JP2017003333A - ハロゲンイオンと一重項酸素の比色分析剤及び一重項酸素検出剤 - Google Patents

ハロゲンイオンと一重項酸素の比色分析剤及び一重項酸素検出剤 Download PDF

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哲朗 真嶋
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Abstract

【課題】細胞内に容易に透過し、肉眼で一重項酸素の発生を把握することが可能な比色分析剤又は一重項酸素検出剤を提供する。
【解決手段】一般式(1):

で表わされる化合物又はその誘導体を含有する、比色分析剤又は一重項酸素検出剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲンイオンと一重項酸素の比色分析剤及び一重項酸素検出剤に関する。
一重項酸素()は、種々の不飽和結合を有する分子や電子に富んだ分子を攻撃する活性種であり、精密化学合成、ポリマーサイエンス、光線力学的療法(以下、「PDT」と言うこともある)、汚水や汚泥の処理等、種々の応用分野に利用されている。そのため、一重項酸素には注目が集まっている。
これらの応用分野のなかでも、PDTとは、ヒトや動物の疾病組織を処置する方法であって、光を照射することにより一重項酸素等の活性酸素種を発生する光増感物質を含有する光力学治療剤を、例えば静脈注射等で患者に投与した後、疾病組織に局所的に光を照射し、発生した活性酸素種により該疾病組織のみを破壊する、癌及び他の疾患を治療する方法である。
このPDTにおいては、最初に起こるプロセスとして、一重項酸素の生成、拡散及び周辺分子との反応は、PDTの細胞毒性と密接な関係があると考えられている(例えば、非特許文献1等)。実際の医療現場においても、PDTによって発生する一重項酸素の総量は、治療程度や治療効率等に直接的な影響を与えるため、画像診断と治療の融合(theragnostics)の実現、光殺菌(PDTと同じ原理で微生物等を殺菌すること)等において、一重項酸素の発生と変化を実時間に観察することは治療の現場からも要請の高い非常に重要な課題である。
そこで、一重項酸素を検出する方法として、一重項酸素自体の燐光の測定、一重項酸素との反応によって発光する蛍光プローブを使用する方法等が主に実施されてきた(例えば、非特許文献2、3等)。
A. P. Castano et al., Nat. Rev. Cancer 6, 535-545 (2006) X. Li et al., Chem. Rev. 114, 590-659 (2014) T. Majima et al., J. Am. Chem. Soc. 136, 11707-11715 (2014)
しかしながら、一重項酸素自体の燐光を測定する場合、低強度の燐光を検出する必要があるが、そのためには特殊な検出器が必要であるために現実的ではなく、その空間分解能も一細胞レベルにとどまっている。
また、蛍光プローブを使用する場合も、そのほとんどが細胞内への透過性が悪く、また自己酸化して分解することから、細胞内で発生する一重項酸素を場所選択的に検出することはできなかった。上記非特許文献3に記載の蛍光プローブはこの課題を解決し得るものであるが、薬剤の光照射に使用される光源とは別に、蛍光プローブを励起させるための光源及び高感度の検出器が必要であり、肉眼で一重項酸素の発生を把握できるには至っていない。
画像診断と治療の融合とを実現させるうえでは、肉眼で一重項酸素の発生を把握できることが好ましい。具体的には、生体内では、生物学的環境下においては塩素イオンが100mM程度存在することから、ハロゲンイオンと一重項酸素とを比色分析することができれば、一重項酸素の発生を肉眼で識別することが可能である。
したがって、細胞内に容易に透過し、肉眼で一重項酸素の発生を把握することが可能な比色分析剤又は一重項酸素検出剤を提供することを目的とする。
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、本発明者らは、特定のローダミン骨格と、特定の9−フェニルアントラセン骨格とを備える化合物群は、ハロゲンイオン存在下ではJ−会合体に自己組織化して吸収のピーク波長が長波長シフト(赤色シフト)するのに対し、一重項酸素存在下ではJ−会合体が分解して単量体となり吸収のピーク波長がJ−会合体よりも短波長シフト(青色シフト)することを見出した。つまり、生体内では、一重項酸素存在下と一重項酸素非存在下とでは色彩が異なることを見出した。本発明は、このような知見に基づきさらに研究を重ね、完成させたものである。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
[式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する、ハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤。
項2.前記一般式(1)で表わされる化合物が、一般式(1A1):
[式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2):
[式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物である、項1に記載の比色分析剤。
項3.前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を0.01〜500μmol/L含有する、項1又は2に記載の比色分析剤。
項4.一般式(1):
[式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する、一重項酸素検出剤。
項5.前記一般式(1)で表わされる化合物が、一般式(1A1):
[式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2):
[式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物である、項4に記載の一重項酸素検出剤。
項6.前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を0.01〜500μmol/L含有する、項4又は5に記載の一重項酸素検出剤。
項7.生体内に存在するハロゲンイオンと、細胞内に発生する一重項酸素とを比色分析する方法であって、
細胞の培養液と、項1〜3のいずれかに記載の比色分析剤とを含有し、且つ、前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の濃度が0.01〜1μmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程
を備える、比色分析方法。
項8.前記細胞が癌細胞又は正常細胞である、項7に記載の比色分析方法。
項9.生体内に存在するハロゲンイオンと、前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素とを場所選択的に比色分析する、項7又は8に記載の比色分析方法。
項10.細胞内に発生する一重項酸素を検出する方法であって、
細胞の培養液と、項4〜6のいずれかに記載の一重項酸素検出剤とを含有し、且つ、前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の濃度が0.01〜1μmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程
を備える、一重項酸素検出方法。
項11.前記細胞が癌細胞又は正常細胞である、項10に記載の一重項酸素検出方法。
項12.前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素を場所選択的に検出する、項10又は11に記載の一重項酸素検出方法。
項13.一般式(1):
[式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
で表わされる化合物。
項14.項1〜3のいずれかに記載の比色分析剤、項4〜6のいずれかに記載の一重項酸素検出剤、又は項13に記載の化合物を含有する細胞試験用試薬。
