JP2021035174A - 車両のバッテリ冷却装置及びそれを備えた車両用空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のバッテリの冷却ムラを解消若しくは抑制し、オイル戻り性も改善することができる車両のバッテリ冷却装置を提供する。【解決手段】車両のバッテリ冷却装置61は、圧縮機2と、室外熱交換器7と、バッテリ55と熱伝導可能に設けられたバッテリ用熱交換器64と、補助膨張弁73と、空調コントローラ32を備える。空調コントローラ32は、室外熱交換器にて放熱した冷媒を補助膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させる。バッテリ用熱交換器から出た冷媒の温度と圧力を検出する出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で補助膨張弁の弁開度を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されたバッテリを冷却するバッテリ冷却装置、及び、それを備えて車室内を空調するヒートポンプ方式の車両用空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、車両に搭載されたバッテリから供給される電力で走行用モータを駆動する電気自動車やハイブリッド自動車等の車両が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、圧縮機と、放熱器と、吸熱器と、室外熱交換器が接続された冷媒回路を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させることで車室内を暖房し、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させることで車室内を冷房するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、バッテリは自己発熱等で高温となった環境下で充放電を行うと、劣化が進行し、やがては作動不良を起こして破損する危険性もある。そこで、冷媒回路を循環する冷媒をバッテリ用熱交換器(電池冷却用蒸発器)にて吸熱させることで、バッテリを冷却することができるようにしたものも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5999637号公報 特開2018−185104号公報
ここで、通常バッテリは複数のセルから構成されており、車両の床下等に各セルが広い面積で並設されるかたちとなるため、バッテリ全体を効果的に冷却するには、バッテリ用熱交換器の流路(冷媒の流路)が複雑化することになる。そのため、冷媒の過熱度が付いている部分と付かない部分が発生して、冷却にムラが生じると共に、冷媒に溶け込んで循環するオイルの戻りも悪くなると云う問題があった。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、車両のバッテリの冷却ムラを解消若しくは抑制し、オイル戻り性も改善することができる車両のバッテリ冷却装置、及び、それを備えた車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明の車両のバッテリ冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室外に設けられた室外熱交換器と、車両に搭載されたバッテリと熱伝導可能に設けられ、冷媒を吸熱させてバッテリを冷却するためのバッテリ用熱交換器と、このバッテリ用熱交換器に流入する冷媒を減圧するためのバッテリ用膨張弁と、バッテリ用熱交換器から出た冷媒の温度と圧力を検出するための出口センサと、制御装置を備え、この制御装置は、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させると共に、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向でバッテリ用膨張弁の弁開度を制御することを特徴とする。
請求項2の発明の車両のバッテリ冷却装置は、上記発明において制御装置は、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更することを特徴とする。
請求項3の発明の車両のバッテリ冷却装置は、上記発明において制御装置は、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒の過熱度SHboutが、所定の閾値SHbout1より大きくなった場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更することを特徴とする。
請求項4の発明の車両のバッテリ冷却装置は、上記各発明において圧縮機から吐出された冷媒の温度と圧力を検出するための吐出センサを備え、制御装置は、出口センサの出力と吐出センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向でバッテリ用膨張弁の弁開度を制御することを特徴とする。
請求項5の発明の車両のバッテリ冷却装置は、上記発明において制御装置は、吐出センサの出力に基づき、圧縮機から吐出された冷媒の過熱度SHdisが所定の閾値SHdis1より小さくなった場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、閉じる方向で変更することを特徴とする。
請求項6の発明の車両のバッテリ冷却装置は、上記各発明においてバッテリ用熱交換器の冷媒出口から圧縮機の冷媒吸込側に至る冷媒回路に設けられたアキュムレータを備えたことを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明の車両のバッテリ冷却装置と、冷媒を吸熱させて車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、この吸熱器に流入する冷媒を減圧するための室内膨張弁を備え、バッテリ用膨張弁の冷媒入口側に位置する分岐部に室内膨張弁の冷媒入口が連通接続され、バッテリ用熱交換器の冷媒出口側に位置する合流部に吸熱器の冷媒出口が連通接続されると共に、制御装置は、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させるバッテリ冷却モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を分岐部にて分流し、分流した一部の冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させ、分流した残りの冷媒を室内膨張弁により減圧した後、吸熱器にて吸熱させるバッテリ冷却+冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室内膨張弁により減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードを有することを特徴とする。
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、バッテリ冷却+冷房モードにおいては、室内膨張弁の弁開度Vevaを所定値Veva1に固定することを特徴とする。
