収容空間)に面する内面43aと、収容部8の外部に面する外面43bとを有する。撮像ユニット4(例、第1撮像部21)は、カバー部43と非接触であり、カバー部43からの力の伝達が抑制(低減)されるように支持される。なお、カバー部43は、検出部(例、撮像ユニット4)の少なくとも一部と接触していてもよく、例えば、カバー部43の内面側に力を吸収する吸収材(例、クッション材、スポンジ)、弾性体などが設けられてもよい。例えば、吸収材、弾性体の少なくとも一方が設けられる場合、カバー部43と検出部(例、撮像ユニット4)との間の力の伝達が低減される。
カバー部43は、収容空間SPを外部に開放する開口43cを有する。扉部材44は、開口43cを塞ぐ位置(以下、閉位置という)と、開口43cの少なくとも一部を外部に開放する位置(以下、開位置という)とで移動可能である。扉部材44の閉位置は、例えば、扉部材44の下端の位置が、開口15aの下端の位置またはその下方に配置される位置である。扉部材44の閉位置は、扉部材44の下端の位置が、開口15aの下端の位置よりも上方に配置される位置である。
撮像装置1は、例えば扉部材を駆動する扉駆動部45を備える。扉駆動部45は、例えばアクチュエータ46と、伝達部47とを備える。アクチュエータ46は、例えば電動モータを含み、扉部材44を移動させる駆動力を発生する。アクチュエータ46は、制御部7に制御され、制御部7から供給される制御信号に指定された駆動力を発生する。伝達部47は、アクチュエータ46からの駆動力を扉部材44に伝える。伝達部47は、例えば、磁石などにより接続された一対の部材48を介して駆動力を伝達する。一対の部材48は、所定の力(例、磁力により引き合う力よりも大きな力、衝撃力)が収容部8へ加わった際に互いに離間する。これにより、伝達部47における駆動力の伝達が切断され、扉部材44の駆動が停止する。
扉駆動部45は、例えば、非接触センサ49を備え、制御部7は、非接触センサ49の検出結果に応じて扉駆動部45を制御する。非接触センサ49は、例えば、ユーザの入力(例、動作)を光学的に検出する。例えば、非接触センサ49は、カバー部43に設けられた窓49aを介して外部へ光を射出し、この光の反射光を検出する。例えば、ユーザが窓49aに手などをかざした際に、非接触センサ49が検出する反射光の強度が閾値未満から閾値以上に変化する。このような場合に、制御部7は、扉駆動部45を制御し、扉部材44を開位置と閉位置との間で移動させる。例えば、非接触センサ49は、検出結果を制御部7に供給し、制御部7は、非接触センサ49の検出結果を監視する。例えば、扉部材44が開位置に配置された状態で、制御部7は、非接触センサ49の検出結果が閾値未満から閾値以上に変化したと判定した場合、扉駆動部45に制御信号を送る。扉駆動部45は、この制御信号に従って、例えば、扉部材44を開位置から閉位置へ移動させる。同様に、制御部7は、例えば、扉部材44が閉位置に配置された状態で、非接触センサ49の検出結果が閾値未満から閾値以上に変化したと判定した場合、扉駆動部45を制御することによって、扉部材44を閉位置から開位置へ移動させる。
また、制御部7は、例えば、扉駆動部45が扉部材44を移動させる間、切替部6による標本支持部2と校正基準部5との相対移動を制限、または禁止してもよい。例えば、制御部7は、扉駆動部45を制御する制御信号に基づいて、扉駆動部45が動作中であるか否かを判定する。制御部7は、扉駆動部45が動作中であると判定した場合、切替部6へ動作開始の制御信号を供給しなくてもよいし、動作開始の制御信号の供給を、扉駆動部45の動作終了まで遅延させてもよい。制御部7は、同様に、例えば、切替部6が標本支持部2と校正基準部5とを相対移動させる間、扉駆動部45による扉部材44の移動を制限、または禁止してもよい。
なお、制御部7は、例えば、扉部材44の位置情報に基づいて、扉駆動部45が動作中であるか否かを判定してもよい。例えば、撮像装置1は、扉部材44の位置を検出する位置センサを備え、制御部7は、位置センサの検出結果(位置情報)に基づいて、扉駆動部45が動作中であるか否かを判定してもよい。この位置センサは、例えば、扉駆動部45に設けられるエンコーダなどでもよい。制御部7は、例えば、切替部6の動作を禁止、または制限する場合に、あるいは扉駆動部45による扉部材44の移動を制限、または禁止する場合に、その旨を、ランプの点滅、音声などによりユーザに報知してもよい。
