以下、図面を用いて実施例を説明する。図1は、この発明に適用されるハイブリッド車両(以下、「車両」と称す)に使用される駆動装置10の一例をブロック図で概念的に示す。図1に示すように、駆動装置10は、エンジン11、第1モータ(MG(Motor Generator)1)12、第2モータ(MG2)13、第1遊星歯車機構(PL(planet)1)14、第2遊星歯車機構(PL2)15、出力部材(OUT)16、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、PCU(Power Control Unit)19、油圧コントローラ20およびECU(Electronic Control Unit)21を備える。なお、車両としては、外部電源により充電可能なプラグインハイブリッド車両でもよい。エンジン11は、内燃機関の一例である。内燃機関としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により駆動力を出力するものを含む。第1モータ12は、発電機能のあるモータ・ジェネレータにより構成される。駆動装置10は、第1モータ12が発電した電力を使用して第2モータ13を駆動し、第2モータ13が出力する駆動力を走行のための駆動力に加えるように構成される。第2モータ13は、発電機能のあるモータ・ジェネレータにより構成される。
第1遊星歯車機構14は、エンジン11から出力された駆動力が入力される第1入力要素22、第1モータ12に連結されている第1反力要素23および第1出力要素24により差動作用を行う。第2遊星歯車機構15は、第1出力要素24に連結された第2入力要素26、出力部材16に連結された第2出力要素27および第2反力要素28により差動作用を行う。第1クラッチ機構CL1は、第1入力要素22と第2反力要素28とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は、第2入力要素26、第2反力要素28および第2出力要素27のうちのいずれか2つの要素を選択的に連結する。第1クラッチ機構CL1は第1係合機構の一例であり、第2クラッチ機構CL2は第2係合機構の一例である。
第1クラッチ機構CL1は、例えば湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ機構であってよく、あるいはドグクラッチなどの噛合い式のクラッチ機構であってよい。第1クラッチ機構CL1は、例えば油圧によって制御されて係合あるいは解放する。第2クラッチ機構CL2は、第1クラッチ機構CL1の構成と同じまたは同様になっている。油圧コントローラ20は、ECU21から出力された指令値に応じて第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2に対する油圧の供給を個別に制御する。ECU21は、エンジン11の運転を制御するエンジン_ECU(ENG_ECU)33を接続しており、エンジン_ECU33、PCU19および油圧コントローラ20を統括的に制御する。
PCU19は、MG_ECU30、電源部31およびバッテリ32を備える。電源部31およびバッテリ32は、第1モータ12および第2モータ13に接続されている。電源部31は、バッテリ32の蓄電電圧および入出力電流に基づいてバッテリ32の充電状態(残容量:SOC(State Of Charge))を算出し、その算出されたSOCをMG_ECU30およびPUC19を介してECU21に出力する。バッテリ32の電圧および入出力電流は、それぞれ図示していない電圧センサおよび電流センサによって検出される。なお、バッテリ32の電圧および入出力電流の検出値をバッテリ32からECU21へ出力し、ECU21においてSOCを算出してもよい。バッテリ32は、蓄電部の一例である。
ECU21には、例えば駆動軸の回転速度を検出する車速センサ34が送出する車速情報、シフトレバーに備えられたポジションスイッチ35が送出するポジション情報がそれぞれ入力される。またECU21には、アクセルペダルに備えられたアクセル開度センサ36が送出するアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度の情報、およびブレーキペダルに備えられたストロークセンサ37が送出するブレーキペダルの踏み込み量の情報が入力される。さらにECU21には、エンジン11の電子スロットルバルブ(図示なし)に備えられたスロットル開度センサ39が送出するスロットル開度情報、およびエンジン11に備えられたエンジン回転数センサ40が送出するエンジンの回転数の情報が入力される。エンジン_ECU33は、エンジン11の運転状態を検出する各種センサから信号を入力することにより燃料噴射制御、点火制御、および吸入空気量調節制御などを制御する。
ECU21は、車両が停車中にエンジン11を始動させて、エンジン11から出力される駆動力により第1モータ12を回転して第1モータ12で発電した電力、つまり第2モータ13に供給する電力を蓄えるバッテリ32を充電するPチャージ制御を実施する。Pチャージ制御は、電源部31を介してバッテリ32から受けるSOCが予め決められた閾値A以下の場合に、エンジン11の回転数の変化に対して第1モータ12の回転数の変化が相対的に小さい走行モードに設定するように制御する。