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、請求項7又は請求項8の発明において出口センサは、合流部よりバッテリ用熱交換器側の冷媒回路に設けられていることを特徴とする。
本発明の車両のバッテリ冷却装置によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室外に設けられた室外熱交換器と、車両に搭載されたバッテリと熱伝導可能に設けられ、冷媒を吸熱させてバッテリを冷却するためのバッテリ用熱交換器と、このバッテリ用熱交換器に流入する冷媒を減圧するためのバッテリ用膨張弁と、バッテリ用熱交換器から出た冷媒の温度と圧力を検出するための出口センサと、制御装置を備えており、この制御装置が、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させると共に、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向でバッテリ用膨張弁の弁開度を制御するようにしたので、バッテリ用熱交換器から出た冷媒には過熱度SHboutが付かないか、付いても極めて小さいものなる。
これにより、バッテリ用熱交換器の全体、若しくは、略全体で冷媒が蒸発し、バッテリから吸熱することができるようになるので、バッテリの冷却にムラが生じる不都合を解消、若しくは、抑制し、バッテリ全体を効果的に冷却して劣化を抑制することができるようになる。また、オイル戻りも良くなるので、圧縮機の焼き付きも未然に回避することができるようになる。
特に、請求項2の発明の如く制御装置が、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更することで、バッテリの冷却ムラの発生やオイル戻りの悪化を効果的に解消、若しくは、抑制することができるようになる。
この場合、具体的には請求項3の発明の如く制御装置が、出口センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒の過熱度SHboutが、所定の閾値SHbout1より大きくなった場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更するようにすれば、閾値SHbout1を極めて小さい値に設定しておくことで、バッテリの冷却ムラの発生やオイル戻りの悪化を適切に解消、若しくは、抑制することができるようになる。
一方、請求項4の発明の如く圧縮機から吐出された冷媒の温度と圧力を検出するための吐出センサを設け、制御装置が、出口センサの出力と吐出センサの出力に基づき、バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向でバッテリ用膨張弁の弁開度を制御することで、液圧縮により圧縮機が損傷する不都合も未然に回避することが可能となる。
この場合、具体的には請求項5の発明の如く制御装置が、吐出センサの出力に基づき、圧縮機から吐出された冷媒の過熱度SHdisが所定の閾値SHdis1より小さくなった場合、バッテリ用膨張弁の弁開度を、閉じる方向で変更するようにすれば、例えば、閾値SHdis1を、バッテリ用熱交換器からの液戻り多くなり、圧縮機での液圧縮の危険性が高くなる値に設定しておくことで、バッテリ用熱交換器から圧縮機に吸い込まれる液冷媒の量が多くなり、液圧縮を引き起こす不都合を適切に解消することができるようになる。
また、請求項6の発明の如くバッテリ用熱交換器の冷媒出口から圧縮機の冷媒吸込側に至る冷媒回路にアキュムレータを設けることでも、圧縮機への液バックを効果的に解消することができるようになる。
更に、請求項7の発明の車両用空気調和装置によれば、上記各発明の車両のバッテリ冷却装置と、冷媒を吸熱させて車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、この吸熱器に流入する冷媒を減圧するための室内膨張弁を備えており、バッテリ用膨張弁の冷媒入口側に位置する分岐部に室内膨張弁の冷媒入口が連通接続され、バッテリ用熱交換器の冷媒出口側に位置する合流部に吸熱器の冷媒出口が連通接続されると共に、制御装置が、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させるバッテリ冷却モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を分岐部にて分流し、分流した一部の冷媒をバッテリ用膨張弁により減圧した後、バッテリ用熱交換器にて吸熱させ、分流した残りの冷媒を室内膨張弁により減圧した後、吸熱器にて吸熱させるバッテリ冷却+冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室内膨張弁により減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードを有するようにしたので、冷媒によるバッテリの冷却と車室内の冷房を、適切に実現することが可能となる。
この場合、請求項8の発明の如く制御装置が、バッテリ冷却+冷房モードにおいては、室内膨張弁の弁開度Vevaを所定値Veva1に固定するようにすれば、例えば、所定値Veva1を、バッテリ用膨張弁の弁開度が極めて小さくなり、若しくは、バッテリ用膨張弁が全閉となった場合でも、室内膨張弁に流入する冷媒の過冷却度が過大とならない値に設定しておくことで、安全に車室内の冷房を継続することができるようになる。
また、請求項9の発明の如く出口センサを、合流部よりバッテリ用熱交換器側の冷媒回路に設けることで、バッテリ用熱交換器から出た冷媒の過熱度SHboutを的確に把握することができるようになるものである。
本発明のバッテリ冷却装置を備えた一実施例の車両用空気調和装置の構成図である(暖房モード)。 図1の車両用空気調和装置の制御装置としての空調コントローラのブロック図である。 図1の車両用空気調和装置の除湿暖房モードを説明する構成図である。 図1の車両用空気調和装置の除湿冷房モードと、冷房モードを説明する構成図である。 図1の車両用空気調和装置のバッテリ冷却モードを説明する図である。 図1の車両用空気調和装置のバッテリ冷却+冷房モードを説明する構成図である。 図2の空調コントローラによる補助膨張弁の制御に関するフローチャートである。 図1の車両用空気調和装置のp−h線図である。 図1の車両用空気調和装置のもう一つのp−h線図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明のバッテリ冷却装置61を備えた一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、車両にバッテリ55(例えば、リチウムイオンバッテリ)が搭載され、外部電源からバッテリ55に充電された電力を走行用モータ(電動モータ)に供給することで駆動し、走行するものである。そして、車両用空気調和装置1を構成する各機器も、バッテリ55から給電されて駆動されるものである。