また、制御部7は、例えば、扉駆動部45が扉部材44を移動させる間、サイズ変更部31による撮像ユニット4(例、第1撮像部21)と標本支持部2(または校正基準部5)との相対移動を制限、または禁止してもよい。制御部7は、例えば、扉駆動部45が動作中であると判定した場合、サイズ変更部31へ動作開始の制御信号を供給しなくてもよいし、動作開始の制御信号の供給を、扉駆動部45の動作終了まで遅延させてもよい。制御部7は、同様に、例えば、サイズ変更部31が撮像ユニット4(例、第1撮像部21)と標本支持部2(または校正基準部5)とを相対移動させる間、扉駆動部45による扉部材44の移動を制限、または禁止してもよい。制御部7は、例えば、サイズ変更部31の動作を禁止、または制限する場合に、あるいは扉駆動部45による扉部材44の移動を制限、または禁止する場合に、その旨を、ランプの点滅、音声などによりユーザに報知してもよい。
また、撮像装置1はインターロック機構を備えてもよい。例えば、制御装置1は、扉部材44の開閉状況(例、位置、移動)に応じて、撮像装置1の少なくとも一部の動作を制限、もしくは禁止してもよい。例えば、制御部7は、非接触センサ49の検出結果に基づいて、撮像装置1の少なくとも一部の動作を制限、もしくは禁止してもよい。例えば、校正基準部5の配置状態と退避状態とを切り替える際(例、切替動作中)に、非接触センサ49がユーザからの入力を検出した場合、制御部7は、校正基準部5の配置状態と退避状態とを切り替える動作を制限、もしくは禁止してもよい。例えば、制御部7は、切替部6の駆動部(例、アクチュエータ36)を制御して、校正基準部5の配置状態と退避状態とを切り替える動作を電気的に(ソフトウェア的に)制限、もしくは禁止してもよい。また、例えば、校正基準部5の配置状態と退避状態とを切り替える際に、非接触センサ49がユーザからの入力を検出した場合、制御部7は、非接触センサ49の検出結果に応じた扉部材21の移動(開閉動作)を制限、もしくは禁止してもよい。例えば、制御部7は、扉駆動部45を制御することによって、扉部材21の移動(開閉動作)を制限、もしくは禁止してもよい。
また、撮像装置1は、上記の切替動作と同様に、検出部(例、撮像部)による検出動作、及びサイズ変更部31によるサイズ動作(検出ユニットの移動)の少なくとも一部を、インターロック機構により制限、もしくは禁止してもよい。インターロック機構に用いられるセンサは、非接触センサ49でなくてもよく、例えば扉部材44の位置情報(例、位置、速度、加速度)を検出するセンサでもよい。また、インターロック機構に用いられるセンサは、例えば、扉部材44の位置情報を電気的に検出する電子式のセンサでもよいし、扉部材44の位置情報を機械的に検出する機械式のセンサものでもよく、電子式のセンサおよび機械式のセンサを併用するものでもよい。
また、インターロック機構は、電気的に(ソフトウェア的に)各部の動作を禁止、もしくは制限する電気的なインターロック機構でもよい。また、インターロック機構は、機械的に(ハードウェア的に)各部の動作を禁止、もしくは制限する機械的なインターロック機構でもよい。例えば、インターロック機構は、扉部材44の移動と連動して、ストッパなどの部材により各部(例、撮像ユニット4、校正基準部5)の移動を機械的に禁止、もしくは制限するものでもよい。また、インターロック機構は、電気的なインターロック機構と、機械的なインターロック機構とを組み合わせたものでもよい。
また、撮像装置1は、上記のインターロック機構を作動させるか否か(インターロック機構のオンオフ)を切り替える切替部を備えてもよい。この切替部は、機械式のスイッチでもよいし、制御部7がオペレータの指令に応じてインタロック機構のオンオフを切り替えるものでもよい。また、上記の電気的なインタロック機構および機械的なインターロック機構は、それぞれ独立してオンオフを切り替え可能でもよいし、連動してオンオフを切り替え可能でもよい。