本発明のハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤、及び一重項酸素検出剤は、生体内(ハロゲンイオン存在下)の一重項酸素存在下においては吸収のピーク波長が一重項酸素不存在下と比較して短波長シフト(青色シフト)していることから、一重項酸素存在下と一重項酸素不存在下とでは色彩が異なる。このため、肉眼でハロゲンイオンと一重項酸素とを比色分析することが可能であるし、一重項酸素を検出することが可能である。
さらに、本発明のハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤、及び一重項酸素検出剤は、細胞内に透過しやすいとともに、ローダミン骨格が+1の正味荷電を有し、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。
(a)実施例2で得られたSiR−Anのカウンターアニオンをヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)及びテトラフェニルボレート(BPh4 -)に交換する反応を示す。(b)カウンターアニオンがBPh4 -(右側)、PF6 -(中央の2個の染み)、及びCl-(左側)であるSiR−AnのTLCの結果である。溶離液はジクロロメタン:メタノール=95: 5である。 実施例1で得られたTMR−An及び実施例2で得られたSiR−Anを、それぞれメタノールに溶解させた溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルである。(a)は実施例1、(b)は実施例2の結果である。 実施例1で得られたTMR−An、実施例2で得られたSiR−An、及び比較例1で得られたSi−Meを、それぞれメタノールに溶解させた溶液の発光減衰プロファイルである。 実施例1で得られたTMR−Anをメタノールに溶解させた溶液の吸収スペクトルと、実施例1で得られたTMR−AnをMilliQに溶解させNaCl濃度を0 mMから100 mMまで変化させた場合の吸収スペクトルの変化である。 実施例2で得られたSiR−Anをメタノールに5μM溶解させた溶液の吸収スペクトルと、実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させNaCl濃度を0 mMから100 mMまで変化させた場合の吸収スペクトルの変化である。 実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させ、NaCl濃度50 mM、NaBr濃度50 mM、又はNaI濃度50 mMとした場合の吸収スペクトルである。(a)はNaClを含ませた場合、(b)はNaBrを含ませた場合、(c)はNaIを含ませた場合、(d)は740 nm付近において、J−会合体の形成による吸収の時間変化である。 実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させ、NaCl濃度50 mM、NaPF6濃度50 mM、又はBPh4 -濃度50 mMとした場合の吸収スペクトルである。(a)はNaCl又はNaPF6を含ませた場合、(b)はNaBPh4を含ませた場合の結果である。 実施例2で得られたSiR−Anのナノ結晶を用いたX線結晶解析の結果である。 実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させ、NaCl濃度を50mMとした試料を用いた動的光散乱測定(DLS)によるSiR−AnのJ−会合体の粒径測定の結果である。 実施例2で得られたSiR−Anのサンプルの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 一重項酸素存在下でのSiR−Anの吸収スペクトル及び発光スペクトルである。 SiR−Anを用いた実験例6の生細胞イメージングの結果を示す写真である。 SiR−Anの濃度を100 nMとして、スケールバーは10μmを示す。
1.ハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤及び一重項酸素検出剤
本発明のハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤(以下、単に「本発明の比色分析剤」と言うこともある)及び本発明の一重項酸素検出剤は、一般式(1):
[式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する。
この化合物群は、ハロゲンイオン存在下では、J−会合体を形成しており、単量体と比較すると吸収のピーク波長が長波長シフト(赤色シフト)する。このため、単量体の場合とは異なる色彩を呈する。一方、ハロゲンイオン存在下であっても、一重項酸素存在下においては、J−会合体が崩れ、単量体として存在する。このため、J−会合体を形成していた時と比較すると吸収のピーク波長が短波長シフト(青色シフト)する。このため、生体内(塩素イオン等のハロゲンイオン存在下)においては、一重項酸素存在下と一重項酸素非存在下とで呈する色彩が異なる。このため、一重項酸素の発生を肉眼で判断することが可能である。なお、この化合物群は、他のアニオン存在下においては、J−会合体は形成しない。また、J−会合体を形成すると単量体と比較して吸収のピーク波長が長波長シフト(赤色シフト)して発光すること、H−会合体を形成すると単量体と比較して吸収のピーク波長が短波長シフト(青色シフト)して発光しないことは報告されている(F. Wurthner et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 50, 337及びV. Huber et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3147)。
また、本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤は、細胞内に透過しやすいとともに、ローダミン骨格が+1の正味荷電を有し、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。
なお、本明細書において、「ローダミン骨格」とは、ローダミン又はその誘導体が有する骨格のみならず、ローダミンの酸素原子(O)を他の原子で置き換えた骨格をも包含するものとする。
一般式(1)において、Yで示される周期表16族元素としては、酸素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられ、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)等の観点から、酸素原子が好ましい。
一般式(1)において、Yで示される周期表14族元素としては、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子等が挙げられ、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)等の観点から、ケイ素原子が好ましい。
上記一般式(1)において、R13〜R14(R13及びR14)で示されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)において、R13〜R14(R13及びR14)で示されるアルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基及び環状アルキル基のいずれも採用できる。
直鎖アルキル基としては、炭素数1〜6(特に1〜4)の直鎖アルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐鎖アルキル基としては、炭素数3〜6(特に3〜5)の分岐鎖アルキル基が好ましく、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。
環状アルキル基としては、炭素数3〜10(特に3〜7)の環状アルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
13〜R14(R13及びR14)で示されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)において、R13〜R14(R13及びR14)で示されるアルケニル基としては、炭素数2〜6(特に2〜4)のアルケニル基が好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
