JP6488638B2 - α−フルオロアルデヒド類等価体の製造方法 - Google Patents

α−フルオロアルデヒド類等価体の製造方法 Download PDF

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本発明は、α−フルオロアルデヒド類等価体の工業的な製造方法に関する。
α−フルオロアルデヒド類およびそれの等価体は、対応するα−フルオロエステル類を還元することにより製造することができる。この様な還元には、水素化リチウムアルミニウム等のヒドリド還元剤を量論的に用いる方法が多用されている(非特許文献1および下記スキーム1)。
Figure 0006488638
また、エステル類をルテニウム触媒の存在下に水素ガス(H)と反応させることによりα−フルオロアルデヒド類等価体を製造する方法が報告されている(特許文献1および下記スキーム2)。
Figure 0006488638
また、イリジウム触媒存在下、トリエチルシランと反応させることでα−フルオロアルデヒド類等価体を製造する方法が報告されている(非特許文献2および下記スキーム3)。
Figure 0006488638
また、金属間ルテニウム−スズ化合物触媒の存在下、水素ガスと反応させることによりα−フルオロアルデヒド類等価体を製造する方法が報告されている(特許文献2)。
特開2013−209356号公報 国際公開96/22832号公報
J.Am.Chem.Soc.1954年,76,p.4027 Organometalics.2010年,29号,p.6057−6064
本発明の目的は、α−フルオロアルデヒド類等価体の工業的な製造方法を提供することにある。非特許文献1の方法は、ヒドリド還元剤を量論的に用いる方法であり、さらに後処理が煩雑で廃棄物が多く、操作は煩雑になるという問題があった。
特許文献1に記載のルテニウム触媒と水素を用いた方法、非特許文献2に記載のイリジウム触媒を用いた方法は一見好ましく見えるが、高価な遷移金属触媒を使用していること、そして特許文献1については水素加圧条件下で反応するため特殊な反応器が必要であること、更に特許文献2に記載の金属ルテニウム−スズ化合物触媒を用いた方法は高価な遷移金属触媒と有害なスズを使用すること、また、廃棄物の処理が煩雑であるため工業的にも好ましくなかった。
よって、本発明は、α−フルオロアルデヒド類等価体を工業的に優位な方法で製造する方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した結果、一般式[1]:
Figure 0006488638
[式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rは水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す。また、RもしくはRが、Rと互いに同一の脂肪族環もしくは脂肪族複素環の一部を構成するものであって良い。]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体にルイス酸化合物存在下、水素化ケイ素化合物と反応させることでα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類が得られることを見出した。
この還元反応は遷移金属触媒を使用せず、しかも特殊な反応装置を必要としない。さらに、従来の方法では過剰に還元されたβ―フルオロアルコール誘導体が副生してしまうが、本発明では好適な条件を採用することで副反応を抑制することが可能である知見を得た。
また、得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類に対し、脱シリル化反応を行うことで、α−フルオロアルデヒド類等価体に誘導する知見を得た。
これにより従来技術と比べて工業的かつ容易にα-フルオロアルデヒド類等価体の製造が可能になった。
すなわち、本発明は、[発明1]〜[発明10]を含む、α−フルオロアルデヒド類等価体の工業的な製造方法を提供する。
[発明1]
一般式[1]:
Figure 0006488638
[式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rは水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す。また、RもしくはRが、Rと互いに同一の脂肪族環もしくは脂肪族複素環の一部を構成するものであって良い。]
で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体を、一般式[2]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Xはホウ素原子、アルミニウム原子またはチタン原子を表す。また、RとR、RとRまたはRとRが互いに結合して、これらが結合するホウ素原子、アルミニウム原子またはチタン原子を介して環を構成するものであって良い。]
で示されるルイス酸化合物の存在下に、一般式[3]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、オルガノ(ポリ)シロキシ基を表す。RとR、RとR、またはRとRが互いに結合してこれらが結合するケイ素原子と共に環状化合物を構成するものであって良い。]
で表される水素化ケイ素化合物と反応させることにより、一般式[4]:
Figure 0006488638
[式中、lは1〜4の整数を表し、RおよびRは前記一般式[1]と同じであり、R10は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基またはオルガノ(ポリ)シロキシ基を表し、R11はアルキル基、置換アルキル基、SiR基を表し、SiR基は前記一般式[3]に同じ。]
で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造する方法。
[発明2]
一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類が、下記一般式[5]:
Figure 0006488638
[式中、RおよびRは前記一般式[1]に、R、RおよびRは前記一般式[3]と同じ。R12はアルキル基、置換アルキル基、SiR基を表し、アルキル基および置換アルキル基は前記一般式[1]に、SiR基は前記一般式[3]に同じ。]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールである、発明1に記載の製造方法。
[発明3]
一般式[6]:
Figure 0006488638
[式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、R13はアルキル基または置換アルキル基を表す。また、RもしくはRが、R13と互いに同一の脂肪族環もしくは脂肪族複素環の一部を構成するものであって良い。]
で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体を、一般式[2]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Xはホウ素原子、アルミニウム原子またはチタン原子を表す。また、RとR、RとRまたはRとRが互いに結合して、これらが結合するホウ素原子、アルミニウム原子またはチタン原子を介して環を構成するものであって良い。]
で示されるルイス酸化合物の存在下に、一般式[7]:
Figure 0006488638
[式中、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基または置換アルコキシ基を表す。R14とR15、R14とR16、またはR15とR16が互いに結合してこれらが結合するケイ素原子と共に環状化合物を構成するものであって良い。]
または一般式[8]:
Figure 0006488638
[式中、nは整数で0〜10000を表し、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基またはオルガノ(ポリ)シロキシ基を表し、R18、R20およびR22のうち少なくともひとつは水素原子である。]
で表される水素化ケイ素化合物と反応させることにより、一般式[9]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびR13は前記一般式[6]と同じであり、R14、R15およびR16は前記一般式[7]と同じである。]
または一般式[10]:
Figure 0006488638
[式中、pは整数で0〜10000を表し、q、rおよびsは整数で1または0を表し、q、rおよびsは少なくともひとつは1であり、R、RおよびR13は前記一般式[6]と同じであり、R16、R17、R19、R21およびR23は前記一般式[8]と同じであリ、R24、R25およびR26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基または置換アルコキシ基を表す。]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造する方法。
