図1は、実施形態に係る複写機1の全体構成を示す概略構成図である。
この複写機1は、色分解に対応した色のトナー像を担持する潜像担持体としての感光体3(Y,C,M,B)を複数並置したタンデム方式の構成を備えている。各感光体3(Y,C,M,B)上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト2上に互いに重なり合うように重畳転写(一次転写)され、その重畳トナー像は記録材である記録用紙に対して一括転写(二次転写)される。このようにして、複写機1では、記録用紙上に複数色画像を形成することができる。
図1において、画像形成装置たる複写機1は、画像形成部1Aが上下方向中央部に位置し、その下方には給紙部1Bが、さらに画像形成部1Aの上方には原稿読取部1Cが、それぞれ配置されている。
画像形成部1Aには、水平方向に展張面を有する中間転写ベルト2が配置されている。画像形成部1Aには、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)によるトナー像を担持する四つの感光体3(Y,C,M,B)が中間転写ベルト2の展張面に沿って並置されている。なお、以下の説明において、すべての色に共通する内容の場合には、色分け符号であるM、C、Y、Bを適宜省略する。
各感光体3(Y,C,M,B)は、それぞれ同じ方向(図1では、反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されている。そして、その周囲には、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4、書き込み装置5、現像装置6、一次転写装置、およびクリーニング装置8が配置され、作像部66を構成している。なお、図1においては、便宜上、ブラック用感光体3Bを対象として、各装置の符号を付してある。
中間転写ベルト2には、一次転写装置によって、各感光体3(Y,C,M,B)上のトナー像が順次転写させる。中間転写ベルト2は、複数のベルト張架ローラ(2A〜2D)に掛け回されて回転駆動する。展張面を構成する二つのベルト張架ローラ(2A,2B)とは別のベルト張架ローラとしては、中間転写ベルト2を挟んで二次転写装置9に対峙して、トナーと同極性のバイアスが印加された二次転対向ローラ2Cを備える。さらに、他のベルト張架ローラとしては、テンションローラ2Dを備える。
二次転写後の中間転写ベルト2上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置10により除去される。ベルトクリーニング装置10は、静電クリーニング方式であって、クリーニングローラもしくはクリーニングブラシにバイアスを印加し、中間転写ベルト2上に付着した転写残トナーを静電吸着してクリーニングする。
二次転写装置9は、二次転写ベルト9Cを備え、二次転写ベルト9Cは、四つの二次転写ベルト支持ローラ(9D,9E,9F,9G)に掛けまわされている。そして、四つの二次転写ベルト支持ローラのうちの一つが駆動ローラとして回転駆動することで、二次転写ベルト9Cは図1中の反時計回り方向に回転する。
図1に示す実施形態の複写機1では、二次転写ベルト9Cと定着装置11との間に、搬送ベルト91を備える。搬送ベルト91は、搬送ベルト駆動ローラ91Aと搬送ベルト従動ローラ91Bとに掛けまわされており、搬送ベルト駆動ローラ91が回転駆動することで、図1中の反時計回り方向に回転する。
二次転写ベルト9Cが中間転写ベルト2と対向する二次転写部に対して二次転写ベルト9Cの表面移動方向下流側の二次転写ベルト9Cの表面と対向する位置に光学センサユニット300を配置している。また、光学センサユニット300が対向する位置に対して二次転写ベルト9Cの表面移動方向下流側には、二次転写ベルト9Cの表面上の異物を除去する二次転写ベルトクリーニング装置90を備える。
四つの二次転写ベルト支持ローラのうちの一つは、二次転写部で二次転写ベルト9C及び中間転写ベルト2を挟んで、ベルト上トナーと同極性の二次転写バイアスが印加される二次転写対向ローラ2Cと向かい合う二次転写ローラ9Dである。また、二次転写ローラ9Dに対して図中左側に配置された支持ローラ9Eは、二次転写部を通過して二次転写ベルト9Cの表面上に担持された記録用紙が搬送ベルト91に受け渡される用紙分離部で二次転写ベルト9Cを張架する分離ローラ9Eである。また、分離ローラ9Eよりも下方に配置された支持ローラ9Fは、二次転写ベルト9Cが光学センサユニット300と対向する検知位置で二次転写ベルト9Cを張架するセンサ対向ローラ9Fである。さらに、センサ対向ローラ9Fの図中右側に配置された支持ローラは、二次転写ベルトクリーニング装置90のクリーニングブレードが接触する位置で二次転写ベルト9Cを張架する二次転写ベルトクリーニング対向ローラ9Gである。
実施形態に用いられる二次転写ベルト9Cは、単層構成のベルトである。具体例としては、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネ−ト)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、或いはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂単層のものが挙げられる。また、この単層構成の二次転写ベルト9Cの表面側にのみベルトの層自体の体積抵抗率よりもわずかに高抵抗の表層を設けたベルトでもよい。この場合、表層厚みとしては、1〜10[μm]程度が望ましい。
実施形態の複写機1では、四つの二次転写ベルト支持ローラのうちの一つが駆動ローラとして回転駆動することで二次転写ベルト9Cは、中間転写ベルト2に接触する二次転写部において、中間転写ベルト2と同方向に表面移動する。なお、一次転写装置のバイアス特性にもよるが、二次転写ローラ9Dに帯電特性を備えさせて記録用紙を静電吸着させるようにすることもできる。二次転写装置9は、二次転写ベルト9Cにより記録用紙を搬送する過程で、中間転写ベルト2上の重畳トナー像あるいは単色トナー像を記録用紙に転写する。
二次転写装置9には、給紙部1Bから記録用紙が給送されるようになっている。給紙部1Bは、複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1から繰り出される記録用紙の搬送路に配置された複数の搬送ローラ1B2とを備えている。また、画像形成部1Aの壁面には、一起倒可能に設けた手差しトレイ1A1と、繰り出しコロ1A2とを備えている。
給紙カセット1B1からレジストローラ1B3に向けた記録用紙の搬送路途中には、手差しトレイ1A1から繰り出された記録用紙の搬送路が合流している。そして、いずれの搬送路から給送される記録用紙も二次転写部の用紙搬送方向上流側に位置するレジストローラ1B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
書き込み装置5は、原稿読取部1Cに有する原稿載置台1C1上の原稿を走査することにより得られる画像情報あるいはコンピュータから出力される画像情報により書き込み光が制御される。そして、感光体3(Y,C,M,B)に対して画像情報に応じ静電潜像を形成するようになっている。
原稿読取部1Cには、原稿載置台1C1上の原稿を露光走査するスキャナ1C2が備えられており、さらに原稿載置台1C1の上面には、自動原稿給送装置1C3が配置されている。自動原稿給送装置1C3は、原稿載置台1C1上に繰り出される原稿を反転可能な構成を備え、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
書き込み装置5により感光体3(Y,C,M,B)上に形成された静電潜像は、現像装置6(図1では、便宜上、符号6Bで示してある。)によって現像処理され、現像処理された画像が中間転写ベルト2に一次転写される。中間転写ベルト2に対して色ごとのトナー像が重畳転写されると、二次転写装置9により記録用紙に対して一括して二次転写される。
二次転写された記録用紙は、表面に担持している未定着画像が定着装置11によって定着される。定着装置11は、加熱ローラにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに対向当接する加圧ローラと、を備えたベルト定着構造を有する。定着ベルトと加圧ローラとの当接領域、つまりニップ領域を設けることにより、別ローラ方式の定着構造に比べて記録用紙への加熱領域を広げることができるようになっている。定着装置11を通過した記録用紙は、定着装置11の後方に配置されている搬送路切り換え爪12によって搬送方向が切り換えられるようになっており、排紙トレイ1A3あるいは、反転されて再度レジストローラ1B3に向けて給送される。
図1に示されている複写機1において、転写手段である一次転写装置は、プラス極性の転写バイアスが印加される一次転写ローラ7(Y,C,M,B)を用いたものである。一次転写ローラ7(Y,C,M,B)は、軸受けと圧縮スプリングなどの弾性体とにより、中間転写ベルト2を介して感光体3に対向して所定圧力により押圧されている。
また、一次転写ローラ7(Y,C,M,B)は、感光体3(Y,C,M,B)の中心位置との対向位置に対して1〜2[mm]ほど、中間転写ベルト表面移動方向下流側にオフセットされた位置で、中間転写ベルト2と連動して回転するようになっている。これは、正規転写位置よりも前に転写バイアスによる転写が開始されて画像の流れなどの異常画像を発生させるプレ転写を防止するためである。
