JP6490641B2 - ラウドネスに基づくオーディ信号補償 - Google Patents
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Description
図3はRr=96dB、Rp=それぞれ0、10、・・・90dBであるラウドネス補償曲線を示す。
図4は図3のラウドネス補償曲線にfB=100Hzで前述の修正をしたものを示す。しかし、過度な利得(特に低い周波数利得)を制限するための他のアプローチが代りに使われてよいことを理解すべきである。
以下はラウドネス推定器10又はその一部分の具体的な実装のより詳細な説明であり、サブセクションのタイトルに示されるようにそれぞれは異なる方法を使用する。
この実施例では、オーディオ信号をプレイバックするユーザがレコーディング参照ラウドネスレベルRr及びプレイバックラウドネスレベルRpの両方を選択する。レコーディング参照ラウドネスレベルRrの選択はオーディオコンテンツが作成されたときの平均信号レベルの推定値である。およそ−18dBFSの値がレコード産業では広く使われており、例えば値はユーザ/聴取者が望めばどちらの方向にも修正できるが、デフォルトに設定されているだろう。ただし、例えばユーザは、ラウドネス強化(enhancement)の強い印象を与えるために値を0dBFSのように非常に高く設定してもよく、別の実施形態ではこのような値がかわりにデフォルトとして使用されてもよい。とにかくこの実施形態ではユーザは彼/彼女の好みに合わせてプレイバックの前又はプレイバック中にこのパラメータを調整することができる。一方、プレイバック参照ラウドネスレベルRpは純粋にユーザパラメータであり、典型的にはオーディオがどの程度の音量でプレイされるかについてのユーザの好みに合わせて選択される(例えば、プレイバックデバイスのボリュームコントロールを調整することにより)。
この実施形態では、前の実施形態のように、レコーディング参照ラウドネスレベルRrは定まった値(例えば、デフォルト又はユーザによる設定に基づく)に設定され、プレイバック参照ラウドネスレベルRpはリアルタイムで入力信号7から推定される。時間ドメインにおけるプレイバック参照ラウドネス推定器10Aの一つの例が図5に説明される。示されているように、それは帯域通過フィルタ42と電力推定器43とを含む。帯域通過フィルタ42の中心周波数は望ましくは1000Hz(補償が基礎とすべき等ラウドネス曲線の測定に使用される参照周波数に対応するため)に設定される。その帯域幅は、およそ参照トーンの周囲の(around)電力レベルの良好な推定に到るために非常に狭く(500Hz又は1000Hz以下、1000Hz辺りの、典型では800−1250hZの2つのクリティカルな帯域をカバーするパスバンドを持つ)選択されるだろう。しかし、バスギターだけが入力オーディオ信号に現れる場合のように、参照トーンの辺りの瞬間の電力が非常に低い状態の期間には、狭い帯域幅を使うことは非常に低いラウドネスを生じるだろう。より広い帯域幅(例えば4000−6000Hz、パスバンドが200−5000Hzのような)は、推定されたラウドネスは参照トーン(例えば1000Hz)のラウドネスレベルを正確に反映しないだろうという潜在的な欠点を伴うが、この問題を軽減する。極端なバンド幅の選択は全オーディオ帯域幅を含んでもよく、この場合帯域通過フィルタ42は不必要な計算を省くために全く除外される。より一般には、プレイバックデバイスにおけるプレイバックラウドネスレベルRpの推定のための方法は好ましくは、レコーディング(又は他の作成)参照ラウドネスレベルRrを推定するためのすでに使用された方法、使用すると想定される方法と等しいか、少なくともマッチする。
ここで、αはフィルタ係数でありサンプリング周波数fsと時定数τに関係し、
先行する2つのサブセクションに記載された構成、方法及び技術を使う、入力信号7から推定されるプレイバック参照ラウドネスレベルは、レコーディングとプレイバックラウドネスレベルが同じと想定される場合に、レコーディング参照ラウドネスレベルとしても使うことができる。しかし、プレイバックとレコーディングラウドネスレベルはほとんどの場合に異なり、この差は好ましくはユーザにより設定されるラウドネス差パラメータにより調節される。
ラウドネス補償曲線に基づくフィルタの生成
この発明の望ましい実施形態において、ラウドネス補償曲線が取得され又は生成されると(例えば上記に説明したように)、モジュール18は対応するフィルタを生成する。以下の議論はモジュール18により実行される技術に関係する。
IIRフィルタが望まれる場合、「J.O.Smith III, “Intoruduction to Digital Filters:with Audio Application”,W3K Publishing,2007」に記載されている方程式誤差法(equation error method)などの任意の適切なフィルタ変換方法がつかわれる。IIRフィルタの遅延線がフィルタ係数についてハードワイヤードの場合(一般的なケース)、フィルタ係数の変更は通常異なる遅延線を必要とする。したがって、このようなIIRフィルタはラウドネス補償曲線が時間と共に変化する(又は潜在的に変化することが予想される)場合は望ましくない。