13〜R14(R13及びR14)で示されるアルケニル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)において、R13〜R14(R13及びR14)で示されるアルキニル基としては、炭素数2〜6(特に2〜4)のアルキニル基が好ましく、具体的には、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基等が挙げられる。
13〜R14(R13及びR14)で示されるアルキニル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)において、R13〜R14(R13及びR14)で示されるアリール基としては、単環アリール基及び縮環アリール基のいずれも採用することができ、例えば、フェニル基、オリゴアリール基(ナフチル基、アントリル基等)、ビフェニル基、ターフェニル基、ピレニル基、フェナンスレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
13〜R14(R13及びR14)で示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記したR13〜R14は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R13〜R14としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)において、R〜R(R、R、R及びR)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜R(R、R、R及びR)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR〜R(R、R、R及びR)は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜R(R、R、R及びR)としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
なお、上記一般式(1)においては、RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。つまり、本発明において、一般式(1)で表わされる化合物が有し得るローダミン骨格としては、例えば、
[式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
15〜R20は同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。]
等をいずれも採用できる。
上記において、R1a〜R4a(R1a、R2a、R3a及びR4a)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R1a〜R4a(R1a、R2a、R3a及びR4a)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR1a〜R4a(R1a、R2a、R3a及びR4a)は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R1a〜R4a(R1a、R2a、R3a及びR4a)としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記において、R15〜R20(R15、R16、R17、R18、R19及びR20)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R15〜R20(R15、R16、R17、R18、R19及びR20)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR15〜R20(R15、R16、R17、R18、R19及びR20)は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R15〜R20(R15、R16、R17、R18、R19及びR20)としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
このようなローダミン骨格としては、具体的には、
等が挙げられる。
上記したローダミン骨格のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、
[R1a〜R4aは前記に同じである。]
が好ましく、
がより好ましい。
上記一般式(1)において、R〜R11(R、R10及びR11)で示されるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜R11(R、R10及びR11)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR〜R11(R、R10及びR11)は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜R11(R、R10及びR11)としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)において、R12で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜R11(R、R10及びR11)で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR12としては、上記のなかでも、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、水素原子アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)において、nは0〜4の整数であり、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ等の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記一般式(1)において、hは0〜2の整数であり、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、溶解度等の観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
上記一般式(1)において、jは0〜2の整数であり、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、溶解度等の観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
上記一般式(1)において、hとjとの合計は2〜4の整数であり、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、溶解度等の観点から、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
上記のような条件を満たす一般式(1)で表わされる化合物としては、合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、会合体形成の容易さ、溶解度、一重項酸素との反応性等の観点から、一般式(1A):
[式中、R1a〜R4a、R〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物が好ましく、一般式(1A1):
[式中、R1a〜R4a、R〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2):
[式中、R1a〜R4a、R〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物がより好ましく、一般式(1A1A):
[式中、R1a〜R4a及びR12は前記に同じである。]
で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2A):
[式中、R1a〜R4a、R12〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