一次転写ローラ7(Y,C,M,B)は、金属芯金に中抵抗の電気特性を持つゴム材料を巻き付けた形態で構成されている。実施形態では、中抵抗の発泡ゴムで構成されており、その体積抵抗率は106〜1010[Ω・cm]、好ましくは107〜109[Ω・cm]の範囲である。材料は発泡ゴムに限定されることはなく、中抵抗のソリッドゴムでも同様に用いることが可能である。
一次転写ローラ7(Y,C,M,B)には、定電流制御された電源によってプラス極性の一次転写電圧が印加され、その電流設定値(一次転写電流の設定値)は、おおよそ、10〜40[μA]の範囲で制御される。このように一次転写ローラ7(Y,C,M,B)に一次転写電圧を印加することで、各感光体3(Y,C,M,B)と中間転写ベルト2との間の一次転写部には一次転写電界が形成される。この一次転写電界は、各感光体3(Y,C,M,B)上のトナー(マイナス極性)を中間転写ベルト2側へ引き寄せる方向の一次転写電界である。
一方、二次転対向ローラ2Cには、定電流制御された電源によってマイナス極性の二次転写電圧が印加される。このように二次転対向ローラ2Cに二次転写電圧を印加する構成においては、駆動ローラ9Dが電気的にアースされる。アースにつながっている駆動ローラ9Dと対向することで、二次転写部には、中間転写ベルト2上のトナー(マイナス極性)を記録用紙側へ押し出す方向の二次転写電界が形成される。
本実施形態に用いられる中間転写ベルト2は、50〜100[μm]の基層の上に、弾性層を100〜500[μm]設け、さらに、表層を備える三層ベルトによって構成された弾性中間転写ベルトである。基層の具体例としては、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、或いはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂により構成されたものがある。また、弾性層の具体例としては、ウレタン、NBR、CR等のゴム材料に同様にカーボン分散、或いはイオン導電剤配合により抵抗調整した材料を含んで構成されるものがある。表層の具体例としては、1〜10[μm]程度の厚みを持ったフッ素系のゴム、或いは樹脂、(或いは、それらのハイブリッド材料でも可)のコーティングを上記弾性層の表面に施したものがある。
また、中間転写ベルト2は、その体積抵抗率が106〜1010[Ω・cm]、好ましくは108〜1010[Ω・cm]の範囲である。また、その表面抵抗率は106〜1012[Ω/□]、好ましくは108〜1012[Ω/□]の範囲である。また、基層のヤング率(縦弾性率)は3000[Mpa]以上が望ましく、駆動による伸び、曲げ、しわ、波打ちに耐えるに十分な機械強度が必要である。このような弾性を備えた弾性中間転写ベルト2を用いることで、記録用紙の紙繊維の密度が低い紙や、表面に20〜30[μm]の凹凸を有する、いわゆるエンボス紙等の記録用紙においても、弾性層が凹部へ追従する。このため、記録用紙の凹部へのトナー転写性が良好になるというベタ埋り改善効果が知られている。
なお、本複写機においては、モノクロ画像を形成するモノクロモードと、カラー画像を形成するカラーモードとで、感光体3と中間転写ベルト2との接触状態を異ならせるようになっている。
具体的には、転写ユニットにおける4つの一次転写ローラ7(Y,C,M,B)のうち、黒用の一次転写ローラ7Bについては、他の一次転写ローラとは別に、専用のブラケットで支持している。
また、Y,M,C用の3つの一次転写ローラ7(Y,C,M)については、それらを共通の移動ブラケットで支持している。この移動ブラケットについては、ソレノイドの駆動によって、Y,M,C用の感光体3(Y,C,M)に近づける方向と、感光体3(Y,C,M)から遠ざける方向とに移動させることが可能である。
移動ブラケットを感光体3(Y,C,M)から遠ざける方向に移動させると、中間転写ベルト2の張架姿勢が変化して、中間転写ベルト2がY,C,M用の3つの感光体3(Y,C,M)から離間する。
ただし、B用の感光体3Bと中間転写ベルト2とは接触したままである。モノクロモードにおいては、このように、B用の感光体3Bだけを中間転写ベルト2に接触させた状態で、画像形成動作を行う。
上述の移動ブラケットを3つの感光体3(Y,C,M)に近づける方向に移動させると、中間転写ベルト2の張架姿勢が変化して、それまで3つの感光体3(Y,C,M)から離間していた中間転写ベルト2がそれら3つの感光体3(Y,C,M)に接触する。
このとき、B用の感光体3Bと中間転写ベルト2とは接触したままである。カラーモードにおいては、このように、4つの感光体3(Y,C,M,B)の全てを中間転写ベルト2に接触させた状態で、画像形成動作を行う。
かかる構成においては、移動ブラケットや上述したソレノイドなどが、感光体3と中間転写ベルト2とを接離させる接離手段として機能している。
Y,C,M,Bトナー像を中間転写ベルト2に一次転写した後の感光体3(Y,C,M,B)については、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーのクリーニング処理を施す。その後除電ランプで除電した後、帯電装置で一様に帯電せしめて、次の画像形成に備える。
また、記録紙Pに一次転写した後の中間転写ベルト2については、ベルトクリーニング装置10によって転写残トナーのクリーニング処理を施す。
本実施形態の複写機1では、所定のタイミングで画像調整制御を実施している。画質調整制御では、トナーパターンを作成して、このトナーパターンの画像濃度や作像位置を検出した結果に基づいて、画像濃度制御と位置ずれ制御とを行う。画像濃度制御は、例えば、所定のパターン潜像を現像して得られる濃度制御用パターン(階調パターン)のトナー付着量(画像濃度)を検出する。そして、このトナー付着量の検出結果に応じて、現像装置内の現像剤中のトナー濃度、書き込み装置5の書き込み条件(露光パワー等)、帯電バイアスや現像バイアスなどの設定値を変更する。位置ずれ制御は、例えば、位置ずれ制御用パターン(シェブロンパッチ)の検出タイミングにより各色トナー像の潜像書き込みタイミングを調整する。
このようなトナーパターンの検出箇所は、濃度制御用パターンについては、例えば、現像領域から一次転写部までの間の感光体上、あるいは、これを一次転写した後の中間転写ベルト上などが挙げられる。ただし、感光体の径が小さい場合には、画像濃度検出センサの設置スペースの関係から感光体上で検出することが困難となることから、中間転写ベルト上または二次転写ベルト上で検出するのが好ましい。一方、位置ずれ制御用パターンについては、感光体間距離のバラツキや、各色潜像の書き込みタイミングによる位置ずれなどに起因した各色トナー像間における位置ずれを観測する必要がある。このため、中間転写ベルト以降のトナー像を担持する表面移動体上での検出が必須となる。実施形態では、濃度制御用パターンと位置ずれ制御用パターンとの両方を、二次転写ベルト9C上で検出するようにしている。
従来、多くの中低速機種の画像形成装置は、二次転写部で中間転写ベルト2と対向して、二次転写対向ローラ2Cとの間で二次転写電界を形成する二次転写部材は、ベルト状ではなく、径の小さいローラ状の部材を用いることが一般的であった。このようなローラ状の部材二次転写部材に用いる構成では、二次転写部材の表面上での画質調整用パターンの検出が困難である。これに対し、本実施形態では、図1に示すように、二次転写部材として二次転写ベルト9Cを備えるので、二次転写部材の表面上での画質調整用パターンの検出が可能となる。
また、二次転写部材としてはベルト状に限らず、径の大きいローラを用いる構成であってもよい。しかし、ローラ形状では、光学センサユニット300の検出位置が湾曲してしまうためローラの径を大きくする必要があり、省スペース化の面で不利である。これに対して、二次転写ベルト9Cのようにベルト形状にすることで、レイアウト構成で自由度の向上を図ることができる。またベルト状である方が光学センサ300の検出位置を平面となるような構成に比較的しやすいため、検出精度の向上を図ることができる。
次に、二次転写ベルト9Cに転写するトナーパターンについて、詳述する。
図2は、階調パターンと光学センサとを示した二次転写ベルト近傍の拡大概略構成図である。
光学センサユニット300は、図2に示すように、二次転写ベルト9Cの幅方向に並ぶY光学センサ300Y、C光学センサ300C、M光学センサ300M、B光学センサ300Bを有している。
これらセンサは何れも反射型フォトセンサからなり、発光素子から発した光を二次転写ベルト9Cのおもて面やベルト上のトナー像で反射させ、その反射光量を受光素子によって検知する。制御部200(図1参照)は、これらセンサからの出力電圧値に基づいて、二次転写ベルト9C上のトナー像を検知したり、その画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)を検知したりすることができる。
本プリンタにおいては、電源投入時あるいは所定枚数のプリントを行う度に、各色の画像濃度を適正化するための画像濃度制御を実行する。画像濃度制御は、まず、図2に示すような、濃度制御用パターンとしての各色の階調パターンSb、Sm、Sc、Syを二次転写ベルト9C上における各光学センサ300(Y,C,M,B)に対向する位置に自動形成する。各色の階調パターンは、10個の画像濃度が異なる2[cm]×2[cm]の面積のトナーパッチからなっている。
各色の階調パターンSb、Sm、Sc、Syを作成するときの、感光体3(Y,C,M,B)の帯電電位は、プリントプロセスにおける一様なドラム帯電電位とは異なり、値を徐々に大きくする。そして、レーザー光の走査によって階調パターン像を形成するための複数のパッチ静電潜像を感光体3(Y,C,M,B)にそれぞれ形成せしめながら、それらをY,C,M,B用の現像装置によって現像する。この現像の際、現像ローラに印加される現像バイアスの値を徐々に大きくしていく。
