JP6485991B2 - 地中蓄熱方法およびシステム - Google Patents
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Description
(1)坑井(ボーリング孔)内にU字状管(熱交換用配管)を配管し、このU字状管内に不凍液などの熱媒体を循環させることによって、坑井内で地熱との熱交換を行いヒートポンプを駆動するもの(例えば、特許文献1参照)、
(2)鋼管杭や場所打ち杭等の基礎杭等に中空の基礎杭を利用して、これに不凍液等の熱媒体を循環させる熱交換用配管を設置して熱交換を行うもの(例えば、特許文献2および3参照)、
(3)地下水を揚水して冷却水および温熱水として利用しヒートポンプを駆動するもの(例えば、特許文献4および5参照)、
(4)地中に地下貯水槽を構築し、この貯水槽の貯留水中に不凍液、水等の熱媒体を循環させる熱交換用配管を設置して熱交換を行うもの(例えば、特許文献6参照)、
(5)地中に地下貯水槽より水分が浸透される蓄熱土壌槽を設け、この蓄熱土壌槽中に、熱媒体を循環させる熱交換用配管を設置して熱交換を行うもの(例えば、特許文献7参照)、等が提案されている。
さらに、前記(4)〜(5)の方法は、蓄熱材が水や水分を含浸した土壌であるため、地中に水を貯留する貯水槽(ダム)を構築しなければならず、地中に水が漏れないように槽壁(ダム壁)で囲う貯水槽(ダム)を設けるのは大変な作業であり、構築に多大の費用もかかる課題がある。
モンモリロナイトは、水と接触すると膨潤する作用があり、モンモリロナイトを水に分散させたモンモリロナイト分散液は、粘性が生じ、ゲル化する。また、モンモリロナイトは、地盤との接触面に泥壁形成性がある。従って、モンモリロナイト(スメクタイト)を主成分とする水分散液またはゲル化体を地中に囲いを設けることなく埋設しても、例えば、地中にダムを形成し、これに収容するとしても、ダムはコンクリートや壁材で囲うことなく単に地盤を掘削した状態のダムであっても、これに収容されたモンモリロナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体は、地中に漏れ出ることなく安定してその状態を保持する。
また、モンモリロナイトは、熱的安定性に優れており、高温でも性能劣化はなく安定している。さらに、モンモリロナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体は、高温でも蒸発せず、高圧でも流出しない等の物性を示す。従って、地中に蓄熱材として使用しても何ら支障がなく、使用可能である。
また、モンモリロナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体に、珪酸ソーダを添加すると、珪酸ソーダの特性が加味されると共に蓄熱材としての特性も向上する。
本発明に係るモンモリロナイト(スメクタイト)を主成分とする水分散液またはゲル化体に珪酸ソーダを添加した蓄熱材は、対流による熱移動がないか、あったとしても少ない。従って、例えば、蓄熱材中に熱交換用配管を設置し、この熱交換用配管に熱媒体を循環させて熱交換を行うと蓄熱材中の熱交換用配管の周辺部は、熱が吸収されて温度が下がるが、蓄熱材の他の部分からの熱移動がないため、蓄熱材全体での熱交換ができない不都合がある。この構成により蓄熱材中での熱移動が容易に可能となり、かかる不都合は解消し熱交換効率も向上する。また、蓄熱材中での片寄った蓄熱もなくなり、蓄熱材の全体に亘って蓄熱される。
なお、埋設した蓄熱材中に支持部材を設けたり、埋設した蓄熱材の上面に加重を受け止める蓋体を設けたりすれば、その上方の地上には構造物を設けることも可能である。
(1)蓄熱材としてのスメクタイト、例えば、モンモリロナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体は、地中に囲いを設けることなく埋設しても、例えば、単に地盤を掘削しただけの凹所(ダム)に収容しても、蓄熱材は漏れ出ることなく安定してその状態を保持する。また、スメクタイト、例えば、モンモリロナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体は、高温でも性能劣化はなく、蒸発もなく熱的安定性に優れており、高圧でも流出しない、等の物性を示す。従って、単に地中に蓄熱材として埋設するだけで使用可能となり、地中蓄熱システムの構築が容易であり、施工費も安価に済むし、構築する場所の選定も容易となる。例えば、戸建て住宅では、駐車場の地下や庭の地下、等に容易に構築でき、その地上は駐車場や庭として使用できる。また、地中に埋設した蓄熱材中には、熱的負荷との間に熱媒体を循環させる熱交換用配管が設置されているので、蓄熱材の蓄熱は、熱交換用配管を循環する熱媒体で熱交換して熱エネルギーとして熱負荷(例えば、空調機器、融雪装置、給湯設備、床暖房)に供給できる。また、蓄熱材中に配管するだけなので、地中蓄熱システムの構築も容易に、しかも安価に施工できる。
