以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに適用した図面(図1〜図23)に基づいて説明する。まず、図1〜図6を参照しながら、普通型コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図1〜図6に示す如く、実施形態における普通型コンバインは、走行部としてのゴムクローラ製の左右一対の履帯2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、稲(または麦)等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取部3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
走行機体1の前部上面には、刈取部3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀部9を搭載する。脱穀部9の内部には、後述する穀稈脱粒ロータとしての扱胴21と、脱穀物の選別を行う穀粒選別機構10を配置する。走行機体1の後部右側には、オペレータが歩行移動しながら操縦する運転操作部5を搭載する。コンバイン各部の動力源としてのエンジン7を、走行機体1の中央部に配置する。走行機体1の後部左側(運転操作部5の左側方)には、脱穀部9から穀粒を取出す籾受部6を配置する。籾受部6に向けて脱穀部9内の穀粒を穀粒排出コンベヤ8にて搬出するように構成している。
刈取部3は、脱穀部9前部の扱口供給部に連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12を備えている。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13(プラットホームオーガ)を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。また、フィーダハウス11に供給コンベヤ17を内設する。なお、フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、後述する刈取入力軸18(フィーダハウスコンベヤ軸)を昇降支点として、刈取部3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
上記の構成により、左右の分草体16間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール14にて掻込まれ、未刈り穀稈が刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって、穀物ヘッダー12の左右幅の中央部寄りのフィーダハウス11入口付近に刈取穀稈が集められる。穀物ヘッダー12の刈取穀稈の全量は、フィーダハウス11内の供給コンベヤ17によって搬送され、脱穀部9左側部に設けられた扱口供給板9aから扱室22内部に投入されるように構成している。なお、図1の仮想線に示す如く、穂先側が刈取られた後の穀稈の稈元を切断する稈元切断刃19を備え、走行機体1前部に稈元切断刃19を着脱可能に取付け、穀物ヘッダー12の後方に稈元切断刃19を昇降可能に配置している。
また、図4〜図6に示す如く、脱穀部9の扱室22内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の左右方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。加えて、供給コンベヤ17の穀稈送り終端側に連通させる扱口供給板9aが、扱室22の左側下部に形成される一方、扱室22の右側下部に排塵口23が形成されている。即ち、走行機体1の前部に横置き姿勢の扱胴21を左右向きに搭載すると共に、脱穀部9の左側端部にフィーダハウス11を配置して、前後方向に長尺なフィーダハウス11と左右横置き姿勢の脱穀部9における刈取穀稈の移動方向を直交方向に変更するように構成している。
上記の構成により、供給コンベヤ17によって扱口供給板9aから投入された刈取穀稈は、扱胴21の回転によって走行機体1の左側から右側に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間などにて混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、扱室22右側下部の排塵口23から右側履帯2の機外側方の圃場に排出されるように構成している。
