JP6488164B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、真空容器内で形成したプラズマを用いて当該処理室に配置された半導体ウエハ等の基板状の試料を、吸着脱離方式により処理するプラズマ処理装置に関する。
モバイル機器の低消費電力化や記憶容量の増加といったニーズに後押しされ、半導体デバイスの更なる微細化・三次元構造化が進められている。特に近年では、デバイス構造の高アスペクト比化が急速に進展している。
例えば、国際半導体技術ロードマップITRS(International Technology Roadmap for Semiconductor)によれば、以下のように予測されている。すなわち、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のスタックキャパシタでは、2011年に20であったアスペクト比が、2014年に80に、2017年には160になると予測されている。
一般に、半導体デバイスの製造工程ではウエット洗浄・除去が行われているが、このようにアスペクト比の高い微細パターンを作製する場合には、リンス液乾燥時の表面張力によるパターン倒壊が生じやすくなる。例えばSiの高アスペクト比パターンを用いた場合には、パターン間隔を狭くしていった際に倒壊が始まるパターン間隔の限界値が、アスペクト比の2乗に比例して大きくなることが知られている。したがって、微細化・高アスペクト比化に伴い、今後、ウエット洗浄・除去工程におけるパターン倒壊が大きな問題になると予測され、代替技術としてドライ洗浄・除去技術が求められている。
そのため近年、薬液を用いない洗浄・除去技術として、ガスまたはラジカルなどの活性種を用いた吸着脱離方式のエッチング装置が考案されている。吸着脱離方式のエッチングでは、まずウエハを戴置した処理室内にガス、ラジカル、またはベーパ(蒸気)などのエッチャントを供給して除去対象膜の表面に吸着させた後、ウエハを加熱することで、エッチャントと除去対象膜との反応生成物を脱離させる。この吸着と脱離の工程を1サイクルとして、これを繰り返し必要回数行うことで、対象膜をエッチング除去する。
この手法では薬液を用いないので、除去工程におけるパターンの倒壊を防ぐことができる。また、吸着と脱離の1サイクルにおけるエッチング量が少なく一定であり、サイクルの繰り返し回数でエッチング量を制御するので、エッチング量の制御性が非常に高い。更に、汎用的なエッチング手法である反応性イオンエッチングと異なり、イオン衝撃を用いないため、下地材料との選択性を高められるなどの利点がある。
吸着脱離方式のエッチングにおいて、ウエハを加熱する方法の一つとして、抵抗加熱ヒータを用いて天板(特許文献3)やウエハステージを加熱する方法が挙げられる。抵抗加熱ヒータを用いた場合、天板やウエハステージの熱容量がウエハ自体の熱容量と比較して大きいことから、加熱に時間がかかるため、処理のスループットの向上が課題となっている。
これに対して赤外光の照射によるウエハ加熱は、ウエハを直接加熱するため、加熱時の応答性が高く、加熱時間を短縮できるという利点がある。光照射による加熱では、照射用ランプとウエハの距離が離れると照射距離の2乗に反比例して照射強度が低下する。よって加熱効率を高めるためには、光の照射距離を短くする必要があり、一般的には特許文献1、2に示されるように照射用ランプをウエハ直上に設置する。
赤外光の照射による吸着脱離方式を用いたエッチング装置については、特開2003−347278号公報(特許文献1)に記載されている。特開2001−135622号公報(特許文献2)には、ウエハの加熱にランプまたはレーザーを用いるエッチング装置が記載されている。また、ラジカル吸着用のウエハステージと、脱離処理用の加熱シャワープレートとが一つのチャンバ内に設けられたエッチング装置が、特表2013−522884号公報(特許文献3)に記載されている。
特許文献1に記載された装置は、一つの処理室にウエハ加熱に用いる赤外光ランプと、処理の面内均一性を向上させるための回転式ウエハステージを備えている。活性種(ラジカル)を生成するプラズマ源は処理室の外部に備えられている。この装置を用いた場合のエッチング手順は以下に示す通りである。
まず、ウエハを処理室のウエハステージ上に載せる。処理室外部に備えられたプラズマ源では、2.45GHzのマイクロ波によって処理用ガスをプラズマ化することでラジカルが生成される。生成されたラジカルはサイドフロー式で側面から処理室に供給され、ウエハ上でラジカルと除去対象であるSiO2膜とが反応することで、反応生成物が形成される。
その後、リフトピンでウエハを上昇させることで赤外光ランプに接近させ、ウエハを加熱することで表面から反応生成物を脱離させる。脱離した反応生成物を、真空ポンプで排気した後、ウエハをウエハステージ上まで下降させる。
ウエハステージ内部の流路には冷媒が流されているため、ウエハを20℃以下まで冷却することで次の工程に備える。本装置ではラジカルをウエハに供給する際に、ウエハステージに設けられた回転機構によってウエハをステージごと回転させることで、ラジカルをウエハ面内に均一に供給することを図っている。
特許文献2に記載された装置は、ウエハ加熱に用いるランプと、ガスを整流する多孔性の板と、ウエハを載置するサセプタから構成される。処理室外部に備えられたプラズマ源では、マイクロ波によって処理用ガスをプラズマ化することで、ラジカルが生成される。
生成されたラジカルは多孔性の板を介してダウンフロー方式でウエハに供給され、ウエハ表面のSiO2膜と化学的に反応することで反応層が形成される。次に、ウエハが載置されたサセプタを上昇させることで加熱源に接近させ、ランプまたはレーザーでウエハを加熱する。
加熱によって脱離した反応層を排気した後、サセプタを元の位置まで下降させ、次の工程に備える。この装置では、多孔性の板を通してガス流れを整流することで、ウエハへのラジカル供給量の面内均一性の向上を図っている。
特許文献3に記載された装置は、ラジカルを生成するプラズマ源と、シャワープレートと、ウエハステージから構成される。この装置を用いた場合のエッチング手順は以下に示す通りである。
