図面を参照して、実施形態としての乗員状態取得装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
以下の説明では、本乗員状態取得装置が搭載された車両の進行方向を前方とし、前方を基準に左右を定める。また、この車両について、前後方向を車長方向といい、左右方向を車幅方向といい、車長方向及び車幅方向の何れにも直交する方向を車両上下方向という。なお、車両の上下は、車両の通常状態(車両が走行可能な状態)を基準にして定める。さらに、車両上下方向に対して、重力の方向を単に下方といい、その逆を単に上方という。
[1.構成]
[1−1.車両]
第一実施形態に係る乗員状態取得装置は、図2に示す車両10に搭載される。この車両10は、車室内の前部右側に運転席を有する右ハンドル車両である。本実施形態に係る乗員状態取得装置は、車両10の運転席に着座する運転手を対象に設けられる。以下、車両10の構成について、車両10が通常状態〔車両10が走行可能な状態であり、図1(a)に示すように車幅方向が水平方向と一致し、車両上下方向が鉛直方向と一致する状態〕の姿勢であるものとして説明する。すなわち、ここでいう上下方向は、車両上下方向でもある。
車両10には、乗員状態取得装置のほかに、車両ECU2,角速度センサ3,シート4及びサイドドア6が設けられる。車両ECU2(電子制御装置;Electronic Control Unit)は、車両10を統合制御するコンピュータであり、例えば周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両10に設けられた車載ネットワークの通信ラインに接続される。
角速度センサ3は、車両10の車長方向に延びる軸線回りの回転角速度(ロールレイト)を検出するものである。すなわち、角速度センサ3は、単位時間当たりの車両10のロール角を検出する。この角速度センサ3には、いわゆるジャイロセンサを適用することができる。角速度センサ3は、例えば、車両10の後方から見て右回りを正の値とし、左回りを負の値として検出する。角速度センサ3は、検出した情報を車両ECU2に伝達する。
シート4は、車両10に乗車する乗員が着座するためのものであり、車両10の車室内に装備される。図2に示すシート4は、車両10の運転席である。このシート4は、背もたれ部分を形成するシートバック4aと、座部分を形成するシートクッション4bとを有する。これらのシートバック4a及びシートクッション4bは、適度な柔軟性及び反発性を有する素材で構成される。
また、図1(b)に示すように、シート4は、何れも骨格部材としてのシートパン4cと二つのシートフレーム4dと二つのシートレール4eとを有する。なお、図1(b)は、図2のA−A矢視断面図であり、ここでは断面を表すハッチングを省略し、シート4に着座している乗員5(すなわち本実施形態では運転手)を二点鎖線で示している。
シートパン4cは、シートクッション4bを支持する面状の部材であり、シートクッション4bの下方または内部に設けられる。本実施形態のシートパン4cは、略水平面状に延びる部位の左右両側がシート4の外側に向かって上り傾斜するように屈曲された形状であって、左右対称な形状に形成されている。シートパン4cの車幅方向中心は、シート4の車幅方向中心と一致する。なお、シートパン4cには、図示しないスプリング部材を介して、あるいは直接的に、シートクッション4bが固定される。
シートフレーム4dは、シートパン4cを支持する部材であり、シートパン4cの左右に一対設けられる。本実施形態のシートフレーム4dは、車長方向に延びる鉛直面の下端からシート4の内側に向かってフランジを延出させたアングル形状に形成されている。シートフレーム4dの上端辺は、シートパン4cの左右両端辺にそれぞれ固定される。また、シートフレーム4dの下端辺は、シートレール4eに支持される。
シートレール4eは、シートフレーム4dを車長方向にスライド可能に支持する軌条であり、各シートフレーム4dの下方において互いに平行に設けられ、図示しない車体(フロアパネル)に固定される。シートレール4eには、シートフレーム4dの車長方向の位置をロックする図示しないロック機構が付設される。
上述のシートパン4c,シートフレーム4d及びシートレール4eは何れも、例えば板金をプレス加工することにより形成される。また、シートパン4cとシートフレーム4dとは、図示しないブラケットを介して結合され、あるいは溶接により直接結合される。
サイドドア6(車両の側部)は、車両10の車室内と車外とを区画するものであり、シート4と車幅方向に並ぶ位置で車長方向に立設される。本実施形態のサイドドア6は、シート4の右側に隣接して設けられ、車両10の前部右方の側部を形成する。サイドドア6は、アウタパネル6a,インナパネル6b及びこれらのパネル6a,6bに取り付けられるドアトリム6cやドアガラス6dなどを有する。
