以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
[内視鏡システム]
図1は、本技術の一実施形態に係る内視鏡システムの構成例を模式的に示す図である。本実施形態に係る内視鏡システム100は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)1と、内視鏡装置2と、プロセッサユニット3とを有する。本実施形態に係る内視鏡システム100は、内視鏡手術の際、HMD1を装着した術者(ユーザ)が、患者の体内に内視鏡装置2を挿入し、内視鏡装置2によって撮像された患部の様子をHMD1によって確認しながら、患部に対して切除等の処置をするために用いられる。
内視鏡装置2は、例えば挿入部21と、操作部22とを有する。挿入部21は、体内に挿入されることが可能な管状の構造を有し、患部を撮像するための図示しないCMOSイメージセンサ等の撮像素子や、レンズ等の光学系を内蔵している。また、本実施形態において、撮像素子及び光学系等は、視差を有する右目用、左目用の画像を撮像するために、2個ずつ配置されている。これにより、患部を立体的に表示できる3D画像のデータを取得することができる。
操作部22は、手術助手等に把持され、挿入部21の操作等が可能に構成される。また、操作部22は、ケーブル23を介してプロセッサユニット3に接続されている。
プロセッサユニット3は、例えば内視鏡装置2によって取得された画像の処理等を行う画像処理部31や、内視鏡装置2による撮像時に患部を照射する光源32、あるいはHMD1へ出力する画像に関する信号を変換処理するための変換部33等を含む。光源から照射された光は、例えば挿入部21の内部に配置された導光用のファイバ等を介して挿入部21の先端へ導光される。
また、画像処理部31では、撮像された右目用及び左目用の画像を重ね合わせ、3D画像データとして処理することができる。当該3D画像データは、例えばケーブル36等を介してモニタ装置Mに出力され、HMD1を装着したユーザ以外の補助者等にも、術中の患部が確認できるように構成される。
HMD1は、プロセッサユニット3と電気的に接続され、内視鏡装置2を操作する手術助手等に対し内視鏡画像を観察しながら指示を行うユーザに装着される。HMD1とプロセッサユニット3との接続方法は、有線でも無線でも特に限られないが、本実施形態では、例えばディスプレイポート端子により出入力されるケーブル35によって有線で接続されている。
内視鏡装置2によって撮像された右目用及び左目用の画像に関する信号は、画像処理部31によって画像信号として処理された後、変換部33でHMD1に適合する画像データとしてそれぞれ処理され、ケーブル35を介してHMD1に出力される。なお、プロセッサユニット3は、ケーブル35を介してHMD1へ駆動電力を供給するよう構成されてもよい。
なお、HMD1への出力信号を処理する変換部33は、画像処理部31等と同一の筐体に含まれる図示の例に限られず、画像処理部31等とは別個の筐体に収容されることも可能である。
次に、本実施形態に係るHMD1の詳細な構成について説明する。
[HMD]
図2〜4は、本実施形態に係るHMD1の構成を示す図であり、図2は斜視図、図3はx軸方向から見た断面図、図4は内部構成を示すブロック図である。HMD1は、表示部4と、支持機構7を含む装着部5とを有する。
なお、図中のx軸方向及びy軸方向はHMD1が属するxyz座標系における水平方向を示す。x軸方向は、「第2の軸方向」であり、HMD1の左右方向とする。y軸方向は、「第1の軸方向」であり、x軸方向と直交するHMD1の前後方向とする。z軸方向は、x軸方向とy軸方向とに直交する方向を示し、HMD1の上下方向とする。なお、HMD1がユーザに装着された状態においても同様に、x軸方向をユーザの左右方向とし、y軸方向をユーザの前後方向とし、z軸方向をユーザの上下方向とする。
本実施形態に係るHMD1は、例えばゴーグル形状の非透過型のHMDで構成される。また、表示部4には、後述する装着部5が取り付けられており、装着部5がユーザの頭部に装着されることで、表示部4がユーザの左右の目の前に配置されるよう構成される。
以下、各部の構成について説明する。
(表示部)
表示部4は、筐体41と、左目用及び右目用の表示面(表示面)42と、左目用及び右目用の表示素子43と、画像生成部44とを有する。なお、表示面(表示面)42と、表示素子43とは、左目用及び右目用のいずれも同様の構成であるため、同一の符号を付して説明する。
表示部4は、内視鏡装置2によって撮像された所定の画像をユーザに提示する画像表示装置として構成される。具体的には、まず、画像生成部44が、プロセッサユニット3を介して取得された画像データに基づき、左右の表示素子43へそれぞれ出力するための画像信号を生成する。次に、表示素子43が、これらの画像信号に応じた画像光をそれぞれ表示面42へ出射し、ユーザに画像が提示される。
筐体41は、全体として、ユーザの左右の目を被覆して顔面にフィットするように構成される。筐体41は、全体としてy軸方向に膨出する半円盤状に形成され、ユーザの眼前を覆うように構成される。
また筐体41は、ユーザの左右の目と対向しy軸方向に略直交する接眼面411を含む。接眼面411は、ユーザの左右の目の前に近接して対向するように構成され、例えば中央部には、ユーザの鼻の形状にあわせて切り欠きが形成されていてもよい。
筐体41の上面には、後述するパッド部51が配置される。パッド部51は、装着時にユーザの額に接触し、表示部4の装着位置を固定する。また、筐体41の上面には、取付孔412がそれぞれ形成された一対の突起が配置される。一対の取付孔412は、x軸方向に対向し、後述する支持機構7の補助部材73が取り付けられる。
筐体41の左右の側面は、それぞれ後述する装着部5の左右の接続部材61,62と連接する。
このような構成の筐体41により、装着時にユーザの眼前をほぼ完全に被覆することができ、ユーザの目に外光が入射せずより画像を見やすくすることができる。
筐体41の内部には、表示素子43、画像生成部44等が収容される。なお、筐体41の形状は、これらの要素を収容可能で、かつユーザの眼前を被覆できれば上記の半円盤状に限られず、例えば直方体状でもよい。
接眼面411には、表示面42がx軸方向に沿って配列されている。表示面42は、出射する画像光の光軸がy軸方向と平行になるように、y軸方向と直交するよう配置される。
