JP4282317B2 - 音声通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話機等の音声通信を行う音声通信装置における受話音声の明瞭度を改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
音声通信装置における受話音声の明瞭度を改善する技術としては、携帯電話として知られる携帯型の移動電話機において、送話用の送話用マイクとは別に背景音を集音するための背景音測定用マイクを移動電話機に設け、背景音測定用マイクで集音した音より推定した背景音に応じて、スピーカから出力する受話音声の周波数特性を操作する技術が知られている(たとえば、特開2000−306181号公報、特開2000−69127号公報)。
【0003】
より具体的には、たとえば、特開2000−306181号公報記載の技術では、背景音測定用マイクで集音した音から送話用マイクで集音した音声を減算した音を背景音と見なし、背景音のレベルが小さい周波数帯域で受話音声のレベルを大きくし、かつ、受話音声の中域において受話音声のレベルが背景音より大きくなるように、受話音声の各周波数帯域のゲインを操作している。また、たとえば、特開2000−69127号公報記載の技術では、背景音測定用マイクで集音した音を背景音と見なし、背景音のレベルが小さい周波数帯域で受話音声のゲインを大きくしている。
【0004】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−306181号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2000−69127号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術によれば、まず、送話音声を集音するマイクの他に、背景音測定用マイクを設ける必要がある。そして、このことは移動電話機の小型軽量化や低コスト化の障害となる。
【0008】
また、前記従来の技術によれば、背景音測定用マイクへの送話音声の混入に対する処置が不充分である。すなわち、特開2000−69127号公報記載の技術では、背景音測定用マイクで集音した音を、そのまま背景音と見なしているために、正しく背景音を測定することができない。また、特開2000−306181号公報記載の技術では、背景音測定用マイクで集音した音から送話用マイクで集音した音声を減算した音を背景音と見なしているが、送話用マイクと背景音測定用マイクでは、送話音声の伝搬空間が異なるために両マイクで集音された送話音声の各種特性は異なるものとなる。したがって、背景音測定用マイクで集音した音から送話用マイクで集音した音声を単純に減算しただけでは、正しく背景音を測定することはできない。
【0009】
また、前記特開2000−69127号公報、特開2000−306181号公報記載の、背景音のレベルが小さい周波数帯域で受話音声のゲインを大きくすることにより受話音声の明瞭化を図る技術は、背景音のレベルが小さくない周波数帯域の受話音声は明瞭化されないため、背景音のレベルが大きな周波数帯域と受話音声の主要な周波数帯域が重複する場合には、受話音声を明瞭化することができない。一方、特開2000−306181号公報記載の受話音声の中域において受話音声のレベルが背景音より大きくする技術では、背景音の中域でのレベルが大きい環境では、受話音声のレベルが過大となり、かえって受話音声の聞き取りを阻害することがある。また、これら従来の技術によれば、受話音声の周波数特性の操作の結果、送話者に聞こえる受話音声の音質が不自然な感じとなるなど、受話音声品質を大きく劣化させてしまいかねない。
【0010】
そこで、本発明は、単一のマイクを用いつつ、背景音が存在する環境においても受話音声を明瞭に聞き取れるように受話音声の出力を行うことのできる音声通信装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、より適正な背景音の測定を可能とすることにより、測定した背景音に基づいた、より良好な受話音声の明瞭化を図ることのできる音声通信装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、送話者に聞こえる受話音声の音質を大きく劣化することなく受話音声の明瞭化を図ることのできる音声通信装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題達成のために、本発明は、双方向の音声通信を行う音声通信装置に、受話音声を出力するスピーカと、送話音声を集音する単一指向性もしくは両指向性のマイクロフォンと、前記マイクロフォン出力に含まれる背景音成分を抽出し、抽出した背景音成分のレベルを測定する背景音レベル測定手段と、前記背景音レベル測定手段が測定した背景音のレベルに応じて、前記スピーカに出力する受話音声のゲインを調整する受話音声明瞭化手段とを備えたものである。
このような音声通信装置によれば、背景音測定用マイクロフォンを設けることなく、単一のマイクロフォンのみを用いて、背景音レベルを算出し、算出した背景音レベルに基づいて受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
また、前記課題達成のために、本発明は、双方向の音声通信を行う音声通信装置に、受話音声を出力するスピーカと、送話音声を集音する単一指向性もしくは両指向性のマイクロフォンと、前記マイクロフォン出力に生じる近接効果をキャンセルするように前記マイクロフォンの出力の周波数特性を操作することにより、前記マイクロフォン出力に含まれる送話成分を抽出し、抽出した送話成分に基づいて背景音のレベルを測定する背景音レベル測定手段と、前記背景音レベル測定手段が測定した背景音のレベルに応じて、前記スピーカに出力する受話音声のゲインを調整する受話音声明瞭化手段とを備えたものである。
