JP6490882B1 - 蓄電池診断装置および蓄電池診断方法、並びに蓄電池制御システム - Google Patents

蓄電池診断装置および蓄電池診断方法、並びに蓄電池制御システム Download PDF

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Abstract

データ保存部104に保存された時系列データを用いて、N個の蓄電池に対応する正極OCVモデル関数および前記負極OCVモデル関数をOCV要素関数の和によって生成する正負極OCVモデル関数生成部106と、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数に基づいて蓄電池モデル関数を生成し、データ保存部104の時系列データと蓄電池モデル関数を用いて算出した推定データの時系列データとの誤差を示す評価関数Lを生成して、評価関数Lの値が小さくなるように各蓄電池に対応する蓄電池モデル関数の最適な推定パラメタ群を算出する蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107とを備えている。

Description

本発明は、蓄電池の劣化診断を行う蓄電池診断装置および蓄電池診断方法に関する。
蓄電池は、使用とともに劣化が進行し、性能が低下することが知られている。そのため、蓄電池の交換時期の把握および寿命予測のために、蓄電池の劣化診断技術が必要である。また、EV(Electric Vehicle(電気自動車))、HEV(Hybrid Electric Vehicle(ハイブリッド電気自動車))、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle(プラグインハイブリッド自動車))などの電動車両の普及および定置用蓄電システムの普及により、中古電池の大量発生が予想されている。そのため、蓄電池のリユースを想定した中古電池の劣化診断のニーズも高まってきている。
蓄電池の診断においては、電流、電圧などの計測値を利用した非破壊かつ詳細な劣化診断技術が求められている。
従来の蓄電池診断技術として、電圧Vを電気量Qで微分したデータを利用するいわゆるdV/dQ曲線解析法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。dV/dQ曲線解析法は、蓄電池の電圧が正極および負極のそれぞれの電位の合成で表わされることを利用して、正極および負極のそれぞれに由来するdV/dQ曲線のピ−ク位置およびピーク形状に着目することで、詳細な劣化診断を行なうものである。
このとき、蓄電池を解体するなどして正極および負極のそれぞれのdV/dQ曲線をあらかじめ取得しておけば、高精度な劣化診断を行なうことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、蓄電池の電圧値および電流値を時系列に取得した測定値の履歴データを用いている。
また、あらかじめ取得した正極と負極のそれぞれのOCV曲線の情報を利用する、蓄電池に参照極を付加するなどして、正極および負極の電位を測定可能とすることで、充電時および放電時の電圧データを、正極および負極のOCVに分離帰属させ、そこから正極および負極の劣化を詳細に診断するという技術も開示されている(例えば、特許文献2、および、特許文献3参照)。
また、同様のアプローチに基づき、SOC(State of Charge(充電状態))推定への応用という目的で、SOCとOCVとの対応関係を表わすSOCOCV曲線の劣化による形状変化を特定し、SOCOCV曲線を更新する技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。SOCOCV曲線に誤差が存在すると、OCVをSOCに変換する際に、SOCの推定精度を悪化させてしまうことから、SOCOCV曲線の更新もまた、重要な技術である。
特許第6123844号公報 特開2013−140037号公報 特許第6151163号公報 特開2015−230193号公報
Bloom Ira、外6名、「Differential Voltage Analyses of high-power,lithium-ion cells: 1.Technique and application」、Journal of Power Sources 139 (2005)、2004年9月16日、p.295-303
しかしながら、こうした技術の問題点として、正極OCV曲線および負極OCV曲線、あるいは正極および負極のdV/dQ曲線の情報が必要となる点が挙げられる。これらの情報を得るためには、正極および負極の電位を測定可能な参照極付きの特殊な蓄電池を用いる、蓄電池を解体して測定する、などして、予め取得しておくことが必要である。しかしながら、参照極付きの蓄電池は、一般には普及しておらず、また、蓄電池の解体と測定には、専門的な知識、技術、試験環境などが必要となる。
さらに、様々な会社で製造された多種多様な蓄電池を診断対象とする場合には、それらすべての正極および負極の情報をあらかじめ取得しておくことは、極めて困難となる。そのため、診断対象となる蓄電池について、限られた情報しか得られない状況下でも、蓄電池の劣化の診断が実施可能な技術が求められている。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、事前に診断対象の蓄電池に関する正極OCV曲線および負極OCV曲線、あるいは正極および負極のdV/dQ曲線の情報がない場合においても、蓄電池の劣化診断を行うことが可能な、蓄電池診断装置および蓄電池診断方法を得ることを目的とする。
本発明は、2個以上のN個の蓄電池のそれぞれの端子間電圧をN個の検出電圧として検出する前記N個以下のN’個の電圧検出部と、前記N個の蓄電池のそれぞれの充放電電流をN個の検出電流として検出する前記N個以下の前記N’’個の電流検出部と、前記検出電流の時系列データおよび前記検出電圧の時系列データを含む前記N個の蓄電池の時系列データを保存するデータ保存部と、前記データ保存部に保存された前記検出電流の時系列データおよび前記検出電圧の時系列データに基づいて、前記検出電圧の時系列データにフィッティングするOCV要素関数を求め、前記N個の蓄電池に対応する正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を、それぞれ、前記OCV要素関数の和によって生成する正負極OCVモデル関数生成部と、前記正極OCVモデル関数および前記負極OCVモデル関数に基づいて、各前記N個の蓄電池に対応する蓄電池モデル関数を生成するとともに、前記データ保存部に保存された前記時系列データと、前記蓄電池モデル関数を用いて算出した推定値の時系列データとの、誤差を示す評価関数を生成して、前記評価関数の値が小さくなるように各前記N個の蓄電池に対応する前記N個の蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出する、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部とを備えた、蓄電池診断装置である。
本発明に係る蓄電池診断装置は、データ保存部に保存されたN個の蓄電池の検出電圧の時系列データにフィッティングするOCV要素関数を求め、N個の蓄電池に対応する正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を、それぞれ、OCV要素関数の和によって生成する。これによって、事前に診断対象の蓄電池に関する正極OCV曲線および負極OCV曲線あるいは正極および負極のdV/dQ曲線の情報がない場合においても、蓄電池の劣化診断を行うことができる。
本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置のデータ保存部の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置の正負極OCVモデル関数生成部の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置の蓄電池モデル関数パラメタ群推定部の構成を示した構成図である。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置が実行する一連の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置のデータ保存部が実行する一連の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置の最適化部が実行する一連の動作を示すフローチャートである。 蓄電池劣化による容量パラメタ群の変化による、蓄電池OCVと満充電容量への影響を表わしたイメージ図である。 負極OCVモデル関数によるグラファイト負極OCVのフィッティング例を示した図である。 負極OCVモデル関数によるグラファイト負極OCVのフィッティング例を示した図である。 正極OCVモデル関数によるコバルト酸リチウム正極OCVのフィッティング例を示した図である。 正極OCVモデル関数によるコバルト酸リチウム正極OCVのフィッティング例を示した図である。 蓄電池の電圧曲線およびdV/dQ曲線の例を示した図である。 蓄電池の電圧曲線およびdV/dQ曲線の例を示した図である。 新品蓄電池の電圧曲線と、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 新品蓄電池のdV/dQ曲線と、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 新品蓄電池のd2V/dQ2曲線のデータと、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 劣化蓄電池の電圧曲線と、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 劣化蓄電池のdV/dQ曲線と、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 劣化蓄電池のd2V/dQ2曲線のデータと、それに対する最適化による蓄電池モデル関数のフィッティング結果を示した図である。 本発明の実施の形態3に係る蓄電池制御システムの構成を示した図である。 本発明の実施の形態3に係る蓄電池制御システムが実行する一連の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る蓄電池診断装置および蓄電池診断方法を好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。ここで、本発明による蓄電池診断装置および蓄電池診断方法は、蓄電池の充放電データに基づき蓄電池の劣化状態を診断するものである。