即ち、車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路Rを有するヒートポンプ装置HPにより車室内の暖房を行い、更に、冷房、除湿を選択的に実行することで、車室内の空調を行いながら、バッテリ55の冷却も行うものである。尚、車両として係る電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明が有効であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、バッテリ55から給電されて冷媒を圧縮する電動式の圧縮機(電動圧縮機)2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動膨張弁から成る室外膨張弁6と、冷房時には冷媒を放熱させる凝縮器として機能し、暖房時には冷媒を吸熱させる蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせるための室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動膨張弁から成る室内膨張弁8と、空気流通路3内に設けられて冷房時(除湿時)に車室内外から冷媒に吸熱させて車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、ヒートポンプ装置HPの冷媒回路Rが構成されている。室外膨張弁6や室内膨張弁8は、冷媒を減圧膨張させると共に、全開や全閉も可能とされている。
尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7の冷媒出口側に接続された冷媒配管13Aは、逆止弁18を介して冷媒配管13Bに接続されている。尚、逆止弁18は冷媒配管13B側が順方向とされ、この冷媒配管13Bは室内膨張弁8に接続されている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される電磁弁21を介して吸熱器9の冷媒出口側に位置する冷媒配管13Cに連通接続されている。そして、この冷媒配管13Dの接続点より下流側の冷媒配管13Cに逆止弁20が接続され、この逆止弁20より下流側の冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。尚、逆止弁20はアキュムレータ12側が順方向とされている。
更に、放熱器4の冷媒出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で冷媒配管13Jと冷媒配管13Fに分岐しており、分岐した一方の冷媒配管13Jが室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の冷媒入口側に接続されている。また、分岐した他方の冷媒配管13Fは除湿時に開放される電磁弁22を介して逆止弁18の冷媒下流側であって、室内膨張弁8の冷媒上流側に位置する冷媒配管13Bに連通接続されている。
これにより、冷媒配管13Fは室外膨張弁6、室外熱交換器7及び逆止弁18の直列回路に対して並列に接続されたかたちとなり、室外膨張弁6、室外熱交換器7及び逆止弁18をバイパスするバイパス回路となる。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環)と、車室外の空気である外気(外気導入)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
また、放熱器4の空気上流側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を放熱器4に通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。更に、放熱器4の空気下流側における空気流通路3には、FOOT(フット)、VENT(ベント)、DEF(デフ)の各吹出口(図1では代表して吹出口29で示す)が形成されており、この吹出口29には上記各吹出口から空気の吹き出しを切換制御する吹出口切換ダンパ31が設けられている。
更に、前述した如く車両用空気調和装置1は、バッテリ55から冷媒回路Rの冷媒により吸熱して当該バッテリ55を冷却するためのバッテリ冷却装置61を備えている。実施例では、バッテリ55は複数のセル55A〜55Dから構成されており、これらが車両の床下に並設されている。また、図1において64はバッテリ用熱交換器である。このバッテリ用熱交換器64には、何れも冷媒流路である分配部64Eと、この分配部64Eにそれぞれ連通された複数の熱交換部64A〜64Dと、熱交換部64A、64Bに連通された合流部64Fと、熱交換部64C、64Dに連通された合流部64Gが構成されている。
そして、各セル55A〜55Dは、各熱交換部64A〜64D上に熱伝導可能にそれぞれ設けられており、後述する如く各熱交換部64A〜64D内に流入して蒸発する冷媒により直接の熱伝導で吸熱されて冷却されることになるが、このような構成である関係上、バッテリ用熱交換器64内の冷媒流路は複雑なものとなっている。
一方、冷媒回路Rの冷媒配管13Fの出口、即ち、冷媒配管13Fと冷媒配管13Bとの接続部の冷媒下流側であって、室内膨張弁8の冷媒上流側に位置する冷媒配管13Bの分岐部B1には、分岐配管72の入口端が連通接続されている。この分岐配管72には電動膨張弁から構成されたバッテリ用膨張弁としての補助膨張弁73が設けられている。この補助膨張弁73はバッテリ用熱交換器64に流入する冷媒を減圧膨張させると共に、全閉も可能とされている。
そして、分岐配管72の出口端はバッテリ用熱交換器64の分配部64Eに接続されている。バッテリ用熱交換器64の各合流部64F、64Gには、冷媒配管74の入口端が接続され、冷媒配管74の出口端は逆止弁20の冷媒下流側であって、アキュムレータ12の手前(冷媒上流側)の冷媒配管13Cに設けられた合流部B2にて当該冷媒配管13Cに連通接続されている。そして、これら補助膨張弁73やバッテリ用熱交換器64等は車両用空気調和装置1の冷媒回路Rの一部を構成する。一方、ヒートポンプ装置HPの圧縮機2や室外熱交換器7、アキュムレータ12、後述する空調コントローラ32等は、補助膨張弁73やバッテリ用熱交換器64等と共に、本発明におけるバッテリ冷却装置61の一部を構成することになる。
補助膨張弁73が開いている場合、室外熱交換器7から出た冷媒(一部、又は、全ての冷媒)が分岐部B1にて分流されて分岐配管27に流入し、補助膨張弁73で減圧された後、バッテリ用熱交換器64の分配部64Eに流入する。分配部64Eに流入した冷媒は各熱交換部64A〜64Dに分配され、そこで蒸発する。冷媒は各熱交換部64A〜64Dを流れる過程でバッテリ55の各セル55A〜55Dから吸熱し、冷却した後、熱交換部64A、64Bからは合流部64Fに流入し、熱交換部64C、64Dからは合流部64Gに流入する。その後、冷媒は各合流部64F、64Gから出て冷媒配管74に流入して合流し、冷媒配管13Cを経てアキュムレータ12に至り、その後、圧縮機2に吸い込まれることになる。
即ち、アキュムレータ12はバッテリ用熱交換器64の冷媒出口から圧縮機2の冷媒吸込側に至る冷媒回路Rに設けられたかたちとなる。また、分岐部B1は補助膨張弁73の冷媒入口側に位置し、且つ、室内膨張弁8の冷媒入口がこの分岐部B1に連通接続されたかたちとなる。更に、合流部B2はバッテリ用熱交換器64の冷媒出口側に位置し、且つ、吸熱器9の冷媒出口がこの合流部B2に連通接続されたかたちとなる。
次に、図2において32は車両用空気調和装置1(バッテリ冷却装置61を含む)の制御を司る制御装置としての空調コントローラ32である。この空調コントローラ32は、プロセッサを備えたコンピュータの一例としてのマイクロコンピュータから構成されている。
