JP6490152B2 - 蓄冷材および蓄冷式冷凍機 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄冷材およびその蓄冷材を備える蓄冷式冷凍機に関する。
ギフォード・マクマホン式(GM)冷凍機、パルスチューブ冷凍機、スターリング冷凍機、およびソルベー冷凍機等の蓄冷式冷凍機は、冷却対象物を、100K(ケルビン)程度の低温から4Kの極低温までの範囲で冷却することができる。そのような蓄冷式冷凍機は、超電導磁石や検出器等の冷却、クライオポンプ等に用いられている。
例えば、GM冷凍機では、圧縮機で圧縮されたヘリウムガスなどの作動ガスが蓄冷器に導かれ、蓄冷器内の蓄冷材で予冷される。予冷された作動ガスが膨張室で断熱膨張することで作動ガスの温度がさらに下がる。低温の作動ガスは再び蓄冷器を通過し、圧縮機に戻る。この際、作動ガスは、次に誘導される作動ガスのため、蓄冷器内の蓄冷材を冷やしながら、蓄冷器を通過する。この行程を1サイクルとすることにより、周期的に冷却が行われる。
蓄冷式冷凍機では蓄冷材の熱交換効率が冷凍機の冷凍能力を大きく左右する。従来では、例えば本出願人は特許文献1において、ビスマスが塗布またはめっきされた金属網を積層することにより蓄冷材を形成することを提案している。
特開2006−242484号公報
ビスマスの低温域における容積比熱は比較的大きいので、ビスマスを用いることで低温域における蓄冷材の熱容量を大きくすることができる。しかしながら、ビスマスをめっきすることは技術上困難であるか、またはできたとしても手間、コストがかかる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱交換の効率を高めることができる蓄冷材およびその蓄冷材を備える蓄冷式冷凍機の提供にある。
本発明のある態様は、蓄冷材に関する。この蓄冷材は、蓄冷式冷凍機に使用される、積層構造を有する蓄冷材であって、各層には積層方向に沿って気体が通過できるように複数の孔が形成されており、少なくともひとつの層は基材と基材を覆うコーティング層とを含む。20ケルビンから40ケルビンの温度範囲におけるコーティング層の容積比熱は基材の容積比熱より大きい(ただし、コーティング層がビスマスを主成分とする場合を除く)。
本発明の別の態様もまた、蓄冷材である。この蓄冷材は、蓄冷式冷凍機に使用される、積層構造を有する蓄冷材であって、各層には積層方向に沿って気体が通過できるように複数の孔が形成されており、少なくともひとつの層には、ビスマスとスズとの合金またはアンチモンとスズとの合金またはビスマスとアンチモンとスズとの合金によるコーティングが施されている。
本発明のさらに別の態様は、上記の蓄冷材を備える蓄冷式冷凍機である。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、熱交換の効率を高めることができる蓄冷材およびその蓄冷材を備える蓄冷式冷凍機を提供できる。
実施の形態に係る蓄冷材を搭載したGM冷凍機の概略的な構成図である。 図1の第1段蓄冷材の構成を示す模式図である。 低温側の金網の線材の断面図である。 図4(a)、(b)は、各種金属の容積比熱と温度との関係を示すグラフである。 図1の第2段蓄冷材の構成を示す模式図である。 図1のGM冷凍機で実測した第1段冷却ステージの温度と冷凍能力との関係を示すグラフである。 図1のGM冷凍機で実測した第1段冷却ステージの40Kにおける冷凍能力と線材の径の比との関係を示すグラフである。 第1変形例に係る金網の線材の断面図である。 第2変形例に係る金網の線材の断面図である。 第2変形例に係る金網を2枚積層したときの断面図である。 第1段蓄冷材の構成の他の一例を示す模式図である。 図12(a)、図12(b)、及び図12(c)はそれぞれ、第1の線材、第2の線材、及び第3の線材の一例を示す。 図13(a)、図13(b)、及び図13(c)はそれぞれ、第1の線材、第2の線材、及び第3の線材の他の一例を示す。 図14(a)、図14(b)、及び図14(c)はそれぞれ、第1の線材、第2の線材、及び第3の線材の他の一例を示す。
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
<GM冷凍機>
