JP6492937B2 - 回転伝達装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、伝達トルクを低下させることなく磁界無印加時の引きずり損失が低減した回転伝達装置を提供することである。
第1発明および第3発明では、可動子は、ロータに接近および離間可能であり、コイルの通電時にロータに接近してヨークおよびロータと共に磁気回路を形成し、コイルの非通電時にロータから離間する。
このように構成することで、コイルの通電時には機能性流体を介して可動子とロータとの間でトルクが十分に伝達されつつも、コイルの非通電時には可動子とロータとの隙間が広くなって引きずり損失が小さくなる。したがって、第1発明によれば、伝達トルクを低下させることなく磁界無印加時の引きずり損失を低減することができる。
また、第1発明では、可動子は、コイルの通電時にヨークが発生させる磁気的吸引力により当該ヨークに引き寄せられることによって、ロータに接近する。ヨークは筒部を有する。可動子は、筒部の端部に接近および離間可能に設けられている。ハウジングのうち、可動子に対し径方向外側の部分は、非磁性材料からなる。
また、第3発明では、ハウジング内の空間は、可動子によって当該可動子の移動方向の一方側と他方側とに仕切られている。可動子は、当該可動子の移動方向の一方側から他方側まで貫通する通路を有する。
このように構成することで、コイルの通電時には可動子とロータとの隙間が径方向外側に移動し、機能性流体を介して可動子とロータとの間でトルクが十分に伝達される。一方、コイルの非通電時には可動子とロータとの隙間が径方向内側に移動し、引きずり損失が小さくなる。二つの部材の隙間の間隔が同じである場合、径方向の位置が内側であるほど引きずり損失が小さくなる。したがって、第2発明によれば、伝達トルクを低下させることなく磁界無印加時の引きずり損失を低減することができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による回転伝達装置について図1〜図3を参照して説明する。
回転伝達装置10は、固定部材91とシャフト92との間で回転の伝達および遮断を切り替え可能なものである。固定部材91は非回転部材である。本実施形態では、回転伝達装置10はブレーキとして用いられる。
以上説明したように、第1実施形態では、ロータ12に接近および離間可能な可動子14が設けられる。可動子14は、コイル24の通電時にロータ12に接近してヨーク25およびロータ12と共に磁気回路を形成し、コイル24の非通電時にロータ12から離間する。
このように構成することで、コイル24の通電時には磁気粘性流体16を介して可動子14とロータ12との間でトルクが十分に伝達されつつも、コイル24の非通電時には可動子14とロータ12との隙間33が広くなって引きずり損失が小さくなる。したがって、伝達トルクを低下させることなく磁界無印加時の引きずり損失を低減できる。
本発明の第2実施形態では、図4に示すように、ヨーク25は、ハウジング41と一体に形成されているものの、ハウジング41とは別部材である。ハウジング41は、樹脂製のカップ状の第1ハウジング部42と、第1ハウジング部42の開口部に組み合わせられた樹脂製のカップ状の第2ハウジング部43と、を有する。
このようにヨーク25がハウジング41とは別部材であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の第3実施形態では、図5に示すように、第1実施形態における通路35が設けられていない。その代わりに、可動子51のスプライン穴52の歯底部が径方向外側へ延長されている。これにより、スプライン歯32とスプライン穴52との間に、可動子51の移動方向の一方側から他方側まで貫通する通路53が形成されている。
このようにスプライン歯32とスプライン穴52との間に通路53が形成されていてもよい。
本発明の第4実施形態では、図6、図7に示すように、可動子61は、周方向において複数設けられている。また、可動子61は、軸方向においてロータ12と対向するよう設けられ、径方向へ移動可能である。ハウジング64は、可動子61を径方向へ案内する開口65を有する。図8、図9に示すように、可動子61は、コイル24の通電時にヨーク25が発生させる磁気的吸引力により、筒部26のうち底部27とは反対側の端部に引き寄せられることによって径方向外側へ移動して、ヨーク25およびロータ12と共に磁気回路を形成する。一方、図6、図7に示すように、可動子61は、コイル24の非通電時にスプリング62の付勢力を受けて径方向内側へ移動する。
本発明の第5実施形態では、図10に示すように、ハウジング71は、筒状のヨーク72を含む筒状の第1ハウジング部73と、第1ハウジング部73に対し軸方向の一方側に設けられている円板状の第2ハウジング部74と、第1ハウジング部73に対し軸方向の他方側に設けられている円板状の第3ハウジング部75と、第1ハウジング部73と第2ハウジング部74との隙間を塞ぐカバー部23と、第1ハウジング部73と第3ハウジング部75との隙間を塞ぐカバー部23と、を有する。
このように構成することで、ロータ12に対し軸方向の一方側の隙間33だけでなく、ロータ12に対し軸方向の他方側の隙間34もコイル24の非通電時に広くなる。そのため、第1実施形態と比べて引きずり損失が一層小さくなる。
