以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず図1〜4を用いて重機同士が相互の接近を検知する重機の近接検知システムについて説明し、次に図5〜10を用いて重機同士が相互の接近を検知することに加えて、重機が人の接近を検知する重機の近接検知システムについて説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る重機の近接検知システム10aを上方向から見た模式図である。図1を参照して、重機の近接検知システム10aは、検知ユニット110aを含み、この検知ユニット110aが検知ユニット110bの接近を検知したとき警報を発報するものである。ここでは、検知ユニット110aが重機100aに備えられ、検知ユニット110bが重機100bに備えられている。なお、ここでいう重機とは、フォークリフト、ショベルカー等の土木、建設工事等に使用される動力機械類全般のことをいう。
なお、ここでは検知ユニット110aが検知ユニット110bの接近を検知して警報を発報する場合について説明するが、検知ユニット110bが検知ユニット110aの接近を検知して警報を発報する場合も同様である。
検知ユニット110aには、発信アンテナ130a及び受信アンテナ140aが取り付けられる。そして、自身を識別するためのトリガーIDを含むトリガー信号を、発信アンテナ130aを介して、所定の発信周期で発信する。なお、検知ユニット110a,110bは、相互に異なるトリガーIDを含むトリガー信号を所定の発信周期で発信する。ここでは、重機100aの検知ユニット110aから発信されるトリガーIDを「A」とし、これをトリガーID(A)として表記する。また、このトリガーID(A)を含むトリガー信号をトリガー信号(A)として表記する。
ここで、トリガー信号とはIDタグに所定の動作を開始させるための信号である。すなわち、IDタグは定常時において休止しているが、トリガー信号を受信することにより、信号を発信する等の所定の動作を行う。なお、同様にして、重機100bの検知ユニット110bは発信アンテナ130bを介してトリガーID(B)を含むトリガー信号(B)を所定の発信周期で発信する。
なお、ここではトリガー信号の発信強度を調整するためのトリガー信号発信強度調整手段を備えるようにし、検知ユニット110a、110bから発信されるトリガー信号(A),(B)の出力強度について、予め重機の近接検知システム10aを設置する際に同じ大きさに設定しておく。そして、重機の近接検知システム10aの設置後はトリガー信号の発信強度を変化させないこととする。
ここで、検知ユニット110aが、検知ユニット110bから発信されるトリガー信号を受信可能なエリアについて、トリガー信号受信可能エリア150a−bとして図中破線で示す。また同様に、検知ユニット110bが、検知ユニット110aから発信されるトリガー信号を受信可能なエリアについて、トリガー信号受信可能エリア150b−aとし図中破線で示す。
ここでは図示するように、トリガー信号受信可能エリア150a−b内に検知ユニット110aが進入しているため、検知ユニット110aはこの検知ユニット110bから発信されるトリガー信号(B)を受信する。
また、検知ユニット110aは、上記で説明した、トリガー信号を受信することにより所定の動作を開始するIDタグとして、搭載IDタグ120aを含む。この搭載IDタグ120aは、自身を識別するための固有IDを格納している。ここでは、搭載IDタグ120aの固有IDを「1001」とし、これを固有ID(1001)として表記する。なお、同様にして、検知ユニット110bは搭載IDタグ120bを含み、この搭載IDタグ120bは自身を識別するための固有ID(1002)を格納している。
ここでは、検知ユニット110bから発信されたトリガー信号(B)は、搭載IDタグ120a,120bに所定の動作を開始させる。搭載IDタグ120aは、受信したトリガー信号(B)に含まれるトリガーID(B)を抽出し、この抽出したトリガーID(B)と自身のトリガーID(A)とを比較する。そして、ここでは相互に異なるため、抽出したトリガーID(B)と自身の固有ID(1001)とを含む返信情報を生成して発信する。ここでは、このトリガーID(B)と固有ID(1001)とを含む返信情報を、返信情報(1001+B)として表記する。なお、搭載IDタグ120bは、受信したトリガー信号(B)に含まれるトリガーID(B)を抽出し、この抽出したトリガーID(B)と自身の固有ID(B)とを比較する。ここでは相互に同じであるため、返信情報を発信しない。
すなわち、搭載IDタグ120は、自身が備えられる検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信したことによっては、返信情報を生成及び発信しない。こうすることにより、特に自身が備えられる検知ユニット110の受信する返信情報を大幅に減少させることができるため、より効率よく且つ確実に重機同士の接近を検知することが可能となる。
次に、検知ユニット110aは、受信アンテナ140aを介して、自身の搭載IDタグ120aから発信される返信情報(1001+B)を受信し、受信した返信情報(1001+B)に含まれる固有ID(1001)とトリガーID(B)とを抽出し、抽出した固有ID(1001)と自身の搭載IDタグの固有ID(1001)とを比較するとともに、抽出したトリガーID(B)と自身のトリガーID(A)とを比較する。そして、比較した2つの固有IDが相互に同じであり、且つ比較した2つのトリガーIDが相互に異なるとき、警報出力部116を作動して警報を発報する。ここでは、比較した結果が上記の条件の通りであるため、警報出力部116aを作動して警報を発報する。そして、所定の時間経過後、警報の発報を停止する。
なお、検知ユニット110bが受信アンテナ140bを介して搭載IDタグ120aから発信される返信情報(1001+B)を受信した場合、受信した返信情報(1001+B)に含まれる固有ID(1001)とトリガーID(B)とを抽出し、抽出した固有ID(1001)と自身の搭載IDタグの固有ID(1002)とを比較するとともに、抽出したトリガーID(B)と自身のトリガーID(B)とを比較する。ここでは比較した2つの固有IDが相互に異なり、且つ比較した2つのトリガーIDが相互に同じであるため、上記した条件と一致しない。したがって、受信した返信情報(1001+B)は無視して、警報出力部116bを作動しない。