このような現像により、感光体3(Y,C,M,B)上にはY,C,M,Bの階調パターン像が形成される。これらは、二次転写ベルト9Cの主走査方向に所定の間隔で並ぶように一次転写される。このときの、各色の階調パターンにおけるトナーパッチのトナー付着量は最小で0.1[mg/cm2]、最大で0.55[mg/cm2]ほどあり、また、トナーQ/d分布を測定すると、ほぼ正規帯電極性にそろっている。ここに言う正規帯電極性とは、現像装置内の現像剤中におけるトナーの帯電極性を言う。本実施形態ではマイナスであるが、画像形成装置によってはプラスのこともある。
二次転写ベルト9Cに形成された各トナーパターン(Sb、Sm、Sc、Sy)は、二次転写ベルト9Cの無端移動に伴って、光学センサユニット300との対向位置を通過する。この際、各色の光学センサ300(Y,C,M,B)は、各階調パターンのトナーパッチに対する単位面積あたりのトナー付着量に応じた量の光を受光する。
次に、各色トナーパッチを検知したときの光学センサ300(Y,C,M,B)の出力電圧と、付着量変換アルゴリズムとから、各色のトナーパターンの各トナーパッチにおける付着量を算出し、算出した付着量に基づき作像条件を調整する。
具体的には、トナーパッチにおけるトナー付着量を検知した結果と、各トナーパッチを作像したときの現像ポテンシャルとに基づいてその直線グラフを示す関数(y=ax+b)を回帰分析によって計算する。そして、この関数に画像濃度の目標値を代入することで適切な現像バイアス値を演算し、Y,C,M,B用の現像バイアス値を特定する。
メモリ内には、数十通りの現像バイアス値と、それぞれに個別に対応する適切なドラム帯電電位とが予め関連付けられている作像条件データテーブルが格納されている。各作像部66Y,C,M,Bについて、それぞれこの作像条件テーブルの中から、特定した現像バイアス値に最も近い現像バイアス値を選び出し、これに関連付けられたドラム帯電電位を特定する。
近年、画質向上のために使用されている小粒径重合トナーと弾性中間転写ベルトの組み合わせにおいては、ベルトクリーニング装置10のクリーニング性を確保することが難しくなってきている。
従来、中間転写ベルト2に形成される各色階調パターン、シェブロンパッチ、トナー消費パターンは、ベルトクリーニング装置10によって回収していた。このとき、ベルトクリーニング装置10は、各色階調パターン、シェブロンパッチ、トナー消費パターンなど未転写トナー像の大量のトナーを中間転写ベルト2から除去しなければならない。
しかしながら、小粒径重合トナーと弾性中間転写ベルトの組み合わせた本実施形態の構成では、極性制御手段とブラシローラとからなるクリーニング装置や、正極性及び負極性それぞれのトナーを除去する2つのブラシローラを備えたクリーニング装置では、未転写トナー像を一度で除去することができなかった。このような場合には、クリーニングしきれなかった中間転写ベルト2上トナーが次のプリント動作時に記録用紙上に転写され、異常画像となる場合があった。
そのため、本複写機1では、二次転写ベルト9Cに各色階調パターン、シェブロンパッチ、トナー消費パターンなどのトナーパターンを転写させ、二次転写ベルトクリーニング装置90で除去する。これにより、ベルトクリーニング装置10には、二次転写残トナーのみの入力となり、ベルトクリーニング装置10に入力されるトナー量を減らすことができる。これにより、ベルトクリーニング装置10でクリーニング不良が発生するのを抑制することができ、異常画像が発生するのを抑制することができる。
一方、二次転写ベルト9Cは、弾性層のないベルトであるので、クリーニング性の確保が容易である。従って、二次転写ベルト9Cに転写されたトナー消費パターンなどのトナーパターンを、二次転写ベルトクリーニング装置90で良好に除去することができる。
次に、本実施形態のベルトクリーニング装置10について説明する。
図3は、本複写機1のベルトクリーニング装置10とその周囲とを拡大して示す拡大構成図である。
同図において、ベルトクリーニング装置10は、第一クリーニングユニット100aと、これに対してベルト移動方向下流側で隣り合っている第二クリーニングユニット100bとを有している。また、第二クリーニングユニット100bに対してベルト移動方向下流側で隣り合っているポストクリーニングユニット100cも有している。
第一クリーニングユニット100aの第一ケーシング120a内には、中間転写ベルト2の表面から転写残トナーを除去するクリーニング部材たる第一クリーニングブラシローラ101が配設されている。また、第一クリーニングブラシローラ101に当接しながら回転してブラシローラから転写残トナーを回収する回収部材たる第一回収ローラ102、第一回収ローラ102の表面上から転写残トナーを掻き取る第一掻き取りブレード103なども配設されている。また、第一ケーシング120aには、第一回収ローラ102から掻き取られた転写残トナーを第一ケーシング120aの外に排出する第一搬送スクリュウ110aなども配設されている。また、第一ケーシング120aには、中間転写ベルト2に当接して、第一ケーシング内のトナーが第一ケーシング外へ飛散するのを抑制する入口シール111aと、出口シール112aとが配設されている。
二次転写ベルト9Cで転写し切れなかった二次転写残トナーのほとんど(転写残トナーの約8割)は、正規帯電極性(負極性)と逆極性に帯電している逆帯電トナーである。よって、本実施形態では、正規帯電極性(負極性)の電圧を第一クリーニングブラシローラ101に印加して、中間転写ベルト2上の正極性トナーを静電的除去するよう構成されている。また、第一回収ローラ102には、第一クリーニングブラシローラ101よりも大きな負極性の電圧が印加されている。ベルトクリーニング装置10においては、二次転写残トナー像のほとんどが、第一クリーニングブラシローラ101により除去されるよう、第一クリーニングブラシローラ101に印加する電圧などが設定されている。ただ、この際、トナーが第一クリーニングブラシローラ101から負電荷をもらい、正規の極性(負極性)になるトナーがある。
第二クリーニングユニット100bの第二ケーシング120b内には、第一クリーニングユニット100aと同様、クリーニング部材たる第二クリーニングブラシローラ104、第二回収ローラ105、第二掻き取りブレード106、第二搬送スクリュウ110b、入口シール111b及び出口シール112bが配設されている。
第二クリーニングユニット100bは、第一クリーニングユニット100aで除去できない正規帯電極性(負極性)に帯電した二次転写残トナーと、第一クリーニングブラシローラ101から負電荷をもらい、正規の極性(負極性)になったトナーとを除去する。そのため、トナーの正規帯電極性とは逆極性(正極性)の電圧を第二クリーニングブラシローラ104に印加して、中間転写ベルト2上の負極性トナーを静電的除去するよう構成されている。また、第二回収ローラ105には、第二クリーニングブラシローラ104よりも大きな負極性の電圧が印加されている。
2つのクリーニングブラシローラ(101、104)は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシ部とを具備しており、その外径はφ15〜16[mm]である。起毛は、内部が導電性カーボンなどの導電性材料からなり、表面部がポリエステルなどの絶縁性材料からなる二層構造の芯鞘構造となっている。これにより、芯は、クリーニングブラシローラ(101、104)に印加されるクリーニングバイアスとほぼ同じ電位になり、トナーを起毛表面に静電的に引き付けることができる。その結果、中間転写ベルト2上のトナーは、クリーニングブラシローラ(101、104)の起毛に捕捉される。
なお、クリーニングブラシローラ(101、104)の起毛を、二層構造の芯鞘構造ではなく、導電性繊維のみで構成してもよい。また、回転軸部材の法線方向に対して傾斜した姿勢で植毛されたいわゆる斜毛にしてもよい。また、負極性のクリーニングバイアスが印加される第二クリーニングブラシローラ104の起毛を芯鞘構造とし、第一クリーニングブラシローラ101の起毛を導電性繊維のみで構成してもよい。負極性のクリーニングバイアスが印加される第一クリーニングブラシローラ101の起毛を導電性繊維のみで構成することで、第一クリーニングブラシローラ101からトナーへの電荷注入を発生し易くすることができる。よって、第一クリーニングブラシローラ101によって、中間転写ベルト2上のトナーを良好に負極性に揃えることができる。一方、第二クリーニングブラシローラ104の起毛を芯鞘構造とすることによって、トナーへの電荷注入を抑制することができ、中間転写ベルト2上のトナーが正極性に帯電するのを抑制する。これにより、第二クリーニングブラシローラ104で、静電的に除去できないトナーが生じるのを抑制できる。
また、2つのクリーニングブラシローラ(101、104)については、中間転写ベルト2に対して1[mm]の食い込み量で食い込ませている。そして、駆動手段によって、当接位置で起毛を、中間転写ベルト2移動方向とは逆方向(カウンター方向)に移動させるようにブラシローラを回転駆動している。当接位置において、起毛をカウンター方向に移動するよう回転させることで、クリーニングブラシローラと中間転写ベルト2との線速差を大きくすることができる。これにより、中間転写ベルト2のある箇所が、クリーニングブラシローラとの当接範囲を抜けるまでの間における起毛との接触確率が増え、良好に中間転写ベルト2からトナーを除去することができる。
