以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用熱管理装置は、車両が備える各種機器や車室内を適切な温度に調整するために用いられる。本実施形態では、車両用熱管理装置を、エンジン(換言すれば内燃機関)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に適用している。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両停車時に外部電源(いわゆる商用電源)から供給された電力を、車両に搭載された電池(いわゆる車載バッテリ)に充電可能なプラグインハイブリッド自動車として構成されている。電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
エンジンから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機を作動させるためにも用いられる。そして、発電機にて発電された電力および外部電源から供給された電力を電池に蓄わえることができ、電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用熱管理装置を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
車両用熱管理装置は、クーラ冷却回路10およびエンジン冷却回路20を備えている。クーラ冷却回路10およびエンジン冷却回路20は、互いに独立して冷却水が循環する冷却水回路である。
冷却水は、熱媒体としての流体である。本実施形態では、冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体が用いられている。
クーラ冷却回路10には、クーラポンプ11、チラー12およびクーラコア13が、この順番で冷却水が循環するように配置されている。クーラポンプ11は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。
チラー12は、冷凍サイクル30の低圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷却水を冷却する冷媒冷却水熱交換器である。チラー12では冷却水を外気の温度よりも低温まで冷却することができる。
クーラコア13は、冷却水と車室内へ送風される空気とを熱交換させて車室内への送風空気を冷却する冷却水空気熱交換器である。クーラコア13では、冷却水が顕熱変化にて空気から吸熱する。すなわち、クーラコア13では、冷却水が空気から吸熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。
クーラ冷却回路10は、循環流路14および機器用流路15を有している。循環流路14は、クーラポンプ11、チラー12およびクーラコア13が、この順番で冷却水が循環するように配置された冷却水流路である。
機器用流路15は、冷却水がクーラコア13をバイパスして流れるように循環流路14に接続された冷却水流路であり、冷却水流れにおいてクーラコア13と並列に配置されている。
循環流路14と機器用流路15との接続部には、三方弁16が配置されている。三方弁16は、クーラコア13側の流路開度と、機器用流路15側の流路開度との開口比率を調整する電磁弁である。
機器用流路15には、電池用熱交換器17が配置されている。電池用熱交換器17は、電池18とともに、電池用ケーシング19の内部に配置されている。電池用ケーシング19は、電池18へ空気を送風する送風路を形成している。電池用熱交換器17は、電池用ケーシング19内を流れる空気と冷却水とを熱交換させる熱交換器である。電池18は、電池用ケーシング19内において電池用熱交換器17よりも空気流れの下流側に配置されている。電池18は、電池用ケーシング19で熱交換された空気によって温度調整される。
エンジン冷却回路20には、エンジンポンプ21、エンジン22およびラジエータ23が、この順番で冷却水が循環するように配置されている。エンジンポンプ21は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。エンジンポンプ21は、エンジン22の駆動力をベルトを介して動力伝達することによって駆動されるベルト駆動式ポンプであってもよい。
ラジエータ23は、冷却水と車室外空気(以下、外気と言う。)とを熱交換させる冷却水外気熱交換器である。室外送風機24は、ラジエータ23へ外気を送風する外気送風手段である。
エンジン冷却回路20は、循環流路25、ラジエータバイパス流路26および熱交換器用流路27を有している。循環流路25は、エンジンポンプ21、エンジン22およびラジエータ23が、この順番で冷却水が循環するように配置された冷却水流路である。
ラジエータバイパス流路26は、冷却水がラジエータ23をバイパスして流れるように循環流路25に接続された冷却水流路であり、冷却水流れにおいてラジエータ23と並列に配置されている。
循環流路25とラジエータバイパス流路26との接続部には、サーモスタット28が配置されている。サーモスタット28は、温度によって体積変化するサーモワックス(換言すれば感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
具体的には、サーモスタット28は、冷却水の温度が所定温度(例えば70℃)を下回っている場合、ラジエータバイパス流路26を開けてラジエータ23側の流路を閉じる。
サーモスタット28は、冷却水の温度が所定温度(例えば70℃)を上回っている場合、ラジエータバイパス流路26を閉じてラジエータ23側の流路を開ける。
熱交換器用流路27は、ヒータコア29が配置された冷却水流路であり、冷却水流れにおいてラジエータ23およびラジエータバイパス流路26と並列に配置されている。
ヒータコア29は、冷却水と車室内へ送風される空気とを熱交換させて車室内への送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器である。ヒータコア29では、冷却水が顕熱変化にて空気に放熱する。すなわち、ヒータコア29では、冷却水が空気に放熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。
循環流路25には、リザーブタンク25aが接続されている。リザーブタンク25aは、余剰冷却水を貯留する冷却水貯留手段である。リザーブタンク25aは、クーラ冷却回路10の循環流路14にも接続されている。
冷却水が流れる各流路14、15、25〜27は、配管またはホースで形成されている。配管は、金属等の硬質材料で成形されている。ホースは、ゴム等の柔軟性を有する材料で成形されている。
冷凍サイクル30は、圧縮機31、コンデンサ32、膨張弁33およびチラー12を備える蒸気圧縮式冷凍機である。本実施形態の冷凍サイクル30では、冷媒としてフロン系冷媒を用いており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。
圧縮機31は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機、またはエンジンの駆動力によってエンジンベルトで駆動される圧縮機であり、冷凍サイクル30の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。
コンデンサ32は、圧縮機31から吐出された高圧側冷媒と外気とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮させる凝縮器である。
コンデンサ32には、室外送風機24によって外気が送風される。図示を省略しているが、コンデンサ32は、ラジエータ23とともに車両の最前部に配置されている。コンデンサ32は、ラジエータ23よりも外気流れ方向上流側に配置されている。車両の走行時にはコンデンサ32およびラジエータ23に走行風を当てることができるようになっている。
膨張弁33は、コンデンサ32から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧部である。膨張弁33は、チラー12出口側冷媒の温度および圧力に基づいてチラー12出口側冷媒の過熱度を検出する感温部33aを有する温度式膨張弁である。すなわち、膨張弁33は、チラー12出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように機械的機構によって絞り通路面積を調節する温度式膨張弁である。膨張弁33は、電気的機構によって絞り通路面積を調節する電気式膨張弁であってもよい。
チラー12は、膨張弁33で減圧膨張された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発させる蒸発器である。チラー12で蒸発した気相冷媒は圧縮機31に吸入されて圧縮される。
圧縮機31および膨張弁33は、冷凍サイクル30を流れる冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部である。