以上のように、搭載IDタグ120は他の検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信したときのみ返信情報を生成及び発信し、検知ユニット110は、自身の搭載IDタグ120から発信された返信情報を受信したときのみ警報出力部116を作動して警報を発報するようにした。その結果、確実に重機同士の接近を検知することが可能となる。
図2は検知ユニット110の内部構成を示すブロック図である。図2を参照して、重機100に備えられる検知ユニット110は、検知ユニット110全体を制御する制御部111と、トリガーIDを含むID情報を発信可能に変調等しトリガー信号として発信アンテナ130を介して発信する発振器112及び発信回路113と、ID情報を含む所定の情報を格納するメモリ114と、受信アンテナ140を介して受信した信号を復調する受信回路115と、警報を発報する警報出力部116と、他の検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信したことに応じて返信情報を発信する搭載IDタグ120と、所定の情報を表示するディスプレイ300とを含む。
また、警報出力部116から発報する警報は音であってもよいし、光、振動等その他の態様であってもよい。また、例えば音によって警報を発報する場合、音量の大きさを調整するための図示しない警報音量調整手段を備えるようにしてもよい。
次に、図3のフローチャートを参照して、検知ユニット110aが検知ユニット110bの接近を検知したとき、検知ユニット110aの制御部111aが行う一連の処理について説明する。なお、検知ユニット110bが検知ユニット110aの接近を検知したとき、検知ユニット110bの制御部111bが行う一連の処理も同様である。
図1〜3を参照して、重機100が起動されると、検知ユニット110に電源が供給され、制御部111が動作を開始する。ここで、制御部111は、第1の又は第2の制御手段として作動する。動作を開始した制御部111は、まず発信アンテナ130を介してメモリ114に格納されているトリガーID(第1の又は第3のトリガーID)を含むトリガー信号(第1の又は第3のトリガー信号)を所定の発信周期で発信する(図3において、S101)。ここで、発信アンテナ130は第1の又は第2の発信手段として作動する。ここでは、発信アンテナ130aを介してメモリ114aに格納されるトリガーID(A)を含むトリガー信号(A)を所定の発信周期で発信する。
次に、受信アンテナ140を介して検知ユニット110からの返信情報(第1の返信情報)を受信すると(S102において、YES)、受信した返信情報に含まれる搭載IDタグ120を識別するための固有IDとトリガーIDとを抽出する(S103)。ここで、受信アンテナ140は第1の又は第2の受信手段として作動する。ここでは、受信アンテナ140aを介して同じ検知ユニット110aに備えられる搭載IDタグ120aから発信される返信情報(1001+B)を受信し、受信した返信情報(1001+B)に含まれる固有ID(1001)とトリガーID(B)を抽出する。
次に、抽出した固有IDと同じ検知ユニット110に備えられる搭載IDタグ120(第1のIDタグ)の固有ID(第1の固有ID)とを比較して相互に同じであり、且つ抽出したトリガーIDと自身の検知ユニット110のトリガーIDとを比較して相互に異なるとき(S104において、YES)、警報出力部116を作動して警報を発報する(S105)。ここで、警報出力部116は第1の又は第2の警報手段として作動する。
ここでは、抽出した固有ID(1001)と同じ検知ユニット110aに備えられる搭載IDタグ120aの固有ID(1001)とを比較して相互に同じであり、且つ抽出したトリガーID(B)と自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とを比較して相互に異なるため、上記した条件を満たす。したがって、警報出力部116aを作動して警報を発報する。そして、所定の時間経過後、警報出力部116からの警報の発報を停止する(S106)。ここでは、警報出力部116aからの警報の発報を停止する。
以上のように、自身の搭載IDタグ120が他の重機100から発信されたトリガー信号を受信したことに応じて発信する返信情報を受信したときのみ警報出力部116を作動して警報を発報するようにした。その結果、確実に重機同士の接近を検知することが可能となる。
なお、受信アンテナ140が搭載IDタグ120からの返信情報を受信しないとき(S102において、NO)S101の処理に戻る。また、抽出した固有IDと自身と同じ検知ユニット110に備えられる搭載IDタグ120の固有IDとを比較して、上記した条件を満たさないとき(S104において、NO)、受信した返信情報は無視してS101の処理に戻る。すなわち、自身と異なる検知ユニット110に備えられる搭載IDタグ120から受信した返信情報は無視する。
なお、検知ユニット110aは、検知ユニット110bがトリガー信号受信可能エリア150a−bから外に出ることで、自身の搭載IDタグ120aが返信情報(1001+B)の発信を停止すること等により、返信情報(1001+B)を受信しなくなったとき、警報出力部116aからの警報の発報を停止してもよい。なお、S106において、所定の時間を設けず警報出力部116aからの警報の発報を行い続けてもよい。
次に、図4のフローチャートを参照して、検知ユニット110aの搭載IDタグ120aが検知ユニット110bから発信されるトリガー信号(B)を受信したとき、搭載IDタグ120aが備える制御部が行う一連の処理について説明する。なお、検知ユニット110bの搭載IDタグ120bが検知ユニット110aから発信されるトリガー信号(A)を受信したとき、搭載IDタグ120bの制御部が行う一連の処理も同様である。