また、ECU21には、SOC回復スイッチ38が接続されている。SOC回復スイッチ38は、例えば運転者がバッテリ32の蓄電量の増加を所望するときに操作される外部操作部である。ECU21は、Pチャージ制御を実施中に、SOC回復スイッチ38の操作が行われる場合に、エンジン11の回転数の変化に対して第1モータ12の回転数の変化が相対的に小さい走行モードに設定するように制御する。
ECU21は、エンジン11、第1モータ12、第2モータ13、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2を制御することで複数の走行モードのうちのいずれか一つのモードを設定する。複数の走行モードは、例えばハイブリッド(HV)走行モードを含む。HV走行モードは、第1モータ12が発電機として機能させられ、第1モータ12で発電した電力を第2モータ13に供給して第2モータ13がモータとして動作させられる。この場合にECU21は、例えば走行状態および電源部31のバッテリ32の状態などに基づいてエンジン11が間欠運転されるようエンジン_ECU33を制御する。エンジン11の間欠運転は、例えばバッテリ32の充電が不要なときにエンジン11を停止させる運転を含む。ECU21、PCU19、油圧コントローラ20、およびエンジン_ECU33は、制御部の一例である。
図2は、図1で説明した駆動装置10を搭載した車両43の一例を示すスケルトン図であり、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)あるいはリヤエンジン・リヤドライブ車(RR車)に適するように構成されている。図2に示すように、第1遊星歯車機構14は、エンジン11が出力した駆動力を第1モータ12側と出力部材16側とに分割する駆動力分割機構を構成する。第1遊星歯車機構14は、三つの回転要素によって差動作用を行う機構であればよい。同図に示す例では、第1遊星歯車機構14はシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成される。第1遊星歯車機構14は、外歯歯車である第1サンギヤS1、第1サンギヤS1に対して同心円上に配置された内歯歯車である第1リングギヤR1、および第1キャリヤC1を回転要素として備えている。第1キャリヤC1は、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1との間に配置されて第1サンギヤS1と第1リングギヤR1に噛み合っている第1ピニオンギヤP1を保持している。エンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1に入力されるように構成されており、第1キャリヤC1は第1入力要素の一例である。第1サンギヤS1は、第1モータ12のロータ12aに連結されており、第1反力要素の一例である。第1リングギヤR1は、第2キャリヤC2に連結されており、第1出力要素の一例である。
第2遊星歯車機構15は変速部を構成しており、シングルピニオン型遊星歯車機構によって構成されている。第2遊星歯車機構15は、外歯車である第2サンギヤS2、第2サンギヤS2に対して同心円上に配置された内歯歯車である第2リングギヤR2、および第2キャリヤC2を回転要素として備え、これら三つの回転要素によって差動作用を行う差動機構である。第2キャリヤC2は、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2との間に配置されて、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2に噛み合っている第2ピニオンギヤP2を保持している。第2キャリヤC2は、第1リングギヤR1に連結されており、第2入力要素の一例である。また、第2リングギヤR2は、出力部材16に連結されており、第2出力要素の一例である。そして、第2サンギヤS2は第2反力要素の一例である。
第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15とが複合遊星歯車機構を構成するように第1クラッチ機構CL1が設けられている。第1クラッチ機構CL1は、第1遊星歯車機構14の第1入力要素と第2遊星歯車機構15の第2反力要素とを選択的に連結するためのものであって、第2サンギヤS2を第1キャリヤC1に連結する。第1クラッチ機構CL1が係合した場合には、第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とが連結されてこれらが入力要素となる。また、第1クラッチ機構CL1を係合させた場合には、第1サンギヤS1が反力要素となり、さらに第2遊星歯車機構15における第2リングギヤR2が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。