で表わされる化合物がさらに好ましい。
一般式(1)で表わされる化合物は、適宜の対イオン(アニオン)を有していてもよい。特に、本発明では、ハロゲンイオン存在下において、一重項酸素との比色分析及び一重項酸素の検出が可能となることから、対イオンとしては、ハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等)が好ましい。
また、一般式(1)で表わされる化合物は、水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物は、上記したように、ハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等)存在下においては、J−会合体を形成することにより吸収のピーク波長が50〜150nm程度長波長シフト(赤色シフト)している。具体的には、Yが酸素原子である場合には、単量体においては赤色を呈しているが、ハロゲンイオン存在下では青色を呈する。また、Yがケイ素原子である場合には、単量体においては青色を呈しているが、ハロゲンイオン存在下では青色が薄くなる(吸収波長が赤外領域となり見えにくくなる)。この挙動を示すのはハロゲンイオン存在下のみであって、他のカチオン存在下においてはJ−会合体を形成せず、同様の挙動を示さない。
このように、一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物は、ハロゲンイオン存在下においてはJ−会合体を形成するが、一重項酸素存在下においては、J−会合体が崩れ、単量体を形成する。このため、一重項酸素非存在下と比較すると、吸収のピーク波長が50〜150nm程度短波長シフト(青色シフト)する。具体的には、Yが酸素原子である場合には、一重項酸素非存在下においては青色を呈しているが、一重項酸素存在下においては赤色を呈する。また、Yがケイ素原子である場合には、一重項酸素非存在下においては薄い水色を呈している(吸収ピーク波長が赤外領域にあり見えにくい)が、一重項酸素存在下においては濃い青色を呈する。このように、一重項酸素存在下と一重項酸素非存在下においては、本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤が呈する色彩が異なるため、一重項酸素の発生を肉眼で確認することが可能である。
また、本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤は、細胞内に透過しやすいとともに、ローダミン骨格が+1の正味荷電を有し、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。このため、生体内に存在するハロゲンイオンとミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素の比色分析剤、ミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素検出剤として特に有用である。
本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤は、上記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有しているが、溶媒中に溶解させて溶液とすることが好ましい。合成の容易さ、一重項酸素存在下及び非存在下での吸収のピーク波長(呈する色彩の違い)、溶解度、会合体形成等の観点から、上記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の含有量は、0.01〜500μmol/Lが好ましく、1〜200μmol/Lがより好ましい。
本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤を、上記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する溶液とする場合、使用し得る溶媒としては、特に制限はなく、ハロゲンイオンを含有する溶媒が好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)等が挙げられる。
本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤は、上記のとおり、溶液の形態が好ましいが、細胞(特にミトコンドリア)中に投入する観点から、pHは3〜9程度が好ましく、6〜8程度がより好ましい。溶媒として緩衝液を使用していない場合は、本発明の比色分析剤及び一重項酸素検出剤のpHを調整するために、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)等を使用してもよい。
2.化合物の製造方法
上記一般式(1)で表わされる化合物は、特に制限されないが、例えば、
一般式(2):
[式中、Y及びR〜Rは前記に同じである。]
で表わされる化合物と、一般式(3):
[式中、R〜R12、n、m、k、h及びjは前記に同じ;Xはハロゲン原子である。]
で表わされる化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
上記一般式(2)において、Y及びR〜Rは、前記したものと同じである。つまり、一般式(2)で表わされる化合物としては、例えば、
等が挙げられる。
このような一般式(2)で表わされる化合物は、公知又は市販の化合物を用いてもよいし、合成してもよい。一般式(2)で表わされる化合物を合成する場合、例えば、Cui, J. et al., ChemMedChem, 2013, 8, 1384、Ahn, Y.-H. et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 4510、Lukinavicius, G. et al., Nat. Chem., 2013, 5, 132、Koide Y. et al., ACS Chem. Biol., 2011, 6, 600等に記載の方法にしたがって合成することができる。
上記一般式(3)において、R〜R12、n、m、k、h及びjは、前記したものと同じである。また、上記一般式(3)において、Xで示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子及び臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
つまり、一般式(3)で表わされる化合物としては、例えば、
等が挙げられる。
このような一般式(3)で表わされる化合物は、公知又は市販の化合物を用いてもよいし、合成してもよい。一般式(3)で表わされる化合物を合成する場合、例えば、Huang J. et al., J. Mater. Chem., 2011, 21, 2957等に記載の方法にしたがって合成することができる。
一般式(3)で表わされる化合物は、収率の観点から、一般式(2)で表わされる化合物よりも過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(2)で表わされる化合物の使用量は、一般式(3)で表わされる化合物1モルに対して、通常、0.02〜1モル程度が好ましく、0.03〜0.3モル程度がより好ましく、0.05〜0.2モル程度がさらに好ましい。
塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニャール反応剤等が挙げられる。収率の観点から、アルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等がより好ましく、s−ブチルリチウムがさらに好ましい。
本発明において、塩基は、一般式(2)で表わされる化合物及び一般式(3)で表わされる化合物と同時に添加してもよいが、一般式(3)で表わされる化合物と塩基とを混合した後に、得られる混合物と一般式(2)で表わされる化合物とを混合してもよい。収率の観点からは、後者が好ましい。
塩基の使用量は、収率の観点から、一般式(3)で表わされる化合物1モルに対して、通常、0.1〜10モル程度が好ましく、0.3〜3モル程度がより好ましく、0.5〜2モル程度がさらに好ましい。
本反応は、通常溶媒中で実施することができる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、無水環状エーテル類が好ましく、無水テトラヒドロフランが特に好ましい。
