JP6485799B2 - 三光子励起により発光する発光性組成物 - Google Patents

三光子励起により発光する発光性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、希土類金属錯体を含む発光性組成物に関し、さらに詳しくは、赤外光の波長領域で三光子を吸収し、発光する発光性組成物に関する。また本発明は、発光プローブやバイオイメージングに用いるための上記発光性組成物に関する。
二光子や三光子吸収等の多光子吸収とは、光を光子として考えたとき、同時に2個以上の光子が吸収されることによって、分子の状態が励起され高いエネルギー準位に遷移することを意味する。多光子吸収は、その発生する確率が、例えば三光子吸収の場合、光の強度に対して三乗に比例する(非線形現象)(非特許文献1)。したがって、光強度の高いときにのみ光の吸収が起こるので、光をレンズで集光し、光強度の高い焦点付近でのみ吸収を起こすことができる。また、エネルギーの低い光であっても、その低エネルギーの光をレンズで集光して多光子現象をつくり、低エネルギーの光そのものでは励起されない分子に対して照射することによって励起状態にすることができる。
集光により焦点付近のみで多光子吸収が起こる特徴は、例えば、バイオイメージングに応用できる(非特許文献2)。バイオイメージングとは、細胞・組織又は個体レベルでタンパク質等の分布・局在を捉え、その動態を画像として解析する技術のことをいい、病体時の病理解明、診断等に有用な手段である。バイオイメージングにおいて、多光子吸収による発光を利用すれば、測定試料に対して、焦点の位置を走査することによって、三次元的なイメージを得ることができる。
バイオイメージングで試料の深部のイメージを得る場合、可視光領域の光による多光子吸収は、試料内での光の吸収、及び散乱が大きく透過性が悪くなり好ましくない。それらの悪影響を受けない、長波長領域の光により励起される多光子吸収は試料の深部をイメージングするのに適する。
また、バイオイメージングの一つとして、マルチカラーイメージングが知られている。マルチカラーイメージングは、異なる発光波長を有する発光物質で染色された試料の発光を検出することをいい、異種の細胞を色分けしながら、異種細胞の協奏的なはたらきを観察することができる。マルチカラーイメージングを試料の深部のイメージを得るために利用すれば、これまで観察することができなかった生体深部での異種細胞の協奏的なはたらきを可視化できるようになる。
マルチカラーで検出する場合、発光物質の発光波長が重なり合わないよう、発光ピークのバンド幅が狭い発光物質が必要とされる。本願の発明者らは既に生体深部での三次元バイオイメージングを可能とする二光子吸収化合物を開発しているが(非特許文献3)、それら従来の化合物は、発光ピークのバンド幅が広く(バンド幅〜100nm)、生体深部の三次元マルチカラーイメージングには適していない。
一方、Eu(ユウロピウム)、Sm(サマリウム)等の希土類金属を用いた希土類金属錯体は、その発光ピークのバンド幅が狭く、発光がシャープであることが知られている(特許文献1、非特許文献4)。
特許文献1には、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline,phen)とヘキサフルオロアセチルアセトン(hexafluoroacetylacetone,hfa)を配位子にもつ錯体、Eu(hfa)(phen)の発光がシャープであることは記載されているが、その励起光は、波長が335nmであり、紫外領域の光である。
また、非特許文献4には、以下の構造の配位子を有するEu錯体が、励起光800nmで三光子吸収が起こり発光することが開示されているが、それより波長の長い励起光、すなわち、より生体への透過性の高い励起光で三光子吸収が起こり発光することは示されていない。
特開2014−031348号公報
Guang S. He. et al., Chem. Rev., 2008, 108, 1245-1330 Biochemistry 46 (2007) 9674 日本化学会第94春季年会(2014)講演予稿集 S. V. Eliseeva, et. al., J. Phys. Chem. B, 114 (2010) 2932
本発明の課題は、バイオイメージング用発光プローブとして、生体深部の三次元マルチカラーイメージングを可能にする発光性組成物を提供することにある。具体的には、二光子吸収より生体への透過性の高い励起光、すなわち、800〜1300nmの波長領域で励起が起こり、かつ、発光ピークのバンド幅が狭い発光性組成物を提供することを課題とする。