各クリーニングブラシローラ101,104は、中間転写ベルト2を挟んでそれぞれクリーニング対向ローラ13,14に対向配置されている。クリーニング対向ローラ13,14も導電性であり、それぞれクリーニングブラシローラ101,104との間にクリーニング電界を形成するために接地されている。
2つの回収ローラ(102、105)としては、何れもSUS(ステンレス鋼)製のローラからなるものを用いている。なお、回収ローラ(102、105)は、次のような機能を発揮できるものであれば、どのような材料からなっていてもかまわない。即ち、クリーニングブラシローラ(101、104)に付着したトナーを起毛と回収ローラとの電位勾配によってクリーニンブラシローラから回収ローラに転位させる機能である。例えば、回収ローラとして、導電性芯金に数[μm]〜100[μm]の高抵抗弾性チューブを被せたり、絶縁コーティングしたりして、ローラ抵抗をlogR=12〜14[Ω・cm]にしたものを用いてもよい。回収ローラとして、SUSローラからなるものを用いることにより、コストダウンや印加電圧を低く抑えることができ、省電力化を図ることができるというメリットがある。一方、ローラ抵抗をlogR=12〜14[Ω・cm]にすることによって、回収ローラへの回収時におけるトナーへの電荷注入を抑制し、トナーが回収ローラの印加電圧の極性と同極性になり、トナー回収率が低下するのを抑制することができる。
図3において、中間転写ベルト上の二転写残トナーは、中間転写ベルト2の移動に伴って、第一入口シール111aとベルトとの当接部を越え、第一クリーニングブラシローラ101の位置に移送される。第一クリーニングブラシローラ101には、トナーの正規帯電極性(負極性)のクリーニングバイアスが印加されている。中間転写ベルト2と第一クリーニングブラシローラ101の表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト2上の正極性に帯電したトナーが第一クリーニングブラシローラ101のブラシに静電的に吸着する。また、このとき、電荷注入や放電により、ブラシから負の電荷を受け取り一部のトナーは正規極性(負極性)に帯電しベルト上に残る。
第一クリーニングブラシローラ101に転移した正極性のトナーは、第一クリーニングブラシローラ101よりも絶対値が大きな負極性の回収バイアスが印加された第一回収ローラ102との当接位置まで移送される。そして、第一クリーニングブラシローラ101の表面電位と第一回収ローラ102の表面電位との電位差で形成される電界により、第一クリーニングブラシローラ101のブラシ内の転写残トナーが第一回収ローラ102上に静電的に転移する。その後、第一掻き取りブレード103によって第一回収ローラ102の表面から掻き落とされた後、第一搬送スクリュウ110aにより、第一クリーニングユニット100aからトナー貯留部に搬送される。
第一クリーニングブラシローラ101により除去できなかった中間転写ベルト2上の二次転写残トナーは、第二クリーニングブラシローラ104との当接位置に移送される。第二クリーニングブラシローラ104には、トナーの正規帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト2と第二クリーニングブラシローラ104表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト2上の負極性に帯電したトナーを静電的に吸着して第二クリーニングブラシローラ104へ移動させる。その後、第二回収ローラ105に静電転移した後、第二掻き取りブレード106によって第二回収ローラ105上から掻き落とされた後、第二搬送スクリュウ110bにより、第二クリーニングユニット100bからトナー貯留部に搬送される。
本実施形態では、第一クリーニングユニット100aと第二クリーニングユニット100bとで、ほとんどの二次転写残トナーをクリーニングすることができる。しかしながら、正極性のトナーを静電的に除去する第一クリーニングユニット100aと負極性のトナーを静電的に除去する第二クリーニングユニット100bのみ備えたベルトクリーニング装置10の場合、時折、クリーニング不良らしきシミ状の異常画像が生じる場合があった。特に、複数の作像部66のうち、中間転写ベルト2移動方向最上流に配置されたY色作像部66で形成するY色ベタ画像に顕著にシミ状の異常画像が発生した。
本出願人らは、上記シミ状の異常画像について、鋭意研究した結果、時折、各クリーニングブラシローラ(101,104)から中間転写ベルト2へ再付着するトナー(以下、再付着トナーという)があり、その再付着トナーが、シミ状の異常画像として現れていることがわかった。
そこで、本実施形態のベルトクリーニング装置10においては、第二クリーニングユニット100bの中間転写ベルト2の移動方向下流側に、クリーニングブラシローラ(101,104)から中間転写ベルト2に再付着した再付着トナーを除去するためのポストクリーニングユニット100cを設けた。
ポストクリーニングユニット100cは、中間転写ベルト2上の再付着トナーを除去する導電性スポンジからなるポストクリーニングローラ107、ポストクリーニングローラ107に当接しながら回転してポストクリーニングローラからトナーを回収する回収部材たるポスト回収ローラ108、ポスト回収ローラ108の表面上から転写残トナーを掻き取るポスト掻き取りブレード109なども有している。ポストクリーニングローラ107、ポスト回収ローラ108、ポスト掻き取りブレード109は、ポストケーシング120c内に配設されている。ポストケーシング120c内には、ポスト回収ローラ108から掻き取られたトナーをポストケーシング120cの外に排出するポスト搬送スクリュウ110cなども配設されている。また、ポストケーシング120cには、中間転写ベルト2に当接して、ポストケーシング内のトナーがポストケーシング外へ飛散するのを抑制する入口シール111cと、出口シール112cとが配設されている。
ポストクリーニングローラ107には、各クリーニングブラシローラ101,104に印加される電圧の絶対値よりもはるかに大きい正極性の電圧が印加されている。ポスト回収ローラ108には、ポストクリーニングローラ107よりも大きな正極性の電圧が印加されている。また、ポストクリーニングローラ107は、中間転写ベルト2を挟んでクリーニング対向ローラ15に対向配置されている。クリーニング対向ローラ15は導電性であり、ポストクリーニングローラ107との間にクリーニング電界を形成するために接地されている。
図4は、ポストクリーニングローラ107への印加電圧と、シミ状画像発生枚数との関係を示すグラフである。図4の縦軸の発生数は、M色、C色、B色の全ベタ画像をそれぞれ50枚連続出力した後、Y色全ベタ画像を50枚出力し、出力したY色全ベタ画像を目視で確認し、シミ状の異常画像が確認された枚数である。
図4に示すように、ポストクリーニングローラ107への印加電圧を上げることにより、シミ状異常画像の発生枚数が減少していくことがわかる。特に、ポストクリーニングローラ107を導電性スポンジローラとすることにより、印加電圧を上げることにより、シミ状異常画像の発生数を0にすることができる。上述では、シミ状画像発生枚数でポストクリーニングユニット100cの再付着トナーのクリーニング性およびトナー再付着性を評価しているが、他の評価法でもその傾向に差異はない。
どのくらい大きなバイアスをかければ十分かは、そのマシンの想定ユーザーやシステムによって異なる。また、環境によっても異なる。本実施形態においては、図5に示すように、低温低湿環境においては、第二クリーニングブラシローラ104の電流設定値20[μA]、第一クリーニングブラシローラ101の電流設定値−30[μA]であり、そのとき、ポストクリーニングローラ107の電流設定値55[μA]で、シミ状異常画像の発生数を0にできた。このとき、ブラシで使用する電流設定値の絶対値|30|[μA]に対して、ポストクリーニングローラ107の電流設定値の絶対値|55|[μA]であり、ポストクリーニングローラ107の電流設定値が、ブラシの電流設定値に対して1.8倍以上でシミ状異常画像の発生数を0にできた。なお、ここでいう電流値は、クリーニングブラシローラまたはポストクリーニングローラから中間転写ベルトに流れる電流である。
さらに、常温環境下では、第二クリーニングブラシローラ104の電流設定値10[μA]、第一クリーニングブラシローラ101の電流設定値−30[μA]である。このとき、ポストクリーニングローラ107の電流設定値は、100[μA]であり、ブラシの電流設定値の絶対値に対して、3.3倍以上とすることよりシミ状異常画像の発生数を0にできた。
また、高湿環境も含めて、さらに調べたところ、ポストクリーニングローラ107の電流設定値の絶対値を、ブラシの電流設定値の絶対値に対して10倍以上または30倍以上にすることで、シミ状異常画像の発生数を0にできた。このように、湿度が高いほど再付着トナーによる異常画像を抑えるに要するポストクリーニングローラ107へのクリーニングバイアス電流値は高い値が必要となる。
このように、ポストクリーニングローラ107の電流値の絶対値は、少なくとも各クリーニングブラシローラ101,104の電流値の絶対値の2倍以上に設定する。また、各環境下で、ポストクリーニングローラ107の電流設定値を異ならせる。具体的には、装置内に温湿度センサを設け、温湿度センサの検知結果に基づいて、ポストクリーニングローラ107の電流設定値を変更する。