収容部8の内面8aは、扉部材44の内面44aおよびカバー部43の内面43aを含む。内面8aは、例えば、扉部材44が閉位置に配置された状態で、収容空間SPを囲んだ状態となる。内面8aは、例えばコーティング処理などの表面処理により赤外光の反射が抑制(低減)されている。内面8aは、例えば、近赤外光の反射率が10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.1未満のものである。内面8aの反射率は、例えば、コーティング膜の材質により予め調整される。内面8aの赤外光に対する反射率は、例えば、第1撮像部21の検出範囲A1に配置される物体(例、組織BT、標本支持部2、校正基準部5)の赤外光に対する反射率よりも低い。例えば、反射率Rは、界面に対して一方の材質の屈折率N1、他方の屈折率N0を用いて、下記の式(1)で表される。
R=(N0−N1)^2/(N0+N1) ・・・(1)
図6は、実施形態に係る撮像装置1の排気口50を示す図である。本実施形態において、収容部8は、標本支持部2が収容される空間(図5の収容空間SP)のガスを外部へ排気する排気口50を備える。排気口50は、例えば、収容部8の背面側(開口43cと反対側)に設けられる。排気口50は、収容部8の側面又は底面のような収容部8の所定面(例、内面)に設けられ、図5の収容空間SPに通じている。例えば、組織BTがホルマリン溶液などの組織固定溶液で固定化されている場合、撮像装置1は、組織固定溶液から揮発したガス(例、ホルムアルデヒド)を排気口50から外部へ排気可能である。また、撮像装置1は、収容空間SPのガスを排気することにより、収容空間SPの熱を外部へ逃がすことができる。排気口50には、例えば、収容空間SPのガスを外部へ送出するファン、吸引機などの送気部が設けられてもよい。また、排気口50は、例えば、ホース、配管などの流路を介して、上記の送気部と接続されてもよい。なお、撮像装置1は、収容空間SPのガスを処理(例、フィルタリング処理)して、処理後のガスを外部へ排気可能でもよい。
なお、上述の収容部8の構成は一例であり、適宜、変更可能である。例えば、撮像装置1の一部は、収容部8に収容されなくてもよい。例えば、制御部7、扉駆動部45、及びサイズ変更部31の少なくとも一部は、収容部8の外部に設けられもよく、収容部8に外付けされてもよい。また、撮像装置1は、収容部8の少なくとも一部を備えなくてもよい。例えば、暗室などで撮像装置1を利用する場合、収容部8は、外光を遮断しなくてもよい。例えば、収容部8が外光を遮断しない場合、収容部8は、扉部材44および扉駆動部45を備えなくてもよい。また、例えば、ドラフトチャンバなどで撮像装置1が利用される場合、収容部8は、排気口50を備えなくてもよい。
次に、上述の撮像装置1の構成に基づき、撮像方法の一例について説明する。本実施形態に係る撮像方法は、例えば、生物の組織BTを標本支持部に支持させることと、赤外光の照射により組織を撮像部によって撮像することと、撮像部の校正に使われる校正基準部5と、標本支持部2とのうち少なくとも一方を移動させ、校正基準部が撮像部の検出範囲内(例、視野内)に配置される配置状態と、校正基準部が撮像部の検出範囲外(例、視野外)に配置される退避状態と、を切り替えることと、を含む。
図7は、実施形態に係る撮像方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態において、撮像装置1は、例えば、組織BTの撮像に先立ち、第1撮像部21の校正を行う。ステップS1において、制御部7は、切替部6を制御して標本支持部2を移動させて、校正基準部5を第1撮像部21の検出範囲A1に配置させる。ステップS2において、制御部7は、収容部8の扉部材44を閉位置に配置させた状態で、光源部11から赤外光を照射して校正基準部5を照明させ、第1撮像部21に校正基準部5を撮像させる。ステップS2で得られる撮像画像を用いると、所定の光量に対する第1撮像部21の各画素の出力が得られる。例えば、校正基準部5は、反射率の空間分布(面内分布)のばらつき(分散)が所定値以下となるように、形成されている。例えば、検出部(撮像部4)の検出結果(撮像画像)において、検出値(例、画素値)の分布は、受光素子(撮像素子16の画素)の特性(例、感度、S/N比、光量に対する出力の関係)の分布に相当する。例えば、撮像画像において相対的に暗い部分に対応する撮像素子16の画素は、他の画素に比べて感度が低い場合がある。