図1〜4を参照して、搭載IDタグ120が備える受信アンテナがトリガー信号(第2の又は第4のトリガー信号)を受信すると(図4のS201において、YES)、搭載IDタグ120の制御部が動作を開始する。ここで、搭載IDタグの制御部は第3の制御手段として作動する。また、搭載IDタグの受信アンテナは第3の受信手段として作動する。ここでは、搭載IDタグ120aの制御部は、搭載IDタグ120aの受信アンテナを介してトリガーID(B)を含むトリガー信号(B)を受信する。
次に、受信したトリガー信号に含まれるトリガーID(第2の又は第4のトリガーID)を抽出する(S202)。ここでは、トリガー信号(B)を受信し、受信したトリガー信号(B)に含まれるトリガーID(B)を抽出する。次に、抽出したトリガーIDと自身の検知ユニット110のトリガーIDとを比較して、相互に異なるとき(S203において、YES)、抽出したトリガーIDと自身の固有IDとを含む返信情報を生成する(S204)。
ここでは、抽出したトリガーID(B)と自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とが相互に異なるため、抽出したトリガーID(B)と自身の固有ID(1001)とを含む返信情報(1001+B)を生成する。
次に、生成した返信情報を、搭載IDタグ120が備える発信アンテナを介して発信する(S205)。ここで、搭載IDタグ120の発信アンテナは、第3の発信手段として作動する。ここでは、生成した返信情報(1001+B)を、搭載IDタグ120aの発信アンテナを介して発信する。
なお、搭載IDタグ120の受信アンテナを介してトリガー信号を受信しない場合(S201において、NO)、S201の処理を繰り返す。また、抽出したトリガーIDと自身の検知ユニット110のトリガーIDとを比較して、相互に同じとき(S203において、NO)、返信情報を生成及び発信しない。すなわち、搭載IDタグ120は、自身の検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信することによっては、返信情報を生成及び発信しない。
以上のように、搭載IDタグ120は他の検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信したときのみ返信情報を生成及び発信する。こうすることにより、特に自身の検知ユニット110が受信する返信情報を大幅に減少させることができるため、より効率よく且つ確実に重機同士の接近を検知することが可能となる。
次に、図1で説明した重機の近接検知システム10aが検知ユニット110bを備える重機100bの接近を検知することに加えて、IDタグ210を保持する作業者200の接近も検知する場合について説明する。図5は、この場合の重機の近接検知システム10aを上方向から見た模式図である。なお、作業者200に保持されるIDタグ210が存在すること、このIDタグ210が検知ユニット110a,110bから発信されるトリガー信号(A),(B)を受信可能なエリアであるトリガー信号受信可能エリア250−a,250―bを一点鎖線で示していること、及び図1において破線で示したトリガー信号受信可能エリア150b−a,150a−bはここでの説明では不要であるためその図示を省略していることを除いて、図1で説明した重機の近接検知システム10aの構成と同様であるため、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は省略する。
図5の模式図を参照して、重機100aが作業者200の接近を検知するときに行われる処理の概略について説明する。なお、重機100bが作業者200の接近を検知するときに行われる処理も同様である。図1〜5を参照して、IDタグ210は、検知ユニット110aから発信されるトリガー信号(A)を受信可能なエリアであるトリガー信号受信可能エリア250−a内に進入すると、自身が備える受信アンテナを介してトリガー信号(A)を受信する。IDタグ210は、トリガー信号(A)を受信すると、受信したトリガー信号(A)に含まれるトリガーID(A)を抽出し、抽出したトリガーID(A)と自身を識別するための固有ID(1101)とを含む返信情報(1101+A)を生成し、生成した返信情報(1101+A)を自身が備える発信アンテナを介して発信する。
検知ユニット110aは、受信アンテナ140aを介して、返信情報(1101+A)を受信する。そして、受信した返信情報(1101+A)に含まれる固有ID(1101)とトリガーID(A)を抽出し、まず抽出した固有ID(1101)が作業者200に保持されるIDタグ210を識別するためのものであるか否かを判定する。なお、この判定方法の詳細は後に説明する。
ここでは、抽出した固有ID(1101)が作業者200に保持されるIDタグ210を識別するためのものであると判定する。そしてこのように判定すると、抽出したトリガーID(A)と自身が備えられる検知ユニット110aのトリガーID(A)とを比較し、相互に同じであるため警報出力部116aを作動して警報を発報する。なお、相互に異なるとき、受信した返信情報(1101+A)は無視して警報出力部116aを作動しない。
なお、受信した返信情報から抽出した固有IDが作業者200に保持されるIDタグ210を識別するためのものか否かを判定する理由は、受信した返信情報に含まれる固有IDが、作業者200に保持されるIDタグ210を識別するためのものである場合と、重機100の検知ユニット110を識別するためのものである場合とで、その後に行われる処理が異なるためである。
以上のようにすることにより、重機100に備えられる検知ユニット110は、作業者200に保持されるIDタグ210の接近を検知し、警報出力部116を作動して警報を発報することが可能となる。
ここで、上記したように、受信した返信情報から抽出したトリガーIDと自身のトリガーIDとを比較し、相互に同じときのみ警報出力部116を作動する理由について説明する。図5に示すように、作業者200に保持されるIDタグ210は、トリガー信号受信可能エリア250−aに進入するとともに、トリガー信号受信可能エリア250−bにも進入している。このようなとき、IDタグ210は、トリガー信号(A)を受信することに応じて返信情報(1101+A)を生成して発信するとともに、トリガー信号(B)を受信することに応じて返信情報(1101+B)を生成して発信する。