本発明の各実施の形態に係る蓄電池診断装置および蓄電池診断方法は、診断対象の複数の蓄電池の時系列データを利用する。それにより、予め、蓄電池OCVデータ、または、正極OCVデータ及び負極OCVデータなどを取得していない場合においても、正負極分離による詳細な劣化診断を可能にする。また、劣化によるOCVの変化をOCVモデルに精度よく反映させることを可能にする。なお、本明細書においては、簡単のため、正極の平衡電位のことを正極OCV、負極の平衡電位を負極OCVと呼んでいる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る蓄電池診断装置100の構成を示した図である。なお、図1には、蓄電池診断装置100に接続されるN個(N≧2)の蓄電池101−1,・・・,101−Nも併せて図示している。
また、図2は、蓄電池診断装置100に設けられたデータ保存部104の内部の構成の一例を示した図である。図3及び図4は、蓄電池診断装置100に設けられた最適化部105の正負極OCVモデル関数生成部106および蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107の内部の構成の一例を示した図である。また、図5〜図7は、蓄電池診断装置100の処理の流れを示したフローチャートである。
本実施の形態1においては、診断対象の蓄電池101−i(i=1〜N)として、リチウムイオン蓄電池を考えることとする。ただし、蓄電池101−iは、正極と負極とを有し、充放電可能な蓄電デバイスの一般的な構成部品を含んで構成されている。蓄電池101−iは、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池などから構成してもよい。また、ここでは、蓄電池101−iとして、説明を簡単化するため、セルから構成された蓄電池を考えることとする。ただし、蓄電池101−iは、複数セルの直列接続または並列接続、あるいは、その両方の組合せによって構成されるモジュ−ルであってもよい。
図1に示すように、蓄電池診断装置100は、N個の電流検出部102−1,・・・,102−Nと、N個の電圧検出部103−1,・・・,103−Nと、データ保存部104と、最適化部105とを備えて構成されている。
また、図1に示すように、最適化部105は、正負極OCVモデル関数生成部106と、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107とを備えて構成されている。
図1に示す蓄電池診断装置100のハードウェア構成について簡単に説明する。図1おいて、電流検出部102−1,102−Nと、電圧検出部103−1,・・・,103−Nを除いて、蓄電池診断装置100の構成は、コントローラを備えて構成されている。コントローラは、プロセッサとメモリとを備えている。蓄電池診断装置100を構成する各部の機能、すなわち、データ保存部104および最適化部105は、ソフトウェア、ファームウェア、または、それらの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリに格納される。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、蓄電池診断装置100のデータ保存部104および最適化部105の各部の機能を実現する。
ここで、図5を用いて、蓄電池診断装置100の処理の流れについて、おおまかに説明する。まず、ステップS102において、N個の電流検出部102−1,・・・,102−Nによって、蓄電池101−iの検出電流Iiを検出する。次に、ステップS103において、N個の電圧検出部103−1,・・・,103−Nによって、蓄電池101−iの検出電圧Viを検出する。次に、ステップS104において、データ保存部104が、検出電流Iiおよび検出電圧Viの値を用いて、蓄電池101−iの時系列データを保存する。次に、ステップS105において、最適化部105が、データ保存部104の時系列データに基づいて、蓄電池101−iの蓄電池モデル関数を生成して、最適化手法により推定演算を実行する。これにより、最適化部105が、検出電圧Viの時系列データと蓄電池モデル関数によって求められる推定電圧の時系列データとの差が小さくなるような蓄電池モデル関数のパラメタ群を算出する。あるいは、最適化部105が、検出電圧Viの微分値と蓄電池モデル関数によって求められる推定電圧の微分値との差が小さくなるような蓄電池モデル関数のパラメタ群を算出するようにしてもよい。
以下、蓄電池診断装置100の各構成について詳細に説明する。
図1に示すように、電流検出部102−iは、蓄電池101−iにそれぞれ接続される。電流検出部102−iは、蓄電池101−iの充放電電流を、検出電流Ii[A]として検出する。上記の説明においては、電流検出部102の個数をN個として説明したが、それに限定されず、電流検出部102の個数は、N個以下でもよい。具体的には、例えば、蓄電池101−1,・・・,101−Nのうちの少なくとも2以上の複数個が直列接続されている場合には、各蓄電池101−iの検出電流Ii[A]を検出する必要はない。その理由としては、直列接続された各蓄電池を流れる電流は等しいため、直列接続された蓄電池のうちの1つの蓄電池101−iの検出電流Ii[A]を1つの電流検出部102−iで取得すれば、直列接続された他の蓄電池の検出電流は、当該電流検出部102−iによって取得された検出電流Ii[A]で代用することが可能である。そのため、このような場合には、電流検出部102の個数は、N個より少ない個数でよいことになる。
電圧検出部103−iは、蓄電池101−iにそれぞれ接続される。電圧検出部103−iは、蓄電池101−iの電圧を、検出電圧Vi[V]として検出する。上記の説明においては、電圧検出部103の個数をN個として説明したが、それに限定されず、電圧検出部103の個数は、N個以下でもよい。具体的には、例えば、蓄電池101−1,・・・,101−Nのうちの少なくとも2以上の複数個が並列接続されている場合には、各蓄電池101−iの検出電圧Vi[V]を検出する必要はない。その理由としては、並列接続された各蓄電池の電圧は等しいため、並列接続された蓄電池のうちの1つの蓄電池101−iの検出電圧Vi[V]を1つの電圧検出部103−iで取得すれば、並列接続された他の蓄電池の検出電圧は、当該電圧検出部103−iによって取得された検出電圧Vi[V]で代用することが可能である。そのため、このような場合には、電圧検出部103の個数は、N個より少ない個数でよいことになる。
データ保存部104は、電流検出部102−iが出力する検出電流Iiおよび電圧検出部103−iが出力する検出電圧Viの値を用いて、各蓄電池101−i(1≦i≦N)の時系列データを生成して保存する。データ保存部104は、さらに、各蓄電池101−iの電気量の時系列データ、および、検出電圧Viの微分データの時系列データを算出して保存する。
図2は、データ保存部104の内部の構成の一例を示している。図2の例では、データ保存部104は、時系列データ格納部201、時系列電気量算出部202、および、電圧微分データ算出部203を備えて構成されている。
時系列データ格納部201は、電流検出部102−iが出力する検出電流Iiおよび電圧検出部103−iが出力する検出電圧Viの値に基づき、各蓄電池101−i(1≦i≦N)の電流および電圧の時系列データを、時系列電流データおよび時系列電圧データ
Figure 0006490882
としてメモリに保存する。さらに、時系列データ格納部201は、時系列電気量算出部202によって算出される各蓄電池101−iの時系列電気量データと、電圧微分データ算出部203によって算出される電圧微分データとを、それぞれ、保存する。さらに、時系列データ格納部201は、それらの保存したデータを、最適化部105に出力する。ここで、表記
Figure 0006490882
は、下式で定義される。
Figure 0006490882
また、k[s](k=k0〜kf)はサンプル時刻であり、現在の時刻t[s]とサンプリング周期ts[s]との間には、t=tskの関係が成り立つ。
時系列電気量算出部202は、時系列データ格納部201から出力される時系列電流データ
Figure 0006490882
に基づいて、例えば電流と当該電流が流れた時間とを乗算することで、各蓄電池101−iの電気量Qi,k[C]を算出し、時系列電気量データ
Figure 0006490882
として、時系列データ格納部201に対して出力する。各蓄電池101−iの電気量Qi,k[C]の算出方法は、この場合に限らず、既存の任意の方法を用いてよい。
電圧微分データ算出部203は、時系列データ格納部201から出力される時系列電圧データ
Figure 0006490882
と、時系列電気量算出部202が出力する時系列電気量データ
Figure 0006490882
とに基づいて、1階からnd階までの電圧微分曲線(nd≧1)を算出し、時系列データ格納部201に対して出力する。すなわち、時刻kでの検出電圧Vi,kを、電気量Qi,kで微分した値
Figure 0006490882

Figure 0006490882
と表わしたとき、電圧微分データ算出部203は、1階からnd階までの電圧微分曲線
Figure 0006490882