第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15の全体を一体化させるためのものである。この第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15における第2サンギヤS2と第1キャリヤC1もしくは第2リングギヤR2、あるいは第1キャリヤC1と第2リングギヤR2とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものである。この例では、第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15における第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とを連結するように構成されている。
駆動装置10は、エンジン11や第1遊星歯車機構14あるいは第2遊星歯車機構15の回転中心軸線と平行にカウンタシャフト51が配置されている。出力部材16に噛み合っているドリブンギヤ52は、カウンタシャフト51に取り付けられている。また、カウンタシャフト51には、ドライブギヤ53が取り付けられており、ドライブギヤ53は、終減速機であるデファレンシャルギヤ54におけるリングギヤ55に噛み合っている。さらに、ドリブンギヤ52には、第2モータ13におけるロータ56に取り付けられたドライブギヤ57が噛み合っている。したがって、出力部材16から出力された駆動力もしくはトルクに、第2モータ13が出力した駆動力もしくはトルクを、ドリブンギヤ52の部分で加えるように構成されている。このようにして合成された駆動力もしくはトルクをデファレンシャルギヤ54から左右のドライブシャフト58および駆動輪59に伝達するように構成されている。
HV走行モードは、エンジン11および第2モータ13が出力した駆動力で走行することが可能なモードとなっている。このHV走行モードは、第1クラッチ機構CL1が係合し、かつ第2クラッチ機構CL2が解放することで設定されるハイモードと、第1クラッチ機構CL1が解放し、かつ第2クラッチ機構CL2が係合されることで設定されるローモードとを含む。
ハイモードでは、第1クラッチ機構CL1によって、第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とが連結されることにより、第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15とによって複合遊星歯車機構が形成される。エンジン11の駆動力は、第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とに伝達される。第1遊星歯車機構14においては、第1キャリヤC1に伝達された駆動力が第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに分割して伝達される。第1サンギヤS1に伝達された駆動力によって第1モータ12が駆動され、第1モータ12が発電機として機能し発電する。その発電に伴う負トルク(エンジン11の回転方向とは反対の方向に作用するトルク)が第1サンギヤS1に作用する。また、第1リングギヤR1から第2キャリヤC2に駆動力が伝達され、その駆動力と第2サンギヤS2に伝達される駆動力とに応じた駆動力が第2リングギヤR2に伝達される。第2リングギヤR2からドリブンギヤ52およびカウンタシャフト51ならびにドライブギヤ53を経由してデファレンシャルギヤ54に駆動力が伝達される。
一方、第1モータ12で発電された電力によって第2モータ13がモータとして機能し、その駆動力がドライブギヤ57を介してドリブンギヤ52に伝達される。すなわち、一旦電力に変換された駆動力が、第2モータ13によって機械的な駆動力に再変換され、出力部材16から出力される駆動力に加えられる。
図3は、パーキング状態における複合遊星歯車機構を構成する各回転要素の回転数の関係を示す共線図である。図3にて、太い点線で示される直線Hiがハイモードのときの回転数の関係を表し、太い実線で示される直線Loがローモードのときの回転数の関係を表す。共線図は、複合遊星歯車機構における各回転要素を示す直線Hi,Loをギヤ比の間隔をあけて互いに平行に引き、これらの直線Hi,Loに交差する基線61からの距離をそれぞれの回転要素の回転数として示している。
ハイモードの場合には、第1クラッチ機構CL1によって連結されている第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とが入力要素を形成し、エンジン11が出力した駆動力が第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とに伝達される。また、第1サンギヤS1には第1モータ12が発電機として機能することによる負トルクが加えられ、第1サンギヤS1が反力要素となる。太い点線で示される直線Hiで表されているように、ハイモードの場合には、例えば駐車ブレーキの操作に基づいて出力部材(OUT)16に連結されている第2リングギヤR2の回転数がゼロになる。このとき、第1モータ12のロータ12aに接続された第1サンギヤS1の回転数は、第1キャリヤC1や第2サンギヤS2の回転数(あるいはエンジン回転数Ne)より高回転になる。
