JP6483480B2 - 破骨細胞分化抑制剤、及び骨芽細胞分化促進剤 - Google Patents

破骨細胞分化抑制剤、及び骨芽細胞分化促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進技術に関するものである。詳細には、ヒトなどにおいて、安全に且つ効果的に破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をし、骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などを行う剤等に関するものである。
ヒトなどにおいては、骨は破骨細胞と骨芽細胞がバランスを保つことで正常なリモデリングが行われるが、加齢や閉経、糖尿病などによりこのバランスが崩れると、骨粗しょう症などの骨吸収性疾患を発症しやすくなる。この時の状態は、破骨細胞の分化が骨芽細胞の分化より促進されて骨溶解の方向にバランスが傾いており、結果として、骨量が減少したり、骨がもろくなり骨折しやすくなったりする。
このような骨吸収性疾患には投薬治療を行うのが主流である。現在、骨粗しょう症の薬として処方されるビスホスホネート製剤のような骨吸収抑制剤は、破骨細胞の活動を抑制することで骨量を増加させるが、同時に骨芽細胞の分化因子を減少させて新しい骨の形成も抑制する。このため、長期継続すると古い骨しか残らず骨が劣化し、顎骨の壊死、大腿骨骨折が起こるといった副作用の問題点がある。
一方、健康食品分野においては、主に安全性を考慮して、食品由来のものを有効成分とした骨粗しょう症予防治療や骨強化などを目的とする機能性食品、サプリメントなどが多く開発されている(特許文献1〜4)。
しかし、これらの機能性食品やサプリメントなどは効果が十分でない場合も多く、当業界においては、ヒトなどの骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の効果的な予防及び/又は治療などを可能とし、且つ、安全性の高い更なる成分(特に食品由来成分)の開発が引き続き望まれ、特に、破骨細胞分化抑制と骨芽細胞分化促進の両方の効果を発揮するような成分が求められている。
特開平10−114653公報 特開平11−012192公報 特開2001−302539公報 特開2009−096718公報
本発明は、簡便且つ効果的で安全性の高い、ヒトなどにおいて破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をすることで骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などをすることができる剤等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、ビートパルプからのエタノール抽出により得られるビートパルプエタノール抽出物を有効成分とすることで、簡便に且つ効果的に破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をし、骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などを行うことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)ビートパルプエタノール抽出物を有効成分としてなる破骨細胞分化抑制剤。
(2)ビートパルプエタノール抽出物を有効成分としてなる骨芽細胞分化促進剤。
(3)骨吸収性疾患の予防及び/又は治療用(骨吸収疾患予防治療剤)であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の剤。
(4)骨吸収性疾患が、骨粗しょう症及び/又は骨量減少であることを特徴とする、(3)に記載の剤。
(5)ビートパルプエタノール抽出物が、ビートパルプから2〜10倍量のエタノールで抽出して得られた抽出物固形分であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤。
(6)ビートパルプが、甜菜根から糖分を含む水溶性成分を採取した後の残渣を洗浄、脱水、乾燥、粉砕及び篩分したビートファイバーであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の剤。
(7)1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、ビートパルプエタノール抽出物を5〜500mg含有することを特徴とする、骨吸収性疾患予防及び/又は治療用飲食品、又は、飼料。