また、図4、図5、図12、図13に示す如く、扱胴21の下方に配置された穀粒選別機構10として、比重選別用の揺動選別盤26と、揺動選別盤26に選別風を供給する送風ファン34及び送風ファンダクト35と、揺動選別盤26の下方に横架させる穀粒取出コンベヤ36を備える。揺動選別盤26の左側端部の下面側に送風ファンダクト35の排風口を開口させ、揺動選別盤26の左側から右側方向に送風ファン34の選別風を供給する。扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、揺動選別盤26の比重選別作用と送風ファン34の風選別作用により、重い穀粒と、軽い藁屑等に選別されるように構成している。なお、揺動選別盤26上面側の軽い藁屑等は、脱穀部9右側の排塵口23から圃場に排出される。
一方、脱穀部9の左側部において、脱穀部9と籾受部6の間に前低後高姿勢に穀粒排出コンベヤ8を延設させる。穀粒取出コンベヤ36左側端部の送り終端側に、穀粒排出コンベヤ8前端部の送り始端側を連結させる。脱穀部9の端面V字形状の穀粒取出底部に穀粒取出コンベヤ36を内設させる。揺動選別盤26と送風ファン34の選別作用とにより、揺動選別盤26下方の穀粒取出コンベヤ36に漏下した穀粒は、穀粒取出コンベヤ36左側端部から穀粒排出コンベヤ8前端部に移送され、穀粒排出コンベヤ8後端部の籾投入口8aから籾受部6に移送され、籾受部6上の籾袋37に収集されるように構成している。
即ち、籾受部6には、走行機体1右側後端部に台支持フレーム38aを介して連結させる籾受台38と、走行機体1右側後端部にアーム支柱フレーム39aを介して取付ける籾受アーム体39を設ける。また、アーム支柱フレーム39aの上端側に穀粒排出コンベヤ8後端部の送り終端側を支持させ、穀粒排出コンベヤ8後端部の送り終端側に籾投入口8aを設けるものであり、籾受アーム体39に籾袋37を吊下げ、籾投入口8aに籾袋37の開口部を装着し、籾投入口8aから排出される穀粒が籾袋37内部に充填される。
一方、図4〜6に示す如く、運転操作部5には、操縦コラム41を配置する。操縦コラム41には、走行機体1の進路を変更する左右のサイドクラッチレバー43,44と、走行機体1の移動速度を切換える走行変速レバー45と、刈取部3または脱穀部9を駆動または停止操作する作業クラッチレバー46と、刈取部3を昇降操作する刈取昇降レバー47と、駐車ブレーキレバー48が配置されている。また、操縦コラム41の後面側に歩行用ハンドル49を後方に向けて突設させ、歩行用ハンドル49の左側握り部にアクセルレバー40を取付けている。
なお、図7、図8に示す如く、操縦コラム41の後方には、オペレータが座乗する運転座席42を着脱可能に配置する。走行機体1の右側後端部に運転席ブラケット体111を設け、運転席ブラケット体111に運転席フレーム112の前端部を着脱可能にボルト締結する。また、上部機体フレーム1bの右側後端から後方に向けて運転席フレーム112の後端側を略水平に延設し、運転席フレーム112の後端部に運転座席42を取付け、運転席フレーム112を介して運転操作部5後方に運転座席42を配置し、運転座席42に座乗したオペレータが、運転操作部5の各レバー43,44,45,46,47,48等を操作可能に構成している。
また、図7、図8に示す如く、運転座席42に座乗するオペレータの足元と右の履帯2後端部の間に配置する足元ガード体114を備える。運転席フレーム112の前後幅中間部から下方に向けてガード体支持フレーム115を延設し、ガード体支持フレーム115に足元ガード体114を固着し、オペレータの足元が右の履帯2に接触するのを足元ガード体114にて阻止するように構成している。加えて、ガード体支持フレーム115の下端部に足載せフレーム113を固着し、運転座席42に座乗したオペレータの足を足載せフレーム113に載せると共に、運転席フレーム112に高さ調節フレーム110を介してガード体支持フレーム115の上端側を昇降可能にボルト連結している。
さらに、図7〜図10に示す如く、走行機体1の下面側に左右の前支脚体32及び後支脚体33を下向きに突設させ、走行機体1下面側に左右の各支脚体32,33を介して左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンション機構53を介して支持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ54を設けている。前記テンションローラ52によって履帯2の前側を支持させ、駆動スプロケット51によって履帯2の後側を支持させ、トラックローラ54によって履帯2の接地側を水平姿勢に支持させ、履帯2の非接地側を前低後高姿勢に支持させるように構成している。
