JP6479573B2 - 変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸の外周に隙間を空けて配置された中空軸部を有する回転部材の、中空軸部の端部から、潤滑油を、前記隙間で構成した油路に供給する変速機に関し、特に、従動側プーリのプーリ軸に、油路となる隙間を空けて車軸が挿通された無段変速機に用いて好適の、変速機に関する。
プライマリプーリとセカンダリプーリとを備えた無段変速機には、プライマリプーリのシャフト(第1軸)と、セカンダリプーリのシャフトとデファレンシャルギヤとを同軸上に並べてなる第2軸とを有する、いわゆる2軸構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
このような2軸構成の無段変速機では、セカンダリプーリのシャフトを中空とし、この中空のシャフトに、駆動輪に連結するドライブシャフト(車軸)を挿通させることで、セカンダリプーリのシャフトとデファレンシャルギヤとが同軸上に並ぶ第2軸を構成している。
特許第3004424号公報
ところで、ベルト式無段変速機では摺動部が多く、これらの摺動部(例えばベルトとプーリとの接触部や、セカンダリプーリのシャフトを回転可能に支持するベアリング)に潤滑油を供給する必要がある。各摺動部への潤滑油の供給は、回転軸に設けられた油路を介して行われるのが一般的である。具体的には、潤滑油を、変速機ケース内に形成された油路からプーリのシャフトの軸方向に延びる油路に供給し、さらには、遠心力を利用して、潤滑油を、軸方向に延びる油路から径方向に延びる油路へと送給し、各摺動部に潤滑油を供給するようにしている。
しかしながら、上記の2軸構成の無段変速機の第2軸では、上述した通りドライブシャフトがセカンダリプーリの中空シャフトを挿通する構成であることから、第2軸の中心側を成すドライブシャフトに軸方向へ延びる油路を形成することは困難である。つまり、ドライブシャフトには、強度を確保するためにある程度の径が必要となり、油路を形成しようとするとこの径が大きくなってしまい、ひいては変速機の大型化を招いてしまう。このため、ドライブシャフトに軸方向へ延びる油路を形成することは現実的に困難である。
そこで、変速機ケースから軸心側のドライブシャフトの外周面に向かって潤滑油を放出し、ドライブシャフトと中空シャフトとの間の隙間を通して軸方向に潤滑油を供給することが考えられる。しかし、変速機ケースから軸心側のドライブシャフトの外周面に放出された潤滑油は、ドライブシャフトとプーリとの回転による遠心力の影響を受けるので、この回転による遠心力が、ドライブシャフトと中空シャフトとの間の隙間への供給方向とは逆に、径方向外方へ向かって作用する。このため、シーブ面を主とする摺動部への潤滑油量を十分に確保しようとすると、大量の潤滑油を供給する必要がある。潤滑油ポンプはエンジン駆動であることが一般的であるため、大量の潤滑油の供給はエンジン負荷の増大を招いてしまう。
特に、セカンダリプーリの中空シャフトを支持するベアリングが、潤滑油が放出される空間の近傍であってドライブシャフトの外周側にある場合、このベアリングにも潤滑油を供給する必要がある一方で、潤滑油が遠心力を受けることから、このベアリングの内部隙間から摺動部以外にリークしてしまう。また、ベアリングに潤滑油が多めに供給されるようになるが、潤滑性能が向上することはなく、却って潤滑油過多によりフリクションロスが増大するおそれがある。
このような課題は、無段変速機に限らず、回転軸の外周に配置された中空軸部を有する回転部材を、中空軸部端部の外周に配置されたベアリングを介して回転自在に支持し、ベアリングの軸方向外方の空間に供給された潤滑油を、中空軸部と回転軸との間の隙間及び中空軸部に形成された孔部からなる油路に供給する変速機であれば生じうるものである。
本発明は、上記のような課題に鑑み創案されたもので、回転軸と回転部材の中空軸部との間に形成された油路を通して、変速機の潤滑が必要な部分に十分な量の潤滑油を供給することができるようにした、変速機を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の変速機は、回転軸の外周に隙間を空けて配置された中空軸部を有し、前記回転軸に対して相対回転する変速機の回転部材と、前記回転軸及び前記中空軸部の外周に配置された変速機ケースと、前記変速機ケースに設けられ、前記中空軸部の端部の外周を回転自在に支持するベアリングと、前記変速機ケースに設けられ、前記回転軸の外周の前記ベアリングの軸方向外方に形成された空間に開口する第1油路と、前記隙間及び前記隙間と前記中空軸部の外周とを連通する孔部からなり、前記第1油路から前記空間内に供給された潤滑油を前記中空軸部の外周側に供給する第2油路と、前記ベアリングの軸方向外方の内輪側に配置され、前記中空軸部と一体回転するように設けられ、前記空間内の潤滑油が前記ベアリングへ流入することを抑制する螺旋状の溝が形成された抑制部材と、を有していることを特徴としている。