を、時系列電圧微分データとして算出し、出力する。ここで、j=1〜ndである。なお、ndは、適宜設定してよい。
但し、実際には、離散的な時系列データに対して微分演算をすることはできないため、電圧微分データ算出部203においては、差分法などによる近似微分演算を行なう。また、一般に、微分演算または差分演算は、元の信号の高周波ノイズを増幅してしまうことから、高周波ノイズを低減するため、微分演算の前後でサンプル平均化処理などを行なうローパスフィルタを用いてもよい。あるいは、Savitzky−Golayフィルタなどの、より高度なフィルタを用いるようにしてもよい。あるいは、横軸を電気量としたときの時系列電圧データをカーネル法などにより関数近似することでノイズを除去したあと、その関数に対して微分演算をしてもよい。
このようにして、時系列データ格納部201は、時系列電流データ、時系列電圧データ、時系列電気量データ、および、時系列電圧微分データをメモリに保存する。従って、データ保存部104の出力として、時系列データ格納部201から出力する時系列データは、
Figure 0006490882
となる。このように、データ保存部104から出力される時系列データには、時系列電流データ、時系列電気量データ、時系列電圧データ、および、時系列電圧微分データが含まれる。
ここで、図6を用いて、データ保存部104の処理の流れについて簡単に説明する。まず、ステップS201において、時系列データ格納部201が、電流検出部102−iが出力する検出電流Iiおよび電圧検出部103−iが出力する検出電圧Viの値を用いて、各蓄電池101−i(1≦i≦N)の時系列電流データおよび時系列電圧データをメモリに保存する。次に、ステップS202において、時系列電気量算出部202が、時系列データ格納部201から出力される検出電流Iiを用いて、各蓄電池101−iの時系列電気量データを算出する。次に、ステップS203において、電圧微分データ算出部203が、時系列データ格納部201から出力される時系列電圧データと、時系列電気量算出部202が出力する時系列電気量データとに基づいて、1階からnd階までの電圧微分曲線(nd≧1)を、時系列電圧微分データとして算出する。次に、ステップS204において、時系列データ格納部201は、時系列電流データ、時系列電気量データ、時系列電圧データ、および、時系列電圧微分データを含む、蓄電池101−iの時系列データを、メモリに保存するとともに、最適化部105に出力する。
最適化部105は、データ保存部104から出力される時系列データを入力として、データ保存部104の時系列データに基づいて、蓄電池101−iの正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を生成する。また、最適化部105は、それらの正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数から、蓄電池101−iの蓄電池モデル関数を生成して、最適化手法により推定演算を実行して、電圧検出部103−1,・・・,103−Nが検出した検出電圧Viの時系列データまたは時系列電圧微分データと、蓄電池モデル関数によって求められる推定電圧の時系列データまたは推定電圧の時系列電圧微分データとの差が小さくなるような蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出する。なお、最適化手法による推定演算において、電流検出部102−1,・・・,102−Nが検出した検出電流Iiの時系列データと、蓄電池モデル関数によって求められる推定電流の時系列データとの差が小さくなるような蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出するようにしてもよい。
以下、図7を用いて、最適化部105の処理の流れについて、大まかに説明する。最適化部105は、図1に示すように、正負極OCVモデル関数生成部106と蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107とを備えて構成されている。また、図3に示すように、正負極OCVモデル関数生成部106は、OCV要素関数決定部301と正負極OCVモデル関数決定部302とを備えて構成されている。また、図4に示すように、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107は、最適化問題決定部401と推定演算部402と判定部403とを備えて構成されている。
このとき、図7に示すように、まず、ステップS301において、OCV要素関数決定部301が、データ保存部104が出力する時系列データのうち、時系列電圧微分データに基づいて、蓄電池101−iの検出電圧Viの時系列データの中から特徴的な電圧変化を示す領域を検出し、当該領域のそれぞれに対して、当該領域の電圧変化にフィッティングするOCV要素関数を、1つずつ、複数のOCV要素関数候補の中から選択して割り当てる。
次に、ステップS302において、正負極OCVモデル関数決定部302は、上記領域に割り当てられたOCV要素関数を正極に帰属させるか負極に帰属させるかを決定して、OCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを全て生成し、各組み合わせごとに、前記正極に帰属するOCV要素関数の和によって正極OCVモデル関数を生成するとともに、前記負極に帰属するOCV要素関数の和によって負極OCVモデル関数を生成する。
次に、ステップS401において、最適化問題決定部401が、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を含む蓄電池モデル関数を生成するとともに、当該蓄電池モデル関数の推定パラメタ群および当該蓄電池モデル関数を評価するための評価関数Lを決定することで、解くべき最適化問題を決定する。
次に、ステップS402において、推定演算部402が、データ保存部104が出力する時系列データと、最適化問題決定部401が出力する蓄電池モデル関数、推定パラメタ群、および、評価関数Lとに基づいて、上記組み合わせごとに、最適化手法により、評価関数Lが小さくなるような蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出し、当該推定パラメタ群と、当該推定パラメタ群を用いたときの評価関数Lの値とを出力する。
次に、ステップS403において、判定部403は、推定演算部402が出力する評価関数Lの値とそれ以前に算出された評価関数Lの値とを比較して、その時点で、評価関数Lの値が最小となる推定パラメタ群を格納する。
次に、ステップS302の処理に戻る。正負極OCVモデル関数決定部302は、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数に含まれるOCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを変更することで、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を再生成する。
次に、ステップS401において、最適化問題決定部401が、再生成した正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を含む蓄電池モデル関数を生成し、当該蓄電池モデル関数の推定パラメタ群および当該蓄電池モデル関数を評価するための評価関数Lを決定する。
次に、ステップS402において、推定演算部402が、データ保存部104が出力する時系列データと、最適化問題決定部401が再生成した蓄電池モデル関数、推定パラメタ群、および、評価関数Lとに基づいて、評価関数Lの値が小さくなるような推定パラメタ群を算出し、当該推定パラメタ群と、当該推定パラメタ群を用いたときの評価関数Lの値とを出力する。
このようにして、OCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを変更して、ステップS302〜S402の処理を繰り返し行い、ステップS403において、評価関数Lの値が閾値より小さくなったとき、あるいは、予め設定した最大繰り返し回数まで繰り返した中で評価関数Lの値が最小となったときの、蓄電池モデル関数および当該蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を、最終的な推定結果として、判定部403が出力する。
以下、最適化部105の各構成について詳細に説明する。
最適化部105が出力する推定パラメタ群には、N個の蓄電池101−i間で同一である第1のパラメタ群と、N個の蓄電池101−i間で互いに異なる第2のパラメタ群とが含まれる。以下では、第1のパラメタ群を、正負極OCVモデル関数パラメタ群Φp,Φnと呼び、第2のパラメタ群を、容量パラメタ群θp,θn,θsと呼ぶこととする。
ここで、容量パラメタ群とは、基準蓄電池と比較したときの正極容量維持率θpと、負極容量維持率θnと、正負極間SOCシフト量θsとの3つの値を指す。ただし、基準蓄電池とは、必ずしも現実に存在する蓄電池である必要はなく、たとえば仕様上の特性と同一の蓄電池というような、概念上の蓄電池であってもよい。
正極容量維持率θpおよび負極容量維持率θnの低下は、電極活物質の失活などによって引き起こされ、それぞれ、正極OCV曲線および負極OCV曲線の横方向の縮小として現れる。これらの横方向の縮小は、例えば、後述する図8の(c)の矢印B、および、図8の(b)の矢印Aで、それぞれ示す。図8の詳細については後述する。
まず、正極OCVをOCVp[V]、正極OCVの基準特性をOCVp typ[V]、正極電気量をQp[C]とすると、下式(1)の関係式が成り立つ。
Figure 0006490882
同様に、負極OCVをOCVn[V]、負極OCVの基準特性をOCVn typ[V]、負極電気量をQn[C]とすると、下式(2)の関係式が成り立つ。
Figure 0006490882
