JP6481730B2 - 消泡ノズル及び液体注入手段 - Google Patents
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Description
本発明は、種々の容器に液体を注入するためのノズルに関するもので、特に消泡機能を備えたノズルと、それを用いた液体注入手段に関するものである。
例えば、排水処理設備や発電所の冷却水の放出などでは、大量の水を扱うため、泡の発生が問題となることがある。また、容器に充填して販売する飲料においても、内部の酸素の残存が品質低下に繋がるので、泡の除去が必要になる。
このような分野の先行技術として特許文献1には、タンク内を回転循環するチェーンと、チェーンに連結すると共に、撥水面を有する移動板と、タンクの内壁に連結された軸を回転軸として、揺動可能に配置された揺動板とを備え、移動板がチェーンの駆動に応じて移動する際に、移動板の面と揺動板の面が接触するように配置されている消泡装置が開示されている。
また、特許文献2には、容器内に充填された内容物表面の上方から泡沫を破壊するパルス状音波を放射する音響導波管を有する消泡装置であって、音響導波管は、内容物表面側の開口側下端縁が水平面に対して傾斜して設けられ、開口側下端縁の傾斜側の最下方には、外周側に延びる誘導片を有し、誘導片の下端縁は、外周側に向かって開口側下端縁と同方向に傾斜していることを特徴とする、飲料を容器に詰める際に用いられる消泡装置が開示されている。
しかし、これらの消泡装置は、いずれも多数の機器を組わせて構成され、コンパクト化やイニシャルコストの低減の観点から課題が多い。本発明者は、数トン/日程度の処理能力を備えた水処理装置の開発に携わっているが、処理の対象となる水は、有機物や浮遊固形物が含まれるため、タンクに注入する際に泡の発生が多くなる傾向がある。
この場合の泡が発生する要因として、処理水を内径の大きなホースなどから、直接タンクに注入すると、面で巻き込む空気の量が多くなり、しかも処理水に含まれる有機物が界面活性剤にように機能して、表面張力が小さくなることが考えられる。
このような現象に鑑みると、処理水を液滴や飛沫の状態で注入することで、泡の発生を抑制できる可能性があり、例えば浴室で用いられるシャワーのノズルを用いることが考えられる。しかし、シャワーのノズルは平板に細径の貫通孔を設けた構造なので、浮遊固形物を含む処理水では、目詰まりが発生し、頻繁なメンテナンスが必要となる。
従って、本発明の課題は、簡略な構造の部材を用いて、ノズルから流出する水を、液滴ないし飛沫にする方法を提供することである。
即ち、本発明は、液体、例えば水を流出する管の開口部の、水の流出方向と垂直な方向に、板状部材を配し、前記開口部から流出した液体の前記板状部材への衝突により、液体を液滴ないし飛沫化する機能を有する消泡ノズルにおいて、前記板状部材は、前記開口部近傍の前記管の外周に固定され、端部に折り曲げ加工を施してなる支持部材の、前記端部に固定されてなることを特徴とする消泡ノズルである。
また、本発明は、前記板状部材に、直径が2mm以上、5mm以下の複数の貫通孔が、2mm以上、10mm以下の間隔で設けられてなることを特徴とする、前記の消泡ノズルである。
また、本発明は、前記板状部材の最小部の寸法が、前記開口部の最大部の寸法の2倍以上、4倍以下であり、前記開口部と板状部材の距離は、前記開口部の最大部の寸法の2倍以上、4倍以下であることを特徴とする、前記の消泡ノズルである。
また、本発明は、前記の、消泡ノズルの複数が、環状に構成したフープ構造を備えた、前記消泡ノズルに液体を導入する管に接続されていることを特徴とする、液体注入手段である。
本発明に係る消泡ノズルは、前記のように、水の流出方向に、板状部材を水の流出方向とは垂直に取り付けただけの簡単な構造であり、注水に用いる管の開口部近くに、適当な支持部材を介して板状部材を取り付けるだけで、簡単に製作できる。また、板状部材に適当な大きさの貫通孔を設けることで、水の跳ね返り以外でも、水を液滴ないし飛沫にできるので、効率向上の効果が期待できる
板状部材の大きさと、開口部からの距離を限定した理由は、条件によって、水の流動形態に変化が生じることによる。つまり、流量が少ない状態では、管内の水の流れは層流を呈し、開口部から放出された水が、開口部の径よりも拡がることはないが、流量が多くなり、管内の水の流れが乱流を呈すると、開口部から拡がった状態で水が放出されることがあるからである。