ポストクリーニングローラ107は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面を覆う導電性スポンジローラ部とを具備しており、外径がφ15〜16[mm]である。ポスト回収ローラ108は、第一,第二回収ローラ102,105と同様の構成である。
また、先の図4に示すように、ブラシローラの場合は、バイアスを上げることで、シミ状異常画像の発生枚数を減少させることができるが、発生枚数を0にはできなかった。一方、導電性スポンジローラの場合は、バイアスを上げることで、シミ状異常画像の発生枚数を0にできた。ブラシローラの場合は、ブラシに吸着したトナーが、ブラシの根元にまで移動する場合があり、このように、ブラシの根元にまで移動したトナーは、回収ローラでは回収されず、ブラシに残り続ける。このブラシに残り続けたトナーが、何かの拍子に中間転写ベルト2に再付着すると考えられる。よって、ブラシローラの場合は、自ら除去した再付着トナーが、再度、中間転写ベルト2に再付着し、シミ状画像を0にすることができなかったと考えられる。
一方、導電性スポンジローラでは、スポンジローラに吸着したトナーは、スポンジローラの表面付近に留まる。従って、回収ローラで良好に回収され、回収されずにそのまま留まり続けるトナーがほとんど生じないと考えられる。その結果、スポンジローラから中間転写ベルト2に再付着するトナーが生じず、シミ状画像の発生を0にできたと考えられる。
また、本実施形態では、ポストクリーニングローラ107として、スポンジローラを用いたが、ゴムローラ,金属ローラなどでもよい。ゴムローラ,金属ローラとしても、ポストクリーニングローラ107がトナーを抱え込むことを防止することができる。これにより、ポストクリーニングローラ107で除去した再付着トナーが、ポストクリーニングローラから再度、中間転写ベルト2に付着するのを防止することができ、シミ状異常画像の発生枚数を0にすることができる。
本実施形態では、ポストクリーニングローラ107に印加する電圧の極性を正極性にしている。これにより、ポストクリーニングローラ107に印加する電圧の極性と、第二クリーニングブラシローラ104に印加する電圧の極性を同極性にできる。その結果。第二クリーニングブラシローラ104とポストクリーニングローラ107との間の電位差を第二クリーニングブラシローラ104の印加電圧の極性とポストクリーニングローラ107の印加電圧の極性を互いに異ならせた場合に比べて電位差を小さくすることができる。よって、第二クリーニングブラシローラ104とポストクリーニングローラ107との間で電圧のリークが生じるのを抑制することができる。また、ポストクリーニングローラ107に印加する電圧の極性を正極性とすることで、第二クリーニングブラシローラ104で取り切れなかったわずかな負極性トナーも除去することができる。
ポスト回収ローラ108は、第一、第二回収ローラ102、105と同様、ステンレス鋼(SUS)ローラであり、第一、第二回収ローラ102、105と同様の構成を採用することができる。もちろん、ポスト回収ローラ108も、ポストクリーニングローラに107に付着したトナーをポスト回収ローラ108との電位勾配によってローラから回収ローラに転位させる機能さえ発揮できれば、どのような材料からなっていてもかまわない。ポスト回収ローラ108も、導電性芯金に数[μm]〜100[μm]の高抵抗弾性チューブを被せたり、あるいはさらに絶縁コーティングしたりして、ローラ抵抗をlogR=12〜14[Ω・cm]にしたものを用いてもよい。
上述したように、ポストクリーニングローラ107には、第二クリーニングブラシローラ104から中間転写ベルト2に再付着した再付着トナーおよび第二クリーニングブラシローラで除去しきれなかったごく少量の負極性トナーが移送される。ポストクリーニングローラ107に移送されてきたごく少量の負極性トナー及び再付着トナーは、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加されているポストクリーニングローラ107に静電的に付着する。そして、ポスト回収ローラ108により回収され、ポストトナー掻き取りブレード109により、ポスト回収ローラ108から掻き落とされる。ポスト掻き取りブレード109によってポスト回収ローラ108上から掻き落とされた後、ポスト搬送スクリュウ110cにより、ポストクリーニングユニット100cからトナー貯留部に搬送される。
各クリーニングブラシローラ101,104の条件は、次の通りである。
・ブラシ材質:導電性ポリエステル(第一ブラシは、繊維表面に導電性物質がある構造、第二ブラシは、繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造。いずれも東英産業(株)等のブラシメーカーにて入手できる。)
・ブラシ抵抗:106〜108[Ω]
・ブラシ植毛密度:6万〜15万[本/inch2]
・ブラシ繊維径:約25〜35[μm]
・ブラシ先端の毛倒れ処理:なし
・ブラシ径φ:14〜20[mm]
・中間転写ベルト2へのブラシ繊維喰い込み量:1〜1.5[mm]
ポストクリーニングローラ107の条件は、次の通りである。
・クリーニングローラ材質:導電性ポリウレタン(株式会社ヤマウチ製)
・径φ:14〜20[mm]
・抵抗:107.25±0.25[Ω]
・硬度:アスカC35度
・中間転写ベルト食い込み量:0.05[mm]〜0.4[mm]
第一クリーニングブラシローラへの印加電圧は、中間転写ベルト2に二次転写残トナーが入力されたとき、逆極性帯電トナーが無くなるように設定されている。具体的には、実験により第一ブラシ通過後のトナーをエア吸引し、ファラデーケージ等に入れて測定したり、クリーニング後のトナー付着を調べて決定する。
また、第二クリーニングブラシローラ104は、中間転写ベルト2上のトナーがクリーニングできるように設定されている。また、ブラシ植毛密度、ブラシ抵抗、繊維径、印加電圧、繊維種類、ブラシ繊維喰込量はシステムによって最適化できるため、これに限らない。また、使用できる繊維の種類としては、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどがある。
各回収ローラ102,105,108の条件は、次のとおりである。
・回収ローラ芯金材質:SUS303
・回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1〜1.5[mm]
ローラ食い込み量は0.5mm
回収ローラ材質、ブラシ繊維喰込量、印加電圧はシステムによって最適化できるため、これに限らない。
各掻き取りブレード103,106,109の条件は次の通りである。
・回収ローラ芯金材質:SUS304
・ブレード当接角度:20[°]
・ブレード厚み:0.1[mm]
・回収ローラへのブレード喰い込み量:0.5〜1.5[mm]
ブレード当接角度、ブレード厚み、回収ローラへの喰い込み量は、システムによって最適化できるため、これに限らない。
また、ベルトクリーニング装置10では、各回収ローラ102,105,108、各クリーニングブラシローラ101,104,ポストクリーニングローラ107に電圧を印加しているが、回収ローラにのみ電圧を印加する構成でもよい。
この場合は、クリーニングブラシローラ101,104、ポストクリーニングローラ107の抵抗等による電位降下によって、回収ローラとの接触部を介する形態で、回収ローラに印加されたバイアス電圧よりも幾分低いバイアス電圧がクリーニングラシブローラ101,104、ポストクリーニングローラ107に印加されている状態となる。これにより、回収ローラとクリーニングブラシローラとの間、ポストクリーニングローラとポスト回収ローラとの間に電位差が形成され、回収ローラ方向へ電位勾配に回収ローラへトナーを静電的に移動させることができる。
なお、クリーニングが最良となるクリーニング電流は、クリーニングブラシローラ101,104,ポストクリーニングローラ107それぞれと中間転写ベルト2との当接箇所を流れる目標電流である。表1に、目標電流値の一例を示す。表1の1stが第一クリーニングブラシローラ101、2ndが第二クリーニングブラシローラ104、3rdがポストクリーニングローラ107を意味する。本実施形態では第一クリーニングブラシローラ101は定電圧に設定している。これは、電流制御上の理由であり、本来は電流設定が望ましい。( )はそれぞれ参考値である。
実施形態でのプロセス線速は、350[mm/s]とする。もちろん、100〜800[mm/s]のプロセス線速に対応可能である。
目標電流は線速に比例させた値とすればよい。例えば、プロセス線速が350[mm/s]の半分である175[mm/s]の場合は、目標電流値をプロセス線速350[mm/s]の半分にすればよい。また、プロセス線速が350[mm/s]の2倍である700[mm/s]の場合は、目標電流値をプロセス線速350[mm/s]の2倍にすればよい。
また、第二クリーニングブラシローラ104の植毛密度を第一クリーニングブラシローラ101に比べて少なくし、1.5万〜2万[本/inch2]とするのがより好ましい。
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
図6は、従来の第一クリーニングユニット100aの概略構成図である。