与えられる次数について、全てのFIRフィルタは同じ遅延線を共有するから、FIRフィルタはラウドネス補償曲線の動的アップデートをより余裕を持つ。ラウドネス補償曲線のそれぞれのアップデートはFIRフィルタ係数の新しいセットの計算を引き起こすので、簡単で安定した変換方法が望ましい。一つの例が以下で与えられる。
1.ステップ106(図8)で取得されたラウドネス補償周波数応答に対して、そのインパルス応答を得るために逆FFTを適用する。
2.もし短いフィルタが希望されるならば、窓関数をインパルス応答へ適用する。窓の中央はインパルス応答のエネルギーの中心に調整されるのが望ましい。
3.ステップ106でゼロ位相が使用される場合、因果的にするためにインパルス応答が遅延される。ウィンドウイング(windowing)が直前のステップ2に使用される場合、適切な遅延も望まれる。
1.レコーディング及びプレイバックラウドネスレベルの所望のダイナミックレンジを量子化する。人のラウドネスの知覚に適合し、より少ないセットの量子化レベルを使用するために、対数のような不均一量子化方法が望ましくは使用される。
2.量子化されたレコーディング及びプレイバックラウドネスレベルの各ペアについてラウドネス補償フィルタを作成する。
3.後でルックアップするために補償フィルタをフィルタテーブルに格納する。
補償フィルタ20の各アップデートは異なるFIRフィルタの利用を引き起こすので、フィルタされたオーディオサンプルにおけるある程度の不連続は聞こえるかもしれないし聞こえるようになってもよい。この不連続の問題は、ある実施形態では隣接するフィルタによりもたらされるオーディオサンプルの間をオーバーラップすることを導入することにより緩和される。短時間フーリエ変換(STFT)に備わっている重畳加算操作(overlapping-and-add operation)はこの目標に非常によく適している。FFTに関連する計算効率はSTFTのもう一つの利益である。しかし、かわりにオーバーラップを暗に示す他の技術は、同じ又は類似の利益を提供することができる。
式4
ここで、MはSTFTのブロックサイズ、LはSTFTブロックの数、NはDFTサイズ、FはFIRフィルタ係数の数である。特定のM、L及びNに対して、アンチエイリアシングモジュール143は、モジュール18により提供されるラウドネス補償フィルタの周波数応答を式4を実際に満足する長さFを持つ対応するインパルス応答を有する周波数応答へ変換することにより、この制約を守る。
1.可能なレコーディング及びプレイバックラウドネスレベルのセットのそれぞれについてのダイナミックレンジを量子化する。人のラウドネスレベル知覚に適合しより少ない量子化レベルのセットを使うために、望ましくは対数のような不均一な量子化方法が使用される。
2.量子化されたレコーディング及びプレイバックラウドネスレベルのそれぞれのペアについてラウドネス補償フィルタ周波数応答を生成する。
3.後でルックアップするために補償フィルタ周波数応答をテーブルに格納する。
1.プレイバックラウドネスレベルRp及びレコーディング参照ラウドネスレベルRrについての推定値はそれぞれ、事前に格納されたフィルタ応答を生成するのに使用されるのと同じ量子化方法を使って、量子化器201及び203で量子化される(上記で論じた)。
2.周波数応答ルックアップモジュール205において、得られた量子化インデックスが対応するラウドネス補償フィルタ周波数応答をルックアップするのに使用される。
3.フォワードSTFTモジュール141により作られる入力信号7の周波数係数はルックアップモジュール205において取得されたフィルタ周波数応答により掛け算され(乗算器142で)、そしてバックワードSTFTはモジュール144において実行され、それによって入力信号7の望ましい処理を提供する。
上記の実施形態のある面において、プレイバックラウドネスレベルRpは入力信号7からリアルタイムでダイナミックに推定される。このタイプの或るより特定の実施形態は、入力信号7自身以外の他の情報を考慮する。この点で入力信号7にだけ焦点することは、例えば、もとの記録された(又は別のやり方で作成された)信号(その参照ラウドネスと対照的に)の実際のラウドネスにおける変化のために不適切な補償を生じるかもしれない。一般的に言えば、元の記録された信号は、全部の参照ラウドネス設定のコンテキストの範囲内において瞬間のラウドネス(例えば異なる聴覚の影響を提供すること)において変化のかなりの量を示すだろう。結果として、たとえ異なる全部のプレイバック参照ラウドネス設定であっても、プレイバック中に瞬間のラウドネスにおいて同じ変化が起きるだろう。ある望ましい実施形態では、ここでは特に瞬間のレコーディングラウドネスレベルにアクセスしておらず、全部の参照ラウドネスレベル(レコーディングとプレイバック)が推定される(オーディオコンテントの全ての部分に渡り)。