JP5812461B2 - 生体組織検査装置及び検査方法 - Google Patents

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Description

本願は、光によって生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査する技術に関する。
生体組織の光学的特性(例えば、吸収、散乱等)を利用して、生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査する装置が知られている(例えば、特許文献1,2)。これらの検査装置では、複数のレーザ光源が用いられ、各レーザ光源は互いに異なる波長の光を照射する。各レーザ光源から照射された光は、検査対象である生体組織に照射される。生体組織に照射された光は、その一部が生体組織内で吸収、散乱し、その一部が生体組織を透過して光検出器で検出される。検査装置は、光源から照射される光の波長毎に、生体組織を構成する各成分(例えば、筋肉組織、腺組織、水分、脂肪等)の光学的特性(光の減光率)を記憶している。このため、検査装置は、光検出器の検出結果から、波長毎に生体組織を透過した光の強度を特定し、次いで、その特定した光の強度から、生体組織を構成する各成分の濃度を変数とする方程式を取得する。そして、得られた方程式を解くことで、光が照射された部位の各成分の濃度を特定する。このため、光源からの光を走査して生体組織の各部位における成分濃度が特定できると、生体組織内に異質部(例えば、腫瘍)が存在するか否かを判定することができる。
特開平4−40341号公報 特開平7−163571号公報 特開2008−185378号公報
上述した従来技術では、異なる波長の光を照射する複数のレーザ光源が用いられ、レーザ光源毎(波長毎)に生体組織を透過した光の強度を取得しなければならない。また、レーザ光源毎(波長毎)に生体組織を構成する各成分の濃度を変数とする方程式を取得し、それらの方程式を解かなければならない。したがって、検査装置の構成が複雑になるという問題があった。
本願は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成によって生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査することができる技術を提供することを目的とする。
従来の技術では、生体組織を精度良く観察するために、レーザ光源からの光を用いることが前提であった。レーザ光源からの光はコヒーレントな光(すなわち、スペクトル幅の狭い光)であるため、複数のレーザ光源によって異なる波長の光を生体組織に照射する必要があり、その結果、複雑な構成となっていた。このため、本願発明者らは、従来の技術とは全く異なり、インコヒーレントな光(すなわち、スペクトル幅の広い光)を用いて生体組織を観察することができないかを検討した。本願発明者らの一部は、特許文献3に示すように、光干渉断層装置(OCT:Optical Coherence Tomography)に用いられる光源を開発している。この光源は、レーザ光と比較してスペクトル幅が広く、発光強度が最大となる波長が生体組織の観察に適した750〜1200nmの範囲にある。また、発光スペクトルの半値幅が70nm〜200nmの範囲にある。発光スペクトルの半値幅が70nm以上であるため、腫瘍が存在するか否かの診断に有用な複数の物質(例えば、前立腺がんの診断における水とPSA)の各吸収帯域に強い光を照射することができる。一方、発光スペクトルの半値幅が200nm以下であるため、生体組織の観察に適していない範囲の光の強度が強くなりすぎることもない。そこで、この光源を用いて、摘出した前立腺がんの組織を観察したところ腫瘍を視覚で識別可能なコントラストが得られることが判明した。本願の検査装置は、かかる知見に基づいて創作された。
すなわち、本願の検査装置は、生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査する装置であって、生体組織の検査領域の全面に光を照射する光源と、その光源から照射される光のうち生体組織の検査領域の全面から反射される光又は生体組織の検査領域の全面を透過する光を検出する光検出器と、その光検出器の出力に基づいて生体組織の反射像又は透過像を出力する画像出力部を備えている。そして、光源が、インコヒーレントな光源であり、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲にあり、かつ、その発光スペクトルの半値幅が70〜200nmであり、生体組織に腫瘍が存在するときに、反射像又は透過像の腫瘍が存在する部分に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストを生じさせることを特徴とする。