クーラポンプ11、チラー12、三方弁16、エンジンポンプ21、エンジン22、ラジエータ23、リザーブタンク25a、サーモスタット28、圧縮機31、コンデンサ32、膨張弁33は、車両のエンジンルームに配置されている。
クーラコア13およびヒータコア29を収容する室内空調ユニット35は、車室内空間に配置されている。車室内空間は、ファイヤーウォールWによってエンジンルームと仕切られている。
クーラコア13およびヒータコア29は、車両用空調装置の室内空調ユニット35のケーシング36に収容されている。室内空調ユニット35は、車室内最前部の計器盤(いわゆるインストルメントパネル)の内側に配置されている。ケーシング36は、室内空調ユニット35の外殻を形成している。
ケーシング36は、図示しない室内送風機によって送風された空気が流れる空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。
クーラコア13およびヒータコア29は、この順番で空気が流れるようにケーシング36内の空気通路に配置されている。
ケーシング36内の送風空気流れ最上流側には、図示しない内外気切替箱が配置されている。内外気切替箱は、車室内空気(以下、内気と言う。)と外気とを切替導入する内外気切替部(内外気切替手段)である。
内外気切替箱は、吸込口モードを内気循環モードと外気導入モードと内外気混入モードとに切り替える。内気循環モードでは、内気を導入して外気を導入しない。外気導入モードでは、外気を導入して内気を導入しない。内外気混入モードでは、内気および外気の両方を所定の割合で導入する。
ケーシング36内において、クーラコア13の空気流れ下流側には、クーラコア13通過後の空気がヒータコア29を流れるヒータコア通路36aと、クーラコア13通過後の空気がヒータコア29をバイパスして流れるバイパス通路36bとが並列に形成されている。
ケーシング36内において、ヒータコア通路36aおよびバイパス通路36bの空気流れ下流側には、ヒータコア通路36aから流出した温風とバイパス通路36bから流出した冷風とを混合させる混合空間36cが形成されている。
ケーシング36内において、クーラコア13の空気流れ下流側であって、ヒータコア通路36aおよびバイパス通路36bの入口側には、エアミックスドア37が配置されている。
エアミックスドア37は、ヒータコア通路36aとバイパス通路36bとの風量割合を連続的に変化させる風量割合調整部である。ヒータコア通路36aを通過する空気とバイパス通路36bを通過する空気との風量割合によって、混合空間36cにて混合された送風空気の温度が変化する。したがって、エアミックスドア37は、混合空間36c内の空気温度(すなわち、車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整部である。
エアミックスドア37は、図示しない電動アクチュエータによって駆動される回転軸と、その共通の回転軸に連結された板状のドア本体部を有して構成される、いわゆる片持ちドアで構成されている。
ケーシング36の空気流れ最下流部には、図示しない吹出口が形成されている。吹出口は、混合空間36cの温度調整された空気を、空調対象空間である車室内空間へ吹き出す。
吹出口としては、フェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口が設けられている。フェイス吹出口は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す上半身側吹出口である。フット吹出口は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出す足元側吹出口である。デフロスタ吹出口は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出す窓ガラス側吹出口である。
フェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の空気流れ上流側には、図示しない吹出口モードドアが配置されている。吹出口モードドアは、フェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の開口面積を調整することによって吹出口モードを切り替える吹出口モード切替部である。吹出口モードドアは、図示しない電動アクチュエータによって回転操作される。
吹出口モードとしては、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードがある。
フェイスモードでは、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。バイレベルモードでは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す。
フットモードでは、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す。フットデフロスタモードでは、フット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開口して、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の双方から空気を吹き出す。
デフロスタモードでは、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両前面窓ガラス内面に空気を吹き出す。
次に、車両用熱管理装置の電気制御部を図2に基づいて説明する。制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する制御部である。
制御装置40によって制御される制御対象機器は、クーラポンプ11、エンジンポンプ21、三方弁16、圧縮機31、室外送風機24、および室内空調ユニット35の各種ドア(具体的にはエアミックスドア37等)を駆動する電動アクチュエータ等である。
制御装置40のうち、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する構成は、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部(制御手段)を構成している。
制御装置40のうちクーラポンプ11およびエンジンポンプ21の作動を制御する構成は、ポンプ制御部40aである。ポンプ制御部40aは、各冷却水流通機器を流れる冷却水の流量を制御する流量制御部(流量制御手段)でもある。
制御装置40のうち三方弁16の作動を制御する構成は、三方弁制御部40bである。三方弁制御部40bは、冷却水の循環状態を切り替える循環切替制御部でもある。三方弁制御部40bは、各冷却水流通機器を流れる冷却水の流量を調節する流量制御部でもある。
冷却水の流量制御は、バルブ内部の通水開口面積を連続的に可変させることによって圧力損失を制御して流量を制御する方式であってもよい。冷却水の流量制御は、通水と遮断を所定の時間内に所定の比率で繰り返し切り替えることによって時間平均的に流量を制御する方式であってもよい。
制御装置40のうち圧縮機31の作動を制御する構成は、圧縮機制御部40cである。圧縮機制御部40cは、圧縮機31から吐出される冷媒の流量を制御する冷媒流量制御部でもある。
制御装置40のうち室外送風機24の作動を制御する構成は、室外送風機制御部40dである。室外送風機制御部40dは、ラジエータ23を流れる外気の流量を制御する外気流量制御部でもある。
制御装置40のうち室内空調ユニット35の各種ドア(具体的にはエアミックスドア37等)の作動を制御する構成は、空調切替制御部40eである。空調切替制御部40eは、室内空調ユニット35から車室内に吹き出される空気の温度を制御する吹出空気温度制御部でもある。
各制御部40a、40b、40c、40d、40eは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40の入力側にはセンサ群の検出信号が入力される。センサ群は、内気温度センサ41、外気温度センサ42、日射センサ43、吸入水温センサ44、チラー水温センサ45、クーラコア温度センサ46、吐出圧力温度センサ47、吸入圧力温度センサ48、コンデンサ温度センサ49およびヒータコア温度センサ50である。
内気温度センサ41は、内気の温度(車室内温度)を検出する内気温度検出部である。外気温度センサ42は、外気の温度(車室外温度)を検出する外気温度検出部である。日射センサ43は、車室内の日射量を検出する日射量検出部である。
吸入水温センサ44は、クーラポンプ11に吸入される冷却水の温度を検出する温度検出部である。チラー水温センサ45は、チラー12で熱交換された冷却水の温度を検出する温度検出部である。クーラコア温度センサ46は、クーラコア13の熱交換フィンの温度を検出する温度検出部である。