反応温度は特に制限されず、加熱下、常温下、冷却化のいずれでも採用できる。収率の観点から、−150〜100℃程度が好ましく、−100〜50℃程度がより好ましい。また、反応時間も特に制限されず、十分に反応を行わせることができる時間であればよいが、1〜48時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。
なお、一般式(3)で表わされる化合物と塩基とを混合した後に、得られる混合物と一般式(2)で表わされる化合物とを混合する場合には、一般式(3)で表わされる化合物と塩基とを−150〜0℃程度(特に−100〜−50℃程度)で1〜120分程度(特に30〜90分程度)反応させた後、得られた反応混合物と一般式(2)で表わされる化合物とを0〜100℃程度(特に15〜35℃程度)で1〜48時間程度(特に2〜12時間程度)反応させてもよい。
また、本反応は不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で実施することが好ましい。
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
3.比色分析方法及び一重項酸素検出方法
本発明において、生体内に存在するハロゲンイオンと、細胞内に発生する一重項酸素とを比色分析する方法(以下、単に「比色分析方法」と言うこともある)及び一重項酸素を検出する方法としては、特に制限されないが、
細胞の培養液と、本発明の比色分析剤又は本発明の一重項酸素検出剤とを含有し、且つ、前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の濃度が0.01〜1μmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程
を備えることが好ましい。
本工程においては、まず、対象となる細胞の培養液を準備する。
対象となる細胞としては、特に制限されず、癌細胞及び正常細胞のいずれも採用し得る。一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物は、ミトコンドリアを演色することが可能であることから、ミトコンドリアを有する細胞を採用することが好ましい。なかでも、PDT等の医療への有用性等の観点から、癌細胞(Hela細胞、CHO細胞)等が好ましい。これらの培養液は、常法にしたがって準備することができる。なお、細胞培養液中には、対象となる細胞をより適切に培養するため、ウシ胎児血清(FBS)を使用してもよい。また、細胞培養液のpHを6.0〜8.0程度に調整するため、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)を使用してもよい。
工程(1)において、細胞の培養液を準備する培養時間は、対象となる細胞を十分に培養できる時間であれば特に制限はないが、0.5〜72時間とすることが好ましく、0.5〜3時間とすることがより好ましい。
次に、上記の培養液に本発明の本発明の比色分析剤又は本発明の一重項酸素検出剤を添加することが好ましい。この際、本発明の比色分析剤又は本発明の一重項酸素検出剤の使用量は、得られる混合培養液中の濃度が0.01〜1μmol/L程度(特に0.1〜0.5μmol/L程度)となるように調整することが好ましい。この際、混合培養液のpHを6.0〜8.0程度に調整するため、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)を使用してもよい。
この後、上記工程で得た混合培養液に光増感剤を添加して光照射を行う工程を施すことが好ましい。この光照射により、一重項酸素を発生させ、ハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析や一重項酸素の検出が可能となる。ただし、他の方法で一重項酸素が発生する場合や、既に一重項酸素が存在する場合には、光照射を行わなくてもよい。
この際使用される光増感剤としては、特に制限はなく、プロトポルフィリンIX(5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成される;以下、「PpIX」と言うこともある)、テトラ−(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィリン(ライソゾムに局在している;以下、「TMPyP4」と言うこともある)等のいずれも採用し得る。
光増感剤の添加量は、特に制限されないが、ミトコンドリア内膜をより的確に演色し、誤った蛍光信号を与えにくくする観点から、混合培養液全体に対して50〜250μg/mLが好ましく、100〜200μg/mLがより好ましい。
光照射の波長は、特に制限されないが、生体組織への透過度と一重項酸素を発生させやすい観点から、400〜700nmが好ましく、450〜650nmがより好ましく、600〜650nmがさらに好ましい。つまり、上記の波長を有する可視光を照射することが好ましい。
また、光照射強度は、特に制限されないが、光照射により引き起こる急性細胞毒性や細胞死等を抑制する観点から、0.01〜100W/cmが好ましく、0.02〜10W/cmがより好ましく、0.03〜1W/cmがさらに好ましい。
また、光照射時間は、特に制限されないが、光照射により引き起こる急性細胞毒性や細胞死等を抑制する観点から、1秒〜60分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、10秒〜3分がさらに好ましい。
これにより、本発明の比色分析剤又は本発明の一重項酸素検出剤の色彩により、ハロゲンイオンと一重項酸素とを肉眼で比色分析することが可能であるし、一重項酸素が存在するか否かを肉眼で確認することも可能である。
5.用途
本発明の比色分析剤又は本発明の一重項酸素検出剤は、上記のとおり、ハロゲンイオンと一重項酸素とを肉眼で比色分析することが可能であるし、一重項酸素が存在するか否かを肉眼で確認することも可能である。特に、生体内のハロゲンイオンとミトコンドリアの内膜近傍で発生する一重項酸素とを場所選択的に比色分析することも可能であるし、ミトコンドリアの内膜近傍で発生する一重項酸素を場所選択的に検出することができる。これは、ミトコンドリアの直径が通常200〜400nm程度であり、水中の一重項酸素の拡散可能距離である300nm程度と同程度であることにも起因する。この仕組みを応用し、例えば、ライソゾムマーカーとして広く知られているモルホリン誘導体や特定の細胞内タンパク質を標識化できるような官能基を一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物に修飾することによって、細胞内特定小器官(ミトコンドリア等)及びタンパク質の周辺で発生する一重項酸素を光空間分解限界値(数百nm程度)に達する空間選択的に検出することが期待される。
また、実際の医療現場においても、PDTの主要な標的小器官であるミトコンドリアに正常に光増感剤が導入されていることを肉眼で確認する用途として特に有用である。
さらに、ミトコンドリアの内膜近傍で発生する一重項酸素は、上記のとおり、一重項酸素を選択的に検出することが可能であるため、細胞を用いた試験試料の皮膚等の酸化ストレス緩和作用評価、試験試料の皮膚等の抗酸化作用評価、試験試料を内服することによる一重項酸素除去性能評価等の種々の評価にも好適に使用できる。例えば、生体の皮膚に紫外線や青色光が照射されることにより、一重項酸素が発生し皮膚の状態に影響を及ぼすことが知られている。つまり、化粧品、健康食品、医療等の分野において、紫外線や青色光の皮膚への影響の評価に有効に使用できる。また、これらの評価を通して、一重項酸素を中心とした活性酸素によって引き起こされる炎症、アトピー性皮膚炎、癌等の皮膚障害、シミやシワ等の皮膚の老化等の予防及び治療に有効活用できることが期待される。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
以下の実施例に使用される全ての化学試薬及び溶媒は、Sigma-Aldrich Chemical社、東京化成工業(株)、ナカライテスク(株)及び和光純薬工業(株)から購入し、精製することなく使用した。全ての分光実験は、-20℃で暗室下にジメチルスルホキシド(DMSO)中に保管した色素を用いて行った。