表示面42は、内視鏡装置2により撮像され、所定の処理がなされた右目用及び左目用の画像を、ユーザの左目及び右目にそれぞれ表示することが可能に構成される。表示面42の形状及び大きさは特に限られないが、本実施形態において、縦約16mm、横約30mmの矩形状でそれぞれ構成される。表示面42を形成する材料は、透過性を有すれば特に限られず、例えばプラスチック板、ガラス板等が採用される。
画像生成部44は、本実施形態において、プロセッサユニット3から送信された右目用及び左目用の画像データをHMD1用の画像信号に変換する、画像データ変換回路等で構成される。画像生成部44は、ケーブル35と接続されたディスプレイポート入力端子441から内視鏡画像データを取得する。
さらに画像生成部44は、当該画像データに所定のずらし処理等を行い、HMD1に適した左目用及び右目用の画像信号を生成してもよい。これにより、ユーザに対し所望の3D画像を提示することが可能となる。当該ずらし処理におけるずらし量は、例えばHMD1の表示素子43と目の距離、両目の間隔、あるいは後述する虚像位置等から算出される。
画像生成部44は、生成された左目用及び右目用の画像データを、左右の表示素子43にそれぞれ出力する。
左右の表示素子43は、画像生成部44から入力された画像データに基づいて、左右の表示面42へ向かって画像光を出射する。表示素子43は、例えば、表示面42とy軸方向に対向してそれぞれ配置される。これにより、表示素子43及び表示面42から出射される画像光の光軸は、y軸方向と平行になる。
表示素子43は、本実施形態において、有機EL(Electroluminescence)素子で構成される。表示素子43として有機EL素子を採用することで、小型化、高コントラスト及び迅速な応答性等を実現することができる。
表示素子43は、例えば複数の赤色有機EL素子,緑色有機EL素子,青色有機EL素子等がマトリクス状に配置された構成を有する。これらの各素子は、アクティブマトリクス型、あるいは単純(パッシブ)マトリクス型等の駆動回路によって駆動されることで、それぞれ所定のタイミング、輝度等にて自発光する。また、表示素子43は、上記駆動回路が画像生成部44で生成された画像信号に基づいて制御されることで、表示素子43全体として所定の画像が表示されるよう構成される。
なお、表示素子43は上記構成に限られず、例えば、液晶表示素子(LCD)等を採用することも可能である。
表示素子43と表示面42との間には、光学系として、例えば図示しない複数の接眼レンズがそれぞれ配置される。これらの接眼レンズとユーザの目とを所定距離で対向させることにより、ユーザに対し、所定位置(虚像位置)に表示されるように見える虚像を観察させることが可能となる。虚像位置及び虚像の大きさは、表示素子43及び光学系の構成等によって設定され、例えば、虚像の大きさが映画館サイズの750インチであり、虚像位置がユーザから約20m離れた位置とするように設定される。
ここで、ユーザに虚像を観察させるためには、表示素子43からy軸方向を光軸方向として出射される画像光が、接眼レンズ等により左右の目の網膜上にそれぞれ結像するように、表示部4をユーザに対して配置する。
このことから、ユーザに所定の画像を観察させるためには、表示面42とユーザの左右の目とがそれぞれy軸方向に対向するように表示部4を配置する必要がある。言い換えれば、表示面42が配列されるx軸方向がユーザの左右の目を結んだラインと平行になるよう、ユーザに対して適切な相対位置に配置される。
表示部4の配置が適切な相対位置でない場合には、ピントがぼけた画像となったり、3D画像にブレが生じたりすることで、ユーザは所望の画像を見ることができない。また、内視鏡手術中においてユーザは手指を滅菌しており、長時間にわたりHMD1の装着位置を修正することが難しい。これにより、術前のHMD1の装着に際し、表示部4を適切な相対位置に調整し、さらに装着している間、当該位置がずれないように表示部4を頭部に固定する必要がある。
また、本実施形態に係る表示部4は、光学系として複数の接眼レンズを有するため、例えば約400gの重量となる。したがって、ユーザの頭部に対して表示部4を適切な相対位置に保持するためには、自重によりずれ落ちることのないよう表示部4を支持する必要がある。この場合、装着部材をユーザに対して強い力で締め付けて、その反作用力により表示部4を保持する装着方法が一般的だが、このような装着方法ではユーザに対して負担が大きく、ユーザが痛みや不快感を感じることがあった。
そこで本実施形態に係るHMD1は、以下の装着部5を有することにより、表示部4の装着位置を保持し、かつ装着時にユーザへ与える負担を軽減することが可能となる。
(装着部)
装着部5は、本体6と、支持機構7とを有する。本体6は、表示部4を支持しユーザの頭部に装着される。支持機構7は、表示部4と本体6との間に接続され装着時に上記表示部に対する張力として寄与する付勢力を発生することが可能となる。以下、具体的な構成について説明する。
本体6は、ユーザの頭部に装着される3つの部材から構成される。すなわち本体6は、表示部4と接続されx軸方向(左右方向)に対向する2つ(左右)の接続部材61,62と、接続部材61,62間をアーチ状に連結する連結部材63と、接続部材61,62間に接続され表示部4とy軸方向に対向するバンド部材64とを有する。
接続部材61,62は、一端が表示部4の筐体41の左右の側面に連接し、他端がバンド部材64と接続する。接続部材61,62は、例えばz軸方向から見たときにy軸方向と略平行に延在し、x軸方向から見たときに一部がz軸方向上方に屈折するように構成される。これにより接続部材61,62は、ユーザの装着時に、左右の側頭部から耳介の上部を通ることができ、さらに耳介の裏側に到達してバンド部材64と接続するように配置される。
接続部材61,62は、表示部4に対して左右方向に若干撓むことが可能に構成されてもよい。このような接続部材61,62の材料としては、例えばナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂等が採用される。また、ユーザと接触する側に、例えば発泡ウレタン製のスポンジ等のより柔軟性のある材料を貼り付けてもよい。これにより、よりユーザの装着感を高めることができる。さらにこれらの材料を合成皮革等で包むことにより、手術中に飛散する血液等による汚染を防止し、かつ装着感をより高めることが可能となる。
連結部材63は、全体としてアーチ状に構成される。連結部材63は、両端部がそれぞれ接続部材61,62と接続され、頂部(中央部)で支持機構7と接続される。言い換えれば、連結部材63は、支持機構7と接続された中央部を境に、左側頭部に装着される左アームと、右側頭部に装着される右アームとを有する構造となる。