【0012】
このような音声通信装置によれば、前記マイクロフォン出力に生じる近接効果をキャンセルするように前記マイクロフォンの出力の周波数特性を操作し、前記マイクロフォン出力に含まれる送話音声成分の周波数特性をフラットにすると共に、前記マイクロフォン出力に含まれる背景音成分のレベルを減少させることにより、前記マイクロフォンの出力から送話音声成分を良好に抽出することができる。したがって、このように抽出した送話音声成分を用いて、前記マイクロフォンの出力または別途集音した送話成分と背景音成分との双方が含まれる音声信号から背景音のレベルをより適正に算出することができ、これに基づいた効果的な受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
【0013】
ここで、前記背景音レベル測定手段は、たとえば、音声通信装置に、背景音を集音する背景音用マイクロフォンを設けた上で、前記背景音レベル測定手段を、前記音声通信で送信する音声帯域内において、前記マイクロフォン出力の、より低周波数領域の成分のレベルをより小さくする送話音声フィルタと、前記背景音用マイクロフォン出力に混入する送話音声成分を推定する適応フィルタと、前記背景音用マイクロフォン出力から前記適応フィルタで推定した送話音声成分を減算する減算手段と、前記減算手段の出力のレベルを算出し、前記背景音のレベルとして出力する背景音レベル算出手段とより構成し、前記適応フィルタにおいて、前記背景音用マイクロフォン出力と当該適応フィルタで推定した送話音声成分との差分に基づいて前記送話音声成分の推定を行うようにしても良い。
【0014】
このような構成によれば、背景音用マイクロフォンを無指向性のマイクロフォンとして適当な位置に配置することにより、ユーザに聞こえる背景音の同等の背景音成分を含む出力を背景音用マイクロフォンによって取得すると共に、前述のように近接効果を利用して前記マイクロフォン出力より適正に抽出した送話成分に基づいて背景音用マイクロフォン出力に含まれる送話成分を適正に推定し、推定した送話成分を背景音用マイクロフォン出力から除去することができるようになる。したがって、より適正なユーザに聞こえる背景音レベルの算出と、これに基づく、効果的な受話音声の明瞭化が可能となる。
【0015】
なお、これらの送話音声フィルタを設ける場合においては、前記送話音声フィルタの出力を送話信号として前記音声通信で送信するようにしても良い。
このようにすることにより、送信信号に含まれる送話音声成分の周波数特性をフラットにすると共に、送信信号に含まれる背景音成分のレベルを抑制することができるので、送信音声の品質が向上する。
さて、本発明は、前記課題達成のために、さらに、双方向の音声通信を行う、受話音声を出力するスピーカと送話音声を集音する送話マイクロフォンとが前面に配置されたハンドセットを有する音声通信装置において、
前記ハンドセットの後面の、前記スピーカと略同じ高さに配置された、背景音を集音する単一指向性の背景音用マイクロフォンと、前記背景音用マイクロフォンの出力のレベルを、背景音レベルとして測定する背景音レベル測定手段と、前記背景音レベル測定手段が抽出した背景音レベルに応じて、前記スピーカに出力する受話音声のゲインを調整する受話音声明瞭化手段とを設けたものである。
【0016】
このように、背景音用マイクロフォンを、前記ハンドセットの後面の、前記スピーカと略同じ高さに配置することにより、背景音用マイクロフォン出力への送話音声成分の混入を排除し、より適正な背景音のレベルの算出と、これに基づいた効果的な受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
【0017】
また、本発明は、前記課題達成のために、双方向の音声通信を行う音声通信装置に、受話音声を出力するスピーカと、送話音声を集音するマイクロフォンと、背景音レベルを測定する背景音レベル測定手段と、前記背景音レベル測定手段が抽出した背景音のレベルに応じて、前記スピーカに出力する受話音声のゲインを調整する受話音声明瞭化手段とを設け、前記背景音レベル測定手段を、第1背景音用マイクロフォンと、第2背景音用マイクロフォンと、第1背景音用マイクロフォンの出力に混入する送話音声成分と第2背景音用マイクロフォンの出力に混入する送話音声成分との間の遅延時間に応じた時間第1背景音用マイクロフォンの出力を遅延する遅延手段と、前記遅延手段の出力に混入する送話音声成分を推定する適応フィルタと、前記遅延手段の出力から前記適応フィルタで推定した送話音声成分を減算する減算手段と、前記減算手段の出力のレベルを算出し、前記背景音のレベルとして出力する背景音レベル算出手段とを含めて構成し、前記適応フィルタにおいて、前記遅延手段の出力と当該適応フィルタで推定した送話音声成分との差分に基づいて前記送話音声成分の推定を行うようにしたものである。
【0018】
このような構成によれば、遅延手段の遅延時間を適当に設定することにより、無指向性の第1背景用マイクロフォンの出力に、ユーザの口元方向のみをマスクする指向性をに与えることができる。よって、ユーザの聴覚の指向性は無指向性に近いので、ユーザに聞こえる背景音のレベルのより適正な算出と、これに基づいた効果的な受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
【0019】
なお、以上の各音声通信処理装置においては、音声通信処理装置に前記音声通信で受信した受話信号のレベルを所定の周波数帯域毎に測定する受話レベル測定手段を設け、前記背景音レベル測定手段において、前記背景音レベルを前記所定の周波数帯域毎に測定し、前記受話音声明瞭化手段において、前記所定の周波数帯域毎に、前記受信信号のゲインを、前記背景音レベルによらずに前記受話音声が人間の聴覚上同程度の大きさに聞こえるように調整し、前記受話音声として前記スピーカに出力するラウドネス補償を行うこようにすることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、背景音のレベルが大きな周波数帯域についても受話音声を明瞭化することができると共に、ユーザに認識される受話音声の音質を変質させてしまうこともない。