空調コントローラ32(制御装置)の入力には、車両の外気温度(Tam)を検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれる空気の温度を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、吹出口29から車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)と圧力(吐出圧力Pd)を検出する複合型の吐出センサ42と、圧縮機2の吸込冷媒温度を検出する吸込温度センサ44と、放熱器4の温度(放熱器4を経た空気の温度、又は、放熱器4自体の温度:放熱器温度TCI)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器4内、又は、放熱器4を出た直後の冷媒の圧力:放熱器圧力PCI)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9を経た空気の温度、又は、吸熱器9自体の温度:吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力(吸熱器9内、又は、吸熱器9を出た直後の冷媒の圧力)を検出する吸熱器圧力センサ49と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52と、設定温度や空調運転の切り換えを設定するための空調操作部53と、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器7から出た直後の冷媒の温度、又は、室外熱交換器7自体の温度:室外熱交換器温度TXO。室外熱交換器7が蒸発器として機能するとき、室外熱交換器温度TXOは室外熱交換器7における冷媒の蒸発温度となる)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の冷媒圧力(室外熱交換器7内、又は、室外熱交換器7から出た直後の冷媒の圧力)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
また、空調コントローラ32の入力には更に、バッテリ55の温度(バッテリ55自体の温度、又は、バッテリ用熱交換器64の温度:バッテリ温度Tb)を検出するバッテリ温度センサ76と、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒の温度(出口温度Tbout)と圧力(出口圧力Pbout)を検出する複合型の出口センサ77の各出力も接続されている。この出口センサ77は合流部B2よりバッテリ用熱交換器64側の冷媒回路Rの冷媒配管74に設けられている。
一方、空調コントローラ32の出力には、前記圧縮機2と、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、吹出口切換ダンパ31と、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、電磁弁22(除湿)、電磁弁21(暖房)の各電磁弁と、補助膨張弁73が接続されている。そして、空調コントローラ32は各センサの出力と空調操作部53にて入力された設定に基づいてこれらを制御するものである。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作について説明する。空調コントローラ32(制御装置)は、この実施例では暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、及び、冷房モードの各空調運転モードと、バッテリ冷却モードと、バッテリ冷却+冷房モード(バッテリ冷却+除湿冷房モードを含む)を切り換えて実行し、車室内を空調すると共に、バッテリ55を冷却する。
(1)暖房モード
最初に、図1を参照しながら暖房モードについて説明する。図1には暖房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れを実線矢印で示している。冬場等の低外気温時に空調コントローラ32により(オートモード)、或いは、空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房が選択されると、空調コントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開き、電磁弁22(除湿用)を閉じる。また、室内膨張弁8と補助膨張弁73を全閉とする。
そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒(潤滑用のオイルを含む。以下、同じ)は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13E、冷媒配管13Jを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる(吸熱)。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び冷媒配管13D、電磁弁21を経て冷媒配管13Cに至り、当該冷媒配管13Cの逆止弁20を経てアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4にて加熱された空気は吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
空調コントローラ32は、後述する目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(放熱器4の風下側の空気温度の目標値)から目標放熱器圧力PCO(放熱器4の圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器温度センサ46が検出する放熱器4の温度(放熱器温度TCI)及び放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度を制御する。前記目標ヒータ温度TCOは基本的にはTCO=TAOとされるが、制御上の所定の制限が設けられる。
(2)除湿暖房モード
次に、図3を参照しながら除湿暖房モードについて説明する。図3は除湿暖房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れを実線矢印で示している。除湿暖房モードでは、空調コントローラ32は上記暖房モードの状態において電磁弁22を開放し、室内膨張弁8を開いて冷媒を減圧膨張させる状態とする。これにより、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部が分流され、この分流された冷媒が電磁弁22を経て冷媒配管13Fに流入し、冷媒配管13Bから室内膨張弁8に流れ、残りの冷媒が室外膨張弁6に流れるようになる。即ち、分流された一部の冷媒が室内膨張弁8にて減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。
空調コントローラ32は吸熱器9の出口における冷媒の過熱度を所定値に維持するように室内膨張弁8の弁開度を制御するが、このときに吸熱器9で生じる冷媒の吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。分流されて冷媒配管13Jに流入した残りの冷媒は、室外膨張弁6で減圧された後、室外熱交換器7で蒸発することになる。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、冷媒配管13Cに出て冷媒配管13Dからの冷媒(室外熱交換器7からの冷媒)と合流した後、逆止弁20及びアキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
