JP6493718B2 - 吊り天井の耐震診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吊り天井の耐震診断方法に関する。
従来、例えばオフィスビル等の建物の天井部の構造として、吊り天井が多用されている。そして、吊り天井(吊り天井構造)Aは、例えば図1及び図2に示すように、水平の一方向T1に所定の間隔をあけて並設される複数の野縁1と、野縁1に直交し、水平の他方向T2に所定の間隔をあけて並設され、複数の野縁1に一体に接続して設けられる複数の野縁受け2と、下端を野縁受け2に接続し、上端を上階の床材3等に固着して配設される複数の吊りボルト(吊り部材)4と、野縁1の下面にビス留めなどによって一体に取り付けられ、下階の天井面を形成する天井パネル(天井材)5とを備えて構成されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
また、図3に示すように、野縁1と野縁受け2は、断面コ字状の溝形鋼であり、野縁1においては、開口部6を形成する両側壁部1a、1bの先端を幅方向(T1)内側にそれぞれ突出させてなる一対の係合受部7を備えて形成されている。また、このように形成された野縁1と野縁受け2は、図1から図3に示すように、クリップ(野縁接続用金具)10を用い、互いに交差する交差部11で接続される。クリップ10は、例えば、図3に示すように、下端側に幅方向両外側に突出する係合片10aを備え、上端側に上方に突出する折り曲げ係止片10bを備えて形成されている。そして、野縁1の内部に開口部6から下端側の係合片10aを挿入するとともに野縁1の係合受部7に係合させ、開口部9を横方向(T2)に向けて野縁1上に配設された野縁受け2の上端側を巻き込むように折り曲げ係止片10bを折り曲げて係止させる。これにより、クリップ10を介して野縁1と野縁受け2を接続することができる。
さらに、図1、図2及び図4に示すように、吊りボルト4と野縁受け2は、ハンガ(吊り部材接続用金具)12を用いて接続される。ハンガ12は、例えば、図4に示すように、上端側に横方向(T2)に延びて設けられるとともに、吊り部材挿通孔13が貫設された吊り部材接続部12aと、吊り部材接続部12aの一端から下方に折れ曲がって延設された垂下部12bと、垂下部12bの下端から横方向(T2)に折れ曲がって延設された底部12cと、底部12cから上方に折れ曲がって延設されたクランプ保持部12dとを備えて、略J字状に形成されている。そして、このハンガ12を用いて吊りボルト4と野縁受け2を接続する際には、吊り部材接続部12aの吊り部材挿通孔13に吊りボルト4を挿通してナット8を締結することにより、吊り部材接続部12aに吊りボルト4を接続する。また、ハンガ12の垂下部12bとクランプ保持部12dの間に野縁受け2を挿入して底部12cで受けるとともに、クランプ保持部12dと垂下部12bで挟み込んで保持させることにより、ハンガ12に野縁受け2が接続される。これにより、ハンガ12を介して吊りボルト4と野縁受け2を接続することができる。
また、この種の吊り天井Aは、図2に示すように、地震時に吊り天井Aの揺れを抑えるために補強ブレース14を備えて構成される。補強ブレース14は、複数の野縁受け2に接続して架設した野縁受け直交材15(あるいは野縁受け2、吊りボルト4の下端側)に下端を固着し、吊りボルト4の上端側(あるいは床材3)に上端を固着して、野縁1や野縁受け2に沿って例えばV字状に配設される。そして、地震時に、これら補強ブレース14が水平力を負担し、吊り天井Aに作用する水平方向T1、T2のねじりモーメントや曲げモーメントが抑えられ、吊り天井Aの縦横の揺れ、特に横揺れが抑えられる。
特開2007−100358号公報 特開2006−22483号公報 特開2007−239441号公報