連結部材63の両端部と接続部材61,62との接続箇所は特に限られないが、例えば接続部材61,62のz軸方向に屈折する部分であれば、より連結部材63を短く構成することができる。また、連結部材63と接続部材61,62との接続方法も特に限られない。例えば接続用の別部材を介してネジ等で固定でもよいし、連結部材63の端部が接続部材61,62内に挿入され嵌合されるように構成してもよい。
連結部材63は、本実施形態において、基材631と、左右の長さ調整機構65とを有する。基材631は、弾性部材71と接続される頂部を含み、湾曲して形成される。左右の長さ調整機構65は、基材631の左右の端部にそれぞれ接続され、接続部材61,62とそれぞれ接続される。なお、左右の長さ調整機構65は、いずれも同様の構成であるため、同一の符号を付して説明する。
基材631は、一般のユーザの頭部の曲率よりも小さい曲率で湾曲するように構成され、例えばSUS等の弾性のある金属等で形成される。このような基材631により、連結部材63は、装着時にユーザの頭部にフィットすることが可能となる。また、基材631と長さ調整機構65との接続方法は特に限られない。例えば、後述する長さ調整機構65のハウジング651の周囲に基材取付部材66が取り付けられ、基材631が基材取付部材66とハウジング651との間に挿入されてネジ等により固定されてもよい。
長さ調整機構65は、支持機構7と接続部材61,62との間の連結部材63の長さを調整することが可能に構成される。長さ調整機構65は、支持機構7を挟んで基材631にそれぞれ接続され、装着時に左右の側頭部に装着される。すなわち、本実施形態に係る長さ調整機構65は、接続部材61,62とそれぞれ接続される端部を含み、連結部材63の左右のアームを構成する。なお左右の長さ調整機構65は、いずれも同様の構成であるため、同一の符号を付して説明する。
図5は、長さ調整機構65の構成例を示す、図3のA−A方向から見た断面図である。長さ調整機構65の構成は特に限られない。例えば、図5に示すように、ハウジング651と、スライダ部材652と、バネ材653とを有し、スライダ部材652がバネ材653を介してハウジング651と係合しつつ、ハウジング651に対してスライダ部材652が移動可能に構成されてもよい。なお、図5において基材631の図示は省略している。
ハウジング651は、基材631に接続し、湾曲して延びる鞘状に形成される。ハウジング651は、内面に波状構造654を有してもよい。波状構造654は、例えば周期的で滑らかな凹凸構造であり、例えばバネ材653の先端部の形状と対応するように構成される。また、波状構造654は、例えばユーザに装着される側に配置されるハウジング651の内面に形成される。
スライダ部材652は、接続部材61(又は接続部材62)に接続し、ハウジング651内に一端が挿入されることが可能に構成される。さらにスライダ部材652は、ハウジング651に対して長手方向に移動可能に構成される。なお、スライダ部材652は、ハウジング651に対して突出する抜止め657を有することにより、ハウジング651から端部が抜け落ちることを防止することができる。
バネ材653は、波状構造654と係合することが可能に形成され、スライダ部材652に保持される。バネ材653の形状は波状構造654と係合可能であれば特に限られないが、図5に示すように、先端部が波状構造654の凹部と係合するように湾曲していてもよい。バネ材653の材料は板バネとして一般に用いられる金属等が採用され、例えばSUS、りん青銅等が挙げられる。
スライダ部材652におけるバネ材653を保持する構成は特に限られない。例えばスライダ部材652は、波状構造654と接しバネ材653が配置される凹部655aが形成された第1の保持部655と、凹部に配置され第1の保持部655との間でバネ材653を挟持する第2の保持部656とを有してもよい。バネ材653は、第1及び第2の保持部655,656に保持されることで、ハウジング651の厚み方向に撓むことが可能に構成される。ここでいう「ハウジング651の厚み方向」とは、波状構造654が形成された内面と略直交する方向とする。
長さ調整機構65は、上記構成例において、以下のように連結部材63の長さを調整する。まず、連結部材63の長手方向にスライダ部材652を所定の大きさ以上の力を付加する。そうすると、バネ材653がハウジング651の厚み方向に撓み、バネ材653と波状構造654の凹部と係合が外れ、当該長手方向にスライダ部材652が移動する。この結果、バネ材653が波状構造654の隣の凹部と係合することとなり、連結部材63の長さが波状構造654の凹凸の周期分変化する。したがって長さ調整機構65は、ステップ状に長さを変更することが可能となり、かつバネ材653の弾性力によりユーザにクリック感を与えることができる。
一方、スライダ部材652を引く力が所定の力未満の場合には、バネ材653の弾性力によりバネ材653と波状構造654の係合状態が保持される。すなわち、連結部材63の長手方向にバネ材653と波状構造との係合が外れるほどの力が発生しない通常の装着時においては、連結部材63の長さが保持され、HMD1の装着状態を維持することができる。
バンド部材64は、例えば全体として一本の帯状に構成され、接続部材61,62に両端部が接続される。バンド部材64と接続部材61,62との接続方法は特に限られず、例えばバンド部材64の端部が挿入孔等を介して接続部材61,62内に挿入され、当該端部が接続部材61,62の内部に接着される方法等を採用することができる。
バンド部材64は、例えば柔軟性のある材料で形成され、具体的にはシリコーンゴム、ウレタンゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマー、ポリプロピレン製等の布及びポリ塩化ビニル等の樹脂材料や、加硫ゴム等を用いることができる。このようなバンド部材64は、ユーザの後頭部の形状にあわせてフィットするように構成されることが可能である。
またバンド部材64は、連結部材63と同様に長さ調整機構を有してもよい。当該機構の構成は特に限られないが、例えば図5に示した長さ調整機構65と同様の、ステップ状に長さが調整可能な構成とすることができる。
以上のような構成の本体6により表示部4及び支持機構7が支持される。支持機構7は、表示部4と連結部材63とに接続され、例えばユーザの前頭部から頭頂部後方にかけて装着される。以下、支持機構7の具体的な構成について説明する。