空調コントローラ32は目標ヒータ温度TCOから算出される目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。
(3)除湿冷房モード
次に、図4を参照しながら除湿冷房モードについて説明する。図4は除湿冷房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れを実線矢印で示している。除湿冷房モードでは、空調コントローラ32は室内膨張弁8を開いて冷媒を減圧膨張させる状態とし、電磁弁21と電磁弁22を閉じる。また、補助膨張弁73も全閉とする。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13C及び逆止弁20を経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程でリヒート(再加熱:暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
空調コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である目標吸熱器温度TEOに基づき、吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOにするように圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)と目標ヒータ温度TCOから算出される目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)に基づき、放熱器圧力PCIを目標放熱器圧力PCOにするように室外膨張弁6の弁開度を制御することで放熱器4による必要なリヒート量を得る。
(4)冷房モード
次に、冷房モードについて説明する。冷媒回路Rの流れは図4の除湿冷房モードと同様である。夏場等に実行されるこの冷房モードでは、空調コントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において室外膨張弁6の弁開度を全開とする。尚、エアミックスダンパ28は放熱器4に空気が通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されるものの、その割合は小さくなるので(冷房時のリヒートのみのため)、ここは殆ど通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。このとき室外膨張弁6は全開とされているので冷媒はそのまま室外膨張弁6を経て冷媒配管13Jを通過し、室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。
室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着し、空気は冷却される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13C及び逆止弁20を経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、空調コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて圧縮機2の回転数を制御する。
(5)空調運転モードの切り換え
空調コントローラ32は下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、吹出口29から車室内に吹き出される空気の温度の目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する車室内空気の温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
そして、空調コントローラ32は起動時には外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと目標吹出温度TAOとに基づいて上記各空調運転モードのうちの何れかの空調運転モードを選択する。また、起動後は外気温度Tamや目標吹出温度TAO等の環境や設定条件の変化に応じて前記各空調運転モードを選択し、切り換えていくものである。
(6)バッテリ冷却モード
次に、図5を参照しながらバッテリ冷却モードについて説明する。図5はバッテリ冷却モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れを実線矢印で示している。このバッテリ冷却モードは、バッテリ55の充電中や、走行中にバッテリ温度Tbが所定値(所定の高い温度)より高くなった場合で、車室内の空調を行う必要がない場合等に実行される。バッテリ冷却モードでは、空調コントローラ32は補助膨張弁73を開いて冷媒を減圧膨張させる状態とし、電磁弁21と電磁弁22を閉じる。また、室外膨張弁6は全開とし、室内膨張弁8は全閉とする。そして、圧縮機2、及び、室外送風機15を運転する。尚、室内送風機27は停止する。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されないので、そのまま通過する。放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、全開の室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで室外送風機15にて通風される外気(或いは、走行風)により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、分岐部B1から分岐配管72に流入して補助膨張弁73に至る。補助膨張弁73にて冷媒は減圧された後、バッテリ用熱交換器64の分配部64Eに流入する。
分配部64Eに流入した冷媒は図5に矢印で示す如く各熱交換部64A〜64Dに分配され、そこで蒸発する。冷媒は各熱交換部64A〜64Dを流れる過程でバッテリ55の各セル55A〜55Dから吸熱し、冷却した後、熱交換部64A、64Bからは合流部64Fに流入し、熱交換部64C、64Dからは合流部64Gに流入する。その後、冷媒は各合流部64F、64Gから出て冷媒配管74に流入して合流し、合流部B2にて冷媒配管13Cに入り、その後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。これにより、バッテリ55は冷却されることになる。
空調コントローラ32はバッテリ温度センサ76が検出するバッテリ温度Tbとその目標値である目標バッテリ温度TBOに基づき、バッテリ温度Tbを目標バッテリ温度TBOにするように圧縮機2の回転数を制御する。また、空調コントローラ32は出口センサ77が検出するバッテリ用熱交換器64から出た冷媒の温度(出口温度Tbout)と圧力(出口圧力Pbout)、及び、吐出センサ42が検出する圧縮機2から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)と圧力(吐出圧力Pd)に基づいて補助膨張弁73の弁開度を制御するものであるが、これについては後に詳述する。