[発明4]
一般式[2]で示されるルイス酸化合物が、下記一般式[11]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。また、RとR、RとRまたはRとRが互いに結合して、これらが結合するホウ素原子を介して環を構成するものであって良い。]
で示される、発明1乃至3の何れかに記載の方法。
[発明5]
ルイス酸化合物の使用量が、α−フルオロカルボン酸誘導体1molに対して0.00001から5molである、発明1乃至発明4の何れかに記載の方法。
[発明6]
発明1乃至5の何れかの方法で得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を含む反応混合物から、該反応で用いた一般式[2]で示されるルイス酸化合物を回収し、再び反応試剤として利用する工程を含む、発明1乃至5の何れかに記載の方法。
[発明7]
発明1乃至6の何れかの方法で得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を脱シリル化し、一般式[12]:
Figure 0006488638
[式中、R、RおよびR31は、それぞれ、発明1における一般式[1]のR、RおよびRと同じである。]で示されるα−フルオロアルデヒド類等価体を製造する方法。
[発明8]
脱シリル化反応に用いる脱シリル化剤が、以下のa)〜h):
a)アルカンカルボン酸、置換アルカンカルボン酸、芳香族カルボン酸、置換芳香族カルボン酸、アルカンスルホン酸、置換アルカンスルホン酸、芳香族スルホン酸、置換芳香族スルホン酸、硫酸、およびハロゲン化水素化合物から選ばれる酸性化合物、
b)ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、およびハロゲン化チタンから選ばれるルイス酸化合物、
c)アルカリ金属6フッ化リン酸塩、アルカリ金属4フッ化ホウ酸塩、およびアルカリ金属6フッ化ケイ酸塩から選ばれる含フッ素アート錯体、
d)アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属炭酸水素塩から選ばれる塩基性化合物、
e)ヨウ素(I)、
f)アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物、および塩化鉄から選ばれる金属ハロゲン化物、
g)「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」、
h)一般式[13]:
Figure 0006488638
[式中、R27、R28、R29およびR30はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。]
で表されるアンモニウムフッ化物、
からなる群より選ばれるものである、発明7に記載の製造方法。
[発明9]
「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」における有機塩基がトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,3,4−コリジン、2,4,5−コリジン、2,5,6−コリジン、2,4,6−コリジン、3,4,5−コリジン、3,5,6−コリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンからなる群より選ばれるものである、発明8に記載の方法。
[発明10]
「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」における有機塩基とフッ化水素との割合が、有機塩基1molに対してフッ化水素が0.1から50molである、発明8または9に記載の方法。
本発明は高い収率で、かつ、工業的に有利な方法でα−フルオロアルデヒド類等価体を製造できるという効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。なお、以下の説明中、一般式[1]〜[13]の具体的な構造については、先に示したとおりである。
本発明では、α−フルオロアルデヒド類等価体の製造方法であって、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体を、一般式[2]で示されるルイス酸化合物の存在下に水素化ケイ素化合物と反応させることにより、α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造し、更に該アセタール類に対し脱シリル反応を行うことでα−フルオロアルデヒド類等価体を製造することができる。
一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基を表す。該ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。該アルキル基は、炭素数1〜18の直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)のものである。該芳香環基は、炭素数1〜18のフェニル基、ナフチル基およびアントリル基等の芳香族炭化水素基、またはピロリル基(窒素保護体も含む)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基(窒素保護体も含む)、キノリル基、ベンゾフリル基およびベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基である。
上記のアルキル基及び芳香環基は、任意の炭素原子または窒素原子上に、任意の数および任意の組み合わせで、置換基を有する(それぞれ置換アルキル基、置換芳香環基に対応)。係る置換基は、フッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基およびプロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基およびブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基およびブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびプロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピロリル基(窒素保護体も含む)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基(窒素保護体も含む)、キノリル基、ベンゾフリル基およびベンゾチエニル基等の芳香環基、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、ヒドロキシル基、ならびにヒドロキシル基の保護体等である。置換基の種類に依っては置換基自体が副反応に関与する場合もあるが、好適な反応条件を採用することにより最小限に抑えることができる。なお、本明細書において、"低級"とは、炭素数1〜6の、直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)であるものを意味する。また、上記の“係る置換基は”の芳香環基には、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルコキシ基、シアノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、ヒドロキシル基およびヒドロキシル基の保護体等が置換することもできる。さらに、ピロリル基、インドリル基、カルボキシル基、アミノ基およびヒドロキシル基の保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.等に記載された保護基である。その中でもRまたはRのどちらか一方がフッ素原子であり、他方がハロゲン原子、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基が好ましく、ハロゲン原子、水素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基が特に好ましい。
一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のRは、水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す。該アルキル基および該置換アルキル基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基および置換アルキル基と同じである。その中でも水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のα位が不斉炭素の場合は、任意の立体化学(R体、S体またはラセミ体)を採ることができる。原料基質に光学活性体を用いる場合、好適な反応条件を採用することにより、目的物の立体化学は保持され、光学純度の低下も殆ど認められない。