ローモードでは、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を係合させることで設定される。第2クラッチ機構CL2が係合する場合には、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とが連結されて、第2遊星歯車機構15の回転要素の全てが一体となって回転する。例えば駐車ブレーキの操作がなされて第2リングギヤR2の回転がゼロの状態になると、第1リングギヤR1の回転もゼロの状態になる。太い実線で示される直線Loは、エンジン11の回転数の変化E1によって縦軸63と基線61との交点64を中心として回転する変化、例えば符号Lo’で示す細い実線への変化となる。このため、エンジン11の回転数の変化E1に対して第1モータ12の回転数の変化は、ローモードの場合には同図に示す符号N2となる。ハイモードの場合、つまり太い点線で示される直線Hiは、エンジン11の回転数の変化E1によって縦軸60と基線61との交点62を中心として回転する変化、例えば細い点線Hi’への変化となる。このため、ハイモードの場合のエンジン11の回転数の変化E1に対する第1モータ12の回転数の変化は、同図に符号で示すN1(N2より変化が小さい値)となる。
なお、図3に示した共線図は、縦軸65と縦軸66との間隔を「1」とした場合に縦軸66と縦軸63との間隔は、第1遊星歯車機構14におけるギヤ比(第1リングギヤR1の歯数と第1サンギヤS1の歯数との比)「ρ1」となるように設定されている。また縦軸66と縦軸63との間隔を「1」とした場合に縦軸63と縦軸60との間隔は、第2遊星歯車機構15のギヤ比(第2リングギヤR2の歯数と第2サンギヤS2の歯数との比)「ρ2」となるように設定されている。
駆動装置10は、縦軸65と縦軸66との間隔を「1」とした場合に、ハイモードが設定されたときには縦軸66と縦軸60との間隔に相当する複合遊星歯車機構のギヤ比が「ρ1+ρ1×ρ2」となり、ローモードが設定されたときには縦軸66と縦軸63との間隔に相当する複合遊星歯車機構のギヤ比が「ρ1」となる。つまり、エンジン11から第1モータ12へ駆動力を分割する駆動力分割比を「1」とすると、ハイモードが設定された場合のエンジン11から出力部材16に伝達される駆動力を「F2」とし、また、ローモードが設定された場合のエンジン11から出力部材16に伝達される駆動力を「F1」とすると、「F1=ρ1、F2=ρ1+ρ1×ρ2」となり、互いの駆動力分割比の大きさは「F1<F2」の関係になる。なお、ハイモードは第1走行モードの一例であり、ローモードは第2走行モードの一例である。
ところで、車両43がパーキング状態にてPチャージ制御を実施するときに、第1モータ12の出力を高めてエンジン11を高回転で連れ回すと、第1ピニオンギヤP1の差回転数が増大して第1遊星歯車機構14の耐久性が低下するおそれがある。このため、第1ピニオンギヤP1の差回転数を制限することがある。また、エンジン11の回転を増大して第1モータ12の回転を高めると第1モータ12の耐久性が低下するおそれがある。このため第1モータ12の最高回転数を制限することがある。
図4は、車両43がパーキング状態の場合で、かつローモードのときの第1ピニオンギヤP1を含む各回転要素の回転数の関係を示す共線図である。図4に示すように、第1ピニオンギヤP1の差回転数Pnは、第1ピニオンギヤP1の自転の回転数67と第1キャリヤC1の回転数68との差となっている。Pチャージ制御を実施中に、第1モータ12の最高回転数の制限、または第1ピニオンギヤP1の差回転数Pnの制限によって、エンジン11の回転数が同図に示す符号68の回転数に制限されている。この状態では、第1モータ12による発電量をさらに増加させることができない。なお、図4に示した符号49は、駆動装置10がローモードでパーキング状態のときにエンジン11の最高出力に対してエンジン回転数Neに余裕があることを示す。
図5は、Pチャージ制御により切り替えられるハイモードでの各回転要素の回転数を示す共線図である。ECU21は、Pチャージ制御を実施する場合に、走行モードをハイモードに切り替える。図5に示すように、ハイモードでは、第1モータ12の回転数を制限しつつエンジン11の回転数を、ローモードのときの回転数を点線で示した直線Loと比べて、同図に示す符号E2の分だけ高めることができる。同図では、エンジン11の回転数が増加しても第1モータ12の回転数が最高回転数の制限を受けているため変化していないが、前記E2の回転の分に対応して第1モータ12に伝達されるトルクが増加しており、そのトルク(エネルギ)を受ける反力(負荷)によって第1モータ12が発電する電力が増加する。これによりバッテリ32への充電時間の短縮を図ることができる。また、ハイモードでは、第1ピニオンギヤP1の回転数を、ローモードでの回転数67に対して符号69で示した回転数に低減することができ、第1ピニオンギヤP1の差回転数に余裕を持たせることができる。さらに、第1ピニオンギヤP1の差回転数の制限を考慮した場合には、ハイモードにてエンジン11の回転数および第1モータ12の回転数を、ローモードの場合と比べてそれぞれ高めることができる。この場合でもバッテリ32への充電時間の短縮を図ることができる。なお、図5では、図3に示す共線図と同じ作用がなされる箇所には同じ符号を付してここでの詳しい説明を省略する。