(7)バッテリ冷却+冷房モード
次に、図6を参照しながらバッテリ冷却+冷房モードについて説明する。図6はバッテリ冷却+冷房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れを実線矢印で示している。このバッテリ冷却+冷房モードは、バッテリ55の充電中に車室内の冷房要求があった場合(例えば空調操作部53で冷房が選択された場合)や、車室内の冷房を行いながら走行中にバッテリ温度Tbが所定値(所定の高い温度)より高くなった場合等に実行される。
バッテリ冷却+冷房モードでは、空調コントローラ32は補助膨張弁73と室内膨張弁8を開いて冷媒を減圧膨張させる状態とし、電磁弁21と電磁弁22を閉じる。また、室外膨張弁6は全開とする。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されるものの、その割合は小さくなるので(冷房時のリヒートのみのため)、ここは殆ど通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。このとき、室外膨張弁6は全開とされているので、冷媒はそのまま室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで室外送風機15にて通風される外気(或いは、走行風)により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、分岐部B1にて一部が分流され、分岐配管72に流入して補助膨張弁73に至る。補助膨張弁73にて冷媒は減圧された後、バッテリ用熱交換器64の分配部64Eに流入する。
分配部64Eに流入した冷媒は図5に矢印で示す如く各熱交換部64A〜64Dに分配され、そこで蒸発する。冷媒は各熱交換部64A〜64Dを流れる過程でバッテリ55の各セル55A〜55Dから吸熱し、冷却した後、熱交換部64A、64Bからは合流部64Fに流入し、熱交換部64C、64Dからは合流部64Gに流入する。その後、冷媒は各合流部64F、64Gから出て冷媒配管74に流入して合流し、合流部B2にて冷媒配管13Cに入り、その後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。これにより、バッテリ55は冷却されることになる。
一方、分岐部B1にて分流された残りの冷媒は室内膨張弁8に至り、この室内膨張弁8にて減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着し、空気は冷却される。吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13C及び逆止弁20を経て合流部B2に至り、そこで、バッテリ用熱交換器64からの冷媒と合流した後、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。
空調コントローラ32は前述したバッテリ冷却モードと同様にバッテリ温度センサ76が検出するバッテリ温度Tbとその目標値である目標バッテリ温度TBOに基づき、バッテリ温度Tbを目標バッテリ温度TBOにするように圧縮機2の回転数を制御する。また、空調コントローラ32は同様に出口センサ77が検出するバッテリ用熱交換器64から出た冷媒の温度(出口温度Tbout)と圧力(出口圧力Pbout)、及び、吐出センサ42が検出する圧縮機2から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)と圧力(吐出圧力Pd)に基づいて補助膨張弁73の弁開度を制御するものであるが、これについても後に詳述する。
他方、空調コントローラ32はこのバッテリ冷却+冷房モードでは、室内膨張弁8の弁開度Vevaを所定値Veva1に固定する。この所定値Veva1は、補助膨張弁73の弁開度が例えば制御上の最小開度(極めて小さい開度)となり、若しくは、補助膨張弁73が全閉となった場合でも、室内膨張弁8に流入する冷媒の過冷却度が過大とならない値(冷媒回路Rの高圧側圧力を考慮して、過冷却度が許容される範囲内となる値)であり、予め実験により求めておくものとする。
尚、前述した如く冷房モードは除湿冷房モードの状態で室外膨張弁6を全開とするものであるため、上記バッテリ冷却+冷房モードで室外膨張弁6を開き気味の制御することで、空調コントローラ32はバッテリ55の冷却と車室内の除湿冷房を行うバッテリ冷却+除湿冷房モードも実行可能とされている。例えば、空調コントローラ32はバッテリ55の充電中に空調操作部53で除湿冷房が選択された場合等には、係るバッテリ冷却+除湿冷房モードを実行するものであるが、この出願ではバッテリ冷却+除湿冷房モードもバッテリ冷却+冷房モードに含む概念とする。
(7)バッテリ冷却モード、バッテリ冷却+冷房モードにおける補助膨張弁73の制御
次に、図7〜図9を参照しながら、前述したバッテリ冷却モード、及び、バッテリ冷却+冷房モードにおいて空調コントローラ32が実行する補助膨張弁73の弁開度の制御について詳述する。
前述した如くバッテリ用熱交換器64内の冷媒流路は複雑なものとなっているため、流路抵抗も大きく、冷媒の流れが偏り易くなっている。そのため、熱交換部64A〜64Dのうちの冷媒が多く流れる熱交換部では冷媒が蒸発し切れず、そこから出る冷媒に過熱度が付かなくなる。一方、冷媒が流れ難い熱交換部では、バッテリ用熱交換器64に流入する冷媒の量によっては冷媒が蒸発し切ってしまい、そこから出る冷媒の過熱度が大きくなり、バッテリ55のセルの冷却が不足する状態に陥る。即ち、バッテリ55の冷却にムラが生じ、冷却が不足するセルの劣化が発生する。また、冷媒に溶け込んで循環するオイルの戻りも悪くなって来る。
そこで、空調コントローラ32は基本的にバッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で補助膨張弁73の弁開度を制御することで、冷却が不足する熱交換部が発生しないようにする。この場合、空調コントローラ32は例えばバッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた場合、補助膨張弁73の弁開度を所定ステップ分、開く方向で変更する。
更に具体的には空調コントローラ32は、出口センサ77が検出するバッテリ用熱交換器64から出た冷媒の温度(出口温度Tbout)と圧力(出口圧力Pbout)によりバッテリ用熱交換器64から出た冷媒の過熱度SHboutを算出し、吐出センサ42が検出する圧縮機2から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)と圧力(吐出圧力Pd)により圧縮機2から出た冷媒の過熱度SHdisを算出して、これら過熱度SHboutと過熱度SHdisに基づき、補助膨張弁73の弁開度を制御する。
次に、図7のフローチャートを参照しながら、バッテリ冷却モードとバッテリ冷却+冷房モードにおいて空調コントローラ32が実行する補助膨張弁73の弁開度制御について具体的に説明する。空調コントローラ32は図7のステップS1で出口センサ77から出口温度Tboutと出口圧力Pboutを取得し、吐出センサ42から吐出温度Tdと吐出圧力Pdを取得する。
次に、ステップS2で下記計算式(II)、(III)を用いてバッテリ用熱交換器64から出た冷媒の過熱度SHboutと、圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisを算出する。