まずウエハを処理室のウエハステージ上に載置し、またガスボンベからプラズマ源に処理用ガスを供給し、ラジカルを生成する。生成されたラジカルを、シャワープレートを介して処理室に供給し、ウエハ表面に吸着させる。これにより、ウエハ表面でラジカルと除去対象であるSiO2膜とが反応し、反応層が生成される。
次に、リフトピンでウエハを上昇させることで、処理室上部に設置されたシャワープレートにウエハを接近させる。シャワープレートは抵抗加熱ヒータによって加熱されているため、ウエハはシャワープレートからの放射熱で加熱される。
これによりウエハ表面上の反応層が脱離する。脱離した反応生成物を、真空ポンプで排気した後、ウエハをウエハステージ上まで下降させる。最後に、ウエハステージにおいてウエハを20℃まで冷却し、次の工程に備える。本装置では、シャワープレートを用いてラジカル供給量の面内均一性の向上を図っている。
特開2003−347278号公報 特開2001−135622号公報 特表2013−522884号公報
上記の従来技術では次の点についての考慮が不十分であったため問題が生じていた。
すなわち、特許文献1では、エッチャントをウエハへ導入する経路が制約を受けるため、エッチャント供給を能動的に制御し、幅広いプロセス条件に対してウエハ上のエッチャント密度分布の面内均一性を高めることが困難になると考えられる。つまり、排気用の真空ポンプをステージ直下に設置することができないため、ガス流れのウエハ上での偏芯が発生し、ラジカル供給の均一性が悪化する恐れがある。
また、特許文献1では、ステージを回転させる機構をステージ直下に備える必要があり、構造が複雑になるという問題がある。また,特許文献2でも、能動的にウエハ上のラジカル密度分布を制御する機構が備えられていない。さらに特許文献3においても、能動的にウエハ上のラジカル密度分布を制御する機構が備えられていない。
吸着脱離方式のエッチングでは、エッチング量がエッチャントの吸着量に依存するため、加工のウエハ面内均一性を高めるには、エッチャントの密度分布の面内均一性を高める必要がある。このような課題に対して、ウエハの裏面側から赤外光を照射することでウエハを加熱し、ウエハの表面ではガスの流れの制御などによってエッチャントの密度分布を均一にすることが解決案の一つとして考えられる。しかし、この場合にはウエハステージにウエハ冷却機構を備えることができないため、冷却時間の短縮が困難となり、スループット改善の足かせになる恐れがある。
よって、赤外光照射を用いた吸着脱離方式のエッチング装置の開発では、ウエハの処理のスループットを向上することと、ウエハ上のエッチャント密度分布(吸着量の分布)のウエハの面内方向についての均一性を向上することとを両立させることが課題となっている。
本発明の目的は、ウエハの処理の効率を向上させ、また当該処理の歩留まりを向上させたプラズマ処理装置を提供することにある。
上記目的は、減圧可能な真空容器と、当該真空容器内部の上部に配置された空間であって内側に供給される処理用ガスを用いて活性種が生成されるラジカル源と、前記真空容器内部の前記ラジカル源の下方で当該ラジカル源と連通して配置された空間の下部に配置されウエハが上面に載置されるウエハステージと、前記真空容器内部で前記ラジカル源と前記ウエハステージとの間に配置され前記ウエハを加熱するランプユニットとを備え、前記真空容器内部の前記ランプユニットの外周側でこれを囲んで配置された少なくとも1つの流路及び前記ランプユニットの中央部を貫通して配置された流路であって前記活性種が前記ラジカル源から下方のウエハステージに向けて流れる複数の流路と、前記ラジカル源内部の前記ランプユニットの外周側及び中央部の流路の上方でこれらに対応した位置に複数のガス供給口を有した複数のガス供給手段と、これらガス供給手段からの前記処理用ガスの供給を調節する制御ユニットとを備えたプラズマ処理装置により達成される。
本発明によれば、ウエハ上のラジカル密度分布の面内均一性を制御することができる。この結果、赤外光照射を用いたウエハ加熱による吸着脱離方式のエッチング処理の高速化と、面内均一性の高い加工を両立させることができる。
本発明の第一の実施例に係るプラズマ処理装置の構成図。 図1に示すプラズマ処理装置の、A−A’ラインにおける断面の上面図である。 図1に示す実施例において実施されるウエハのエッチング処理の時間の経過に伴う動作の流れを模式的に示すタイムチャートである。 図1の実施例においてウエハの面内方向について処理の特性が調節される構成を模式的に説明する図である。 図1に示す実施例の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の例において、同一の構成を有する部材または箇所には同一の符号が付され、特に必要な場合を除き、説明の繰り返しは省略している。
以下、図1乃至図4を用いて、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的示す縦断面図である。
本実施例では、図1に示すように、円筒形を有した金属製の真空容器1の内部に配置された空間である処理室2の上部にプラズマが形成されるラジカル源3が配置されており、処理室2の下部にはウエハ5がその上面に載置されるウエハステージ6が配置され、処理室2内部のラジカル源3とウエハステージ6との間にはその内側に複数のランプが配置されたランプ室4を有するランプユニットが設置されている。ウエハステージ6の下方の処理室2の底部には、処理室2内部のガスや粒子を排出するための排気用の開口が配置され、この開口と連通したターボ分子ポンプ等の真空排気を行う真空ポンプ7が真空容器2の底面下方に配置されており、この真空ポンプ7の動作と排気用の開口と真空ポンプ7との間に配置され処理室2内の圧力を調整するための可変コンダクタンスバルブ8の動作により、処理室2内部のガスや粒子が所定の流量/速度で排出される。