図1は、実施の形態に係る蓄冷材を搭載したGM冷凍機1の概略的な構成図である。GM冷凍機1は、ガス圧縮機3と、冷凍機として機能する2段式のコールドヘッド10とを有する。コールドヘッド10は、第1段冷却部15と、第2段冷却部50とを有し、これらの冷却部は、フランジ12に同軸となるように連結されている。
第1段冷却部15は、中空状の第1段シリンダ20と、この第1段シリンダ20内に、軸方向Qに往復運動可能に設けられた第1段ディスプレーサ22と、第1段ディスプレーサ22内に充填された実施の形態に係る第1段蓄冷材30と、第1段シリンダ20の低温端23b側の内部に設けられ、第1段ディスプレーサ22の往復運動により容積が変化する第1段膨張室31と、第1段シリンダ20の低温端23b付近に設けられた第1段冷却ステージ35とを有する。第1段シリンダ20の内壁と第1段ディスプレーサ22の外壁との間には、第1段シール39が設けられている。
第1段シリンダ20の高温端23aには、第1段蓄冷材30に対してヘリウムガスを流出入させるため、複数の第1段高温側流通路40−1が設けられている。また、第1段シリンダ20の低温端23bには、第1段蓄冷材30および第1段膨張室31にヘリウムガスを流出入させるため、複数の第1段低温側流通路40−2が設けられている。
第2段冷却部50は、第1段冷却部15と略同様の構成を有し、中空状の第2段シリンダ51と、第2段シリンダ51内に軸方向Qに往復運動可能に設けられた第2段ディスプレーサ52と、第2段ディスプレーサ52内に充填された実施の形態に係る第2段蓄冷材60と、第2段シリンダ51の低温端53bの内部に設けられ、第2段ディスプレーサ52の往復運動により容積が変化する第2段膨張室55と、第2段シリンダ51の低温端53b付近に設けられた第2段冷却ステージ85とを有する。第2段シリンダ51の内壁と第2段ディスプレーサ52の外壁との間には、第2段シール59が設けられている。第2段シリンダ51の高温端53aには、第2段蓄冷材60に対してヘリウムガスを流出入させるため、第2段高温側流通路40−3が設けられている。また、第2段シリンダ51の低温端53bには、第2段膨張室55にヘリウムガスを流出入させるため、複数の第2段低温側流通路54−2が設けられている。
GM冷凍機1において、ガス圧縮機3からの高圧のヘリウムガスは、高圧バルブ5および配管7を介して、第1段冷却部15に供給され、また、低圧のヘリウムガスは、第1段冷却部15から配管7および低圧バルブ6を介して、ガス圧縮機3に排気される。第1段ディスプレーサ22および第2段ディスプレーサ52は、駆動モータ8により、軸方向Qに沿って往復運動する。また、これに連動して、高圧バルブ5および低圧バルブ6の開閉が行われ、ヘリウムガスの吸排気のタイミングが制御される。
第1段シリンダ20の高温端23aは、例えば室温に設定され、低温端23bは、例えば20K〜40Kに設定される。第2段シリンダ51の高温端53aは、例えば20K〜40Kに設定され、低温端53bは、例えば4Kに設定される。
以上のように構成されたGM冷凍機1の動作について説明する。
高圧バルブ5が閉、低圧バルブ6が閉の状態で、第1段ディスプレーサ22および第2段ディスプレーサ52が、それぞれ、第1段シリンダ20および第2段シリンダ51内の下死点にあるとする。
ここで、高圧バルブ5を開状態とし、バルブ6を閉状態とすると、ガス圧縮機3から、高圧のヘリウムガスが第1段冷却部15に流入する。高圧のヘリウムガスは、第1段高温側流通路40−1から第1段ディスプレーサ22の内部に流入し、第1段蓄冷材30によって所定の温度まで冷却される。冷却されたヘリウムガスは、第1段低温側流通路40−2から第1段膨張室31に流入する。
第1段膨張室31へ流入した高圧のヘリウムガスの一部は、第2段高温側流通路40−3から第2段ディスプレーサ52の内部に流入する。このヘリウムガスは、第2段蓄冷材60によって、さらに低い所定の温度まで冷却され、第2段低温側流通路54−2から第2段膨張室55に流入する。これらの結果、第1段膨張室31および第2段膨張室55内は、高圧状態となる。
次に、第1段ディスプレーサ22および第2段ディスプレーサ52が上死点に移動するとともに、高圧バルブ5が閉じられる。また、バルブ6が開かれる。これにより、第1段膨張室31および第2段膨張室55内のヘリウムガスは、高圧の状態から低圧の状態となり、体積が膨張する。その結果、第1段膨張室31および第2段膨張室55内のヘリウムガスの温度がさらに下がる。また、これにより、第1段冷却ステージ35および第2段冷却ステージ85がそれぞれ冷却される。