なお、以上の各音声通信装置は、無線通信によって前記音声通信を行う携帯型の移動電話機であって良い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、携帯型の移動電話機への適用を一例にとり説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に本第1実施形態に係る移動電話機の構成を示す。
図示するように、移動電話機1は、移動電話網2との間の呼制御や音声信号伝送の処理を行う通信処理部11、通信処理部11が受信した受話音声信号Rxを処理し受話音声r(k)としてユーザに出力すると共にユーザの送話音声s(k)を集音し所定の処理を施して通信処理部11に送話音声信号Txとして出力する音声入出力処理部12を有している。また、移動電話機1はユーザより電話番号その外の操作を受け付ける操作入力部13と、表示装置14と、操作入力部13を介して入力するユーザ操作や通信処理部11への着呼に応じて、通信処理部11の動作や音声入出力処理部12の動作や表示装置14の表示を制御する制御部15などを備えている。
【0022】
次に、音声入出力処理部12の構成を図2に示す。
図示するように音声入出力処理部12は、送話用マイク(マイクロフォン)21、送話抽出フィルタ22、背景音抽出フィルタ23、背景音レベル算出部24、受話レベル算出部26、ラウドネス補償制御部27、ゲイン調整部28、スピーカ29を有している。
【0023】
送話用マイク21は単一指向性または両指向性マイクであり、音声通信時にはユーザによって口元近くに配置され使用される。そして、送話用マイク21の出力信号は、ユーザの送話音声s(k)に近接効果作用したs’(k)に背景音n(k)が混入したs’(k)+n(k)となる。
【0024】
送話抽出フィルタ22は、バンドパスフィルタであり、単一指向性または両指向性マイクにおいて生じる近接効果を利用して送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)から送話信号s’’(k)を抽出する。
【0025】
ここで、図3Aを用いて近接効果について説明する。
近接効果とは、音源が近くにある程、単一指向性または両指向性マイクの低音の出力が増大される現象であり、マイクに対して遠くにある音源の音は実質上平面波としてマイクで集音されるのに対して、マイクに対して近くにある音源の音は球面波としてマイクで集音されることを原因として生じるものである。すなわち、図3aに両指向性マイクについて示したように、音源が近くにある程、単一指向性または両指向性マイクの低音域のレベルが大きくなる。なお、単一指向性マイクの場合には、近接効果の大きさは両指向性マイクの場合の半分程度になる。
【0026】
そこで、本実施形態では、図3Bに示すように、送話抽出フィルタ22として、ユーザを、送話用マイク21より数cm(図は3.8cmの例)離れた音源とする近接効果と逆のゲイン特性を持つフィルタ、すなわち、送話用マイク21の出力の周波数特性がフラットとなるゲイン特性を持つフィルタを用いる。これにより、送話抽出フィルタ22の出力は、図3Cに示すように、送話音声s(k)に対しては出力の周波数特性がフラットとなり、近接効果が生じない背景音n(k)に対しては低域が減衰されたものとなる。すなわち、送話抽出フィルタ22の出力は、送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)のn(k)成分が図中nに示すように減衰し、図中sに示すようにs’(k)成分に対しては近接効果を打ち消す補正が加えられる。したがって、この送話抽出フィルタ22の出力s’’(k)は、近似的に送話音声s(k)として用いることができる。
【0027】
ところで、通常の音声通信における音声帯域の高周波数側は、高々3〜4kHzであることが多い。そこで、送話抽出フィルタ22としては、図3Dに示すように、3〜4kHzまではユーザを音源とする近接効果と逆のゲイン特性を持ち、それ以上の高周波数帯域は遮断する(大きく減衰させる)ゲイン特性を持つ周波数フィルタを用いるようにしてもよい。なお、この場合の、送話抽出フィルタ22の出力は、図3Eに示すようになる。
【0028】
さて、図2に戻り、送話抽出フィルタ22の出力は、送話信号Txとして通信処理部11に送られ、移動電話網2を介して通信相手に送信される。
次に、背景音抽出フィルタ23は、バンドエリミネーションフィルタであり、送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)から、音声信号s’(k)を除去して、背景音成分n’(k)を出力する。この、背景音抽出フィルタ23としては、たとえば、標準的な人間の音声帯域の下限である200Hz以下の周波数帯域を通過させるローパスフィルタなどを、音声信号s’(k)を除去するバンドエリミネーションフィルタとして近似的に適用することができる。
次に、背景音レベル算出部24は、背景音抽出フィルタ23の出力する背景音成分n’(k)の音圧レベルを周波数帯域毎に算出し、背景音レベルNlとしてラウドネス補償制御部27に送る。ここで、背景音レベル算出部24における音圧レベルの算出は、たとえば、所定の時間ブロックごとFFT(Fast Fourier Transform)演算を行い、所定の周波数帯域ごとに時間ブロック内平均の音圧レベルを計算することにより行う。ここでは、たとえば、人間の聴覚がほぼ1/3オクターブごとに背景音の大きさの違いを認識することができるという特性を考慮して1/3オクターブごとに周波数帯域を分割し、分割した各周波数帯域毎に時間ブロック内平均の音圧レベルを算出する。