ランプ室4にはウエハ5の加熱に用いる赤外光を放射するランプ9が複数本配置されている。ラジカル源3は、少なくとも1種類のガスの貯留部を有するガス供給システム10が、各々が各種類毎のガスの配管を有する供給経路とこの供給経路上に配置されて経路の開閉をするバルブ及びガスの流量または速度を調節する流量調節器とを備えた第一のガス供給手段11と第二のガス供給手段12との各々の経路を介して接続されている。また、ラジカル源3を囲む真空容器1の円筒形の部分の外周には、プラズマを内部に生成するためコイル状アンテナ13が備えられており、高周波電源14と電気的に接続されてから高周波の電力が投入される。
本実施例が実施するエッチング工程の概要を以下に説明する。処理用ガスがガス供給システム10から第一のガス供給手段11、第二のガス供給手段12を介して、真空容器1内部の処理室2の上部に配置されたガス分散板15と真空容器との間の隙間に供給され、ガス分散板15によって整流された後にラジカル源3に導入される。処理室2内部は真空ポンプ7の動作により底部の開口を通して排気され、ラジカル源3へのガスの導入と底部に開口からの排気との流量、速度のバランスにより所定の真空度の圧力まで減圧されている。
この状態で、処理室2のラジカル源3の周囲の真空容器1の側壁の外周に巻かれたコイル状アンテナ13に高周波電力が供給されて、コイル状アンテナ13の周囲に形成される誘導磁場によりラジカル源3内の処理用ガスの原子または分子が励起されてプラズマ16が生成され、その内部にはラジカル(活性種)が生成される。プラズマ16内に生成されたラジカルは、下方に移動しつつランプ室4を形成するランプユニットの容器の中心部に配置された貫通孔であるラジカル導入路17と、容器外周側壁と真空容器1との間の処理室2の隙間との2経路を通り、下方に配置されたウエハ5上に供給されウエハ表面に吸着する。
その後、ランプ室4内のランプ9に電力を供給して放射させた赤外光をウエハ5の上面に照射してウエハ5の上面の膜構造を加熱することで、そのウエハ5の表面に予め形成された処理対象の膜を含む複数の膜層から構成された膜構造の表面に吸着したラジカルと処理対象の膜の材料とから生成された反応生成物とを脱離させる。脱離した反応生成物は、ウエハ5上方からウエハステージ6と処理室2の内壁面との間の空間を通して下方に流れて、真空ポンプ7の動作により処理室2の底部に流入し開口からこれを介して排気される。
その後、ウエハステージ6の上面を構成する誘電体膜とその内部に配置された膜状の電極を有して構成される静電チャック(図示しない)に直流電源からの電力が供給されて誘電体膜上面とウエハ5の裏面との間に形成された静電気力によってよってウエハ5を誘電体膜上面に静電吸着させ、この状態でウエハ5の裏面と誘電体膜との間にHe等の熱伝達を向上させるガスを流してウエハ5とウエハステージ6との間の熱伝達を増大させウエハ5の温度を次の処理に適した所望の範囲内の値に調節して、次の工程に備える。以上の工程を繰り返して必要回数行うことで、処理対象の膜を所望な量だけ除去する。
次に、本発明が赤外光を照射することによる吸着脱離方式のエッチング処理の高速化と、面内均一性の高い加工の両立を可能とすることを説明する。ランプによりウエハ5の加熱を行う場合、ランプからの照射される光または電磁波の単位面積当たりの強度はランプと照射される対象物との距離に反比例することから、加熱時間を短縮して処理を高速化するためには、本実施例においてもランプ9とウエハ5の距離を短縮し、赤外線の照射の強度を高めることが望ましい。
ラジカル源3の上部にランプ9が配置された場合には、ウエハ5とラジカル源3との間にランプユニットが無いことからラジカルの密度の分布を均一性を向上することが容易となるという利点はあるが、ランプからウエハ5までの光または電磁波が照射される距離が大きくならざるを得ないため、ウエハ5上での単位面積当たりの照射の強度が低下してしまう。また、光や電磁波はランプの任意の箇所から周囲に均等に放射されるため、ラジカル源3の側面の部材が加熱されてしまい、プラズマ生成に支障をきたす恐れがある。
そこで本実施例では、ラジカル源3とウエハステージ6の間にランプユニットを設置することでランプ9とウエハ5との間の距離が増大してしまうことを抑制し、またランプユニットの中心部と外周側とに配置された2つの経路を通してラジカル源3のラジカルを下方に移動させウエハ5上面に向けて上方から供給することでウエハ5上面に配置された膜構造の処理の面内方向についての均一性を向上させる。
次に、図2を用いて本実施例のプラズマ処理装置の構成について、さらに説明する。図2は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のA−A’に沿った横断面図である。
本図に示すように、真空容器1及びランプユニット並びランプ室4は、中心を合致させた円筒形状を有し、同心上に配置された空間を構成している。中央に配置されたラジカル導入路17と外周側に配置されたリング状の外周経路201との間にランプユニット内のリング状のランプ室4が配置されている。
外周経路201を通してラジカル源3のラジカルをランプユニット下方の空間に配置されたウエハ5に上方から供給することで、周方向についてのラジカルの密度分布の均一性を向上させることができる。しかし、外周側からからのみラジカルを供給した場合には、ラジカルの拡散性が低い場合にはウエハ5の中心部のラジカルの密度が外周部と比較して低くなってしまいウエハ5の半径方向について処理結果が不均一になってしまう虞が有る。
そこで、本実施例の装置では、ランプ室4の中心部に配置されたランプユニットの貫通孔であるラジカル導入路17を通してウエハ5の中心部に向けてラジカル源からのラジカルを通流させ供給する。この構成により、ウエハ5の中心部のラジカルの密度が外周側の領域に対して低下してしまいウエハ6の半径方向についての当該密度と処理結果との不均一が改善される。