吸入圧・吸入温度センサ44は、圧縮機31に吸入される冷媒の圧力と温度とを検出する圧力温度検出部である。吐出圧・吐出温度センサ45は、圧縮機31から吐出された冷媒の圧力と温度とを検出する圧力温度検出部である。
コンデンサ温度センサ49は、コンデンサ32で熱交換された冷却水の温度を検出する温度検出部である。
ヒータコア温度センサ50は、ヒータコア29の表面温度を検出する検出手段(ヒータコア温度検出手段)である。ヒータコア温度センサ50は、例えば、ヒータコア29の熱交換フィンの温度を検出するフィンサーミスタや、ヒータコア29を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ等である。
制御装置40の入力側には、操作パネル51に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。例えば、操作パネル51は、車室内前部の計器盤付近に配置されている。
操作パネル51に設けられた各種空調操作スイッチは、オートスイッチ、エアコンスイッチ、風量設定スイッチおよび車室内温度設定スイッチ51a等である。
オートスイッチは、空調の自動制御運転を設定する操作部である。エアコンスイッチは、圧縮機31を手動で作動・停止させる操作部である。
風量設定スイッチは、室内空調ユニット35の室内送風機の風量をマニュアル設定するスイッチである。車室内温度設定スイッチ51aは、車室内目標温度Tsetを設定する操作部(操作手段)である。
各スイッチは機械的に押し込むことによって電気接点を導通させる方式のプッシュスイッチでもよいし、静電パネル上の所定の領域に触れることによって反応するタッチスクリーン方式でもよい。
制御装置40は、車室内吹出空気の目標吹出温度TAO、およびクーラコア13からの吹出空気の目標温度TCOを算出する。
目標吹出温度TAOは、内気温Trを速やかに乗員の所望の目標温度Tsetに近づけるために決定される値であって、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C …F1
この数式において、Tsetは車室内温度設定スイッチ51aによって設定された車室内の目標温度であり、Trは内気温度センサ41によって検出された内気温度であり、Tamは外気温度センサ42によって検出された外気温度であり、Tsは日射センサ43によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
クーラコア目標吹出温度TCOは、目標吹出温度TAO等に基づいて算出される。具体的には、目標吹出温度TAOの低下に伴って、クーラコア目標吹出温度TCOが低下するように算出される。さらに、クーラコア13の着霜を抑制可能に決定された基準着霜防止温度(例えば、1℃)以上となるようにクーラコア目標吹出温度TCOが算出される。
次に、上記構成における作動を説明する。クーラ冷却回路10では、冷却水がチラー12で冷却された後、クーラコア13を流れるので、室内空調ユニット35のケーシング36内を流れる空気(すなわち、車室内へ送風される空気)がクーラコア13で冷却される。
また、エンジン冷却回路20では、エンジン22で加熱された冷却水がヒータコア29を流れるので、室内空調ユニット35のケーシング36内を流れる空気(すなわち、車室内へ送風される空気)がヒータコア29で加熱される。
また、コンデンサ32で加熱された冷却水がラジエータ23を流れるので、ラジエータ23においてコンデンサ32の排熱が外気に放熱される。
圧縮機31の回転数を調整して、冷凍サイクル30を循環する冷媒の流量を調整することによって、クーラコア13の吹出温度を目標温度に近づける。
クーラポンプ11の回転数を調整して、クーラコア13を流れる冷却水の流量を調整することによって、クーラコア13の吹出温度を目標温度に近づけてもよい。
室内空調ユニット35のケーシング36内においてエアミックスドア37の開度を調整することによって、室内空調ユニット35から車室内へ吹き出される空調風の温度を目標温度に近づける。
室内空調ユニット35から車室内へ吹き出される空調風の温度は、クーラコア13の吹出温度、ヒータコア29の吹出温度およびエアミックスドア37の開度に基づいて推定可能である。
エンジンポンプ21の回転数を調整して、エンジン冷却回路20を流れる冷却水の流量を調整することによって、室内空調ユニット35から車室内へ吹き出される空調風の温度を目標温度に近づけてもよい。
エンジンポンプ21の回転数を調整して、ヒータコア29を流れる冷却水の流量を調整することによって、室内空調ユニット35から車室内へ吹き出される空調風の温度を目標温度に近づけてもよい。
車両用熱管理装置が起動されると、制御装置40は、図3のフローチャートに示す制御処理を実行する。
まず、ステップS100では、クーラポンプ11を作動させる。続くステップS110では、所定温度を算出する。所定温度は、主配管における冷却水の流れが層流と乱流との遷移域となる温度である。換言すれば、所定温度は、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水のレイノルズ数が所定レイノルズ数となる温度である。所定レイノルズ数は、クーラ冷却回路10の主配管を流れる冷却水が層流と乱流の遷移域となるときのレイノルズ数である。所定レイノルズ数は、2000以上かつ4000以下の範囲内で予め設定されて制御装置40に記憶されている。
ステップS110の詳細を図4に基づいて説明する。まず、ステップS1110では、クーラ冷却回路10の冷却水の温度に基づいて、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の温度を推定する。クーラ冷却回路10の冷却水の温度は、チラー水温センサ45によって検出された温度である。クーラ冷却回路10の主配管とは、クーラ冷却回路10の配管のうち冷却水の温度が最も低くなる部位のことである。
すなわち、ステップS1110では、検出温度から、クーラ冷却回路10の主配管内で最も水温の低い箇所の水温を推定する。具体的には、機器や空調の負荷、外気温度、ポンプの吐出流量の推定値に基づいて、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の温度を推定する。
チラー水温センサ45が、クーラ冷却回路10の配管のうち冷却水の温度が最も低くなる部位に配置されている場合、チラー水温センサ45の検出温度をそのまま、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の温度として用いる。
続くステップS1120では、ポンプ流量マップに基づいて、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の流量を推定する。ポンプ流量マップは、ステップS1110で推定した冷却水の温度およびクーラポンプ11の駆動力と冷却水の流量との関係をマップ化したものである。すなわち、ステップS1120では、ステップS1110で推定した冷却水の温度とクーラポンプ11の駆動力とに基づいて冷却水の流量を推定する。
続くステップS1130では、所定水温Tw_chを算出する。所定水温Tw_chは、クーラ冷却回路10の主配管を流れる冷却水のレイノルズ数が2000近傍となる温度である。すなわち、所定水温Tw_chは、クーラ冷却回路10の主配管を流れる冷却水が層流と乱流との遷移域となる温度である。
所定水温Tw_chは、冷却水の温度Tw、冷却水の流量Q、配管の内径Dを変数に持つ関数F(Tw,Q,D)によって算出される。
すなわち、配管内のレイノルズ数ReはRe=V×D/νという数式で表される。この数式においてVは冷却水の流速、Dは配管の内径、νは冷却水の動粘度である。流速Vは冷却水の流量Qと相関関係があり、動粘度νは冷却水の温度Twと相関関係があるからである。
図5のグラフは、エチレングリコール50%液を冷却水とする場合の所定水温Tw_chと冷却水の流量Qおよび配管の内径Dとの関係を示すグラフである。図5のグラフでは、冷却水の温度Twを所定の一定値としている。
所定水温Tw_chは、冷却水の温度Tw、冷却水の流量Q、配管の内径Dとの関係をマップ化したデータに基づいて算出されるようになっていてもよい。制御装置40は、使用される冷却水濃度または粘度に応じて、複数のマップ化したデータを有していてもよい。
続くステップS120では、クーラ冷却回路10の冷却水の温度が所定温度を上回っているか否かを判定する。クーラ冷却回路10の冷却水の温度は、チラー水温センサ45によって検出された温度である。クーラ冷却回路10の冷却水の温度は、チラー水温センサ45によって検出された温度を補正した温度であってもよい。
クーラ冷却回路10の冷却水の温度が所定温度を上回っていると判定した場合、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の流れが乱流であると推定されるので、ステップS130へ進み、脈動流モードを実行する。
脈動流モードでは、クーラポンプ11から冷却水が脈動的に吐出されるように、制御装置40がクーラポンプ11の作動を制御する。これにより、クーラ冷却回路10では冷却水が脈動的に流れるので、クーラ冷却回路10における冷却水の流れを層流化して圧力損失を低減できる。