このような画素は、例えば、ゲインを増すこと、正のオフセットを付加することなどにより、所定の光量に対する出力を他の画素と揃えることができる。また、例えば、校正基準部5は、所定の波長帯における反射率の分布(波長に対する反射率の分布)が所定の分布となるように、形成されている。例えば、検出部(撮像部4)の検出結果(撮像画像)において、検出値(例、画素値)の分布と、校正基準部5の波長に対する反射率の分布とを比較することにより、波長に対する受光素子(撮像素子16の画素)の特性(例、感度)が得られる。例えば、撮像画像をもとに得られる受光素子の特性の波長依存性に基づいて、所定の波長に対する受光素子の特性を補正(校正)することができる。ステップS3において、制御部7は、収容部8の扉部材44を閉位置に配置させ、かつ光源部11から赤外光の照射を停止させた状態で、第1撮像部21に校正基準部5を撮像させる。ステップS3で得られる撮像画像(暗画像)を用いると、光量がほぼ0である場合の第1撮像部21の各画素の出力が得られる。例えば、この撮像画像において相対的に明るい部分に対応する撮像素子16の画素は、他の画素と比較して感度が高い、あるいはノイズが多いなどの場合がある。このような画素は、例えば、ゲインを減らすこと、負のオフセットを付加することなどにより、所定の光量(例、光量がほぼ0)に対する出力を他の画素と揃えることができる。ステップS4において、制御部7は、ステップS2の撮像画像およびステップS3の撮像画像を用いて、第1撮像部21を校正する。なお、撮像装置1は、光源部11の代わりに可視光源部13を用い、第1撮像部21の代わりに第2撮像部22を用いて上述のステップS1〜ステップS4の処理を行うことにより、第2撮像部22を校正することもできる。
次に、撮像装置1は、校正された第1撮像部21を用いて、ステップS5以降の処理により組織BTを撮像する。ステップS5において、制御部7は、切替部6を制御し、第1撮像部21の検出範囲A1に標本支持部2を配置させる。ステップS6において、標本支持部2に生物の組織BTが配置される。ステップS7において、制御部7は、収容部8の扉部材44を閉位置に配置させた状態で、光源部11から標本支持部2上の組織BTに赤外光を照射させ、第1撮像部21に組織BTを撮像させる。ステップS8において、制御部7は、ステップS7で得られた撮像画像のデータを外部に出力する。
なお、制御部7は、ステップS1〜ステップS4の校正処理は、1回の撮像を行うたびに実行してもよいし、所定回数の撮像を行うたびに実行してもよい。また、上記の校正処理は、撮像の条件(例、撮像素子24のシャッタ速度、検出範囲A1のサイズ、赤外光の波長、赤外光の強度)の少なくとも一部が変更された際に、行われてもよい。上記の校正処理は、撮像装置1の電源が投入されるたび(1回起動されるたび)に行われてもよいし、撮像装置1が所定の回数起動されるたびに行われてもよい。また、上記の校正処理は、所定期間が経過するごとに実行されてもよい。また、制御部7は、ユーザの指令に応じて、上記の校正処理を行ってもよい。また、制御部7は、例えば、前回の校正処理からの撮像回数、経過時間、撮像の条件などに基づいて、校正処理の実行が推奨されるタイミングをユーザに報知してもよい。
次に、切替部6の他の形態について説明する。図8(A)は、第1変形例に係る撮像装置1を示す図である。図8(A)の校正基準部5は、配置状態において第1撮像部21と標本支持部2との間の光路に、配置される。校正基準部5の配置状態において、標本支持部2は、第1撮像部21との間の光路が校正基準部5に遮られることにより、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置される。切替部6は、校正基準部5を、第1撮像部21の光軸21aと非平行(例、垂直)な回転軸51の周りで回転可能である。制御部7は、校正基準部5の配置状態から退避状態に切り替える際に、切替部6を制御して校正基準部5を回転軸51の周りで回転させ、校正基準部5を第1撮像部21と標本支持部2との間の光路から退避させる。校正基準部5の退避状態において、標本支持部2は、第1撮像部21との間の光路が校正基準部5に遮られないことにより、第1撮像部21の検出範囲A1内に配置される。なお、例えば、校正基準部5の退避状態の時間が配置状態の時間よりも長いことが想定される場合、切替部6は、退避状態において、校正基準部5を撮像装置1の背面側(図1の+Y側)に回転させた状態にしてもよい。なお、校正基準部5と標本支持部2の少なくとも一方を回転させる場合、その回転軸は、第1撮像部21の光軸21aと非平行な任意の方向に設定される。