(8)ビートパルプエタノール抽出物を含有する飲食品又は飼料を経口的に継続摂取させることを特徴とする、骨量減少抑制方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
本発明によれば、食品由来成分であり安全性の高いビートパルプエタノール抽出物を有効成分としてなる剤等を用いることで、ヒトなどにおいて破骨細胞分化を抑制し且つ骨芽細胞分化を促進し(破骨細胞分化抑制と骨芽細胞分化促進のいずれもの効果を発揮し)、これにより、骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などを効果的に行うことができる。
実施例2の試験における、マウス前駆破骨細胞の酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色後の顕微鏡観察写真を示す(図面代用写真)。左から順に、ビートファイバーエタノール抽出物無添加培養細胞(コントロール)、ビートファイバーエタノール抽出物(BF EtOH)0.05mg/mL添加培養細胞、ビートファイバーエタノール抽出物(BF EtOH)0.1mg/mL添加培養細胞、ビートファイバーエタノール抽出物(BF EtOH)0.2mg/mL添加培養細胞を染色処理した後の写真である。 実施例2の試験における、マウス前駆破骨細胞溶解液のTRAP活性測定結果のグラフを示す。横軸は、左から順に、ビートファイバーエタノール抽出物無添加細胞溶解液(コントロール)、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.05mg/mL添加細胞溶解液、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.1mg/mL添加細胞溶解液、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.2mg/mL添加細胞溶解液を表し、縦軸は、コントロールを100%としたときのTRAP相対活性(%)を表す。 実施例3の試験における、MG−63細胞のアルカリ性フォスファターゼ(ALP)染色後の顕微鏡観察写真を示す(図面代用写真)。左から順に、ビートファイバーエタノール抽出物無添加培養細胞(コントロール)、ビートファイバーエタノール抽出物(BF EtOH)0.05mg/mL添加培養細胞、ビートファイバーエタノール抽出物(BF EtOH)0.1mg/mL添加培養細胞を染色処理した後の写真である。 実施例3の試験における、MG−63細胞溶解液のALP活性測定結果のグラフを示す。横軸は、左から順に、ビートファイバーエタノール抽出物無添加細胞溶解液(コントロール)、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.05mg/mL添加細胞溶解液、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.1mg/mL添加細胞溶解液、ビートファイバー(BF)エタノール抽出物0.2mg/mL添加細胞溶解液を表し、縦軸は、コントロールを100%としたときのALP相対活性(%)を表す。
本発明においては、ビートパルプからのエタノール抽出により得られるビートパルプエタノール抽出物を破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進剤等の有効成分として使用する。なお、本発明において「ビートパルプ」とは、製糖原料である甜菜根から糖分を含む水溶性成分を粗汁として採取した後の繊維質残渣(滓;生パルプ)、あるいはこれを乾燥、粉砕したもの(乾燥パルプ)であり、甜菜中の水不溶性食物繊維成分を主体としたものを意味する。このビートパルプは、食品素材(食物繊維素材)としても用いられている食経験の豊富な安全性の高いものである。
また、本発明においては、ビートファイバーからのエタノール抽出により得られるビートファイバーエタノール抽出物を用いるのがより好適である。ここで、本発明における「ビートファイバー」とは、ビートパルプを洗浄、脱水、乾燥、粉砕及び篩分した、100メッシュを通過する粒度の白灰色粉末を意味し、日本甜菜製糖株式会社製品などを用いることができる。このビートファイバーも、同様に食品素材(食物繊維素材)としても用いられている食経験の豊富な安全性の高いものである。
ビートパルプからのエタノール抽出物(抽出物固形分)の取得は、例えば、生パルプ、乾燥パルプ、ビートファイバーから選ばれる1以上に2〜10倍量(例えば5〜8倍量)のエタノールを加え、常温(10〜30℃程度)で、あるいは加熱(30〜50℃程度)しながら12〜24時間程度攪拌し、これを固液分離した後にエタノール画分を乾固することにより得ることができる。この溶媒量や抽出時間、温度などは、原料の状態等により適宜設計変更することができ、これに限定されるものではない。