また、α−フルオロラクトン類も本発明の原料基質として用いることができる。α−フルオロラクトン類に限定はされないが、一般式[1]で示されるα−フルオロエステル類のRもしくはRが、Rと互いに同一の脂肪族環もしくは脂肪族複素環の一部を構成するものであって良い。具体的には、例えば、RまたはRとが前述したアルキル基である場合に、当該アルキル基中の任意の炭素原子同士が結合して環状構造の一部を構成し、脂肪族環を構成する態様が挙げられる。別の態様として、RまたはRとは、互いに同一の脂肪族複素環の一部を構成するものであってもよい。脂肪族複素環としては、例えば、上記脂肪族環の環状骨格を構成する炭素原子の一部が窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置換した環状骨格を有するものが挙げられる。
一般式[2]で示されるルイス酸化合物のXはホウ素原子、チタン原子、アルミニウム原子が好ましく、ホウ素原子が特に好ましい。
一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基または置換アルコキシ基を表す。該ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。該ハロゲン原子、該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基及び該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したハロゲン原子、アルキル基、及び芳香環基と同じである。アルコキシ基は炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)のものである。置換アルコキシ基は前記のアルコキシ基に任意の炭素原子上に、任意の数および任意の組み合わせで、置換基を有する。係る置換基は、フッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基およびプロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基およびブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基およびブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびプロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピロリル基(窒素保護体も含む)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基(窒素保護体も含む)、キノリル基、ベンゾフリル基およびベンゾチエニル基等の芳香環基、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、ヒドロキシル基、ならびにヒドロキシル基の保護体等である。その中でもハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基が好ましく、フッ素、塩素、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基が特に好ましい。
一般式[2]で示されるルイス酸化合物については、RとR、RとRまたはRとRが互いに結合して、これらが結合するホウ素原子、アルミニウム原子またはチタン原子を介して環を構成するものであって良い。このような環状化合物も特許請求の範囲に含まれるものとして扱う。環状化合物としては炭素数が3〜18の環状アルカン基、置換環状アルカン基、炭素数10〜18の芳香環基、置換芳香環基が上げられる。
ルイス酸化合物は、具体的に塩化アルミニウム、塩化チタン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−クロロ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,4−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,4−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,6−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン等が挙げられるが、そのなかでも塩化アルミニウム、塩化チタン、トリス(ペンタフルオロフェニルボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−クロロ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボラン、が好ましく、トリス(ペンタフルオロフェニルボランが特に好ましい。
ルイス酸化合物の使用量は一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体1molに対して0.00001から5molであれば良く、0.00005〜3molが好ましく、0.0001〜2molが特に好ましい。
一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のR、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基またはオルガノ(ポリ)シロキシ基を表す。該ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基、該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同じである。該アルコキシ基、該置換アルコキシ基は一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRにおいて記載したアルコキシ基、置換アルコキシ基と同じである。該オルガノ(ポリ)シロキシ基はケイ素数1〜1000の、直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(ケイ素数6以上の場合)のものである。具体的にはジメチルシロキシ基、ジエチルシロキシ基、ジフェニルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、クロロメチルジメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ジフェニルメチルシロキシ基、1,1,3,3、3−ペンタメチルジシロキサニロキシ基、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサニロキシ基、ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ基、メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ基、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ基、1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イルオキシ基、1,3,5−トリメチル−3,5−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロトリシロキサン−1−イルオキシ基、ω−メチルポリジメチルシロキサニロキシ基、ω−ヒドロポリジメチルシロキサニロキシ基、ポリヒドロメチルシロキサニロキシ基などが挙げられる。これらの中でも水素、ハロゲン原子、アルキル基、芳香環基、アルコキシ基、ジメチルシロキシ基、ジエチルシロキシ基、ジフェニルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、1,1,3,3、3−ペンタメチルジシロキサニロキシ基、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサニロキシ基、ω−メチルポリジメチルシロキサニロキシ基、ω−ヒドロポリジメチルシロキサニロキシ基、ポリヒドロメチルシロキサニロキシ基が好ましく、水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、1,1,3,3、3−ペンタメチルジシロキサニロキシ基、ポリヒドロメチルシロキサニロキシ基が特に好ましい。