図8(B)は、第2変形例に係る撮像装置1を示す図である。図8(B)の標本支持部2は、校正基準部5の退避状態において、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路に配置される。校正基準部5の退避状態において、校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られることにより、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置される。標本支持部2は、複数の部品(第1部分、第2部分)2a、2bに分割可能である。切替部6は、部品2aを回転軸52の周りで回転可能であり、部品2bを回転軸53の周りで回転可能である。例えば、回転軸52は、標本支持部2の一端部に設けられ、回転軸53は、標本支持部2の他端部に設けられる。制御部7は、校正基準部5の配置状態から退避状態に切り替える際に、切替部6を制御して、部品2aを校正基準部5から離れる向き(図中反時計回り)に回転させ、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路から退避させる。また、制御部7は、部品2bを校正基準部5から離れる向き(図中時計回り)に回転させ、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路から退避させる。これにより、標本支持部2は、複数の部品2a、2bに分割されて、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路から退避する。校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られないことにより、第1撮像部21の検出範囲A1に配置される。なお、第2変形例において、校正基準部5は、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路に配置されてもよく、この場合、制御部7は、標本支持部2の代わりに校正基準部5を、複数の部品に分割して、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路から退避してもよい。
図8(C)は、第3変形例に係る撮像装置1を示す図である。図8(C)の標本支持部2は、校正基準部5の退避状態において、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路に配置される。校正基準部5の退避状態において、校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られることにより、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置される。切替部6は、標本支持部2を平行移動させ、標本支持部2を第1撮像部21と校正基準部5との間の光路から退避可能である。制御部7は、校正基準部5の退避状態から配置状態に切り替える際に、切替部6を制御して、標本支持部2を、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路から退避させる。校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られないことにより、第1撮像部21の検出範囲A1に配置される。なお、第3変形例において、校正基準部5は、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路に配置されてもよく、この場合、制御部7は、標本支持部2の代わりに校正基準部5を平行移動させ、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路から退避させてもよい。