【0029】
一方、受話レベル算出部26は、通信処理部11から入力する受話信号Rxの音圧レベルを周波数帯域毎に算出し受話レベルRlとして、ラウドネス補償制御部27に送る。受話レベル算出部26の受話レベルRlの算出は、たとえば、所定の時間ブロックごとFFT演算を行い、所定の周波数帯域ごとに時間ブロック内平均の音圧レベルを計算することにより行う。
【0030】
次に、ラウドネス補償制御部27とゲイン調整部28は、受話信号Rxのラウドネス補償を行うブロックである。すなわち、ラウドネス補償制御部27は、背景音レベルNlと受話レベルRlに応じて、ゲイン調整部28における受話信号Rxの各周波数帯域のゲイン調整量を制御する。ゲイン調整部28は、ラウドネス補償制御部27の制御に従った周波数帯域毎のゲイン調整量で、受話信号Rxの各周波数帯域のゲインを調整した後、スピーカ29から受話音声r(k)として出力する。
【0031】
以下、このラウドネス補償制御部27とゲイン調整部28によって行う、受話信号Rxのラウドネス補償の詳細について説明する。
まず、本第1実施形態において、ユーザの受話音声の聞き取り易さをどのように実現するかについて、その原理を説明する。
”人間の知覚する音の大きさ(ラウドネス)”の単位はsoneであり、1kHz、40dBの純音の大きさを1soneとする。人間の知覚に基づいているため、1soneに対して2soneは2倍の大きさに聞こえる。ラウドネスは音の強さだけでなく周波数によっても変化する。図4Aは、外部騒音の無い状態で、ある音圧レベルの1kHz純音と同じラウドネスになる純音の音圧レベルを結んだもので等ラウドネスレベル曲線と呼ばれるものである。すなわち、等ラウドネスレベル曲線は、人が1kHzの正弦波と同じ大きさに聞こえる他の周波数のレベルをプロットしたものである。等ラウドネスレベル曲線は、レベルが小さくなるにしたがって低周波数域と高周波数域のレベルを大きくしないと中間周波数域の音よりも小さく聞こえたり、音が聞こえなくなったりすることを示している。
【0032】
次に、図4Bは、物理的な音圧レベルと、その音を人間が聞いているときに感じるラウドネスとの対応関係を示したものでラウドネス曲線と呼ばれるものである。ラウドネス曲線において、横軸は物理的な音圧レベル(単位はSound Pressure Level SPL(dB))であり、縦軸は人の感じる音の大きさを数値化したラウドネス(単位はsone)である。図4Bにおいて(a)は静かな環境でのラウドネス曲線、(b)は騒音下でのラウドネス曲線である。なお、(b)は、人の最小可聴値が約35dB上昇するような背景音の中での曲線であって、背景音が変化することによりこの曲線も様々に変化する。
【0033】
ここで、ラウドネス曲線は縦軸のラウドネスの数値が同じであれば、人は音が同じ大きさであると感じていることを表している。よって、人が0.1soneの大きさに感じる音は、(a)の静かな環境では12dB SPLの物理的音圧レベルでよいが、(b)の騒音下では37dB SPLの物理的音圧レベルが必要である。言い換えると、静かな環境で12dB SPLの音をスピーカ29から出力していた場合、(b)の騒音下では37dB SPLの音をスピーカ29から出力しなければ、同じ大きさの音と感じることができない。つまり、0.1soneの大きさに感じる音を騒音下で聞くためには、静かな環境で聞く場合に比べて25dBのゲインを加えなくてはならない。また、人が1soneの大きさに感じる音は、(a)の静かな環境では42dB SPLの物理的音圧レベルであるが、(b)の騒音下では49dB SPLの物理的音圧レベルが必要で、7dBのゲインを加えなくてはならない。
【0034】
このように、背景音レベルによらずに一定のラウドネスとして人が感じるようにするためには、背景音レベルのみならず、スピーカ29が出力する音の音圧レベルによってもゲインを変える必要がある。ここで、図4Cは、騒音下において静寂下と同じ大きさの音に感じるために、静寂下の音圧レベルに対してどれだけゲインを加える必要があるかを示す図である。同図において、横軸は静寂下で出力される音の音圧レベルであり、縦軸は騒音下において静寂下と同じ大きさの音に感じるために加える必要があるゲイン値である。例えば、静寂下で音圧レベル20dBで出力される音は、騒音下では、約19dBのゲインを加えられることによって、人間は静寂下と同じ大きさの音であると感じるようになる。
【0035】
このように、背景音レベルとスピーカ出力音レベルによって、ユーザにとっても同じ聞き易さを実現するために、スピーカ29に出力する受話信号に与える必要のあるゲインは異なったものとなる。また、背景音は周波数帯域毎に異なった音圧レベルを持ち、また、図4Aの等ラウドネスレベル曲線に示すようにユーザの音の聞き取り易さは周波数帯域毎に異なるものであるために、各周波数帯域において同じ聞き易さを実現するためにスピーカ出力音に与える必要のあるゲインは、周波数帯域毎に異ならせる必要がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、周波数帯域毎に受話レベルRlと背景音レベルNlの組み合わせに対して、背景音レベルNl、周波数帯域によらない聞き取り易さを実現するゲイン調整量を定めておき、ラウドネス補償制御部27において周波数帯域毎に、背景音レベル算出部24で算出した背景音レベルNlと受話レベル算出部26で算出した受話レベルRlとの組に対して予め定めておいたゲイン調整量を選択し、各周波数帯域について選択されたゲイン調整量に従って、ゲイン調整部28において周波数帯域毎に受話信号Rxのゲインを調整する。
【0037】
以下、このようなラウドネス補償動作の詳細について説明する。
図5に、ラウドネス補償制御部27の構成例を示す。