アウタパネル6a及びインナパネル6bは、車両10のボディを構成するパネル部材であり、例えば鋼板をプレス加工することで形成される。アウタパネル6aは、車両10の外表面を形成するものであり、車両10の車幅方向の最も外側(本実施形態では最も右側)に配置される。インナパネル6bは、アウタパネル6aの車幅方向内側(車室内側であり、本実施形態では左側)に配置される。インナパネル6bは、車幅方向内側に膨出した形状に形成され、その外周端部がアウタパネル6aの外周端部に接合されることで、アウタパネル6aの車幅方向内側の面を覆うように設けられる。
ドアトリム6cは、車両10の車室内を装飾するための内装材であり、インナパネル6bの車幅方向内側に配置される。ドアトリム6cは、例えば樹脂材料を射出成形することによってアームレストを含む凹凸を有するように形成される。ドアトリム6cは、その外周端部がインナパネル6bの下側部分に接合されることで、インナパネル6bの車幅方向内側の面の下側部分を覆うように設けられる。ドアガラス6dは、アウタパネル6a及びインナパネル6bの上側部分に形成される窓枠に対して、開閉可能に取り付けられる。なお、アウタパネル6aとインナパネル6bとの間、及びインナパネル6bとトリム6cとの間には、それぞれ空間が設けられる。
[1−2.乗員状態取得装置]
図2に示すように、乗員状態取得装置は、シート4に着座する乗員5の生体情報を取得する二つの生体センサ11,12と、これらの生体センサ11,12を制御するための推定部21及び設定部22とを備える。本実施形態の推定部21及び設定部22は、車両ECU2の機能要素として設けられる。また、本実施形態の生体センサ11,12は、サイドドア6とシート4とにそれぞれ設置されている。以下、これらの生体センサ11,12を区別する場合は、サイドドア6に設置された一方を第一センサ11といい、シート4に設置された他方を第二センサ12という。
生体センサ11,12は、シート4に着座する乗員5に向けて所定の周波数帯の電磁波(波動)を照射し、その反射波を検出することで乗員5の生体情報を取得するものである。これらの生体センサ11,12は、例えば、乗員5の脈動や呼吸に伴って発生する体表面の変位を検出するためのドップラーセンサである。本実施形態の生体センサ11,12は、乗員5の体表面で反射された反射波を検出することで、乗員5の体表面の位置に関する情報を取得する。このように、本実施形態の生体センサ11,12は、乗員5の生体情報として、乗員5の体表面の変位に関する情報を取得する。生体センサ11,12は、取得した生体情報を車両ECU2に伝達する。
図1(b)に示すように、本実施形態の第一センサ11は、サイドドア6のインナパネル6bの車幅方向内側の面に固定されている。この第一センサ11は、シート4に着座した乗員5の胸部に対して、車長方向及び車両上下方向の位置が一致するように設置される。言い換えると、第一センサ11は、乗員5の胸部と車幅方向に並ぶ位置に設けられる。第一センサ11は、乗員5に向けて車幅方向に電磁波を照射するように設定される。すなわち、本実施形態の第一センサ11は、インナパネル6bから左方向に電磁波を照射する。
また、本実施形態の第二センサ12は、シート4のシートパン4cの上面に固定されている。この第二センサ12は、シート4に着座した乗員5の腰部に対して、車長方向及び車幅方向の位置が一致するように設置される。言い換えると、第二センサ12は、乗員5の腰部と車両上下方向に並ぶ位置に設けられる。第二センサ12の車幅方向の位置は、例えばシート4の車幅方向の中心と揃えられる。第二センサ12は、乗員5に向けて車両上方向に電磁波を照射するように設定される。すなわち、この第二センサ12は、第一センサ11の照射方向(本実施形態では車幅方向)と交差する方向に電磁波を照射するように設定される。本実施形態の第二センサ12は、第一センサ11の照射方向と直交する方向に電磁波を照射する。
生体センサ11,12で照射された電磁波は、伝播方向に進むに連れて、伝播方向と直交する方向にも広がっていく。例えば、上述の第一センサ11で照射された電磁波は、左方向に進むに連れて車両上下方向や車長方向にも広がっていく。以下、この電磁波の広がる角度、すなわち電磁波の伝播方向に延びる任意の断面における電磁波の外形線(生体センサ11,12の照射口を始点とした二本の半直線)のなす角度を照射角度という。なお、照射角度は、電磁波の伝播方向に延びる任意の断面を基準にして定めることができる。ここでは、生体センサ11,12を通り、車幅方向及び車両上下方向に延びる断面〔図1(b)に示す縦断面〕を基準にして、照射角度(後述の第一角度θ1及び第二角度θ2)を定める。
生体センサ11,12は、電磁波の照射角度が小さいほど、電磁波の指向性が向上するため、取得される生体情報の精度(データ精度)が高くなる。一方、生体センサ11,12は、電磁波の照射角度が大きいほど、電磁波の伝播方向に垂直な面上で電磁波の及ぶ範囲(検出範囲)が広がるため、生体情報が取得される確率(確実性)が高くなる。また、電磁波の照射角度は、その電磁波の周波数に応じて異なる。