図9(A)は、第4変形例に係る撮像装置1を示す図である。図9(A)の標本支持部2は、校正基準部5の退避状態において、校正基準部5と第1撮像部21との間の光路に配置される。校正基準部5の退避状態において、校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られることにより、第1撮像部21の検出範囲A1外に配置される。標本支持部2は、複数の部品2a、2bに分割可能である。切替部6は、部品2a、2bをそれぞれ平行移動させ、部品2a、2bをそれぞれ第1撮像部21と校正基準部5との間の光路から退避可能である。制御部7は、校正基準部5の退避状態から配置状態に切り替える際に、切替部6を制御して、標本支持部2を部品2a、2bに分割し、部品2a、2bをそれぞれ第1撮像部21と校正基準部5との間の光路から退避させる。校正基準部5は、第1撮像部21との間の光路が標本支持部2に遮られないことにより、第1撮像部21の検出範囲A1に配置される。なお、第4変形例において、校正基準部5は、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路に配置されてもよく、この場合、制御部7は、標本支持部2の代わりに校正基準部5を、複数の部品に分割して、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路から退避してもよい。
図9(B)は、第5変形例に係る撮像装置1を示す図である。図9(B)の校正基準部5は、第1撮像部21の検出範囲A1よりも小面積である。校正基準部5は、標本支持部2に対して第1撮像部21と同じ側に配置される。切替部6は、校正基準部5を、標本支持部2と第1撮像部21との間の光路を横切って移動可能である。制御部7は、校正基準部5の退避状態から配置状態に切り替える際に、切替部6を制御して、校正基準部5を、第1撮像部21と標本支持部2との間の光路の一部に配置させる。制御部7は、校正基準部5の配置状態において、切替部6を制御して第1撮像部21の検出範囲A1における校正基準部5の位置を切替ながら、第1撮像部21に校正基準部5を撮像させる。制御部7は、例えば、第1撮像部21の撮像画像のうち校正基準部5が写っている領域ごとに、校正を行う。なお、標本支持部2は、校正基準部5の移動中に、移動してもよいし、移動しなくてもよい。例えば、標本支持部2は、校正基準部5と同じ移動体に設けられ、校正基準部2とともに移動してもよい。また、標準支持部2は、校正基準部5と異なる向きに移動してもよいし、校正基準部5と異なる速さで移動してもよい。
図9(C)は、第6変形例に係る撮像装置1を示す図である。図9(C)の校正基準部5は、例えばシート状の光学部材54の一部に設けられる。光学部材54は、標本支持部2の両端部にそれぞれ設けられるローラ55、56に架け渡され、標本支持部2の表裏両面を覆うように設けられる。切替部6は、ローラ55、56の少なくとも一方を回転させることにより、光学部材54を標本支持部2の周囲で周回又は循環させる。例えば、校正基準部5は、光学部材54の周方向の一部に設けられる。図9(C)は校正基準部5の退避状態に相当し、校正基準部5は、標本支持部2に対して第1撮像部21と反対側に配置されている。制御部7は、校正基準部5の退避状態から配置状態に切り替える際に、切替部6を制御して光学部材54を周回させることで、校正基準部5を第1撮像部21の検出範囲A1に配置させる。また、制御部7は、校正基準部5の退避状態から配置状態に切り替える際に、切替部6を制御して光学部材54をさらに周回させることで、校正基準部5を第1撮像部21の検出範囲A1から退避させる。
上述のような撮像装置1は、例えば、表示装置および画像処理装置を備える撮像システムに利用される。この画像処理装置は、例えば、撮像装置1が撮像した組織BTの撮像画像に対して画像処理を行って、画像を生成する。また、撮像システムは、撮像装置1が撮像した組織BTの撮像画像と、画像処理装置が生成した画像との少なくとも一方を表示装置に表示させる。また、例えば、本実施形態における撮像装置1は、赤外光を用いた病理診断支援用医療機器(例、赤外光を利用した病理用撮像装置など)に利用可能である。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。