JP6485836B2 - イグサ由来シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤 - Google Patents
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Description
pyrazol-1-yl]benzenesulfonamide)、ロフェコキシブ(Lofecoxib、化合物名は4-[4-(Methylsulfonyl)phenyl]-3-phenyl-2(5H)-furanone)等、様々な化合物が開発されている。しかしながら、それらの多くは顕著な副作用を有しており、例えば、アスピリンには、胃腸障害、喘息、及び耳鳴りや難聴を引き起こすリスクが知られている。さらに、セレコキシブ及びロフェコキシブに至っては、大腸癌に対する治療効果が臨床試験で認められたにも関わらず、その副作用の深刻さゆえに認可が見送られている(非特許文献2)。
このような事情から、副作用が低いことを期待して、天然の植物から新たなCOX-2阻害成分を同定する試みが精力的に行われている。
よって、日本国内で自生又は栽培が容易で安価な植物から製造できる新たなCOX-2阻害剤が求められていた。
しかしながら、これらはすべてイグサの水性成分の効用に基づくものであり、これまで、水性成分を抽出した後の残渣が注目されることはなかった。水性溶媒でなく有機溶媒によって抽出されるイグサ成分に優れた薬効があることは、本発明者によって初めて見出されたことである。
[1] イグサの有機溶媒抽出物を有効成分として含むシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤。
[2] 前記有機溶媒が、炭素数が5−10の非置換型炭化水素、及び置換基を除く炭素数が1−6の置換型炭化水素からなる群より選ばれる1以上である、前記[1]に記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤。
[3] 前記有機溶媒が、炭素数6の非置換型炭化水素、及び炭素数1−4の低級アルコールからなる群より選ばれる1以上である、前記[1]又は[2]に記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤。
[4] 前記有効成分が、オキソオクタデカジエン酸である、前記[1]−[3]のいずれかに記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤
[5] 前記オキソオクタデカジエン酸が、(9Z,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、(10E,12Z)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸、(9E,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、及び(10E,12E)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸からなる群から選ばれる1以上である、前記[4]に記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤。
[6] 前記オキソオクタデカジエン酸が、(9Z,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸である、前記[4]又は[5]に記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤。
[7]前記[1]−[6]のいずれかに記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する食品。
[8]前記[1]−[6]のいずれかに記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する医薬部外品。
[9]前記[1]−[6]のいずれかに記載のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する化粧料。
[10] イグサをメタノール又はエタノールで抽出し、さらにn-ヘキサンで抽出する工程を含むことを特徴とする、イグサ由来シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の製造方法。
以下に、本発明に係るイグサ由来COX-2阻害剤及びその製造方法について詳述する。本発明に係るイグサ由来COX-2阻害剤は、イグサから有機溶媒を用いて抽出されるCOX-2阻害成分を含む剤であり、より詳細には、前記COX-2阻害成分としてオキソオクタデカジエン酸を含む剤である。