そして、検知ユニット110aは、このIDタグ210から発信される2つの返信情報(1101+A),(1101+B)を両方とも受信する。すなわち、自ら発信したトリガー信号(A)を受信したことに応じてIDタグ210から発信された返信情報(1101+A)を受信するだけでなく、検知ユニット110bから発信されたトリガー信号(B)を受信したことに応じてIDタグ210から発信された返信情報(1101+B)も受信する。
このとき、受信した返信情報に含まれるトリガーIDを抽出し、抽出したトリガーIDと自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とを比較して、相互に同じときのみ警報出力部116aを作動することによって、自ら発信したトリガー信号(A)を受信したことに応じてIDタグ210から発信された返信情報(1101+A)を受信したときのみ警報出力部116aを作動し、他の検知ユニット110bから発信されたトリガー信号(B)を受信したことに応じてIDタグ210から発信された返信情報(1101+B)を受信しても無視して警報出力部116aを作動しないことが可能となる。その結果、確実に重機同士の接近を検知することが可能となることに加えて、確実に重機と人との接近を検知することも可能となる。
次に、図6のフローチャートを参照して、検知ユニット110aがIDタグ210の接近を検知したとき、検知ユニット110aの制御部111aが行う一連の処理について説明する。なお、検知ユニット110bがIDタグ210の接近を検知したとき、検知ユニット110bの制御部111bが行う一連の処理も同様である。
図2〜6を参照して、重機100が起動されると、検知ユニット110に電源が供給され、制御部111が動作を開始する。ここで、制御部111は第1の又は第3の制御手段として作動する。動作を開始した制御部111は、まず発信アンテナ130を介してメモリ114に格納しているトリガーID(第5のトリガーID)を含むトリガー信号(第5のトリガー信号)を所定の発信周期で発信する(図6において、S301)。ここで、発信アンテナ130は第1の又は第3の発信手段として作動する。ここでは、制御部111aが、発信アンテナ130aを介してトリガーID(A)を含むトリガー信号(A)を所定の発信周期で発信する。
次に、受信アンテナ140を介して返信情報(第1の又は第2の返信情報)を受信すると(S302において、YES)、受信した返信情報に含まれる固有ID(第1の又は第2の固有ID)とトリガーIDとを抽出する(S303)。ここで、受信アンテナ140は第1の又は第3の受信手段として作動する。ここでは、返信情報(1101+A)を受信し、受信した返信情報(1101+A)に含まれる固有ID(1101)とトリガーID(A)とを抽出する。
次に、抽出した固有IDが作業者200に保持されるIDタグ(第2のIDタグ)を識別するためのものであるか否かを判定する(S304)。ここでは、例えば抽出した固有IDの3桁目をフラグとし、フラグが立っているとき作業者210に保持されるIDタグ210を識別するための固有IDであると判定する。すなわち、ここでは抽出した固有ID(1101)の3桁目が「1」でありフラグが立っているため、作業者210に保持されるIDタグ210を識別するための固有ID(第2の固有ID)であると判定する(S304において、YES)。
抽出した固有IDが作業者210に保持されるIDタグ210を識別するための固有IDであると判定すると、抽出したトリガーIDとメモリ114に格納されている自身の検知ユニット110のトリガーIDとを比較し、相互に同じとき(S305において、YES)、警報出力部116を作動して警報を発報する(S306)。ここで、警報出力部116は第1の又は第2の警報手段として作動する。
ここでは、受信した返信情報(1101+A)から抽出したトリガーID(A)とメモリ114aに格納する自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とが相互に同じであるため、警報出力部116aを作動して警報を発報する。そして、所定の時間経過後、警報出力部116からの警報の発報を停止する(S307)。ここでは、警報出力部116aからの警報の発報を停止する。
なお、受信アンテナ140が返信情報を受信しない場合(S302において、NO)、及び抽出したトリガーIDと自身の検知ユニット110のトリガーIDとを比較して、相互に異なるとき(S305において、NO)、S301の処理に戻る。
なお、抽出した固有IDが作業者200に保持されるIDタグ210を識別するためのものでないと判定した場合(S304において、NO)、すなわち、抽出した固有IDの3桁目が「0」でありフラグが立っておらず、重機100に備えられる搭載IDタグ120を識別するための固有IDであると判定した場合、その後S308、S306、S307の順で行われる処理は、図3で説明したS104,S105,S106の順で行われる処理と同じである。
なお、S304において、作業者200に保持されるIDタグ210を識別するための固有IDか否かを判定する方法は上記したものに限られず、例えば検知ユニット110のメモリ114に予めIDタグ210を識別するための情報を登録しておき、この予め登録した情報に基づいて判定する等その他の方法で判定してもよい。なお、S303において、返信情報に含まれる固有IDを抽出していることにより、検知ユニット110を備える複数の重機100及びIDタグ210を保持する複数の作業者200が存在する場合において、どの検知ユニット110及び/又はどのIDタグ210が自身に接近しているかを認識することが可能となる。
また、予め固有IDに付加的な情報を加えてメモリ114に登録しておくことにより、接近を検知した複数の重機100及び複数の作業者200に対して各々異なる警報を発報することが可能となる。例えば図2で説明した図示しない警報音量調整手段を備えるようにすることで、どの検知ユニット110及び/又はどのIDタグ210が接近したかによって警報の音量を変更することが可能となる。