一方、正負極間SOCシフト量θsとは、おもに充電時の負極SEI(Solid Electrolyte Interface)での皮膜成長および析出などによるリチウム消費が原因で、蓄電池OCVに対する正極および負極のそれぞれのSOCの位置関係がずれる現象を示す値である。
蓄電池の総電気量Qb[C]について、リチウム消費による喪失電気量をQc[C]とすると、下式(3)の関係式が成り立つ。
Figure 0006490882
蓄電池101−iの充電時、つまり正極内に蓄えられたリチウムイオンが負極内へと移動する過程で、一部のリチウムイオンが、負極SEIでの皮膜成長に使われる、あるいは、析出されることによって、消費されると、リチウム消費前と比較して、蓄電池満充電時の負極充電量が少なくなる。これを負極基準でみると、正極OCV曲線が左にシフトしたように見える。この現象が正負極間SOCシフトである。当該左へのシフトは、例えば、後述する図8の(d)の矢印Cで示す。
さて、基準蓄電池のOCVをOCVtyp[V]とし、Ftyp[C]を蓄電池の基準満充電容量とし、Q[C]を蓄電池101−iの電気量としたとき、基準蓄電池のOCVは、下式(4)で表わされる。
Figure 0006490882
ただし、Qは、基準蓄電池において、OCVが予め設定された下限電圧Vminであるときの電気量を0としたときの電気量であり、Ftypは、OCVが予め設定された上限電圧Vmaxであるときの電気量である。
以上を踏まえると、蓄電池iのOCVは、蓄電池iの電気量Qi[C]に対し、容量パラメタ群θp、θn、θsを反映させて、下式(5)で表わされる。
Figure 0006490882
ただし、fp,iは正極のOCV関数、fn,iは負極のOCV関数である。満充電容量はあくまで基準値であり、蓄電池の定格容量、公称容量、または、新品時に計測した満充電容量でも良いし、診断対象とする複数の蓄電池のうちのいずれかの満充電容量などを用いても良い。
なお、蓄電池の満充電容量は、OCVが予め設定された下限電圧Vminのときの蓄電池電気量を0としたときの、OCVが予め設定された上限電圧Vmaxのときの蓄電池電気量として規定される。このため、容量パラメタ群の値に依存して、下限電圧Vminおよび上限電圧Vmaxのときの正負極それぞれの充電量は変化する。
正極および負極の充電量Qp、Qnは、蓄電池101−iの解体試験などによって予め取得していない限り知り得ないが、基準蓄電池と比較したときの相対的な差分値を知ることは可能である。すなわち、Qmin,i[C]を下限電圧Vminのときの蓄電池の電気量、Qmax,i[C]を上限電圧Vmaxのときの蓄電池の電気量としたとき、下限電圧および上限電圧に対応する下記の式(6)および式(7)で示される等式から、直線探索などの方法により容易にQmin,iおよびQmax,iの値が求まる。
Figure 0006490882
ただし、Qmin,iとQmax,iとは、基準蓄電池を基準としたときの値である点に注意する。このため、たとえばQmin,iの値は負になり得る。
式(6)および式(7)から求めたQmin,iおよびQmax,iを用いれば、蓄電池101−iの満充電容量Fi[C]は、下式(8)として求めることが可能である。
Figure 0006490882
図8は、縦軸を電圧、横軸を電気量としたときの、OCV曲線と劣化および満充電容量の関係のイメージ図である。左上の(a)は、基準蓄電池の正極OCV(符号800)と、負極OCV(符号801)と、蓄電池OCV(符号802)とを、それぞれ、表わしている。また、左下の(b)は、負極劣化した蓄電池の負極OCV(符号81)と、蓄電池OCV(符号82)とを、それぞれ、表わしている。また、右上の(c)は、正極劣化した蓄電池の正極OCV(符号83)と、蓄電池OCV(符号84)とを、それぞれ、表わしている。また、右下の(d)は、リチウム消費による正負極間SOCシフトが生じた蓄電池の正極OCV(符号85)と、蓄電池OCV(符号86)とを、それぞれ、表わしている。また、(b)〜(d)において、破線または点線で示すOCVは、それぞれ、基準蓄電池のOCVを表わすため、(a)と同じ符号を付して示している。ただし、(a)〜(d)は、1枚の図8に収まるように正極OCVと負極OCVとを描いているため、縦軸の位置は厳密なものではない。
図8のグラフから、3通りの容量劣化パターンごとに、正極OCVまたは負極OCVの曲線の新品時からの形状変化の仕方が異なっていることがわかる。
まず、図8の(b)を見ると、基準蓄電池の負極OCV(符号801)と比較すると、負極劣化蓄電池は、負極容量維持率θnが低下したことで、負極OCV(符号81)の曲線が、矢印Aで示されるように、横方向に縮小していることが分かる。
また、図8の(c)を見ると、基準蓄電池の正極OCV(符号800)と比較すると、正極劣化蓄電池は、正極容量維持率θpが低下したことで、正極OCV(符号83)の曲線が、矢印Bで示されるように、横方向に縮小していることが分かる。
また、図8(d)を見ると、リチウム消費前の状態を示す基準蓄電池と比較すると、リチウム消費によって正負極間SOCシフトが生じた蓄電池においては、上述したように、リチウムイオンが消費されたことで、蓄電池満充電時の負極充電量が少なくなっている。そのため、負極基準でみると、基準蓄電池の正極OCV(符号800)に対して、正極OCV(符号85)の曲線が、矢印Cで示されるように、左にシフトしていることが分かる。
さらに、図8のグラフから、蓄電池OCVの曲線についても、3通りの容量劣化パターンごとに、新品時からの形状変化の仕方が異なっていることが分かる。
まず、図8において、(c)の正極劣化蓄電池の蓄電池OCV(符号84)と、(d)の正負極間SOCシフト蓄電池の蓄電池OCV(符号86)とを比較する。(c)の正極劣化蓄電池の蓄電池OCV(符号84)と(d)の正負極間SOCシフト蓄電池の蓄電池OCV(符号86)とにおける形状変化はやや似ている。しかしながら、それぞれ、基準蓄電池の蓄電池OCV(符号802)と比較すると、(c)では電気量が小さい領域での電位変化が小さいのに対し、(d)では電気量が小さい領域でも電位が明確に高くなっているという違いがある。
また、図8の(b)〜(d)においては、劣化の影響で、上限電圧における電気量Qmax,iと下限電圧における電気量Qmin,iとが、基準蓄電池の場合の電気量Qmax,iと電気量Qmin,iと比較して、それぞれ、ずれている。その結果、式(8)で表わされる満充電容量Fiが小さくなっていることが分かる。Qmax,iとQmin,iとの変動は、容量劣化パターンと正負極OCVの形状に大きく依存しており、図8の場合、セルのSOC=0%は負極に主に規制され、SOC=100%は正極に主に規制されていることが分かる。
本実施の形態においては、上記の特許文献2または特許文献3とは異なり、正極OCVおよび負極OCVを予め取得していないため、上述の容量パラメタ群に加え、正負極それぞれのOCV関数fpおよびfnを決定し、かつ、それらの形状を特徴づけるパラメタ群も推定する必要がある。以下ではその詳細な原理を、最適化部105の内部動作原理とともに説明する。
最適化部105において、正負極OCVモデル関数生成部106は、データ保存部104が出力する時系列データと、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107が出力する判定信号とに基づき、正極および負極のそれぞれのOCVモデル関数を生成する。
具体的には、正負極OCVモデル関数生成部106では、1つ以上のOCV要素関数を足し合わせることで、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を生成する。
正極OCVモデル関数fpおよび負極OCVモデル関数fnは、j番目の正極OCV要素関数をfp j、j番目の負極OCV要素関数をfn jとしたとき、それぞれ、下記の式(9)および式(10)で表わされる。
Figure 0006490882
このとき、蓄電池OCVモデル関数fは、下式(11)と表わされる。
Figure 0006490882
一般的に、蓄電池のOCVを記述するモデルとして、電気化学の分野では、対数関数で表現されるネルンスト(Nernst)の式が知られている。一方で、現実の多くの蓄電池電極においては、電極材料の相変化による階段状の電位変化を含むため、ネルンストの式のみではOCVを高精度にモデル化することはできない。
こうした相変化による階段状の電位変化をモデル化するためには、正極OCV要素関数および負極OCV要素関数の候補をfeとすると、例えば、下式(12)で表わされるロジスティック(Logistic)関数を用いることができる。
Figure 0006490882
あるいは、正極OCV要素関数および負極OCV要素関数の候補feとして、下式(13)で表わされるコーシー(Cauchy)分布の累積分布関数を用いてもよい。
Figure 0006490882
式(12)および式(13)において、zが電位変化の大きさ、aが電位変化のなだらかさ、sが電位変化の中心位置を決定するパラメタとなっているため、これらのパラメタ値を調整することで、さまざまな形状の電位変化をモデル化することが可能である。
OCV要素関数の他の例として、双曲線正接関数を用いてもよいし、あるいは、微分すると曲線が左右非対称となるような関数を用いてもよい。例えば、Gompertz関数、一般化ロジスティック関数などが挙げられる。要は、単調非減少でかつ微分すると山状のピークをもつようなパラメタ表現可能な関数であればよい。
また、微分ピークを持たないような電位変化をモデル化する要素関数として、上述の要素関数のほかに、例えば、対数関数、指数関数などを用いてもよい。
なお、本実施の形態1において用いるOCV要素関数は、実施の形態1で示した上述の例に限定されるものではなく、パラメタを用いて表現し得るあらゆる関数が可能性として含まれる。