(2)前後進切替機構が、前記回転部材よりも動力伝達方向下流側に装備されることが好ましい。
(3)前記変速機が、第1固定プーリ及び第1可動プーリを有する駆動側プーリと、両側に一体に中空のプーリ軸を有し、前記プーリ軸の一端側が前記ベアリングで軸支された第2固定プーリ、及び、前記プーリ軸の他端側に軸方向移動可能に装着された第2可動プーリを有する従動側プーリと、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに巻き掛けられた無端帯状体とを備えた、無段変速機として構成され、前記回転部材が前記第2固定プーリにより構成され、前記中空軸部が前記プーリ軸により構成され、前記回転軸が車輪に連結された車軸により構成されることが好ましい。
(4)前記抑制部材は、前記ベアリングの内輪を前記プーリ軸の一端側に固定するナットに一体的に設けられ、前記螺旋状の溝が前記ナットの外周に形成されていることが好ましい。
第1油路から、回転軸の外周のベアリングの軸方向外方に形成された空間に供給された潤滑油には、回転軸や回転部材の中空軸部の回転により遠心力が作用する。このため、潤滑油は、外周側にあるベアリングに流れやすくなり、その分、第2油路への潤滑油の供給量が減少してしまう。
しかし、本発明によれば、中空軸部と一体に回転する抑制部材の螺旋状の溝により、中空軸部が回転し潤滑油が必要なときには、ベアリングへの潤滑油の過剰な流入が抑制されるので、この分、第2油路へ潤滑油を多めに供給することができるので、第2油路を通して、変速機の潤滑が必要な部分に十分な量の潤滑油を供給することができる。
本発明の一実施形態に係る車両の駆動装置の構成を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態としての無段変速機の要部構成を示す模式的な縦断面図である。 本発明の一実施形態に係るナットの構成を示す模式図であって、(a)はその正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は、ナットとベアリングとを抜き出して示す図2のB矢視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
また、以下の説明における軸方向とは、後述の第2軸心線10Bに沿った方向をいい、径方向とは、軸方向に対して垂直な方向をいう。
[1.車両の駆動装置の全体構成]
本発明の一実施形態に係る車両の駆動装置の構成を説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る車両の駆動装置の全体構成を説明する。
図1に示すように、駆動装置には、内燃機関(以下、エンジンとも言う)1と駆動輪3L,3Rとの間の動力伝達経路に、無段変速機構5と、前後進切替機能を備えた副変速機構(前後進切替機構)6と、差動機構7とが設けられている。そして、無段変速機構5と、副変速機構6とを備えて、本発明の一実施形態としての無段変速機100が構成されている。
無段変速機構5は、溝幅が可変の可変プーリであるプライマリプーリ(駆動側プーリ)5A及びセカンダリプーリ(従動側プーリ)5Bと、これらのプーリ5A,5Bに巻き掛けられたVベルト(無端帯状体)5Cとを有する。プライマリプーリ5Aの回転軸(入力軸であり、以下、プーリ軸ともいう)5ASは、エンジン1の出力軸1Sに連結され、セカンダリプーリ5Bの回転軸(出力軸であり、以下、プーリ軸ともいう)5BSは、副変速機構6に連結されている。
プライマリプーリ5Aは、プーリ軸5ASと一体に形成された固定プーリ(第1固定プーリ)5A1と、プーリ軸5ASの軸方向に可動に備えられる可動プーリ(第1可動プーリ)5A2とが対向配置されて構成される。