支持機構7は、弾性部材71と、接触部材72と、補助部材73とを有する。支持機構7は、表示部4側から補助部材73、接触部材72、弾性部材71の順に直列に接続され、弾性部材71が連結部材63と接続される。
弾性部材71は、非装着時に第1の長さとなり、装着時に第1の長さよりも長い第2の長さとなる。例えば第1の長さは、弾性部材71の自然長であり、第2の長さは、弾性力を発揮する長さである。すなわち弾性部材71は、第2の長さ以上に伸長することで、表示部4に対する付勢力としての弾性力を作用する。
弾性部材71は、本実施形態においてバネ711を有する。バネ711は、第2の長さと、第2の長さよりも大きい第3の長さとで一定の弾性力を発生する、いわゆる定荷重バネである。例えば第2の長さは、一定の弾性力を発揮する最小の長さとしてもよい。すなわちバネ711は、第2の長さ以上であれば、ストロークにかかわらずおよそ一定の弾性力を作用する。このようなバネ711としては、例えばサンコースプリング株式会社製の「コンストン(登録商標)」を採用することができる。
図6は、本実施形態に係るバネ711の構成を示す斜視図である。バネ711は、x軸まわりに回転することが可能なホイール712と、ホイール712に巻回されるバネ材713とを含む。
ホイール712は、回転軸Lが嵌合される軸孔が形成され、例えば樹脂や金属等の材料で構成される。回転軸Lは、後述する被覆部材74及びバネ支持部材75とに支持され、本実施形態においてx軸方向と平行に配置される。なお、図2及び図6において、回転軸Lの図示を省略している。
バネ材713は、典型的にはテープ状の金属で構成され、例えばSUSが採用される。バネ材713には、引き出される側の端部に取付孔714が形成される。取付孔714は、接触部材72の後述する第1の接続部721aに対しネジ等により固定される。
バネ711は、接触部材72がホイール712(回転軸L)に対して移動することで、バネ材713がホイール712から引き出され、第1の長さから第3の長さまで長さが変化する。本実施形態においてバネ711の「長さ」は、例えば境界線Bからバネ材713の取付孔714までの長さをいうものとする。なお境界線Bは、バネ材713上の仮想線であり、ホイール712から引き出されたバネ材713がホイール721又はホイール721に巻回されたバネ材713に接する領域と、引き出されたバネ材713がこれらから離間する領域との間の境界線とする。
接触部材72は、表示部4と弾性部材71とに接続され、装着時に弾性部材71が第2の長さとなるようにユーザの頭部に装着される。また接触部材72は、本実施形態において、補助部材73を介して表示部4と接続される。接触部材72は、鞘部材721と、スペーサ722とを含み、鞘部材721とスペーサ722との2段構造として構成される。
鞘部材721は、弾性部材71側の端部に配置される第1の接続部721aと、補助部材73側の端部に配置される第2の接続部721bとを含む。鞘部材721は、全体としてユーザの頭部に沿って形成される細長い構造を有し、本実施形態において、弾性部材71側の端部である後方と、装着時のユーザ側である下方とは開放される。さらに表示部4側の端部である前面には、補助部材73の一端を内部へ挿入させるための挿入孔721cが形成される。鞘部材721を構成する材料としては、樹脂や金属等を適宜採用することができる。
第1の接続部721aは、弾性部材71と接続する。第1の接続部721aは、例えば鞘部材721の上面から内方に向かって突出するように形成され、バネ711の取付孔714と接続される。接続方法としては、例えば第1の接続部721aにネジ孔が形成されることにより、バネ711の取付孔714と当該ネジ孔とを螺合する方法を採用してもよい。またこれに限られず、接着剤等を用いて接続してもよい。
第2の接続部721bは、補助部材73と接続する。第2の接続部721bは、例えば鞘部材721の内部に配置された接着面を有する台座状の構成とすることができる。この場合に第2の接続部721bは、挿入孔721cから挿入された補助部材73の一端を当該接着面上に接着させることで、補助部材73と接続される。また、補助部材73との接続方法は上記に限られず、例えば第1の接続部721aと同様にネジ等を用いる方法でもよい。
さらに鞘部材721は、長手方向に沿って左右の側面に形成される一対の係合溝721dを含む(図2、図7参照)。係合溝721dは、後述する被覆部材74と係合しつつ鞘部材721の長手方向に沿ってスライド可能に構成される。係合溝721dの構成は特に限られず、例えば側面から内部へ貫通する孔として形成されてもよく、あるいは左右の側面に形成された凹部であってもよい。
スペーサ722は、鞘部材721の長手方向に沿って形成され、頭部表面と略垂直方向の厚みを有する。スペーサ722は、鞘部材721のユーザに装着される側に取り付けられ、装着時にユーザと接触する。スペーサ722を構成する材料は特に限られないが、例えば、ユーザの頭部と接触してy軸方向後方の摩擦力を発生し、かつ装着感の高い材料を採用することができる。このような材料として、具体的には、発泡ウレタン製のスポンジ等の柔軟性のある材料が挙げられる。さらに、このような柔軟性のある材料を合成皮革等で包み込むことで、スペーサ722の装着感及びデザイン性をより高めることができる。
補助部材73は、全体として帯状に構成され、一端を接触部材72の第2の接続部721bに、他端を表示部4に接続され、表示部4に対する姿勢を可変に構成される。補助部材73は、本実施形態において、バンド731と、取付具732とを含む。
バンド731は、第2の接続部721bに接続される端部と、取付具732と接続される表示部4側の端部とを含む。バンド731は、例えば柔軟性のある材料で形成され、具体的には、ポリプロピレン製等の布やポリ塩化ビニル等の樹脂材料、ゴム材料等の変形可能な材料を採用することができる。
取付具732は、バンド731の表示部4側の端部に取り付けられ、表示部4の取付孔412と接続される。取付具732は、例えばバンド731の端部と嵌合する溝が形成された矩形の板状に構成され、当該溝の開口と対向してx軸方向に沿った軸部732aが形成される。軸部732aは、表示部4の一対の取付孔412aに対し回動可能に係合する。これにより、補助部材73が、表示部4に対しx軸まわりに回動可能に接続される。また、軸部732aのx軸方向に対向する両端には、x軸方向への取付孔412aからの抜けを防止する一対の抜止め(図示せず)等が形成されていてもよい。