SHbout=Tbout−f(Pbout) ・・・(II)
SHdis=Td−f(Pd) ・・・(III)
上記式(II)中のf(Pbout)は出口圧力Pboutから飽和温度を算出する計算式である。即ち、過熱度SHboutは出口温度Tbout−飽和温度から算出される。また、上記式(III)中のf(Pd)は吐出圧力Pdから飽和温度を算出する計算式である。即ち、過熱度SHdisは吐出温度Td−飽和温度から算出される。
次に、空調コントローラ32はステップS3で、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒の過熱度SHboutが所定の閾値SHbout1より大きくなったか否か判断する。この閾値SHbout1は、極めて小さい所定の値であり、予め実験により決定して空調コントローラ32に設定しておくものとする。
図8はバッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた状態の冷媒回路Rのp−h線図を示している(図中に過熱度SHbout)を示す。空調コントローラ32は、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付き、その値が閾値SHbout1より大きくなった場合、ステップS3からステップS4に進んで、補助膨張弁73の弁開度を所定ステップ分、開く方向で変更する。これにより、分岐配管72に流入し、バッテリ用熱交換器64に流入する冷媒量が増えるので、過熱度SHboutは低下、又は、無くなる方向に変化することになる。また、それまで過熱度が付いていた熱交換部(64A〜64Dのうちの何れか)にも冷媒が十分に流入するようになるので、当該熱交換部における冷却不足も解消されるようになる。
一方、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付かなくなると、バッテリ用熱交換器64から流出する液冷媒の量が増加し、アキュムレータ12では対処し切れなくなって、そのままでは圧縮機2に吸い込まれる液冷媒が多くなる。ここで、図9はバッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付かない状態の冷媒回路Rのp−h線図を示している。バッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付かない場合、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒の状態は飽和蒸気線の内側に来るため(図中にX1で示す)、不明となる。他方、その状態では圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisが低下して来る(図中に過熱度SHdisで示す)。
そこで、空調コントローラ32は、ステップS3で過熱度SHboutが閾値SHbout1以下である場合、ステップS5に進んで、今度は圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisが所定の閾値SHdis1より小さくなったか否か判断する。この閾値SHdis1は、バッテリ用熱交換器64からの液戻り多くなり、アキュムレータ12があったとしても圧縮機2での液圧縮の危険性が高くなる値であり、予め実験により求めて空調コントローラ32に設定しておくものとする。
空調コントローラ32は、圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisが閾値SHdis1より小さくなった場合、ステップS5からステップS6に進んで、補助膨張弁73の弁開度を所定ステップ分、閉じる方向で変更する。これにより、分岐配管72に流入し、バッテリ用熱交換器64に流入する冷媒量が減少するので、バッテリ用熱交換器64から流出して圧縮機2に吸い込まれる液冷媒の量も減少するようになる。
尚、ステップS5で圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisが閾値SHdis1以上である場合、空調コントローラ32はステップS5からステップS7に進んで、補助膨張弁73の弁開度を変更せず、現在の弁開度を維持するものとする。
以上詳述した如く、本発明によれば空調コントローラ32が、圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7にて放熱させ、放熱した当該冷媒を補助膨張弁73により減圧した後、バッテリ用熱交換器64にて吸熱させると共に、出口センサ77の出力に基づき、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で補助膨張弁73の弁開度を制御するようにしたので、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒には過熱度SHboutが付かないか、付いても極めて小さいものなる。
これにより、バッテリ用熱交換器64の全体、若しくは、略全体で冷媒が蒸発し、バッテリ55の各セル55A〜55Dから吸熱することができるようになるので、バッテリ55の冷却にムラが生じる不都合を解消、若しくは、抑制し、バッテリ55の全体を効果的に冷却して劣化を抑制することができるようになる。また、オイル戻りも良くなるので、圧縮機2の焼き付きも未然に回避することができるようになる。
この場合、空調コントローラ32は、出口センサ77の出力に基づき、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた場合、補助膨張弁73の弁開度を、開く方向で変更するので、バッテリ55の冷却ムラの発生やオイル戻りの悪化を効果的に解消、若しくは、抑制することができるようになる。
特に、実施例では空調コントローラ32が、出口センサ77の出力に基づき、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒の過熱度SHboutが、所定の閾値SHbout1より大きくなった場合、補助膨張弁73の弁開度を、開く方向で変更するようにしているので、実施例の如く閾値SHbout1を極めて小さい値に設定しておくことで、バッテリ55の冷却ムラの発生やオイル戻りの悪化を適切に解消、若しくは、抑制することができるようになる。
また、実施例では空調コントローラ32が、出口センサ77と、吐出センサ42の出力に基づいてバッテリ用熱交換器64から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で補助膨張弁73の弁開度を制御するようにしているので、液圧縮により圧縮機2が損傷する不都合も未然に回避することが可能となる。
特に、実施例では空調コントローラ32が、吐出センサ42の出力に基づき、圧縮機2から吐出された冷媒の過熱度SHdisが所定の閾値SHdis1より小さくなった場合、補助膨張弁73の弁開度を、閉じる方向で変更するようにしているので、実施例の如く閾値SHdis1を、バッテリ用熱交換器64からの液戻り多くなり、圧縮機2での液圧縮の危険性が高くなる値に設定しておくことで、バッテリ用熱交換器64から圧縮機2に吸い込まれる液冷媒の量が多くなり、液圧縮を引き起こす不都合を適切に解消することができるようになる。