この検査装置では、インコヒーレントな光源が用いられ、その光源から照射される光の発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲にあり、かつ、その発光スペクトルの半値幅が70〜200nm(すなわち、スペクトル幅の広い光)となる。このため、画像出力部から出力される生体組織の反射像又は透過像には、後述する観察結果に示されるように、腫瘍が存在する部分に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストが生じる。この検査装置によると、複数のレーザ光源を用いる必要がないため簡易な構成とすることができ、簡易な構成としながら生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査することができる。また、レーザ光源を用いる従来技術では、個人差や観察対象となる組織の保存状態等により、生体組織の吸収波長依存性がずれた場合、レーザ光は実質的に単一な波長であるため、方程式の解が大きく異なることが生じ得る。一方、この検査装置では、スペクトル幅の広い光を用いるため、生体組織の吸収波長依存性がずれた場合でも、その影響を小さく抑えることができる。
上記の光源は、半導体発光素子と、その半導体発光素子の発光面側に配置される赤外ガラス蛍光体を備えることができる。この場合、半導体発光素子からの光は赤外ガラス蛍光体を通って生体組織に照射される。あるいは、上記の光源にはLEDを用いることもできる。この場合、LEDの発光層は、サイズ及び/又は組成が異なる複数の量子ドットを備えていることが好ましい。
また、上記の光源の発光スペクトルは、その少なくとも一部に水の吸収帯域を含んでいることが好ましい。このような構成によると、生体組織の水分量に応じたコントラストを有する画像を得ることができる。一般的に腫瘍には多くの血液が流れるため、腫瘍部と非腫瘍部とでは水分量が相違する。発光スペクトルに水の吸収帯域が含まれることで、生体組織内の腫瘍部分にコントラストを生じ易くすることができる。また、光源から照射される「生体透過性の高い波長領域の光」に水の吸収帯が含まれるため、透過像や反射像において、良好なコントラストが生じ易くなる。
さらに、上記の光源の発光スペクトルは、その少なくとも一部にPSA(Prostate Specific Antigen(以下、単にPSAと記載する。))の吸収帯域を含んでいることが好ましい。このような構成によると、生体組織のPSA量に応じたコントラストを有する画像を得ることができる。このため、前立腺がんの診断に有効な画像を得ることができる。
また、上記の検査装置では、光源が生体組織の検査領域の全面に同時に光を照射し、光検出器が検査領域の反射像又は透過像を撮像する撮像装置であることが好ましい。このような構成によると、光を走査する必要がなく、光を全面に照射して反射像又は透過像を撮像するだけであるため、検査装置をより簡易な構成とすることができる。
また、本願は、生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査する新規な方法を提供する。この検査方法は、光源から生体組織の検査領域の全面に光を照射する光照射工程と、光源から照射される光のうち生体組織の検査領域の全面から反射される光又は生体組織の検査領域の全面を透過する光を検出する光検出工程と、光検出工程の検出結果に基づいて生体組織の反射像又は透過像を出力する工程を備えている。そして、光源が、インコヒーレントな光源であり、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲にあり、かつ、その発光スペクトルの半値幅が70〜200nmであり、生体組織に腫瘍が存在するときに、前記反射像又は透過像の腫瘍が存在する部分に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストを生じさせることを特徴とする。この検査方法によると、生体組織に腫瘍が存在するか否かを簡易に検査することができる。
本実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図。 光源の構成の一例を示す図。 実施例の光源から照射される光のスペクトルを示す図。 実施例の光源の電流と光出力との関係を示すグラフ。 PSAの濃度に応じた光透過率の波長依存性を示すグラフ。 PSAの濃度と吸光度の関係を示すグラフ。 前立腺がんの組織を観察する手順を説明するための図。 実施例に係る検査装置で前立腺がんの組織を撮像した画像の一例。 図7に示す前立腺がんの組織のMRIT1強調画像。 光源の構成の他の例を示す図。 図10に示す光源から照射される光のスペクトルを示す図。