図示するようにラウドネス補償制御部27は、背景音レベル補正部51、周波数帯域ゲインテーブル選択部52、ゲインテーブルメモリ53を含んで構成されている。
ゲインテーブルメモリ53には、あらかじめ、様々な背景音レベルNlと周波数帯域の組み合わせ毎に設けた、受話レベルRlと加えるゲインとの関係を記述した、たとえば図示したような関係を規定するゲインテーブルが記録されている。
【0038】
背景音レベル補正部51は、Zwickerのラウドネス算出手法(ISO 532B)やStevensのラウドネス算出手法(ISO 532A)を用いて、背景音レベル算出部24から出力される各周波数帯域の背景音レベルNlを調整する。具体的には、以下のように調整を行う。すなわち、ある周波数成分の背景音があるとき、この背景音は、同周波数成分の受話音声の聴き取りにくさに影響するのみならず、高周波側に隣接する周波数成分の受話音声の聴き取りにくさにも影響を与える。そこで、背景音レベル補正部51では、これを考慮して、背景音の各周波数成分の音圧レベルを低周波側に隣接する背景音の周波数成分の音圧レベルの大きさに応じて調整を行う。すなわち、隣接する低周波成分の音圧レベルが大きい場合には、高周波側に隣接する周波数成分の音圧レベルを高めに補正する。このような調整を行うことで、各周波数帯域ごとのゲインテーブルを選択する際には、対応する各周波数帯域の背景音の音圧レベルに着目するのみで足り、低周波側に隣接する周波数帯域の騒音等を考慮するという煩雑な処理を行う必要がなくなる。
【0039】
次に、周波数帯域ゲインテーブル選択部52は、各周波数帯域について、その周波数帯域と、背景音レベル補正部51から出力される調整後の、その周波数帯域の背景音の音圧レベルとに対応するゲインテーブルを選択する。そして、各周波数帯域について、選択されたゲインテーブルを用いて、受話レベル算出部26から入力する受話レベルRlが示す、その周波数帯域の音圧レベルに対応するゲイン値が算出され、調整部に送られる。
【0040】
次に、ゲイン調整部28は、フィルタバンク54、可変ゲイン部55、加算器56を含んで構成されている。
フィルタバンク54は、所定の周波数帯域幅を持つバンドパスフィルタ群であり、これらのバンドパスフィルタ群によって受話信号Rxを周波数帯域ごとに分割する。可変ゲイン部55は、ラウドネス補償制御部27によって算出された各周波数帯域ごとのゲインを、フィルタバンク54から出力される周波数帯域ごとに分割された受話信号Rxに与えて、ゲイン調整を行う。加算器56は、各周波数帯域ごとにゲイン調整された受話信号を足し合わせて受話音声r(k)としてスピーカ29に出力する。
【0041】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
本第1実施形態によれば、送話用マイクロフォン21出力に生じる近接効果をキャンセルするように送話用マイクの出力の周波数特性を操作し、送話用マイク出力に含まれる送話音声成分の周波数特性をフラットにすると共に、前記マイクロフォン出力に含まれる背景音成分のレベルを減少させて送話音声成分を良好に抽出することにより、送話音声の品質を向上することができる。
また、送話用マイクロフォン21の出力から背景音抽出フィルタ23を用いて背景音を抽出して背景音のレベルをより算出し、これに基づいて受話音声の明瞭化を図るので、送話用マイク21の他に、別途背景音を集音するためのマイクを用ける必要がない。
【0042】
ところで、本第1実施形態に係る音声入出力処理部12における、背景音レベルNlの算出は、図6に示すような構成によっても実現することができる。
すなわち、送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)から送話信号成分s’(k)を抽出するハイパスフィルタ31と、ハイパスフィルタ31の出力する送話信号成分s’(k)の音圧レベルを周波数帯域毎に算出する送話パワー算出部32を設ける。また、ハイパスフィルタ31の処理遅延時間分の遅延を送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)に与える遅延部33と、遅延した送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)の音圧レベルを周波数帯域毎に算出する入力パワー算出部34を設ける。そして、各周波数帯域毎に、入力パワー算出部34が算出した音圧レベルから、送話パワー算出部32が算出した音圧レベルを、加算器35で減算し、各周波数帯域毎の背景音レベルNlとする。ここで、ハイパスフィルタ31は、たとえば、標準的な人間の音声帯域の下限である200Hz超の周波数帯域を通過させるものである。
また、本第1実施形態に係る音声入出力処理部12における、背景音レベルNlの算出は、図7に示すような構成によっても実現することができる。
すなわち、送話抽出フィルタ22の出力s’’(k)に対して図3aに示したような近接効果を擬似的に与える疑似近接効果フィルタ36と、疑似近接効果フィルタ36の出力s’(k)の音圧レベルを周波数帯域毎に算出する送話パワー算出部37を設ける。また、送話抽出フィルタ22と疑似近接効果フィルタ36の処理遅延時間分の遅延を送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)に与える遅延部33と、遅延した送話用マイク21の出力信号s’(k)+n(k)の音圧レベルを周波数帯域毎に算出する入力パワー算出部34を設ける。そして、各周波数帯域毎に、入力パワー算出部34が算出した音圧レベルから、送話パワー算出部37が算出した音圧レベルを、加算器35で減算し、各周波数帯域毎の背景音レベルNlとする。このような構成によれば、送話抽出フィルタ22による減衰効果によって、疑似近接効果フィルタ36にとっての無音レベルまで量子化された背景音成分は、疑似近接効果フィルタ36によって増幅されて復帰することがないことより、より適切に背景音レベルNlを算出することができることが期待できる。