なお、補助部材73の構成は上記に限られない。例えば、別個の取付具を有さず、バンドと取付具とが一体に構成されていてもよい。
さらに支持機構7は、本実施形態において被覆部材74と、バネ支持部材75とを有する。
図7は、支持機構7の要部の構成を示す斜視図であり、具体的には、接触部材72、被覆部材74及びバネ支持部材75の構成を示す。なお、接触部材72は、説明のため右半分を切除した態様を示す。
被覆部材74は、弾性部材71に接続され、接触部材72と係合しつつ接触部材72に対して移動可能に構成される。被覆部材74は、全体として接触部材72の長手方向に沿って形成され、バネ711と、接触部材72の鞘部材721の上面及び左右の側面の一部とを被覆することが可能に構成される。被覆部材74は、バネ711を被覆することで、液体の付着やユーザの接触等によるバネ材713の劣化を防止することができ、かつバネ711の異物の巻き込み等による動作不良を防止することができる。
被覆部材74は、本実施形態においてバネ支持部材75を介してバネ711の回転軸Lまわりに回動可能に接続され、回転軸Lを回転可能に支持するように構成される。なお、図7において回転軸Lの図示を省略している。
被覆部材74は、接触部材72と係合する係合部741を有する。係合部741は、係合溝721dと係合することが可能に構成される。例えば、係合部741は、被覆部材74の左右の側面から被覆部材74の内方(x軸方向)に突出し、長手方向に沿って形成された一対の突起で構成される。
上記構成により、接触部材72は、被覆部材74と係合しつつスライド可能に構成される。すなわち接触部材72は、被覆部材74からy軸方向に引き出され、あるいは被覆部材74へ引き込まれるように移動することが可能となり、円滑に動作することが可能となる。これに伴い、接触部材72と接続される弾性部材71も、第1の長さと第2の長さとの間で伸縮することが可能となる。
バネ支持部材75は、回転軸Lを回転可能に支持するように構成される。本実施形態において、バネ支持部材75は、例えば左右及び前後の側面と下面とを有し、バネ711のホイール712を収容するように構成される。なお本実施形態に係る被覆部材74は、バネ支持部材75に対して回動するように構成されている。
さらにバネ支持部材75の下面には、連結部材63を取り付けることが可能な連結部材取付孔761が形成される。バネ支持部材75は、連結部材取付孔761を介して、例えばネジによって連結部材63と接続される。なおバネ支持部材75と連結部材63との間には、例えばネジが貫通する貫通孔が形成された当て板等の別個の部材をさらに配置することも可能である。
一方、装着部5は、さらにパッド部51を有してもよい。パッド部51は、筐体41の上面に配置され、装着時にユーザの額に接触するように構成される。パッド部51は、バンド部材74とともに表示部4の前後方向の装着位置を固定することが可能に構成される。
パッド部51は、例えばパッド取付機構を介してユーザに対向するように筐体41に取り付けられるパッド本体を有してもよい。パッド取付機構の構成は特に限られないが、例えばx軸方向に伸びる回転軸を有し、パッド本体を筐体41に対しx軸まわりに回動可能に構成してもよい。これによりパッド部51のx軸まわりの角度を変更することが可能となり、個々のユーザにあわせてより快適な装着位置に調整することができる。
またパッド部51は、パッド本体の取付位置をz軸方向に変更可能であってもよい。これによっても、パッド部51の装着位置をより適切なものに調整することができる。
さらにパッド部51は、パッド本体のユーザと接触する側に、発泡ウレタン製等の柔軟なクッション材を配置してもよい。これにより、より装着感を高めることができる。
以上のような構成の装着部5により、表示部4が支持され、ユーザの眼前に装着される。次に、HMD1の装着方法について説明する。
[装着方法]
まずユーザにより左右の接続部材61,62が左右の外方に広げられ、HMD1がユーザの上方から頭部に被せられる。本実施形態において接続部材61,62が弾性を有する材料で構成されるため、上記動作が可能である。このとき表示部4及び接続部材61,62等がユーザの頭頂部から頸部に向かって下降していく。
このとき接触部材72は、まず補助部材74側の端部が頭頂部付近と接触する。そして、表示部4の下降に伴い被覆部材74から引き出されるように前方に移動する。また被覆部材74は、回転軸Lまわりの回動によりユーザの頭頂部前方の形状に沿って装着される。一方連結部材63は、基材631の弾性力により、ユーザの側頭部にフィットしつつ下降する。
このようにして、HMD1全体がユーザの頭部に仮装着される。このとき接続部材61,62は、それぞれユーザの左右の側頭部に配置され、例えば左右のこめかみ付近から耳介の裏側まで延びるように装着される。連結部材63は、例えば左右の耳介の上方で接続部材61,62に接続され、側頭部から頭頂部後方を跨ぐように装着される。また、バンド部材74は、ユーザの後頭部に装着され、例えば左右の耳介の裏側から頸部に近い後頭部にかけて装着される。パッド部51は、ユーザの額に接触している。
次に、表示部4がユーザの目と適切な相対位置となるように、長さ調整機構65によって連結部材63の長さを調整する。すなわち、表示面42と左右の目とがそれぞれy軸方向に対向し、y軸方向を光軸方向として出射される画像光が接眼レンズ等により左右の目の網膜上にそれぞれ結像するように、連結部材63の長さを調整する。
具体的には、ユーザは、表示面42に表示される画像を見ながら、ピントが合い、かつ3D画像のブレ等が生じない、所望の画像となるように表示部4の位置及び連結部材63の長さを調整する。このときの画像は、ピント合わせ専用の画像でもよいし、内視鏡装置2を通じて撮像された画像でもよい。
さらに、バンド部材64が長さ調整機構等を有している場合には、適切な相対位置においてパッド部51がユーザの額を軽く押圧するように当該長さ調整機構を調整することができる。これにより、ユーザの前後の頭部の動きに対してもHMD1が装着位置を保持することができる。なおバンド部材64が弾性材料で形成されている場合は、長さ調整機構等によらず、弾性力によりHMD1の装着位置を保持することが可能となる。
また、上記方法によりHMD1の装着位置を調整する場合には、予めHMD1を起動しておく。起動方法として、例えば、パッド部51が起動スイッチとして機能し、ユーザの額によって押圧された場合に起動するようにしてもよい。