なお、本明細書では、ハイフンを用いて数値範囲を表す場合、該ハイフンの前後の数値を含むものとする。例えば、“20−100℃”という記載は、“20℃以上100℃以下”の意である。
シクロオキシゲナーゼは、シクロオキシダーゼ活性とヒドロペルオキシダーセ活性を有する酵素であり、当該シクロオキシダーゼ活性によってアラキドン酸をプロスタグランジンG2(Prostaglandin G2;PGG2と略記)に変換し、さらに、当該ヒドロペルオキシダーセ活性によってPGG2をプロスタグランジンH2(Prostaglandin H2;PGH2と略記)に変換する。本発明におけるCOX-2阻害剤は、COX-2が有するシクロオキシダーゼ活性及びヒドロペルオキシダーセ活性の少なくとも1以上の活性を阻害し得る化合物を指す。なお、当該COX-2阻害活性は、市販のキット(例として、COX Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemical社製))を用いて簡便且つ高感度に評価することが可能である。
イグサ(別名:灯芯草)は学名をJuncus effusus L. var. decipens Buchen.といい、イグサ科イグサ属の単子葉植物である。湿地や浅い水中に自生し、茎(地下茎)を土中に伸ばし、地上には針状の花茎を多数伸ばす。葉は花茎の基部を包む短い鞘状のものに退化しており、外見上はないように見える。花茎は円筒状でまっすぐに伸び、花茎の途中に横に突き出す形で花が付く。基部から花が付くまでの部分が花茎で、花から先端は苞にあたる。畳表に使用されるのは、花茎及び苞の部分である。
本発明には、イグサの地上部、具体的には花茎及び苞の部分を好適に用いることができる。花は含まれていても含まれていなくてもよい。また、灯芯部の有機溶媒抽出物にはCOX-2阻害活性が検出されないことから、灯芯部を予め除去してもよい。
このうち、前記“無添加!いぐさ野菜100%の『いぐさ野菜の粉』”は、イグサを熱湯消毒後に乾燥して粉砕化したものであり、食物繊維の摂取を目的とした食品である。このように、イグサは常用しても副作用が少ないと考えられている。
本発明に用いることができる有機溶媒は、常温常圧下(本明細書では、20℃1気圧下とする)で液体の有機化合物であり、植物からの脂溶性成分の抽出に通常用いられるものであってよい。そのような有機溶媒の例としては、非置換型又は置換型の炭化水素が挙げられる。本発明における非置換型炭化水素とは、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、及び芳香族炭化水素等を指し、これらの化合物の水素原子の一部が置換基で置換されたものが置換型炭化水素である。
上記のうち、炭素数6の非置換型炭化水素(n-ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン)及び炭素数1−4の低級アルコール(1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、エタノール、メタノール)が特に好ましく、最も好ましくはn-ヘキサン、メタノール、及びエタノール(100%又70%)である。
イグサからのCOX-2阻害成分の抽出は、イグサを前記有機溶媒と混合し、一定時間保温することで行うことができる。その際、水又は水系溶媒との混液であってもよい(すなわち、液液分配法を用いてもよい)。
イグサは、生の状態(乾燥させていない状態)で有機溶媒と混合してもよいが、抽出効率を高めるために、乾燥させてから有機溶媒と混合することが好ましい。また、抽出効率をより高めるために、細断化又は粉末化されていることが好ましい。さらに、イグサの熱水抽出残渣(例えば、100℃で8分間以上抽出した後の残渣)を用いても良い。
また、複数の有機溶媒を用いて段階的に抽出してもよい。ここで、段階的に抽出するとは、ある溶媒で抽出して得られた抽出物を、さらに別の溶媒で抽出することを指す。
複数の有機溶媒による段階的抽出の好適な例としては、イグサをメタノール又は70%エタノール(エタノール:水=7:3体積比の混合物)で抽出し、得られた抽出物をn-ヘキサンで抽出する方法が挙げられる。
オキソオクタデカジエン酸には複数の立体異性体が存在し得るが、本発明者によりイグサの成分として見出されたのは、下記式(1)で表される(9Z,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、下記式(2)で表される(10E,12Z)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸、下記式(3)で表される(9E,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、及び、下記式(4)で表される(10E,12E)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸の4種類である。