そこで、本実施形態の乗員状態取得装置では、生体センサ11,12で照射される電磁波の周波数帯をそれぞれ調節することによって、電磁波の照射角度をそれぞれ設定(変更)する。これにより、生体センサ11,12によるデータ精度と生体情報の取得の確実性とのバランスを調節する。
本実施形態の生体センサ11,12には、複数の周波数帯の電磁波を照射可能なものが適用される。ここでは各生体センサ11,12が、二つの異なる周波数帯(例えば2GHz帯及び10GHz帯)の電磁波を照射する場合について説明する。生体センサ11,12は、車両10の通常状態(異常挙動前の走行中や停車中などの状態)では、二つの周波数帯のうち高い周波数帯(例えば10GHz帯)の電磁波を照射するように設定されている。
一方、生体センサ11,12は、車両10の異常挙動後(回転後や衝突後)は、二つの周波数帯のうち乗員5の位置に応じて設定される何れか一方の周波数帯の電磁波を照射するように制御される。なお、ここでいう車両10の異常挙動とは、例えば車両10が車長方向の軸心回りの回転(いわゆるロールオーバー)や車両上下方向の軸心回りの回転(いわゆるヨーイング)、第一センサ11が破損しない程度の軽度な側面衝突などを意味する。生体センサ11,12は、車両ECU2から伝達される設定信号に応じて、照射する電磁波の周波数帯が設定される。
[1−3.制御構成]
車両ECU2は、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度を制御する。ここではおもに、車両10の異常挙動後における照射角度の制御について説明する。車両ECU2は、上述の乗員状態取得装置の推定部21としての機能要素と、設定部22としての機能要素とを備える。
推定部21(推定手段)は、車両10の異常挙動後における乗員5の位置を推定するものである。本実施形態の推定部21は、乗員5の位置が、基準位置,接近位置及び離隔位置の三つのうちの何れであるのかを推定する。基準位置は、図1(a),(b)に示すように、車両10の通常状態における乗員5の車幅方向の位置であり、シート4の車幅方向の中心を含む所定範囲である。これに対し接近位置は、図4(a),(b)に示すように、基準位置よりも第一センサ11に接近した位置(本実施形態では基準位置よりも右方の範囲)であり、離隔位置は、図5(a),(b)に示すように、基準位置よりも第一センサ11から離隔した位置(本実施形態では基準位置よりも左方の範囲)である。つまり、本実施形態の推定部21は、車両10の異常挙動によって、乗員5の車幅方向への移動の有無と、移動があった場合にはその方向(右方または左方)とを推定することで、異常挙動後における乗員5の位置を推定する。なお、本実施形態の基準位置,接近位置及び離隔位置は、何れも車幅方向に広がる範囲として設けられる。
また、本実施形態の推定部21は、上述した乗員5の位置の推定だけでなく、車両10の異常挙動の有無の判定も行うものとする。ここでは、車両10の異常挙動として、車両10の横転(車両10が車長方向の軸心回りに回転した場合であり、いわゆるロールオーバー)に着目して説明する。つまり、本実施形態の推定部21は、まず車両10が横転したか否かを判断し、横転したと判断した場合には、さらにその横転後の静止状態の車両10における乗員5の位置を推定する。
推定部21は、例えば、角速度センサ3から伝達されたロールレイトの絶対値が所定の閾値以上である場合に、車両10が右回りまたは左回りに横転したと判断する。なお、推定部21は、車両10の横転の有無について、角速度センサ3による検出情報以外の情報を用いて(あるいは併用して)判断することも可能である。例えば、車両10に装備されたエアバッグ装置の作動信号や、他の電子制御装置(例えば、エンジンECU,モータECU,車体制御ECU,バッテリECUなど)から出力された緊急停止信号などに基づいて、車両10の横転の有無を判断してもよい。
推定部21は、横転があったと判断した場合に、例えばこの判断に用いたロールレイトを積分することによって、横転後(すなわち車両10の回転や走行が停止された状態)の車両10のロール角を算出する。そして推定部21は、このロール角に基づいて、乗員5の位置を推定する。言い換えると、推定部21は、車両10のロール角に応じて定まる車両10の姿勢(例えば、車両右側が下の姿勢であるか、車両左側が下の姿勢であるか等)と、この車両10に作用する重力の方向とに基づいて、乗員5の位置を推定する。
本実施形態の推定部21は、算出したロール角に応じて定まる車両10の姿勢を、車両下側または車両上側を下にした姿勢〔図1(a)に示す通常状態と同様の姿勢または通常状態から上下反転した姿勢〕と、車両右側を下にした姿勢〔図4(a)示す状態の姿勢〕と、車両左側を下にした姿勢〔図5(a)に示す状態の姿勢〕との三つに大別する。車両10の姿勢が車両上側または車両下側を下にした姿勢の場合、車両10に作用する重力の方向は車両上下方向となるため、乗員5は車幅方向には移動しない。そのため推定部21は、この場合に、乗員5の位置が基準位置であると推定する。