前記課題の解決のために鋭意研究の結果、特定の二座配位子を有するEu錯体及びSm錯体が、800〜1300nmの波長領域で三光子を吸収し励起され、発光することを見いだした。さらに、該錯体を1種又は2種以上含む発光性組成物は発光ピークがシャープでバイオイメージングに適していることがわかった。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
(1)式(1)
(式中、
n1は0〜3の整数を表し、
n2は2〜5の整数を表し、
n3は0〜3の整数を表し、
Lは、同一でも異なっていてもよく、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(dpp)、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(ntfa)、1,10−フェナントロリン(phen)から選択される二座配位子を表し、
Xは、Cl、Br又はIを表し、
Mはユウロピウム(Eu)又はサマリウム(Sm)を表す。)
で表される1種又は2種以上の錯体を含み、三光子励起により発光することを特徴とする発光性組成物。
(2)式(1)で表される錯体が、以下の錯体であることを特徴とする上記(1)記載の発光性組成物。
(3)800〜1300nmの波長領域で三光子吸収を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の発光性組成物。
(4)600〜900nmの波長領域の光を発光することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の発光性組成物。
(5)発光ピークのバンド幅が、1〜20nmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発光性組成物。
(6)発光プローブとして用いるための上記(1)〜(5)のいずれかに記載の発光性組成物。
(7)バイオイメージングに用いるための上記(1)〜(5)のいずれかに記載の発光性組成物。
本発明の発光性組成物は、800〜1300nmの波長領域で三光子を吸収し励起され、発光ピークのバンド幅が狭く、発光ピークがシャープであるため、発光プローブとして使用でき、細胞、組織、器官及び個体といった生体のバイオイメージングができる。特に、生体深部の三次元マルチカラーイメージングが可能となる。
Eu(hfa)(HO)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Eu(ntfa)(HO)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Eu(phen)Cl(HO)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Eu(dpp)(HO)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Sm(hfa)(HO)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Eu(hfa)(phen)の一光子吸収スペクトルを示す図である。 Eu(hfa)(HO)における、入射光強度と発光強度の比例関係を示す図である。 Eu(ntfa)(HO)における、入射光強度と発光強度の比例関係を示す図である。 Eu(hfa)(HO)及びEu(ntfa)(HO)の三光子励起による発光スペクトルを示す図である。 Eu(phen)Cl(HO)の三光子励起による発光スペクトルを示す図である。 Eu(dpp)(HO)の三光子励起による発光スペクトルを示す図である。 Sm(hfa)(HO)の三光子励起による発光スペクトルを示す図である。 Eu(hfa)(phen)の三光子励起による発光スペクトルを示す図である。
(発光性組成物)
本発明の発光性組成物は、以下の式(1)で表される1種又は2種以上の錯体を含み、三光子励起により発光する。
式(1)
(式中、
n1は0〜3の整数を表し、
n2は2〜5の整数を表し、
n3は0〜3の整数を表し、
Lは、同一でも異なっていてもよく、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(dpp)、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(ntfa)、1,10−フェナントロリン(phen)から選択される二座配位子を表し、
Xは、Cl、Br又はIを表し、
Mはユウロピウム(Eu)又はサマリウム(Sm)を表す。)
さらに、式(1)で表される錯体としては、三光子を吸収し、発光する錯体であれば、特に制限されるものではないが、好ましい錯体として、具体的に以下の錯体が挙げられる。