なお、前記4種類の立体異性体にはさらに(R)体と(S)体の光学異性体が存在し得るが、本発明のCOX-2阻害剤に含まれるオキソオクタデカジエン酸は(R)体と(S)体のいずれでもよく、また、両者の混合物であってもよい。
本発明に係るCOX-2阻害剤は、賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化して摂取してもよい。剤形は特に限定されないが、経口用製剤が好ましく、例えば、錠剤、散在、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤、ゲル剤等の半固形剤、及び懸濁剤、乳剤等の液剤が挙げられる。
以下の実施例では、各種溶媒によって抽出された抽出液から該溶媒を除去したものを“抽出物”と呼ぶ。また、抽出溶媒における“%”は、水で希釈した場合の該溶媒の体積%を表し、%の記載のないものは溶媒100%であることを表す。その他、含有量、収率、及び配合量における“%”は“重量%”である。
最初に、実施例で行ったCOX-2阻害活性の測定方法について説明する。
前述したように、COX-2は、当該シクロオキシダーゼ活性によってアラキドン酸をPGG2に変換し、当該ヒドロペルオキシダーセ活性によって前記PGG2をPGH2に変換する酵素である。本願実施例では、COX Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemical社製)を用いて、COX-2、アラキドン酸、及び被験物質の存在下で生じるPGH2量(厳密には当該還元産物量)を測定した。陰性コントロール(ジメチルスルホキシドのみ)を添加した場合に生じる前記PGH2量を100%(=COX-2活性が100%の状態)として、各被験物質を添加した場合に生じる前記PGH2量との差分をCOX-2活性阻害率(%)として算出した。なお、陽性コントロールとしては、代表的なCOX-2であるアセチルサリチル酸を用いた。
乾燥イグサをミルで粉砕し、得られたイグサ粉砕物0.5gを10mlの抽出溶媒に懸濁して、室温で30分間超音波処理を行った(超音波処理終了後の液温は約35−40℃)。使用した抽出溶媒は、n-ヘキサン、メタノール、エタノール、含水エタノール(エタノール濃度:70%、50%、又は30%)、又は熱水である。その後遠心を行って上清を回収し、減圧溶媒留去して抽出物を得た。当該抽出物を終濃度50μg/mlとなるようにジメチルスルホキシドに溶解し、手法1に従ってCOX-2阻害活性を測定した。結果を表1に示す。
よって、イグサにはCOX-2活性を阻害する成分が含まれており、当該成分は熱水では抽出されないが有機溶媒によって抽出されることが明らかとなった。
乾燥イグサ5gを2-3cm長に切断し、該切断物に熱水200mlを加えて、100℃で8分間抽出した。その後濾過を行い、濾液と残渣に分けた。前記濾液に対しては、減圧溶媒留去を行い、熱水抽出物0.41gを得た。前記残渣に対しては、100%エタノール200mlを加えて80℃で2時間還流抽出を行い、濾過して得られた濾液を減圧溶媒留去して、エタノール抽出物(熱水抽出残渣の100%エタノール抽出物)0.34gを得た。これら2種類の抽出物に対し、手法1に従ってCOX-2阻害活性を解析した(表2)。
イグサの灯芯部は、煎じて飲むと消炎効果が得られることから、特に薬効が高い部位とされている。そこで、イグサの灯芯部から有機溶媒抽出物を作製して、COX-2阻害活性の有無を検討した。
イグサ灯芯部(=花茎の髄のみ)0.6gを1-2cmに切断し、メタノール100mlを加えて70℃で2時間還流抽出を行った。その後濾過を行い、得られた濾液を減圧溶媒留去して、イグサ灯芯部メタノールエキス28.1mgを得た。当該抽出物を終濃度50μg/mlとなるようにジメチルスルホキシドに溶解し、手法1に従ってCOX-2阻害活性を測定した。なお、比較のために、後述する実施例2で製造したメタノール抽出物(表4)をイグサ全草メタノール抽出物として解析した。結果を表3に示す。
イグサを有機溶媒で段階的に抽出して、COX-2阻害成分の濃縮を試みた。具体的には、イグサをメタノールで抽出し、さらに(該メタノール抽出物から)n-ヘキサン可溶性成分と酢酸エチル可溶性成分を抽出し、これらの抽出物をカラムクロマトグラフィーで分画してCOX-2阻害活性を測定した。抽出及び分画工程のフローチャートを図1に示す。
乾燥イグサ400gを2-3cm長に切断し、メタノール8リットルを加えて70℃で2時間還流抽出を行った後、濾過を行って濾液と残渣を得た。当該残渣に6リットルのメタノールを加え、70℃で2時間還流抽出を行った後、濾過して濾液と残渣を得た。前記2回目の還流抽出で得られた濾液を前記1回目の還流抽出で得られた濾液と合わせてイグサのメタノール抽出液とし、当該メタノール抽出液を減圧溶媒留去してメタノール抽出物(図1及び表4中の試料1)45gを得た。