次に、第1段ディスプレーサ22および第2段ディスプレーサ52は、下死点に向かって移動される。これに伴い、低圧のヘリウムガスは、上記の逆の順路を通り、第1段蓄冷材30および第2段蓄冷材60をそれぞれ冷却しつつ、バルブ6および配管7を介してガス圧縮機3に戻る。その後、バルブ6が閉じられる。
以上の動作を1サイクルとし、上記動作を繰り返すことにより、第1段冷却ステージ35、第2段冷却ステージ85において、それぞれに熱接続された冷却対象物(不図示)から熱を吸収し、冷却することができる。
<蓄冷材>
図2は、第1段蓄冷材30の構成を示す模式図である。第1段蓄冷材30は、N枚(Nは2以上の自然数)のシート状の金網32−1〜32−Nを積層方向Pに沿って積層してなる積層構造を有する。積層方向Pはコールドヘッド10の軸方向Qすなわち第1段ディスプレーサ22の移動方向と略平行である。コールドヘッド10は、ヘリウムガスが、第1段ディスプレーサ22内を第1段ディスプレーサ22の移動方向に沿って移動するよう構成されている。したがって、積層方向Pはヘリウムガスの移動方向と略平行である。言い換えると、ヘリウムガスは第1段蓄冷材30を積層方向Pに沿って移動する。
各層を構成する金網32−1〜32−Nは所定の線径および所定の材質を有する線材を織り込むことにより形成されている。各層を構成する金網32−1〜32−Nによって規定される面は積層方向Pと略直交する。ヘリウムガスは、第1段蓄冷材30を積層方向Pに沿って流れるとき、各層を構成する金網32−1〜32−Nの複数の開口33を通過する。
N枚の金網32−1〜32−Nのうちの高温側の金網は銅またはステンレス鋼の線材37を織り込むことにより形成されている。N枚の金網32−1〜32−Nのうちの低温側の金網は、高温側の金網の線材37とは異なる線材34を織り込むことにより形成されている。低温側の金網は、例えばGM冷凍機1の通常動作時に50K以下となる金網である。
図3は、低温側の金網の線材34の断面図である。線材34は、基材34aとその基材34aを覆うコーティング層34bとを含む。基材34aは銅系材料またはステンレス鋼により形成される。銅系材料は例えばリン青銅、丹銅、純銅、タフピッチ銅または無酸素銅であってもよい。コーティング層34bは、亜鉛、スズ、銀、インジウムまたは金のいずれかひとつもしくはそれらのうちの少なくとも2つを含む合金により形成される。特に、コーティング層34bは基材34aをめっき処理することにより形成される。
基材34aおよびコーティング層34bの材料を選択する際の思想は以下の通りである。
(1)20ケルビンから40ケルビンの温度範囲におけるコーティング層34bの容積比熱(volumetric specific heat)を基材34aの容積比熱より大きくする。また、50ケルビンにおけるコーティング層34bの容積比熱を50ケルビンにおける基材34aの容積比熱より大きくする。
図4(a)、(b)は、各種金属の容積比熱と温度との関係を示すグラフである。これらのグラフを参照すると、20ケルビンから40ケルビンの温度範囲における亜鉛、スズ、銀、インジウムおよび金のそれぞれの容積比熱は銅の容積比熱より大きい。また、50ケルビンにおける亜鉛、スズ、銀、インジウムおよび金のそれぞれの容積比熱は50ケルビンにおける銅の容積比熱より大きく、かつ、50ケルビンにおけるビスマスの容積比熱は50ケルビンにおける銅の容積比熱より小さい。
(2)20ケルビンから40ケルビンの温度範囲における基材34aの熱伝導率をコーティング層34bの熱伝導率より大きくする。
(3)コーティング層34bの展性または延性もしくはその両方(すなわち、展延性)をビスマスのそれよりも高くする。展延性とは、固体の物質の力学的特性(塑性)の一種で、素材が破断せずに柔軟に変形する限界を示す。展延性は延性と展性に分けられる。物質科学において、延性は特に物質に引っ張る力を加えた際の変形する能力を指し、針金状に延ばせる能力で表されることが多い。一方展性は圧縮する力を加えた際の変形する能力を指し、鍛造や圧延で薄いシート状に成形できる能力で表されることが多い。ビスマスの展性は比較的低く、引っ張る力にも弱い。これに対して亜鉛、スズ、銀、インジウムおよび金はいずれも展性も延性も比較的高い。