一方、近年、既設の吊り天井の耐震性能を把握し、耐震性能が不十分な場合には、地震時に脱落などが発生しないように早急に耐震改修することが求められている。しかしながら、吊り天井においては、その耐震性能を診断するシステムがしっかりと確立されていないのが現状で、既存の耐震診断システムでは評価が主観的で、診断者によって評価結果にバラツキが生じるケースが多いという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑み、評価者によるバラツキを低減し、吊り天井の現状を客観的に評価することを可能にする吊り天井の耐震診断方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の吊り天井の耐震診断方法は、S造、RC造、SRC造、PC造のいずれかの建物に設けられた既設の吊り天井の耐震性能を診断し、耐震改修の要否を判断するための方法であって、天井下地材の材種を確認調査する天井下地材調査工程と、吊り天井の懐深さを測定する天井懐調査工程と、水平力負担要素の有無及び設置頻度を確認する水平力負担要素調査工程と、天井下地材や補強ブレースの各部材の接合部の状態を確認する接合部調査工程と、吊元固定の状態を確認する吊元固定状態確認工程とを備え、前記天井下地材調査工程では、天井下地材がJIS材又は軒天井用材であるか、JIS規格外品の一般材であるか、その他の材料で製作されたものであるかを確認するとともに、天井下地材として野縁、野縁受け、クリップ、ハンガが用いられている場合には、これら天井下地材の板厚を測定し、それぞれ、0.5mm以上、1.2mm以上、0.6mm以上、2.0mm以上のいずれであるか否かを確認し、人身安全上の観点から実施すべき安全対応用の複数の対策項目と、より耐震診断レベルの高いBCP対応用の複数の対策項目とからなる耐震改修メニューを予め用意しておき、前記各工程で得た結果を前記安全対応用の対策項目と照合し、さらに必要に応じてBCP対応用の対策項目と照合して耐震改修の対策手法を選定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の吊り天井の耐震診断方法においては、前記吊り天井の設計・施工資料等の資料調査を行う資料調査工程と、前記吊り天井の劣化状況を目視確認する目視調査工程と、補強ブレース及び/又は野縁受け直交材の有無及び材種を確認する補強ブレース/野縁受け直交材材種確認工程と、補強ブレースと吊元の状態を確認する補強ブレース/吊元確認工程と、天井段差部の有無及び該段差部の補強状況を確認する段差部状況確認工程と、天井周囲のクリアランスを確認する天井周囲クリアランス確認工程と、天井内設備及び点検通路の有無及び状態を確認する天井内設備/点検通路確認工程と、天井面周囲の外壁の材種、状態を確認する外壁確認工程と、間仕切りの有無及び材種、状態を確認する天井/間仕切り状態確認工程とをさらに備えることが望ましい。
本発明の吊り天井の耐震診断方法においては、上記の各工程を実施することによって、吊り天井の耐震診断を行うポイントが明確となる。これにより、短時間に客観的な指標だけで天井の課題の抽出、評価を行なうことができ、評価者によるバラツキが出にくくなり、信頼性の高い耐震性能評価を行うことが可能になる。
また、上記の各工程で得られる結果に応じた形で予め作成された耐震改修メニューの安全対応用の対策項目と各工程で得た結果を照合し、人身安全上の観点から最低限実施すべき対策手法を選定し、また、必要に応じて、より耐震性能レベルの高いBCP(事業継続計画)対応用の対策項目と照合して耐震改修の対策手法を選定することで、さらに、短時間に客観的な指標だけで天井の課題の抽出、評価を行なうことができ、評価者によるバラツキが出にくくなるとともに、信頼性の高い耐震性能評価、さらには適切な耐震改修対策手法の提案、明示を早期に行うことが可能になる。
また、改修の方法やグレードなどを短時間に分かりやすく説明することができ、各工程の調査結果に基づいて、クライアントへの改修提案まで一貫して行うことが可能になる。