1H NMR及び13C NMRスペクトルと、高分解能質量スペクトル(HRMS)は、JEOL ESC400(400 MHz)、JEOL ESA 600(150 MHz)、Bruker Avance III700(175 MHz)、及び電子スプレーイオン化(ESI)したLTQ Orbitrap XL Hybrid Ion Trap-Orbitrap Mass Spectrometerを用いて測定した。NMR化学シフト、J値及び積分値は、Delta Ver. 5 software(JEOL)を用いて算出した。電界放出走査型電子顕微鏡(SEM)は、JEOL JSM-6330-FTを用いて測定した。
分光グレードのメタノール、Ca2+及びMg2+を含まないpH 7.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、又はMilliQを溶媒として使用した。基底状態の吸収スペクトル及び発光スペクトルは、それぞれShimadzu UV-3100及びHoriba FluoroMax-4を用いて測定した。得られた会合体の粒径は、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子(株))を用いて行った。
[細胞及び細胞培養]
HeLa細胞は、理研BRCの西教授から得た。特に表記していない限り、本発明で行った細胞実験は、HeLa細胞を用いて行った。HeLa細胞を、5 %CO2下の加湿インキュベーター中、37℃で、10 %ウシ胎児血清(10099-141、Gibco)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(D6429、Sigma)中で培養した。
[合成例1:3,6-ジメチルアミノキサントン]
3,6-ジメチルアミノキサントン(化合物4)を、既報(Cui, J. et al., ChemMedChem, 2013, 8, 1384、及びAhn, Y.-H. et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 4510)に記載された方法にしたがって合成した。
[合成例2:Si−キサントン]
Si−キサントン(Si-xanthone)を、既報(Lukinavicius, G. et al., Nat. Chem., 2013, 5, 132、及びKoide Y. et al., ACS Chem. Biol., 2011, 6, 600)に記載された方法にしたがって合成した。
[合成例3:9-(4-ブロモフェニル)アントラセン]
9-(4-ブロモフェニル)アントラセン(化合物7)を、既報(Huang J. et al., J. Mater. Chem., 2011, 21, 2957)に記載された方法にしたがって合成した。
[実施例1:TMR−An]
乾燥したフラスコをアルゴンで洗浄し、合成例3で得た9-(4-ブロモフェニル)アントラセン(化合物7; 330 mg, 1 mmol)及び無水THF(10 mL)を添加し、溶液を得た。溶液を-78℃に冷却し、sec-ブチルリチウム(1.4 Mのシクロヘキサン溶液, 1 mmol, 0.72 mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。同じ温度にて、合成例1で得た3,6-ジメチルアミノキサントン(化合物4; 0.062 mmol)を無水THF(10 mL)に溶解させ、混合物を室温まで昇温し、アルゴンを除去しながら一晩中撹拌した。この溶液に溶液の色が黄色から青色に変化するまで2 N HClを添加して反応をクエンチし、混合物を室温で10分間攪拌した。この溶液に飽和NaHCO3を添加し、混合物をCH2Cl2で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥して蒸発させた。得られた残渣を勾配カラムクロマトグラフィー(シリカゲル, CH2Cl2: メタノール= 20: 1〜2: 1)及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(溶離液: CHCl3)で2回精製し、目的物であるTMR−Anをダークピンク色固体として得た(15 %)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 3.40 (s, 12H), 7.10 (d, 2H, J = 2.3 Hz), 7.28 (dd, 2H, J = 2.9, 9.6 Hz), 7.48-7.58 (m, 4H), 7.74 (d, 2H, J = 9.6 Hz), 7.76-7.81 (m, 6H), 8.18 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 8.68 (s, 1H). 13C NMR (175 MHz, CD3OD) δ: 39.53, 96.23, 113.29, 114.31, 124.93, 125.56, 125.73, 126.99, 128.32, 129.70, 129.90, 131.45, 131.47, 131.51, 135.12, 141.20, 157.60, 158.00. HRMS (ESI) = m/z calculated for C37H31N2O 519.2531; found 519.2530。
[実施例2:SiR−An]
合成例1で得た3,6-ジメチルアミノキサントン(化合物4)の代わりに、合成例2で得たSi−キサントン(Si-xanthone)を使用すること以外は実施例1と同様に、SiR−Anを青色固体として得た(37 %)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 0.65 (s, 6H), 3.39 (s, 12H), 6.96 (dd, 2H, J = 9.9, 2.8 Hz), 7.41 (d, 2H, J = 2.8 Hz), 7.41-7.54 (m, 8H), 7.62 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 8.13 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 8.62 (s, 1H). 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ: 0.00, 40.98, 115.22, 122.32, 126.38, 126.96, 127.28, 128.30, 129.13, 129.78, 130.82, 131.42, 132.27, 132.78, 132.97, 136.92, 140.03, 140.84, 143.31, 149.71, 155.80, 170.81. HRMS (ESI) = m/z calculated for C35H37N2Si 561.2721; found 561.2720。
[比較例1:Si−Me]
2-メチルベンゼンで置換したケイ素ローダミン(Si−Me)は、Koide, Y. et al., ACS Chem. Biol. 2011, 6, 600に記載された方法にしたがって合成した。
[実施例3:カウンターアニオンの交換]
処理前には、合成プロセス中に使用するブラインに由来する塩化物イオンが実施例2で得られたSiR−Anのカウンターアニオンである。実施例2で得られたSiR−Anのカウンターアニオンをより嵩高いアニオンへの交換は、ローダミンBのオクタデシルエステルについて報告された方法(Reisch, A. et al., Nat. Commun. 2014, 5, 4089)に従って行った(図1a)。実施例2で得られたSiR−An(1 mg, 1.8μmol)をアセトニトリル(0.2 mL)に溶解させ、この溶液を50当量のテトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaBPh4)又はナトリウムヘキサフルオロホスフェート(NaPF6)を含むアセトニトリル溶液(0.8 mL)に添加した。磁気撹拌しながら、過剰な塩を含む溶液を一晩暗室下に保持した。次に、減圧蒸発させた後、過剰な塩を除去するために水で抽出することで青色の固体を得た。カウンターアニオンがCl-からBPh4 -又はPF6 -に交換したことを、薄層クロマトグラフィー(TLC)の異なるRf(図1b)、1H NMRスペクトル(特にNaBPh4の場合)等により確認した。TLCのRfからは、カウンターアニオンの交換は、ほとんど100 %の収率で達成された。