一方、車両10の姿勢が車両右側を下にした姿勢である場合、車両10に作用する重力の方向は車両右方となるため、乗員5は車両右方へ移動する。そのため推定部21は、この場合に、乗員5の位置が接近位置であると推定する。同様に、車両10の姿勢が車両左側を下にした姿勢である場合、車両10に作用する重力の方向は車両左方となるため、乗員5は車両左方へ移動する。そのため推定部21は、この場合に、乗員5の位置が離隔位置であると推定する。推定部21は、推定した乗員5の位置を設定部22に伝達する。
設定部22(設定手段)は、推定部21で推定された乗員5の位置に応じて、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度をそれぞれ設定するものである。本実施形態の設定部22は、生体センサ11,12で照射される電磁波の周波数帯をそれぞれ調節することによって、照射角度を設定する。
設定部22は、推定部21で乗員5の位置が基準位置であると推定された場合、生体センサ11,12で照射される電磁波の周波数帯を何れも高い方の周波数帯(例えば10GHz帯)に設定する。これにより、図1(b)に示すように、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度は何れも比較的小さい角度(以下、この角度を第一角度θ1という)となるように設定される。言い換えると、設定部22は、推定された乗員5の位置が基準位置である場合に、生体センサ11,12の照射角度を何れも第一角度θ1に設定する。この第一角度θ1は、生体センサ11,12で取得される生体情報の精度(データ精度)が所定精度以上となるように設定された角度である。
また、設定部22は、推定部21で乗員5の位置が接近位置であると推定された場合、生体センサ11,12で照射される電磁波の周波数帯を何れも低い方の周波数帯(例えば2GHz帯)に設定する。これにより、図4(b)に示すように、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度は、何れも第一角度θ1よりも大きい角度(以下、この角度を第二角度θ2という)となるように設定される。言い換えると、設定部22は、推定された乗員5の位置が接近位置である場合に、生体センサ11,12の照射角度を何れも第一角度θ1よりも大きい第二角度θ2に設定する。この第二角度θ2は、データ精度と検出範囲とに応じて設定された角度である。
さらに、設定部22は、推定部21で乗員5の位置が離隔位置であると推定された場合、第一センサ11で照射される電磁波の周波数帯を高い方の周波数帯(例えば10GHz帯)に設定し、第二センサ12で照射される電磁波の周波数帯を低い方の周波数帯(例えば2GHz帯)に設定する。これにより、図5(b)に示すように、第一センサ11で照射される電磁波の照射角度は上述の第一角度θ1となるように設定され、第二センサ12で照射される電磁波の照射角度は上述の第二角度θ2となるように設定される。言い換えると、設定部22は、推定された乗員5の位置が離隔位置である場合に、第一センサ11の照射角度を第一角度θ1に設定し、第二センサ12の照射角度を第一角度θ1よりも大きい第二角度θ2に設定する。設定部22は、設定した照射角度に対応した設定信号を生体センサ11,12にそれぞれ伝達する。
なお、推定部21で乗員5の位置が接近位置であると推定された場合とは、推定部21で乗員5の位置が他の位置(例えば基準位置や離隔位置)であると推定された場合と比べて、乗員5が第一センサ11に対して近い位置にいると推定された場合である。つまり、本実施形態の設定部22は、推定部21で推定された乗員5の位置が第一センサ11に近いほど、第一センサ11の照射角度を大きく設定するものであるといえる。
車両ECU2は、生体センサ11,12から伝達された情報を解析し、乗員5の呼吸や心拍に関する情報を取得する。本実施形態の車両ECU2は、第一センサ11から伝達された情報に基づいて乗員5の体表面の変位を解析し、乗員5の呼吸数を取得する。また、本実施形態の車両ECU2は、第二センサ12から伝達された情報に基づいて乗員5の体表面の変位を解析し、乗員5の心拍数を取得する。このようにして車両ECU2は、二つの生体センサ11,12からそれぞれ伝達された情報に基づいて、乗員5の健康状態の指標となる二つの情報(本実施形態では呼吸数及び心拍数)を取得する。
車両ECU2は、取得した乗員5の呼吸数及び心拍数に基づいて、各種制御を実施する。例えば、車両ECU2は、これらの情報を医療機関へ送信し、医療関係者に乗員5の心拍数及び呼吸数の情報をリアルタイムで提供してもよい。また、車両ECU2に、乗員5の心拍数及び呼吸数に基づいて乗員5の健康状態を判断する機能を設け、車両ECU2が乗員5の健康状態を評価するようにしてもよい。この場合、車両ECU2が乗員5の体調不良を判断したら、シートバック4aを後方へ倒したりシートベルトの緊縛を解除したりする制御を実施するようにしてもよい。