前記式(1)で表される錯体は、そのまま発光性組成物として用いてもよいが、必要に応じて、試薬の調製に通常用いられる添加剤を配合して用いてもよい。例えば、生理的環境で試薬を用いるための添加剤として、溶解補助剤、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤等の添加剤を用いることができ、これらの配合量は当業者に適宜選択可能である。これらの組成物は、一般的には、粉末形態の混合物、凍結乾燥物、顆粒剤、錠剤、液剤等適宜の形態の組成物として提供される。また、本発明の発光性組成物は、発光プローブとして用いることができ、使用場面に合わせて上記(1)で表される錯体の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明における三光子励起とは、光を光子として考えたとき、3つの光子を同時に吸収することによってエネルギー状態が励起されることをいう。また、三光子励起であることは、入射光の強度の三乗が発光強度に比例していることにより確認される。
本発明の発光性組成物に照射される励起光は、当該組成物が三光子吸収によって励起される波長であれば特に制限されるものではないが、生体への透過性を考慮し、800〜1300nmがより好ましい。特に800nmより長波長であり、1100nm以下であることが好ましい。
本発明の発光性組成物より発せられる光の波長は、C9920-03G(Hamamatsu Photonics. K. K.)等の光検出器により検出可能の波長領域であれば特に制限されるものではないが、発光性組成物を生体深部の観察に用いる観点から、生体を通過しやすい光波長である600〜900nmが好ましい。
本発明の発光性組成物より発せられる発光ピークのバンド幅は、発光性組成物をバイオイメージング、特にマルチカラーイメージングに用いる観点から、1〜20nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。バンド幅とは、二等辺三角形状の発光ピーク(波長分布)の半値全幅を指す。
(錯体の調製)
本発明における式(1)で表される錯体は市販品を用いてもよいが、適当な配位子を有する希土類金属錯体から誘導し調製することもできる。例えば、式(1)で表される錯体は、市販の酢酸ユウロピウム[Eu(OCOCH]、酢酸サマリウム[Sm(OCOCH]、塩化ユウロピウム(EuCl)等と、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(dpp)、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(ntfa)、1,10−フェナントロリン(phen)から選択される二座配位子とを混合し、溶媒の存在下又は非存在下、加熱又は非加熱条件下で配位子置換反応を行うことによって調製することができる。
前記の配位子置換反応における反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、水等が挙げられる。これら反応溶媒は、それぞれ単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。溶媒の使用量は、特に限定されないが、配位子置換される前の適当な配位子を有する希土類金属錯体が、0.01〜0.5(mol/L)の濃度になる範囲から適宜選択される。
前記の反応時の温度は、通常0〜200℃、好ましくは20〜130℃であるが、使用する溶媒の沸点によって適宜選択される。反応は空気雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウム、窒素ガス等が挙げられる。
前記反応が終了後、反応溶液を必要に応じて濃縮し、析出した結晶をそのまま、洗浄、あるいは、適宜な後処理を行うことにより、式(1)で表される錯体を得ることができる。後処理の具体的な方法としては、抽出、晶出、再結晶、クロマトグラフィー等の公知の精製を挙げることができる。
前記反応により得られた錯体は、H及び13CNMR測定、IR測定、並びに質量分析(MS)、吸収スペクトル、発光スペクトル等の各種分光学的手法によりその構造を確認することができる。
(バイオイメージング)
本発明の発光性組成物は、発光プローブとして、生体物質を構成する生体分子の動的現象を可視化する手段、すなわち、バイオイメージングに用いることができる。すなわち、標的物質を有する生細胞もしくは生体に本発明の発光性組成物を添加することで、標的物質と発光性組成物に含まれる錯体とが結合し、該結合体に所定の波長の励起光を照射し、当該励起光に応じて式(1)で表される錯体から発生する所定の波長の発光を検出することにより、上記標的物質の動態イメージングを行うことができる。このようなバイオイメージングは、インビトロ又は非ヒト動物おいて行うことができる。