図9および図10は、グラファイトによる負極OCVのデータに対し、一例として、4つのLogistic関数の和を負極OCVモデル関数として、最適化計算によりフィッティングしたものである。図9において、横軸は電気量、縦軸は電圧である。また、図10において、横軸は電気量、縦軸は、電圧Vを電気量Qで微分したdV/dQを示す。図9および図10において、グラファイトによる負極OCVのデータ901,904に対して、最適化計算を施した結果、初期値902,905に対して、OCV曲線903およびdV/dQ曲線906が共に精度よく再現できている。これは、Logistic関数により、相変化による電位変化も含めてモデリング出来ているからである。
図11および図12は、コバルト酸リチウムによる正極OCVのデータに対し、一例として、2つのLogistic関数の和を正極OCVモデル関数として、最適化計算によりフィッティングしたものである。図11において、横軸は電気量、縦軸は電圧である。また、図12において、横軸は電気量、縦軸は、電圧Vを電気量Qで微分したdV/dQを示す。図11および図12において、コバルト酸リチウムによる正極OCVのデータ1001,1004に対して、最適化計算を施した結果、初期値1002,1005に対して、OCV曲線1003およびdV/dQ曲線1006が共に精度よく再現できている。図9および図10に示したグラファイトと比較して大きく形状が異なっているが、この場合にもOCV曲線とdV/dQ曲線とを精度よく再現できている。
なお、図9、図10、図11、および、図12は、OCV要素関数の和を用いることでさまざまな形状をもつ正極OCV関数および負極OCV関数を広くフィッティングできるということを示すため、正極OCVデータおよび負極OCVデータに対するフィッティング例を示している。しかしながら、本実施の形態1においては、正極OCVデータまたは負極OCVデータに対してフィッティングさせて、それを利用するということはない。本実施の形態1においては、正極OCVデータおよび負極OCVデータを取得していない状況下での蓄電池OCVの正負極分離を行なう。
図3は、正負極OCVモデル関数生成部106の内部構造の一例を示す。図3の例では、正負極OCVモデル関数生成部106は、OCV要素関数決定部301と正負極OCVモデル関数決定部302とを備えて構成されている。
OCV要素関数決定部301は、データ保存部104が出力する時系列データに基づき、OCV要素関数の関数形を決定し出力する。ただし、この時点では、各OCV要素関数の帰属先が正極と負極とのどちらであるのかを決める必要はない。また、OCV要素関数の形状を特徴付けるパラメタ群の値も、この時点では未決定である。
OCV要素関数は、好適には、横軸を電気量QとしたdV/dQ曲線の形状から決定する。つまり、OCV要素関数決定部301は、データ保存部104の出力する時系列データのなかでも、典型的には、dV/dQ曲線の時系列データ
Figure 0006490882
を利用して、OCV要素関数の形状を決定する。
OCV要素関数の候補としては、例えば、ロジスティック関数、双曲線正接関数、コーシー分布の累積分布関数などが挙げられる。また、あるいは、OCV要素関数の候補の中に、単調非減少関数をさらに加えてもよい。OCV要素関数決定部301は、データ保存部104が出力する時系列データに基づいて、当該時系列データに最もフィッティングするOCV要素関数の関数形を、上記候補の中から選択し、決定する。
OCV要素関数決定部301は、まず、dV/dQ曲線の山状のピークの1つ1つに対してOCV要素関数を割り当てる。これは、OCVの階段状の電位変化に対し、OCV要素関数を割り当てることを意味する。
次に、OCV要素関数決定部301は、山の斜面のようなピークを持たない形状変化に対してもOCV要素関数を対応付ける。これは、典型的にはSOC=0%付近あるいはSOC=100%付近の急激な電位変化に対応するが、正極材料などに見られるなだらかな電位変化も含まれる。
OCV要素関数決定部301は、OCV要素関数を対応付ける先の形状に応じて、上述したさまざまなOCV要素関数の候補のなかからOCV要素関数を適宜選択する。
図13および図14は、横軸を電気量Qとしたときの蓄電池の電圧曲線およびdV/dQ曲線の一例をそれぞれ示す。
OCV要素関数決定部301は、図13の電圧曲線1100の中から、特徴的な電圧変化を検出し、当該特徴的な電圧変化に対して、OCV要素関数を割り当てていく。特徴的な電圧変化とは、典型的には、電圧変化の傾向が大きく変わる領域と考えればよい。つまり、必須ではないものの、電圧Vの微分値を示す図14のdV/dQ曲線を参照すれば、電圧変化の傾向が大きく変わる領域を特定しやすい。図14のdV/dQ曲線においては、一例として、低SOC領域における大きな電圧変動(符号1101)と、山状のピークが5個(符号1102〜1106)、なだらかな電圧変化(符号1107)が1個、さらに、低SOCでの谷領域が中間SOC領域での谷領域よりも高さを持っていることから、なだらかな電圧変化(符号1108)がもう1個、と考えて、合計8個の特徴的な電圧変化を検出する。このようにして、OCV要素関数決定部301は、図13の電圧曲線の中から、特徴的な電圧変化を検出し、当該特徴的な電圧変化のそれぞれに対して、当該特徴的な電圧変化にフィッティングするOCV要素関数を割り当てていく。
ただし、このOCV要素関数の割り当て数は、絶対的なものではなく、増やしても減らしても良い。たとえば、図の左から4個目のピーク(符号1105)は小さいので、OCV要素関数を割り当てない、と考えてもよいし、高SOC領域(符号1109)の微妙な幾つかの電圧変化に対し、さらにOCV要素関数を割り当てることも可能である。
また、OCV要素関数の割り当てには、図14に示すdV/dQ曲線に対して、例えば数学的なピーク探索の手法を用いればよい。あるいは、OCV要素関数の割り当て数は、高々数個〜十数個であることから、フィッティング精度がほとんど変わらなくなるまで1個ずつ増やしていってもよい。
正負極OCVモデル関数決定部302は、データ保存部104が出力する時系列データと、OCV要素関数決定部301から出力されるOCV要素関数と、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107に設けられた判定部403からの出力yとに基づき、正負極OCVモデル関数の関数形を決定し出力する。
具体的には、正負極OCVモデル関数決定部302は、正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数の関数形を決定するため、OCV要素関数決定部301が出力する各OCV要素関数の帰属先、すなわち、各OCV要素関数が正極または負極のどちらに属するかを決定し、式(9)および式(10)で表わされる正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を生成する。
OCV要素関数の総数をm、そのうち帰属先が確定しているOCV要素関数の総数をm’とすると、各OCV要素関数の帰属先は正極または負極の2通りだから、組み合わせの総数は高々2m-m'通りであるため、正負極OCVモデル関数決定部302は、全ての可能な組み合わせパターンを生成する。ただし、全てのOCV要素関数が、正極のみ、または、負極のみに属するパターンを除外してもよい。
なお、正負極OCVモデル関数決定部302は、全ての可能な組み合わせパターンの中から順に1つを選択して正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を生成していくが、組み合わせの中から、どの1つを選択するかについては、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107に設けられた判定部403の判定結果yを用いて決定する。判定結果yは、後述するように最適化演算を行なった回数を表わしているため、典型的には、yの値と組み合わせパターンとを予め1対1に対応させておき、その対応関係を例えばデータテーブルとしてメモリに格納しておき、当該対応関係に従って、yの値から、組み合わせパターンを決定する。このようにして、最適化演算の回数ごとに、どの組み合わせを選択するかを予め設定しておくことで、yの値から、一意に、どの組み合わせを選択するかを決定することができる。
なお、「帰属先が確定している」とは、診断対象の蓄電池に関する情報、あるいは、電圧曲線またはdV/dQ曲線の形状と材料系の対応関係に関する知見などから、dV/dQ曲線の特定の領域とそれに対応する要素関数が、正極由来または負極由来であると判明している状況を指す。
ただし、正負極OCVモデル関数の形状を特徴付けるパラメタ群の値、すなわち、正負極OCV要素関数の形状を特徴付けるパラメタ群の値は、この時点では未決定でよい。
蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107は、正負極OCVモデル関数生成部106が生成した正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数と、データ保存部104の出力する時系列データとに基づき、判定結果yを求め、判定結果yを正負極OCVモデル関数生成部106に出力し、かつ、正負極OCVモデル関数とそのパラメタ群の推定値、および、容量パラメタ群の推定値θp,θn,θsを外部に出力する。以下、詳細に説明する。
図4は、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107の内部構造の一例を示す。図4の例では、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107は、最適化問題決定部401と、推定演算部402と、判定部403とを備えて構成されている。
最適化問題決定部401は、データ保存部104が出力する時系列データに基づき、蓄電池モデル関数と、蓄電池モデル関数の推定パラメタ群、および、評価関数Lを決定することで、解くべき最適化問題を決定する。
評価関数Lとして、典型的には、各蓄電池iに対する評価関数Liの和で表わされた、下式(14)のモデルを用いる。
Figure 0006490882
ここで、評価関数Liとしては、例えば下式(15)で示される、djV/dQjデータと、djV/dQjの推定値との誤差の重み付き二乗和関数を用いる。なお、djV/dQjの推定値は、後述の式(16)に対し微分演算することで算出される。