以上に述べたように、ウエハ5の中心部と外周側部分の2領域の上方からラジカルを供給することでウエハ5上のラジカルの密度とその分布との不均一を抑制することができるが、より幅広いプロセスの条件において高い均一性を確保するためには、中心部と外周部とからのラジカルの供給とその結果としてのこれらの領域での密度とを独立して制御できることが望ましい。そこで、本実施例は、ラジカル源3の上方であって処理室2の天面を構成する真空容器1の中央部に配置された開口から第一のガス供給手段11を介して処理用ガスをラジカル源3の中央部に供給し、天面を構成する当該真空容器1の外周側の領域に配置された開口から第二のガス供給手段12を介して処理用ガスをラジカル源3の外周部に供給する構成を備えている。
本実施例のラジカル源3の上方には中央部と外周部との間を区画するガス仕切板24をその上面に有したガス分散板15が配置され、処理室2の上部において真空容器1とガス分散板15との間の隙間の中心部の空間と外周部の空間とをガス仕切板24により隔てることで中心部と外周部との領域に第一のガス供給手段11、第二のガス供給手段12の各々から供給される処理用のガスの流量、速度、向きが独立に調節可能に構成される。これら第一のガス供給手段11と第二のガス供給手段12はそれぞれガス流量を個別に設定できるため、ガス分散板15を通してラジカル源3内の中心部と外周部に供給されるガスの流量、速度等の特性を独立して制御することができる。これにより、プロセス条件に応じて適宜ガス流量を設定することで、ラジカルの密度とその分布とを中心部と外周部とで所望の範囲内の値に調節して、幅広いプロセス条件において均一性の高い加工を行うことが可能になる。
以下に、各構成要素の詳細について述べる。
本実施例では、真空容器1の内部の真空側と外部の大気側との間を隔てる真空容器1の部材の各接合部はOリングなどの真空シール手段で気密性が保たれた構造となっている。ラジカル源3を囲む真空容器1の材質としては、プラズマ耐性に優れ、誘電体損失が小さく、金属汚染や異物汚染の原因になりにくい材質である石英が望ましい。プラズマに曝されるその他の構造物の表面の材質は、プラズマ耐性に優れ、ウエハに金属汚染や異物による汚染を発生させにくい材質、すなわち、表面をアルマイト処理したアルミニウム等や、アルミニウム基材に、イットリア、アルミナ、酸化ケイ素等の材質を溶射したものが望ましい。
真空容器1の下方に配置され処理室2の底部の排気用の開口と連結された真空ポンプ7の入り口と当該開口との間には、排気用の管路を横切って配置された各々の軸の周りに回転して管路の断面積を増減させる複数のフラップを備えた可変コンダクタンスバルブ8が配置されている。ガス供給システム10からの処理用ガスが処理室2内に所定の流量、速度で供給された状態で、可変コンダクタンスバルブ8によるフラップの開度を調節することで、処理ガスの供給と処理室2内部の排気との量をバランスさせて処理室2の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
本実施例では、処理室2内のガスの流れが偏ってしまうことによりウエハ5の表面の処理の結果が面内方向に偏って不均一となってしまうことを低減するために、真空ポンプ7と連結された円形の排気用の開口は、その中心を円筒形を有したウエハステージ6の軸と合致させて直下に配置されて、ウエハステージ6の周囲の処理室2内の空間から開口までの距離がウエハステージ6の周方向について不均一となることが抑制されている。また、真空容器1の側面は、図示していない別の真空容器であって内部の減圧された真空搬送室内をウエハ5が内部に配置された搬送用のロボットのアームの先端部上に載せられて搬送される真空搬送容器と連結されている。
処理室2と真空搬送室との間は、真空容器1の側壁に配置された搬入出用のウエハ搬送口18を介して連通されている。また、ウエハ搬送口18は、真空搬送容器内に配置されて開閉の動作をするゲートバルブにより、処理室2内においてウエハ5をプラズマ処理している間は気密に閉塞された状態に、ロボットが処理室2内に進入してウエハ5を搬送する動作中等のウエハ5の処理が実施されていない間は開放された状態にされている。
円筒形を有したウエハステージ6は、その周囲に中心から周方向に均等な角度で放射状に延在し真空容器1と連結されたステージ支持アーム19によって、処理室2内部で上方にラジカル源3となるプラズマ16が形成される空間が、下方に排気用の開口と間で排気されるガスや粒子が速度を落すまたは合流するバッファ用の空間を有してこれらの間に保持されている。なお、本実施例のウエハステージ6を構成する部材の材質は、表面をアルマイト処理したアルミニウムまたはチタン(Ti)合金が用いられる。
このような金属製の部材の内部には、サーキュレータや冷却用のラインを備えた冷却機構(図示しない)と連結されウエハステージ6の中心の周りに同心状または螺旋状に配置された冷媒流路が配置され、冷却機構から供給された所定の温度に調節された冷媒が冷媒流路と通流した後に冷却機構に戻る循環をするように構成されている。この冷却機構による温度を調節された冷媒の循環により継続的にウエハステージ6にウエハ5と熱伝達用のガスとを介して伝達される熱が冷媒との間で交換され、ウエハステージ6及びその上面上方に配置されたウエハ5の温度が処理中または処理の間で所望の値となるように調節されている。
ウエハステージ6の上面には誘電体膜が配置されウエハ5が載置される上面には溝または凹みが配置され、ウエハ5が載せられた状態でウエハ5裏面と誘電体膜の溝または凹み内にHe等の熱伝達性のガスが供給されることで、ウエハ5とウエハステージ6との間の熱輸送が促進される。また、誘電体膜内には静電チャックが備えられており、これによる静電吸着によってウエハ5をステージに吸着して保持した状態でウエハ5の裏面にHeが供給される。
さらに、図示していないが、ウエハステージ6内部には、ウエハ5を誘電体膜上方に持ち上げて遊離させる、または下降させて当接させるための複数の(例えば3本以上の)リフトピン(図示しない)が備えられている。リフトピンは、プラズマ16が消火されウエハ5の処理がされていない状態で、静電チャックによる吸着が解除されると、ウエハステージ6内に格納された状態から上昇してピンの先端をウエハ5の裏面に接触させてこれを上方に持ち上げて、誘電体膜の上方に離間させて、所定の高さまで移動させる。この状態で、搬送用のロボットがそのアームを伸長させてその先端を処理室2内に進入させアームの先端をウエハ5の下方に移動させると、リフトピンが降下してウエハ5をアームの先端部上面に受け渡す。リフトピンがウエハステージ6内に再度格納されるとウエハ5を載せたアームが収縮してウエハ5を処理室2外に搬出する。ロボットからウエハ5をウエハステージ6に受け渡す場合には、上記の逆の動作が実施される。