そのときはある特定の変形において、補償曲線はこれらのレベルにのみ基づく。他の特定の変形では、前の全部のプレイバックラウドネスレベルはプレイバック環境における変化により変更される(ユーザの選択によるプレイバックラウドネスの変更、出力デバイス24におけるあらゆる変更、特にそのような出力デバイス24の感度、及び/又は室内音響のあらゆる変化、、例えばそこに出力デバイス24が1以上のスピーカを含む等)。さらに特定の変形は、全部の推定されたラウドネスレベル(レコーディングとプレイバックの両方)は差分ラウドネス(例えばΔp)を確立するのに使用され、そしてこの差分はシステム60(図7に関して論じられた)のようなシステムで使用される。
一般に別のやり方で明確に示された場合を除いて、ここに記載された全てのシステム、方法、機能、テクニックは1以上のプログラム可能な汎用コンピューティングデバイスで実行可能である。このようなデバイス(例えばここで言及されるいずれかの電子デバイス)は、例えば次の互いに、例えば共通バスで互いに結合された構成要素の少なくともいくつかを含むだろう:(1)1以上のセントラルプロセッシングユニット(CPU)、(2)読み出し専用メモリ(ROM)、(3)ランダムアクセスメモリ(RAM)、(4)他の統合された又は取り付けられる記憶デバイス、(5)入力/出力ソフトウェア及び他のデバイスとのインタフェースのための回路(例えば、シリアルポート、パラレルポート、USB接続、ファイアワイヤ接続などの有線接続を使用するもの、又は無線周波数識別(RFID)、任意の近距離無線通信(NFC)プロトコル、ブルートゥース又は802.11プロトコルなどのような無線プロトコルを使用するもの。)、(6)1以上のネットワークを接続するためのソフトウェア及び回路、例えばイーサネット(登録商標)カードなどの有線接続や符号分割多元接続(CDMA)、移動通信のためのグローバルシステム(GSM(登録商標))、ブルートゥース、802.11プロトコル又は本発明の多くの実施形態におけるネットワークを次々とインターネットや他のネットワークへ接続する他のセルラーベース又はセルラーベースではないシステムなどの無線プロトコル、(7)表示(陰極線管、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ、高分子発光ディスプレイ又は他の薄膜ディスプレイなど)、(8)他の出力デバイス(1以上のスピーカ、ヘッドホンセット、レーザー又は他のライトプロジェクター及び/又はプリンタなど)、(9)1以上の入力デバイス(マウス、1以上の物理スイッチ又は可変コントロール、タッチパッド、タブレット、タッチセンシティブディスプレイ又は他のポインティングデバイス、キーボード、キーパッド、マイクロホン及び/又はカメラ又はスキャナなど)、(10)大容量記憶デバイス(ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブなど)、(11)リアルタイムクロック、(12)取り外し可能な読み出し/書き込み記憶デバイス(フラッシュドライブ、半導体メモリを使用する他の携帯ドライブ、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、光ディスク、またはそのようなものなど)、(13)モデム(例えば、ファックスを送るための、又はインターネット又は他のコンピュータネットワークへ接続するための)。実行中において、上記の方法や機能を実行するための処理ステップは汎用コンピュータによって実行される限りの範囲で、一般には最初に大容量記憶装置(例えば、ハードディスク又はソリッドステートドライブ)に記憶されていて、RAMにダウンロードされて、RAMの外のCPUによって実行される。しかし、ある場合には処理ステップは最初にRAM又はROMに記憶され及び/又は大容量記憶装置から直接実行される。
前の議論において、用語「操作者(operators)」、「操作(operations)」、「機能(functions)」及び類似の用語は、特定の実行/実施形態に基づいて、方法ステップ又はハードウェア構成要素に言及することができる。
Claims (19)
- ラウドネスベースでオーディオ信号を補償するシステムであって、
(a)入力オーディオ信号を受け取る入力ラインと、
(b)前記入力オーディオ信号に対するオーディオプレイバックラウドネスレベル及びプロダクションラウドネスレベルを提供するラウドネス推定器と、
(c)前記ラウドネス推定器の出力に結合されるフィルタ生成/選択器であって、前記プロダクションラウドネスレベル及び前記オーディオプレイバックラウドネスレベルに基づいてオーディオ補償フィルタを提供する前記フィルタ生成/選択器と、
(d)前記入力オーディオ信号を時間ドメインから周波数ドメインへ変換するための変換モジュールと、
(e)発生する可能性がある時間ドメインエイリアシングを抑制するために、前記フィルタ生成/選択器によって提供される周波数応答を処理するアンチエイリアシングフィルタと、を含み、