本願の一実施形態に係る検査装置10について図面を参照して説明する。まず、検査装置10の全体構成を説明する。検査装置10は、生体組織Aに腫瘍(例えば、癌、肉腫等)が存在するか否かを検査する装置として使用される。図1に示すように、検査装置10は、生体組織Aに光を照射する光源20と、光源20から照射された光のうち生体組織Aを透過した光を検出する光検出器12と、光源20及び光検出器12に接続されているコンピュータ14を備えている。
光源20は、図示しない電源装置から供給される電力によって発光するようになっている。光源20は、検査対象となる生体組織Aと対向した位置に配置され、光源20からの光が生体組織Aに照射されるようになっている。光検出器12は、生体組織Aを挟んで光源20と対向する位置に配置され、生体組織Aを透過した光の像(透過像)を撮像する。光検出器12には、例えば、CCD素子のようなイメージセンサを用いることができる。光検出器12で撮像された画像は、コンピュータ14に出力される。
コンピュータ14は、光源20及び光検出器12の制御を行う。すなわち、コンピュータ14は、光源20のON/OFFを制御し、また、光検出器12を制御して生体組織Aの透過像を撮像する。コンピュータ14には、入力部18と表示器16が接続されている。入力部18は、オペレータによって操作される。コンピュータ14は、入力部18へのオペレータの操作に応じて検査を開始するようになっている。表示器16は、光検出器12からコンピュータ14に入力された透過像を表示可能となっている。医師は、表示器16に表示される画像から生体組織Aに腫瘍が存在するか否かを診断することができる。
次に、光源20について詳細に説明する。光源20は、インコヒーレントな光源であり、幅広い波長域の光を生体組織Aに照射する。光源20から照射される光の発光スペクトルは、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nm(より好ましくは900〜1100nm)の範囲内となり、また、その半値幅が70〜200nm(より好ましくは70〜100nm)となるように調整されている。発光スペクトルの特性を上記のようにすることで、生体組織Aの観察に有用な波長の光が照射され、腫瘍部と非腫瘍部とでコントラストを有する画像を得ることができる。
また、光源20から照射される光の発光スペクトルは、連続した波長域を有することが好ましい。ここで、連続した波長域とは、光源20から照射される光の波長域内に抜けている波長がないことを意味する。光源20から照射される光の発光スペクトルが連続した波長域を有することで、生体組織Aの観察に有用な波長の光が抜けてしまうことを防止することができる。
なお、光源20から照射される光の発光スペクトルは、例えば、その少なくとも一部に水の吸収帯域(水の吸収線は約970nm)を含むことができる。発光スペクトルに水の吸収帯域が含まれることで、光検出器12で撮像される透過像に生体組織A内の水分量(血液量)に応じたコントラストを生じさせることができる。一般的に腫瘍部と非腫瘍部とでは水分量が相違するため、腫瘍が存在するか否かを診断するのに有用な画像を得ることができる。また、光源20から照射される光の発光スペクトルは、その少なくとも一部にPSAの吸収帯域(PSAの吸収線は約1070nm)を含むこともできる。発光スペクトルにPSAの吸収帯域が含まれることで、光検出器12で撮像される透過像に生体組織A内のPSA量に応じたコントラストを生じさせることができる。前立腺がんの腫瘍部ではPSA量が増大するため、前立腺がんの診断に有用な画像を得ることができる。
また、光源20の光の照射野は、生体組織Aの検査領域の全体に同時に光を照射できるように構成されていることが好ましい。これによって、生体組織Aの検査領域の透過像を短時間で簡易に得ることが可能となる。
上述した光源20の具体的な構成例を図2を参照して説明する。図2に示すように、光源20は、基板26上に配置された半導体発光素子28を備えている。基板26は、透過性を有しない材料によって形成されており、例えば、反射率が高く、熱伝導性の良い材料を用いることができる。半導体発光素子28には、公知の半導体発光素子を用いることができる。例えば、発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、レーザダイオード等を用いることができる。半導体発光素子28を用いることで、ハロゲンランプのような光源と比較して、光源20の発熱量を小さくすることができる。