処理室2の中段部に配置されたランプユニットは、円筒または円板形を有してその周囲を中心から周方向に均等な角度で放射状に延在して真空容器1の側壁と連結された4本のランプ支持アーム20によって真空容器1に接続され保持されている。この構成により、ランプ室4の外周側であって真空容器1の内壁との間の空間にラジカルの流路が構成される。
本実施例のランプ支持アーム20は中空の円管であり、その円管の内部を通じてランプ室4の内部は真空容器1外部の大気に連通されているため、大気圧下での動作を前提としたランプ9を使用することができる。また、ランプ支持アーム20の内部には、図示しないランプ9用の電源と電気的に接続された配線や制御用の信号を伝達するための配線等が配置され、これらはランプ室4内部のランプ9と接続されている。
また、ランプ9の冷却が冷却水を供給して行なう水冷式である場合には、冷却水用の配管をランプ支持アーム20内に配置する。また、大気と連通したランプ室4と減圧された処理室2内部との間は、ランプユニットの部材がOリング等の真空シール手段を挟んで接続されることで、両者の間が気密に区画された状態が保たれている。
図2に示すように、ランプ室4は、円筒または円板形状を有し、その中心部にはランプユニット上方のラジカル源3と下方のウエハステージ6上の空間とを連通する円筒状のラジカル導入路17を有している。ラジカルの壁面での損失を抑制するためには、ランプユニットの外周側の流路の半径方向の幅は50〜100mm程度とすることが望ましい。また、外周側の流路からのラジカルフラックスに対して有意なフラックスを中心部で確保し、ラジカルの密度の分布の制御性を発現するためには、ランプ室4の中心部のラジカル導入17路の内径は少なくとも50mm程度とすることが望ましい。
ランプ9が収納されたランプ室4の下部であってランプユニットの下面を構成する箇所には石英ガラス板21が取り付けられており、当該石英ガラス板21を透過してランプ9からの赤外線を含む電磁波または光はウエハステージ6上のウエハ5に向けて照射される。ランプ室4に設置されたランプ9の発光部は、上方から見てラジカル導入路17の外側で囲んで複数のリング状の発光体が同心円状に配置された構成を備えている。
当該発光体の形状はリング状であるため、ウエハ5の周方向について加熱の不均一が抑制される。また、本実施例では、複数のランプ9のそれぞれの出力が独立して調節され、ウエハ5の半径方向についても加熱の不均一を抑制して、ウエハ5の面内方向について均一性を向上した加熱を実施することができる。
ランプ9の色温度に関しては、3000K程度まで高めることでウエハ5の吸収効率を高め、透過光によるウエハステージ6の加熱を極力抑制することが望ましい。ウエハ5とランプ9との距離を100mm程度とすることで、ランプ9の出力を30kWとした場合、10秒程度の加熱時間でウエハ5を200℃まで加熱することができる。
ラジカル源3を構成する真空容器1の誘電体製の側壁の外周側には、コイル状アンテナ13がこれを複数段巻いて備えられている。コイル状アンテナ13の材質は、電気抵抗値が小さく一般的な材質である銅が用いられる。
また、高周波電力の特性を向上させる目的で、銅の表面に銀や金のめっきを施しても構わない。コイル状アンテナ13の一方の端部である給電点22は図示しない整合回路を介して高周波電源14と電気的に接続され、他方の端部である接地点23はグラウンドに接地されている。本実施例の高周波電源14が出力する高周波電力の周波数は400kHzから40MHzの間で使用者の要求に応じて適宜に選択可能に構成されている。
ラジカル源3には、第一のガス供給手段11、および第二のガス供給手段12を介して、ガス供給システム10が接続されており、所望の種類の混合ガスを供給できるようになっている。中心部付近には第一のガス供給手段11で、外周部には第二のガス供給手段12で処理用ガスがラジカル源3の天井部から供給される。
ラジカル源3の天井部にはガス分散板15、およびガス仕切板24が設けられている。ガス仕切板24によって天井部付近の空間は中心部と外周部に隔てられる。
ガス分散板15の中心部には少なくとも1つの貫通孔が配置され処理室2のラジカル源3の側の端部には円形のガス噴出口が配置される。また、ガス分散板15の外周縁部の上側にはスリット状のガス噴出口が配置され、処理用ガスはガス分散板15の外周側の領域から中心軸の外向きに処理室2へ導入される。このように本実施例では、処理ガスの流れはガス分散板15または処理室2、ラジカル源3の中心部の領域と外周部の領域との複数に整流される。中心部の領域のガス噴出口の直径は1〜10mm程度、外周部のスリット幅は1〜5mm程度であることが望ましい。
本実施例のプラズマ処理装置を用いてウエハ5のエッチングを行う際の、1サイクルのタイムシーケンスを図3を用いて説明する。図3は、図1に示す実施例において実施されるウエハのエッチング処理の時間の経過に伴う動作の流れを模式的に示すタイムチャートである。
本図において、本実施例のプラズマ処理装置では、先ず、ラジカル源3において処理用ガスを供給しコイル状アンテナ13に高周波電力が印加(ON)されることで形成された誘導磁場により当該ガスを励起してプラズマ16を形成する。このプラズマ16内に生成されたラジカルを、ランプユニットの中央部のラジカル導入路17及び外周部の経路を通して下方のウエハステージ6上面に載せられて保持されたウエハ5へ照射、供給することでウエハ5表面に予め配置された膜構造の処理対象の膜表面に反応層を形成する。
ウエハ5上でシリコン系の膜層を処理する場合、例えばNF3、NH3またはCF系のガスなどが処理用ガスとして用いられる。また、プラズマ16を形成してラジカルをウエハ5に照射中、ウエハ5をウエハステージ6に静電吸着させた状態で裏面にHeを流しウエハ5の温度は処理に適した所望の範囲内の値に維持される。