板状部材に貫通孔を設ける場合に、直径を2mm以上、5mm以下にしたのは、この範囲より小さいと、表面張力のため液滴が垂れ落ちにくくなるためであり、この範囲より大きいと、液体の飛沫形成が困難になるからである。
また、一般的に液体を注入するためのノズルを、一方の端が閉塞された管に複数接続すると、閉塞された端の方が液体の圧力が高くなって、各ノズルから流出する量が不均一になることがあるが、本発明者の検討結果によると、この対策として環状に構成したフープ構造の管に接続することが有効であることが明らかとなった。したがって、本発明の消泡ノズルの使用に際しても、このような構成の液体注入手段として用いるのが望ましい。
次に本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る消泡ノズルの一例の構成を示す斜視図である。図1において、1は注入管、2は支持部材、3は板状部材、4は流出水、5は、液滴ないし飛沫である。ここに示したように、注入管1から放出された流出水4は、板状部材3に衝突して跳ね返り、液滴ないし飛沫5となって水面に落下する。
図2は、本発明に係る消泡ノズルの一例の各部の寸法比の例を示す図である。ここに示した板状部材3は円盤形状であり、図2において、d1は注入管1の内径、d2は板状部材3の径、hは注入管1の開口部と板状部材3との距離である。本発明者らに検討結果によると、前記のようにd2及びhは、d1の2倍以上、4倍以下とすることが望ましいが、ここに示した例では、d1が20mm、h及びd2が60mmである。
図3は、本発明に係る消泡ノズルの製作例を示す図で、図3(a)は正面図、図3(b)は底面図である。ここに示した例は、板材を打ち抜いたり、折り曲げたりして構成した部材を、溶接などの手段を用いることなく、ネジで接合するだけで組み立てられるようにしたもので、6は注入管、7は板状部材、8a、8bはブラケット、9は支持部材、9a、9bは支持部材を構成する板材に90°の折り曲げ加工を施した折り曲げ部、10aはボルト、10bはナットである。
図3に示した注入管6は塩化ビニル製で、板状部材7、ブラケット8a、8b、支持部材9には、錆を考慮するとステンレス板を用いることが望ましい。
図4に示した通り、管を四角形の環状に構成し、3箇の消泡ノズルが接続することで個々のノズルに加わる液体の圧力の均一化が図れ、液体の流出量の偏りを抑制できる。
以上に説明したように、本発明によれば、極めて簡略な構造で、必要な機能を備えた消泡ノズルを提供することが可能となり、様々な分野の水処理の効率化に寄与できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
1,6・・・注入管 2,9・・・支持部材 3,7・・・板状部材
4・・・流出水 5・・・液滴ないし飛沫 8a,8b・・・ブラケット
9a,9b・・・折り曲げ部 10a・・・ボルト 10b・・・ナット
[符号追加説明]
d 1 ・・・注入管1の内径 d 2 ・・・板状部材3の径
4・・・流出水 5・・・液滴ないし飛沫 8a,8b・・・ブラケット
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Claims (4)
- 液体を流出する管の開口部の液体の流出方向と垂直な方向に、板状部材を配し、前記開口部から流出した液体の前記板状部材への衝突により、液体を液滴ないし飛沫化する機能を有する消泡ノズルにおいて、前記板状部材は、前記開口部近傍の前記管の外周に固定され、端部に折り曲げ加工を施してなる支持部材の、前記端部に固定されてなることを特徴とする消泡ノズル。
- 前記板状部材には、直径が2mm以上、5mm以下の複数の貫通孔が、2mm以上、10mm以下の間隔で設けられてなることを特徴とする、請求項1に記載の消泡ノズル。
- 前記板状部材の最小部の寸法は、前記開口部の最大部の寸法の2倍以上、4倍以下であり、前記開口部と板状部材の距離は、前記開口部の最大部の寸法の2倍以上、4倍以下であることを特徴とする、請求項1また請求項2に記載の消泡ノズル。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の、消泡ノズルの複数が、環状に構成したフープ構造を備えた、前記消泡ノズルに液体を導入する管に接続されていることを特徴とする、液体注入手段。
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