また、車両ECU2は、車両10の異常挙動時に限らず、車両10の通常状態(例えば走行時)にも生体センサ11,12の取得情報に基づいて各種制御を実施することができる。例えば、車両ECU2は、車両10の走行中に生体センサ11,12で取得された生体情報に基づいて乗員5の健康状態を判定し、体調不良であると判断した場合には、車両10を安全に緊急停止させるような制御を実施してもよい。
[2.フローチャート]
図3は、車両ECU2で実施される制御内容を説明するためのフローチャート例である。このフローチャートは、車両10が通常状態であって車両ECU2がオン状態のときに、所定の演算周期で繰り返し実施される。なお、このフローチャートの開始時点において、車両10は通常状態である(異常挙動前である)ため、生体センサ11,12の照射角度は何れも第一角度θ1に設定されている。
ステップS1では、角速度センサ3からの検出情報が車両ECU2に入力される。ステップS2では、推定部21において、ステップS1で入力された情報に基づき車両10の横転の有無が判断される。ここで、車両10の横転があったと判断された場合にはステップS3に進み、横転がない場合はステップS9へ進む。
ステップS3では、推定部21において、車両10の姿勢が車両右側を下にした姿勢であるか否かが判断される。すなわちここでは、推定部21において、乗員5の位置が推定されて、その位置が近接位置であるか否かが判定される。ここで、車両10の姿勢が車両右側を下にした姿勢であると判断された場合(乗員5の位置が接近位置であると判定された場合)にはステップS4に進み、それ以外の姿勢であると判断された場合(乗員5の位置が接近位置ではないと判定された場合)にはステップS7に進む。ステップS4では、設定部22において、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度が何れも第二角度θ2に切り替えられる。つまり本実施形態では、第二角度θ2に対応する周波数帯の設定信号が、車両ECU2からそれぞれの生体センサ11,12へと出力される。
一方ステップS7では、推定部21において、車両10の姿勢が車両左側を下にした姿勢であるか否かが判断される。すなわちここでは、推定部21において、乗員5の位置が推定されて、その位置が離隔位置であるか、基準位置であるかが判定される。なお、乗員5の位置の推定をステップS3で行い、ステップS7ではその推定結果を用いて判定のみを行うようにしてもよい。
ここで、車両10の姿勢が車両左側を下にした姿勢であると判断された場合(乗員5の位置が離隔位置であると判定された場合)にはステップS8に進み、それ以外の姿勢であると判断された場合(乗員5の位置が基準位置であると判定された場合)にはステップS5に進む。ステップS8では、設定部22において、第二センサ12で照射される電磁波の照射角度が第二角度θ2に切り替えられる。すなわち、この場合には、第一センサ11で照射される電磁波の照射角度は第一角度θ1のままに維持される。
なお、ステップS7において、車両10の姿勢が車両左側を下にした姿勢ではないと判断された場合は、車両10の姿勢が車両上側または車両下側を下にした姿勢であると判断される。この場合には、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度が何れも第一角度θ1のままに維持される。
そしてステップS5では、生体センサ11,12から設定された照射角度で電磁波が照射されて生体情報が取得され、この生体情報が車両ECU2に入力される。続くステップS6では、ステップS5で入力された生体情報に基づいて、車両ECU2による各種制御が実施され、このフローを終了する。
また、ステップS9では、ステップS5と同様に、生体センサ11,12から設定された照射角度(第一角度θ1)で電磁波が照射されて生体情報が取得され、この生体情報が車両ECU2に入力される。そして、ステップS10では、ステップS9で入力された生体情報に基づいて乗員5の健康状態に異常があるか否かが判定され、異常がなければこのフローをリターンし、異常があればステップS11において各種制御を実施して、このフローをリターンする。
[3.作用,効果]
(1)上記の乗員状態取得装置では、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度が、車両10の異常挙動後における乗員5の位置に応じてそれぞれ設定される。つまり、車両10の異常挙動後は、第一センサ11と乗員5との相対位置に応じて第一センサ11の照射角度が設定され、第二センサ12と乗員5との相対位置に応じて第二センサ12の照射角度が設定される。例えば図1(b)に示す生体センサ11,12及び図5(b)に示す第一センサ11のように、その照射角度が小さく設定される場合には、電磁波の指向性が確保され、乗員5の位置において電磁波を狭い範囲に集中させることができる。そのため、この場合には、これらの生体センサ11,12によって取得される乗員5の生体情報の精度(データ精度)を向上させることができる。