半導体発光素子28の周囲は、基板26上に固定された金属体24によって取囲まれている。すなわち、金属体24には貫通孔24aが形成されており、その貫通孔24a内に半導体発光素子28が配置されている。このため、半導体発光素子28からの光は、金属体24の貫通孔24aを通って基板26の反対側に照射される。金属体24には、例えば、アルミニウムブロックを用いることができる。
また、金属体24の貫通孔24a内には、赤外ガラス蛍光体30が配置されている。赤外ガラス蛍光体30は、半導体発光素子28の発光面側(すなわち、基板26と反対側)に位置し、その外周が金属体24に当接している。赤外ガラス蛍光体30は、半導体発光素子28から照射される光を、近赤外領域の光(波長700〜2500nm)に変換すると共に、その発光スペクトルの波長領域を拡大する機能を有している。すなわち、半導体発光素子28からの光(例えば、可視光領域の光)が赤外ガラス蛍光体30に入射すると、赤外ガラス蛍光体30からは近赤外領域の光が照射され、また、その照射される光のスペクトルの半値幅は、半導体発光素子28から照射される光のスペクトルの半値幅よりも広くなる。これによって、光源20から照射される光の発光スペクトルが、上述した特性を有することとなる。
赤外ガラス蛍光体30は、例えば、母体材料であるガラス(非晶質)中に蛍光性を有するイオンを含有させることで形成することができる。例えば、ガラス中にYbイオンを添加することで形成することができ、あるいは、ガラス中にYbイオンとNdイオンを添加することで形成することができる。ガラス中にYbイオンを添加する場合は、ガラス中にYbを添加すればよい。また、ガラス中にYbイオンとNdイオンを添加する場合は、ガラス中にYb及びNdを添加すればよい。母体となるガラスには、例えば、Bi及びBからなるガラスを用いることができる。なお、赤外ガラス蛍光体30の具体的な製造方法は、上述した特許文献3に詳しく開示されている。
図2に示すように、赤外ガラス蛍光体30の上面側(光を照射する側)にはフィルタ22を配置することができる。フィルタ22は、金属体24の上面に固定することができる。フィルタ22は、赤外ガラス蛍光体30から照射される光のうち可視光領域の波長の光を遮断する機能を有している。フィルタ22を配置することで、生体組織Aには、近赤外領域の波長の光のみが照射される。
次に、上述した検査装置10によって検査を行うときの手順を説明する。検査を行うには、まず、検査対象となる生体組織Aを光源20と光検出器12の間にセットする。生体組織Aは、例えば、手術中に患者から摘出した組織とすることができる。生体組織Aをセットすると、オペレータは入力部18より検査の開始を入力する。入力部18に検査の開始が入力されると、コンピュータ14は、光源20をオンすると共に光検出器12での撮像を開始する。これによって、光源20からの光が生体組織Aに照射されると共に、光源20から生体組織Aに照射された光のうち生体組織Aを透過した光の像が光検出器12で撮像される。この際、光源20からは生体組織Aの検査領域の全面に同時に光が照射されるため、光源20からの光を生体組織A上で走査する必要はない。このため、短時間で生体組織Aの透過像を撮像することができ、また、光を走査したときに必要となる複雑な処理(例えば、光検出器の検出結果から透過像を作成する処理等)が不要となる。光検出器12で撮像された生体組織Aの透過像は、コンピュータ14に出力される。コンピュータ14は、光検出器12から入力する生体組織Aの透過像を表示器16に表示する。これによって、生体組織Aの検査が終了する。
上述した本実施形態に係る検査装置10では、光源20はインコヒーレントな光源であり、光源20から照射される光の発光スペクトルは、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲内となり、また、その半値幅が70〜200nmとなるように調整されている。このため、生体組織Aの観察に有用な波長域の光が生体組織Aに照射され、腫瘍部と非腫瘍部との間にコントラストが良好に現れた透過像が得られる。したがって、生体組織Aに腫瘍が存在するか否かを良好に診断することができる。
次に、本願の検査装置を用いて生体組織を検査した検査結果について説明する。本実施例では、図2に示される構成の光源を用いた。具体的には、半導体発光素子28に発光ダイオード(波長590nm)を使用した。また、赤外ガラス蛍光体30は、Yb粉末と、Nd粉末と、Bi粉末と、HBO粉末を混合し、その混合した粉末を溶解・固化して製作した。各粉末の混合比は、Ybと、Ndと、Biと、Bとが、1.0mol%、4.0mol%、47.5mol%、47.5mol%となるように調整した。