第一クリーニングブラシローラ101に付着したトナーの一部は、第一クリーニングブラシローラ101の回転による遠心力や、ブラシの振れなどにより第一クリーニングブラシローラ101から脱落する。また、第一回収ローラ102に付着したトナーの一部も、第一回収ローラ102の回転による遠心力などにより脱落する。第一クリーニングブラシローラ101や第一回収ローラ102から脱落したトナーは、ケーシング120aの下面121aに落下する。この落下したトナーが、経時でケーシング120aの下面121aに堆積していき、図6に示すように、トナー堆積物Tを形成する。このトナー堆積物Tがケーシング120aの下面121aに落下したトナーによりさらに成長していくと、最終的にトナー堆積物Tが第一クリーニングブラシローラ101に接触する。その結果、トナー堆積物Tのトナーが、第一クリーニングブラシローラ101に付着し、第一クリーニングブラシローラ101に大量のトナーが付着する。この第一クリーニングブラシローラ101の大量のトナーは、第一回収ローラ102では回収されずに、その一部が第一クリーニングブラシローラ101に留まり、中間転写ベルト2との当接位置まで搬送される。この第一クリーニングブラシローラ101に留まったトナーが、中間転写ベルト上のトナーがブラシ繊維に静電吸着するのを阻害し、第一クリーニングブラシローラ101のクリーニング性能が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、ケーシング120aの下面121aにトナーほぐし手段を設けて、ケーシング120aの下面121aにトナーが堆積するのを防止している。
図7は、本実施形態の第一クリーニングユニット100aの断面図であり、図8は、第一クリーニングブラシローラ101、第一回収ローラ102を取り外した状態の第一クリーニングユニット100aの平面図である。
図7に示すように、本実施形態の第一クリーニングユニット100aのケーシング下面には、ほぐし手段たるほぐし板140が設けられている。ほぐし板140は、第一搬送スクリュウ110aの第一搬送スクリュウの軸方向および第一搬送スクリュウ110aのラジアル方向にケーシング下面121aと平行に揺動可能にケーシング下面121aに取り付けられている。
図8に示すように、ほぐし板140には、複数の穴が設けられている。そのうちの4つは、ケーシング下面121aに設けられたガイド突起141に支持されながら第一搬送スクリュウ110aの軸方向にガイドされるガイド穴140aである。複数のガイド穴を含めたこれら穴の縁140eが、ケーシング下面121aに堆積したトナーをほぐす。
図9は、ほぐし板140のガイド穴140aとガイド突起141との関係を示す図である。
図9に示すように、複数のガイド穴140aのうち、図中左側の第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方下流側(以下、単にトナー搬送方向下流側という)の一番目と三番目のガイド穴140aは、中間転写ベルト側の縁が、トナー搬送方向下流側に行くに連れて中間転写ベルト側に位置するような傾斜となっている。これらとは逆に、トナー搬送方向下流側から二番目と四番目のガイド穴140aは、第一搬送スクリュウ側の縁が、下流側に行くに連れて中間転写ベルト側に位置するような傾斜となっている。
下流側から一番目と三番目のガイド穴140aは、中間転写ベルト側の縁にガイド突起141が当接しており、二番目と四番目のガイド穴140aは、第一搬送スクリュウ側の縁にガイド突起141が当接している。このように、ガイド突起141が当接する縁が、隣接するガイド穴間で互いに異なるようになっている。これにより、ほぐし板140は、装置の振動などにより第一搬送スクリュウ110aと中間転写ベルト2との並び方向(以下、ラジアル方向という)に移動することなく、ガイド突起141に支持される。なお、本実施形態では、ガイド穴140aを4つ設けているが、中間転写ベルト側の縁にガイド突起141が当たるガイド穴と、第一搬送スクリュウ側の縁にガイド突起141が当たるガイド穴とがあれば、装置の振動などによりほぐし板140が移動することなく、ほぐし板140を支持できる。しかし、安定的にほぐし板140を支持するには、少なくとも3つ以上のガイド穴を設けて、ガイド突起141が当接する縁を隣接するガイド穴間で互いに異なるようにするのが好ましい。こうすることで、ほぐし板140は、3点支持のような形で支持されることになり、ほぐし板140を安定的にガイド突起で支持することができる。
図10は、ほぐし板140の一端部付近の拡大構成図である。
図10に示すように、第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向上流側(以下、単にトナー搬送方向上流側という)に位置するほぐし板140の一端部には、トナー搬送方向下流側から第一搬送スクリュウの螺旋状の羽根部110a1に当接する当接部140cが設けられている。
また、ほぐし板140の一端部には、フック状のバネ受け140bが設けられており、このバネ受け140bに付勢手段たるスプリング143の一端が取り付けられている。スプリング143の他端は、ケーシング下面に設けられたフック状のバネ受け122aに取り付けられている。このスプリング143の付勢力によりほぐし板140は、トナー搬送方向上流側に付勢され、当接部140cが第一搬送スクリュウの螺旋状の羽根部110a1に突き当たっている。
また、ほぐし板140の当接部140cが当接する羽根部のスクリュウピッチS1は、他の箇所のスクリュウピッチS2と異なっている。ほぐし板140の当接部140cが当接する羽根部のスクリュウピッチS1が大きくなれば、ほぐし板140のトナー搬送方向の移動スピードが速くなる。そのため、羽根部のスクリュウピッチS1は、ほぐし板140のトナー搬送方向のスピードが、ケーシング下面のトナーを良好にほぐすことができるスピードとなるピッチとなっている。一方、他の箇所のスクリュウピッチは、トナーを良好に搬送できるピッチとなっている。
図10に示すように、第一搬送スクリュウ110aが図中矢印Q方向に回転すると、ほぐし板140の当接部140cが、第一搬送スクリュウの羽根部110a1によりトナー搬送方向下流側に押される。すると、ほぐし板140は、ガイド突起141に案内されながら、トナー搬送方向下流側へと移動していく。ほぐし板140のこの動きにより、ケーシング下面121aに堆積したトナーが、ほぐし板140に設けられた穴のラジアル方向に延びる縁140e(図8参照)によって、ほぐされる。
また、ほぐし板140がトナー搬送方向下流側へと移動するとき、図9に示したトナー搬送方向下流側から一番目と三番目のガイド穴の中間転写ベルト側の縁がガイド突起141により中間転写ベルト側へ持ち上げられる。その結果、ほぐし板140は、トナー搬送方向のみならず、中間転写ベルト側へと移動する。このほぐし板140の中間転写ベルト側の移動により、ほぐし板140の各穴に溜まっているほぐされたトナーを、ほぐし板140の穴の第一搬送スクリュウ側の縁により擦り切って、第一搬送スクリュウ110aへ落下させることができる。
図11に示すように、ガイド突起141が、ガイド穴140aのトナー搬送方向上流側端部付近にくると、ほぐし板の当接部140cが、第一搬送スクリュウ110aの羽根部110a1から離間する。すると、ほぐし板140は、スプリング143の付勢力により、トナー搬送方向上流側(図中右側)へと移動する。また、このほぐし板140のトナー搬送方向上流側への移動のとき、図9に示したトナー搬送方向下流側から二番目と四番目のガイド穴の第一搬送スクリュウ側の縁がガイド突起141により搬送スクリュウ側へと押し下げられる。これにより、ほぐし板140は、トナー搬送方向上流側へ向けて移動するとともに、第一搬送スクリュウ側へと移動し、当接部140cが、図中一点鎖線Xで示す初期位置まで移動する。そして、第一搬送スクリュウの回転により、再度、第一搬送スクリュウの羽根部110a1が、初期位置でほぐし板140の当接部140cに当接し、ほぐし板140をトナー搬送方向下流側へと押し込む。
このように、本実施形態では、ほぐし板140が第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向である第一搬送スクリュウの軸方向に揺動することにより、ケーシング下面121aに堆積したトナーをほぐすことができる。また、本実施形態では、ほぐし板140に複数の穴を形成することにより、各穴のラジアル方向に延びる縁140eによりケーシング下面121aに堆積したトナーを良好にほぐすことができる。また、ほぐし板140にラジアル方向へ延びる複数の突起を設けた構造としてしてもよい。かかる構成としても、ほぐし板140が第一搬送スクリュウ110aの軸方向に揺動すると、この突起でケーシング下面に堆積したトナーをほぐすことができる。
また、本実施形態では、ほぐし板140を第一搬送スクリュウ110aの軸方向のみならず、ラジアル方向にも揺動させている。これにより、ケーシング下面121aのトナーが、第一搬送スクリュウ110aへ落下するのをほぐし板140のラジアル方向の揺動で補助することができる。これにより、より一層、ケーシング下面121aにトナーが堆積するのを抑制することができる。また、本実施形態では、当接部140cの形状や、ガイド穴140aのガイド突起が当接する縁の傾斜などにより、当接部140cが第一搬送スクリュウの羽根部110a1から離間するタイミングが決まり、ほぐし板140のトナー搬送方向の揺動量が決まる。これにより、簡単にほぐし板の揺動量を設計することができる。さらに、搬送スクリュウのスクリュウピッチによりほぐし板140のトナー搬送方向の揺動スピードを決めることができる。また、図10に示したように、ほぐし板140の当接部140cが当接する箇所のスクリュウピッチのみを、ほぐし板140が所望の移動スピードとなるように設定すればよい。よって、その他の箇所は、所望のトナー搬送速度となるスクリュウピッチに設定することができる。