一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のRとR、RとR、またはRとRが互いに結合してこれらが結合するケイ素原子と共に環状化合物を採ることができる。これらの環状化合物も特許請求の範囲に含まれるものとして扱う。環状化合物としてはケイ素数3〜50の環状シロキサン化合物、かご状シロキサン化合物、炭素数1〜20でケイ素を含有した環状化合物が上げられる。具体的には下記のものを挙げることが出来るが、これに制限されるものではない。
Figure 0006488638
一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物の使用量は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体1molに対して0.1mol以上を用いれば良く、0.25〜10molが好ましく、0.5〜4molが特に好ましい。
一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類のlは1〜4の整数を表す。一般式[4]のR10が2個以上存在する場合、置換基はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類のRおよびRは一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体で定義した置換基と同様である。
一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類のR10は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基またはオルガノ(ポリ)シロキシ基である。該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基、該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同じである。該アルコキシ基、該置換アルコキシ基は一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRにおいて記載したアルコキシ基、置換アルコキシ基と同じである。該オルガノ(ポリ)シロキシ基は、一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のR、RおよびRに記載のオルガノ(ポリ)シロキシ基と同じである。その中でもハロゲン原子、アルキル基、芳香環基またはアルコキシ基が好ましく、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基およびエトキシ基が特に好ましい。
一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類のR11はアルキル基、置換アルキル基または、SiRで示される基である。該アルキル基、該置換アルキル基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基と同じである。SiRはシリル置換基を表し、式中のR、RおよびRは一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のそれと同様である。
一般式[5]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのRおよびRは一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体で定義した置換基である。
一般式[5]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR、RおよびRは一般式[3]で表される水素化ケイ素化合物で定義した置換基である。
一般式[5]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR12はアルキル基、置換アルキル基または、SiRで示される基である。該アルキル基、該置換アルキル基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基と同じである。SiRはシリル置換基を表し、式中のR、RおよびRは一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のそれと同様である。
一般式[6]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRは一般式[1]で定義した置換基である。
一般式[6]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR13はアルキル基または置換アルキル基を表し、該アルキル基、該置換アルキル基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基と同じである。その中でもアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
一般式[7]で示される水素化ケイ素化合物のR14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基を表す。該ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基、該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同じである。該アルコキシ基、該置換アルコキシ基は一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRにおいて記載したアルコキシ基、置換アルコキシ基と同じである。その中でも水素、ハロゲン原子、アルキル基、芳香環基、アルコキシ基が好ましく、水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
一般式[8]で示される水素化ケイ素化合物のR16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基またはオルガノ(ポリ)シロキシ基を表し、該ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基、該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同じである。該アルコキシ基、該置換アルコキシ基は一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRにおいて記載したアルコキシ基、置換アルコキシ基と同じである。該オルガノ(ポリ)シロキシ基は、一般式[3]で示される水素化ケイ素化合物のR、RおよびRに記載のオルガノ(ポリ)シロキシ基と同じである。その中でも水素、ハロゲン原子、アルキル基、芳香環基、アルコキシ基が好ましく、水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
一般式[8]で示される水素化ケイ素化合物のR18、R20およびR22のうち少なくともひとつは水素原子である。R20については繰り返し構造をとる場合、それぞれ独立の置換基であっても良い。ケイ素原子に結合する水素原子の割合は、1分子中、ケイ素と結合している全置換基の1〜90%であれば良い。
一般式[8]で示されるnは0から10000の整数を表す。nの数が0から5000が好ましく、nの数が0から1000が特に好ましい。
一般式[8]で示される水素化ケイ素化合物の使用量は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体1molに対してケイ素―水素結合に相当する部位を0.1mol以上用いれば良く、0.25〜10molが好ましく、0.5〜4molが特に好ましい。
一般式[9]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR、RおよびR13は一般式[6]で定義した置換基である。
一般式[9]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR14、R15およびR16は一般式[7]で定義した置換基である。
一般式[10]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR、RおよびR13は一般式[6]で定義した置換基である。
一般式[10]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR16、R17、R19、R21およびR23は一般式[8]で定義した置換基である。