図3に本実施例に係る光源の発光スペクトルの測定結果を示している。図3に示すように、発光スペクトルの発光強度が最大となる波長は1014nmとなり、発光スペクトルの半値幅は98nmとなった。また、発光スペクトルの分布形状はガウシアン分布に類似した形状となり、生体組織の観察に有用な波長域900〜1100nmにおいて抜けた波長のない連続した波長域を有していた。
図4に本実施例の光源の電流値と光出力との関係を示している。図4に示すように、光源(発光ダイオード)に流れる電流に応じて、光源からの光出力が増大した。したがって、発光ダイオードに流れる電流値を制御することで、所望の光出力が得られることが確認できた。
上記の光源を用いて、がん患者から摘出した前立腺がんの組織を撮像した。具体的には、図7に示すように、がん患者から前立腺を摘出し、摘出した前立腺をがん組織を含む面で切断し、その切断面を撮像した。撮像には、CCDカメラ(Electrooptic社製)を用いた。なお、撮像には、CCDカメラの他に、InGaAsカメラのような赤外線用カメラを用いることもできる。前立腺がんは、被膜を形成せず腫瘤を形成することも少なく、画像診断が難しいがんの一つである。現在のところMRI画像によって前立腺がんの画像診断が行われているが、その特異性については十分ではなく、新規な画像診断ツールの開発が望まれている。図8は本実施例の検査装置によって撮像された透過像であり、図9はMRI検査装置によって撮像されたMRIT1強調画像である。図8,9に示す画像では、尿道の上部左側に前立腺肥大結節が示され、上部右側に腫瘍部(癌細胞)が示されている。図8,9から明らかなように、本実施例の検査装置によって得られた透過像の腫瘍部には、MRIT1強調画像と同等若しくはより明確なコントラストが現れていた。
本実施例の検査装置では、半導体素子(発光ダイオード)と赤外ガラス蛍光体により構成されたコンパクトな光源と、生体組織の透過像を撮影する光学素子(CCDカメラ)を用いるだけの簡易な構成によって、腫瘍部に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストが生じる画像を得ることができる。このため、CT検査装置やMRI検査装置等の従来の検査装置と比較して、大幅な小型化が可能となる。その結果、医療施設(病院等)内で移動可能な検査装置とすることができ、ベッドサイドでの診断を可能とすることができる。また、CT検査やMRI検査等で用いられる造影剤や蛍光標識等は必要がなく、さらに、特許文献1,2の光学検査装置で必要とされた波長毎の分析や解析を不要とすることができる。
また、本実施例の検査装置では、光源が半導体発光素子により構成されているため、その発熱量を小さくすることができる。このため、内視鏡等の医療機器として使用する際の温度基準(例えば、正常な使用時に患者に短時間接触する可能性のある機器の部分の上限温度50℃)を容易にクリアすることができる。
なお、本実施例の検査装置によって得られた透過像(図8)が腫瘍部に明確なコントラストを有している理由は、光源の発光スペクトルに水の吸収帯域とPSAの吸収帯域の両者が含まれることが一因と考えられる。図5は、本実施例の光源からの光をPSA試料に照射して、透過した光を測定したときの測定結果(測定した光の波長毎の光透過率)を示している。透過光の測定は、3種類の濃度(100ng/ml,40ng/ml,0ng/ml)について行った。図5より明らかなように、PSA濃度の相違に応じて、950nm〜1100nmの波長域(水の吸収帯域とPSAの吸収帯域が含まれる)において透過率が相違している。このような透過率の変化について、1070nm付近の吸光度とPSA濃度の関係を図6に示す。図6に示すように、吸光度はPSA濃度に応じて直線的に変化する。前立腺がんの腫瘍部ではPSA濃度が高くなることから、前立腺がんの腫瘍部では多くの光が吸収され、この部分が暗く表示されることとなる。その結果、前立腺がんの腫瘍部に明確なコントラストが現れているものと思われる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