Figure 0006490882
ただし、
Figure 0006490882
とする。また、wijは、蓄電池101−iのdjV/dQjデータに対する重み係数を表す。なお、重み係数wijは、i,jの値ごとに予め設定しておき、データテーブルなどに記憶させておく。また、
Figure 0006490882
は、蓄電池101−iの時刻kのdjV/dQjの推定値を表わす。
VQ曲線のみで評価関数を作成して最適化計算を実行すると、相変化などによるVQ曲線の階段状の変化を捉えきれないことも多い。これに対し、本実施の形態1では、djV/dQj(j≧1)曲線のデータも含めて評価関数Lを作成することで、電圧曲線の勾配変化に対する誤差も同時に最適化することになるため、最適化計算において推定値が最適値付近に収束しやすくなると考えられる。
なお、典型的には1階微分(j=1)または2階微分(j=2)までを利用するが、3階微分以上(j≧3)までの有限階微分データまで用いて評価関数を作成してもよい。
推定値
Figure 0006490882
は、下式(16)の蓄電池モデル関数に対し微分演算をすることで算出することができる。
Figure 0006490882
ただし、θp,i、θn,i、θs,iは、それぞれ、蓄電池101−iの正極容量維持率、負極容量維持率、および、正負極SOCシフト量を表わし、Ri[Ω]は、蓄電池101−iの内部抵抗を表わす。ΦpとΦnとは、それぞれ、各蓄電池101−iの正負極モデル関数のパラメタ群をまとめたベクトルであり、式(16)では蓄電池間で同一のパラメタとしている。
内部抵抗Riの項を蓄電池モデル関数に含めることで、過電圧による電位上昇分を考慮して最適化を行なうことが可能となる。
各蓄電池101−iの電気量Qi,kの初期値Qi,iniを同時に推定してもよい。これにより、電気量の初期値が分からないときでも、推定が可能となる。
一例として、蓄電池101−iの正極モデル関数fpおよび負極モデル関数fnを、Logistic関数のみで構成した場合、それぞれ、下式(17),(18)となる。
Figure 0006490882
また、ΦpおよびΦnは、それぞれ、下式(19),(20)で表わされる。
Figure 0006490882
式(17)〜式(20)においては、容量パラメタ群θp,θn,θsは蓄電池間で互いに異なる値、正負極OCVモデル関数パラメタ群Φp,Φnはすべての蓄電池間で同一の値としてモデル化されている。
これに対し、容量パラメタ群と同様に、正負極OCVモデル関数パラメタ群の一部を蓄電池ごとに変わる値と考えたモデルを構築してもよい。
例えば、正負極OCVモデル関数のうち、ap,iとan,iのみが蓄電池ごとに異なるとすると、さきほどと同様にLogistic関数のみで正負極要素関数を構成した場合、蓄電池iの正極モデル関数fpおよび負極モデル関数fnは、それぞれ、下式(21),(22)となる。
Figure 0006490882
また、ΦpおよびΦnは、それぞれ、式(19)および式(20)と同様である。一方、δp,iとδn,iとは、それぞれ、下式(23),(24)で表わされる。
Figure 0006490882
蓄電池の種類によっては、劣化とともに、dV/dQ曲線のピークがなだらかになっていくものも知られている。式(23)〜式(24)は、dV/dQ曲線のこうした劣化挙動を反映する正負極OCVモデル関数劣化パラメタ群である。もちろん、より多くの正負極OCVモデル関数パラメタに対し正負極OCV関数モデル劣化パラメタを導入してもよいし、正極あるいは負極に対してのみOCVモデル関数劣化パラメタを導入してもよい。
以上のようにして、最適化問題決定部401は、蓄電池モデル関数、推定パラメタ群、および、評価関数Lを決定し、その情報を出力する。
推定演算部402は、データ保存部104の出力する時系列データと、最適化問題決定部401が出力する蓄電池モデル関数、推定パラメタ群、および、評価関数Lとに基づき、最適化手法による推定演算を行って、評価関数Lを小さくするような蓄電池モデル関数のパラメタ群を算出し、蓄電池モデル関数、そのパラメタ群の推定値、および、それらを用いたときの評価関数Lの値を出力する。
ここで解きたい非線形最適化問題は、最も一般的には以下のように記述される。
Figure 0006490882
ただし、蓄電池1を基準蓄電池としたとき、θp,1=θn,1=1として、以下のように定義する。
Figure 0006490882
関数giとhiはそれぞれ微分可能であり、Θp,Θn,Θs,Φp,Φn,Rのなかの少なくとも1つの行列またはベクトル内のスカラー変数を引数として持つものとする。さらに、dg≧1、dh≧1とするが、等式制約と不等式制約は必ずしも必要ではない。蓄電池または電極材料の持つ性質に関する情報、あるいは、取得した電圧データから読み取れる情報を等式または不等式の形で表現することで最適化問題の解の候補を制限することが可能である。
簡単な例として、「OCV要素関数は単調非減少関数である」という一般的な知識を含めたいのであれば、ai≧0であればよいから、不等式制約として−ai≦0を含める。また、内部抵抗値が非負であるという知識を含めたい場合にも、同様にして−Ri≦0とすればよい。さらに、電圧データや電圧微分データからj番目の正極OCV要素関数fp jの中心位置sp,jがμp,jと誤差δp,jを用いてμp,j−δp,j≦sp,j≦μp,j+δp,jの範囲内にあると言える場合には、不等式制約としてμp,j−δp,j−sp,j≦0およびsp,j−μp,j−δp,j≦0を含めればよい。
なお、関数L,gi(i=1,2,・・・,dg),hj(i=1,2,・・・,dh)は、引数を便宜上Θp,Θn,Θs,Φp,Φn,Rと書いているが、このなかの少なくとも1つの行列またはベクトル内の少なくとも1つのスカラー値を変数としていればよく、当然、各関数ごとに引数が異なっていてもよい。
最適化問題が制約なしの場合、推定演算部402が用いる最適化手法としては、例えば、最急降下法、Newton法、Gauss−Newton法、Quasi−Newton法、Levenberg−Marquardt法などの非線形最適化手法を用いることが可能である。推定演算部402は、これらの最適化手法のうちのすくなくとも1つを用いて推定演算を行って、評価関数Lが小さくなるような蓄電池モデル関数のパラメタ群を算出する。
最適化問題が制約ありの場合、推定演算部402は、制約条件を考慮して、制約付き最適化問題を解いてもよい。この解法として、ペナルティ関数法、乗数法、逐次二次計画法、内点法、GRG法(Generalized Reduced Gradient法)など、さまざまな方法が知られている。
なお、ここで挙げた制約なしおよび制約ありの最適化手法は例であり、その他の最適化手法を用いてもよいし、問題の規模(変数の数)や計算資源に応じて最適化手法を使い分けてもよい。
単一の蓄電池データのみであれば、蓄電池に関する事前情報がない限り、正負極を分離することはできない。しかしながら、劣化度の異なる複数の蓄電池データがあれば、原理的に正負極分離が可能となる。これは、同じ種類の複数の蓄電池であっても、通常は、個体差、使用環境の違い、使用方法の違いなどにより劣化度が異なるため、この劣化度の違いが容量パラメタ群の値の違いとなって現れるからである。このとき、高々2m−2回の最適化計算を行ない、その中で、誤差を示す評価関数Lの値が最も小さかった蓄電池モデル関数が、正しく正負極を分離した蓄電池モデル関数となる。事前情報によりm’個のOCV要素関数の正負極の帰属先が判明していれば、2m-m'回と最適化計算の回数はさらに少なくなる。
判定部403は、推定演算部402がr回目に出力した評価関数Lの値に基づき、推定演算部402の推定演算結果を判定する。なお、ここで、rは、1回目から、予め設定された最大繰り返し回数のrmax回目までである。以下では、rmax=2m−2として説明する。これにより、判定部403は、OCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを順次変更し、すべての組み合わせについて算出した評価関数Lの値について判定を行うことになる。判定部403は、1回目からrmax回目までの全ての評価関数Lの値の中で、最小の値となったときの蓄電池モデル関数および蓄電池モデル関数のパラメタ群を出力する。以下、判定部403について詳細に説明する。
まず、判定部403は、これまでのr回すべての推定演算結果の評価関数Lの値のうちの最小値Lopt,rを、下式(25)を用いて算出して、メモリに格納する。具体的には、下式(25)に示すように、1回目(r=1)の場合は、その評価関数Lの値を、最適な評価関数の値Lopt,rとしてメモリに保存する。2回目(r=2)の場合は、メモリに保存されている値Lopt,rと2回目の評価関数Lの値とを比較して、小さい方の値を値Lopt,rとしてメモリに保存する。3回目は、メモリに保存されている値Lopt,rと3回目の評価関数Lの値とを比較して、小さい方の値を値Lopt,rとしてメモリに保存する。この処理を最大繰り返し回数のrmax回目まで繰り返すことで、rmax回の繰り返しの中で最小の評価関数Lの値が、最終的な「最適な評価関数の値Lopt,r」としてメモリに保存される。
Figure 0006490882
また、判定部403は、推定演算で算出したパラメタ群を全てまとめた行列をΘとし、r回目までの推定演算のうち、最小値Lopt,rをとるときのΘをΘoptとしたとき、Θoptを、下式(26)を用いて算出し、メモリに格納する。具体的には、下式(26)に示すように、1回目(r=1)の場合は、そのときの行列Θの値を、最適なΘopt,rとしてメモリに保存する。2回目(r=2)の場合は、メモリに保存されている評価関数Lopt,rと2回目の評価関数Lとを比較して、小さい方のLの値に対応するΘをΘopt,rとしてメモリに保存する。3回目は、メモリに保存されている評価関数Lの値Lopt,rと3回目の評価関数Lの値とを比較して、小さい方の評価関数Lの値に対応するΘをΘopt,rとしてメモリに保存する。この処理を最大繰り返し回数のrmax回目まで繰り返すことで、rmax回の繰り返しの中で最小の評価関数Lの値に対応するΘの値が、最終的な「最適なΘopt,r」としてメモリに保存される。