なお、本発明のビートパルプエタノール抽出物は、上記のように水溶性成分抽出残渣のビートパルプからのエタノール抽出により得たものであるため、ビート中の脂溶性成分が主体であり且つ水溶性成分をほとんど含まないことが特徴である。また、ビートパルプエタノール抽出物は、乾燥物(固体、粉体状、顆粒状)とすることが好ましいが、適当な溶媒を用いて液状、ペースト状としても良く、性状は特に限定されない。
このようにして得たビートパルプエタノール抽出物を有効成分として、本発明に係る破骨細胞分化抑制剤、骨芽細胞分化促進剤、骨吸収疾患予防治療剤等とする。剤の形態としては、例えば粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ゲル剤等としたものが例示される。これらの各種製剤は、有効成分となるビートパルプエタノール抽出物のみを経口投与できるよう単独成分で製剤化しても良いし、必要であれば医薬剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤等を併用して、常法により製剤化することもできる。また、ビートパルプエタノール抽出物以外の破骨細胞分化抑制、骨芽細胞分化促進に関与する有効成分の併用も完全には除外されないが、本発明ではビートパルプエタノール抽出物のみを有効成分とすることが好適である。
製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤等としては、例えば、添加剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤、界面活性剤、防腐剤(抗菌剤)、香料、増粘剤、抗酸化剤、キレート剤、ビタミン類、アミノ酸類、糖質、pH調整剤、発泡剤など例示することができ、これらの成分の1種又は2種以上を適宜組み合わせて、目的とする剤型に応じて、原料の段階から製品が完成するまでの工程で配合されたものであればよい。
本発明に係るビートパルプエタノール抽出物を有効成分として含有する剤は、ヒトなどに対して経口投与又は給与を行う。投与量は、5〜500mg/日の有効成分が、ヒトに対して1日1回経口摂取されることが例示され、好ましくは10〜400mg/日の有効成分が、ヒトに対して1日1回経口摂取されるのが有効である。なお、この数値から動物種や体重等による所要の換算等を行って投与量を設定してもよい。また、投与時期についても特に限定されず、1日摂取量を数回に分けて摂取しても構わない。
本発明は、主としてヒトの破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をし、骨吸収疾患予防治療等をするものであるが、対象動物はヒトに限定されるものではなく、家畜、ペットなどのヒトを除く骨を有する動物(脊椎動物)を対象として、これらに上記有効成分を投与又は給与しても良い。
このようにして、安全性の高いビートパルプエタノール抽出物を有効成分としてなる本発明の破骨細胞分化抑制剤及び骨芽細胞分化促進剤、骨吸収疾患予防治療剤等を用いることにより、簡便に、また安全に且つ効果的に、破骨細胞の分化を抑制し、また、骨芽細胞の分化を促進し、骨吸収疾患の予防治療などを行うことができる。
なお、本発明において「破骨細胞分化抑制剤」、「骨芽細胞分化促進剤」、「骨吸収疾患予防治療剤」とは、ビートパルプエタノール抽出物を医薬有効成分としてなる医薬剤だけでなく、上記有効成分を含有し、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の特定の機能及び形態を有し、健康維持などを目的として摂取され、有効成分の用量(有効量)や用法が規定され且つ単位包装当たりでその用量が摂取できる、単に食品としてのみ利用されるものとは明確に区別される破骨細胞分化抑制、骨芽細胞分化促進、骨吸収疾患予防治療用途等の食品組成物(医薬部外品を含む)、飼料組成物も包含される。
また、用法、用量等が明確に規定されていない一般的な飲食品形態、飼料形態のものは、「骨吸収性疾患予防及び/又は治療用飲食品、飼料」に包含される。但し、ビートパルプエタノール抽出物を含むが、特別な用途がなく、単に食品として利用されるのみの組成物は本発明から明確に除外され、また、破骨細胞分化抑制、骨芽細胞分化促進、骨吸収疾患予防治療の用途以外の医薬品、飲食品、飼料も当然除外される。