次に、コイル状アンテナ13への高周波電力の供給が停止(OFF)されプラズマ16が消火される。この状態で、ランプ9に電源からの電力が供給され石英ガラス板21を通してウエハ5に対して赤外線または光を放射してこれを加熱し上記反応層を構成する反応生成物を膜の表面から脱離させる。加熱ではまず、高出力でウエハ温度を高速で昇温した後に、出力を下げて一定の加熱温度に保持する。なお、本実施例ではウエハ5を加熱する間にウエハ5の裏面と誘電体膜との間の隙間にはHe等の熱伝達性のガスは供給しない。
所定の時間ランプ9を駆動して赤外線または光を放射することによりウエハ5の加熱を実施した後、ランプ9への電力の供給を停止またはランプ9からの放射を停止する。その後、ウエハステージ6内の冷媒流路にウエハステージ6を冷却可能な所定の温度にされた冷媒を通流させ循環させた状態で、静電チャックに電力を供給してウエハ5をウエハステージ6上に静電吸着させ、さらにHeガスをウエハ6の裏面と誘電体膜との間の隙間に供給して、再度ウエハ6をラジカルの照射を開始した時点の温度にまで冷却する。
冷却が達成された時点でラジカル吸着及び加熱離脱で構成されるエッチング処理の1サイクルが終了する。本実施例では、エッチングが所望の膜厚さまたは加工の深さまで到達する上で必要な回数だけ、当該サイクルが繰り返される。本実施例では、所定の回数毎に加工の深さ或いは残り膜厚さを検出したり終点を判定したりして以降のサイクルの要否またはその回数を判定しても良く、またウエハ5の処理前にこのウエハ5上の膜構造と同一またはこれと見做せる程度に近似したものを有する少なくとも一枚の別のウエハを同じ条件で処理した結果に基づいて検出した回数のサイクルを実行するように、プラズマ処理装置を予め設定しても良い。
本実施例では、ランプ室4の中心側の空間と外周側の空間との2つの経路から供給されるラジカルのフラックスを独立して制御し、エッチングレートのウエハ5の面内方向についての均一性を向上させる。この例を図4を用いて説明する。図4は、図1の実施例においてウエハの面内方向について処理の特性が調節される構成を模式的に説明する図である。
例えば、図4(a)左図のように、ウエハ5の中央部のエッチングレートが外周側部分のレートと比較して高いことが判明した場合には、第1のガス供給手段11及び第2のガス供給手段12の処理用ガスの流量調節器による流量または速度の調節を行って、ランプユニットの外周側の経路を通したラジカルの流量または速度を中心部のラジカル導入路17と通したラジカルの流量または速度に対して増大させるように、または中心部のラジカル導入路17を通したラジカルの流量または速度を外周側の経路のものに対して減少させるように、ガス分散板15からの処理室2またはラジカル源3への処理ガスの流量とその分布とを調節する。
本実施例では、上記のようなラジカルの流量や速度を所望のものに調節するため、図4(a)右図に示すように、中央部のエッチングレートが大きな場合のものから第1のガス供給手段11から供給される処理ガスの流量、速度が相対的に低減され、或いは第2のガス供給手段12から供給される処理ガスの流量、速度が相対的に加増される。逆に、図4(b)左図のように、ウエハ5外周側部分でのエッチングレートが中央部のものと比較して高いことが判明した場合には、ランプユニットの外周側の経路を通したラジカルの流量または速度を中心部のラジカル導入路17と通したラジカルの流量または速度に対して減少させるように、または中心部のラジカル導入路17を通したラジカルの流量または速度を外周側の経路のものに対して増大させるように、ガス分散板15からの処理室2またはラジカル源3への処理ガスの流量とその分布とを調節する。
すなわち、図4(b)右図に示すように、ウエハ5の外周側部分のエッチングレートが大きな場合のものから第1のガス供給手段11から供給される処理ガスの流量、速度が相対的に加増され、或いは第2のガス供給手段12から供給される処理ガスの流量、速度が相対的に低減される。このような調節により、エッチングレートのウエハ5の面内方向についての不均一さを低減することができる。
なお、第1のガス供給手段11及び第2のガス供給手段12における処理用ガスの流量或いは速度の調節やガスの流路の開閉、さらにはランプユニットのランプ9の出力の増減またはオン、オフ、またプラズマ16を形成するための高周波電力の供給(さらには下記のECR生起するための磁界を供給するコイルへの電力の供給)の調節、除電のためのものを含む静電チャックへの電力の供給の調節は、図示しないプラズマ処理装置の制御ユニットからの指令信号に基づいて実施される。制御ユニットは、プラズマ処理装置の各部位に配置されたセンサと通信可能に接続され、当該センサからの出力を受信した結果に基づいてプラズマ処理装置の状態を検出し、演算器が検出した結果を用いて算出した指令信号を通信手段を介して通信可能に接続された上記プラズマ処理装置の駆動される箇所に発信し、これらの動作を調節する、所謂フィードバック制御を実施する。
制御ユニットは、内部に、通信手段との間のインターフェースと、半導体デバイスのマイクロプロセッサ等の演算器と、演算器がそれに基づいて指令信号や装置の状態を算出するアルゴリズムが記載されたソフトウエアが記録されたRAM,ROMやハードディスク、CD−ROM,DVD−ROMといった記憶メディアのドライブ等の記憶装置を備え、これらが内部で通信手段により通信可能に接続されている。なお、記憶装置は遠隔した箇所に配置され有線また無線により通信可能に接続されたものであっても良い。さらに、これらは別々の着脱可能な複数の部品であっても良く、一体のデバイスとして構成されていても良い。
(変形例)
上記実施例のプラズマ処理装置においては、ラジカル源3が処理室2の上部に、ラジカル源3から供給されるラジカルにより処理されるウエハ5が載置されるウエハステージ6が処理室2の下部に、これらの間にランプユニットが配置される構成を有している。このようなプラズマ処理装置の構成では、プラズマ16を生成するため構成として高周波電力が供給されるコイル状アンテナ13を用いた誘導結合方式のものに限られず、所望のラジカルを生成するための最適な方式を選択することができる。例えば、マイクロ波によるECRを用いてプラズマ16を形成するラジカル源3を用いることも可能である。