上記装着方法のHMD1を被る過程では、支持機構7の接触部材72が被覆部材74から引き出され、その態様を変化させる。そこで次に、HMD1を被る際の装着部5の動作について支持機構7を中心に説明する。
[装着部の動作]
図8〜10は、本実施形態に係るHMD1を装着する際の、装着部5の動作を説明するための図であり、x軸方向から見た断面図である。なお、図中のHはユーザの頭部を示す。
非装着時のHMD1は、図3に示される。非装着時において、バネ711は自然長の第1の長さであり、接触部材72と被覆部材74との重複する長さは最大となっている。すなわち、弾性部材71は弾性力を生じていない。また、弾性部材71(被覆部材74)及び接触部材72は、x軸方向から見たときにy軸方向と例えば約30°傾いた状態で配置される。
図8は、HMD1の装着を開始した直後の装着部5の態様を示す。接触部材72は、補助部材73側の端部付近のスペーサ722がユーザの頭部に接触している。このとき、未装着状態と同様に、バネ711は自然長の第1の長さであり、接触部材72と被覆部材74との重複する長さは最大である。また、被覆部材74及び接触部材72は、x軸方向から見たときに例えば非装着時と同様に傾斜している。
一方連結部材63は、上述のように、ユーザの側頭部にフィットしつつz軸方向下方に移動する。
図9は、図8に示す態様よりもより深くHMD1を装着した態様を示す。表示部4は、ユーザの前頭部から眼前に向かって下方に移動していく。このとき接触部材72には、補助部材73を介して、表示部4の自重とユーザ等によって下方へ引き下げる力とが負荷される。これにより、接触部材72は頭部に沿って前方へ移動し、接触部材72とユーザの頭部との接触する位置は、表示部4側の端部から弾性部材71側の端部に向かって移動する。また本実施形態では支持機構7が補助部材73を有するため、接触部材72が円滑に移動することが可能となる。
このとき接触部材72は、被覆部材74の係合部742と係合しつつ、被覆部材74から前方に引き出される。接触部材72に接続されたバネ材713は、接触部材72の前方への移動に伴いホイール712から引き出される。これにより、バネ711が第1の長さ以上の長さとなりわずかに弾性力を生じる。
一方連結部材63は、ユーザの側頭部の後頭部寄りにフィットしつつ、下方へ移動していく。この連結部材63の移動に伴い、被覆部材74は、頭部形状に沿うように回転軸Lのまわりに回動する。これにより、被覆部材74及び接触部材72とy軸方向とのなす角度が小さくなる。
ここで、連結部材63は、ユーザの側頭部に対して弾性力を及ぼし、ユーザの側頭部から反作用力を受ける。このとき、当該反作用力は、側頭部後方が傾斜していることにより、y軸方向後方に向かう成分を有する。これによって、y軸方向前方への成分を有するバネ711(弾性部材71)の弾性力の反作用力が、弾性部材71に接続された連結部材63の受ける反作用力により打ち消され、連結部材63が弾性部材71の弾性力に抗いユーザの側頭部に保持される。したがって、連結部材63が弾性部材71及び接触部材72の前滑りを防止し、バネ711の伸張及び弾性力の発生を可能とする。
図10は、表示部4が適切な相対位置に装着された態様を示す。接触部材72は、例えば一部が頭部の前方に一部が突出している。また接触部材72及び被覆部材74は、被覆部材74の回転軸Lまわりの回動に伴い頭頂部前方から後方に沿って配置され、例えばy軸方向に略平行となる。これに伴い、連結部材63は、例えば側頭部後方に配置される。このように被覆部材74は、本実施形態において回転軸Lのまわりに回動可能であり、連結部材63をユーザの頭部形状によらず所定位置に配置することができる。
また弾性部材71は、連結部材63及び被覆部材74に支持され、例えば頭頂部後方に配置される。これにより、バネ材713がホイール712からさらに引き出され、バネ711が第2の長さとなる。
ここで支持機構7は、接触部材72及び補助部材73を介して表示部4に対しz軸方向上方(鉛直上向き)の分力を有する付勢力を発生する。弾性部材71は、y軸方向後方の成分を有する弾性力を生じ、当該弾性力がこの付勢力に寄与することとなる。すなわち支持機構7は、非装着時には上述のように弾性力が発生しないが、装着時には張力に寄与する弾性力を発生し、表示部4の自重を軽減することができる。
一方連結部材63は、弾性部材71から、y軸方向前方の成分を有する弾性力の反作用力を受ける。ここで連結部材63は、ユーザの頭部から、y軸方向後方の成分を有する自身の弾性力の反作用力を受ける。これにより連結部材63は、弾性部材71の弾性力に抗って例えば側頭部後方の所定位置に固定される。
このように本実施形態に係る支持機構7は、弾性部材71の弾性力を介して表示部4の自重をユーザの側頭部への荷重として分散させることが可能である。これにより、表示部4の荷重がパッド部51等へ集中することなく、ユーザへの負担を軽減することができる。したがって、内視鏡手術中のように表示部4を長時間にわたり装着した場合であっても、ユーザに負担が少ないHMD1を提供することができる。
また接触部材72は、ユーザの頭部からz軸方向上方の成分を有する抗力を受け、スペーサ722と頭部との間にy軸方向後方の摩擦力が発生する。したがって接触部材72は、ユーザの頭部上をy軸方向に移動することなく、バネ711を伸張させることができる。
さらに本実施形態に係る接触部材72は、スペーサ722を有するため、頭部の小さいユーザであっても接触部材72を頭部に接触させることができる。これにより、ユーザの頭部形状によらずバネ711を安定的に伸張させることができ、弾性部材71に確実に弾性力を発生させることが可能となる。
加えて本実施形態に係るバネ711は、定荷重バネであるため、バネ711が第2の長さ以上であれば弾性力がほぼ一定に保持される。これにより、ユーザの頭部の大きさ及び形状等によらず、弾性力をほぼ一定とすることができ、ユーザへの負担等の個人差を少なくすることができる。
<第2の実施形態>
図11は、本技術の第2の実施形態に係るHMDの構成を示す図であり、装着部の要部をx軸方向から見た断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
本実施形態に係るHMD1Aは、弾性部材71Aのバネ711Aが第1の実施形態とは異なる。すなわち、バネ711Aが引張コイルバネで構成される。バネ711Aは、一端を接触部材72Aの第1の接続部721Aaと接続され、他端をバネ支持部材75Aの接続部751Aと接続される。