次に、図7〜図12、図15〜図17を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図12に示す如く、走行油圧ポンプ及び油圧モータが内蔵された走行変速用の油圧無段変速機64をミッションケース63に設ける。走行機体1の中央上面にエンジン7を搭載し、エンジン7後方の走行機体1後部にミッションケース63を配置する。また、エンジン7から左側方に突出させた出力軸65上の走行駆動プーリ69と、ミッションケース63から左側方に突出させた入力軸66上の変速入力プーリ70を、前側走行出力ベルト67aと後側走行出力ベルト67bを介して連結する。
また、テンションローラ形の走行クラッチ68にて前側走行出力ベルト67aを緊張させ、エンジン7からミッションケース63に動力を伝達して、左右の履帯2を駆動するように構成している。なお、図9に示す如く、変速入力プーリ70左側の機外側面に入力プーリファン70aを固着し、入力プーリファン70aにて油圧無段変速機64を空冷するように構成している。
加えて、図9、図15、図16に示す如く、走行機体1上に中間フレーム131を後傾姿勢に立設させ、中間フレーム131の上端側に中間軸132を介して左側中間プーリ133と右側中間プーリ134を一体的に回動可能に軸支し、走行駆動プーリ69と左側中間プーリ133の間に走行クラッチ68を介して前側走行出力ベルト67aを掛け回すと共に、右側中間プーリ134と変速入力プーリ70の間に後側走行出力ベルト67bを掛け回している。エンジン7後側のミッションケース63を機体前後中心線に対して機体右側寄りに配置し、走行駆動プーリ69の取付け位置に対して変速入力プーリ70の取付け位置を走行機体1の中央寄りに形成する。
後側走行出力ベルト67b後端側の変速入力プーリ70に支持された入力プーリファン70aは、前側走行出力ベルト67aの後側方に配置される。エンジン7の後方で左右履帯2の間に、ミッションケース63上部に油圧無段変速機64を一体的に上載固定でき、重量部品であるエンジン7とミッションケース63を機体左右幅中央部(機体前後中心線付近)に支持して、機体の左右方向の重量バランスを良好に形成している。
図7〜図12に示す如く、前記刈取部3と扱胴21を駆動するためのカウンタ軸72を備える。左側軸受体71aと右側軸受体71bを介して走行機体1上面側にカウンタ軸72を回転自在に設ける。エンジン7から左側方に突出させた出力軸65上の脱穀駆動プーリ57と、カウンタ軸72左側端部のカウンタ軸プーリ58を、脱穀駆動ベルト59を介して連結する。テンションローラ形の作業クラッチ60にて脱穀駆動ベルト59を緊張させ、エンジン7からカウンタ軸72に動力を伝達させる。
また、カウンタ軸72右側端部にカウンタ軸スプロケット73と穀粒送出スプロケット76を軸支する。カウンタ軸スプロケット73と、扱胴軸20右側端部の扱胴軸入力スプロケット74を、脱穀駆動チェン75にて連結し、カウンタ軸72を介して扱胴21を駆動するように構成している。また、穀粒送出スプロケット76と、穀粒取出コンベヤ36右側端部の送出入力スプロケット77を、送出駆動チェン78にて連結し、カウンタ軸72を介して穀粒取出コンベヤ36を駆動するように構成している。
加えて、穀粒取出コンベヤ36左側端部にベベルギヤ機構79を介して穀粒排出コンベヤ8の送り始端側を連結し、穀粒取出コンベヤ36と穀粒排出コンベヤ8を連動して駆動するように構成している。また、穀粒取出コンベヤ36における穀粒取出コンベヤ軸36a右側端部に揺動入力スプロケット135を設け、揺動入力スプロケット135に揺動入力チェン136を介して揺動入力軸137上の揺動駆動スプロケット80を連結し、揺動入力軸137にベベルギヤ機構81を介して揺動選別盤26の揺動駆動軸31を連結し、穀粒取出コンベヤ軸36aを介して揺動選別盤26を上下左右に揺動駆動するように構成している。
一方、扱胴軸20左側端部のファン駆動スプロケット82と、送風ファン34軸上の送風ファンスプロケット83を、ファン駆動チェン84にて連結し、扱胴21と送風ファン34を連動して駆動するように構成している。操縦コラム41の左側部に配置した作業クラッチレバー46の作業クラッチ60入り操作にて、脱穀部9の各部(扱胴21、各コンベヤ8,36、揺動選別盤26、送風ファン34)を定速回転数にて駆動している。
次いで、図1〜図3、図12、図17を参照して刈取部3の駆動構造を説明する。図1〜図3、図12、図17に示す如く、扱胴軸20左側端部に設ける扱胴軸出力スプロケット85と、刈取部3の昇降支点である刈取入力軸18左側端部に設ける刈取入力スプロケット86を、刈取入力チェン87にて連結する。刈取部3全体を昇降動可能に支持する刈取入力軸18を介して、扱胴21と供給コンベヤ17を連動して駆動するように構成している。前記刈取部3の穀物ヘッダー12左側部の後面側に一対のヘッダー駆動軸受体141を介してヘッダー駆動軸91を設ける。ヘッダー駆動軸91の右側端部に、ヘッダー駆動スプロケット88,89及びヘッダー駆動チェン90を介して刈取入力軸18の左側端部を連結している。