また、打ち込んだ杭の周囲にも蓄熱材が存在すると、杭の周囲の蓄熱材も地熱を採熱し、この採熱は杭を介し熱交換用配管が存在する蓄熱材に伝導し蓄熱されるので採熱効率が向上する。
(4)地中に埋設した蓄熱材中には、熱伝導性のある金属材料で形成した網体、線材、棒、または板を組み込んであるので、または、蓄熱材に熱伝導性のある材料よりなる破砕片が混入されているので、蓄熱材中での熱移動が促進される。従って、蓄熱材の全体から蓄熱の回収が容易となるし、蓄熱材に部分的に片寄って蓄熱されることもない。
(6)地中に埋設した蓄熱材の上面に、該蓄熱材にかかる加重を受け止める蓋体が設けられるので、加わる加重は蓋体で受け止められ蓄熱材は安定するし、蓄熱材の上面が地表に露出状態で埋設されても、地表に露出する蓄熱材の上面は、蓋体で被覆保護でき、その上を駐車場や盛土して庭園、等に利用可能となる。
また、埋設した蓄熱材中に支持部材を設けたり、埋設した蓄熱材の上面に加重を受け止める蓋体を設けると、その上方の地上に構造物を設けることもできる。
前記蓄熱材1は、地盤G中に穴(以下、ダムと称す。)2を形成し、このダム2に収容されている。ダム2は、地盤Gを単に掘削しただけのものであり、コンクリートや壁材等で囲いは設けられていない。
熱交換用配管4の配設構造は、特に制限されるものではなく、好ましい配設例を適宜選択して採用する。
本例が図1に示す第1の実施の形態と相違する点は、熱交換用配管4の配設構造と、ダム2の側面にも採熱用の杭3が、側方(水平方向)に向かって地盤G中に打ち込まれている点と、打ち込まれた一部の杭3の周囲にも蓄熱材1を存在させた点である。
この図2に示す熱交換用配管4の配設構造によれば、蓄熱材1中に位置する熱交換用配管4に熱媒体を多量に存在させることができるので、熱交換効率が向上できる。また、採熱用の熱電導性のある金属製の杭3が、ダム2の底面2aより地中に打ち込まれるだけでなく、ダム2の側面2bより側方(水平方向、斜め方向)に向かって打ち込まれていると、より多くの周囲の地盤G中の地熱が採熱できるので、採熱効果が向上し好ましい。
また、打ち込まれた一部または全部の杭3の周囲に蓄熱材1を存在させると、この蓄熱材1も採熱し、この採熱は杭3を介し熱交換用配管4が存在する蓄熱材1に伝導し採熱されるので、採熱効率が向上する。本例では、打ち込んだ一部の杭3の周囲に蓄熱材1を存在させた場合を示している。杭3の周囲に存在する蓄熱材1は、熱交換用配管4が存在する蓄熱材1と連続してもよいし、非連続とし独立した構成でもよい。
この第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成において、地中に埋設した蓄熱材1中に、熱伝導性のある金属材料で形成した熱伝導部材8を組み込んだものであり、他は前記第1の実施の形態と同様であるので、前記第1の実施の形態と同じ構成要素には同一符号を付して詳細な説明は省略する。熱伝導部材8としては、熱伝導性のある金属材料で形成した網体、線材、棒または板、等を例示でき、これは単独で使用してもよいし、また組み合わせて使用してもよい。
この第3の実施の形態は、第1の実施の形態の構成において、地中に埋設した蓄熱材1中に、該蓄熱材1にかかる加重を支持する支持部材9を設置したもので、他は前記第1の実施の形態と同様であるので、前記第1の実施の形態と同じ構成要素には同一符号を付して詳細な説明は省略する。支持部材9は、蓄熱材1にかかる加重を支持できる構成であればよく、特に制限はないが、蓄熱材1中に設置されるため、占める体積は少ない方が好ましい。支持部材9としては、支柱、プラスチック製のブロック、等を例示できる。本例では、プラスチック製のブロックの場合を示している。蓄熱材1は、自体で耐圧力(支持力)もあるので、支持部材9としては補強する程度でよく、体積(容積)の少ない部材で構築することが可能となる。特に、支持部材9として、金属材料のものを採用すると、占める体積が小さくても強度があり、しかも熱伝導性があるので、熱伝導部材も兼用できるので望ましい。
この構成により、加わる加重は支持部材9でも支えられるので、蓄熱材1にかかる加重を軽減できるし、蓄熱材1を介し熱交換用配管4にかかる圧力(加重)も軽減でき保護できる。
この構成により、加わる加重は蓋体10で受け止められるので、蓄熱材1は安定する。また、図5に示すように蓄熱材1の上面が地表に露出状態で設けることも可能となる。地表に露出する蓄熱材1の上面は、蓋体10で被覆保護されるので、その上を図5に示すように駐車場にすることも可能となる。
また、珪酸ソーダは、珪酸より強いすべての酸と反応してアルカリが中和されるのにつれてpHが低下し珪酸イオンを遊離するため、珪酸イオンの重合またポリ珪酸イオン同士の重合により粘度が上昇し、さらに進むとゲル状に硬化する。この粘度の上昇、ゲル化の速度は、酸の種類、量、濃度、温度によって異なる。