一方、例えば図4(b)に示す生体センサ11,12及び図5(b)に示す第二センサ12のように、その照射角度が図1(b)の照射角度よりも大きく設定される場合には、乗員5の位置において電磁波を図1(b)の範囲よりも広い範囲に拡散させることができる。そのため、この場合には、これらの生体センサ11,12の検出範囲を拡大させることができ、乗員5の生体情報が取得される確率(確実性)を向上させることができる。
このように上記の乗員状態取得装置によれば、車両10の異常挙動後における乗員5の位置に応じて、生体センサ11,12のデータ精度と生体情報の取得の確実性とのバランスをそれぞれ設定することができる。そのため、車両10の異常挙動後に、取得される生体情報のデータ精度が低下することや、生体情報を取得できなくなることを回避することができる。したがって、上記の乗員状態取得装置によれば、車両10の異常挙動後に取得される乗員5の生体情報のデータ精度と取得の確実性とを向上させることができ、生体センサ11,12の有用性を高めることができる。
なお、乗員5は通常シートベルトをして着座しているが、シートベルトによる拘束力は乗員5の車幅方向の移動を抑制するようには働きにくい。すなわち、乗員5の車幅方向の移動は、車長方向及び車両上下方向の移動に比べてその移動量が大きくなる虞がある。この点、本実施形態の乗員状態取得装置によれば、第一センサ11が車幅方向に電磁波を照射するため、乗員5が車幅方向に移動した場合に、第一センサ11で照射された電磁波が乗員5に当たる確率を高めることができる。したがって、乗員5が車幅方向に移動した場合における生体情報の取得の確実性を高めることができ、乗員5の救護活動に寄与することができる。
また、上記の乗員状態取得装置では、第二センサ12が第一センサ11の照射方向と交差する方向に電磁波を照射するため、乗員5に電磁波が当たる確率をさらに高めることができる。つまり第二センサ12によって、第一センサ11でカバーされない範囲にも電磁波を照射することができるため、生体情報の取得の確実性を高めることができる。
(2)上記の乗員状態取得装置では、推定部21で推定された乗員5の位置が第一センサ11に近いほど、第一センサ11で照射される電磁波の照射角度が大きく設定される。仮に、第一センサ11が一定の照射角度で電磁波を照射する場合、乗員5の位置が第一センサ11に近いほど、乗員5の位置における第一センサ11の検出範囲が狭くなり、乗員5が第一センサ11の検出範囲内に入る確率が低下する。これに対し、上記の乗員状態取得装置では、乗員5が第一センサ11に近づくほど第一センサ11の検出範囲が拡大されるため、車両10の異常挙動によって乗員5が第一センサ11側に移動しても、乗員5が第一センサ11の検出範囲内に入る確率を高めることができる。
特に、乗員5の移動が大きいほど、乗員5が車両10の異常挙動により受けた衝撃力は大きいと考えられるため、乗員5の生体情報をより確実に取得することが求められる。この点、上記の乗員状態取得装置によれば、乗員5の位置が第一センサ11に近いほど、すなわち乗員5の車幅方向外側(サイドドア6側)への移動が大きいほど、第一センサ11の検出範囲が拡大されるため、生体情報の取得の確実性を高めることができ、乗員5の救護活動に寄与することができる。
(3)上記の乗員状態取得装置では、推定部21で乗員5の位置が接近位置であると推定された場合は、乗員5の位置が基準位置または離隔位置であると推定された場合と比べて、第一センサ11の照射角度が大きく(第二角度θ2に)設定される。つまり、乗員5が車両10の異常挙動によって第一センサ11に近づくように移動したと推定された場合は、他の場合に比べて第一センサ11の検出範囲が拡大される。そのため、第一センサ11による生体情報の取得の確実性を向上させることができる。
また、上記の乗員状態取得装置では、推定部21で乗員5の位置が基準位置または離隔位置であると推定された場合は、乗員5の位置が接近位置であると推定された場合と比べて、第一センサ11の照射角度が小さく(第一角度θ1に)設定される。つまり、乗員5が車両10の異常挙動によって乗員5が第一センサ11に近づくように移動しなかったと推定された場合は、他の場合に比べて第一センサ11の指向性が確保される。そのため、第一センサ11で取得される生体情報のデータ精度を向上させることができる。
また、上記の乗員状態取得装置では、第一センサ11の照射角度が第一角度θ1と第二角度θ2との二つのうち何れか一つに設定される。これにより、第一センサ11の照射角度の設定に関する制御内容や装置構成の複雑化を抑制することができる。