以下、このような変形例の構成について、図5を用いて説明する。図5は、図1に示す実施例の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。本例において、ラジカル源3と処理ガス用のガス供給手段を除く基本的な装置構成は、図1に示す実施例1と同様であり、同一の構成、機能を有する要件については、必要無い限り説明を省略する。
本変形例のプラズマ処理装置では、図示しないマグネトロンによって励起されたマイクロ波の電界が真空容器1の上方に配置された導波管25内部を図上下方に向かって伝播し、真空容器1の上部蓋を構成する石英製で円形を有した石英天板26を透過して放電空間内に導入される。放電空間は、下方のランプユニットの上方に配置され、真空容器1上部の円筒形状部分によって囲まれた内部でプラズマが形成される処理室2上部の空間である。
放電空間の外周を囲む真空容器1の側方外側の周囲には、これを囲んで配置された複数のコイル27が設置されている。これらのコイル27が生成する磁界が処理室2内の放電空間に供給されて、当該磁界とマイクロ波の電界とがECR(Electron Cyclotron Resonance)が生起されて処理ガスの原子または分子が励起されることで、放電空間内で効率的にプラズマ16が形成される。
本変形例の石英天板26の下方であって処理室2の放電空間の天井面に相当する箇所には、マイクロ波の電界が透過する石英等の誘電体で形成され円板形状を備えたシャワープレート28が配置されている。石英天板26とシャワープレート28との間には隙間が開けられて、これに真空容器1と連結された第一のガス供給手段11を通して処理ガスが供給され、当該処理用ガスは隙間の内部で拡散してシャワープレート28の中心を含む中央部に形成された複数の貫通孔を通して放電空間内に導入される。
また、本変形例では、シャワープレート28の外周端部の下方の処理室2の放電空間に面した位置に配置されたガス供給リング29が配置され、これに第2のガス供給手段12を通して処理ガスが供給され、ガス供給リング29に配置された放電空間に向けた軸方向を有する貫通孔からラジカル源3の放電空間の外周側の領域に処理ガスが供給される。本変形例においても、第1のガス供給手段11と第2のガス供給手段12との各々から処理室2内に供給される処理ガスの流量、速度は独立して調節される。
このような構成により、放電空間ひいてはランプユニット下方でウエハ5が載置されるウエハステージ6の上方の空間における中心部と外周部とのガスの流れが独立して制御される。このことにより、ウエハ5上面の面内方向における処理の分布が所望のものに調節され、望ましい場合には不均一が低減されて均一性が向上する。
(変形例2)
次に、実施例のさらに別の変形例について図6を用いて説明する。図6は、図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
本変形例では、ランプユニットとウエハステージ6との間に、ウエハステージ6を覆って石英多孔板30が配置され、当該石英多孔板30の複数の貫通孔の配置または分布によってウエハ5へのラジカルフラックスが調節され、ウエハ5上面での面内方向の分布が所望のものに調節される。なお、本例の処理室2、ラジカル源3、ウエハステージ6は図1に示されるものと同一または同等と見做せる程度に近似した構成であり説明を省略する。
本変形例では、実施例1の装置とは異なり、ランプユニットの中心部にはラジカル導入路17が配置されていない。このためランプユニット下方の空間の中心部でのラジカルの密度は当該空間の外周側の領域での密度に対して相対的に小さいものとなり易い。
そこで、本変形例では、ランプユニットとウエハステージ6との間にこれらを遮って円形を有した石英多孔板30を配置した。石英製の円板である石英多孔板30には中心部から外周側部分にわたり複数の貫通孔が配置され、中心部での孔径は外周側部での孔径より大きくされている。あるいは、中心部において石英多孔板30の単位面積あたりの配置された貫通孔の軸方向に垂直な面(石英多孔板30の面)の方向の断面積、つまりラジカルの流路の面積密度は、外周側部分でのものより大きくされている。なお、同じ半径位置における周方向については、均等またはこれと見做せる程度に近似した密度で貫通孔が配置されている。このため、貫通孔を通したガス流れのコンダクタンスは中心部のものが外周部のものと比較して大きくなっている。
このような構成を備えることで、石英多孔板30が無い場合と比較して、ウエハ5の上方においてその中心部に供給されるラジカルを含むガスの流量が相対的に大きくされ、ウエハ5上面の面内方向についてラジカルフラックス、更にはラジカルの密度分布の不均一を低減することができる。貫通孔の径の大きさの分布を予め選択して石英多孔板30に形成することで、所望のコンダクタンスの大きさの分布、ひいてはウエハ5上面の面内方向についてのラジカルの密度の分布を所望のものに実現することができる。
例えば、外周部からのラジカルフラックスに対して有意なフラックスを中心部で確保し、ラジカル密度分布の制御性を発現して分布を均一化するためには、外周部での孔径が20mm程度である場合、中心部の孔径は少なくとも50mm程度とすることが望ましい。上述の例と比較して本例のプラズマ処理装置は、複数のガス供給経路やガス供給手段を用いずに石英多孔板30によってラジカルフラックスを調節しており、装置の構成が簡素化できるという利点がある。
(変形例3)
本発明の実施例のさらに別の変形例を図7を用いて説明する。図7は、図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。本例のラジカル源3、ウエハステージ6に関しては図1に示されるものと同一または同等と見做せる程度に近似した構成であり説明を省略する。