バネ711Aは、定荷重バネとは異なり、以下のフックの法則に従い弾性力が発生する。すなわち、Fをバネに対する荷重、kをバネ定数、yを変位とすると
F=ky
が成り立つ。これにより、変位に比例して荷重が大きくなり、当該荷重の反作用力としての弾性力も変位に比例して大きくなる。
接触部材72Aの鞘部材721Aは、第1の実施形態と同様に、バネ711Aと接続される第1の接続部721Aaを有する。第1の接続部721Aaは、例えば鞘部材721Aの上面から内方に向かって突出するように形成される。第1の接続部721Aaとバネ711Aの端部との接続方法は特に限られず、例えばバネ711Aの先端部を鉤状に加工し、当該鉤状部分を第1の接続部721Aaに形成された接続孔に係合させてもよい。
なお、図示は省略するが、接触部材72Aは第1の実施形態と同様、スペーサを有していてもよい。
バネ支持部材75Aは、接続部751Aを有し、第1の実施形態と同様に連結部材63と接続される。接続部751Aは、バネ711Aの連結部材63側の端部と接続され、例えばx軸方向に突出する軸状に構成される。第1の接続部721Aaとバネ711Aとの接続方法は特に限られず、例えばバネ711Aの先端部を接続部751Aに巻き付けることで接続してもよい。
被覆部材74Aは、一端をバネ支持部材75Aの接続部751Aに回動可能に支持され、バネ711A及び接触部材72Aを被覆することが可能に構成される。
上記構成により、接触部材72Aは、第1の実施形態と同様に被覆部材74Aに対して引き出されることが可能となり、これによりバネ711Aを伸張させ、弾性力を発生させることが可能となる。
以上の実施形態も第1の実施形態と同様に、弾性部材71Aの弾性力が表示部4に対する張力に寄与し、かつ弾性部材71Aに接続される連結部材63がユーザの頭部に装着されることで、表示部4の自重を分散させることが可能となる。
<第3の実施形態>
図12は、本技術の第3の実施形態に係るHMDをx軸方向から見た断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
本実施形態に係るHMD1Bは、弾性部材71Bのバネ711Bが第1の実施形態とは異なる。すなわち、バネ711Bが第1の実施形態と同様に定荷重バネで構成されるが、バネ材713Bの引き出される側の端部が表示部4に直接接続される。すなわち、本実施形態に係る支持機構7Bは、補助部材を有さなくてもよい。
本実施形態において、バネ材713Bの表示部4側の端部には、例えば取付具714Bが取り付けられる。取付具714Bは、第1の実施形態の補助部材73の取付具732と同様の構成を有してもよい。すなわち取付具714Bは、バネ材713Bの端部と嵌合する溝が形成された矩形の板状に構成され、当該溝の開口と対向してx軸方向に沿った軸部714Baが形成される。また、取付具714Bは、軸部714Baが表示部4の一対の取付孔412にそれぞれ回動可能に係合する。これにより、バネ材713Bの端部が、表示部4に対しx軸まわりに回動可能に接続される。
接触部材72Bは、弾性部材71Bと接続され、装着時に弾性部材71Bが弾性力を発生する長さとなるようにユーザの頭部に装着される。すなわち接触部材72Bは、弾性部材71Bを介して表示部4にも接続されている。また接触部材72Bは、第1の実施形態と同様に、鞘部材721Bとスペーサ722Bとを有する。
鞘部材721Bは、本実施形態において、第1の実施形態に係る第2の接続部と同様の構成を有する接続部721Bbを有する。すなわち接続部721Bbは、例えば鞘部材721の内部に配置された接着面を有する台座上の構成とすることができ、バネ材713Bの一部を当該接着面上に接着させることで、バネ材713Bと接続される。なおバネ材713Bは、第1の実施形態に係る挿入孔721cと同様の構成の挿入孔721Bcを通るように配置される。
上記構成の接触部材72Bにより、HMD1Bの装着の際、第1の実施形態と同様に接触部材72Bがユーザの頭部と接触しつつ被覆部材74Bから引き出されるように前方へ移動することが可能となる。さらに、本実施形態に係る接触部材72Bもスペーサ722Bを有するため、頭部の小さいユーザであっても接触部材72Bを頭部に接触させ、バネ711Bを伸張させることが可能となる。したがって、本実施形態に係るHMD1Bも、第1の実施形態と同様に、ユーザの頭部の大きさによらず弾性部材71Bに弾性力を発生させ、ユーザに対する負担を軽減することが可能となる。
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術はこれに限定されることはなく、本技術の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
図13〜15は、第1の実施形態の変形例を示す図であり、図13及び図15は接触部材と被覆部材との関係を示す概略側面図、図14は図13のB−B方向から見た断面図である。これらの変形例においては、被覆部材74Cの係合部741Cの構成が異なる。すなわち係合部741Cは、長手方向に沿って形成された突起ではなく、接触部材72Cの係合溝721Cdと係合するローラをそれぞれ含む。
図13に係る係合部741Cは、2対のローラ741Caを含む。本変形例において2対のうちの1対のローラ741Caは、被覆部材74Cの内面の左右の側面にそれぞれ配置され、x軸方向に対向して配置される。これらのローラ741Caの軸は例えば被覆部材74Cの内面の左右の側面からx軸方向内方にそれぞれ突出するように配置される。このような構成の1対のローラ741Caが、被覆部材74Cの長手方向に沿って2組配置される。
本変形例によっても、接触部材72Cが被覆部材74Cの長手方向、すなわち2対のローラ741Ca間を結んだ方向に沿って移動することが可能となる。さらに、2対のローラ741Caにより、被覆部材74Cと接触部材72Cとの動作をより円滑にすることができる。
また図14に示すように、本構成例においては鞘部材721Cが、鞘部材721Cの長手方向に沿って後方に突出する棒状部721Ceと、当該長手方向に沿って形成され棒状部721Ce及びスペーサ722Cの間に配置された溝部721Cfとを有してもよい。これにより、被覆部材74Cが棒状部721Ceの上面、下面及び左右の側面を覆うように構成され、接触部材72Cが被覆部材74Cに対してより安定的に動作することができる。
図15に係る係合部741Cは、1対のローラ741Cbを含む。これらの1対のローラ741Cbも、係合部741Cの左右の側面にそれぞれ配置され、x軸方向に対向して配置される。