続くステップS140では、所定時間待機し、ステップS110へ戻る。所定時間は、クーラポンプ11から吐出される冷却水の脈動周期以上の時間である。これにより、冷却水温度を適切に検出できる。
一方、クーラ冷却回路10の冷却水の温度が所定温度を上回っていないと判定した場合、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水の流れが層流であると推定されるので、ステップS150へ進み、定常流モードを実行した後、ステップS140へ進む。
定常流モードでは、クーラポンプ11から冷却水が定常的に吐出されるように、制御装置40がクーラポンプ11の作動を制御する。これにより、クーラ冷却回路10では冷却水が定常的に流れるので、クーラ冷却回路10における冷却水の流れが層流状態である場合に圧力損失を低減できる。
本実施形態では、クーラ冷却回路10における通常の冷却水温度が0℃〜25℃の間にある。そのため、上記作用効果を良好に得ることができる。その理由を以下に説明する。
本実施形態では、空調快適性維持のために10℃未満のクーラコア吹出温度が要求される条件がある。この条件における冷却水温度は0〜5℃程度である。
例えば、クーラコア13とチラー12との間の冷却水配管の内径が16mmであり、冷却水としてエチレングリコール50%配合液を使う場合、冷却水のレイノルズ数が2000程度となるのは冷却水流量が10L/minかつ冷却水温度が7℃のときである。
冷却水流量が10L/minであることの根拠は次の通りである。冷房負荷が3kWの場合で冷却水を10L/min流すと、クーラコア13の出入口間の冷却水温度差は約5℃となる。よってクーラコア吹出温度の最大分布は5℃以内に抑えられ、各吹出口間の温度差は体感不能な水準まで落とせるからである。
冷却水配管の内径が16mmであることの根拠は次の通りである。配管径を太くすれば圧損を低減させることは容易だが、一方で配管容積が増大する事で冷却水量が増加し、その熱容量分だけクールダウンの速度が遅くなり、空調快適性、換言すれば空調の即効性が減るとともに、配管重量の増大やエンジンルーム内での配管配策が困難になる。よって、配管径はできるだけ細くして、圧損も適度に抑制するために配管内径を16mmとするのが好ましい。
上記条件の場合、冷却水温度が7℃未満では主配管内の冷却水流れは層流であり、脈動流を適用しても圧力損失は低減されない。一方、冷却水温度が7℃以上であれば、脈動的に冷却水を流すことによって圧力損失を低減できる。
通常、冷房運転開始時の冷却水温度は車両雰囲気温度であり、夏場の昼間であれば30〜70℃である。このような条件で冷房運転を開始すると、車室内温度を一刻も早く下げるために送風機の出力が高くされて冷房負荷が高くなる。
冷房負荷が高い条件から作動させる場合、冷却水温度はソーク温度から徐々に目標温度に近づいていく。目標温度は、冷涼感が得られる温度、すなわち0〜5℃程度である。
冷却水の流量が多いほどチラー12およびクーラコア13の冷却水側熱伝達率が向上して冷房性能が高まるため、冷却水流れを脈動的にして圧力損失を低減させて冷却水流量を増やすことによって冷房性能を向上できる。冷房性能を向上できるので、室内温度が目標温度付近になるまでの時間を短縮できる。換言すれば、高負荷な冷房時間を短くすることができる。そのため、圧縮機の使用電力量を抑制できる。
一方、冷却水温度が目標温度である場合、すなわち冷却水温度が0〜5℃程度である場合、冷却水流れを脈動流にしても配管圧力損失の低減効果が得られない。
以上のことから、冷房運転を開始してから冷却水温度が目標温度付近に低下するまでは冷却水を脈動的に流して流量を増やし、冷却水温度が目標温度未満になってからは冷却水を定常流的に流すことによって脈動流におけるエネルギーロスを低減できる。
本実施形態の制御装置40は、冷却水が脈動的に流れる脈動流モードと、冷却水が定常的に流れる定常流モードとを切り替える脈動切替部である。
これによると、脈動流モードでは、冷却水の流れが乱流になる条件下において冷却水の流れを層流化して冷却水の圧力損失を低減できる。定常流モードでは、冷却水の流れが層流になる条件下において冷却水を定常的に流して冷却水の圧力損失を低減できる。
具体的には、制御装置40は、冷却水の温度および流量のうち少なくとも1つに関連する物理量に基づいて脈動流モードと定常流モードとを切り替えればよい。
例えば、制御装置40は、冷却水のレイノルズ数が所定レイノルズ数を上回っていると上記の物理量に基づいて推定または判断できる場合、脈動流モードを実行し、冷却水のレイノルズ数が所定レイノルズ数を下回っていると上記の物理量に基づいて推定または判断できる場合、定常流モードを実行する。所定レイノルズ数は、2000以上かつ4000以下の値であるのが好ましい。
例えば、制御装置40は、上記の物理量として、クーラ冷却回路10の冷却水の温度、外気の温度、およびクーラ冷却回路10の熱交換器の温度のうち少なくとも1つの温度を用いるのが好ましい。
これにより、冷却水の流れが乱流であるか層流であるかを適切に推定または判断できる。
制御装置40は、車両の走行速度が所定速度以下の場合、定常流モードを実行するのが好ましい。車両の走行音が小さくなったときに冷却水の脈動音が発生することを抑制できるので、乗員が冷却水の脈動音を耳障りに感じることを抑制できるからである。
制御装置40は、車両がアイドルストップを実行している場合、定常流モードを実行するのが好ましい。車両のエンジン音が小さくなったときに冷却水の脈動音が発生することを抑制できるので、乗員が冷却水の脈動音を耳障りに感じることを抑制できるからである。アイドルストップとは、エンジン22がアイドリング状態となった際にエンジン22を停止させる制御のことである。
制御装置40は、車両がEVモードを実行している場合、定常流モードを実行するのが好ましい。車両のエンジン音が小さくなったときに冷却水の脈動音が発生することを抑制できるので、乗員が冷却水の脈動音を耳障りに感じることを抑制できるからである。EVモードとは、エンジン22を利用しないで走行用電動モータのみで走行する走行モードのことである。
本実施形態の車両用熱管理装置は、冷媒と冷却水とを熱交換させるチラー12と、冷却水と空気とを熱交換させるクーラコア13とを備えている。本実施形態では、制御装置40は、冷却水の流量が所定流量以上である場合、脈動流モードに切り替え、冷却水の流量が所定流量未満である場合、定常流モードに切り替えるようにしてもよい。
これによると、空調快適性維持のために10℃未満の吹出空気が要求される条件化においても、冷却水の温度が低くなって層流になったときの圧力損失を低減できる。
この場合、制御装置40は、冷却水の温度が低いほど上記の所定流量の値を大きくするのが好ましい。冷却水の流れが乱流であるか層流であるかを一層適切に推定または判断できるからである。すなわち、冷却水の温度が低いほど冷却水の動粘度が大きくなるので、冷却水の流れが層流と乱流との遷移域となる冷却水の流量が大きくなるからである。
本実施形態では、冷却水は、エチレングリコールが配合された液体である。制御装置40は、冷却水の温度が所定温度Tw_ch以上である場合、脈動流モードに切り替え、冷却水の温度が所定温度Tw_ch未満である場合、定常流モードに切り替え、所定温度Tw_chを、冷却水が流れる配管の内径Dおよび冷却水の流量Qの関数を用いて求める。
これにより、冷却水の流れが乱流であるか層流であるかを適切に推定または判断できるので、脈動流モードと定常流モードとを適切に切り換えることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、エンジン22で加熱された冷却水がヒータコア29を流れるが、本実施形態では、図6に示すように、冷凍サイクル30の高圧側冷媒で加熱された冷却水がヒータコア29を流れる。
本実施形態の車両用熱管理装置は、クーラポンプ11、チラー12、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、ヒータポンプ60、コンデンサ61、電気機器62、オイル熱交換器63、温度調整対象機器64、第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68を備えている。
ヒータポンプ60は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。ヒータポンプ60は、各冷却水流通機器を流れる冷却水の流量を調節する流量調節手段である。
コンデンサ61は、圧縮機31から吐出された高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮させる冷媒冷却水熱交換器である。コンデンサ61から流出した液相冷媒は、膨張弁33にて減圧膨張される。
電気機器62は、例えばインバータや走行用電動モータ等である。電気機器62は、冷却水が流通する流路を有しており、冷却水によって温度調整される。