上記の図1の実施例では、内部が大気開放されたランプユニットが減圧された処理室2内のウエハステージ6の上方、ラジカル源3の下方において、上方から見て外周側にラジカルが通過する流路を備えて処理室2の中央部に保持された構成となっている。一方、本例のプラズマ処理装置は、ラジカル源3の下部に配置されたランプユニットは上方から見て真空容器1と接続され処理室2内の外周側の領域にリング状に配置され、ラジカル源3で生成されたプラズマ16内のラジカルは、ランプユニット中心に備えられたラジカル導入路17のみを介して、ウエハ5へ供給される。
つまり、ランプユニットの外周側にラジカルが通過する通路は配置されておらず、ランプユニットの容器は真空容器1に接続されてこれを構成して大気側に曝されている。さらに、ランプユニットは内側のランプ室4は大気と連通している。
また、リング状のランプユニットの中央部に配置されたラジカル導入路17の下部には、石英多孔板30がウエハ5に面して対向して配置されている。石英多孔板30の複数の貫通孔の径を含む形状とその分布とを予め選択して形成することで、これを通過して下方のウエハ5に向かって流れるラジカル源3からのガスやラジカルの流れを整流することで、ウエハ5上面の面内方向についてのラジカルの密度分布を所望のものに実現する。例えば、面内方向についての分布の不均一を低減する。
また、本例では、図5に示す変形例と同様の構成を備えたガス供給リング29がランプユニットの下方であって、処理室2内の外周側の位置に配置され、これに連結された第2のガス供給手段12を通して、ランプユニット直下の処理室2の外周部に処理用ガスを供給する。第2のガス供給手段12により処理ガスの流量、速度を第1のガス供給手段1とは独立に調節して、処理室2あるいはウエハ5の外周部へ供給されるガスの流量、速度が所望のものに調節され、望ましい場合にはウエハ5の面上のラジカルフラックスが面内方向について均一化される。
図1の実施例または図5の変形例と比較して本変形例の装置は、ラジカルフラックスの制御性では劣るが、ランプ室4を真空中に保持する必要が無いため、装置の構造を簡素化できるという利点がある。
なお、上記したプラズマ処理装置において、ガス供給システム10のガス源である少なくとも1つ貯留部から第1、第2のガス供給手段を通して単一の組成の処理用ガスがラジカル源3に供給されているが、第1、第2のガス供給手段それぞれに別々のガス源を備えて、各々で独立して処理用ガスの供給を調節しても良く、一方からエッチングするためのガスを他方からは希ガスを供給する等各々で異なる組成のガスを供給する構成を備えていても良い。本発明の構成は上記の実施例や変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1…真空容器
2…処理室
3…ラジカル源
4…ランプ室
5…ウエハ
6…ウエハステージ
7…真空ポンプ
8…可変コンダクタンスバルブ
9…外光照射用ランプ
10…ガス供給システム
11…第1のガス供給手段
12…第2のガス供給手段
13…コイル状アンテナ
14…高周波電源
15…ガス分散板
16…プラズマ
17…ラジカル導入路
18…ウエハ搬送口
19…ステージ支持アーム
20…ランプ支持アーム
21…石英ガラス板
22…給電点
23…接地点
24…ガス仕切板
25…導波管
26…石英天板
27…コイル
28…シャワープレート
29…ガス供給リング
30…石英多孔板。

Claims (5)

  1. 減圧可能な真空容器と、当該真空容器内部の上部に配置された空間であって内側に供給される処理用ガスを用いて活性種が生成されるラジカル源と、前記真空容器内部の前記ラジカル源の下方で当該ラジカル源と連通して配置された空間の下部に配置されウエハが上面に載置されるウエハステージと、前記真空容器内部で前記ラジカル源と前記ウエハステージとの間に配置され前記ウエハを加熱するランプユニットとを備え、
    前記真空容器内部の前記ランプユニットの外周側でこれを囲んで配置された少なくとも1つの流路及び前記ランプユニットの中央部を貫通して配置された流路であって前記活性種が前記ラジカル源から下方のウエハステージに向けて流れる複数の流路と、前記ラジカル源内部の前記ランプユニットの外周側及び中央部の流路の上方でこれらに対応した位置に複数のガス供給口を有した複数のガス供給手段と、これらガス供給手段からの前記処理用ガスの供給を調節する制御ユニットとを備えたプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
    前記真空容器上部の側壁の外周であって前記ラジカル源の外周を囲んで配置され当該ラジカル源内部に前記処理ガスを用いたプラズマを形成するため高周波電力が供給されるコイルアンテナを備えたプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、
    前記ランプユニットの前記中央部の流路は前記ウエハステージの中心部の上方に配置され、前記ランプユニット内部で前記中央部の流路を囲んで配置され前記ウエハを加熱する赤外光を放射するランプが収納された円筒形のランプ室を備えたプラズマ処理装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置において、
    前記ラジカル源から前記ウエハに向けて活性種を予め定めた第1の時間だけ供給した後にこれを停止して前記ランプユニットにより前記ウエハを予め定めた第2の時間だけ加熱する動作を複数回繰り返して前記ウエハの上面に配置された膜構造をエッチングするプラズマ処理装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のプラズマ処理装置において、
    前記ウエハステージの温度を調節する冷却装置と、前記ウエハが前記ウエハステージに載せられた状態で当該ウエハとウエハステージとの間に熱伝達用のガスを供給する手段を備えたプラズマ処理装置。
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