しかし、本発明の「骨量減少抑制方法(ヒトに対する医療行為を除く)」においては、上記組成物だけでなく、ビートパルプエタノール抽出物を5〜500mg含有するが単に食品として利用されるのみの組成物を経口的に継続摂取(毎日連続摂取)させる方法も包含される。けれども、この方法には、ビートパルプエタノール抽出物を有効成分とする医薬品を医師の処方によりヒトに投与する場合のような、いわゆるヒトに対する医療行為は除外される。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(ビートパルプエタノール抽出物の調製)
ビートパルプエタノール抽出物は、下記の方法により調製した。
乾燥ビートパルプを洗浄、脱水、乾燥及び粉砕し、100メッシュを通過する粒度に篩分したビートファイバーを、常温において5倍量のエタノールで24時間抽出し、不溶性固形物を除去した後に乾固(溶媒除去)することで、ビートパルプエタノール抽出物(ビートファイバーエタノール抽出物)を得た。なお、以下の試験には、このビートパルプエタノール抽出物(ビートファイバーエタノール抽出物)を使用した。
(ビートパルプエタノール抽出物の破骨細胞分化への影響確認試験)
ビートパルプエタノール抽出物(ビートファイバーエタノール抽出物)の破骨細胞分化への影響を確認するため、以下の試験を実施した。
細胞はコスモ・バイオ株式会社製品のマウス前駆破骨細胞を用いた。マウス前駆破骨細胞はウシ胎児血清(FBS)10%(v/v)を含むα−改変非必須アミノ酸添加α−MEM培地(100IU/mL penicillin、100mg/mL streptomycinを含む)に、分化誘導剤として50ng/mL Macrophage colony−stimulating factor(M−CSF)と50ng/mL Receptor activator of nuclear factor kappa−β ligand(RANKL)を添加したものを用いて、37℃、5%CO存在下で培養した。プレートには1×10cells/wellとなるように96ウェルプレートに播種して培養を開始し、播種3日後からビートファイバーエタノール抽出物の添加を開始し4日間培養した。ビートファイバーエタノール抽出物は、終濃度0.05、0.1、0.2mg/mLとなるようにそれぞれDMSOに溶解し、培地に対してDMSO0.1%の濃度になるように添加した。コントロール(ネガティブコントロール)としてDMSOを0.1%添加したものも実施した。
これらについて、破骨細胞分化の指標として酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色、及び活性の測定を行った。TRAP染色は、和光純薬工業株式会社製品のTRAP染色キットを用いて試験した。具体的には、培養液を抜き取り200μL/wellのPBSで細胞を3回洗浄し、あらかじめ冷却しておいた10%ホルマリン溶液を50μL/well加えて細胞を固定した。そして、氷上で10分静置し、PBSで3回洗浄後、エタノール/アセトン(50:50,v/v)を50μL/well加え、−30℃で1分間インキュベートし細胞の透過処理をした。さらに、PBSで3回洗浄後、TRAP染色液を50μL/well加え37℃で約30分間反応させて顕微鏡にて観察を行った。
TRAP活性測定は、タカラバイオ株式会社製品のTRACP&ALP Assay Kitを用いて試験した。具体的には、培養液を取り除いた後に細胞抽出液を加え細胞を溶解し、細胞溶解液50μLにTRAP用緩衝液を50μL加えて37℃で60分反応させた後、0.5NのNaOHを50μLずつ分注し、反応停止後405nmの吸光値を測定した。
この顕微鏡観察の結果を図1に、TRAP活性測定の結果を図2に示した。図1より、ネガティブコントロールであるDMSO0.1%添加control群では、分化破骨細胞に特徴的な個々の細胞核が融合して多核化した細胞が見られた。一方、ビートファイバーエタノール抽出物を添加した細胞に多核化細胞は確認できず、また、分化破骨細胞の指標であるTRAPの染色の濃淡も濃度依存的に薄くなっていた。さらに、図2に示すように、ビートファイバーエタノール抽出物は濃度依存的にTRAP活性を抑制した。よってビートファイバーエタノール抽出物は破骨細胞への分化を抑制することが示された。
(ビートパルプエタノール抽出物の骨芽細胞分化への影響確認試験)
ビートパルプエタノール抽出物(ビートファイバーエタノール抽出物)の骨芽細胞分化への影響を確認するため、以下の試験を実施した。
細胞はヒト骨肉腫細胞MG−63を用いた。MG−63細胞はFBS10%(v/v)を含む非必須アミノ酸添加MEM培地(100IU/mL penicillin、100mg/mL streptomycinを含む)を用いて37℃、5%CO存在下で培養した。150mmシャーレで前培養を行い、5×10cells/wellとなるようにコラーゲンIコートの24ウェルプレートに播種して培養を開始した。コンフルエントになった後、ビートファイバーエタノール抽出物の添加を開始した。ビートファイバーエタノール抽出物は、終濃度0.05、0.1、0.2mg/mLとなるように実施例1と同様の方法で調製し添加した(コントロールも同様)。ビートファイバーエタノール抽出物添加後5日目の細胞及びコントロールを試験に供した。