なお、穀物ヘッダー12左側部の後面側に一対のヘッダー駆動軸受体141をボルト締結している。また、穀物ヘッダー12に掻込みオーガ13を軸支する掻込み軸93を備える。掻込み軸93の左側端部に、掻込み駆動チェン92及び掻込み駆動スプロケット94,95を介してヘッダー駆動軸91の左側端部を連結する。刈取入力軸18とヘッダー駆動軸91を介して掻込みオーガ13を駆動するように構成している。
さらに、図1〜図3、図12、図17に示す如く、穀物ヘッダー12上面の左右のリール昇降支点ブラケット部に左右のリール昇降支点軸153を設ける。穀物ヘッダー12上面の左右端部にリール昇降支点軸153を介して昇降支持フレーム151基端部を回動可能に軸支する。また、掻込みリール14を軸支するリール軸96を備え、左右の昇降支持フレーム151先端部にリール軸96の左右端部を回動可能に軸支する。穀物ヘッダー12の上面側に左右の昇降支持フレーム151を介して掻込みリール14を昇降動可能に配置している。
加えて、穀物ヘッダー12の左右側面に左右の昇降支持フレーム151の中間部を支持する伸縮可能な支持高さ調節アーム155を備え、支持高さ調節アーム155を多段的に伸縮させて、掻込みリール14の支持高さを多段階に変更可能に構成している。なお、支持高さ調節アーム155を油圧シリンダにて形成し、前記油圧シリンダの油圧力にて掻込みリール14の支持高さを無段階に変更することも可能である。
さらに、左側のリール昇降支点軸153の左端側を左側機外方向に延設させ、左側のリール昇降支点軸153の左側部に、リール駆動スプロケット98とリール駆動プーリ161を遊転軸支している。なお、リール駆動スプロケット98の左側面とリール駆動プーリ161の右側面を一体的に圧着させてボルト締結する。左側のリール昇降支点軸153の中間部に、リール駆動スプロケット98とリール駆動プーリ161をボールベヤリング軸受にて回動可能に支持している。
図1〜図3、図12、図17に示す如く、ヘッダー駆動軸91の左側端部に設けたリール入力スプロケット99とリール駆動スプロケット98にリール駆動チェン97を掛け回す。リール軸96の左側端部に設けたリール従動プーリ163とリール駆動プーリ161にリール駆動ベルト164を掛け回す。リール駆動テンションアーム165先端部にリール駆動テンションプーリ166を回動可能に軸支させる。リール駆動チェン97とリール駆動ベルト164を介して、ヘッダー駆動軸91にリール軸96を連動連結している。なお、リール駆動ベルト164にリール駆動テンションプーリ166をリール駆動テンションバネ167力にて弾圧させ、リール駆動テンションプーリ166にてリール駆動ベルト164を緊張支持している。
また、リール駆動テンションアーム165基端側に左側のリール昇降支点軸153の機外側端部を貫通させ、一体的なリール駆動スプロケット98とリール駆動プーリ161、またはリール駆動テンションアーム165を、左側のリール昇降支点軸153の左端側に着脱可能に構成している。なお、刈取部3左側のチェンカバー体169にリール駆動チェン97を内設すると共に、刈取部3左側のベルトカバー体170にリール駆動ベルト164を内設する。
さらに、掻込み軸93の右側端部には、刈刃駆動クランク機構100を介して刈刃15が連結されている。作業クラッチレバー46の作業クラッチ60入り操作にて、刈取部3の各部(供給コンベヤ17と、掻込みオーガ13と、掻込みリール14と、刈刃15)が駆動されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を連続的に刈取るように構成している。なお、刈取部3右側の刈刃駆動カバー体171に刈刃駆動クランク機構100を内設する。また、稈元切断刃19を設ける構造では、刈取入力軸18の右側端部に、稈元切断チェン101及びスプロケット102,103を介して稈元切断軸104を連結させるものであり、走行機体1前端部に支持された稈元切断軸104に稈元切断クランク機構105を介して稈元切断刃19を連結させている。圃場の穀稈の穂先側が刈刃15にて切断された後、続いて圃場の穀稈の株元側が稈元切断刃19にて切断され、圃場に残存する穀稈の切り株が短尺になるように構成している。
次いで、図4〜図11、図16を参照して、走行機体1の構造を説明する。図4〜図11、図16に示す如く、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bと支柱フレーム1cにて走行機体1を上下多段の櫓構造に構成している。下部機体フレーム1aの下面側に左右のトラックフレーム50を介して左右の履帯2を装設させる。また、上部機体フレーム1b上面の搭載部にエンジン7下面を連結し、上部機体フレーム1bにエンジン7を搭載するものであり、エンジン7は、運転操作部5と籾受部6間の走行機体1中央部に配置される。