オイル熱交換器63は、車両で用いられるオイルと冷却水とを熱交換してオイルの温度を調節する熱交換器である。車両で用いられるオイルは、例えばエンジンオイルやトランスミッションオイル等である。
温度調整対象機器64は、冷却水が流通する流路を有しており、冷却水によって温度調整される。温度調整対象機器64は、冷却水による強加熱や強冷却が必要とされる機器である。
クーラポンプ11は、クーラポンプ用流路70に配置されている。ヒータポンプ60は、ヒータポンプ用流路71に配置されている。
チラー12は、チラー用流路72に配置されている。チラー用流路72は、クーラポンプ用流路70のうちクーラポンプ11の冷却水吐出側の部位から分岐している。
コンデンサ61は、コンデンサ用流路73に配置されている。コンデンサ用流路73は、ヒータポンプ用流路71のうちヒータポンプ60よりも冷却水流れ下流側の部位から分岐している。
クーラコア13は、クーラコア用流路74に配置されている。電池用熱交換器17は、電池温調用流路75に配置されている。ラジエータ23は、ラジエータ用流路76に配置されている。ヒータコア29は、ヒータコア用流路77に配置されている。
電気機器62は、電気機器用流路78に配置されている。オイル熱交換器63は、オイル熱交換器用流路79に配置されている。温度調整対象機器64は、機器用流路80に配置されている。
バイパス流路81は、冷却水がラジエータ23、クーラコア13、ヒータコア29および温度調整対象機器64をバイパスして流れる冷却水流路である。
各流路70〜81は、配管またはホースで形成されている。配管は、金属等の硬質材料で成形されており、冷却水の圧力に応じて膨張・収縮しない。ホースは、ゴム等の柔軟性を有する材料で成形されており、冷却水の圧力に応じて膨張・収縮する。
各流路70〜81は、第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68のいずれかに接続されている。
第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、冷却水の流れを切り替える冷却水流れ切替部である。第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、冷却水の循環状態を切り替える循環切替部である。
第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68の作動は、制御装置40によって制御される。
第1切替弁65は、冷却水の入口として第1入口65aおよび第2入口65bを有し、冷却水の出口として第1出口65c、第2出口65dおよび第3出口65cを有している。
第2切替弁66は、冷却水の入口として第1入口66aおよび第2入口66bを有し、冷却水の出口として第1出口66c、第2出口66d、第3出口66e、第4出口66fおよび第5出口66gを有している。
第3切替弁67は、冷却水の出口として第1出口67aおよび第2出口67bを有し、冷却水の入口として第1入口67c、第2入口67dおよび第3入口67eを有している。
第4切替弁68は、冷却水の出口として第1出口68aおよび第2出口68bを有し、冷却水の入口として第1入口68c、第2入口68d、第3入口68e、第4入口68fおよび第5入口68gを有している。
第1切替弁65の第1入口65aには、クーラポンプ用流路70の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁65の第1入口65aには、クーラポンプ11の冷却水吐出側が接続されている。
第1切替弁65の第2入口65bには、ヒータポンプ用流路71の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁65の第2入口65bには、ヒータポンプ60の冷却水吐出側が接続されている。
第1切替弁65の第1出口65cには、電池温調用流路75の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁65の第1出口65cには電池用熱交換器17の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁65の第2出口65dには、電気機器用流路78の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁65の第2出口65dには電気機器62の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁65の第3出口65eには、オイル熱交換器用流路79の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁65の第3出口65eにはオイル熱交換器63の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁66の第1入口66aには、チラー用流路72の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第1入口66aには、チラー12の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁66の第2入口66bには、コンデンサ用流路73の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第2入口66bには、コンデンサ61の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁66の第1出口66cには、クーラコア用流路74の一端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第1出口66cにはクーラコア13の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁66の第2出口66dには、ラジエータ用流路76の一端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第2出口66dにはラジエータ23の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁66の第3出口66eには、ヒータコア用流路77の一端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第3出口66eにはヒータコア29の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁66の第4出口66fには、機器用流路80の一端が接続されている。換言すれば、第2切替弁66の第4出口66fには温度調整対象機器64の冷却水入口側が接続されている。第2切替弁66の第5出口66gには、バイパス流路81の一端が接続されている。
第3切替弁67の第1出口67aには、クーラポンプ用流路70の他端が接続されている。換言すれば、第3切替弁67の第1出口67aには、クーラポンプ11の冷却水吸入側が接続されている。
第3切替弁67の第2出口67bには、ヒータポンプ用流路71の他端が接続されている。換言すれば、第3切替弁67の第2入口67bには、ヒータポンプ60の冷却水吸入側が接続されている。
第3切替弁67の第1入口67cには、電池温調用流路75の他端が接続されている。換言すれば、第3切替弁67の第1入口67cには電池用熱交換器17の冷却水出口側が接続されている。
第3切替弁67の第2入口67dには、電気機器用流路78の他端が接続されている。換言すれば、第3切替弁67の第2入口67dには電気機器62の冷却水出口側が接続されている。
第3切替弁67の第3入口67eには、オイル熱交換器用流路79の他端が接続されている。換言すれば、第3切替弁67の第3入口67eにはオイル熱交換器63の冷却水出口側が接続されている。
第4切替弁68の第1出口68aには、クーラポンプ用流路70の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第1出口68aには、クーラポンプ11の冷却水吸入側が接続されている。すなわち、クーラポンプ用流路70の他端は、第3切替弁67側と第4切替弁68側とに分岐している。
第4切替弁68の第2出口68bには、ヒータポンプ用流路71の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第2出口68bには、ヒータポンプ60の冷却水吸入側が接続されている。すなわち、ヒータポンプ用流路71の他端は、第3切替弁67側と第4切替弁68側とに分岐している。
第4切替弁68の第1入口68cには、クーラコア用流路74の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第1入口68cにはクーラコア13の冷却水出口側が接続されている。
第4切替弁68の第2入口68dには、ラジエータ用流路76の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第2入口68dにはラジエータ23の冷却水出口側が接続されている。