Figure 0006490882
また、判定部403は、同様に、r回目までの推定演算のうち、最小値Lopt,rをとるときの蓄電池モデル関数fをfopt,rとしたとき、foptを、下式(27)を用いて算出し、メモリに格納する。具体的には、下式(27)に示すように、1回目(r=1)の場合は、そのときの蓄電池モデル関数fを、最適なfopt,rとしてメモリに保存する。2回目(r=2)の場合は、メモリに保存されている評価関数Lopt,rと2回目の評価関数Lとを比較して、小さい方のLの値に対応するfをfopt,rとしてメモリに保存する。3回目は、メモリに保存されている評価関数Lの値Lopt,rと3回目の評価関数Lの値とを比較して、小さい方の評価関数Lの値に対応するfをfopt,rとしてメモリに保存する。この処理を最大繰り返し回数のrmax回目まで繰り返すことで、rmax回の繰り返しの中で最小の評価関数Lの値に対応するfが、最終的な「最適なfopt,r」としてメモリに保存される。
Figure 0006490882
また、判定部403は、推定演算の回数を、下式(28)用いて算出し、メモリに格納する。
Figure 0006490882
すなわち、判定部403は、推定演算の回数rが2m-m'回目に到達するまでは、次が何回目の推定演算であるかを計数して、y=r+1の値を出力し、一方、回数rが2m-m'回目に到達すると、yの値を1にリセットして、y=1とする。このyの値は、正負極OCVモデル関数生成部106に出力される。
このようにして、推定演算の回数rがr=2m-m'に達すると、最大繰り返し回数rmaxまでの推定演算が終了したことになるので、最適化部105は推定演算を終了し、判定部403は、最適化部105の動作の終了を示す0の値をもったyを正負極OCVモデル関数生成部106に出力する。同時に、判定部403は、最適な蓄電池モデル関数fおよび最適な推定パラメタ群Θを外部に出力する。すなわち、判定部403は、r=2m-m'となった時点、すなわち、繰り返し回数が最大繰り返し回数rmaxに達したときのfopt,rおよびΘopt,rを、最終的なfoptおよびΘoptとして出力する。
以上の説明においては、判定部403が、1〜rmax回まで繰り返し判定処理を行う例について説明したが、その場合に限定されない。判定部403の別の方法として、判定部403が、推定演算部402が出力する評価関数Lの値と、予め設定された誤差閾値εとを比較し、L<εのときは成功、L≧εのときは失敗と判定してもよい。この場合、r回目の推定演算結果のLに対し、yは以下のようにして算出する。
Figure 0006490882
評価関数Lの値が誤差閾値εより小さく、成功と判定した場合は、y=1を正負極OCVモデル関数生成部106に出力し、かつ、r回目のときのfopt,rおよびΘopt,rを外部に出力する。一方、失敗と判定した場合は、y=rを正負極OCVモデル関数生成部106に出力する。これにより、正負極OCVモデル関数生成部106は、図7のステップS302の処理、すなわち、正極OCVモデル関数と負極OCVモデル関数に含まれるOCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを変更することで、正極OCVモデル関数と負極OCVモデル関数を再生成する処理を行う。そして、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107は、再生成された正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を用いて新しい蓄電池モデル関数を生成して、図7のステップS401〜S403の処理を再度行う。こうして、評価関数Lの値が、誤差閾値εより小さくなるまで、図7のステップS302〜ステップS403の処理を繰り返し行う。
以上、判定部403の2つの方法について説明したが、判定部403は、上記2つの方法のうちのいずれの方法を行ってもよい。また、いずれの方法においても、判定部403は、さらに、式(6)〜(8)の演算により、各蓄電池101−iの満充電容量Fiを算出し、最終判定結果fopt,rおよびΘopt,rとともに出力しても良い。
図15〜図20は、ある蓄電池の新品および劣化品の1/20Cレートでの充電データに対し、dV/dQデータおよびd2V/dQ2データまで含めて一括で最適化した例である。図15〜図17は、新品の場合を示し、図15〜図17において、横軸は電気量、縦軸は、それぞれ、電圧、dV/dQ、d2V/dQ2である。また、図18〜図20は、劣化品の場合を示し、図18〜図20において、横軸は電気量、縦軸は、それぞれ、電圧、dV/dQ、d2V/dQ2である。
また、図15〜図17において、符号1201,1203,1206が、それぞれ、データを示し、符号1202,1204,1207が最適化後の推定値を示し、符号1205,1208が初期値を示す。同様に、図18〜図20において、符号1211,1213,1216が、それぞれ、データを示し、符号1212,1214,1217が最適化後の推定値を示し、符号1215,1218が初期値を示す。
なお、このとき、図15〜図20では、蓄電池モデル関数としては、式(16)を用いた。ただし、新品蓄電池を基準蓄電池の容量パラメタ群はθp=θn=1、θs=0として、劣化蓄電池の容量パラメタ群のみ推定している。図15〜図17および図18〜図20の全てのグラフにおいて、データ1201,1203,1206,1211,1213,1216が、それぞれ、推定値1202,1204,1207,1211,1214,1217に精度良く一致しており、正極OCVモデル関数、負極OCVモデル関数およびそのパラメタ群と、蓄電池の内部抵抗を得ることができていることが分かる。
つぎに、本実施の形態1における蓄電池診断装置100が蓄電池101−1、・・・、101−Nの特性を診断するときに実行する一連の動作について、図5〜図7のフローチャートを参照しながら説明する。図5は、本実施の形態1に係る蓄電池診断装置100が実行する一連の動作を示すフローチャートである。図6は、本実施の形態1に係るデータ保存部104が実行する一連の動作を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態1における最適化部105が実行する一連の動作を示すフローチャートである。
なお、実施の形態1における説明においては、上記の図5〜図7のそれぞれのフローチャートの各ステップの順に処理を行うように説明したが、その場合に限定されず、蓄電池診断装置100によって実行される順序は、各図に図示された順序に限定されず、各ステップの依存関係を壊さない限り、実行順序の入れ替えは許容される。
以上のように、本実施の形態1に係る蓄電池診断装置によれば、診断対象の複数の蓄電池の時系列データを利用することにより、予め、蓄電池OCVデータまたは正負極OCVデータなどを取得していなくとも、正負極分離による詳細な劣化診断が可能となり、かつ、劣化によるOCVの変化を精度よく補正することが可能となる。このように、本実施の形態1においては、診断対象の蓄電池に関する事前情報は必須ではない。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る蓄電池診断装置および診断方法について説明する。実施の形態2に係る蓄電池診断装置の構成は、実施の形態1の図1に示した構成と同じであるため、ここでは、構成に関する説明は省略する。
本実施の形態2においては、N個の蓄電池の時系列データと、過去に保存したM個の蓄電池の時系列データとを合わせたN+M個の蓄電池の時系列データを利用する。このため、上記の実施の形態1に記載のN≧2という条件にかえて、N+M≧2という条件を満たす。
従って、本実施の形態2の構成および動作の説明としては、上記の実施の形態1の構成および動作の説明において、NをN+Mに変更して考えればよい。
以上、本実施の形態2に係る蓄電池診断装置および診断方法によれば、診断対象の蓄電池が1個の場合であっても、過去の蓄電池の時系列データを利用することにより、正負極分離による蓄電池の詳細な診断とOCVの補正が可能となる。また、複数の蓄電池の場合であっても、利用可能なデータが増えるため、より信頼性が高く高精度な診断が可能となる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る蓄電池制御システム200について説明する。図21は、本発明の実施の形態3に係る蓄電池制御システム200の構成を示した図である。なお、図21には、蓄電池制御システム200に接続されるN個(N≧2)の蓄電池101−1,・・・,101−N、および、蓄電池制御システム200から制御信号が送られる電力変換器201も併せて図示している。
蓄電池制御システム200は、蓄電池診断装置200−1および制御装置200−2を備えて構成されている。
実施の形態3に係る蓄電池診断装置200−1の構成は、実施の形態1の図1に示した蓄電池診断装置100の構成と同じであるため、ここでは、構成に関する説明は省略する。
制御装置200−2は、蓄電池診断装置200−1が出力する蓄電池モデル関数とそのパラメタ群と容量パラメタ群を利用して、電力変換器201に制御信号を送信する。この制御信号は、(a)蓄電池外部からの要求電力または要求電力量、(b)蓄電池の入出力特性、SOC、劣化度などの内部状態、および、(c)ユーザーにとっての利用効率およびユーザビリティなどを考慮して、蓄電池の入出力電力を調整するためのものである。このように、蓄電池診断装置200−1が出力する診断結果を利用することで、より高精度・高効率で、蓄電池を制御することが可能となる。
電力変換器201は、蓄電池制御システム200から送信されてくる制御信号に基づき、蓄電池101−1,・・・,101−Nの入出力を制御する。
なお、電力変換器201は、自動車、定置用蓄電システムなどの蓄電池搭載製品一般に広く搭載されているコンバータやインバータなどのことである。