さらに、上述した実施例では、光源に半導体発光素子と赤外ガラス蛍光体を用いていたが、本願の光源20はこのような構成に限られない。上述した光学特性(発光スペクトル特性)が得られる限り、どのような構成を採用してもよい。例えば、半導体発光素子以外の発光体(例えば、冷陰極管等)と赤外ガラス蛍光体とにより構成することができる。また、赤外広帯域発光LEDを光源として用いることもできる。赤外広帯域発光LEDを光源として用いる場合、例えば、図10に示すLED40のような構造を採用することができる。図10に示すように、LED40は、基板42と、基板42上に形成された複数の量子ドット44a〜44gを備えている。量子ドット44a〜44gは、発光層を構成しており、各量子ドット44a〜44gは、サイズ及び/又は組成(例えば、InAsP)が相違(分散)している。量子ドット44a〜44gの前面は、キャップ層46で保護されている。サイズ及び/又は組成が分散された複数の量子ドットによって発光層を構成することで、図11に示すような広帯域の発光スペクトルを実現することができる。また、上述した実施例では、生体組織の検査領域の全面に光を照射するようにしたが、検査領域上を光で走査し、その検出結果を処理することで画像を取得するように構成してもよい。
また、上述した実施例の検査装置は、患者から摘出した生体組織に光を照射し、生体組織を透過した光の像を撮像する検査装置であったが、本願の検査装置はこのような構成に限られない。例えば、生体組織に光を照射し、生体組織から反射される光の像(反射像)を撮像する検査装置(例えば、内視鏡検査装置)とすることもできる。このような構成によっても、撮影された反射像に基づいて、生体組織に腫瘍が存在するか否かを診断することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10 検査装置
12 光検出器
14:コンピュータ
16:表示器
18:入力部
20:光源
28:半導体発光素子
30:赤外ガラス蛍光体

Claims (6)

  1. 生体組織に腫瘍が存在するか否かを検査する装置であって、
    生体組織の検査領域の全面に光を照射する光源と、
    その光源から照射される光のうち生体組織の検査領域の全面から反射される光又は生体組織の検査領域の全面を透過する光を検出する光検出器と、
    その光検出器の出力に基づいて生体組織の反射像又は透過像を出力する画像出力部と、を備えており、
    前記光源は、インコヒーレントな光源であり、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲にあり、かつ、その発光スペクトルの半値幅が70〜200nmであり、生体組織に腫瘍が存在するときに、前記反射像又は透過像の腫瘍が存在する部分に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストを生じさせることを特徴とする生体組織検査装置。
  2. 前記光源は、半導体発光素子と、その半導体発光素子の発光面側に配置される赤外ガラス蛍光体とを備えており、
    半導体発光素子からの光が赤外ガラス蛍光体を通って生体組織に照射されることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記光源は、LEDであり、その発光層は、サイズ及び/又は組成が異なる複数の量子ドットを備えていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  4. 前記光源の発光スペクトルは、その少なくとも一部に水の吸収帯域を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の検査装置。
  5. 前記光源の発光スペクトルは、その少なくとも一部にPSAの吸収帯域を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
  6. 光を照射する光源と、
    その光源から照射される光のうち生体組織の検査領域の全面から反射される光又は生体組織の検査領域の全面を透過する光を検出する光検出器と、
    その光検出器の出力に基づいて生体組織の反射像又は透過像を出力する画像出力部と、を備える検査装置の作動方法であって、
    光源から光を照射する光照射工程と、
    光源から照射される光のうち生体組織の検査領域の全面から反射される光又は生体組織の検査領域の全面を透過する光を検出する光検出工程と、
    光検出工程の検出結果に基づいて生体組織の反射像又は透過像を出力する工程と、を備えており、
    前記光源が、インコヒーレントな光源であり、その発光強度が最大となる波長が750〜1200nmの範囲にあり、かつ、その発光スペクトルの半値幅が70〜200nmであり、生体組織に腫瘍が存在するときに、前記反射像又は透過像の腫瘍が存在する部分に腫瘍を視覚で識別可能なコントラストを生じさせる、検査装置の作動方法。
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