第4切替弁68の第3入口68eには、ヒータコア用流路77の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第3入口68eにはヒータコア29の冷却水出口側が接続されている。
第4切替弁68の第4入口68fには、機器用流路80の他端が接続されている。換言すれば、第4切替弁68の第4入口68fには温度調整対象機器64の冷却水出口側が接続されている。第4切替弁68の第5入口68gには、バイパス流路81の他端が接続されている。
第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、各入口と各出口との連通状態を任意または選択的に切り替え可能な構造になっている。
具体的には、第1切替弁65は、電池用熱交換器17、電気機器62およびオイル熱交換器63のそれぞれについて、クーラポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と、ヒータポンプ60から吐出された冷却水が流入する状態と、クーラポンプ11から吐出された冷却水およびヒータポンプ60から吐出された冷却水が流入しない状態とを切り替える弁体を有している。
第2切替弁66は、ラジエータ23、クーラコア13、ヒータコア29、温度調整対象機器64およびバイパス流路81のそれぞれについて、クーラポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と、ヒータポンプ60から吐出された冷却水が流入する状態と、クーラポンプ11から吐出された冷却水およびヒータポンプ60から吐出された冷却水が流入しない状態とを切り替える弁体を有している。
第3切替弁67は、電池用熱交換器17、電気機器62およびオイル熱交換器63のそれぞれについて、クーラポンプ11へ冷却水が流出する状態と、ヒータポンプ60へ冷却水が流出する状態と、クーラポンプ11およびヒータポンプ60へ冷却水が流出しない状態とを切り替える弁体を有している。
第4切替弁68は、ラジエータ23、クーラコア13、ヒータコア29、温度調整対象機器64およびバイパス流路81のそれぞれについて、クーラポンプ11へ冷却水が流出する状態と、ヒータポンプ60へ冷却水が流出する状態と、クーラポンプ11およびヒータポンプ60へ冷却水が流出しない状態とを切り替える弁体を有している。
第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68の各弁体は、弁開度を調節可能になっている。これにより、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63、温度調整対象機器64およびバイパス流路81を流れる冷却水の流量を調節できる。
すなわち、第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、ラジエータ23、クーラコア13、ヒータコア29、温度調整対象機器64、電池用熱交換器17、電気機器62、オイル熱交換器63およびバイパス流路81のそれぞれに対して、冷却水の流量を調節する流量調節部である。
第1切替弁65は、クーラポンプ11から吐出された冷却水と、ヒータポンプ60から吐出された冷却水とを任意の流量割合で混合して、ラジエータ23、クーラコア13、ヒータコア29、温度調整対象機器64、電池用熱交換器17、電気機器62、オイル熱交換器63およびバイパス流路81に流入させることが可能になっている。
すなわち、第1切替弁65および第2切替弁66は、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63、温度調整対象機器64およびバイパス流路81のそれぞれに対して、チラー12で冷却された冷却水と、コンデンサ61で加熱された冷却水との流量割合を調節する流量割合調節部である。
第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、一体的に形成されて弁体駆動源が共用化されていてもよい。第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68は、多数の弁の組み合わせで構成されていてもよい。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置40がクーラポンプ11、ヒータポンプ60、圧縮機31、第1切替弁65、第2切替弁66、第3切替弁67および第4切替弁68等の作動を制御することによって、種々の作動モードに切り替えられる。
例えば、低温側冷却水回路および高温側冷却水回路が形成される。低温側冷却水回路は、クーラポンプ11によって吸入されて吐出された冷却水が、チラー12と、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63および温度調整対象機器64のうち少なくとも1つの機器との間で循環する冷却水回路である。
高温側冷却水回路は、ヒータポンプ60によって吸入されて吐出された冷却水が、コンデンサ61と、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63および温度調整対象機器64のうち少なくとも1つの機器との間で循環する冷却水回路である。
クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63および温度調整対象機器64のそれぞれについて、低温側冷却水回路に接続される場合と、高温側冷却水回路に接続される場合とを状況に応じて切り替えることによって、クーラコア13、電池用熱交換器17、ラジエータ23、ヒータコア29、電気機器62、オイル熱交換器63および温度調整対象機器64を状況に応じて適切な温度に調整できる。
ラジエータ23が低温側冷却水回路に接続された場合、冷凍サイクル30のヒートポンプ運転を行うことができる。すなわち、低温側冷却水回路では、チラー12で冷却された冷却水がラジエータ23を流れるので、ラジエータ23で冷却水が外気から吸熱する。
そして、ラジエータ23にて外気から吸熱した冷却水は、チラー12で冷凍サイクル30の冷媒と熱交換して放熱する。したがって、チラー12では、冷凍サイクル30の冷媒が冷却水を介して外気から吸熱する。
チラー12にて外気から吸熱した冷媒は、コンデンサ61にて高温側冷却水回路の冷却水と熱交換して放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
ラジエータ23が高温側冷却水回路に接続された場合、コンデンサ61で加熱された冷却水がラジエータ23を流れるので、ラジエータ23で冷却水の熱を外気に放熱できる。
クーラコア13が低温側冷却水回路に接続された場合、チラー12で冷却された冷却水がクーラコア13を流れるので、クーラコア13で車室内への送風空気を冷却・除湿できる。すなわち車室内を冷房・除湿できる。
ヒータコア29が高温側冷却水回路に接続された場合、コンデンサ61で加熱された冷却水がヒータコア29を流れるので、ヒータコア29で車室内への送風空気を加熱できる。すなわち車室内を暖房できる。
温度調整対象機器64が低温側冷却水回路に接続された場合、チラー12で冷却された冷却水が温度調整対象機器64を流れるので温度調整対象機器64を冷却できる。換言すれば、低温側冷却水回路の冷却水が温度調整対象機器64から吸熱できるので、温度調整対象機器64の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
温度調整対象機器64が高温側冷却水回路に接続された場合、コンデンサ61で加熱された冷却水が温度調整対象機器64を流れるので温度調整対象機器64を加熱できる。したがって、温度調整対象機器64を加熱して暖機できる。
電池用熱交換器17が低温側冷却水回路に接続された場合、チラー12で冷却された冷却水が電池用熱交換器17を流れるので電池用熱交換器17を冷却できる。換言すれば、低温側冷却水回路の冷却水が電池用熱交換器17から吸熱できるので、電池用熱交換器17の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
電池用熱交換器17が高温側冷却水回路に接続された場合、コンデンサ61で加熱された冷却水が電池用熱交換器17を流れるので電池用熱交換器17を加熱して暖機できる。
制御装置40は、操作パネル51のオートスイッチが投入されている場合、目標吹出温度TAOに基づいて、冷房運転と暖房運転とを切り替える。例えば、目標吹出温度TAOが閾値を上回っている場合、暖房運転を実行し、目標吹出温度TAOが閾値を下回っている場合、冷房運転を実行する。
制御装置40は、冷房運転時に図7のフローチャートに示す制御処理を実行する。
ステップS200では、クーラコア吹出温度TCからクーラコア目標吹出温度TCOを減じた差TC−TCOが所定値を上回っているか否かを判定する。クーラコア吹出温度TCは、クーラコア13から吹き出された空気の温度であり、クーラコア温度センサ46によって検出される。