(4)上記の乗員状態取得装置では、推定部21で乗員5の位置が離隔位置または接近位置であると推定された場合は、乗員5の位置が基準位置であると推定された場合と比べて、第二センサ12の照射角度が大きく(第二角度θ2に)設定される。つまり、乗員5が車両10の異常挙動によって車幅方向に移動したと推定された場合は、他の場合に比べて第二センサ12の検出範囲が拡大される。そのため、第二センサ12による生体情報の取得の確実性を向上させることができる。
また、上記の乗員状態取得装置では、推定部21で乗員5の位置が基準位置であると推定された場合は、乗員5の位置が離隔位置または接近位置であると推定された場合と比べて、第二センサ12の照射角度が小さく(第一角度θ1に)設定される。つまり、乗員5が車両10の異常挙動前後で車幅方向に移動しなかったと推定された場合は、第二センサ12の指向性が確保される。そのため、第二センサ12で取得される生体情報のデータ精度を向上させることができる。
また、上記の乗員状態取得装置では、第二センサ12の照射角度が第一角度θ1と第二角度θ2との二つのうち何れか一つに設定される。これにより、第二センサ12の照射角度の設定に関する制御内容や装置構成の複雑化を抑制することができる。
(5)上記の乗員状態取得装置では、推定部21が、車両10のロール角に基づいて乗員5の位置を推定する。そのため、車両10の異常挙動後における乗員5の位置を、重力の方向に基づいて精度よく推定することができる。
(6)上記の乗員状態取得装置では、生体センサ11,12で照射される電磁波の周波数帯がそれぞれ調節されることによって、照射角度が設定される。そのため、例えば照射角度を変更する機構や装置を新たに設けることなく、生体センサ11,12の検出範囲を変更することができ、コスト削減に寄与することができる。
(7)上記の乗員状態取得装置では、第二センサ12がシート4のシートパン4cに設置され、乗員5に向けて車両上下方向に電磁波を照射するように設定される。これにより、第二センサ12で乗員5の腰部に電磁波を照射することができる。乗員5の腰部は、シートベルトによって拘束されるため、乗員5の上半身よりも変位しにくい部位である。そのため、第二センサ12をシートパン4cに設置し、乗員5の腰部に電磁波を照射することによって、第二センサ12で取得される生体情報のデータ精度と、生体情報の取得の確実性とを向上させることができる。
[4.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、車両10が右ハンドル車両である場合を例示したが、本乗員状態取得装置は左ハンドル車両に対しても同様に搭載可能である。また、本乗員状態取得装置は、車両10の運転手に限らず、車両10に乗車する他の乗員を対象に設けられてもよい。すなわち上述の第一センサ11は、車両10の前部右方以外の側部に設置されてもよいし、上述の第二センサ12は、車両10の運転席であるシート4以外のシート(座席)に設置されてもよい。
また、上述の実施形態では、第一センサ11がサイドドア6のインナパネル6bに設置される場合を例示したが、第一センサ11は、少なくとも、車両10の側部において乗員5に向けて電磁波を照射できる位置であれば、上述した位置以外の位置に設けられてもよい。第一センサ11は、例えば、上述のサイドドア6のドアトリム6cやアウタパネル6aに設置されてもよいし、サイドドアに限らず、ルーフサイドレールやピラーなど、車両10の側部を形成する他の部材に設置されてもよい。また、上述の実施形態では、第一センサ11の照射方向が車幅方向に設定される場合を例示したが、第一センサ11の照射方向は、少なくとも乗員5に向かう方向であればよく、車幅方向に限定されない。
また、上述の実施形態では、第二センサ12がシート4のシートパン4cに設置される場合を例示したが、第二センサ12は、少なくとも、第一センサ11が電磁波を照射する乗員に向けて、第一センサ11の照射方向と交差する方向に電磁波を照射できる位置であれば、上述した位置以外の位置に設けられてもよい。第二センサ12は、例えば、シートバック4aの内部やシートクッション4bの内部に設けられてもよいし、車両10の天井部分やステアリングに設けられてもよい。また、上述の実施形態では、第二センサ12の照射方向が第一センサ11の照射方向と直交する方向に設定される場合を例示したが、第二センサ12の照射方向は、少なくとも第一センサ11の照射方向と交差する方向であればよい。