【0043】
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2実施形態に係る移動電話機1の全体構成は、図1に示した前記第1実施形態に係る移動電話機1の構成と同様である。ただし、本第2実施形態では、音声入出力処理部12を図8に示すように構成している。
図示するように、本第2実施形態に係る音声入出力処理部12は、送話用マイク61、送話抽出フィルタ62、背景音レベル算出部63、受話レベル算出部64、ラウドネス補償制御部65、ゲイン調整部66、スピーカ67、背景音用マイク68を有している。
【0044】
送話用マイク21は単一指向性または両指向性マイクであり、音声通信時にはユーザによって口元近くに配置され使用される。そして、送話用マイク21の出力信号は、ユーザの送話音声s(k)に近接効果が作用したs’(k)に背景音n(k)が混入したs’(k)+n(k)となる。
【0045】
送話抽出フィルタ62は、前記第1実施形態と同様に、バンドパスフィルタであり、単一指向性または両指向性マイクにおいて生じる近接効果を利用して送話用マイク61の出力信号s’(k)+n(k)から送話信号s’’(k)を抽出し、送話信号Txとして通信処理部11に送る。そして、送信信号Txは、移動電話網2を介して通信相手に送信される。
【0046】
次に、背景音用マイク68は、単一指向性のマイクであり、図9Aに示すように、ユーザの送話音声s(k)を集音せずに移動電話機1の背面方向の背景音のみをユーザの耳の近くで集音できるように、移動電話機1の背面側のスピーカ67と略同じ高さの位置に配置される。また、この背景音用マイク68は、図9Bに示すように、スピーカ67から出力する受話音声が移動電話機1の筐体16を介して背景音用マイク68に集音されてしまわないように、吸音材17を用いて移動電話機1の筐体16に直接接しないように移動電話機1に組み込まれている。
【0047】
さて、図8に戻り、背景音レベル算出部63は、周波数帯域毎に背景音用マイク68の出力信号n(k)の音圧レベルを算出し、背景音レベルNlとしてラウドネス補償制御部27に送り、受話レベル算出部64は、通信処理部11から入力する受話信号Rxの音圧レベルを周波数帯域毎に算出し、受話レベルRlとしてラウドネス補償制御部65に送る。背景音レベル算出部63と受話レベル算出部64における音圧レベルの算出は、前記第1実施形態と同様に、所定の時間ブロックごとFFT演算を行い、たとえば1/3オクターブ単位の周波数帯域ごとに時間ブロック内平均の音圧レベルを計算することにより行う。
【0048】
次に、ラウドネス補償制御部65とゲイン調整部66は、背景音レベル算出部63が算出した周波数帯域毎の背景音レベルNlと受話レベル算出部64が算出した受話レベルRlに応じて、前記第1実施形態と同様に、ゲイン調整部66における受話信号Rxの各周波数帯域のゲイン調整量を制御する。
【0049】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
本第2実施形態によれば、背景音用マイクロフォン68を、移動電話機1の後面の、スピーカ67と略同じ高さに配置することにより、ユーザの耳に聞こえる背景音に近い背景音成分を含む出力を背景音用マイク68によって取得すると共に、背景音用マイクロフォン68出力への送話音声成分の混入を排除し、より適正に背景音レベルを算出し、これに基づいた効果的な受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
【0050】
さて、以上の第2実施形態に係る単一指向性の背景音マイクは、図10に示すように2つの無指向性のマイクである第1マイク81及びマイク82と、遅延部83と、適応フィルタ84と、加算器85との組み合わせに置き換えることができる。
【0051】
加算器85は、第1マイク81が集音した音声信号を、ユーザの送話音声の第1マイク81とマイク82への到達時間差に応じて定めた適当な遅延時間遅延部83で遅延させた音声信号から、適応フィルタ84の出力信号を減算し、背景音レベル算出部63に出力する。適応フィルタ84は、LMSアルゴリズムやNLMSアルゴリズムなどにより、加算器85の出力が最小となるように自身のフィルタ特性(インパルス応答)を更新することにより、マイク82が集音した背景音成分n2(k)と送話音声成分y2(k)を含む音声信号から第1マイク81が集音する背景音成分n1(k)と送話音声成分y1(k)を含む音声信号中の送話信号成分y1’(k)を推定する。この結果、加算器85の出力は、マイク82が集音した音声信号中から送話音声の成分y1’(k)が除かれたもの、すなわち、背景音n1(k)のみの信号となる。
【0052】
このようにすることにより、遅延部83の遅延時間を適当に設定することにより、ユーザの口元方向のみをマスクする指向性を無指向性の第1マイク1の出力に与えることができる。よって、ユーザの聴覚の指向性は無指向性に近いので、ユーザに聞こえる背景音のレベルをより適正に算出し、これに基づいた効果的な受話音声の明瞭化を図ることができるようになる。
なお、最適なフィルタ特性を予め求めることができる場合などには、適応フィルタ84は固定フィルタに置き換えることができる。
【0053】
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
本第3実施形態に係る移動電話機1の全体構成は、図1に示した前記第1実施形態に係る移動電話機1の構成と同様である。ただし、本第3実施形態では、音声入出力処理部12を図11に示すように構成している。