本発明の発光性組成物を、標的物質を有する生細胞もしくは生体に添加するとき、水やジメチルスルホキシドといった溶媒や緩衝液に溶解してもよい。
前記標的物質としては、核、小胞体、ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ミトコンドリア、葉緑体、ペルオキシソーム、細胞膜及び細胞壁等に存在する核酸、タンパク質及びリン脂質等が挙げられる。標的物質と発光性組成物に含まれる錯体との結合としては、具体的に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、ファンデルワールス結合等が挙げられる。
生体の深部のイメージを得ることを目的とするとき、前記結合体に照射する励起光の波長は、生体への透過性が良い800〜1300nmが好ましい。励起光の光源としては、市販の光源を用いればよい。また、三次元的なイメージを得ることを目的とするとき、光に曝す方法は、800〜1300nmの波長領域の励起光をレンズ等で集光し焦点の位置を走査することにより行われる。
本発明の発光性組成物は、特に生体の深部にまで届く800〜1300nmの波長領域で三光子を吸収し励起され発光し、さらにその発光ピークのバンド幅が1〜20nmと狭く、発光がシャープである。そのため、2種以上の錯体を含む発光性組成物を用いた場合、それぞれの錯体から発せられる発光の波長は重なりにくく、発光を別個に検出できるため、生体深部の三次元マルチカラーイメージングを可能にする。
以下に、実施例において本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらに限定されるものではない。
実施例1.Eu(hfa)(HO)の合成
酢酸ユウロピウム(1mmol)を水(10mL)中に、0℃で溶解させた。そこに、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa、3mmol)をメタノール(10mL)に溶解させた溶液を滴下し、0℃で3時間撹拌した。析出した錯体を濾過してメタノールで数回洗浄し、Eu(hfa)(HO)を0.4g得た。得られたEu(hfa)(HO)HNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているEu(hfa)(HO)のスペクトルと一致した。
実施例2.Eu(ntfa)(HO)の合成
酢酸ユウロピウム(6mmol)と4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(ntfa、18mmol)をエタノール(50mL)中に、溶解させた。反応溶液に25%アンモニア水を滴下し溶液を中性にすると、白色の沈殿物が生じた。その後3時間撹拌した。溶媒を除去した後クロロホルム(40mL)を加えると錯体が析出した。析出した錯体を濾過してクロロホルムおよび蒸留水で数回洗浄し、Eu(ntfa)(HO)を1.81g得た。得られたEu(ntfa)(HO)HNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているEu(ntfa)(HO)のスペクトルと一致した。
実施例3.Eu(phen)Cl(HO)の合成
塩化ユウロピウム(1mmol)と1,10−フェナントロリン(phen、2mmol)をエタノール(5mL)中、室温で5分間撹拌した。析出した錯体を濾過してエタノールで数回洗浄し、Eu(phen)Cl(HO)を0.6g得た。得られたEu(phen)Cl(HO)HNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているEu(phen)Cl(HO)のスペクトルと一致した。
実施例4.Eu(dpp)(HO)の合成
酢酸ユウロピウム(2.5mmol)と1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(6.7mmol)を水/エタノール混合溶媒(混合比1:3、25mL)中、120℃で4日間還流した。析出した錯体を濾過して、クロロホルム、メタノール、水及びアセトンそれぞれで数回ずつ洗浄し、Eu(dpp)(HO)を50mg得た。得られたEu(dpp)(HO)HNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているEu(dpp)(HO)のスペクトルと一致した。
実施例5.Sm(hfa)(HO)の合成
酢酸サマリウム(1mmol)と1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(3mmol)を水(50mL)中、0℃で4時間撹拌した。析出した錯体を濾過して水で数回洗浄し、Sm(hfa)(HO)を0.16g得た。得られたSm(hfa)(HO)HNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているSm(hfa)(HO)のスペクトルと一致した。