なお、本実施の形態3で示した図21の構成に代えて、制御装置200−2が電力変換器201の内部に搭載されていてもよい。その場合、蓄電池制御システム200は、蓄電池診断装置200−1のみを搭載し、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部107の出力を電力変換器201の内部の制御装置200−2に入力する。
あるいは、本実施の形態3で示した図21の構成に代えて、蓄電池制御システム200が電力変換器201の内部に搭載されていてもよい。
つまり、蓄電池制御システム200、および/または、制御装置200−2は、より下位のシステムに搭載されていてもよいし、より上位のシステムに搭載されていてもよい。
蓄電池101−1,・・・,101−Nと、蓄電池制御システム200と、制御装置200−2と、電力変換器201は、それぞれ同じ製品に搭載されていてもよいし、そのうちの1つ以上が異なる製品に搭載されていてもよい。たとえば、蓄電池制御システム200のみ、より上位のEMS(エネルギーマネジメントシステム)、あるいはクラウド上などに搭載されていてもよい。
つぎに、本実施の形態3における蓄電池制御システム200が蓄電池101−1、・・・、101−Nの特性を診断するときに実行する一連の動作について、図22のフローチャートを参照しながら説明する。図22は、本実施の形態3に係る蓄電池制御システム200が実行する一連の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS501内部の詳細ステップは、本実施の形態1において図5〜図7で示した処理であるため、ここでは説明を省略する。ステップS502では、制御装置200−2が、ステップS501の診断結果を受け取り、制御信号を電力変換器201に送信する。ステップS503では、電力変換器201が、制御装置200−2から送信された制御信号に従って動作し、蓄電池101−1,・・・,101−Nの入出力を制御する。
以上、本実施の形態3に係る蓄電池制御システムおよび蓄電池制御方法によれば、蓄電池を診断するだけでなく、その結果を蓄電池制御に反映させることで、より高精度かつ高効率な蓄電池制御が可能となる。
101−1,101−i,101−N 蓄電池、102−1,102−i,102−N 電流検出部、103−1,103−i,103−N 電圧検出部、104 データ保存部、105 最適化部、201 時系列データ格納部、202 時系列電気量算出部、203 電圧微分データ算出部、301 OCV要素関数決定部、302 正負極OCVモデル関数決定部、401 最適化問題決定部、402 推定演算部、403 判定部、200 蓄電池制御システム、200−1 蓄電池診断装置、200−2 制御装置、201 電力変換器。

Claims (9)

  1. 2個以上のN個の蓄電池のそれぞれの端子間電圧をN個の検出電圧として検出する電圧検出部と、
    前記検出電圧の時系列データを含む前記N個の蓄電池の時系列データを保存するデータ保存部と、
    前記データ保存部に保存された前記検出電圧の時系列データにフィッティングするOCV要素関数を求め、前記N個の蓄電池に対応する正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を、それぞれ、前記OCV要素関数の和によって生成する正負極OCVモデル関数生成部と、
    前記正極OCVモデル関数および前記負極OCVモデル関数に基づいて、各前記N個の蓄電池に対応する蓄電池モデル関数を生成するとともに、前記データ保存部に保存された前記時系列データと、前記蓄電池モデル関数を用いて算出した推定値の時系列データとの誤差を示す評価関数を生成して、前記評価関数の値が小さくなるように各前記N個の蓄電池に対応する前記N個の蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出する、蓄電池モデル関数パラメタ群推定部と
    を備えた、蓄電池診断装置。
  2. 前記蓄電池モデル関数パラメタ群推定部が算出する前記N個の蓄電池モデル関数の前記推定パラメタ群は、
    前記N個の蓄電池間で同一である、前記正極OCVモデル関数のパラメタ群および前記負極OCVモデル関数のパラメタ群の少なくともひとつと、
    前記N個の蓄電池間で異なる、正極容量維持率と負極容量維持率と正負極間SOCシフト量を含む容量パラメタ群の少なくともひとつと
    を含んでいる、請求項1に記載の蓄電池診断装置。
  3. 前記N個の蓄電池のそれぞれの充放電電流をN個の検出電流として検出する電流検出部をさらに備え、
    前記データ保存部は、
    前記電流検出部が検出した前記N個の検出電流から前記N個の蓄電池の電気量の時系列データを算出する時系列電気量算出部と、
    前記電圧検出部が検出した前記N個の検出電圧の時系列データを、前記N個の蓄電池の電気量の時系列データで微分して、時系列電圧微分データを算出する電圧微分データ算出部と、
    前記検出電流の時系列データと前記検出電圧の時系列データと前記電気量の時系列データと前記時系列電圧微分データとを含む、前記N個の蓄電池の時系列データを保存する時系列データ格納部と
    を備えた、請求項1または2に記載の蓄電池診断装置。
  4. 前記正負極OCVモデル関数生成部は、
    前記電圧微分データ算出部が算出した前記時系列電圧微分データに基づいて、前記検出電圧の時系列データの中から特徴的な電圧変化を示す領域を検出し、前記領域にフィッティングするOCV要素関数を複数のOCV要素関数候補の中から選択して割り当てるOCV要素関数決定部と、
    前記領域に割り当てられた前記OCV要素関数を正極に帰属させるか負極に帰属させるかを決定して、前記OCV要素関数の正極または負極への帰属の組み合わせを生成し、各組み合わせごとに、前記正極に帰属する前記OCV要素関数の和によって前記正極OCVモデル関数を生成するとともに前記負極に帰属する前記OCV要素関数の和によって前記負極OCVモデル関数を生成する、正負極OCVモデル関数決定部と
    を備えた、請求項3に記載の蓄電池診断装置。
  5. 前記複数のOCV要素関数候補は、ロジスティック関数、双曲線正接関数、コーシー分布の累積分布関数の少なくともいずれか1つを含む、
    請求項4に記載の蓄電池診断装置。
  6. 蓄電池モデル関数パラメタ群推定部は、
    前記データ保存部に保存された前記時系列データに基づいて、前記蓄電池モデル関数、前記蓄電池モデル関数の前記推定パラメタ群、および、前記評価関数を生成することで、解くべき最適化問題を決定する、最適化問題決定部と、
    前記正負極OCVモデル関数決定部が生成した前記組み合わせごとに、前記最適化問題決定部が生成した前記評価関数の値が小さくなるように前記推定パラメタ群の値を算出し、前記推定パラメタ群の値と、当該推定パラメタ群を用いたときの前記蓄電池モデル関数および前記評価関数の値とを出力する推定演算部と、
    推定演算部が出力する評価関数の値とそれ以前に算出されて最小の値として格納されている評価関数Lの値とを比較して、小さい方の評価関数の値およびそれに対応する推定パラメタ群の値を格納することを繰り返して、最終的に最小となった評価関数の値に対応する推定パラメタ群、あるいは、前記推定演算部が出力した前記評価関数の値が予め設定された閾値より小さいときの前記推定パラメタ群を、最適な推定パラメタ群として出力する判定部と
    を備えた、請求項4または5に記載の蓄電池診断装置。
  7. 前記データ保存部は、前記N個の蓄電池のN個の時系列データに、過去に保存したM個の蓄電池の前記検出電流と前記検出電圧と前記電気量のM個の時系列データを加えたN+M個の時系列データを保存し、
    前記正負極OCVモデル関数生成部および前記蓄電池モデル関数パラメタ群推定部は、前記時系列データの代わりに、前記N+M個の時系列データを用いる、
    請求項3から6までのいずれか1項に記載の蓄電池診断装置。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の蓄電池診断装置と、
    前記蓄電池診断装置が出力する前記N個の蓄電池モデル関数の前記推定パラメタ群を用いて、前記N個の蓄電池の制御信号を生成し、前記N個の蓄電池を制御する電力変換器に対して前記制御信号を出力する制御装置と
    を備えた、蓄電池制御システム。
  9. 2個以上のN個の蓄電池の端子間電圧をN個の検出電圧として検出する電圧検出ステップと、
    前記検出電圧の時系列データを含む前記N個の蓄電池の時系列データをメモリに保存するデータ保存ステップと、
    前記メモリに保存された前記検出電圧の時系列データにフィッティングするOCV要素関数を求め、前記N個の蓄電池に対応する正極OCVモデル関数および負極OCVモデル関数を、それぞれ、前記OCV要素関数の和によって生成する正負極OCVモデル関数生成ステップと、
    前記正極OCVモデル関数および前記負極OCVモデル関数に基づいて前記N個の蓄電池のそれぞれに対応する蓄電池モデル関数を生成するとともに、前記メモリに保存された前記時系列データと、前記蓄電池モデル関数を用いて算出した推定データの時系列データとの誤差を示す評価関数を生成して、前記評価関数の値が小さくなるように前記N個の蓄電池のそれぞれに対応する前記N個の蓄電池モデル関数の推定パラメタ群を算出する蓄電池モデル関数パラメタ群推定ステップと
    を備え、
    前記蓄電池モデル関数パラメタ群推定ステップが算出する前記N個の蓄電池モデル関数の前記推定パラメタ群は、
    前記N個の蓄電池間で同一である、前記正極OCVモデル関数のパラメタ群および前記負極OCVモデル関数のパラメタ群の少なくともひとつと、
    前記N個の蓄電池間で異なる、正極容量維持率と負極容量維持率と正負極間SOCシフト量を含む容量パラメタ群の少なくともひとつと
    を含んでいる、
    蓄電池診断方法。
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