このようにするとき、例えば、作業者200に身体障害者が含まれる場合において、身体障害者に保持されるIDタグ210を識別するための固有IDに予め身体障害者であることを識別するための付加的な情報を加えメモリ114に登録しておく。そして、制御部111は、この付加的な情報を有する固有IDを含む返信情報を受信したとき、この付加的な情報が加えられていない固有IDを含む返信情報を受信したときと比較して大きな音量で警報を発報するようにする。こうすることにより、身体障害者が接近しているため、より注意が必要であることを即座に報知することができ、より安全に作業を行うことが可能となる。
次に、図7のフローチャートを参照して、作業者200に保持されるIDタグ210が検知ユニット110から発信されるトリガー信号(A)を受信したとき、IDタグ210の制御部が行う一連の処理について説明する。なお、検知ユニット110bから発信されるトリガー信号(B)を受信したとき行う一連の処理も同様である。
図2〜7を参照して、IDタグ210が備える受信アンテナがトリガー信号を受信すると、IDタグ210の制御部が動作を開始する。ここで、IDタグ210の制御部は第4の制御手段として作動する。IDタグ210の制御部は、受信アンテナを介して検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信する(図7のS401において、YES)。ここで、IDタグ210の受信アンテナは第4の受信手段として作動する。ここでは、IDタグ210の受信アンテナを介して、検知ユニット110aから発信されるトリガー信号(A)を受信する。
次に、受信したトリガー信号に含まれるトリガーIDを抽出し(S402)、抽出したトリガーIDと自身の固有IDとを含む返信情報を生成する(S403)。ここでは、受信したトリガー信号(A)に含まれるトリガーID(A)を抽出し、抽出したトリガーID(A)と自身の固有ID(1101)とを含む返信情報(1101+A)を生成する。そして、生成した返信情報を、IDタグ210の発信アンテナを介して発信する(S404)。ここで、IDタグ210の発信アンテナは第4の発信手段として作動する。ここでは、生成した返信情報(1101+A)を、IDタグ210の発信アンテナを介して発信する。
なお、IDタグ210の受信アンテナを介してトリガー信号を受信しない場合(S401において、NO)、S401の処理を繰り返す。
なお、上記で説明した重機の近接検知システム10aでは、検知ユニット110aが、一台の重機100bに備えられる検知ユニット110b及び一人の作業者200に保持されるIDタグ210の接近を検知する場合について説明したが、当然これに限らず、検知ユニット110が、他の複数の検知ユニット110及び複数のIDタグ210の接近を検知してもよい。
図8は、図2のブロック図で説明した検知ユニット110に備えられるディスプレイ300に所定の情報が表示されている様子を示す模式図である。図8を参照して、ディスプレイ300には、接近を検知している重機100及び作業者200に関する所定の情報が一覧表301に表示されている。ここで、ディスプレイ300は表示手段として作動する。一覧表301に表示されている項目は、「ID」「種別」「進入時刻」「滞在時間」である。ここで、「ID」は接近している重機100の搭載IDタグ120又は作業者200のIDタグ210を識別するための固有ID、「種別」は重機100又は作業者200の何れであるか、「進入時刻」は接近された時刻、「滞在時間」は接近されてから経過した時間を示している。
なお、ディスプレイ300の一覧表301に表示される項目は上記したものに限られず、例えば、所定の時間内において何回接近されたかを示す進入回数等、その他の項目が表示されてもよい。なお、ここでは一覧表301の他に、現在時刻として「現在時刻:○○○○年××月△△日14:35」が表示され、接近を検知している作業者200の合計人数及び重機100の合計台数として「作業者4人、重機2台が検知エリア内に存在します。」が表示されている。なお、ここでいう検知エリアとは、自身が備えられる検知ユニット110のトリガー信号受信可能エリア150又はIDタグ210のトリガー信号受信可能エリア250のことである。
なお、ディスプレイ300において一覧表301の他に表示される内容は、上記したものに限られず、他の内容が表示されてもよい。なお、ディスプレイ300は重機100に乗車する作業者200が見ることができるよう、重機100内に備えられることが好ましい。なお、ディスプレイ300は検知ユニット110の前面や上面に内蔵する形式で取り付けてもよく、このとき、タッチパネル形式としてもよい。また、内蔵する形式ではなく検知ユニット110の外部に備えられてもよい。また、ディスプレイ300自体備えられなくてもよい。
次に、作業者200に保持されるIDタグ210が、複数の検知ユニット110各々から発信されるトリガー信号を同時に受信したとき動作しなくなる場合について説明する。図5の模式図に示したように、作業者200に保持されるIDタグ210は、トリガー信号受信可能エリア250−aに進入するとともに、トリガー信号受信可能エリア250−bにも進入している。このとき、IDタグ210は検知ユニット110a,110b各々から発信されるトリガー信号(A),(B)を同時に受信する。IDタグ210は、このように複数のトリガー信号を同時に受信するとき、トリガー信号を受信しているにも拘わらず動作しない場合がある。
すなわち、作業者200が重機100a,100bの両方に接近しているにも拘わらず、IDタグ210が返信情報(1101+A)及び返信情報(1101+B)を生成して発信しないために、検知ユニット110a,110bが作業者200に保持されるIDタグ210の接近を検知せず警報を発報しない場合がある。このように、IDタグ210が動作しない理由について説明する。
相互に重なって干渉する高周波電磁波同士は、パルスコード変調信号を重ねると相互の信号の隙間を埋め合わせるような補数関係にあるパルスコード変調信号となる。したがって、高周波磁気フィールドの重なった重畳エリアの内、トリガー信号の強度が近似しているエリアはパルスコード変調信号が近似した電位レベルで相互に隙間を埋め合わされるために、IDタグ210は、高周波電磁波に含まれるパルスコード変調信号を検出することができない。つまり、この範囲(トリガー信号(A)とトリガー信号(B)を両方とも受信可能なエリア)は高周波磁気フィールドのエリアであっても検知不可能な無効なエリアとなり、IDタグ210が、検知ユニット110a,110b各々から発信される両方のトリガー信号を受信する位置に進入しているとき、IDタグ210が動作しない場合がある。