セカンダリプーリ5Bは、プーリ軸5BSと一体に形成された固定プーリ(第2固定プーリ)5B1と、プーリ軸5BSの軸方向に可動に備えられる可動プーリ(第2可動プーリ)5B2とが対向配置されて構成される。プーリ軸5BSは、固定プーリ5B1を貫通するようにして設けられている。すなわち、固定プーリ5B1の両側にプーリ軸5BSが突出するように設けられている。プーリ軸5BSの各端部はそれぞれボールベアリング8(図2参照。但し、図2では一方のボールベアリング8のみ示す)により回転可能に支持されている。
以下、軸方向でボールベアリング8に挟まれた領域を、ボールベアリング8の軸方向内方と表記し、軸方向でボールベアリング8の軸方向内方から外れた領域を、ボールベアリング8の軸方向外方と表記する。また、プーリ軸5BSの固定プーリ5B1よりも駆動輪3L側をプーリ軸一端部5BSaと表記する。
可動プーリ5A2,5B2の軸方向移動により、可動プーリ5A2,5B2と固定プーリ5A1,5B1との距離を変更することで、可動プーリ5A2,5B2と固定プーリ5A1,5B1との間に形成されるV字状溝の溝幅を増減させる。これにより、プーリ5A,5BへのVベルト5Cの巻き付き径を調整して、プライマリプーリ5Aからセカンダリプーリ5Bへの動力伝達比、即ち、変速比を変化させることができる。
また、セカンダリプーリ5Bのプーリ軸5BSは中空軸部として構成されている。この中空のプーリ軸5BSの内部に、一方の(駆動輪3Lに結合される)ドライブシャフト(回転軸)2Lが、隙間54を空けて挿通されており、セカンダリプーリ5Bはドライブシャフト2Lに対して相対回転するようになっている。この隙間54は後述するように潤滑油の油路として機能する(そこで、以下、油路54ともいう)。
本実施形態では、副変速機構6は前進2段・後進1段の有段の変速機構である。副変速機構6は、その構成要素は図示しないが、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニョウ型遊星歯車機構と、ラビニョウ型遊星歯車機構を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(ローブレーキ、ハイクラッチ、Revブレーキ)とを備える。各摩擦締結要素の締結・解放状態を変更することにより、変速段及び前後進が切り替えられる。
副変速機構6の出力経路には差動機構7が装備され、動力は、差動機構7を経由して左右の駆動輪3L,3Rが結合されるドライブシャフト2L,2Rにそれぞれ伝達される。
ここで、エンジン1と、無段変速機構5のプライマリプーリ5Aとは、各々の軸心を第1軸線10A上に同軸に配置され、且つ第1軸線10Aの一方側(図中、右側)から他方側(図中、左側)に向かってこの順に配置されている。また、差動機構7,副変速機構6,及び無段変速機構5のセカンダリプーリ5Bは、各々の軸心を、第1軸線10Aと平行な第2軸線10B上に同軸に配置され、且つ第2軸線10Bの一方側から他方側に向かってこの順に配置されている。そして、ドライブシャフト2L,2R及び駆動輪3L,3Rも第2軸線10B上に同軸に装備され、上述したように、左側のドライブシャフト2Lは、セカンダリプーリ5Bのプーリ軸5BSに挿通されている。
[2.要部構成]
本発明の要部を、図2を参照して説明する。
図2に示すように、セカンダリプーリ5Bの固定プーリ5B1の一端側(図2中左側)は、無段変速機構5の変速機ケースの一部を構成する側方カバー(以下、単にカバーともいう)51で覆われている。カバー51は、固定プーリ5B1寄りの部分(以下、カバー先端部という)51aにおいて、プーリ軸一端部5BSaを包囲している。また、カバー51は、プーリ軸一端部5BSaよりもベアリング8の軸方向外方において、径方向内側(ドライブシャフト2L側)に突出する突部51bを備えている。
そして、カバー51には、背面51cに形成された開口52aを入口とし、突部51bの側方に固定プーリ5B1に向かって形成された開口52bを出口とする供給路(第1油路)52が形成されている。ドライブシャフト2Lの外周のベアリング8の軸方向外方には、空間20が形成されており、開口52bはこの空間20に面して形成されている(供給路52は空間20に開口して設けられている)。
開口52aには配管53がコネクタ53aを介して接続されており、供給路52には、油ポンプ(図示略)から配管53及びコネクタ53aを経て潤滑油が供給され、この潤滑油は、開口52bから、空間20へと供給される。