なお、コーティング層34bはスズめっきによって形成されることが好ましい。スズは古くからよく知られている、なじみ深い金属材料のひとつである。鉄板上の溶融スズめっきはブリキとして知られているし、鉛との合金ははんだとして金属同士の接合に古くから利用されている。近年、めっき浴の改良が進み、光沢性、はんだ性、防食性の一段と優れた光沢スズめっきが得られるようになっている。スズめっきの硬度を以下の表に示す。
Figure 0006490152
この表に示されるように、光沢スズの硬度は30〜60Hvであり、無光沢スズの3〜8Hvよりも高い。したがって、基材34aをスズで光沢めっきすることによりコーティング層34bを形成すると、コーティング層34bの硬度を高めることができるので好ましい。
図5は、第2段蓄冷材60の構成を示す模式図である。第2段蓄冷材60は高温側の部分62と低温側の部分64とで異なる構成を有する。高温側の部分62は第1段蓄冷材30の低温側と同様に構成される。すなわち、高温側の部分62は複数枚のシート状の金網を積層方向(すなわち、軸方向Q)に沿って積層してなる積層構造を有する。この金網の線材は、基材34aに対応する基材とコーティング層34bに対応するコーティング層とを含む。
低温側の部分64は、HoCu等の磁性材料やビスマスや鉛の玉を複数含んで構成される。
第2段蓄冷材60は、高温側の部分62と低温側の部分64との境界66の温度がGM冷凍機1の通常動作時に10K程度となるよう構成される。
本実施の形態に係る蓄冷材30、60を備えるGM冷凍機1によると、GM冷凍機1の通常動作時に10K〜50Kとなる蓄冷材30、60の部分の比熱を高めることができる。したがって、蓄冷材30、60における熱交換の効率を高めることができる。その結果、GM冷凍機1の冷凍能力を高めることができる。
図6は、GM冷凍機1で実測した第1段冷却ステージ35の温度と冷凍能力との関係を示すグラフである。図6に示されるグラフにおいて、黒塗りの三角は第1段蓄冷材の金網にスズめっきを施さない場合のデータを示し、黒塗りの四角は第1段蓄冷材30の低温側の金網にスズめっきを施した場合のデータを示す。このグラフから、50K以下の温度範囲において、スズめっきを施した場合の第1段冷凍能力は、スズめっきを施さない場合の第1段冷凍能力よりも大幅に向上していることが分かる。特に、40Kでの第1段冷凍能力は、めっき無しの場合の46.8Wから、めっきを施すことにより53.4Wに向上しており、率にして約14%向上している。また、30Kでの第1段冷凍能力はめっき無しの場合の19.0Wから、めっきを施すことにより36.4Wに向上しており、率にして約91%向上している。
図7は、GM冷凍機1で実測した第1段冷却ステージ35の40Kにおける冷凍能力と線材34の径の比との関係を示すグラフである。線材34の断面における基材34aの直径をd1、コーティング層34bの外径をd2(図3を参照)と称すとき、線材34の径の比はd2/d1で与えられる。冷凍能力は、d2/d1=1.4を略中心とするピークを描いている。これは、コーティング層34bが薄すぎるとコーティング層34bによる比熱増大効果が薄れ、一方でコーティング層34bが厚すぎると金網の開口が小さくなって流路抵抗が増大するかまたは基材34aが細くなって熱伝導が悪くなるからである。したがって、これらの影響が拮抗するようd2/d1を1.3から1.5の範囲とすることがより好適である。
また、本実施の形態に係る蓄冷材30、60を備えるGM冷凍機1では、20ケルビンから40ケルビンの温度範囲における基材34aの熱伝導率はコーティング層34bの熱伝導率より大きい。したがって、基材34aの熱伝導率を比較的大きくすることで基材34aを通じた熱伝導を促進し、蓄冷材30、60の径方向(積層方向Pに直交する方向)における温度差を低減することができる。これは蓄冷材30、60における熱交換の効率の向上に寄与する。
すなわち、本実施の形態に係る蓄冷材30、60によると、蓄冷材30、60の熱容量を高めつつ熱伝導を高めて温度勾配を低減することができる。
なお、銅系材料のなかでもより熱伝導率が大きい材料、例えばリン青銅よりも熱伝導率が大きい丹銅、純銅、タフピッチ銅または無酸素銅を採用すると好適である。
また、本実施の形態に係る蓄冷材30、60を備えるGM冷凍機1では、コーティング層34bは比較的展延性の良い材料により形成される。したがって、金網をディスプレーサ22、52に充填する際、機械的接触や応力、こすれ等により金網のコーティング層34bが破壊される可能性を低減できる。また、GM冷凍機1の通常動作中、蓄冷材30、60はディスプレーサ22、52と一緒に往復運動するが、その際に振動によってコーティング層34bが破壊される可能性を低減することができる。