前記メタノール抽出物に温水1リットルを加えて懸濁させた後、n-ヘキサン1リットルを加えて液液分配抽出を行い、ヘキサン層と水層を得た。当該水相に対してn-ヘキサンによる液液分配抽出をさらに3回行い、計4回の液液分配抽出で得られたヘキサン層を合わせてヘキサン抽出液とした。当該ヘキサン抽出液を減圧溶媒留去し、乾燥させて、ヘキサン抽出物(試料6)4.36gを得た。
前記液液分配抽出で得られた水層に対し、酢酸エチル1リットルを用いた液液分配抽出を計3回行い、得られた酢酸エチル層をすべて合わせて酢酸エチル抽出液とした。当該酢酸エチル抽出液を減圧溶媒留去し、乾燥させて、酢酸エチル抽出物(試料2)6.64gを得た。
上記抽出及び分画によって得られた各抽出物を、終濃度20μg/ml又は50μg/mlとなるようにジメチルスルホキシドに溶解し、手法1に従ってCOX-2阻害活性を測定した。結果を表4に示す。なお、表4中の“収率”は、得られた各抽出物の総重量の、初期材料(乾燥イグサ400g)に対する割合を表す。
よって、イグサのCOX-2阻害成分は、メタノールで抽出後さらにヘキサンで抽出することによって濃縮されることがわかった。また、試料2−5にはCOX-2阻害活性が検出されなかったことから、当該COX-2阻害成分は脂溶性の高い成分であることが示唆された。
実施例2で得られたヘキサン抽出物から、イグサのCOX-2阻害成分の同定を試みた。
前記ヘキサン抽出物4.36gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(200ml)に供し、クロロホルム:メタノール:水=95:5:0、90:10:0、78:20:2の3種類の溶出液でステップワイズ溶出を行い、10の分画(分画Aから分画J)に分画した。各分画を減圧溶媒留去して乾燥させた後、終濃度20μg/ml又は50μg/mlとなるようにジメチルスルホキシドに溶解し、手法1に従ってCOX-2阻害活性を測定した。結果を表5に示す。
<分取HPLC条件>
装置:Prominence UFLCシステム(株式会社島津製作所製)、ソフトウエア:LabSolutions v.5.57、カラム:COSMOSIL 2.5Cholester(2.5μm)径3.0×100mm(ナカライテスク株式会社製)、移動相:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=50:50、流速:0.75ml/min、カラム温度40℃、検出:UV203−400nm
<化合物1>
1H−NMR(CDCL3)δ:0.87(3H,t,J=7Hz),1.23−1.31(12H,m),1.38−1.42(2H,m),1.59−1.63(2H,m),2.26−2.31(2H,m),2.33(2H,t,J=7.5Hz),2.52(2H,t,J=7.5Hz),5.88(1H,dt,J=11,7.5Hz),6.10(1H,t,J=11Hz),6.16(1H,d,J=15.5Hz),7.47(1H,dd,J=15.5,11.5Hz).
<化合物>
1H−NMR(CDCL3)δ:0.87(3H,t,J=7Hz),1.23−1.31(12H,m),1.38−1.42(2H,m),1.61(2H,m),2.26−2.29(2H,m),2.32(2H,t,J=7.5Hz),2.52(2H,t,J=7.5Hz),5.89(1H,dt,J=11,7.5Hz),6.09(1H,t,J=11Hz),6.14(1H,d,J=15.5Hz),7.47(1H,dd,J=15.5,11.5Hz).
<化合物>
1H−NMR(CDCL3)δ:0.87(3H,t,J=7Hz),1.23−1.35(12H,m),1.4(2H,m),1.57−1.63(2H,m),2.14−2.16(2H,m),2.33(2H,t,J=7.5Hz),2.51(2H,t,J=7.5Hz),6.06(1H,d,J=11.5Hz),6.13−6.15(2H,m),7.11(1H,dm,J=15.5Hz).
<化合物>
1H−NMR(CDCL3)δ:0.87(3H,t,J=7Hz),1.23−1.30(12H,m),1.38−1.44(2H,m),1.57−1.62(2H,m),2.13−2.17(2H,m),2.32(2H,t,J=7.5Hz),2.51(2H,t,J=7.5Hz),6.05(1H,d,J=11.5Hz),6.14−6.16(2H,m),7.11(1H,dm,J=15.5Hz).
<参考文献>
Claire Dufour and Mich`ele Loonis, Chemistry and Physics of Lipids, 138:60-68, 2005, “Regio- and stereoselective oxidation of linoleic acid bound to serum albumin: identification by ESI-mass spectrometry and NMR of the oxidation products.”