図6は、ECU21がPチャージ制御を実施する手順を示すフローチャートである。ステップS1にてECU21は、エンジン11が始動中か否か、つまりエンジン11が運転中か否かを判断する。肯定(Y側)の場合つまりエンジン11が運転している場合にはステップS2に移行し、否定(N側)の場合にはリターンに移行する。ステップS2にてECU21は、ポジションスイッチ35から得られる情報を参照してパーキングポジションか否かを判断する。肯定(Y側)の場合つまりパーキングポジションの場合にはステップS3に移行し、否定(N側)の場合にはリターンに移行する。ステップS3にてECU21は、SOC回復スイッチ38がONか否かを判断する。肯定(Y側)の場合つまりSOC回復スイッチ38が操作されている場合にはステップS5に移行し、否定(N側)の場合にはステップS4に移行する。ステップS4にてECU21は、SOCが予め決められた閾値A以下か否かを判断する。肯定(Y側)の場合つまりSOCが閾値A以下で充電が必要と判断された場合にはステップS5に移行して急速充電が行われ、また否定(N側)の場合にはステップS8に移行する。
ステップS5にてECU21は、ハイモードか否かを判断する。肯定(Y側)の場合つまりローモードの場合にはステップS6に移行し、否定(N側)の場合つまりハイモードの場合にはステップS8に移行する。ステップS6にてECU21は、ハイモードに走行モードを切り替えて急速充電を行う制御を実施した後に、ステップS7に移行する。ステップS7にてECU21は、目標エンジン回転数の上限を、ローモードの場合の上限からハイモードの場合の上限に変更した後にステップS8に移行する。ステップS8にてECU21は、変更された目標エンジン回転数の上限に基づいて、例えばエアコンデショナーの動作や暖機運転の動作を条件として、前記上限の範囲内で目標エンジン回転数を算出する。ECU21は、算出された目標エンジン回転数に実エンジン回転数Neが追従するようにエンジン_ECU33に指令することによりエンジン11の制御を行う。目標エンジン回転数の上限は、Pチャージ制御により上昇可能なエンジン回転数Neであり、例えば第1モータ12の最高回転数とハイモードのときのギヤ比(図3に示す縦軸66と縦軸65との間隔に対応するギヤ比)との積により求められる。
この実施例では、ステップS4にてSOCが閾値A以下の場合のみハイモードに切り替えた急速充電に移行される。そして、SOCが閾値Aを超える場合は、走行モードを切り替えずに充電速度が相対的に遅い通常の充電を実施する。このように、前述した特定の条件が成立した場合のみハイモードを切り替えるため、走行モードの切替えに要するエネルギ消費の抑制を図ることができる。さらに、ステップS3にてSOC回復スイッチ38が操作されている場合には、ハイモードを切り替えた急速充電が実施される。このため、例えば運転者の要求に迅速に応えることが可能となる。
この発明の実施例における駆動装置10は、図2で説明したように、第1リングギヤR1と第2キャリヤC2とを連結するとともに第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とを選択的に連結し、また第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とを選択的に連結することにより駆動力分割率を変更するように構成されている。そのようないわゆる複合化は、図2に示す構成以外の構成であっても行うことができる。図7はこの発明の他の実施例を示すスケルトン図である。図7に示すように、駆動装置70は、第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15との連結状態、および第1クラッチ機構CL1と第2クラッチ機構CL2の配置を変更した例である。