図示するように、本第3実施形態に係る音声入出力処理部12は、送話用マイク91、送話抽出フィルタ92、適応フィルタ93、加算器94、背景音レベル算出部95、受話レベル算出部96、ラウドネス補償制御部97、ゲイン調整部98、スピーカ99、背景音用マイク100を有している。
【0054】
送話用マイク91は単一指向性または両指向性マイクであり、音声通信時にはユーザによって口元近くに配置され使用される。そして、送話用マイク91の出力信号は、ユーザの送話音声s(k)に近接効果が作用したs’(k)に背景音n(k)が混入した音声との和s’(k)+n(k)となる。
【0055】
送話抽出フィルタ92は、前記第1実施形態と同様に、バンドパスフィルタであり、単一指向性または両指向性マイクにおいて生じる近接効果を利用して送話用マイク91の出力信号s’(k)+n(k)から送話信号s’’(k)を抽出し、送話信号Txとして通信処理部11に送る。そして、送信信号Txは、移動電話網2を介して通信相手に送信される。
【0056】
次に、背景音用マイク100は、無指向性のマイクであり、前記第2実施形態に係る背景音用マイク68と同様に、ユーザの送話音声を集音せずに移動電話機1の背面方向の背景音のみをユーザの耳の近くで集音できるように、移動電話機1の背面側のスピーカ99と同じ高さの位置に配置される(図9a)。また、この背景音用マイク100は、スピーカ99から出力する受話音声が筐体16を介して背景音用マイク100に集音されてしまわないように、吸音材17を用いて移動電話機1の筐体16に直接接しないように移動電話機1に組み込まれている(図9b)。
ここで、背景音用マイク100の出力は、背景音n(k)に送話音声成分y(k)が混入したn(k)+y(k)となる。
【0057】
さて、加算器94は、背景音用マイク100が集音した音声信号から、適応フィルタ93の出力信号を減算し、背景音レベル算出部95に出力する。適応フィルタ93は、LMSアルゴリズムやNLMSアルゴリズムなどにより、加算器94の出力が最小となるように自身のフィルタ特性(インパルス応答)を更新することにより、送話抽出フィルタ92が抽出した送話音声s’’(k)から、背景音用マイク100が集音した音声信号に混入した送話信号成分y’(k)を推定する。したがって、加算器94から背景音レベル算出部95に出力される信号n’(k)は、背景音用マイク100が集音した音声信号中から送話音声の成分y’(k)が除かれたもの、すなわち、背景音n(k)のみの信号となる。
【0058】
そこで、背景音レベル算出部95は、周波数帯域毎に背景音用マイク100の出力信号n(k)の音圧レベルを算出し、背景音レベルNlとしてラウドネス補償制御部97に送り、受話音声レベル算出部は、通信処理部11から入力する受話信号Rxの音圧レベルを周波数帯域毎に算出し、受話レベルRlとしてラウドネス補償制御部97に送る。背景音レベル算出部95と受話レベル算出部96における音圧レベルの算出は、前記第1実施形態と同様に、所定の時間ブロックごとFFT演算を行い、たとえば1/3オクターブ単位の周波数帯域ごとに時間ブロック内平均の音圧レベルを計算することにより行う。
【0059】
次に、ラウドネス補償制御部97とゲイン調整部98は、背景音レベル算出部95が算出した背景音レベルNlレベルと受話レベル算出部96が算出した受話レベルRlに応じて、前記第1実施形態と同様に、ゲイン調整部98における受話信号Rxの各周波数帯域のゲイン調整量を制御する。
【0060】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
このように本第3実施形態によれば、背景音用マイク100を無指向性のマイクとして移動電話機1の背面の、スピーカ99と略等しい高さに配置することにより、ユーザに聞こえる背景音と同等の背景音成分を含む出力を背景音用マイク100によって取得すると共に、前述のように近接効果を利用して送話用マイク91出力より適正に抽出した送話成分に基づいて背景音用マイク100の出力に含まれる送話成分を適正に推定し、推定した送話成分を背景音用マイク100出力から除去することができるようになる。したがって、より適正にユーザに聞こえる背景音レベルの算出と、これに基づく、効果的な受話音声の明瞭化が可能となる。
【0061】
ところで、以上の第3実施形態においては、スピーカ99から出力される受話音声r(k)の、背景音用マイク100で集音する音声信号への混入を、さらに抑制するために、図12に示すように、適応フィルタ101と加算器102で構成したエコーキャンセラ103を備えるようにしてもよい。加算器102は、背景音用マイク100で集音した音声信号から適応フィルタ101の出力信号を減算し、図10における背景音用マイク出力に代えて出力する。適応フィルタ101は、LMSアルゴリズムやNLMSなどにより、加算器102の出力が最小となるように自身のフィルタ特性(インパルス応答)を更新することにより、ゲイン調整部98が出力する受話信号r(k)から背景音用マイク100に周り込む受話音声成分z’(k)を推定する。結果、加算器102の出力は、背景音用マイク100で集音する音声信号からスピーカ99から出力されて受話音声の回り込み成分がキャンセルされたものとなる。
【0062】
なお、図11に示したスピーカ29の出力の回り込みをキャンセルする技術は、第2実施形態における背景音用マイクに対しても同様に適用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、以上では音声帯域を複数の周波数帯域に分割し、周波数帯域毎に受話音声のゲインの調整を行うラウドネス補償を行ったが、これは簡略化し、音声の全帯域について一つのゲイン調整量によるゲイン調整を行うラウドネス補償を行うようにしても良い。
【0063】