[実験例1:吸収スペクトル及び発光スペクトル]
実施例1で得られたTMR−An及び実施例2で得られたSiR−Anを、それぞれメタノールに溶解させた溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図2に示す。なお、TMR−An及びSiR−Anの濃度は5μMである。また、図2aは実施例1、図2bは実施例2の結果である。いずれも黒線は吸収スペクトル、赤線は発光スペクトルである。その結果、実施例1で得られたTMR−An(単量体)の吸収ピーク波長は551 nmであり、実施例2で得られたSiR−An(単量体)の吸収ピーク波長は648 nmであることが理解できる。
次に、実施例1で得られたTMR−An、実施例2で得られたSiR−An、及び比較例1で得られたSi−Meを、それぞれメタノールに溶解させた溶液の発光減衰プロファイルを図3に示す。なお、TMR−An、SiR−An及びSi−Meの濃度は500 nMであり、光照射は485 nmの波長の光(TMR−An)及び640 nmの波長の光(SiR−An及びSi−Me)を用いて約0.15μWの強度で行った。赤線は実施例1、青線は実施例2、黒線は比較例1の結果である。その結果、TMR−An及びSiR−Anは、Si−Meと比較して発光の減衰が早いことが理解できる。
次に、測定された実施例1で得られたTMR−An、実施例2で得られたSiR−An、及び比較例1で得られたSi−Meの光学特性を以下の表1に示す。表1には、ローダミンBの光学特性も示す。
上記表1の結果から、実施例1で得られたTMR−Anは緑〜橙領域に吸収ピーク波長を有し、実施例2で得られたSiR−Anは近赤外領域に吸収ピーク波長を有している。しかしながら、実施例1で得られたTMR−An及び実施例2で得られたSiR−Anは、比較例1と比較すると、発光寿命が短かった。この結果は、上記図1〜3の結果とも一致している。
次に、実施例1で得られたTMR−Anをメタノールに5μM溶解させた溶液の吸収スペクトルと、実施例1で得られたTMR−AnをMilliQに5μM溶解させNaCl濃度を0 mMから100 mMまで変化させた場合の吸収スペクトルの変化とを図4に示す。黒線はTMR−Anをメタノールに溶解させた溶液の吸収スペクトル、緑線はTMR−AnをMilliQに溶解させた溶液(NaCl濃度0 mM)の吸収スペクトル、赤線はTMR−AnをMilliQに溶解させた溶液(NaCl濃度100 mM)の吸収スペクトルである。また、Mは単量体を意味し、JはJ−会合体を意味する。
また、実施例2で得られたSiR−Anをメタノールに5μM溶解させた溶液の吸収スペクトルと、実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させNaCl濃度を0 mMから100 mMまで変化させた場合の吸収スペクトルの変化とを図5に示す。黒線はSiR−Anをメタノールに溶解させた溶液の吸収スペクトル、点線はSiR−AnをMilliQに溶解させた溶液(NaCl濃度0 mM)の吸収スペクトル、赤線はSiR−AnをMilliQに溶解させた溶液(NaCl濃度100 mM)の吸収スペクトルである。また、Mは単量体を意味し、HはH−会合体を意味し、JはJ−会合体を意味する。
ローダミン誘導体は、水溶液中では、通常、H−会合体を形成する(S. Kim et al., J. Am. Chem. Soc., 2014, 136, 11707、G. Lukinavicius et al., Nat. Chem., 2013, 5, 132、B. Z. Packard et al., J. Phys. Chem. B, 1997, 101, 5070等)。それにもかかわらず、TMR−An及びSiR−Anは、ハロゲンイオンである塩化物イオン存在下では、予想外にもJ−会合体を形成していた。特に、TMR−Anの吸収ピーク波長は、Cl-濃度を0 mMから100 mMに増加させることで、約55 nm長波長シフト(赤色シフト)したため、TMR−Anの色彩は、Cl-濃度の増加とともに赤色から青色にシフトした(メタノール溶液では赤色、MilliQ溶液(Cl-濃度0 mM)ではやや濃い青色、PBS溶液(Cl-濃度110 mM)ではやや薄い青色であった)。一方、SiR−Anの吸収ピーク波長は、Cl-濃度を0 mMから100 mMに増加させることで、約100 nm長波長シフト(赤色シフト)したため、SiR−Anの色彩は、Cl-濃度の増加とともに青色から薄い水色にシフトした(メタノール溶液では濃い青色、MilliQ溶液(Cl-濃度0 mM)では青色、PBS溶液(Cl-濃度110 mM)では薄い水色であった)。溶液作製から7日保持したところ、TMR−AnのPBS溶液及びSiR−AnのPBS溶液のみに、青い凝集物が認められたことから、ハロゲンイオンの存在により、J−会合体の凝集がさらに進行して粒径が大きくなることが示唆された。一方、TMR−AnのMilliQ溶液の色彩は、作製直後はやや濃い青色であったが、7日保持することにより薄いピンク色を呈するようになったことから、ハロゲンイオン不存在下では、J−会合体が崩れ、単量体に戻ることが示唆された。
さらに、実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させ、NaCl濃度50mM、NaBr濃度50mM、又はNaI濃度50mMとした場合の吸収スペクトルを図6に示す。図6aはNaClを含ませた場合、図6bはNaBrを含ませた場合、図6cはNaIを含ませた場合、図6dは740 nm付近において、J−会合体の形成による吸収の時間変化である。この結果、NaClを含ませた場合のみならず、NaBr及びNaIを含ませた場合にも、時間の経過とともに740 nm付近のピーク強度が増大しており、J−会合体が形成されていることが示唆されている。また、J−会合体を形成する速度は、NaBr、NaCl、NaIの順に早いことが理解できる。このため、ハロゲンイオン存在下であればJ−会合体を形成できるとともに、臭化物イオンがJ−会合体の形成に最も適している。
同様の試験を、カウンターアニオンをヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)及びテトラフェニルボレート(BPh4 -)に交換した場合について行った。結果を図7に示す。図7aはNaPF6濃度50 mMの場合の結果、図7bはNa BPh4濃度50 mMの場合の結果である。図7aには、参考のため、NaCl濃度が50 mMの場合も示す。カウンターアニオンがハロゲンイオン以外の場合には、J−会合体が形成されないことが示唆されている。
[実験例2:X線結晶解析]
実施例2で得られたSiR−Anのメタノール溶液をゆっくりと蒸留し、SiR−Anのナノ結晶を得た。得られたナノ結晶を用いて、X線結晶解析を行った。結果を図7に示す。この結果、実施例2で得られたSiR−AnがJ−会合体を形成することが示唆される。他の類似化合物ではH−会合体しか形成しないのに対し、本発明ではJ−会合体を形成することは、TMR−An及びSiR−Anにおいて、Siローダミン骨格とアントラセン骨格とをつなぐフェニレン基に依拠していると考えられる。
[実験例3:粒径]
実施例2で得られたSiR−AnをMilliQに5μM溶解させ、NaCl濃度を50mMとした。この試料を用いて、動的光散乱測定(DLS)により、SiR−AnのJ−会合体の粒径を測定した。結果を図9に示す。図9aは、NaClを添加してから13分経過後、30分経過後、60分経過後、2.5時間経過後の粒径分布を示す。図9bは、2個の粒径ピークの時間変化を示す。
その結果、いずれの試料においても、SiR−AnのJ−会合体には2個の粒径分布が見られた。そのうち一つは200〜600 nm程度のJ−会合体であり、もう一つは時間の経過とともに2〜18μm程度まで大きくなっていた。
NaClを添加する前又はNaClを添加した直後には、SiR−AnのJ−会合体の大きさを検出することはできなかった。このため、SiR−AnのH−会合体の大きさはDLSの検出限界(1〜3 nm程度)未満であることが示唆される。
[実験例4:電子顕微鏡観察]