一般式[10]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタールのR24、R25およびR26は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基、アルコキシ基または置換アルコキシ基を表す。該ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基、該置換芳香環基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同じである。該アルコキシ基、該置換アルコキシ基は一般式[2]で示されるルイス酸化合物のR、RおよびRにおいて記載したアルコキシ基、置換アルコキシ基と同じである。その中でもハロゲン原子、アルキル基、芳香環基、アルコキシ基が好ましく、水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
一般式[10]で示されるpは整数で0〜10000を表す。pの数が0から5000が好ましく、pの数が0から1000が特に好ましい。
一般式[10]で示されるq、rおよびsは整数で1または0を表し、q、rおよびsは少なくともひとつは1である。
一般式[10]で示されるpが2以上の場合、繰り返し部分のrの値はそれぞれ同じでも別でも良く、R25の置換基はそれぞれ同じでも別でも良い。
一般式[11]で示されるルイス酸化合物のR、R、Rは一般式[2]で定義した置換基である。
反応溶媒は使用せず無溶媒条件で反応を実施しても良い。また溶媒を使用する場合は、ルイス酸化合物や水素化ケイ素化合物と反応しない溶媒であればよく、n−ヘキサンおよびn−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレンおよび1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系である。その中でもハロゲン系および芳香族炭化水素系が好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
反応溶媒を使用する場合、使用量は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体1molに対して0.0001L(リットル)以上を用いれば良く、0.03〜10Lが好ましく、0.05〜7Lが特に好ましい。本反応は、反応溶媒を用いずに無溶媒条件で行うこともできる。
反応温度は、+150℃以下で行えば良く、+125〜−50℃が好ましく、+100〜−25℃が特に好ましい。
反応時間は、72時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[4]で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することができる。目的物の沸点が低い場合は、反応終了液を直接、蒸留する操作が簡便である。
α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類の製造に使用した、一般式[2]で示されるルイス酸化合物は、反応後に回収し、α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類の製造に再度利用することが出来る。反応液を抽出操作等でルイス酸化合物を回収して反応に再度利用しても良いが、反応液を直接蒸留して、ルイス酸化合物を含む反応器に残った蒸留残液を、α−フルオロカルボン酸誘導体と水素化ケイ素化合物との反応に再度利用することもできる。特に後者は操作性や効率性の点で有利であり、特に好ましい態様の一つとして挙げられる。
本発明は、このようにして得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類に対し、脱シリル化反応を行うことで、一般式[12]で示されるα−フルオロアルデヒド類等価体に誘導できる。
α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類の脱シリル化反応は、シリル基を脱離できる任意の条件を選択することができるが、例えば、本発明で用いる脱シリル化剤として、酸性化合物、ルイス酸化合物、含フッ素アート錯体、塩基性化合物、単体ハロゲン、金属ハロゲン化物、「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」および一般式[13]:
Figure 0006488638
で表されるアンモニウムフッ化物が挙げられる。
具体的に、該酸性化合物はアルカンカルボン酸、置換アルカンカルボン酸、芳香族カルボン酸、置換芳香族カルボン酸、アルカンスルホン酸、置換アルカンスルホン酸、芳香族スルホン酸、置換芳香族スルホン酸、ハロゲン化水素化合物を表す(なお、ここで言う「アルカン、置換アルカン、芳香族、置換芳香族」は前述したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基、置換芳香環基と同様である)。該ルイス酸化合物はハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、およびハロゲン化チタンを表す。該含フッ素アート錯体はアルカリ金属6フッ化リン酸塩、アルカリ金属4フッ化ホウ酸塩、およびアルカリ金属6フッ化ケイ酸塩を表す。該塩基性化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属炭酸水素塩を表す。該単体ハロゲンはヨウ素(I)を表す。該金属ハロゲン化物はアルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物、および塩化鉄を表す。該「有機塩基とフッ化水素の塩または錯体」における有機塩基はトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,3,4−コリジン、2,4,5−コリジン、2,5,6−コリジン、2,4,6−コリジン、3,4,5−コリジン、3,5,6−コリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを表す。
これらの脱シリル化剤のうち、アルカンカルボン酸、置換アルカンカルボン酸、アルカンスルホン酸、置換アルカンスルホン酸、置換芳香族スルホン酸、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化チタン、アルカリ金属6フッ化リン酸塩、アルカリ金属4フッ化ホウ酸塩、アルカリ金属6フッ化ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、ヨウ素、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物、塩化鉄、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが好ましく、酢酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化リン酸ナトリウム、6フッ化リン酸カリウム、4フッ化ホウ酸リチウム、4フッ化ホウ酸ナトリウム、4フッ化ホウ酸カリウム、6フッ化ケイ酸リチウム、6フッ化ケイ酸ナトリウム、6フッ化ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、ヨウ素、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、臭化リチウム、塩化鉄、トリエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジンが特に好ましい。
一般式[13]で表されるアンモニウムフッ化物のR27、R28、R29およびR30は水素、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基を表し、該アルキル基、該置換アルキル基、該芳香環基は一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のRおよびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基と同じである。その中でも水素、アルキル基、置換アルキル基および芳香環基が好ましく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基およびフェニル基が特に好ましい。
「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」における有機塩基とフッ化水素の割合は有機塩基1molに対して、フッ化水素は0.1から50molであれば良く、0.2から30molが好ましく、0.5から20molがとくに好ましい。
脱シリル化反応としては前述の化合物を反応させて実施するだけでなく、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.等に記載された脱シリル化反応を参考に実施しても良く、当業者が適宜調整できる。
一般式[12]で表されるα−フルオロアルデヒド類等価体のRおよびRは一般式[1]で定義した置換基である。