また、上述の実施形態では、車両ECU2が、第一センサ11の検出情報に基づいて乗員5の呼吸数を取得し、第二センサ12の検出情報に基づいて乗員5の心拍数を取得する場合を例示したが、車両ECU2による生体センサ11,12の検出情報の処理はこれに限定されない。車両ECU2は、例えば、生体センサ11の検出情報に基づいて乗員5の呼吸数と心拍数との両方を取得してもよいし、第二センサ12が乗員5の胸部に比較的近い位置に設けられる場合には、第二センサ12の検出情報に基づいて乗員5の呼吸数を取得するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、乗員状態取得装置の推定部21と設定部22とが、車両ECU2の機能要素として設けられる場合を例示したが、これら推定部21及び設定部22は、車両ECU2とは別のECU(電子制御装置)の機能要素として設けられてもよい。また、例えば車両ECU2に設けられた他の制御部で車両10の異常挙動の有無を判定し、その判定結果を推定部21に伝達するようにすれば、上述の推定部21における異常挙動の有無を判定する機能を省略可能である。すなわち推定部21は、少なくとも車両10の異常挙動後に乗員5の位置を推定するものであればよい。
また、上述の実施形態では、車両10のロール角が、角速度センサ3で検出されたロールレイトに基づいて算出される場合を例示したが、車両10のロール角は公知の種々の方法で取得することができる。例えば、車両10の横加速度を検出する加速度センサを設け、この加速度センサで検出された横加速度に基づいてロール角を算出してもよいし、車両10の実ロール角を検出するロール角センサを適用してもよい。つまり、上述の角速度センサ3は、本乗員状態取得装置に必須の構成ではない。
また、上述の実施形態では、推定部21が車両10のロール角に基づいて乗員5の位置を推定する場合を例示したが、推定部21は他の情報に基づいて乗員5の位置を推定してもよい。例えば、乗員5がシート4に着座した状態では、乗員5の腰部によってシートクッション4bが部分的に押圧されるため、シートクッション4bの圧力分布に基づいて、乗員5の位置を推定するようにしてもよい。あるいは、車両10の車室内を撮影するカメラを設け、このカメラで撮影された画像を解析することによって、乗員5の位置を推定してもよい。
また、上述の実施形態では、推定部21が乗員5の位置として、基準位置,離隔位置及び接近位置の三つのうち何れか一つを推定する場合を例示したが、推定部21が推定する乗員5の位置は、これら三つに限られない。推定部21は、例えば、四つ以上の位置(より詳細な位置)を推定してもよいし、乗員5の車幅方向の移動量を推定し、その移動量に応じて設定部22が照射角度を細かく設定するような構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、生体センサ11,12で照射される電磁波の照射角度が何れも第一角度θ1と第二角度θ2との二つに変更される場合を例示したが、この照射角度は三つ以上に変更されてもよい。この照射角度の設定数が増加するほど、生体センサ11,12の検出範囲をより細かく変更することが可能となる。そのため、生体センサ11,12によって取得される生体情報のデータ精度と取得の確実性とのバランスを、例えば乗員5と第一センサ11との距離に合わせて、より適切に設定することが可能となる。
また、上述の実施形態では、生体センサ11,12の照射角度として、第一角度θ1及び第二角度θ2の二つを例示したが、二つの生体センサ11,12の照射角度は、それぞれ個別に設定することができる。例えば、第一センサ11の照射角度は上述の実施形態と同様に設定し、第二センサ12の照射角度は、上述の第一角度θ1に代えて第三角度θ3に、上述の第二角度θ2に代えて第三角度θ3よりも大きい第四角度θ4にそれぞれ設定してもよい。すなわち、生体センサ11,12は、それぞれが少なくとも二つの照射角度で電磁波を照射可能であればよく、第一センサ11の照射角度と第二センサ12の照射角度との大小関係は特に限定されない。
また、上述の実施形態では、生体センサ11,12として、複数の周波数帯の電磁波を照射可能なものが適用される場合を例示したが、各生体センサ11,12が互いに異なる周波数帯の電磁波を照射するように隣接して並べられた複数の生体センサで構成されていてもよい。この場合、設定部22が複数の生体センサのうち一つを選択することによって、電磁波の照射角度を変更することができる。また、これに代えて、各生体センサ11,12の照射口の面積を変更することによって、照射角度を変更するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、生体センサ11,12が電磁波を照射する場合を例示したが、生体センサ11,12は、電磁波以外の波動(例えば音波)を照射して、生体情報を取得するものであってもよい。
また、上述の実施形態で示したシート4及びサイドドア6の構造はそれぞれ一例であり、変更可能である。例えば、シート4のシートパン4cは水平方向に延びる平面状に形成されてもよいし、サイドドア6のドアトリム6cは、アームレストを省略した形状に形成されてもよい。
また、上述の実施形態では、車両10が横転した場合に着目して説明したが、本乗員状態取得装置によれば、車両10が横転した場合に限らず、車両10がヨーイングや側面衝突等の異常挙動をした場合であっても、上述の実施形態と同様の作用,効果を得ることができる。