クーラコア吹出温度TCからクーラコア目標吹出温度TCOを減じた差TC−TCOが所定値を上回っていると判定した場合、冷房負荷が高いクールダウン時であると推定されるので、ステップS210へ進み、クーラポンプ11の出力を増加させるとともに圧縮機31の出力を増加させる。クーラポンプ11の出力が既に最大出力になっている場合は、クーラポンプ11の出力をそのまま維持する。圧縮機31の出力が既に最大出力になっている場合は、圧縮機31の出力をそのまま維持する。
続くステップS220では、クーラコア吹出温度TCが所定温度を上回っているか否かを判定する。
所定温度は、制御装置40が、上記第1実施形態のステップS110と同様の手順で算出する。所定温度は、主配管における冷却水の流れが層流と乱流との遷移域となる温度である。換言すれば、所定温度は、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水のレイノルズ数が所定レイノルズ数となる温度である。
クーラコア吹出温度TCが所定温度を上回っていると判定した場合、冷却水の流れが乱流であると推定されるので、ステップS230へ進み、脈動流モードを実行する。
一方、ステップS200にて、クーラコア吹出温度TCからクーラコア目標吹出温度TCOを減じた差TC−TCOが所定値を上回っていないと判定した場合、ステップS250へ進み、クーラポンプ11の出力を減少させるとともに圧縮機31の出力を減少させる。クーラポンプ11の出力が既にシステム能力上の必要最小出力になっている場合は、クーラポンプ11の出力をそのまま維持する。圧縮機31の出力が既にシステム能力上の必要最小出力になっている場合は、圧縮機31の出力をそのまま維持する。
続くステップS260では、冷却水の流れが層流であると推定されるので、定常流モードを実行する。
一方、ステップS220にて、クーラコア吹出温度TCが所定温度を上回っていないと判定した場合、冷却水の流れが層流であると推定されるので、ステップS260へ進み、定常流モードを実行する。
これにより、上記第1実施形態と同様に脈動流モードと定常流モードとを切り替えて圧力損失を低減できる。
制御装置40は、暖房作動時に図8のフローチャートに示す制御処理を実行する。ステップS300では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOから車室内吹出空気の実際の吹出温度TAVを減じた差TAO−TAVが所定値を上回っているか否かを判定する。
吹出温度TAVの算出方法は、クーラコア吹出温度TC、ヒータコア吹出温度THおよびエアミックスドア37の開度に基づいて算出される。ヒータコア吹出温度THは、ヒータコア29から吹き出された空気の温度であり、ヒータコア温度センサ50によって検出される。
エアミックスドア37の開度は、室内空調ユニット35内のヒータコア通路36aとバイパス通路36bとの開度割合である。換言すれば、エアミックスドア37の開度は、室内空調ユニット35内においてヒータコア通路36aとバイパス通路36bとの風量割合である。
暖房運転時には、基本的にエアミックスドア37はヒータコア通路36aを全開してバイパス通路36bを全閉する。吹出温度TAVを細かに調整する場合や速やかに調整する場合は、エアミックスドア37の開度を中間開度にする。
ステップS300にて目標吹出温度TAOから実際の吹出温度TAVを減じた差TAO−TAVが所定値を上回っていると判定した場合、暖房負荷が高いウォームアップ時であると推定されるので、ステップS310へ進み、ヒータポンプ60の出力を増加させるとともに圧縮機31の出力を増加させる。ヒータポンプ60の出力が既に最大出力になっている場合は、ヒータポンプ60の出力をそのまま維持する。圧縮機31の出力が既に最大出力になっている場合は、圧縮機31の出力をそのまま維持する。
続くステップS320では、ヒータコア吹出温度THまたは実際の吹出温度TAVが所定温度を上回っているか否かを判定する。
所定温度は、制御装置40が、上記第1実施形態のステップS110と同様の手順で算出する。所定温度は、主配管における冷却水の流れが層流と乱流との遷移域となる温度である。換言すれば、所定温度は、クーラ冷却回路10の主配管における冷却水のレイノルズ数が所定レイノルズ数となる温度である。
ヒータコア吹出温度THまたは実際の吹出温度TAVが所定温度を上回っていると判定した場合、冷却水の流れが乱流であると推定されるので、ステップS330へ進み、脈動流モードを実行する。
一方、ステップS300にて、目標吹出温度TAOから実際の吹出温度TAVを減じた差TAO−TAVが所定値を上回っていないと判定した場合、ステップS350へ進み、ヒータポンプ60の出力を減少させるとともに圧縮機31の出力を減少させる。ヒータポンプ60の出力が既にシステム能力上の必要最小出力になっている場合は、ヒータポンプ60の出力をそのまま維持する。圧縮機31の出力が既にシステム能力上の必要最小出力になっている場合は、圧縮機31の出力をそのまま維持する。
続くステップS360では、冷却水の流れが層流であると推定されるので、定常流モードを実行する。
一方、ステップS300にて、ヒータコア吹出温度THまたは実際の吹出温度TAVが所定温度を上回っていないと判定した場合、冷却水の流れが層流であると推定されるので、ステップS360へ進み、定常流モードを実行する。
これにより、暖房運転時においても冷房運転時と同様に脈動流モードと定常流モードとを切り替えて圧力損失を低減できる。
本実施形態の車両用熱管理装置は、冷却水と外気とを熱交換させるラジエータ23と、冷却水と車室内へ送風される空気とを熱交換させるヒータコア29とを備えている。本実施形態では、制御装置40は、外気または冷却水の温度が所定温度以上である場合、脈動流モードに切り替え、外気または冷却水の温度が所定温度未満である場合、定常流モードに切り替えるようにしてもよい。
これによると、コンデンサ61で熱交換された冷却水の流れが乱流であるか層流であるかを適切に推定または判断して脈動流モードと定常流モードとを切り替えることができる。
本実施形態の車両用熱管理装置は、冷却水と外気とを熱交換させるラジエータ23と、冷凍サイクル30の高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させるコンデンサ61とを備えている。本実施形態では、制御装置40は、外気または冷却水の温度が所定温度以上である場合、脈動流モードに切り替え、外気または冷却水の温度が所定温度未満である場合、定常流モードに切り替えるようにしてもよい。
これによると、コンデンサ61で熱交換された冷却水の流れが乱流であるか層流であるかを適切に推定または判断して脈動流モードと定常流モードとを切り替えることができる。
本実施形態では、第1切替弁66および第2切替弁67は、コンデンサ61で熱交換された冷却水がラジエータ23を流れる状態と、チラー12で熱交換された冷却水がラジエータ23を流れる状態とを切り替える。
これによると、コンデンサ61で熱交換された冷却水がラジエータ23を流れる状態と、チラー12で熱交換された冷却水がラジエータ23を流れる状態とを切り替え可能な車両用熱管理装置において、脈動流モードと定常流モードとを切り替えて圧力損失を低減できる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、チラー12およびコンデンサ61が冷却水の流れにおいて他の機器17、62、63と直列に配置されているが、本実施形態では、チラー12およびコンデンサ61が冷却水の流れにおいて他の機器92、93、94と並列に配置されている。
本実施形態の車両用熱管理装置は、内部循環ポンプ90、ラジエータポンプ91、チラー12、クーラコア13、ラジエータ23、ヒータコア29、コンデンサ61、第1機器92、第2機器93、エンジン用熱交換器94、分配側切替弁95および集合側切替弁96を備えている。
内部循環ポンプ90およびラジエータポンプ91は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。
第1機器92および第2機器93は、冷却水が流通する流路を有しており、冷却水によって温度調整される。第1機器92および第2機器93は、電池用熱交換器、電気機器、オイル熱交換器、温度調整対象機器等である。
エンジン用熱交換器94は、内部循環ポンプ90またはラジエータポンプ91から吐出された冷却水と、エンジン冷却回路20を循環する冷却水とを熱交換させる熱交換器である。
内部循環ポンプ90は、内部循環ポンプ用流路100に配置されている。ラジエータポンプ91は、ラジエータポンプ用流路101に配置されている。ラジエータ23は、ラジエータポンプ用流路101のうちラジエータポンプ91の冷却水吐出側の部位に配置されている。
第1機器92は、第1機器用流路102に配置されている。第2機器93は、第2機器用流路103に配置されている。エンジン用熱交換器94は、エンジン用流路104に配置されている。
内部循環ポンプ用流路100の一端は、分配側切替弁95の第1入口95aに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第1入口95aには、内部循環ポンプ90の冷却水吐出側が接続されている。