そこで、この実施の形態では、重機100a,100b各々が備える検知ユニット110a、110bの制御部111a、111bが行う制御により、検知ユニット110a、110bが相互に接近したときトリガー信号(A)とトリガー信号(B)の発信周期を相互に異なった発信周期に変更する。
具体的には、制御部111aは、受信アンテナ140aを介してトリガー信号(B)を受信すると、受信したトリガー信号(B)からトリガーID(B)を抽出し、抽出したトリガーID(B)と自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とを比較する。比較した結果、相互に異なっている場合、メモリ114aに格納するランダム化されたタイムテーブルを参照して、自身のトリガー信号(A)の発信周期を受信したトリガー信号(B)の発信周期とは異なる発信周期に変更する。ここで、制御部111aは、発信周期変更手段として作動する。
ここでは、検知ユニット110aが受信したトリガー信号(B)から抽出したトリガーID(B)と、自身の検知ユニット110aのトリガーID(A)とが相互に異なっている。したがって、メモリ114aに格納するランダム化されたタイムテーブルを参照して、自身のトリガー信号(A)の発信周期を受信したトリガー信号(B)の発信周期とは相互に異なる発信周期に変更する。そして、変更した発信周期で発信アンテナ130aを介してトリガー信号(A)を発信する。
こうすることにより、トリガー信号の強度が近似しているエリアでもパルスコード変調信号が近似した電位レベルで相互に隙間を埋め合わせることがないために、IDタグ210は、トリガー信号(A)とトリガー信号(B)を両方とも受信可能なエリアに進入しているときでも確実に動作することが可能となる。なお、検知ユニット110aは、トリガー信号(B)を受信しなくなったとき、自身から発信するトリガー信号(A)の発信周期を変更前の発信周期に戻すことが好ましい。検知ユニット110bについても同様である。
次に、上記したように、検知ユニット110a,110bが相互に接近したとき、トリガー信号の発信周期を相互に異なるように変更する場合の他の実施の形態について説明する。図9はこの実施の形態に係る重機の近接検知システム10bを上方向から見た模式図である。なお、トリガー信号受信可能エリア150b−a,150a−bを明記していること、及び検知ユニット110a,110bとIDタグ210とにトリガー信号の受信感度を調整するためのトリガー信号受信感度調整手段を備えるようにして、これにより予めトリガー信号受信可能エリア150b−a,150a−bの大きさを例えば25m、トリガー信号受信可能エリア250−a,250−bの大きさを例えば10mに設定していることを除いて、図5で説明した重機の近接検知システム10aと同様である。したがって同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は省略する。
図9を参照して、ここでは図示するように、IDタグ210は、自身のトリガー信号受信可能エリア250−a,250−bにともに進入していない。したがって、トリガー信号(A),(B)はともにIDタグ210に受信されない。
一方で、トリガー信号受信可能エリア150b−aには、検知ユニット110bが進入している。したがって、検知ユニット110bは検知ユニット110aから発信されるトリガー信号(A)を受信する。トリガー信号(A)を受信した検知ユニット110bは、制御部111bの制御により、自身が発信するトリガー信号(B)の発信周期を、受信したトリガー信号(A)の発信周期とは相互に異なる発信周期に変更する。なお同様にして、トリガー信号受信可能エリア150a−bには、検知ユニット110aが進入している。したがって、検知ユニット110aは検知ユニット110bと同様に動作して、トリガー信号(A)の発信周期を変更する。
以上のように、IDタグ210と搭載IDタグ120a,120bのトリガー信号の受信感度を調整して、IDタグ210のトリガー信号受信可能エリア250−a,250−bの大きさを、検知ユニット110のトリガー信号受信可能エリア150b−a,150a−bの大きさと比較して小さく設定することにより、IDタグ210が複数の検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信する前に、複数の検知ユニット各々から発信されるトリガー信号の発信周期を相互に異なるように変更できる。
すなわち、上記で説明したようにIDタグ210が複数のトリガー信号を同時に受信した場合でも起動しなくなる虞が低減し、確実に重機同士の接近を検知することが可能となることに加えて、より確実に重機と人との接近を検知することも可能となる。
次に、さらに他の実施の形態について説明する。図10はこの実施の形態に係る重機の近接検知システム10cに含まれる、IDタグ210を保持する作業者200が乗車した重機100aを上方向から見た模式図である。なお、この実施の形態は、検知ユニット110aが、後に説明するキャンセル信号を発信するためのキャンセル信号発信部を備えること、重機100aにIDタグ210を保持する作業者200が乗車していることを除いて、図5に示した重機の近接検知システム10aと同様の構成であるため、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は省略する。なお、ここでの説明では不要なため、重機100b、作業者200、トリガー信号受信可能エリア150b−a,150a−bの図示は省略してある。
図10を参照して、重機100aにはIDタグ210を保持する作業者200が乗車している。すなわち、IDタグ210がトリガー信号受信可能エリア250−a内に滞在し続けている。このとき、IDタグ210がトリガー信号(A)を受信し続け、これに応じて返信情報(1101+A)を発信し続けて、この返信情報(1101+A)を検知ユニット110aが受信し続けると、警報出力部116aが作動し続けてしまう。