一般式[12]で表されるα−フルオロアルデヒド類等価体のR31は水素原子、アルキル基および置換アルキル基を表す。該アルキル基および該置換アルキル基は、一般式[1]で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体のR1およびRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基と同じである。その中でも水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
脱シリル化反応は、α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造した後に、目的物を単離してから実施しても良いが、後述の実施例のように、α−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造した直後の反応液に直接脱シリル化剤を加えることで脱シリル化反応を進行させることもできる。この方法を採用することは、操作性や効率性の点で有利であり、特に好ましい態様の一つとして挙げられる。
反応温度は、+150℃以下で行えば良く、+125〜−50℃が好ましく、+100〜−25℃が特に好ましい。
脱シリル化反応の反応時間は、72時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
脱シリル化反応後の後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[12]で示されるα−フルオロアルデヒド類等価体を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することができる。目的物の沸点が低い場合は、反応終了液を直接、回収蒸留する操作が簡便である。
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。原料基質のα−フルオロカルボン酸誘導体は、公知文献を参考にして同様に製造することができる(当然、市販品を用いることもできる)。略記号/Me;メチル基、Ph;フェニル基、Et;エチル基。
[実施例1〜9]
実施例1を以下に示す。それ以外の実施例は同様に行い、表1に反応条件と結果を纏めた。
塩化メチレン6.0mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸3.0mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン16mg(0.03mmol、0.01eq)とトリエチルシラン802mg(6.9mmol、2.3eq)を加え、23℃で1時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量することにより、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドビス(トリエチルシリル)アセタール(目的物)が収率92%で含まれていた。また、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロエチル(トリエチルシリル)エーテル(副生物)が副生率1%未満で含まれていた。未反応のトリフルオロ酢酸(原料)は1%未満であり、マテリアルバランスは93%であった。反応終了液を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、目的物を収率81%で得た。
目的物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.68(q,J=7.89Hz,12H)、0.98(t,J=7.89Hz,18H)、5.21(q,J=3.27Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−84.6(d、J=3.3Hz,3F)。
Figure 0006488638
[実施例10〜12]
実施例11を以下に示す。それ以外の実施例は同様に行い、表2に反応条件と結果を纏めた。
塩化メチレン3.6mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるクロロジフルオロ酢酸3.0mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン16mg(0.03mmol、0.01eq)とトリエチルシラン800mg(6.9mmol、2.3eq)を加え、23℃で1時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるクロロジフルオロアセトアルデヒドビス(トリエチルシリル)アセタール(目的物)が収率91%で含まれていた。反応終了液を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、目的物を収率87%で得た。
目的物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.69(q,J=7.90Hz,12H)、0.99(t,J=7.90Hz,18H)、5.19(t,J=2.95Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−68.3(d、J=3.0Hz,2F)。
Figure 0006488638
実施例10で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.66(q,J=7.82Hz,12H)、0.98(t,J=7.82Hz,18H)、5.03(q,J=4.55Hz,1H)、5.32(td,J=56.0、4.55Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−130.1(dd、J=56.0、4.6Hz,2F)。
実施例12で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.68(q,J=7.90Hz,12H)、0.98(t,J=7.90Hz,18H)、5.36(td,J=6.18、1.07Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−80.7(s、3F)、−128.8(d、J=6.2Hz,2F)。
[実施例13〜17]
実施例13を以下に示す。それ以外の実施例は同様に行い、表3に反応条件と結果を纏めた。
塩化メチレン3.6mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル3.0mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン16mg(0.03mmol、0.01eq)とトリエチルシラン418mg(3.6mmol、1.2eq)を加え、23℃で1時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール(目的物)が収率95%で含まれていた。反応終了液を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、目的物を収率43%で得た。
目的物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.69(q,J=7.82Hz,6H)、0.99(t,J=7.82Hz,9H)、1.25(t,J=7.06Hz,3H)、3.65(dp,J=9.08、7.06Hz,1H)、3.79(dp,J=9.08、7.06Hz,1H)、4.91(q,J=3.73Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−82.8(d、J=3.7Hz,3F)。
Figure 0006488638
実施例14で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.67(q,J=7.86Hz,6H)、0.98(t,J=7.86Hz,9H)、1.23(t,J=7.06Hz,3H)、3.58(dq,J=9.00、7.06Hz,1H)、3.76(dq,J=9.00、7.06Hz,1H)、4.72(q,J=4.53Hz,1H)、5.44(td,J=55.7、4.53Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−130.5(ddd、J=287.1、55.7、4.5Hz,1F)、−131.3(ddd、J=287.1、55.7、4.5Hz,1F)。