また、実施例ではバッテリ用熱交換器64の冷媒出口から圧縮機2の冷媒吸込側に至る冷媒回路Rにアキュムレータ12を設けているので、圧縮機2への液バックをより効果的に解消することができるようになる。
更に、実施例では空調コントローラ32が圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7にて放熱させ、放熱した当該冷媒を補助膨張弁73により減圧した後、バッテリ用熱交換器64にて吸熱させるバッテリ冷却モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7にて放熱させ、放熱した当該冷媒を分岐部B1にて分流し、分流した一部の冷媒を補助膨張弁73により減圧した後、バッテリ用熱交換器64にて吸熱させ、分流した残りの冷媒を室内膨張弁8により減圧した後、吸熱器9にて吸熱させるバッテリ冷却+冷房モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室内膨張弁8により減圧した後、吸熱器9にて吸熱させる冷房モードを実行できるようにしたので、冷媒によるバッテリ55の冷却と車室内の冷房を、適切に実現することが可能となる。
この場合、実施例では空調コントローラ32が、バッテリ冷却+冷房モードにおいては、室内膨張弁8の弁開度Vevaを所定値Veva1に固定するようにしたので、実施例の如く所定値Veva1を、補助膨張弁73の弁開度が極めて小さくなり、若しくは、補助膨張弁73が全閉となった場合でも、室内膨張弁8に流入する冷媒の過冷却度が過大とならない値に設定しておくことで、安全に車室内の冷房を継続することができるようになる。
また、実施例の如く出口センサ77を、合流部B1よりバッテリ用熱交換器64側の冷媒回路Rに設けることで、バッテリ用熱交換器64から出た冷媒の過熱度SHboutを的確に把握することができるようになる。
尚、実施例で説明した空調コントローラ32の構成、バッテリ冷却装置61や車両用空気調和装置1のヒートポンプ装置HPの構成はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
12 アキュムレータ
32 空調コントローラ(制御装置)
44 吐出センサ
55 バッテリ
61 バッテリ冷却装置
64 バッテリ用熱交換器
72 分岐配管
73 補助膨張弁(バッテリ用膨張弁)
77 出口センサ
B1 分岐部
B2 合流部
R 冷媒回路

Claims (9)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室外に設けられた室外熱交換器と、
    車両に搭載されたバッテリと熱伝導可能に設けられ、冷媒を吸熱させて前記バッテリを冷却するためのバッテリ用熱交換器と、
    該バッテリ用熱交換器に流入する冷媒を減圧するためのバッテリ用膨張弁と、
    前記バッテリ用熱交換器から出た冷媒の温度と圧力を検出するための出口センサと、
    制御装置を備え、
    該制御装置は、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記バッテリ用膨張弁により減圧した後、前記バッテリ用熱交換器にて吸熱させると共に、
    前記出口センサの出力に基づき、前記バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で前記バッテリ用膨張弁の弁開度を制御することを特徴とする車両のバッテリ冷却装置。
  2. 前記制御装置は、前記出口センサの出力に基づき、前記バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutが付いた場合、前記バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更することを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ冷却装置。
  3. 前記制御装置は、前記出口センサの出力に基づき、前記バッテリ用熱交換器から出た冷媒の過熱度SHboutが、所定の閾値SHbout1より大きくなった場合、前記バッテリ用膨張弁の弁開度を、開く方向で変更することを特徴とする請求項2に記載の車両のバッテリ冷却装置。
  4. 前記圧縮機から吐出された冷媒の温度と圧力を検出するための吐出センサを備え、
    前記制御装置は、前記出口センサの出力と前記吐出センサの出力に基づき、前記バッテリ用熱交換器から出た冷媒に過熱度SHboutを付けない方向で前記バッテリ用膨張弁の弁開度を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の車両のバッテリ冷却装置。
  5. 前記制御装置は、前記吐出センサの出力に基づき、前記圧縮機から吐出された冷媒の過熱度SHdisが所定の閾値SHdis1より小さくなった場合、前記バッテリ用膨張弁の弁開度を、閉じる方向で変更することを特徴とする請求項4に記載の車両のバッテリ冷却装置。
  6. 前記バッテリ用熱交換器の冷媒出口から前記圧縮機の冷媒吸込側に至る冷媒回路に設けられたアキュムレータを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載の車両のバッテリ冷却装置。
  7. 前記冷媒を吸熱させて車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、
    該吸熱器に流入する冷媒を減圧するための室内膨張弁を備え、
    前記バッテリ用膨張弁の冷媒入口側に位置する分岐部に前記室内膨張弁の冷媒入口が連通接続され、前記バッテリ用熱交換器の冷媒出口側に位置する合流部に前記吸熱器の冷媒出口が連通接続されると共に、
    前記制御装置は、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記バッテリ用膨張弁により減圧した後、前記バッテリ用熱交換器にて吸熱させるバッテリ冷却モードと、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記分岐部にて分流し、分流した一部の冷媒を前記バッテリ用膨張弁により減圧した後、前記バッテリ用熱交換器にて吸熱させ、分流した残りの冷媒を前記室内膨張弁により減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させるバッテリ冷却+冷房モードと、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記室内膨張弁により減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる冷房モードを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れかに記載の車両のバッテリ冷却装置を備えた車両用空気調和装置。
  8. 前記制御装置は、前記バッテリ冷却+冷房モードにおいては、前記室内膨張弁の弁開度Vevaを所定値Veva1に固定することを特徴とする請求項7に記載の車両用空気調和装置。
  9. 前記出口センサは、前記合流部より前記バッテリ用熱交換器側の冷媒回路に設けられていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車両用空気調和装置。
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