内部循環ポンプ用流路100の他端は、集合側切替弁96の第1出口96aに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第1出口96aには、内部循環ポンプ90の冷却水吸入側が接続されている。
ラジエータポンプ用流路101の一端は、分配側切替弁95の第2入口95bに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第2入口95bには、ラジエータ23の冷却水出口側が接続されている。
ラジエータポンプ用流路101の他端は、集合側切替弁96の第2出口96bに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第2出口96bには、ラジエータポンプ91の冷却水吸入側が接続されている。
ラジエータポンプ用流路101には、ラジエータバイパス流路26が配置されている。ラジエータバイパス流路26は、冷却水がラジエータ23をバイパスして流れるようにラジエータポンプ用流路101に接続された冷却水流路であり、冷却水流れにおいてラジエータ23と並列に配置されている。
ラジエータポンプ用流路101とラジエータバイパス流路26との接続部には、サーモスタット28が配置されている。
チラー用流路72の一端は、分配側切替弁95の第1出口95cに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第1出口95cには、チラー12の冷却水入口側が接続されている。
チラー用流路72の他端は、集合側切替弁96の第1入口96cに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第1入口96cには、チラー12の冷却水出口側が接続されている。
コンデンサ用流路73の一端は、分配側切替弁95の第2出口95dに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第2出口95dには、コンデンサ61の冷却水入口側が接続されている。
コンデンサ用流路73の他端は、集合側切替弁96の第2入口96dに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第2入口96dには、コンデンサ61の冷却水出口側が接続されている。
第1機器用流路102の一端は、分配側切替弁95の第3出口95eに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第3出口95eには、第1機器92の冷却水入口側が接続されている。
第1機器用流路102の他端は、集合側切替弁96の第3入口96eに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第3入口96eには、第1機器92の冷却水出口側が接続されている。
第2機器用流路103の一端は、分配側切替弁95の第4出口95fに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第4出口95fには、第2機器93の冷却水入口側が接続されている。
第2機器用流路103の他端は、集合側切替弁96の第4入口96fに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第4入口96fには、第2機器93の冷却水出口側が接続されている。
エンジン用流路104の一端は、分配側切替弁95の第5出口95gに接続されている。換言すれば、分配側切替弁95の第5出口95gには、エンジン用熱交換器94の冷却水入口側が接続されている。
エンジン用流路104の他端は、集合側切替弁96の第5入口96gに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第5入口96gには、エンジン用熱交換器94の冷却水出口側が接続されている。
チラー用流路72のうちチラー12よりも下流側の部位には、クーラコア用流路74の一端が接続されている。換言すれば、チラー用流路72のうちチラー12よりも下流側の部位にはクーラコア13の冷却水入口側が接続されている。
クーラコア用流路74の他端は、集合側切替弁96の第6入口96hに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第6入口96hには、クーラコア13の冷却水出口側が接続されている。
コンデンサ用流路73のうちコンデンサ61よりも下流側の部位には、ヒータコア用流路77の一端が接続されている。換言すれば、コンデンサ用流路73のうちコンデンサ61よりも下流側の部位にはヒータコア29の冷却水入口側が接続されている。
ヒータコア用流路77の他端は、集合側切替弁96の第7入口96iに接続されている。換言すれば、集合側切替弁96の第7入口96iには、ヒータコア29の冷却水出口側が接続されている。
これによると、チラー12で冷却された冷却水と、コンデンサ61で加熱された冷却水とを、クーラコア13、ヒータコア29、第1機器92、第2機器93およびエンジン用熱交換器94に分配して、車室内の空調と車両の熱管理とを行うことができる。
また、内部循環ポンプ90側の冷却水回路に、チラー12で冷却された冷却水が循環する場合と、コンデンサ61で加熱された冷却水が循環する場合とを切り替えることができる。同様に、ラジエータポンプ91側の冷却水回路に、チラー12で冷却された冷却水が循環する場合と、コンデンサ61で加熱された冷却水が循環する場合とを切り替えることができる。すなわち、ラジエータ23にチラー12で冷却された冷却水が流れてラジエータ23で外気から吸熱する場合と、ラジエータ23にコンデンサ61で加熱された冷却水が流れてラジエータ23で外気へ放熱する場合とを切り替えることができる。
制御装置40は、上記第2実施形態と同様に、冷房運転時および暖脈動流モードと定常流モードとを切り替える。これにより、上記第2実施形態と同様に圧力損失を低減できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)本実施形態では、制御装置40がクーラポンプ11の冷却水吐出量を周期的に増減させることによって脈動流を発生させるが、制御装置40が、冷却水流路の開度を周期的に増減させることによって脈動流を発生させてもよい。具体的には、クーラ冷却回路10の冷却水流路の開度を調整可能なバルブを備え、バルブ制御装置40が、バルブの開度を周期的に増減させることによって脈動流を発生させてもよい。
(2)上記各実施形態では、温度調節対象機器を温度調節するための熱媒体として冷却水を用いているが、油などの各種媒体を熱媒体として用いてもよい。
熱媒体として、ナノ流体を用いてもよい。ナノ流体とは、粒子径がナノメートルオーダーのナノ粒子が混入された流体のことである。ナノ粒子を熱媒体に混入させることで、エチレングリコールを用いた冷却水のように凝固点を低下させて不凍液にする作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、特定の温度帯での熱伝導率を向上させる作用効果、熱媒体の熱容量を増加させる作用効果、金属配管の防食効果やゴム配管の劣化を防止する作用効果、および極低温での熱媒体の流動性を高める作用効果を得ることができる。
このような作用効果は、ナノ粒子の粒子構成、粒子形状、配合比率、付加物質によって様々に変化する。
これによると、熱伝導率を向上させることができるので、エチレングリコールを用いた冷却水と比較して少ない量の熱媒体であっても同等の冷却効率を得ることが可能になる。
また、熱媒体の熱容量を増加させることができるので、熱媒体自体の顕熱による蓄冷熱量を増加させることができる。
蓄冷熱量を増加させることにより、圧縮機31を作動させない状態であっても、ある程度の時間は蓄冷熱を利用した機器の冷却、加熱の温調が実施できるため、車両用熱管理装置の省動力化が可能になる。
ナノ粒子のアスペクト比は50以上であるのが好ましい。十分な熱伝導率を得ることができるからである。なお、アスペクト比は、ナノ粒子の縦×横の比率を表す形状指標である。
ナノ粒子としては、Au、Ag、CuおよびCのいずれかを含むものを用いることができる。具体的には、ナノ粒子の構成原子として、Auナノ粒子、Agナノワイヤー、CNT、グラフェン、グラファイトコアシェル型ナノ粒子、およびAuナノ粒子含有CNTなどを用いることができる。
CNTはカーボンナノチューブである。グラファイトコアシェル型ナノ粒子は、上記原子を囲むようにカーボンナノチューブ等の構造体があるような粒子体である。
(3)上記各実施形態の冷凍サイクル30では、冷媒としてフロン系冷媒を用いているが、冷媒の種類はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を用いてもよい。
また、上記各実施形態の冷凍サイクル30は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。