図7に示すように、駆動力分割機構を構成する第1遊星歯車機構14は、第1モータ12に接続された第1サンギヤ(第1反力要素)S1、エンジン11に接続された第1キャリヤ(第1入力要素)C1および第2遊星歯車機構15に接続された第1リングギヤ(第1出力要素)R1を含む。第1リングギヤR1は、第2遊星歯車機構15における第2サンギヤS2に連結される。第1クラッチ機構CL1は、第1キャリヤC1と第2リングギヤR2とを選択的に連結する。第2サンギヤS2は第2入力要素に相当する。出力部材16は、第2キャリヤC2に連結されており、第2キャリヤC2が第2出力要素に相当する。さらに、第2遊星歯車機構15における第2リングギヤR2が第2反力要素に相当する。また、第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15における第2サンギヤS2と第2キャリヤC2とを選択的に連結する。駆動装置70は、第1クラッチ機構CL1が係合され、かつ第2クラッチ機構CL2が解放されることによりHV走行モードのローモードを設定する。また、第2クラッチ機構CL2が係合され、かつ第1クラッチ機構CL1が解放されることによりHV走行モードのハイモードを設定する。すなわち、ローモードおよびハイモードを設定するための第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2の係合および解放の状態が、図2に示した例とは反対になる。なお、図7では、図2で説明した構成と同じまたは同様な部材には同じ符号を付してここでは詳しい説明を省略する。
図8は、図7で説明した駆動装置70の変形例を示す。図8に示すように、駆動装置72は、第2キャリヤC2が第1キャリヤC1に連結されて、第2キャリヤC2が第2入力要素に相当する。また、第2リングギヤR2に出力部材16が連結されて、第2リングギヤR2が第2出力要素に相当する。第1クラッチ機構CL1は、第2サンギヤS2と第1リングギヤR1とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は第2キャリヤC2と第2サンギヤS2とを選択的に連結する。なお、第2サンギヤS2が第2反力要素に相当している。また、HV走行モードのローモードおよびハイモードの設定をするための第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2の係合および解放の状態は、図2で説明した状態と同じである。なお、図8では、図2で説明した構成と同じまたは同様な部材には同じ符号を付してここでは詳しい説明を省略する。
この発明においては、シングルピニオン型の遊星歯車機構に替えてダブルピニオン型の遊星歯車機構を使用して駆動装置を構成してもよい。その例を以下に説明する。図9に示した駆動装置73は、第2遊星歯車機構15aをダブルピニオン型の遊星歯車機構で構成している。第2遊星歯車機構15aは、第2サンギヤS2aに噛み合っている第1のピニオンギヤP2aと、その第1のピニオンギヤP2aおよび第2リングギヤR2aに噛み合っている第2のピニオンギヤP2bとを第2キャリヤC2aによって保持した遊星歯車機構である。したがって、図9に示す駆動装置73では、第2リングギヤR2aが第1リングギヤR1に連結されて、第2リングギヤR2aが第2入力要素に相当する。また、第2キャリヤC2aに出力部材16が連結されて、第2キャリヤC2aが第2出力要素に相当する。さらに、第1クラッチ機構CL1は、第2サンギヤS2aと第1キャリヤC1とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は、第2キャリヤC2aと第2サンギヤS2aとを選択的に連結する。なお、第2サンギヤS2aが第2反力要素に相当する。また、図9では、図2で説明した構成と同じまたは同様な部材には同じ符号を付してここでは詳しい説明を省略する。さらに、ローモードおよびハイモードの設定をするための第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2の係合および解放の状態は前述した図2で説明した状態と同じである。
図10に示す駆動装置74は、図9で説明した駆動装置73と比べて、ダブルピニオン型の第2遊星歯車機構15aにおける第2サンギヤS2aを出力要素としている。また、第1クラッチ機構CL1を介して第2キャリヤC2aが第1キャリヤC1に連結されるように構成されている。したがって、駆動装置74の出力部材は、第2サンギヤS2aに一体化されている出力軸16aとなっている。また、図10では、省略してある第2モータ13は、出力軸16aに対してトルクを加えるように構成されている。この駆動装置74であっても、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2の係合状態を制御することで、図9で説明した駆動装置と同様に動作させてHV走行モードでのハイモードおよびローモードを設定することができる。
図11は、図2で説明した駆動装置75の一例をスケルトン図としてより具体的に示す。図11に示すように、駆動装置75は、図2で説明した駆動装置10における第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15との連結状態、および第1クラッチ機構CL1の配置を変更し、そして第1ブレーキ機構BK1を追加した例である。第1ブレーキ機構BK1は、第1クラッチ機構CL1と同様の摩擦係合式のクラッチ装置とすることができるが、これに限らず、噛合い式等のクラッチ機構をブレーキ機構として用いられてもよい。なお、図11では、図2で説明した部材と同じまたは同様な部材には同じ符号を付与してここでは詳しい説明を省略する。第1ブレーキ機構BK1は固定機構の一例である。