吊り天井を示す斜視図である。 吊り天井の側面視図であり、補強ブレースを示す図である。 吊り天井の野縁と野縁受けを接続するクリップ(野縁と野縁受けの接続部)を示す斜視図である。 吊り天井の野縁受けと吊り部材を接続するハンガ(野縁受けと吊り部材の接続部)を示す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる吊り天井の耐震診断システムにおける耐震改修メニューの安全対応用の対策項目とBCP対応用の対策項目による各種対策手法の耐震性能レベルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる吊り天井の耐震診断システムにおける耐震改修メニューの一例を示す図である。
以下、図1から図6を参照し、本発明の一実施形態に係る吊り天井の耐震診断方法について説明する。本実施形態は、例えばオフィスビルなどの建物の天井部として用いられる吊り天井の耐震診断方法に関するものである。
はじめに、本実施形態において、吊り天井(吊り天井構造)Aは、例えば図1及び図2に示すように、野縁1と天井材5と野縁受け2と吊り部材(吊りボルト)4と補強ブレース14とクリップ(野縁接続用金具)10とハンガ(吊り部材接続用金具)12とを備えて構成されている。
野縁1は、図1から図4に示したように、溝形鋼であり、一対の側壁部1a、1bと両側壁部1a、1bに連設された底板部1cとを備えて断面コ字状(断面C字状)に形成されている。また、野縁1は、開口部6を形成する各側壁部1a、1bの先端が幅方向(T1)内側に突出して形成され、この先端の突出部分が係合受部7とされている。そして、野縁1は、水平に延設され、開口部6を上方に向け、且つ水平の一方向T1に所定の間隔をあけて平行に複数配設されている。
本実施形態の天井材(天井パネル)5は、2枚のボードを貼り付けて一体に積層形成したものであり、例えば1mあたり20kg程度の重量で形成されている。そして、この天井材5は、複数の野縁1の下面にビス留めなどして設置され、天井面を形成している。なお、天井材5は、1枚のボードで構成されている場合もある。
野縁受け2は、溝形鋼であり、上板部2aと、下板部2bと、これら上板部2aと下板部2bに連設された側壁部2cとを備えて断面コ字状(断面C字状)に形成されている。そして、野縁受け2は、水平に延設され、開口部9を横方向(T2)に向け、且つ水平の他方向T2に所定の間隔をあけて平行に複数配設されている。また、このとき、野縁受け2は、野縁1と交差するように配設されるとともに、複数の野縁1上に載置した状態で配置される。また、各野縁受け2は、野縁1と交差する交差部11で、クリップ10を使用することにより野縁1に接続されている。
吊り部材4は、円柱棒状に形成されるとともに外周面に雄ネジの螺刻を有する吊りボルトであり、吊元となる一端を上階の床材等の上部構造3に固着、または鋼製の根太等に緊結して垂下され、下端側を、ハンガ12を用いて野縁受け2に接続して複数配設されている。これにより、野縁1と天井材5と野縁受け2が吊り部材4によって吊り下げ支持されている。また、本実施形態では、複数の吊り部材4は、所定の間隔をあけて分散配置され、例えば、各吊り部材4は、野縁1と野縁受け2が交差する交差部11付近で野縁受け2に接続されている。
補強ブレース14は、図2に示したように、一端を直接的あるいは間接的に野縁受け2に固着し、吊り部材4の上端側にブレース接続用金具16を介して他端を固着して設けられている。また、本実施形態では、一対の補強ブレース14が、野縁受け2の延設方向に沿う一方向T1に並設されている。このとき、一対の補強ブレースは、V字状を呈するように並設されている。また、一対の補強ブレース14は、野縁1と野縁受け2が交差する一つの交差部17の直上に位置する部分の野縁受け直交材15に一端を接続して配設されている。なお、一対の補強ブレース14がV字状を呈するように並設されているものとしたが、ハの字、ノの字などの補強ブレースが設けられている場合もある。