イグサから種々の有機溶媒を用いて抽出されるオキソオクタデカジエン酸の量を測定した。
乾燥イグサをミルで粉砕し、得られたイグサ粉砕物0.5gを10mlの抽出溶媒に懸濁して、室温で30分間超音波処理を行った(超音波処理終了後の液温は約35−40℃)。使用した抽出溶媒は、n-ヘキサン、メタノール、エタノール、70%エタノール、又は熱水である。その後遠心を行って上清を回収し、該上清を前記分取HPLC法を用いて展開、化合物1−4の含有量を算出した。乾燥イグサ1gあたりの含有量に換算した値を表7に示す。
これに対し、乾燥イグサを熱水で抽出した抽出物中には、オキソオクタデカジエン酸は検出されなかった。
<処方>
成分 配合量
乳糖 84.0
アスコルビン酸ナトリウム 10.0
乾燥コーンスターチ 3.0
タルク 1.8
イグサヘキサン抽出物(実施例3の分画iから溶媒除去したもの) 1.0
ステアリン酸ナトリウム 0.2
合計 100.0
<製法>
上記成分を均一に混合した混合物を単発式打錠機を用いて打錠し、直径5mm、質量15mgの錠剤を得た。
<処方>
成分 配合量
ブドウ糖 74.3
乳糖 16.5
アラビアガム 5.0
イグサヘキサン抽出物(実施例2のヘキサン抽出物) 2.5
香料 1.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
合計 100.0
成分 配合量
炭酸カルシウム 50.0
グリセリン 25.0
イグサn-ヘキサン抽出物(実施例1のn-ヘキサン抽出物) 4.0
カルボキシメチルセルロース 2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0
香料 1.0
ラクトフェリン 0.6
サッカリン 0.1
クロルヘキシジン 0.01
精製水 残余
合計 100.
成分 配合量
(油相)
セチルアルコール 1.0
ミツロウ 0.5
ワセリン 2.0
スクワラン 5.0
ジメチルポリシロキサン(6cs) 2.0
イグサn-ヘキサン抽出物(実施例1のn-ヘキサン抽出物) 1.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 1.0
グリセロールモノステアリン酸エステル 1.0
香料 適量
防腐剤 適量
(水相)
グリセリン 4.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
精製水 残余
合計 100.0
(製法)
水相及び油相をそれぞれ70℃で加熱溶解し、該水相をホモミキサーで攪拌しながら、該水相に前記油相を添加して乳化させた。その後、当該混合液を脱気し、室温にまで冷却して水中油型乳液を得た。
成分 配合量
(油相)
マイクロクリスタリンワックス 10.0
固形パラフィン 2.0
ミツロウ 3.0
ワセリン 7.0
スクワラン 34.0
イグサメタノール抽出物(実施例1の100%メタノール抽出物) 1.0
モノオレイン酸グリセリン 3.0
POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
(水相)
プロピレングリコール 4.0
精製水 残余
合計 100.0
(製法)
水相及び油相をそれぞれ70℃で加熱溶解し、該油相をホモミキサーで攪拌しながら、該油相に前記水相を徐々に添加して乳化させた。その後、当該混合液を脱気し、室温にまで冷却して油中水型クリームを得た。
成分 配合量
ゼラチン 60.0
水飴 20.0
砂糖 8.0
イグサエタノール抽出物(実施例1の100%エタノール抽出物) 5.0
植物油脂 4.5
マンニトール 2.0
香料 0.5
合計 100.0
本発明は、これらのイグサ由来製品を製造する際に生じる熱水抽出残渣(産業廃棄物)が貴重な医薬品原料となることを開示するものであり、当該産業廃棄物の新たな且つ非常に有益な用途を提供するものである。
Claims (4)
- イグサをメタノール又はエタノールで抽出し、さらにn-ヘキサンで抽出する工程を含むことを特徴とする、オキソオクタデカジエン酸の精製方法。
- 前記オキソオクタデカジエン酸が、(9Z,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、(10E,12Z)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸、(9E,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、及び(10E,12E)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸からなる群から選ばれる1以上である、請求項1に記載のオキソオクタデカジエン酸の精製方法。
- イグサをメタノール又はエタノールで抽出し、さらにn-ヘキサンで抽出する工程を含む、オキソオクタデカジエン酸を精製する工程、
を含むことを特徴とする、シクロオキシゲナーゼ−2活性阻害剤の製造方法。 - 前記オキソオクタデカジエン酸が、(9Z,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、(10E,12Z)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸、(9E,11E)-13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸、及び(10E,12E)-9-オキソ-10,12-オクタデカジエン酸からなる群から選ばれる1以上である、請求項3に記載のシクロオキシゲナーゼ−2活性阻害剤の製造方法。
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