また、以上の実施形態は、携帯電話機、PHS、自動車電話等の移動電話機への適用を例にとり説明したが、本実施形態による受話音声の明瞭化の技術は、ユーザが送話マイクとスピーカが搭載されたハンドセットを持って音声の入出力を行う電話機であれば、固定電話機、固定電話機と無線で接続するハンドセット型の子機など、その電話機の種類を問わず同様に適用可能である。また、ハンドセットを用いない任意の音声通信装置にも適用可能であり、この場合にも、一定の効果は期待できる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、単一のマイクを用いつつ、背景音が存在する環境においても受話音声を明瞭に聞き取れるように受話音声の出力を行うことのできる音声通信装置を提供することができる。
また、より適正な背景音の測定を可能とすることにより、測定した背景音に基づいた、より寮歌な受話音声の明瞭化を図ることのできる音声通信装置を提供することができる。
また、本発明によれば、送話者に聞こえる受話音声の音質を大きく劣化することなく受話音声の明瞭化を図ることのできる音声通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る移動電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る音声入出力処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る送話抽出フィルタの周波数特性を示す図である。
【図4】等ラウドネスレベル曲線、静寂環境下と騒音環境下でのラウドネス曲線、及び、静寂環境下と騒音環境下で同ラウドネスを得るためのゲインを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るラウドネス補償制御部とゲイン調整部の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る音声入出力処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る音声入出力処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る音声入出力処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る背景音用マイクの配置と実装の形態を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る音声入出力処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る音声入出力処理部の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る音声入出力処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:移動電話機、2:移動電話網、11:通信処理部、12:音声入出力処理部、13:操作入力部、14:表示装置、15:制御部、16:筐体、17:吸音材、21:送話用マイク、22:送話抽出フィルタ、23:背景音抽出フィルタ、24:入力レベル算出部、26:受話レベル算出部、27:ラウドネス補償制御部、28:ゲイン調整部、29:スピーカ、31:ハイパスフィルタ、32:送話パワー算出部、33:遅延部、34:入力パワー算出部、35:加算器、36:疑似近接効果フィルタ、37:送話パワー算出部、51:背景音レベル補正部、52:周波数帯域ゲインテーブル選択部、53:ゲインテーブルメモリ、54:フィルタバンク、55:可変ゲイン部、56:加算器、61:送話用マイク、62:送話抽出フィルタ、63:背景音レベル算出部、64:受話レベル算出部、65:ラウドネス補償制御部、66:ゲイン調整部、67:スピーカ、68:背景音用マイク、81:第1マイク、82:第2マイク、83:遅延部、84:適応フィルタ、85:加算器、91:送話用マイク、92:送話抽出フィルタ、93:適応フィルタ、94:加算器、95:背景音レベル算出部、96:受話レベル算出部、97:ラウドネス補償制御部、98:ゲイン調整部、99:スピーカ、100:背景音用マイク、101:適応フィルタ、102:加算器、103:エコーキャンセラ。
Claims (3)
- 双方向の音声通信を行う音声通信装置であって、
受話音声を出力するスピーカと、
送話音声を集音する単一指向性もしくは両指向性のマイクロフォンと、
前記マイクロフォン出力に生じる近接効果をキャンセルするように前記マイクロフォンの出力の周波数特性を操作し、送話信号として出力する送話信号生成フィルタと、
前記送話信号生成フィルタが出力した送話信号に疑似的に前記近接効果を与える疑似近接効果フィルタと、
前記マイクロフォンの出力のパワーから、前記疑似近接効果フィルタの出力のパワーを減算して、背景音のパワーレベルを測定する背景音レベル測定手段と、
前記背景音レベル測定手段が測定した背景音のパワーレベルに応じて、前記スピーカに出力する受話音声のゲインを調整する受話音声明瞭化手段と、
前記送話信号生成フィルタが出力した送話信号を前記音声通信で送信する送信手段とを有することを特徴とする音声通信装置。 - 請求項1記載の音声通信装置であって、
前記音声通信で受信した受話信号のレベルを所定の周波数帯域毎に測定する受話レベル測定手段を有し、
前記背景音レベル測定手段は、前記背景音のパワーレベルを前記所定の周波数帯域毎に測定し、
前記受話音声明瞭化手段は、前記所定の周波数帯域毎に、前記受信信号のゲインを、前記背景音のパワーレベルによらずに前記受話音声が人間の聴覚上同程度の大きさに聞こえるように調整し、前記受話音声として前記スピーカに出力するラウドネス補償を行うことを特徴とする音声通信装置。 - 請求項1または2記載の音声通信装置であって、
当該音声通信装置は、無線通信によって前記音声通信を行う携帯型の移動電話機であることを特徴とする音声通信装置。
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