また、本実施の形態に係る蓄冷材30、60を備えるGM冷凍機1では、第1段蓄冷材30は、N枚のシート状の金網32−1〜32−Nを積層方向Pに沿って積層してなる積層構造を有する。したがって、蓄冷材として複数の玉を採用する場合と比較して圧力損失を低減することができる。
以上、実施の形態に係る蓄冷材30、60を備えるGM冷凍機1の構成および動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、N枚の金網32−1〜32−Nのうちの低温側の金網の線材34について、コーティング層34bが最外層である場合について説明したが、これに限られない。
図8は、第1変形例に係る金網の線材134の断面図である。金網の線材134は、基材34aに対応する基材134aと、コーティング層34bに対応するコーティング層134bと、コーティング層134bを覆う保護層134cと、を含む。保護層134cは、ビスマスまたはアンチモンもしくはそれらの合金により形成される。あるいはまた、保護層134cは光沢スズまたはクロムにより形成されてもよい。
本変形例によると、比較的軟らかいコーティング層134bを比較的硬い保護層134cで覆うので、コーティング層134bの損傷を低減することができる。
なお、アンチモンまたはビスマスをコーティング層134bの材料に混合させ、それらを同時にコーティングしてもよい。この場合、アンチモンまたはビスマスの体積配合比は0.01%〜49.99%であることが好ましい。
実施の形態では、線材34の断面は等方的すなわち円形である場合について説明したが、これに限られない。
図9は、第2変形例に係る金網の線材234の断面図である。線材234は、基材234aとその基材234aを覆うコーティング層234bとを含む。基材234aは銅系材料またはステンレス鋼により形成される。銅系材料は例えばリン青銅、丹銅、純銅、タフピッチ銅または無酸素銅であってもよい。コーティング層234bは、亜鉛、スズ、銀、インジウムまたは金のいずれかひとつもしくはそれらのうちの少なくとも2つを含む合金により形成される。
線材234の断面の積層方向Pにおける幅W1は、断面内で積層方向Pと交差する、特に直交する直交方向Rにおける幅W2よりも小さい。特に線材234の表面は、積層方向Pで互いに対向する2つの平面部236、238を有する。このような線材234は、例えば断面が円形の基材を圧延処理し、そのように処理された基材をスズめっきすることにより形成されてもよい。
図10は、第2変形例に係る金網を2枚積層したときの断面図である。線材234からなる金網を積層方向Pに沿って積層すると、上側の金網の線材234の下側平面部238と、下側の金網の線材234の上側平面部236とが接触する。このとき、それらの接触面積は、例えば線材の断面が円形の場合よりも大きくなる。したがって、充填時の接触応力を分散させることができ、コーティング層の損傷を低減することができる。
実施の形態では、コーティング層34bの材料としてスズを使用する一方、コーティング層34bはビスマスを主成分としない場合について説明したが、これに限られない。例えば、コーティング層は、ビスマスとスズとの合金またはアンチモンとスズとの合金またはビスマスとアンチモンとスズとの合金であってもよい。
スズには常温に近い温度にβスズとαスズの転移点が存在する。αスズへの転移では展性が失われ、同時に大幅に体積が増加する。通常の温度範囲では不純物などの影響によりこの転移はほとんど進まないが、極地方のような酷寒の環境においては転移が進行する場合があり、スズ製品が膨らんでぼろぼろになってしまう現象が生じる。この現象はスズ製品の一部分から始まりやがて全体に広がるため、伝染病に喩えてスズペストと呼ばれる。
スズではこの同素変態によってその物性が大きく変化する。βスズからαスズには物理的には摂氏13.2度で変態するが、実際に反応が進むのは摂氏−10度の低温領域からであり、摂氏−45度でその反応速度は最大になる。本変形例によると、コーティング層はβスズにアンチモンまたはビスマスもしくはその両方を不純物として添加することにより形成される。したがって、上記のような同素変態を抑制することができる。なお、アンチモンまたはビスマスもしくはその両方の体積配合比は0.01%から49.99%であることが好ましい。