また、本実施形態では、図11に示すように、ほぐし板140をトナー搬送方向にL[mm]揺動させることができる。ほぐし板140を、第一搬送スクリュウ110aの回転によりラジアル方向にL[mm]移動させるように構成しようとすると、搬送スクリュウのほぐし板140の当接部が当接する箇所の径を、最低でもL[mm]に設定する必要があり、装置がラジアル方向に大きくなってしまう。一方、本実施形態では、ほぐし板140を第一搬送スクリュウ110aの軸方向に揺動させるように構成することにより、装置を大型化することなく、ほぐし板140をL[mm]揺動させることができる。このように、ほぐし板140を軸方向に揺動させる構成とすることにより、装置を大型化することなく、ほぐし板140を大きく揺動させることができる。これにより、装置を大型化することなくケーシング下面の堆積したトナーを良好にほぐすことができる。
また、本実施形態では、ほぐし板140の当接部140cを、第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向上流側の羽根部に当てている。ほぐし板140の当接部140cを、第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向下流側の羽根部に当ててもよいが、この場合、トナーが大量にあるところに当接部140cを設けることになる。その結果、当接部140cと羽根部110a1との間にトナーが挟まったりして、当接部や羽根部にトナーが固着するなどの不具合が生じるおそれがある。従って、ほぐし板140の当接部140cを、トナーの少ない搬送スクリュウのトナー搬送方向上流側の羽根部に当てるのが好ましい。また、ほぐし板140の当接部140cを、搬送するトナー量が少ない第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向上流側の羽根部に当てることにより、ほぐし板140が所定の移動速度となるスクリュウピッチにしたときのトナー搬送速度の影響を、最小限に抑えることができる。
また、第一搬送スクリュウ110aを駆動する駆動モータが、トナー搬送方向下流側(ほぐし板140の当接部側と反対側)にあり、第一搬送スクリュウ110aのトナー搬送方向上流側端部には特に支持がない場合、第一搬送スクリュウのトナー搬送上流側が重力により下流側よりも若干下側(ほぐし板140から離れる側)に位置するように傾く場合がある。その場合、搬送スクリュウの羽根部110a1が、ほぐし板の当接部140cに当接しなくなるおそれがある。そのため、羽根部110a1が当接部140cから離間し、ほぐし板140aの羽根部110a1による支持がない場合、当接部140c側が下側に位置するようにほぐし板140が傾くよう構成するのが好ましい。具体的には、ほぐし板140の当接部140c側を重くしたり、スプリング143の付勢力が、下側(搬送スクリュウ側)にも作用するように構成したりする。また、当接部140cの近くのガイド突起141を、ガイド穴140aの下縁(搬送スクリュウ側の縁)に当接させる。これにより、第一搬送スクリュウの上流側が下側に位置するように第1搬送スクリュウが傾いても、ほぐし板は、自重やスプリング143の付勢力により、当接部140cが下側(搬送スクリュウ側)に移動するように傾き、羽根部110a1との当接状態が維持される。その結果、第一搬送スクリュウが傾いてもほぐし板140を軸方向に動かすことができる。
従来、図12に示すように、ケーシング下面121aにスポンジなどからなる緩衝部材144を両面テープで貼り付けていた。緩衝部材144には、トナー搬送方向下流側に延びており、ほぐし板140のトナー搬送方向上流側端部と対向している。この部分が、ほぐし板140が緩衝部材144にぶつかったときに、ほぐし板140が緩衝部材144を乗り換えないようにほぐし板140をケーシング下面121aに押さえる働きをしている。
装置の構成などによっては、スプリング143の付勢力で、ほぐし板140が初期位置へ移動したとき、当接部140cが第一搬送スクリュウの羽根部110a1に衝突したり、ガイド穴140aのトナー搬送方向下流側の縁がガイド突起141に衝突したりする場合がある。この場合、衝撃音が発生したり、衝突によりユニットが振動して振動音が発生したり、この振動起因の色ムラ(バンディング)が発生したりする。
一方、緩衝部材144を設けることにより、図13に示すように、スプリング143の付勢力でほぐし板140のトナー搬送方向上流側端部が、図中一点鎖線で示す初期位置へ到達すると、この端部が緩衝部材144に衝突する。これにより、緩衝部材144で衝撃が吸収され、衝撃音や振動音、振動起因の色ムラ(バンディング)などが発生するのを抑制することができる。
従来においては、ほぐし板140の揺動方向と平行なケーシング下面121aに緩衝部材144を両面テープで貼り付けていた。この場合、ほぐし板140が、緩衝部材144に衝突したとき、緩衝部材144の両面テープとの間にせん断力が働き、緩衝部材144がケーシング下面121aから剥がれ落ちる場合があった。
そこで、本実施形態では、緩衝部材144を、ほぐし板140の揺動方向と直交する面に貼り付けた。
図14は、本実施形態のほぐし板の衝撃を吸収する機構を示す斜視図である。
図14に示すように、本実施形態では、緩衝部材144は、保持部材145に両面テープなどにより取り付けられている。保持部材145には、長穴状のカシメ穴145dが設けられている。緩衝部材144を取り付けた保持部材145のカシメ穴145dに、ケーシングの下面に設けたピン147に嵌め込み、ピン147を溶融させ、保持部材145を熱カシメによりケーシングに固定している。このようにカシメ固定することにより、保持部材145を強固にケーシングに取り付けることができ、ほぐし板の衝突によって、保持部材145がケーシングから外れてしまうのを抑制することができる。また、樹脂の保持部材145を熱で溶融させて、ケーシング120aに溶着してもよい。
また、保持部材145のケーシング下面側と反対側の端部には、トナー搬送方向下流側に延びており、ほぐし板140のトナー搬送方向上流側端部と対向する押さえ部145cが設けられている。この押さえ部145cにより、ほぐし板140が緩衝部材144にぶつかったときに、ほぐし板140が緩衝部材144を乗り換えないようにほぐし板140をケーシング下面121aに押さえることができる。
図15は、緩衝部材144と保持部材145の要部断面図である。
図15に示すように緩衝部材144は、保持部材145のほぐし板140の揺動方向と直交する貼り付け面145aに両面テープあるいは接着剤により固定されている。
本実施形態では、緩衝部材144として、人工筋肉たるソルボ(三進興産社製 商品名)を用いている。ソルボは、きわめて高い衝撃吸収能力を有しており、厚さが薄くても、良好にほぐし板140の衝撃を吸収することができる。また、ソルボは、高い耐久性を有し、経時に使用しても、へたりなどが生じることなく、経時わたり良好にほぐし板140の衝撃を吸収することができる。また、緩衝部材144としては、衝撃吸収能力や圧力分散性、粘弾性、耐久性等に優れるエラストマーを用いることができる。
また、緩衝部材144のほぐし板140との接触面には、補強部材として、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルム146が貼り付けられている。ソルボのみの場合、ほぐし板140が衝突した際、ほぐし板140が当接した中央部のみ変形し、端部はほとんど変形しない。そのため、経時使用で、端部に亀裂が生じやすい。一方、表面にソルボよりも強度の高い樹脂フィルム146を貼り付けることで、ほぐし板140が衝突した際、樹脂フィルム146は、ほとんど変形せず、樹脂フィルム146全体がほぐし板140により押し込まれることになる。その結果、ソルボ全体が圧縮変形し、経時使用でソルボの端部に亀裂が発生するのを抑制することができ、緩衝部材144の高寿命化を図ることができる。
本実施形態では、上述したように、ほぐし板140が、スプリング143の付勢力により、トナー搬送方向上流側へと移動するとともに、第一搬送スクリュウ側へも移動する。そのため、図15の矢印Fに示すように、ほぐし板140の揺動方向(図中左右方向)に対して、斜め方向から、ほぐし板140が緩衝部材144に衝突する。このため、緩衝部材144には、ほぐし板の揺動方向の他に、ラジアル方向(第一搬送スクリュウ110aと中間転写ベルト2との並び方向)にも力が加わり、貼り付け面145aと緩衝部材144との接着部に多少のせん断力が発生する。
また、ほぐし板140が初期位置に戻ったとき、緩衝部材144が多少圧縮状態となっている。従って、羽根部110a1によりトナー搬送方向下流側に移動を開始してから、緩衝部材144の圧縮状態が解消されるまでの少しの間、緩衝部材144は、ほぐし板140と接触している。ほぐし板140が羽根部110a1によりトナー搬送方向下流側に移動するとき、上述したように、ガイド穴の傾斜した縁に接触するガイド突起により中間転写ベルト側へ持ち上げられる。そのため、ほぐし板140が緩衝部材144から離間するまでの間、ほぐし板140は、緩衝部材144の表面を摺動する。このときの摩擦力により、緩衝部材144は、中間転写ベルト側に持ち上げられるようなラジアル方向の力が働き、緩衝部材144と貼り付け面145aと接着部に多少のせん断力が発生する。
このため、本実施形態では、樹脂フィルム146を、図14に示すように、トナー搬送方向上流側に折り曲げて、保持部材145の第一搬送スクリュウ側と反対側の面である第二貼り付け面145bに貼り付けている。第二貼り付け面145bは、ラジアル方向に対して垂直な面であり、上述したように、緩衝部材144にラジアル方向の力が加わっても、樹脂フィルムと第1搬送スクリュウ側と反対側の面145bとの接着部にせん断力がかからない。よって、緩衝部材144を良好に、保持部材145に取り付けることができ、緩衝部材144が、保持部材145から剥がれ落ちるのを良好に抑制することができる。