実施例15で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.69(q,J=7.82Hz,6H)、0.99(t,J=7.82Hz,9H)、1.26(t,J=7.09Hz,3H)、3.67(dq,J=9.18、7.09Hz,1H)、3.80(dq,J=9.18、7.09Hz,1H)、4.88(t,J=3.80Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−67.7(dd、J=166.0、3.8Hz,1F)、−67.8(dd、J=166.0、3.8Hz,1F)。
実施例16で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.69(q,J=7.97Hz,6H)、0.99(t,J=7.97Hz,9H)、1.26(t,J=7.05Hz,3H)、3.68(dq,J=8.99、7.05Hz,1H)、3.80(dq,J=8.99、7.05Hz,1H)、4.74(t,J=4.05Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−61.7(dd、J=164.7、4.1Hz,1F)、−62.0(dd、J=164.7、4.1Hz,1F)。
実施例17で得られた生成物のH−NMR(重溶媒CDCl、基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.69(q,J=7.93Hz,6H)、0.99(t,J=7.93Hz,9H)、1.25(t,J=7.03Hz,3H)、3.64(dq,J=8.97、7.03Hz,1H)、3.81(dq,J=8.97、7.03Hz,1H)、5.03(t,J=6.70Hz,1H)、19F−NMR(重溶媒CDCl、基準物質CFCOH)δppm:−81.4(s、3F)、−126.7(dd、J=275.5、6.7Hz,1F)−130.3(dd、J=275.5、6.7Hz,1F)。
[実施例18]
下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル39.1mmol(1eq)に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.2g(0.391mmol、0.01eq)を加え、トリエチルシラン4.54g(39.1mmol、1.0eq)をゆっくり滴下して22.1〜28.0℃で1.5時間攪拌した。反応終了液を直接減圧蒸留することで、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール(目的物)を9.4g(36.2mmol)、収率93%で得た。
図1に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例19]
塩化メチレン19.5mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル19.3mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.1g(0.0195mmol、0.01eq)を加え、テトラメチルジシロキサン1.31g(9.75mmol、0.51eq)をゆっくり滴下して25.7〜28.2℃で約1時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示される目的物が収率96%で含まれていた。
目的物のH−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.24(d,J=2.7Hz,12H)、1.25(t,J=9.3Hz,6H)、3.62(m,2H)、3.82(m,2H)、5.03(q,J=3.6Hz,2H)。19F−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質ベンゾトリフルオリド)δppm:−84.3(s、3F)。
図2に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例20]
塩化メチレン19.5mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル19.3mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.1g(0.0195mmol、0.01eq)を加え、クロロジメチルシラン1.85g(19.5mmol、1.01eq)をゆっくり滴下して23.3〜24.3℃で約22時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルクロロジメチルシリル)アセタール(目的物)が収率99%で含まれていた。
目的物のH−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.56(d,J=14.6Hz,6H)、1.25(t,J=8.3Hz,3H)、3.67(m,1H)、3.88(m,1H)、5.11(q,J=3.7Hz,1H)。19F−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質ベンゾトリフルオリド)δppm:−84.3(s、3F)。
図3に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例21]
塩化メチレン19.5mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル19.3mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.1g(0.0195mmol、0.01eq)を加え、ポリメチルヒドロシロキサン1.17g(19.5mmol、1.01eq)をゆっくり滴下して22.7〜26.6℃で約3時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示される化合物(目的物)が収率65%で含まれていた。
目的物のH−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質テトラメチルシラン)、δppm:0.32(dr)、1.25(br)、3.65(br)、3.85(br)、5.12(br)。19F−NMR(重溶媒は使用せず、反応液を直接測定。基準物質ベンゾトリフルオリド)δppm:−84.2(br)。
図4に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例22]
実施例19で得られた反応液を氷水で冷やし、トリエチルアミン三弗酸塩1.15g(7.15mmol、0.77eq)をゆっくり加えて、氷水で冷やしながら一時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(目的物)が収率87%で含まれていた。
図5に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例23]
塩化メチレン19.5mLに、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル19.3mmol(1eq)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.1g(0.0195mmol、0.01eq)を加え、ジフェニルシラン1.80g(9.77mmol、0.51eq)をゆっくり滴下して25.7〜27.0℃で約21.5時間攪拌した。得られた反応液を氷水で冷やし、トリエチルアミン三弗酸塩1.1g(6.82mmol、0.35eq)を加えて、氷水で冷やしながら2時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(目的物)が収率74%で含まれていた。
図6に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例24]
トリエチルシラン22.7g(195mmol、1eq)にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.1g(0.391mmol、0.001eq)を加え、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロ酢酸エチル195mmol(1eq)をゆっくり滴下し、20.5〜26.2℃で約19時間攪拌した。反応終了液を直接減圧蒸留することで、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール(目的物)を収量42.5g(0.165mol)収率84%で得た。
蒸留してフラスコに残ったルイス酸化合物を含む残液にトリエチルシラン22.7g(195mmol、1.0eq)を加え、次にトリフルオロ酢酸エチル195mmol(1eq)をゆっくり滴下して11.1〜35.1℃で約20時間攪拌した。反応終了液を直接減圧蒸留することで、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール(目的物)を収量46.3g(0.179mol)収率92%で得た。