図11に示すように、第1クラッチ機構CL1は、第1キャリヤC1と第2サンギヤS2とを選択的に連結する。第1ブレーキ機構BK1は、第2サンギヤS2を固定部材76に選択的に固定する。第2キャリヤC2は第1サンギヤS1に連結されている。第2リングギヤR2は出力軸16aに連結されている。駆動装置75は、第1クラッチ機構CL1が係合され、かつ第1ブレーキ機構BK1が解放されることでHV走行モードのハイモードを設定する。また、駆動装置75は、第1クラッチ機構CL1が解放され、かつ第1ブレーキ機構BK1が固定されることでHV走行モードのローモードを設定する。
図12は、図2で説明した駆動装置10の一例をスケルトン図としてより具体的に示す。図12に示すように、駆動装置77は、図11で説明した駆動装置75における第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15との連結状態および第1クラッチ機構CL1ならびに第1ブレーキ機構BK1の配置を変更した例である。なお、図12では、図2で説明した部材と同じまたは同様な部材には同じ符号を付与してここでは詳しい説明を省略する。図12に示すように、第1クラッチ機構CL1は、第1キャリヤC1と第2リングギヤR2とを選択的に連結する。第1ブレーキ機構BK1は、第2リングギヤR2を固定部材76に選択的に固定する。第1サンギヤS1は、第2サンギヤS2に連結されている。出力軸16aは、第2キャリヤC2に連結されている。駆動装置77は、第1クラッチ機構CL1が係合され、かつ第1ブレーキ機構BK1が解放されることでHV走行モードのローモードを設定する。また、駆動装置77は、第1クラッチ機構CL1が解放され、かつ第1ブレーキ機構BK1が固定されることでHV走行モードのハイモードを設定する。
図13は、図2で説明した駆動装置10の一例をスケルトン図としてより具体的に示す。図13に示すように、駆動装置78は、図2で説明した実施例における第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15との連結状態および第1クラッチ機構CL1ならびに第1ブレーキ機構BK1の配置を変更した例である。なお、図13では、図2で説明した部材と同じまたは同様な部材には同じ符号を付与してここでは詳しい説明を省略する。
図13に示すように、第1クラッチ機構CL1は、第1入力要素となる第1リングギヤR1と第2キャリヤC2とを選択的に連結する。第1ブレーキ機構BK1は、第2キャリヤC2を固定部材76に選択的に固定する。第1出力要素となる第1キャリヤC1は、第2サンギヤS2に連結されている。したがって、第2遊星歯車機構15では、第2サンギヤS2が第2入力要素に相当する。出力部材16は、第2遊星歯車機構15における第2リングギヤR2に連結されており、第2リングギヤR2が第2出力要素に相当する。さらに、第2遊星歯車機構15における第2キャリヤC2が第2反力要素に相当する。駆動装置78は、第1クラッチ機構CL1が係合され、かつ第1ブレーキ機構BK1が解放されることでHV走行モードの前進のハイモードを設定する。駆動装置78は、第1ブレーキ機構BK1が係合され、かつ第1クラッチ機構CL1が解放されることでHV走行モードの後退のローモードを設定する。
この発明は、上記各実施例に限定されないのであって、この発明の目的を逸脱しない範囲で適宜に変更することができる。例えば、第1遊星歯車機構14をシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成した場合、第1モータ12を第1サンギヤS1に連結する替わりに第1リングギヤR1に連結して第1リングギヤR1を第1入力要素とし、併せて第1リングギヤR1に替えて第1サンギヤS1を第2遊星歯車機構15における第2入力要素に連結してその第1サンギヤS1を第1出力要素とすることができる。また、この発明の実施例では、第2クラッチ機構CL2は、要は、係合することにより第2遊星歯車機構15を一体化する機構であればよく、したがってサンギヤとキャリヤとリングギヤとのいずれか二つの回転要素もしくはそれら三つの回転要素を連結するように構成されたクラッチ機構であってよい。
また、上記各駆動装置では、例えばエンジン11の出力軸に連結された入力軸(それぞれ図示せず)が第1遊星歯車機構14を構成する回転要素のうちのいずれか一つに連結されているが、この発明では、例えば出力軸に連結された回転要素と入力軸とを直接連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介して出力軸と入力軸とを連結してよい。また、その出力軸と入力軸との間にダンパ機構やトルクコンバータなどの機構を配置してよい。さらにまた、上記各実施例では、HV走行モードを構成するモードとしてハイモードおよびローモードとして説明しているが、この発明では二つの走行モードに限らず、例えばハイモードおよびローモードを含む3つ以上の走行モードを設定可能としてよい。