即ち、走行機体1の左右幅中央部にエンジン7が配置されると共に、エンジン7を中心に、エンジン7右側方の上部機体フレーム1b後部に運転操作部5が配置され、エンジン7左側方の上部機体フレーム1b後部に籾受部6が配置されるものであり、走行機体1の後方右側に運転操作部5が配置され、走行機体1の後方左側に籾受部6が配置される。エンジン7が搭載された上部機体フレーム1bの右側上面にバッテリ56を配置し、エンジン7の始動電源などにバッテリ56を利用するように構成している。
一方、上部機体フレーム1b前端側よりも前方に下部機体フレーム1a前端側を延設し、下部機体フレーム1aの前端側上面に脱穀部9底部を載置する。脱穀部9後方側の上部機体フレーム1b上面にエンジン7を設置し、脱穀部9上面高さとエンジン7上面高さを一致させて略同一高さに形成している。上部機体フレーム1bと略同一高さ位置に穀粒選別機構10の揺動選別盤26を支持させ、エンジン7の設置面(上部機体フレーム1b上面)よりも脱穀部9の設置面(下部機体フレーム1a上面)を低く形成し、走行機体1の低い位置に脱穀部9の刈取穀稈入口(扱口供給板9a)を配置可能に構成している。また、下部機体フレーム1aの前端部に昇降用油圧シリンダ4を取付けると共に、上部機体フレーム1b前端部(脱穀部9後面)と下部機体フレーム1aの間に作動油タンク55を配置し、昇降用油圧シリンダ4などの作動油を作動油タンク55に貯蔵するように構成している。
他方、左右のトラックフレーム50後端に下部機体フレーム1aの後端を左右の後支脚体33にて連結し、左右の後支脚体33の上端側を下部機体フレーム1aの後方上方に向けて延設させ、左右の後支脚体33の上端側にミッションケース63両側の左右車軸ケース63aを着脱可能に支持すると共に、下部機体フレーム1aの後端側よりも後方に上部機体フレーム1bの後端側を延設し、上部機体フレーム1bの後端側に上部連結体62を介してミッションケース63の上端側を着脱可能に支持するものであり、後支脚体33の上端側と上部機体フレーム1bの後端側にミッションケース63を後傾姿勢に配置している。
ミッションケース63下端側の左右車軸ケース63aに左右駆動スプロケット51を介して左右履帯2の後端部を張設させている。即ち、後支脚体33の上端側に駆動スプロケット51を支持し、トラックフレーム50前端部のテンションローラ52と後支脚体33上端側の駆動スプロケット51の間に履帯2の非接地側を張設し、履帯2の非接地側を前下がりに傾斜させた前低後高姿勢に支持している。
一方、図5、図7、図11、図13、図15に示す如く、上部機体フレーム1bの右側後端部と左側の車軸ケース63aに両端側をボルト締結させるミッション保護フレーム116を備え、ミッションケース63の後側をミッション保護フレーム116にて囲むと共に、ミッション保護フレーム116にミッション保護カバー117を取付け、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64の上方側及び後方側をミッション保護カバー117にて覆うように構成している。
図7〜図11、図13、図15、図16を参照して、カウンタ軸72の取付け構造を説明する。図7〜図11、図13に示す如く、走行機体1のうち上部機体フレーム1b前部の左右端部に左右の軸受ブラケット体143,144を一体的に溶接固定し、左の軸受ブラケット体143に左側軸受体71aをボルト締結し、右の軸受ブラケット体144に右側軸受体71bをボルト締結し、走行機体1前部の上部機体フレーム1bの上方にカウンタ軸72を水平姿勢に架設している。また、図13〜図16に示す如く、上部機体フレーム1bの左側上面に送風ファン支持フレーム145と送風ファン支持側板体146を立設させ、送風ファン支持フレーム145と送風ファン支持側板体146を連結固定し、送風ファン支持側板体146の左側面に送風ファン34のファンケース部34aを固着し、エンジン7左側の前部に送風ファン34を配設している。
加えて、図15、図16に示す如く、送風ファン支持フレーム145に脱穀テンションアーム147基端側を取付け、前方に延設した脱穀テンションアーム147先端側に作業クラッチ60を配置し、作業クラッチ60を介して脱穀駆動ベルト59を張設し、エンジン7の出力軸65にカウンタ軸72を連結させている。また、中間フレーム131にテンションアーム軸148を設け、走行クラッチ68が支持された走行テンションアーム149と、走行出力用のテンションプーリ181が支持された出力テンションアーム182を、テンションアーム軸148を介して中間フレーム131に支持させている。