そこで、検知ユニット110aに、トリガー信号(A)の一部をキャンセルするための信号であるキャンセル信号を発信させるキャンセル信号発信部を備えるようにする。ここで、キャンセル信号発信部は、キャンセル信号発信手段として作動する。IDタグ210がこのキャンセル信号を受信可能なエリアを、キャンセル信号受信可能エリア255−aとして図中一点鎖線で示す。キャンセル信号受信可能エリア255の範囲は、図示するように、重機100aの存在する範囲に近似させることが好ましい。
このとき、キャンセル信号受信可能エリア255−a内では、トリガー信号(A)がキャンセルされるため、当然、IDタグ210はトリガー信号(A)を受信せず、返信情報(1101+A)を生成及び発信しない。よって、重機100aにIDタグ210を保持する作業者200が乗車していても、このIDタグ210によっては検知ユニット110aの警報出力部116aが作動することはない。
そして、ここでは、IDタグ210がトリガー信号受信可能エリア250−aのキャンセル信号受信可能エリア255−aを除いた範囲に存在するときのみ警報出力部116aを作動して警報を発報することが可能となる。
こうすることにより、作業者200は重機100aに乗車するときIDタグ210を取り外さなくてもよくなるため手間が省ける。また、当然、作業者200が重機100aから下車して作業するときにIDタグ210を保持し忘れることもなくなる。したがって、確実に重機同士の接近を検知することが可能となることに加えて、より確実に重機と人との接近を検知することも可能となる。
また、IDタグを有する作業者が運転しても警報が鳴らないようにできる。
なお、上記した実施の形態では、例えば、検知ユニット110bがトリガー信号(B)を発信し、重機100aの搭載IDタグ120aがこのトリガー信号(B)を受信したことに応じて返信情報(1001+B)を生成及び発信し、検知ユニット110aがこの返信情報(1001+B)を受信し、受信した返信情報(1001+B)に含まれる固有ID(1001)を抽出し、抽出した固有ID(1001)が検知ユニット110bの固有IDであると判定することにより、検知ユニット110bの接近を検知して警報を発報するものであった。
しかしながら、これに限らず、例えば検知ユニット110aの制御部111aは、検知ユニット110bから発信されるトリガー信号(B)を、搭載IDタグ120aの受信アンテナを介して受信し、受信したトリガー信号(B)に含まれるトリガーID(B)を抽出し、抽出したトリガーID(B)と自身のトリガーID(A)とを比較して、相互に異なるため、これにより警報出力部116aを作動するように制御してもよい。ここで、発信アンテナ130bは第1の発信手段として作動し、搭載IDタグ120aの受信アンテナは第1の受信アンテナとして作動し、警報出力部116aは第1の警報手段として作動し、制御部111aは第1の制御手段として作動する。
こうすることにより、検知ユニット110aは、検知ユニット110bから発信されるトリガー信号(B)を自身の搭載IDタグ120aが受信することのみで警報出力部116aを作動できるため、より迅速に警報を発報することが可能となる。また、このようにする場合、搭載IDタグ120の代わりに、単にトリガー信号を受信するだけの機能を備えたトリガー信号センサーを備えるようにすればよいため、検知ユニット110の構成をより簡単なものとすることができる。なお、搭載IDタグ120は検知ユニット110の内部に独立して設けるようにしたが、一方でトリガー信号センサーは検知ユニット110の制御部111と接続して設けるようにする。
ここで、トリガー信号センサーを備えるようにした場合のさらなる効果について説明する。上記した実施の形態で説明した搭載IDタグ120及びIDタグ210は、検知ユニット110から発信されるトリガー信号を受信したことに応じて返信情報を発信する前に、ランダムな時間休止する構成とすることが好ましい。これは、例えば一つのトリガー信号を受信する搭載IDタグ120及び/又はIDタグ210が複数存在する場合、これら各々から同時に返信情報が発信されることを防止するためである。こうすることにより、各々から発信された返信情報を、検知ユニット110が確実に受信できるようになる。
しかしながら、検知ユニット110に搭載IDタグ120を設けて、さらに上記で説明した発信周期変更手段を設けるようにした場合においては、検知ユニット110は、自身の搭載IDタグ120が、他の検知ユニット110から発信されたトリガー信号を受信したことに応じて自身のトリガー信号の発信周期を変更するとき、受信した他の検知ユニット110のトリガー信号の発信周期を踏まえて、これと相互に異なる発信周期に変更することができない。すなわち、変更した自身のトリガー信号の発信周期と受信した他の検知ユニット110のトリガー信号の発信周期とが同じになる虞が生じる。これは、検知ユニット110が、他の検知ユニット110のトリガー信号の発信周期を認識できないためである。なぜなら、検知ユニット110は、自身の搭載IDタグ120がランダムな時間休止した後に発信する返信情報を受信して、他の検知ユニット110のトリガー信号を認識するためである。
そこで、搭載IDタグ120の代わりに上記したトリガー信号センサーを設けるようにし、他の検知ユニット110のトリガー信号を、トリガー信号センサーが受信することのみで認識できるようにする。こうすることにより、検知ユニット110がトリガー信号を認識するまでに、上記で説明した搭載IDタグ120の休止時間のようなランダムな時間が介在しない。その結果、他の検知ユニット110のトリガー信号の発信周期を即時に認識できるため、この発信周期を踏まえて相互に異なる発信周期に変更することが可能となる。つまりは、自身のトリガー信号の発信周期を、受信した他の検知ユニット110のトリガー信号の発信周期とは確実に異なるように変更できる。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図11は、この実施の形態を示す模式図である。この実施の形態においては、フォークリフトのような重機100の走行する範囲内において、重機100が侵入できない安全地帯80を設け、その内部に位置する作業者200cについては、重機100のトリガー信号に応答しないように設定する。