図7に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例25〜36]
実施例25を以下に示す。それ以外の実施例は同様に行い、表4に反応条件と結果を纏めた。
テトラヒドロフラン7.7mL中に、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール7.74mmolとテトラブチルアンモニウムフロリド(1M THF溶液)7.8mL(7.8mmol、1.01eq)を加えて、20℃で一時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(目的物)が収率76%で含まれていた。
表4に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例37]
アセトニトリル7.7mL中に、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール7.74mmolと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.7g(11.9mmol、1.54eq)を加えて、20℃で20時間攪拌した。次にエタノール5g(0.11mol、14eq)を加えて、20℃で5時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(目的物)が収率64%で含まれていた。
図8に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
[実施例38]
アセトニトリル7.7mL中に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.7g(11.9mmol、1.54eq)とフッ化カリウム0.69g(11.9mmol、1.54eq)を加えて系内で4フッ化ホウ酸カリウムを発生させ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒド(エチルトリエチルシリル)アセタール7.74mmolを加えて、20℃で10時間攪拌した。次にエタノール5g(0.11mol、14eq)を加えて、20℃で1.5時間攪拌した。反応終了液に内部標準物質を加えて19F−NMRで定量したところ、下記式:
Figure 0006488638
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(目的物)が収率53%で含まれていた。
図9に反応条件と結果を纏めた。
Figure 0006488638
本発明の製造方法により得られるα−フルオロアルデヒド類等価体は、医農薬中間体として利用できる。

Claims (7)

  1. 一般式[6]:
    Figure 0006488638
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表し、R13水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す
    で示されるα−フルオロカルボン酸誘導体を、一般式[2]:
    Figure 0006488638
    [式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に芳香環基または置換芳香環基を表し、Xはホウ素原子を表す
    で示されるルイス酸化合物の存在下に、一般式[7]:
    Figure 0006488638
    [式中、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基芳香環基またはアルコキシ基を表す
    または一般式[8]:
    Figure 0006488638
    [式中、nは整数で0〜10000を表し、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子アルキル基芳香環基またはアルコキシ基を表し、R18、R20およびR22のうち少なくともひとつは水素原子である。]
    で表される水素化ケイ素化合物と反応させることにより、一般式[9]:
    Figure 0006488638
    [式中、R、RおよびR13は前記一般式[6]と同じであり、R14、R15およびR16は前記一般式[7]と同じである。]
    または一般式[10]:
    Figure 0006488638
    [式中、pは整数で0〜10000を表し、q、rおよびsは整数で1または0を表し、q、rおよびsは少なくともひとつは1であり、R、RおよびR13は前記一般式[6]と同じであり、R16、R17、R19、R21およびR23は前記一般式[8]と同じであ、R24、R25およびR26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、芳香環基またはアルコキシ基を表す。]
    で示されるα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を製造する方法。
  2. ルイス酸化合物の使用量が、α−フルオロカルボン酸誘導体1molに対して0.00001から5molである、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1または2の方法で得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を含む反応混合物から、該反応で用いた一般式[2]で示されるルイス酸化合物を回収し、再び反応試剤として利用する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1乃至の何れかの方法で得られたα−フルオロアルデヒドシリルアセタール類を脱シリル化し、
    一般式[12]:
    Figure 0006488638
    [式中、R、RおよびR31は、それぞれ、請求項1における一般式[]のR、Rおよび 13 と同じである。]
    で示されるα―フルオロアルデヒド類を製造する方法。
  5. 脱シリル化反応に用いる脱シリル化剤が、以下のa)〜h):
    a)アルカンカルボン酸、置換アルカンカルボン酸、芳香族カルボン酸、置換芳香族カルボン酸、アルカンスルホン酸、置換アルカンスルホン酸、芳香族スルホン酸、置換芳香族スルホン酸、硫酸、およびハロゲン化水素化合物から選ばれる酸性化合物、
    b)ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、およびハロゲン化チタンから選ばれるルイス酸化合物、
    c)アルカリ金属6フッ化リン酸塩、アルカリ金属4フッ化ホウ酸塩、およびアルカリ金属6フッ化ケイ酸塩から選ばれる含フッ素アート錯体、
    d)アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属炭酸水素塩から選ばれる塩基性化合物、
    e)ヨウ素(I)、
    f)アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物、および塩化鉄から選ばれる金属ハロゲン化物、
    g)「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」、
    h)一般式[13]:
    Figure 0006488638
    [式中、R27、R28、R29およびR30はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、
    置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。]
    で表されるアンモニウムフッ化物、
    からなる群より選ばれるものである、請求項に記載の製造方法。
  6. 「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」における有機塩基がトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,3,4−コリジン、2,4,5−コリジン、2,5,6−コリジン、2,4,6−コリジン、3,4,5−コリジン、3,5,6−コリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンからなる群より選ばれるものである、請求項に記載の方法。
  7. 「有機塩基とフッ化水素からなる塩又は錯体」における有機塩基とフッ化水素との割合が、有機塩基1molに対してフッ化水素が0.1から50molである、請求項またはに記載の方法。
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