実施の形態では、第1段蓄冷材30及び/または第2段蓄冷材60が低温側に高温側と異なる金網を有する場合(つまり、二種類の金網が積層されている場合)について説明したが、これに限られない。ある実施の形態においては、第1段蓄冷材30及び/または第2段蓄冷材60は、三種類またはそれより多数の種類の金網を有し、温度領域ごとに異なる種類の金網が積層されていてもよい。
例えば、図11に示されるように、第1段蓄冷材100は、最も高温側の第1部分101と、中間温度の第2部分102と、最も低温側の第3部分103と、を備えてもよい。第1部分101の低温側が第2部分102の高温側に隣接し、第2部分102の低温側が第3部分103の高温側に隣接する。
第1部分101、第2部分102、及び第3部分103はそれぞれ、少なくとも一枚の金網、通常は複数枚の金網を有する。第1部分101には、第1の線材で形成されている第1の金網が積層されている。同様に、第2部分102には第2の線材で形成されている第2の金網が積層され、第3部分103には第3の線材で形成されている第3の金網が積層されている。第1の線材、第2の線材、及び第3の線材は、いくつかの具体例を以下に説明するように、互いに異なっており、従って、第1の金網、第2の金網、及び第3の金網はそれぞれ異なる種類の金網である。
第1の線材、第2の線材、及び第3の線材は、基材に対するコーティングの容積比に関して互いに異なっており、具体的には、この容積比が低温側ほど大きい。例えば、線材の断面(正確には、線材の長手方向に垂直な平面による断面)における基材に対するコーティングの面積比が低温側ほど大きくなるように温度領域ごとに異なる種類の線材からなる金網が積層されて、第1段蓄冷材100が構成されている。例えば、線材の断面が円形である場合には、上述のd2/d1が低温側ほど大きくなる。したがって、第1段蓄冷材100においては、低温側ほど、一層あたりのコーティング材料の量が多く、一層あたりの熱容量が大きい。このようにして、低温側での熱交換の効率を高め、GM冷凍機1の冷凍能力を向上させることができる。
図12(a)、図12(b)、及び図12(c)はそれぞれ、第1の線材104、第2の線材105、及び第3の線材106の一例を示す。第1の線材104、第2の線材105、及び第3の線材106それぞれの断面が図示されている。
第1の線材104は、基材を備える。第1の線材104は、コーティングを有しない。第2の線材105は、基材105aと、基材105aを覆うコーティング層105bと、を備える。第3の線材106は、基材106aと、基材106aを覆うコーティング層106bと、を備える。
第1の線材104、第2の線材105の基材105a、及び第3の線材106の基材106aは、同一の断面寸法を有する。よって、第1の線材104、第2の線材105の基材105a、及び第3の線材106の基材106aは、外径が等しい。一方、第3の線材106のコーティング層106bは、第2の線材105のコーティング層105bよりも厚い。したがって、第2の線材105は第1の線材104より太く、第3の線材106は第2の線材105より太い。
第3の線材106が第2の線材105より太いので、第3の金網は線材間の開口が第2の金網より狭くなりうる。しかし、第3の金網は第2の金網より低温側に配置され、低温側ではヘリウムガスの粘度が低いので、第3部分103における圧力損失の増加(ひいては冷凍能力の低下)は抑制される。そのため、コーティングを厚くすることによる熱交換の効率改善は圧力損失の増加に優ると考えられる。よって、GM冷凍機1の冷凍能力を向上させることができる。
図13(a)、図13(b)、及び図13(c)はそれぞれ、第1の線材104、第2の線材105、及び第3の線材106の他の一例を示す。図示されるように、第1の線材104は第2の線材105の基材105aと同一の断面寸法を有するが、第3の線材106の基材106aは第2の線材105の基材105aより細い。よって、第3の線材106のコーティング層106bを第2の線材105のコーティング層105bより厚くすることができる。また、第3の線材106の基材106aが細いので、第3の線材106は第2の線材105と太さを等しくすることができる。したがって、図12(c)に示す例に比べて、第3部分103における圧力損失の増加をさらに抑制することができる。なお、この場合、第3の線材106は第2の線材105より太くして、コーティング層106bをより厚くしてもよい。