一方、図13、図14、図16に示す如く、脱穀駆動ベルト59と、前側走行出力ベルト67aと、後側走行出力ベルト67bが配置されたエンジン7の左側にベルトカバー体183を張設させている。即ち、送風ファン支持フレーム145の前側に送風ファン支持側板体146を立設し、送風ファン支持フレーム145の後側にベルトカバー体183の左側壁部を立設すると共に、前記各ベルト59,67a,67bの上面側に沿ってベルトカバー体183の上面壁部を前後方向に延設させるものであり、エンジン7の左側で前後方向に延設させる脱穀駆動ベルト59と、前側走行出力ベルト67aと、後側走行出力ベルト67bのそれぞれの上面側と左側面側が、送風ファン支持側板体146とベルトカバー体183の左側壁部及び上面壁部にて閉塞されるように構成している。
上記の構成により、送風ファン支持側板体146に形成された外気取込み口146aから送風ファン34に外気を吸入するから、送風ファン支持側板体146とベルトカバー体183にて覆われた前記各ベルト59,67a,67b設置空間の外気が外気取込み口146aを介して送風ファン34に吸入されるものであり、送風ファン支持側板体146とベルトカバー体183の下面側開口部(上部機体フレーム1b設置部またはエンジン7載置部の付近)における藁屑が比較的少ない場所から、送風ファン支持側板体146とベルトカバー体183にて覆われた空間内部に外気が吸込まれ、その空間内部の外気を外気取込み口146aから送風ファン34に吸入できる。したがって、藁屑などの粉塵が比較的少ない空気を選別風として送風ファン34から揺動選別盤26に向けて供給できる。
さらに、図4〜図6などに示す如く、左側履帯2の後部とミッションケース63後側に亘って籾受台38を配置させ、二又形状に分岐させた左右の籾投入口8aを籾受台38上方に配置し、左右の籾投入口8aに籾袋37を交互に装着し、一方(左の籾投入口8a)から籾袋37に籾を充填完了したときに、操縦コラム41方向に突出させた投入切換レバー185の操作部を操作して、左右の籾投入口8a基端部の投入切換シャッタ186を切換え、他方(右の籾投入口8a)から籾袋37に籾を充填するように構成している。籾が充填された籾袋37を圃場に落下させ、籾投入口8aに空の籾袋37を装着する作業と、投入切換レバー185の投入切換シャッタ186切換え操作にて、穀粒排出コンベヤ8から連続して搬出される籾(穀粒)を、複数の籾袋37に充填できる。
なお、籾投入口8aの下面側から操縦コラム41方向に投入切換レバー185を突出させ、籾投入口8aの上面側から後方上方に向けてインジケータアーム187を突出させ、投入切換レバー185と投入切換シャッタ186とインジケータアーム187を一体的に連結させ、投入切換シャッタ186の切換方向を確認しながら、運転座席42側のオペレータにて投入切換レバー185を操作して、投入切換シャッタ186を切換えるように構成している。
次に、図2、図17〜図22を参照して、掻込みリール14の構成を具体的に説明する。即ち、掻込みリール14は、図2、図17〜図19に示す如く、リール軸96の左右側端部には、左右一対の回転支持体234を左右に対向させてそれらの中心部を取付けている。回転支持体234は、四体の金属製帯板状のリム体232と、四個のタインバー枢支体235と、4本のパイプ(円管)状のスポーク体231を有する。リール軸96の左右側端部に各スポーク体231基端側を固着し、リール軸96を中心に各スポーク体231先端側を放射状に突設する。各リム体とタインバー枢支体235を正四角形状に連結すると共に、回転支持体234の四角部(頂部)に配置された各タインバー枢支体235に各スポーク体231先端側をそれぞれ固着し、回転支持体234を構成している。
また、左右に対向する回転支持体234の四角部(頂部)間にタインバー枢支体235を介して左右方向に伸延するパイプ(円管)状のタインバー236をその軸線廻りに回転自在に横架している。各タインバー236には、左右方向に一定の間隔を開けて複数の掻込みタイン237を垂下状に取り付けている。左側の回転支持体234の外側方にはリール軸96の軸芯とは偏倚した軸芯廻りに回転するタイン姿勢保持体238を配置している。タイン姿勢保持体238は、回転支持体234と略同形状に形成する。タイン姿勢保持体238の各角部(頂部)にリンク枢支体239を取付け、リンク枢支体239とタインバー236の左側端とを姿勢保持リンク240を介して連結している。