そして、本実施形態では、上記のような既設の吊り天井Aの耐震性能を吊り天井の耐震診断方法を用いて把握し評価する。なお、この吊り天井の耐震診断方法は、既設の吊り天井の耐震性能を診断し、耐震改修の要否を判断するための方法であって、既設の吊り天井Aの耐震性能を評価して所望の耐震性能に改修するために用いたり、地震発生後の吊り天井Aの(耐震)性能を評価し、その損傷の度合いを把握して修繕するために用いることができる。
具体的に、本実施形態の吊り天井Aの耐震診断方法では、はじめに、設計・施工資料などを入手し、資料調査を行なう(資料調査工程)。この資料調査では、建物の規模(地下・地上階数など)、用途、建物の構造(S造、RC造、SRC造、PC造など)、築年数、改修履歴などを確認するとともに、吊り天井Aの天井高さ、天井重量、天井面積、天井面形状などを確認する。
次に、現地で吊り天井Aの状況調査を行なう。なお、設計図書、施工資料などの資料が紛失していたり、被災によって資料の入手ができず、資料調査を十分に行えなかった場合には、吊り天井Aの状況調査で、はじめに、資料調査工程で確認すべき事項、建物の規模、用途、建物の構造や、吊り天井の天井高さ、天井重量、天井面積、天井面形状などを現地で確認することになる。
そして、吊り天井の状況調査では、まず、吊り天井Aの劣化状況を目視確認する(目視調査工程)。この目視調査では、外乱の履歴による損傷(変形、ひび割れ、緩み、クリップ10・ハンガ12の外れ、溶接部(接合部)の破損等)、材料の劣化、錆などの発生、漏水跡の有無などを確認する。
また、天井下地材の材種の確認調査を行なう(天井下地材調査工程)。この天井下地材の調査では、野縁1、野縁受け2、クリップ10、ハンガ12がJIS材又は軒天井用材であるか、一般材(JIS規格外品)であるか、その他の材料で製作されたものであるかを確認する。また、特に軒天井用材である場合には、野縁1、野縁受け2、クリップ10、ハンガ12の板厚を測定し、それぞれ、0.5mm以上、1.2mm以上、0.6mm以上、2.0mm以上であるか否かを確認する。
また、吊り天井Aの懐深さを測定する(天井懐調査工程)。ここでは、天井の折曲げ部など、任意の代表箇所を数箇所選定し、各箇所で懐深さを測定する。
さらに、補強ブレース14等の水平力負担要素の有無を確認する(水平力負担要素調査工程)。そして、補強ブレース14が一対でV字型に設置されている場合には、その設置頻度、例えば、25m以上に一組の一対の補強ブレース14が設置されているか、25m未満であるかを確認する。また、補強ブレース14がノの字型で設置されていたり、ハの字型で設置されている場合には、設置頻度が8m以上であるか、8m未満であるかを確認する。
さらに、補強ブレース14及び/又は野縁受け直交材15の有無及び材種を確認する(補強ブレース/野縁受け直交材材種確認工程)。ここでは、補強ブレース14や野縁受け直交材15が、溝形鋼(Cチャン)、角鋼管、その他であるかを確認し、さらに、そのサイズ、例えば、C−38×12×1.6、C−40×20×1.6、C−40×20×2.3、□−25×25×1.4などとして確認する。
また、天井下地材や補強ブレース14の各部材の接合部の状態、特に接合部の補強の状態を確認する(接合部調査工程)。この接合部の状態調査では、クリップ10について、ビスなどを併用した耐震型であるか、折り曲げ式であるか、溶接であるかを確認する。ハンガ12については、ビスなどを併用した耐震型であるか、引掛け型であるか、溶接型であるかを確認する。補強ブレース14の上部については、ビスなどを併用した耐震型であるか、引掛け型であるか、溶接であるかを確認する。補強ブレース14の下部については、ビス固定であるか、吊りボルト固定であるか、溶接であるかを確認する。