これらについて、骨芽細胞分化の指標としてアルカリ性フォスファターゼ(ALP)染色、及び活性の測定を行った。ALP染色は、和光純薬工業株式会社製品のALP染色キットを用いて試験した。具体的には、まず培養液を抜き取り200μL/wellのPBSで細胞を3回洗浄し、あらかじめ冷却しておいた10%ホルマリン溶液を50μL/well加えて細胞を固定した。その後、氷上で10分静置し、PBSで3回洗浄後、エタノール/アセトン(50:50,v/v)を50μL/well加え、−30℃で1分間インキュベートし、細胞の透過処理をした。さらに、PBSで3回洗浄後、ALP染色液を50μL/well加え、37℃で約30分間反応させて顕微鏡にて観察を行った。
ALP活性測定はタカラバイオ株式会社製品のTRACP&ALP Assay Kitを用いて試験した。具体的には、培養液を取り除いた後に細胞抽出液を加えて細胞を溶解し、細胞溶解液50μLにALP用緩衝液50μL加えて37℃で60分反応させた後、0.5NのNaOHを50μLずつ分注し、反応停止後405nmの吸光値を測定した。
この顕微鏡観察の結果を図3に、ALP活性測定の結果を図4に示した。図3より、ビートファイバーエタノール抽出物添加群において、ALP染色の濃淡が濃度依存的に濃くなり、ALPの発現上昇が示された。また、図4に示すように、ビートファイバーエタノール抽出物添加群は、分化骨芽細胞から分泌されるALPの活性を濃度依存的に促進した。よってビートファイバーエタノール抽出物は骨芽細胞への分化を促進することが示された。
以上より、ビートパルプエタノール抽出物(ビートファイバーエタノール抽出物)が、破骨細胞分化抑制と骨芽細胞分化促進の両方の効果を発揮する成分であることが確認された。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、簡便且つ効果的で安全性の高い、ヒトなどにおいて破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をすることで骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などをすることができる剤等を提供することを目的とする。
そして、ビートパルプからのエタノール抽出により得られるビートパルプエタノール抽出物を有効成分とすることで、安全に且つ効果的に破骨細胞分化抑制及び骨芽細胞分化促進をし、骨吸収性疾患(骨粗しょう症、骨量減少等)の予防及び/又は治療などを行うことができる。

Claims (7)

  1. 甜菜根から糖分を含む水溶性成分を採取した後の残渣を洗浄、脱水、乾燥、粉砕及び篩分したビートファイバーを製造し、当該ビートファイバーであるビートパルプに2〜10倍量のエタノールを加え、10〜30℃の温度で抽出して得られた抽出物固形分である、ビートパルプエタノール抽出物を有効成分としてなる、破骨細胞分化を抑制し且つ骨芽細胞分化を促進する剤の製造方法。
  2. ビートファイバーが、100メッシュを通過する粒度に篩分したものであることを特徴とする、請求項1に記載の剤の製造方法。
  3. 抽出時間が、12〜24時間であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の剤の製造方法。
  4. 骨吸収性疾患の予防及び/又は治療用であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤の製造方法。
  5. 骨吸収性疾患が、骨粗しょう症及び/又は骨量減少であることを特徴とする、請求項4に記載の剤の製造方法。
  6. 1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたビートパルプエタノール抽出物を5〜500mg含有することを特徴とする、骨吸収性疾患予防及び/又は治療用飲食品、又は、飼料の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたビートパルプエタノール抽出物を含有する飲食品又は飼料を経口的に継続摂取させることを特徴とする、骨量減少抑制方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
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