このような珪酸ソーダの特性を考慮し、スメクタイトを主成分とする水分散液、またはスメクタイトを主成分とするゲル化体に、珪酸ソーダを添加することによって、水分散液の粘度またはゲル化体の粘度(硬化度)を適正状態に長期に亘り維持するようにし、蓄熱材の特性(例えば、蓄熱効果)を向上させる。
また、珪酸ソーダを添加することによって珪酸ソーダの特性を加味することができ、これにより蓄熱材の強度(例えば、耐圧強度、支持強度)を高めることができるし、熱伝導性のある金属製の杭3および蓄熱材1中に設けた熱伝導部材8や支持部材9、等の腐食を防止することができる。
また、添加した珪酸ソーダにより酸と反応して中和されるため、蓄熱材1を地盤G中に埋設しても、環境に優しいこととなる。
まず、図6(a)に示すように地盤Gに穴(ダム)2を掘削して形成する。このダム2の形成は、掘削装置を用いて掘削し形成することが好ましい。
次に、図6(b)に示すようにダム2の底面2aより深度方向に向けて熱伝導性のある金属製の杭3を打ち込む。この時、杭3の頭部3aは、ダム2の底面2aより突出させ、ダム2内に位置するようにする。そして、ダム2内に熱交換用配管4を配設する。なお、図2に示すように杭3の周囲にも蓄熱材1を設けたり図4に示すような支持部材9を設ける場合には、この時に設置する。
次に、図6(c)に示すようにダム2内に蓄熱材1を投入する。この蓄熱材1は、ベントナイトを主成分とする水分散液またはゲル化体に珪酸ソーダを添加したものである。これにより杭3は、頭部3aがダム2内の蓄熱材1中に位置し、熱交換配管4は蓄熱材1中に位置するようになる。なお、図5に示すような蓄熱材1の上面に蓋体10を設ける場合には、図6(c)に示す状態のときに実施する。
最後に、図6(d)に示すように投入した蓄熱材1の上方に地盤地を埋め戻し完成する。
上記の説明から理解できる通り、本発明に係る地中蓄熱方法および地中蓄熱システムは、容易に構築できるし、施工費も安価に実施できる。
2 ダム(穴)
2a ダムの底面
2b ダムの側面
3 熱伝導性の杭
3a 杭の頭部
4 熱交換用配管(熱交換部)
5 循環用ポンプ
6 ヒートポンプ
7 冷暖房用室内ユニット(熱的負荷)
8 熱伝導性部材
9 支持部材
10 蓋体
Claims (7)
- スメクタイトを主成分とする水分散液から成るプリン体を蓄熱材とし、
地中にコンクリートや等で囲いを設けない単に地盤を掘削しただけのダムを形成し、
前記蓄熱材を、前記ダムに囲いを設けることなくプリン体の状態で埋設し、
前記蓄熱材と前記ダムの地盤との接触面に泥壁を形成することにより蓄熱材の漏出を防止し、
該蓄熱材中に熱的負荷との間に熱媒体を循環させる熱交換用配管を設置し、
前記地中に埋設した蓄熱材中には、前記熱交換用配管とは別に、該蓄熱材外周面より深く地盤中に打ち込んだ熱伝導性のある金属製の杭を、少なくともその頭部を蓄熱材中に位置させて配置し、
前記蓄熱材に蓄熱された地中熱を前記熱交換用配管を介して取り出し利用することを特徴とする地中蓄熱方法。 - 前記地盤中に打ち込んだ熱伝導性のある杭の、一部または全部の周囲に、蓄熱材を存在させることを特徴とする請求項1に記載の地中蓄熱方法。
- 前記地中に埋設した蓄熱材中には、熱伝導性のある金属材料で形成した網体、線材、棒または板を組み込んで、該蓄熱材中での熱移動を促進することを特徴とする請求項1又は2に記載の地中蓄熱方法。
- 前記蓄熱材には、熱伝導性のある材料よりなる破砕片が混入されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地中蓄熱方法。
- 前記地中に埋設した蓄熱材中には、該蓄熱材に加わる加重を支持する支持部材を設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地中蓄熱方法。
- 前記地中に埋設した蓄熱材の上面に、該蓄熱材にかかる加重を受け止める蓋体を設けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地中蓄熱方法。
- スメクタイトを主成分とする水分散液から成るプリン体により構成された蓄熱材と、
地中に形成された、コンクリートや等で囲いを設けない単に地盤を掘削しただけの、前記蓄熱材をプリン体の状態で埋設するダムと、
前記蓄熱材と前記ダムの地盤との接触面に形成された泥壁と、
前記ダム内の蓄熱材中に設置され、熱的負荷との間に熱媒体を循環させる熱交換用配管と、
前記ダム内の蓄熱材中に設置され、前記熱交換用配管とは別に、該蓄熱材外周面より深く地盤中に打ち込まれた熱伝導性のある金属製の杭と、を備え、
前記杭は、少なくともその頭部を蓄熱材中に位置させて設置されている、
ことを特徴とする地中蓄熱システム。
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