また、補強ブレース14と吊元の状態を確認する(補強ブレース/吊元確認工程)。ここでは、補強ブレース14の接合部とスラブ3下などに隙間がないか、吊元から補強ブレース14の接合部の距離(図2の符号t)が100mm以下であるかなどを確認する。
また、天井段差部の有無及び天井段差部の補強の状況を確認する(段差部状況確認工程)。ここでは、段差部に対し、斜め補強による補剛がなされているか否か、クリアランスまたは可動納まりの状況、その他の状況を確認する。
また、天井周囲のクリアランスを確認する(天井周囲クリアランス確認工程)。例えば、天井周囲のクリアランスの有無を確認し、クリアランスがある場合には、100mm以上のクリアランスか、100mm未満のクリアランスかを確認する。
さらに、吊元固定の状態の確認調査を行なう(吊元固定状態確認工程)。ここでは、吊元が、RCインサート、デッキインサート、鉄骨母屋、ぶどう棚、ALC屋根から直接、折板屋根から直接、溶接固定、その他のいずれに該当するかを確認し、さらに、鉄骨吊元の場合には、吊元金物が、引掛け型金物(LGフック、吊元ロック等)であるか、引掛け金物で移動、外れ防止対策品であるか、その他であるかを確認する。
さらに、天井内設備及び点検通路の有無及び状態の確認を行なう(天井内設備/点検通路確認工程)。ここでは、天井内設備の各々が耐震性を確保しており、地震時の干渉のおそれがないか、軽量の設備が天井Aと一体化しており、脱落防止機能がついているか、天井下地、吊り部材4などと干渉するか、その他について確認を行なう。
また、天井面周囲の外壁の材種、状態の確認を行なう(外壁確認工程)。ここでは、外壁が例えばRC壁などで天井Aの水平力を負担できる構造であるか、乾式壁(ALC、アスロック等)、LGS壁、CW等の外装材などで、水平力の負担が期待できない構造であるかを確認する。さらに、LGSである場合には、天井Aの水平力を負担できる下地となっているか、また、LGSなどで天井Aの水平力負担を考慮していないか等を確認する。
また、間仕切りの有無及び材種、状態の確認を行なう(天井/間仕切り状態確認工程)。例えば、天井Aと間仕切りの状態が、壁勝ち(間仕切りを天井材に貫設した状態)、天井勝ち(天井材まで(天井材の下に)間仕切りを設けた状態)、パーテーション、その他のいずれの状態であるかを確認する。天下間仕切りがあり、それが、壁の水平力をブレース14等で負担できる構造となっているか、例えばLGS天井下地に固定しているだけで、水平力負担を考慮していない状態であるかなどを確認する。
本実施形態の吊り天井の耐震診断方法では、上記の各工程を適宜選択的に実施する。ここで、吊り天井Aの耐震改修の考え方として、例えば図5に示すように、第一に、大規模地震発生時に天井全体あるいは破損による部分的な落下を生じることがなく、人身災害を防止できる耐震性能レベル(人身安全上、必要な耐震性能レベル、最低レベル)にすること、第二に、経済性(地震後に天井機能を維持する程度)やBCP、建物・部屋の重要度などに応じて、さらに選択的に耐震性能レベルを向上させるように改修することなどが挙げられる。
そして、本実施形態の吊り天井の耐震診断方法では、人身安全上の観点から実施すべき安全対応用の複数の対策項目と、より耐震性能レベルの高いBCP対応用の複数の対策項目とからなる耐震改修メニューを予め用意しておき、上記の各工程で得た結果を安全対応用の対策項目と照合し、さらに必要に応じてBCP対応用の対策項目と照合して耐震改修の対策手法を明示し、選定する。例えば、これらの対策としては次のような項目が挙げられる。
A:基本的に健全で耐震性があると思われる。
B:耐震性向上のため接合部金物補強・クリアランス確保を実施する(クリップ、ハンガ、ブレース、吊りボルト、その他溶接部・設備等の補強等を含む)。
C:ブレース等の耐震対策を、金物補強と合わせて実施する(天井内工事が可能な場合)。
D:ぶどう棚・根太等の新設、または天井をぶどう棚直貼りを実施する。