実施例6.Eu(hfa)(phen)の合成
Eu(hfa)(HO)(1mmol)と配位子である1,10−フェナントロリン(phen、2mmol)をアセトニトリル(50mL)中、0℃で2時間撹拌した。その後反応溶液をエバポレーターで濃縮したのち、ヘキサンを過剰に加えることで錯体を析出させた。析出した錯体を濾過してトルエンで数回洗浄し、Eu(hfa)(phen)を0.32g得た。得られたEu(hfa)(phen)のHNMRスペクトル、13CNMRスペクトル、一光子吸収スペクトル及び発光スペクトルは、文献で報告されているEu(hfa)(phen)のスペクトルと一致した。
実施例7.一光子吸収スペクトルの測定
一光子吸収スペクトルは、V-670-UV-VIS-NIR spectrophotometer(Jasco Co.)を用いて測定した。実施例1〜6で合成した錯体のそれぞれの一光子吸収スペクトルを、図1〜図6に示す。
実施例8.三光子励起による発光強度の測定
Eu(hfa)(HO)(実施例1)に890nm、Eu(ntfa)(HO)(実施例2)に1050nmの励起波長で入射光の強度を変化させたところ、その発光強度は入射光強度の三乗に比例した(図7及び図8)。したがって、Eu(hfa)(HO)及びEu(ntfa)(HO)の上記の励起波長での発光は、三光子励起過程によるものであると確認された。また、入射光強度に対する発光強度の三乗依存性は、実施例3〜実施例6の錯体でも見られており、いずれの実施例においても三光子励起発光を示すことを確認している。
実施例9.三光子励起による発光スペクトルの測定
三光子励起発光スペクトルは、液体窒素冷却CCD(米国、プリンストンインスツルメンツ社)を用いて測定した。濃度が10−4〜5mol/Lとなるように調整した試料を用いて測定した。実施例1〜6で合成した錯体のそれぞれの三光子励起による発光スペクトルを図9〜図13に示す。なお、それぞれの錯体に照射した励起波長は、Eu(hfa)(HO)(実施例1)が890nm、Eu(ntfa)(HO)(実施例2)が1050nm、Eu(phen)Cl(HO)(実施例3)が850nm、Eu(dpp)(HO)(実施例4)が840nm、Sm(hfa)(HO)(実施例5)が910nm、Eu(hfa)(phen)(実施例6)が850nmであった。図9〜図13に示した通り、一光子吸収帯のおおよそ三倍の波長で励起することで、中心の希土類金属由来の発光が確認された。
本発明の発光性組成物は、800〜1300nmの長波長領域で三光子吸収し、励起され発光する。標的物質を有する生細胞もしくは生体に投与して、それらのバイオイメージングができる。また、発光ピークのバンド幅が狭く、様々な発光波長をもつ錯体を組み合わせて用いたとき、発光波長が重なり合うことがないためマルチカラーイメージングも可能である。さらに、上記の発光性組成物は、800〜1300nmの波長領域の生体深部まで届く光によっても励起させることができるため、生体深部の三次元マルチカラーイメージングが可能である。

Claims (6)

  1. 式(1)
    (式中、
    n1は0〜3の整数を表し、
    n2は2〜5の整数を表し、
    n3は0〜3の整数を表し、
    Lは、同一でも異なっていてもよく、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(dpp)、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(ntfa)、1,10−フェナントロリン(phen)から選択される二座配位子を表し、
    Xは、Cl、Br又はIを表し、
    Mはユウロピウム(Eu)又はサマリウム(Sm)を表す。)
    で表される1種又は2種以上の錯体800〜1300nmの波長領域で照射して三光子励起により発光させることを特徴とする発光方法
  2. 式(1)で表される錯体が、以下の錯体であることを特徴とする請求項1記載の発光方法
  3. 600〜900nmの波長領域で発光することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光方法
  4. 発光ピークのバンド幅が、1〜20nmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発光方法
  5. 発光プローブとして用いるための請求項1〜のいずれかに記載の発光方法
  6. バイオイメージングに用いるための請求項1〜のいずれかに記載の発光方法
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