本実施形態では、ケーシングとは別部材の保持部材145に緩衝部材144を取り付けて、保持部材145をケーシング固定しているが、ケーシングに、ほぐし板の揺動方向と直交する貼り付け面を設けて、その貼り付け面に緩衝部材144を貼り付けてもよい。しかし、ケーシングとは別部材の保持部材145を設けることで、簡単に緩衝部材144を貼り付けることができ、緩衝部材144の貼り付け作業を簡素化することができるというメリットがる。一方、ケーシングに、ほぐし板の揺動方向と直交する貼り付け面を設けて、ケーシングに直接、緩衝部材144を貼り付ける場合は、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができるというメリットがある。
また、保持部材145の取り付け面145aに、ほぐし板140の揺動方向に延びる嵌合穴を設け、緩衝部材144に、この嵌合穴に嵌る嵌合突起を設けて、嵌め合いにより緩衝部材144を取り付け面145aに取り付けてもよい。この場合、ほぐし板140が緩衝部材144に衝突したとき、緩衝部材144の嵌合突起が嵌合穴に嵌り込む方向に力が加わるため、緩衝部材144が、保持部材から外れるのを良好に抑制することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
[変形例1]
図16は、変形例1の特徴部を示す概略斜視図である。
この変形例1は、当接部140cをほぐし板140とは別部材のPOM(ポリアセタール)などの摺動性に優れた樹脂で構成し、ほぐし板140に対して着脱可能に構成したものである。
ほぐし板140は、第一搬送スクリュウの羽根部110a1によりトナー搬送方向下流側へ移動せしめられているとき、ガイド突起141に案内されて中間転写ベルト側へ移動する。よって、当接部140cが、第一搬送スクリュウの羽根部110a1とラジアル方向に摺擦するため、当接部140cが磨耗してしまう。
これに対して変形例1では、当接部140cを摺動性に優れた樹脂で形成することにより、当接部140cと羽根部110a1との摩擦を抑制することができる。また、当接部140cは、ほぐし板140に設けた切り欠き部140gに軽圧入で取り付けられており、容易にほぐし板140から着脱できるように構成している。これにより、当接部140cが磨耗したら、この当接部140cのみを交換すればよく、ほぐし板140毎交換する場合に比べて、装置のメンテナンスコストを安価にすることができる。
また、この変形例1では、切り欠き部140gに2個の突起部140hを設けて、当接部140cを軽圧入するときの切り欠き部140gとの接触面積を減らすことができ、軽圧入するときも摩擦力を弱めることができる。これにより、当接部140cを容易に切り欠き部140gに軽圧入できるようにしている。
また、上述では、第一クリーニングユニット100aにほぐし板140を設けた例について説明したが、第二クリーニングユニット100b、ポストクリーニングユニット100cにも上述した構成のほぐし板140を設けてもよい。
また、ガイド穴140aは、図17に示すような長穴形状でもよい。かかる構成とすることでも、ほぐし板140は、ガイド突起141に案内されて、トナー搬送方向とラジアル方向に揺動することができる。
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
中間転写ベルト2などの被清掃体上のトナーを除去するクリーニングブラシローラなどのクリーニング部材と、クリーニング部材を収納するケーシング120aと、クリーニング部材で除去したトナーを前記ケーシングの外部へ搬送する搬送スクリュウなどの搬送部材と、ケーシングの内壁に付着したトナーをほぐすほぐし板140などのほぐし手段とを備えたクリーニング装置において、前記ほぐし手段を、前記トナー搬送方向とは逆方向に付勢するスプリング143などの付勢手段を備え、前記ほぐし手段を、前記搬送部材により所定距離前記トナー搬送方向に移動すると、前記搬送部材から離間して、前記付勢手段により前記トナー搬送方向とは逆方向に移動して前記搬送部材による移動開始位置に戻るように構成し、前記ほぐし手段が前記移動開始位置に戻る直前で、前記ほぐし手段と接触し、前記ほぐし手段の前記付勢手段による移動の勢いを和らげる緩衝部材144を設け、前記緩衝部材144を、前記ほぐし手段の揺動方向に対して直交する取り付け面に取り付けた。
これによれば、実施形態で説明したように、緩衝部材144を、ほぐし板140などのほぐし手段の揺動方向と直交する面に取り付けたので、ほぐし手段が緩衝部材144に衝突したとき、緩衝部材144が取り付け面に押しつけられることになる。これにより、より強固に緩衝部材144が取り付け面に固定され、緩衝部材144が取り付け面から剥がれ落ちるのを抑制することができる。
また、態様1では、ほぐし手段が搬送部材から離間するタイミングを調整することで、ほぐし手段の揺動量を調整することができ、ほぐし手段を大きく揺動させることが可能となる。このように、ほぐし手段を搬送部材の軸方向に揺動するよう構成することにより、搬送部材を径方向に大きくせずとも、ほぐし板を大きく揺動させることが可能となる。よって、装置を大型化することなく、良好にケーシング内壁のトナーをほぐすことが可能となる。
(態様2)
(態様1)において、前記緩衝部材144を、両面テープもしくは接着剤で前記貼り付け面145aなどの取り付け面に取り付けた。
これによれば、簡単に緩衝部材144を取り付けることができる。
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、前記緩衝部材144は、保持部材145などの緩衝部材保持部材に取り付けられており、前記緩衝部材保持部材を前記ケーシングの内壁に固定した。
これによれば、ケーシングにほぐし板などのほぐし手段の揺動方向に対して直交する取り付け面を設けて、緩衝部材144を直接、ケーシングに取り付ける場合、緩衝部材144を手で保持してトナー搬送方向下流側から上流側に移動させながら、取り付け面に取り付けることになる。しかし、取り付け面のトナー搬送方向下流側には、ほぐし板の当接部が対向しており、取り付け面よりもトナー搬送方向下流側に十分なスペースが存在しておらず、緩衝部材144が取り付け難い。また、取り付け面が、ケーシングの開口面に対して直交する面であるため、取り付け面が目視で確認しずらく、正しく緩衝部材144を取り付けるのが困難である。
これに対し、(態様3)では、周囲に部材がない環境下で緩衝部材保持部材の貼り付け面145aなどの取り付け面を目視で確認しながら、緩衝部材を取り付けることができるので、容易に精度よく緩衝部材144を取り付けることができる。また、緩衝部材保持部材を固定しやすい位置で、ケーシングに固定することが可能となり、容易に、緩衝部材を、ケーシング内に組み付けることができる。
(態様4)
(態様3)において、保持部材145などの緩衝部材保持部材を、前記ケーシングにカシメ固定した。
これによれば、保持部材145などの緩衝部材保持部材を、ケーシングに強固に取り付けることができ、ほぐし板140などのほぐし手段の衝突によって、緩衝部材保持部材がケーシングから外れてしまうのを抑制することができる。
(態様5)
(態様1)乃至(態様4)いずれかにおいて、前記緩衝部材144を、前記ほぐし手段の揺動方向と直交する面と、前記ほぐし手段の揺動方向に平行な面(第二貼り付け面145b)とに取り付けた。
これにより、実施形態で説明したように、緩衝部材144に貼り付け面145aたる取り付け面と直交する方向に力が加わったとしても、緩衝部材144が剥がれ難くすることができる。
(態様6)
(態様1)乃至(態様5)いずれかにおいて、前記緩衝部材144として、人工筋肉を用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、良好にほぐし手段の衝撃を吸収することができ、振動音の発生や、振動起因の色ムラ(バンディング)の発生を良好に抑制することができる。また、経時に亘りへたりなどが生じることなく、経時わたり良好にほぐし手段の衝撃を吸収することができる。
(態様7)
(態様1)乃至(態様6)において、前記緩衝部材144の前記ほぐし手段との当接面を補強する樹脂フィルム146などの補強部材を設けた。
これによれば、実施形態で説明したように、緩衝部材144全体を圧縮変形させることができる。これにより、緩衝部材144の変形度合いの違いによる内部応力により、経時使用の疲労で緩衝部材に亀裂などが生じるのを抑制することができ、緩衝部材144の高寿命化を図ることができる。
(態様8)
トナー像を担持する中間転写ベルト2などの像担持体と、像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段(作像部66、書き込み装置5、一次転写ローラなどで構成)と、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写体に転写する二次転写装置9などの転写手段と、前記像担持体の表面に付着している付着物たるトナーを掻き取って前記表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、前記クリーニング手段として、(態様1)乃至(態様7)いずれかに記載のクリーニング装置を用いた。
これによれば、経時に亘り良好なクリーニング性を維持することができ、経時に亘り良好な画像を維持することができる。