E:躯体からの応力や天井重量・形状に応じた個別設計を行い天井改修を実施する。
F:天井を撤去する。
G:システム天井、システムグラスウール天井、膜天井等、軽量で安全な形式に変更する。
H:耐震改修完了までネット張り等、落下防止の応急対策を実施する。
そして、上記の各工程の調査結果から選定した対策手法は、少なくとも第一の大規模地震時に人身災害を防止できる耐震性能レベルの対策となる。
すなわち、上記の各工程の調査を行い、例えば図5に示すように、ある程度、高い耐震性能レベルを有する吊り天井A(図5中:破線a)の耐震性能レベルが、地震によって低下したり(図5中:破線b)、当初から耐震性能レベルが低く(図5中:破線b)、「改修により最低限確保すべき必須の性能レベル、最低レベル(図5中:破線c)」を下回っていた場合には、まず、最低限実施すべき安全対応用の対策項目の耐震改修案(b1)の選定、検討が行われ、さらに、図5及び図6に示すように、必要に応じて(経済性やBCP、建物・部屋の重要度などに応じて)、より耐震性能レベルの高いBCP対応用の対策項目の耐震改修案(b2、b3)の選定、検討が行われる。
また、上記の各工程の調査結果から、対象の吊り天井Aがある程度、高い耐震性能レベル(図5中:破線a)を有している場合には、必要に応じて(経済性やBCP、建物・部屋の重要度などに応じて)、より耐震性能レベルの高いBCP対応用の対策項目の耐震改修案(a2、a3)の選定、検討が行われる。
また、このとき、耐震改修案のグレードの選択(耐震改修案の対策項目a1、a2、b1、b2、b3の選定)は、耐震改修によって求める耐震性能レベルに加え、その耐震改修案のグレードの天井機能回復までの工事日数、時間も考慮して行われる。
なお、本発明において、BCP対応用の対策項目は、被災後の事業継続計画だけを考慮して選定されるものではなく、前述の通り、経済性(地震後に天井機能を維持する程度)、建物・部屋の重要度などに応じた耐震性能レベルへの改修時の選定項目として使用されるものである。
また、上記の各工程(調査項目及び調査項目毎の選択対策項目)が記され、チェック内容により耐震改修メニューを自動的に選定できるシート(例えば表計算ソフトで作成したシート)や、現場で図面上にオートマチックにチェックを実施できるシートとして本実施形態の吊り天井の耐震診断システムを用意しておく。これにより、本実施形態の吊り天井の耐震診断システムでは、客観的な記入のみで天井Aの課題の抽出などを行なうことができ、また、改修の方法やグレードなどを絵解きで分かりやすく説明することができる。
したがって、本実施形態の吊り天井の耐震診断方法においては、上記の各工程を実施することによって、吊り天井の耐震診断を行うポイントが明確となる。これにより、短時間に客観的な指標だけで天井の課題の抽出、評価を行なうことができ、評価者によるバラツキが出にくくなり、信頼性の高い耐震性能評価を行うことが可能になる。
また、上記の各工程で得られる結果に応じた形で予め作成された耐震改修メニューの安全対応用の対策項目と各工程で得た結果を照合し、人身安全上の観点から最低限実施すべき対策手法を選定し、また、必要に応じて、より耐震性能レベルの高いBCP(事業継続計画)対応用の対策項目と照合して耐震改修の対策手法を選定することすることで、さらに、短時間に客観的な指標だけで天井の課題の抽出、評価を行なうことができ、評価者によるバラツキが出にくくなるとともに、信頼性の高い耐震性能評価、さらには適切な耐震改修対策手法の提案、明示を早期に行うことが可能になる。
また、改修の方法やグレードなどを短時間に分かりやすく説明することができ、各工程の調査結果に基づいて、クライアントへの改修提案まで一貫して行うことも可能になる。
以上、本発明に係る吊り天井の耐震診断方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 野縁
1a 側壁部
1b 側壁部
2 野縁受け