上記の構成により、エンジン7に連動連結したリール駆動ベルト164を介して、リール軸96を図17の左側面視にて反時計廻りRに回転させる。タイン姿勢保持体238は、回転移動する掻込みタイン237のうち、少なくとも植立穀稈に作用する掻込みタイン237は所定の垂下姿勢に保持して、かかる垂下姿勢に保持された掻込みタイン237が圃場の植立穀稈に掻込み作用する。即ち、リール軸96を図17の左側面視にて反時計廻りRに回転させると、リール軸96に取付けた左右一対の回転支持体234も反時計廻りRに回転して、左右の回転支持体234間にタインバー236を介して取付けた掻込みタイン237を、回転支持体234の外周廻りに移動させる。この際、タイン姿勢保持体238により各掻込みタイン237は垂下姿勢を保持した状態で移動して、植立穀稈に掻込み作用する。
図18、図19を参照して、第1実施形態のタインバー236と掻込みタイン237の構造を説明する。図18、図19に示す如く、タインバー枢支体235の連結用板状片235aにタインバー236の側端部を着脱自在にボルト241締結にて取付ける。タインバー枢支体235は、タインバー236をその軸線廻りに回転自在に支持する。一方、タインバー236には掻込みタイン237を1本ずつ着脱自在に取付けるものであり、掻込みタイン237は、穀稈に作用するタイン本体237aと、タイン本体237aの基端部(上端部)を伸延させてRピン形状に屈曲形成した掻込みタイン頭部237bとを、バネ鋼鋼材である一本の丸棒材を屈曲させて一体的に形成する。
また、掻込みタイン頭部237bには、タイン本体237aの基端部(上端部)から延設するコイルバネ形成部281と、コイルバネ形成部281から延設してタインバー236の周面に嵌合してタイン本体237aの姿勢を保持する凹状の嵌合部282と、嵌合部282から延設してタインバー236に形成された突出防止孔273に抜き差し自在に挿入して係止する先細り円形状の折曲げ端部283とを形成している。
一方、タイン本体237aは上下方向に伸延させて形成すると共に、下部を後方に折曲させた凸形状(く形状)に形成するものであり、タインバー236のパイプ端面中心の垂直線上に上下のタイン貫通孔274を開設し、タイン本体237aの基端部(上端部)を上下のタイン貫通孔274に挿通させている。即ち、コイルバネ形成部281のバネ力にて、タインバー236の周面に嵌合部282が圧着され、突出防止孔273に折曲げ端部283が係止維持され、タインバー236から鉛直下方向に垂下させた姿勢にタイン本体237aが保持され、タイン本体237aにて圃場の植立穀稈が穀物ヘッダー12内に掻込まれるように構成している。
図18、図19に示す如く、タイン本体237aの基端部位置から上方へコイルバネ形成部281を伸延させると共に、タインバー236の背面(後半部周面)に沿う湾曲状に嵌合部282を伸延させ、後方へ膨出する半円弧状に屈曲させて嵌合部282を形成している。バネ鋼鋼材により成形している嵌合部282は、コイルバネ形成部281の復元バネ力にて、タインバー236の後方からタインバー236の周面に弾圧される。また、突出防止孔273は、タインバー236に形成された上下のタイン貫通孔274のうち、下のタイン貫通孔274の近傍位置で、タインバー236の背面(後半部周面)側に開設されている。タインバー236の後半部周面に嵌合部282が弾圧された状態で、折曲げ端部283が突出防止孔273に係止される。
加えて、突出防止孔273は、タインバー236のパイプ内周面側の開口面積に比べ、タインバー236のパイプ外周面側の開口面積を大きく形成する。即ち、折曲げ端部283の円形外周形状に突出防止孔273の内部形状を一致させて形成でき、突出防止孔273内部での折曲げ端部283の自由動を規制するように構成できる。また、タイン本体237aと、掻込みタイン頭部237b(コイルバネ形成部281、嵌合部282、折曲げ端部283)を同一平面上に伸延させて、バネ鋼鋼材である一本の丸棒材を屈曲させた掻込みタイン237を形成できるから、掻込みタイン237の加工を簡略化して、製造コストを低減できる。さらに、先細り円形状の折曲げ端部283は、突出防止孔273との係合抵抗を低減して、突出防止孔273にスムーズに抜き差し操作できるものでありながら、突出防止孔273に折曲げ端部283を確実に係入固定できる。
図20を参照して、第2実施形態のタインバー236と掻込みタイン237の構造を説明する。タインバー236に形成された突出防止孔273に抜き差し自在に挿入して係止する先細り円形状の折曲げ端部283(第1実施形態)に代えて、図20に示す如く、先細り円弧形状に折曲げて折曲げ端部283aを形成するものであり、タインバー236に形成された突出防止孔273に、先細り円弧形状の折曲げ端部283aを抜き差し自在に挿入して係止するように構成している。第1実施形態の先細り円形状の折曲げ端部283に比べ、前記折曲げ端部283aを簡単に形成加工できる。