前記オーディオ補償フィルタは前記周波数ドメインにおいて前記入力オーディオ信号を処理し、
前記入力オーディオ信号は出力信号を提供するために前記オーディオ補償フィルタにより処理され、
前記ラウドネス推定器が、前記入力オーディオ信号に対する新たなオーディオプレイバックラウドネスレベル又は新たなプロダクションラウドネスレベルのうちの少なくとも1つを提供するとき、前記フィルタ生成/選択器は、前記出力信号を提供するために、前記入力オーディオ信号を処理するために使用される新たなオーディオ補償フィルタを提供することを特徴とするシステム。 - 前記アンチエイリアシングフィルタは前記周波数応答に対応するインパルス応答の長さを制限することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記アンチエイリアシングフィルタは前記周波数応答を時間ドメインの信号に逆変換し、前記時間ドメインの信号に窓掛けし、前記窓掛けされた時間ドメインの信号を前記周波数ドメインへ戻す変換をすることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
- 前記アンチエイリアシングフィルタは前記窓掛けされた時間ドメインの信号を、前記周波数ドメインへ戻す変換をする前にシフトすることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記変換モジュールは短時間フーリエ変換(STFT)を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記フィルタ生成/選択器は、前記オーディオプレイバックラウドネスレベルと前記プロダクションラウドネスレベルのそれぞれについて等ラウドネス曲線に基づいてリアルタイムで最初に補償周波数曲線を生成することにより、前記オーディオ補償フィルタを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルと前記プロダクションラウドネスレベルのそれぞれについての前記等ラウドネス曲線は、ISO 226:2003の等ラウドネス曲線に基づいていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
- 前記補償周波数曲線は、前記オーディオプレイバックラウドネスレベル及び前記プロダクションラウドネスレベルについての前記等ラウドネス曲線にだけ基づく曲線と比較して低音ブーストの制限を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルは500Hz以下の幅を持つ周波数帯域に基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルは4000Hz−6000Hzの幅を持つ周波数帯域に基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記プロダクションラウドネスレベルはあらかじめ決められたデフォルト値に設定されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルは音量コントロールの設定に基づいて設定されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルは、オーディオ出力デバイスの感度又は増幅器利得のうちの少なくとも1つに基づいて設定されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記出力信号はスピーカかヘッドホンの少なくとも一つを含むオーディオ出力デバイスに結合されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記プロダクションラウドネスレベルはユーザにより提供される設定に基づいて定められることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記ユーザにより提供される設定はその他入力に基づいて確立されたデフォルト値からの選択された偏差であることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
- 前記オーディオプレイバックラウドネスレベルは時間とともに自動的に再推定され、連続する前記再推定はスムージング処理を受けることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記スムージング処理は移動平均フィルタを含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
- 前記スムージング処理は低域通過フィルタを含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
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