3 上部構造
4 吊りボルト(吊り部材)
5 天井パネル(天井材)
6 開口部
7 係合受部
8 ナット
9 開口部
10 クリップ
10a 係合片
10b 折り曲げ係止片
11 交差部
12 ハンガ
12a 吊り部材接続部
12b 垂下部
12c 底部
12d クランプ保持部
13 吊り部材挿通孔
14 補強ブレース
15 野縁受け直交材
16 ブレース接続用金具
17 交差部
A 吊り天井
T1 水平の一方向
T2 水平の他方向

Claims (6)

  1. S造、RC造、SRC造、PC造のいずれかの建物に設けられた既設の吊り天井の耐震性能を診断し、耐震改修の要否を判断するための方法であって、
    天井下地材の材種を確認調査する天井下地材調査工程と、
    吊り天井の懐深さを測定する天井懐調査工程と、
    水平力負担要素の有無及び設置頻度を確認する水平力負担要素調査工程と、
    天井下地材や補強ブレースの各部材の接合部の状態を確認する接合部調査工程と、
    吊元固定の状態を確認する吊元固定状態確認工程とを備え、
    前記天井下地材調査工程では、天井下地材がJIS材又は軒天井用材であるか、JIS規格外品の一般材であるか、その他の材料で製作されたものであるかを確認するとともに、天井下地材として野縁、野縁受け、クリップ、ハンガが用いられている場合には、これら天井下地材の板厚を測定し、それぞれ、0.5mm以上、1.2mm以上、0.6mm以上、2.0mm以上のいずれであるか否かを確認し、
    人身安全上の観点から実施すべき安全対応用の複数の対策項目と、より耐震診断レベルの高いBCP対応用の複数の対策項目とからなる耐震改修メニューを予め用意しておき、前記各工程で得た結果を前記安全対応用の対策項目と照合し、さらに必要に応じてBCP対応用の対策項目と照合して耐震改修の対策手法を選定するようにしたことを特徴とする吊り天井の耐震診断方法。
  2. 請求項1に記載の吊り天井の耐震診断方法において、
    前記吊り天井の設計・施工資料等の資料調査を行う資料調査工程と、
    前記吊り天井の劣化状況を目視確認する目視調査工程と、
    補強ブレース及び/又は野縁受け直交材の有無及び材種を確認する補強ブレース/野縁受け直交材材種確認工程と、
    補強ブレースと吊元の状態を確認する補強ブレース/吊元確認工程と、
    天井段差部の有無及び該段差部の補強状況を確認する段差部状況確認工程と、
    天井周囲のクリアランスを確認する天井周囲クリアランス確認工程と、
    天井内設備及び点検通路の有無及び状態を確認する天井内設備/点検通路確認工程と、
    天井面周囲の外壁の材種、状態を確認する外壁確認工程と、
    間仕切りの有無及び材種、状態を確認する天井/間仕切り状態確認工程とをさらに備えることを特徴とする吊り天井の耐震診断方法。
  3. 請求項記載の吊り天井の耐震診断方法において、
    前記補強ブレース/吊元確認工程では、吊元から前記補強ブレースの接合部までの距離が100mm以下であるかを確認することを特徴とする吊り天井の耐震診断方法。
  4. 請求項記載の吊り天井の耐震診断方法において、
    前記段差部状況確認工程では、前記段差部に対して斜め補強による補剛がなされているか否かを確認することを特徴とする吊り天井の耐震診断方法。
  5. 請求項記載の吊り天井の耐震診断方法において、
    前記天井周囲クリアランス確認工程では、前記クリアランスが100mm以上であるか、100mm未満であるかを確認する吊り天井の耐震診断方法。
  6. 請求項記載の吊り天井の耐震診断方法において、
    前記外壁確認工程では、前記外壁が吊り天井の水平力を負担できる構造であるか否かを確認することを特徴とする吊り天井の耐震診断方法。
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