図11を参照して、安全地帯80は扉81を有する凹状の部屋であって、その外部に検知開始トリガー信号発信部83を有し、その内部に検知停止トリガー信号を発信する検知停止トリガー信号発信部82を有する。作業者200が安全地帯80に入場し、作業者200が持つIDタグ210が検知停止トリガー信号を受けると、IDタグ210は重機100から出力される検知用のトリガー信号を受けてもIDタグ210が発信しないモードになる。作業者200の携帯するIDタグ210が検知開始トリガー信号を受けると、IDタグ210は通常の発信モードに戻る。
このような構成とすることにより、実際に作業を行っている作業者のみを重機が検出できるようになる。なお、安全地帯の形状は図11に示すものに限らず、任意の形状でありうる。
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、重機100の周囲全体を1つの発信アンテナでカバーする場合について説明した。一方で、重機100のサイズが大きくなると、重機100の周囲全体を1つの発信アンテナでカバーするのが困難になりうる。または、大型の重機を1つの発信アンテナでカバーするのに必要な大きな出力の検知ユニットを準備するにはコストが高くなる場合がある。そこで、この実施の形態においては、検知ユニットに設けられる発信アンテナを複数設け、これらを重機の進行方向の前後や左右に配置することにより、トリガー信号の到達エリアを拡大するようにした。
図12はこの場合の検知ユニットと発信アンテナとの位置関係を示す図である。図12を参照して、重機100は単一の検知ユニット110を含み、この検知ユニット110の進行方向(図中矢印Aで示す)の前後および左右に発信アンテナ131a〜131dを配置した状態と、その場合の発信アンテナ131a〜131dからのトリガー信号の到達エリア132a〜132dを示す図である。
図に示すように、このようにすることによって、大型の重機100においてもその前後左右においてトリガー信号の到達エリアを拡大できる。また、小さな重機においては、小型の装置を利用することが可能になる。
なお、上記した実施の形態では、検知ユニット110に備えられる搭載IDタグ120は、検知ユニット110に備えられる他の構成要素とは独立している場合について説明した。しかしながら、これに限らず、例えば検知ユニット110全体を制御する制御部111と、搭載IDタグ120全体を制御する制御部とを一つの制御部としてまとめてもよい。また、検知ユニット110と搭載IDタグ120で共通するその他の構成要素を一つにまとめてもよい。
なお、上記した実施の形態では検知ユニット110に制御部111や搭載IDタグ120等の全ての装置が収容される場合について説明したが、これに限らず、検知ユニット110に備えられる装置各々は独立して備えられてもよい。
なお、上記した実施の形態ではトリガー信号受信可能エリア150b−a,150a―b,250−a,250−b,キャンセル信号受信可能エリア255−aを正円で図示したが、これに限らず楕円やその他の形状としてもよい。
また、上記実施の形態においては、トリガー信号は検知ユニットが有する搭載IDタグの受信アンテナから出力する場合について説明したが、これに限らず、特許第5512906号に記載されているようなトリガー信号発生装置を用いてもよい。すなわち、所定の離隔距離で対向して配置され、それぞれが所定の磁界強度分布を有する第1および第2トリガーコイルと、第1および第2トリガーコイルが発生する磁界の強度を、第1および第2のトリガーコイルが設けられた側において、IDタグに第1および第2トリガーコイルのトリガーIDを検出させ、第1および第2のトリガーコイルが設けられた側の反対側において、IDタグに第1トリガーコイルのトリガーIDを検出させない所定のレベルまで減衰する減衰手段とを有する、トリガー信号発生装置を用いてもよい。
また、これを用いて、例えば、それぞれが異なる、4つの検出エリアIDを有する半球状のトリガーエリアを生成し、これらを順に検出するようにしてもよい。
4つの検出エリアIDを有する半球状のトリガーエリアを生成し、これらを順に検出するようにしてもよい。
また、4つの検出エリアIDを有する半球状のトリガーエリアにおいて、不要の検出エリアについて検出せず、所望の検出エリアのみを検出するようにしてもよい。
さらに、このような所望の検出エリアのみを検出する方法は、先の実施の形態で示した1つの検知ユニットに対して前後左右に複数の発信アンテナを設ける場合にも採用できる。そうすれば、必要なエリアのみの検出が可能になる。
また、上記実施の形態においては、所定の情報は検知ユニットのディスプレイに設ける場合について説明したが、これに限らず、ディスプレイに表示される内容を、検知ユニットとは別に設けたタブレットやパソコンの画面に表示してもよい。
こうするとともに、事前にユーザとIDタグ、重機のID等を登録することにより、検知ユニットだけでなく、別途設けられたタブレットやパソコンの画面上で誰(または重機)が重機に近接しているのかを知ることができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
そのような内容の一部を以下に示す。
1.第3の制御手段は、第3の発信手段から発信する第1の返信情報を所定の時間が経過したとき停止するよう制御する。
2.第4の制御手段は、第4の発信手段から発信する第2の返信情報を所定の時間が経過したとき停止するよう制御する。
3.発信周期変更手段は、第1の受信手段または第4の受信手段が第2のトリガー信号または第4のトリガー信号を受信しなくなったとき、所定の発信周期を変更前の発信周期に戻す。
4.発信周期変更手段は、ランダム化されたタイムテーブルを用いて、第1のトリガー信号または第3のトリガー信号の発信周期を全て異なるように管理する。
5.第1の制御手段または第2の制御手段は、第1の警報手段または第2の警報手段から発報する警報を所定の時間が経過したとき停止するよう制御する。