本発明の他の実施形態では、磁気粘性流体(Magneto Rheological Fluid)に代えて、磁性流体(Magnetic Fluid)または電気粘性流体(Electrorheological Fluid)等の他の機能性流体が用いられてもよい。
本発明の他の実施形態では、圧縮コイルばねであるスプリングに代えて、例えばウェーブワッシャ、皿ばね、引っ張りコイルばね等の他の弾性部材が用いられてもよい。
本発明の他の実施形態では、可動子を駆動するアクチュエータを設けてもよい。
本発明の他の実施形態では、ロータは、少なくとも可動子と対向する部分が磁性体であれば、その他の部分は非磁性体であってもよい。
本発明の他の実施形態では、コイルおよびヨークの一部は、ハウジング外に位置していてもよい。要するに、コイルは、ハウジング内に磁界を及ぼせばよく、ヨークは、コイルの通電時に可動子を引き寄せられればよい。
本発明の他の実施形態では、回転伝達装置は、回転部材と回転部材との間に設けられるクラッチとして用いられてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
12・・・ロータ
14、51、61・・・可動子
16・・・磁気粘性流体(機能性流体)
24・・・コイル
25・・・ヨーク
33、63・・・隙間
Claims (6)
- 中空状のハウジング(11、41)と、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングに対して相対回転可能なロータ(12)と、
前記ハウジング内に及ぶ磁界を通電により発生するコイル(24)と、
磁性材料からなり、前記コイルの周りに設けられ、前記ハウジングと一体に形成されているヨーク(25)と、
磁性材料からなり、周方向において前記ハウジングと係合し、前記ロータに接近および離間可能であり、前記コイルの通電時に前記ロータに接近して前記ヨークおよび前記ロータと共に磁気回路を形成し、前記コイルの非通電時に前記ロータから離間する可動子(14、51)と、
前記ロータと前記可動子との隙間(33)に設けられ、前記コイルが発生させる磁界中で磁化すると粘性が増大する機能性流体(16)と、
を備え、
前記可動子は、前記コイルの通電時に前記ヨークが発生させる磁気的吸引力により当該ヨークに引き寄せられることによって、前記ロータに接近し、
前記ヨークは筒部(26)を有し
前記可動子は、前記筒部の端部に接近および離間可能に設けられ、
前記ハウジングのうち、前記可動子に対し径方向外側の部分は、非磁性材料からなることを特徴とする回転伝達装置。 - 中空状のハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングに対して相対回転可能なロータと、
前記ハウジング内に及ぶ磁界を通電により発生するコイルと、
磁性材料からなり、前記コイルの周りに設けられ、前記ハウジングと一体に形成されているヨークと、
磁性材料からなり、軸方向において前記ロータと対向するよう設けられ、周方向において前記ハウジングと係合し、径方向へ移動可能であり、前記コイルの通電時に径方向外側へ移動して前記ヨークおよび前記ロータと共に磁気回路を形成し、前記コイルの非通電時に径方向内側へ移動する可動子(61)と、
前記ロータと前記可動子との隙間(63)に設けられ、前記コイルが発生させる磁界中で磁化すると粘性が増大する機能性流体と、
を備えることを特徴とする回転伝達装置。 - 前記コイルの非通電時に前記可動子を前記ロータから離間させる弾性部材(15、62)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達装置。
- 前記ハウジング内の空間は、前記可動子によって当該可動子の移動方向の一方側と他方側とに仕切られており、
前記可動子は、当該可動子の移動方向の一方側から他方側まで貫通する通路(35、53)を有することを特徴とする請求項1または3に記載の回転伝達装置。 - 中空状のハウジング(11、41)と、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングに対して相対回転可能なロータ(12)と、
前記ハウジング内に及ぶ磁界を通電により発生するコイル(24)と、
磁性材料からなり、前記コイルの周りに設けられ、前記ハウジングと一体に形成されているヨーク(25)と、
磁性材料からなり、周方向において前記ハウジングと係合し、前記ロータに接近および離間可能であり、前記コイルの通電時に前記ロータに接近して前記ヨークおよび前記ロータと共に磁気回路を形成し、前記コイルの非通電時に前記ロータから離間する可動子(14、51)と、
前記ロータと前記可動子との隙間(33)に設けられ、前記コイルが発生させる磁界中で磁化すると粘性が増大する機能性流体(16)と、
を備え、
前記ハウジング内の空間は、前記可動子によって当該可動子の移動方向の一方側と他方側とに仕切られており、
前記可動子は、当該可動子の移動方向の一方側から他方側まで貫通する通路(35、53)を有することを特徴とする回転伝達装置。 - 前記可動子は、軸方向において前記ロータを挟んだ両側に1つずつ設けられていることを特徴とする請求項1、3、4または5に記載の回転伝達装置。
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