本変形例によれば、接触部材72Cが被覆部材74Cの長手方向に沿って移動することが可能になるとともに、さらに1対のローラ741Cbを中心としてx軸まわりに回動することが可能となる。これにより、例えば被覆部材74Cが弾性部材の中心のまわりに回動できない場合であっても、接触部材72Cがユーザの頭部に沿って装着され、連結部材63を側頭部後方等の所定位置に装着させることが可能となる。
また本変形例においても図14に示すように、鞘部材721Cが棒状部721Ceと溝部721Cfとを有し、被覆部材74Cが棒状部721Ceの上面、下面及び左右の側面を覆うように構成されてもよい。この場合は鞘部材721Cの回動の妨げとならないよう、被覆部材74Cの内面が棒状部721Ceの周面に対して十分大きく構成されればよい。
なお、以上の変形例に係る係合部741Cは、ローラに替えて回転しない軸部材(ボス)を用いても実現可能である。
また以上の実施形態において、弾性部材が定荷重バネ又は引張コイルバネであると説明したが、これに限られない。例えば、ねじりコイルバネ、圧縮コイルバネ等の他のバネや、ゴム材料その他の弾性材料を採用することが可能である。
さらに支持機構は弾性部材を有する構成に限られず、装着時に上記表示部に対する張力として寄与する付勢力を発生することが可能な構成であればよい。例えば支持機構は、モータ等の駆動源を含み表示部に接続されたワイヤロープ等を巻き上げるウィンチを有していてもよい。これにより、装着時に駆動源がワイヤロープ等を巻き上げる付勢力を発生し、当該付勢力が張力に寄与して表示部を引き上げることが可能となる。また、ユーザの頭部形状によらず一定の力で表示部を支持することが可能となる。
以上の実施形態において、HMDが1本の支持機構を有する構成について説明したが、これに限られない。例えば、HMDが2本以上の支持機構を有し、これらが並列に表示部4に接続されていてもよい。これにより、より大きい弾性力を発生させることができる。
また、支持機構が複数の弾性部材(バネ等)を有する構成としてもよい。例えば、支持機構が複数のバネを直列に接続した構成を有してもよいし、複数のバネを並列に接続した構成を有してもよい。
以上の実施形態において、装着部が連結部材が側頭部に配置される構成について説明したが、これに限られない。例えば、連結部材が頭頂部の弾性部材から後頭部にわたって装着され、支持機構から延びるように配置されていてもよい。この場合には、連結部材が前後方向の装着位置を固定することが可能となり、バンド部材を有さない構成することもできる。
さらに、支持機構の各要素の接続される順番は上記に限られない。例えば、表示部側から弾性部材、接触部材の順で接続されてもよく、あるいは表示部側から補助部材、第1の接触部材、弾性部材、第2の接触部材の順で接続されてもよい。このように、補助部材を有さない構成でもよく、複数の接触部材を有する構成することも可能である。
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)ユーザの眼前に画像を表示することが可能な表示部と、
上記表示部を支持しユーザの頭部に装着される本体と、上記表示部と上記本体との間に接続され装着時に上記表示部に対する張力として寄与する付勢力を発生することが可能な支持機構とを有する装着部と
を具備するヘッドマウントディスプレイ。
(2)上記(1)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記支持機構は、鉛直上向きの分力を有する付勢力を発生する
ヘッドマウントディスプレイ。
(3)上記(1)または(2)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記支持機構は、非装着時に第1の長さとなり、装着時に上記第1の長さよりも長い第2の長さとなり上記付勢力としての弾性力を発生させる弾性部材を有する
ヘッドマウントディスプレイ。
(4)上記(3)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記弾性部材は、上記第2の長さと上記第2の長さよりも大きい第3の長さとで一定の弾性力を発生するバネを有する
ヘッドマウントディスプレイ。
(5)上記(3)または(4)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記支持機構は、上記表示部と上記弾性部材とに接続され、装着時に上記弾性部材が上記第2の長さとなるようにユーザの頭部に装着される接触部材をさらに有する
ヘッドマウントディスプレイ。
(6)上記(5)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記支持機構は、上記表示部と上記接触部材とに接続され上記表示部に対する姿勢を可変に構成される補助部材をさらに有する
ヘッドマウントディスプレイ。
(7)上記(6)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記補助部材は、上記表示部に対して回動可能に接続される
ヘッドマウントディスプレイ。
(8)上記(6)または(7)に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記補助部材は、柔軟性のある材料で形成される
ヘッドマウントディスプレイ。
(9)上記(5)から(8)のうちいずれか1つに記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記支持機構は、上記接触部材と係合し上記弾性部材を被覆する被覆部材をさらに有し、
上記接触部材は、上記被覆部材と係合しつつ上記弾性部材を上記第1の長さと上記第2の長さとの間で伸縮させるようにスライド可能に構成される
ヘッドマウントディスプレイ。
(10)上記(1)から(9)のうちいずれか1つに記載のヘッドマウントディスプレイであって、
上記表示部は、第1の軸方向に画像光を出射することが可能な表示面を有し、
上記本体は、
上記表示部と接続され、上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に対向する2つの接続部材と、
上記2つの接続部材間をアーチ状に連結する連結部材と、
上記2つの接続部材間に接続され上記表示部と上記第1の軸方向に対向するバンド部材とを有し、
上記支持機構は、上記連結部材に接続される
ヘッドマウントディスプレイ。