実施例2で得られたSiR−Anのメタノール溶液を一晩蒸留して濃縮してサンプルを得た。このサンプルについて、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。結果を図10に示す。下図は、中図の円で囲った箇所の拡大図である。
[実験例5:一重項酸素存在下における吸収スペクトル及び発光スペクトル]
実施例2で得られたSiR−Anは、一重項酸素存在下では、以下の反応式:
にしたがって反応が進行し、アントラセン骨格が解裂することでJ−会合体が崩れて単量体となることが期待される。つまり、一重項酸素非存在下ではJ−会合体を形成し、一重項酸素存在下では単量体を形成することから、呈する色彩が異なることが期待される。このため、メタノール及びPBSの混合溶液(メタノール:PBS=20: 80 (vol%))の中でTMPyP4とともに、インキュベートしたSiR−Anの蛍光スペクトル及び発光スペクトルについて、経時変化を図11に示す。なお、SiR−Anの濃度は5μM、TMPyP4の濃度は10μMであり、光照射は、510〜550 nmの波長の光を用いて、0.07 W/cm2の強度で、一重項酸素を発生させるために磁気攪拌しながら行った。この結果、740 nm付近のピーク強度が低下するとともに、640 nm付近のピーク強度が向上した。このため、上記の反応にしたがってアントラセン骨格が崩れ、単量体を形成していることが示唆されている。また、J−会合体が崩れるのにともない、発光強度も向上した。つまり、一重項酸素非存在下と一重項酸素存在下とでは、色彩が異なるとともに発光度合いも異なることから、一重項酸素存在を検出することが可能である。
[実験例6:生細胞イメージング]
実施例2で得たSiR−Anの光照射時の蛍光増加をモニターするために、オリンパスIX81倒立蛍光顕微鏡及び640 nmのCWレーザー(コヒーレント)を使用した。ガラス底(ibidi)を有する35 mmのμ−ディッシュにHela細胞を投入し、油浸対物(オリンパス、PlanApo 100x/1.40オイル)を介して励起した。発光像を収集し、ダイクロイックビームスプリッタ(セムロック、DI02-R635)及びバンドパスフィルタ(クロマ、HQ690/70)を介して、EMCCDカメラ(ローパーサイエンティフィック、Evolve 512)によって記録した。データ収集中、インキュベーター(37℃、5 %CO2)を、Chamlide TC(生細胞計測器)を用いて同じ雰囲気を維持した。擬似蛍光画像は、OriginPro 9.1(OriginLab)及びImage Jを用いて得た動画ファイルを再処理して得た。
この結果、SiR−Anはミトコンドリアに選択的に局在できることが示唆された。結果を図12に示す。

Claims (14)

  1. 一般式(1):
    [式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
    〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
    〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
    で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する、ハロゲンイオンと一重項酸素との比色分析剤。
  2. 前記一般式(1)で表わされる化合物が、一般式(1A1):
    [式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
    で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2):
    [式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
    で表わされる化合物である、請求項1に記載の比色分析剤。
  3. 前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を0.01〜500μmol/L含有する、請求項1又は2に記載の比色分析剤。
  4. 一般式(1):
    [式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
    〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
    〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
    で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を含有する、一重項酸素検出剤。
  5. 前記一般式(1)で表わされる化合物が、一般式(1A1):
    [式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    〜R12、n、m及びkは前記に同じである。]
    で表わされる化合物、及び/又は一般式(1A2):
    [式中、R1a〜R4aは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    〜R14、n、m及びkは前記に同じである。]
    で表わされる化合物である、請求項4に記載の一重項酸素検出剤。
  6. 前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物を0.01〜500μmol/L含有する、請求項4又は5に記載の一重項酸素検出剤。
  7. 生体内に存在するハロゲンイオンと、細胞内に発生する一重項酸素とを比色分析する方法であって、
    細胞の培養液と、請求項1〜3のいずれかに記載の比色分析剤とを含有し、且つ、前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の濃度が0.01〜1μmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程
    を備える、比色分析方法。
  8. 前記細胞が癌細胞又は正常細胞である、請求項7に記載の比色分析方法。
  9. 生体内に存在するハロゲンイオンと、前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素とを場所選択的に比色分析する、請求項7又は8に記載の比色分析方法。
  10. 細胞内に発生する一重項酸素を検出する方法であって、
    細胞の培養液と、請求項4〜6のいずれかに記載の一重項酸素検出剤とを含有し、且つ、前記一般式(1)で表わされる化合物、又はその水和物若しくは溶媒和物の濃度が0.01〜1μmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程
    を備える、一重項酸素検出方法。
  11. 前記細胞が癌細胞又は正常細胞である、請求項10に記載の一重項酸素検出方法。
  12. 前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素を場所選択的に検出する、請求項10又は11に記載の一重項酸素検出方法。
  13. 一般式(1):
    [式中、Yは周期表16族元素、又は−ZR1314(Zは周期表14族元素;R13及びR14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基)で示される基を示す。
    〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R〜Rは水素原子を示す。RとR、RとR、RとR、RとRは結合して環を形成してもよい。
    〜R11は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
    nは0〜4の整数を示し、m及びkは同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数を示し、h及びjは同じか又は異なり、それぞれ0〜2の整数を示す。ただし、hとjの合計は2〜4の整数である。]
    で表わされる化合物。
  14. 請求項1〜3のいずれかに記載の比色分析剤、請求項4〜6のいずれかに記載の一重項酸素検出剤、又は請求項13に記載の化合物を含有する細胞試験用試薬。
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