図14(a)、図14(b)、及び図14(c)はそれぞれ、第1の線材104、第2の線材105、及び第3の線材106の他の一例を示す。図示されるように、第2の線材105の基材105aは第1の線材104より細く、第3の線材106の基材106aは第2の線材105の基材105aと同じである。このようにすれば、第2部分102における圧力損失の増加を抑制することができる。この場合、第2の線材105は、第1の線材104と太さが等しいかそれより太くてもよい。
実施の形態では、第1段蓄冷材30は、N枚のシート状の金網32−1〜32−Nを積層方向Pに沿って積層してなる積層構造を有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、第1段蓄冷材は、複数の孔が形成された金属板または多孔金属板を複数枚積層してなる積層構造を有してもよい。この場合、低温側の金属板にめっきによるコーティング層が設けられてもよい。第2段蓄冷材60についても同様である。
実施の形態では、GM冷凍機1を例として説明したが、これに限られず、実施の形態に係る蓄冷材は他の種類の蓄冷式冷凍機、例えばGM型またはスターリング型パルスチューブ冷凍機、スターリング冷凍機、ソルベー冷凍機に搭載されてもよい。
実施の形態に係る蓄冷材を搭載したGM冷凍機1は、超伝導マグネット、クライオポンプ、X線検出器、赤外線センサ、量子光子検出器、半導体検出器、希釈冷凍機、He3冷凍機、断熱消磁冷凍機、ヘリウム液化機、クライオスタット等における冷却手段または液化手段として使用されてもよい。
1 GM冷凍機、 3 ガス圧縮機、 10 コールドヘッド、 15 第1段冷却部、 20 第1段シリンダ、 22 第1段ディスプレーサ、 30 第1段蓄冷材、 35 第1段冷却ステージ、 50 第2段冷却部、 51 第2段シリンダ、 52 第2段ディスプレーサ、 85 第2段冷却ステージ。

Claims (7)

  1. 蓄冷式冷凍機に使用される、積層構造を有する蓄冷材であって、
    各層には積層方向に沿って気体が通過できるように複数の孔が形成されており、
    少なくともひとつの層は基材と前記基材を覆うコーティング層とを含み、
    前記基材は、銅系材料またはステンレス鋼により形成され、
    20ケルビンから40ケルビンの温度範囲における前記コーティング層の容積比熱は前記基材の容積比熱より大きく、前記コーティング層は、亜鉛、スズ、または銀のいずれかひとつもしくはそれらのうちの少なくとも2つを含む合金により形成される(ただし、前記コーティング層がビスマスを主成分とする場合を除く)ことを特徴とする蓄冷材。
  2. 前記温度範囲における前記コーティング層の熱伝導率は前記基材の熱伝導率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の蓄冷材。
  3. 50ケルビンにおける前記コーティング層の容積比熱は、50ケルビンにおける前記基材の容積比熱より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の蓄冷材。
  4. 前記少なくともひとつの層は網状の構造を有し、その線材の断面の積層方向における幅は、積層方向と交差する交差方向における幅よりも小さいことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の蓄冷材。
  5. 前記少なくともひとつの層の線材の表面は、積層方向で互いに接触する2つの平面部を有することを特徴とする請求項に記載の蓄冷材。
  6. 前記少なくともひとつの層は網状の構造を有し、その線材の断面における基材の直径でコーティングの外径を除した値は1.3から1.5の範囲にあることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の蓄冷材。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の蓄冷材を備えることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
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