図21を参照して、第3実施形態のタインバー236と掻込みタイン237の構造を説明する。図21に示す如く、タイン本体237aの基端部位置から上方前方に向けてコイルバネ形成部281bを伸延させる。タインバー236の前面(前半部周面)に沿う湾曲状に嵌合部282bを伸延させ、前方に膨出する半円弧状に屈曲させて嵌合部282bを形成する。タインバー236の前方に向けて折曲げ端部283bを突設させている。バネ鋼鋼材により成形している嵌合部282は、コイルバネ形成部281の復元バネ力にて、タインバー236の前方からタインバー236の周面に弾圧される。第1実施形態または第2実施形態のようにタインバー236に突出防止孔273を形成する穿孔加工が不要になるが、圃場の植立穀稈を掻込むときに、前方に向けた折曲げ端部283bに穀稈が引掛かるのを防止する必要がある。
図22を参照して、第4実施形態のタインバー236と掻込みタイン237の構造を説明する。第1実施形態または第2実施形態と同様に、タイン本体237aの基端部位置から上方後方に向けてコイルバネ形成部281を伸延させると共に、タインバー236の後面(後半部周面)に沿う湾曲状に嵌合部282を伸延させ、後方に膨出する半円弧状に屈曲させて嵌合部282を形成するものであり、バネ鋼鋼材により成形している嵌合部282は、コイルバネ形成部281の復元バネ力にて、タインバー236の後方からタインバー236の周面に弾圧される。また、図22に示す如く、タインバー236の後方に向けて折曲げ端部283cを突設させている。第1実施形態または第2実施形態のようにタインバー236に突出防止孔273を形成する穿孔加工が不要になると共に、折曲げ端部283cを後方に向けたから、圃場の植立穀稈を掻込むときに、後方に向けた折曲げ端部283cに引掛かる穀稈量を低減できる。
図1〜図3、図17〜図22に示す如く、掻込みリール14と穀物ヘッダー12と刈刃15を有する刈取部3と、扱胴21を有する脱穀部9と、走行部としての履帯2及びエンジン7を設ける走行機体1を備え、掻込みリール14にて圃場の刈取穀稈を刈刃15側に掻込むコンバインにおいて、掻込みリール14は、複数本のタインバー236と、タインバー236に植設させる複数の掻込みタイン237を有し、圃場の刈取穀稈の穂先側を前記掻込みタイン237にて刈刃15側に掻込む構造であって、掻込みタイン237のうち掻込みタイン頭部237bをRピン形状に形成し、タインバー236にRピン形状の掻込みタイン頭部237bを係止するように構成している。したがって、タインバー236に掻込みタイン237をワンタッチで着脱できるものでありながら、湾曲形状の掻込みタイン本体237a側が穀稈掻込み抵抗にて掻込みリール14軸心方向にずれるのを防止でき、掻込みタイン本体237a側を適正な掻込み姿勢に支持できる。ボルトまたはナットの締結にて掻込みタイン頭部237bを固着する必要がなく、構成部品数を削減でき、軽量化またはコスト低減を容易に達成できる。
図17〜図20に示す如く、タインバー236のタイン貫通孔274に掻込みタイン237のうちタイン本体237a側を貫通させる構造であって、タインバー236の突出防止孔273にRピン形状の掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283を係入するように構成している。したがって、タインバー236の突出防止孔273内部に掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283を収納でき、掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283に藁などが引掛るのを阻止でき、掻込みタイン頭部237bに藁が絡まる不具合発生などを低減できる。掻込みタイン頭部237bに藁などが喰い込むのを阻止でき、藁の喰い込みなどによって掻込みタイン237が変形損傷するのを防止できる。
図17〜図19に示す如く、掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283を渦巻き形状に折曲げ形成し、渦巻き形状に折曲げた掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283を、タインバー236の突出防止孔273に係入するように構成している。したがって、タインバー236の突出防止孔273にRピン形状の掻込みタイン頭部237bの折曲げ端部283を簡単に係合または離脱させることができ、タインバー236に掻込みタイン頭部237bを係止する組付け作業性または交換作業性などを向上できる。
図2、図17〜図22に示す如く、左右方向に延設させるタインバー236の左右両端部に、Rピン形状の掻込みタイン頭部237bを有する掻込みタイン237が着脱可能に配置されている。したがって、掻込みタイン237の損傷などにより交換頻度が高くなる前記タインバー236の左右両端部において、掻込みタイン237の交換作業性などを向上できる。