空間20には、プーリ軸5BSとドライブシャフト2Lとの間の隙間により形成される前述の油路54が連通している。また、プーリ軸5BSには、その内周から外周にわたって、前記油路(隙間)54とプーリ軸5BS外周とを連通する孔部54aが形成されている。潤滑油は、油路54から孔部54aを通って、可動プーリ5B2とプーリ軸5BSとの間(プーリ軸5BSの外周側)のスプライン溝54cのボール54bに供給され、さらには、スプライン溝54cを通って、プーリ5B1,5B2とVベルト5Cとの摺動部であるシーブ面5B1a,5B2aに供給されるようになっている。つまり、油路54と孔部54aとから本発明の第2油路が構成されている。
固定プーリ5B1のプーリ軸一端部5BSaには、従来周知構造のベアリング(本実施形態ではボールベアリング)8が設置されている。
固定プーリ5B1のプーリ軸一端部5BSaの付け根には第2軸心線10Bと略直角をなす平面5B1bが形成されている。また、カバー先端部51aには、その径方向内側(ドライブシャフト2L側)に環状の平滑面51dが形成されると共に、平滑面51dの駆動輪3L(図1参照)側から平滑面51dに直交し径方向内方に向かって延在する平面51eが形成されている。そして、平面5B1b,プーリ軸一端部5BSaの環状外周面,平面51e及び平滑面51dとの相互間にベアリング8が嵌めこまれている。固定プーリ5B1は、このベアリング8を介してカバー51に回転可能に支持されている。
また、プーリ軸一端部5BSaにおいて、ベアリング8から空間20側へ突出する部分(ベアリング8の軸方向外方)の外周面には、ネジ溝(以下、雄ネジともいう)5BSbが形成されている。このネジ溝5BSbにはナット(抑制部材)9が螺合され、ナット9の締め付けによりボールベアリング8の内輪がプーリ軸一端部5BSaに固定される。つまり、抑制部材を構成するナット9がベアリング8の軸方向外方の内輪側に配置されている。
さらに言えば、ケース51と固定プーリ5B1との相互間に嵌めこまれたベアリング8を、プーリ軸一端部5BSaに螺合したナット9により固定することで、固定プーリ5B1がケース51から抜けないようにしている。
プーリ軸一端部5BSaとドライブシャフト2Lとの間には、油路54内において、ニードルベアリング55が設けられており、プーリ軸5BSは、ドライブシャフト2Lに対して相対回転可能に支持されている。なお、ニードルベアリング55の外周には針状コロが周方向に沿って間隔を空けて設けられているため、ニードルベアリング55によって油路54が閉塞されることはない。
また、カバー51とドライブシャフト2Lとの間にはシール部材56を配置して、供給路52から供給された潤滑油がカバー51とドライブシャフト2Lとの間からリークしないようにしている。
ここで、ナット9について、図2及び図3(a)〜(c)を参照して説明する。
ナット9は、図3(a),(b)に示すように、六角筒形状のナット本体91と、ナット本体91の一端部周面から外周側に突設された円盤部92とを一体に備えて形成される。ナット本体91と円盤部92とは同心上に配置される。
ナット本体91は、他端部には壁面91bを備え、壁面91bの中央には開口91cが形成されている。開口91cは、内径に段差の付いた形状であり、扇形開口部91dと、この扇形開口部91dよりも大径の扇形開口部91eとが周方向に交互に並んだ形状のものである。
また、ナット本体91の内周面は、ネジ溝が形成されて雌ネジ部91hとして構成されており、プーリ軸一端部5BSaの雄ネジ5BSbに螺合される。
なお、この雌ネジ部91hの内径は、前記扇形開口部91eの径(つまり開口91cの最大径)より大径である。
円盤部92の外周面92aには螺旋状の溝92bが切られている。この溝92bの螺旋方向は、エンジン1の作動中、即ち、セカンダリプーリ5Bと一体にナット9が回転している最中、ベアリング8に向かって流れてくる潤滑油に対して、矢印Dで示すようにベアリング8から離隔する側へ押し戻すような力を与えて、潤滑油が空間20からベアリング8への流入を抑制できるように設定されている。
つまり、図3(c)に示すように、空間20からベアリング8へ向かう方向dに対して、ナット9がセカンダリプーリ5Bと共に矢印Cで示すように左回り(反時計回り)で回転する場合には、溝92bは左ネジとして形成される。図3(c)とは逆に、上記方向dに対して、ナット9が右回り(時計回り)で回転する場合には、溝92bは右ネジとして形成されることとなる。
換言すれば、溝92bの螺旋方向は、ナット9の回転方向とは逆方向に向かって〔図3(c)に示す側面視では、下側になるほど〕ベアリング8から離隔するように傾斜する方向に設定されている。
また、図2に示すように、ナット9をプーリ軸5BSaに組み付けたときに、ナット9の扇形開口部91dを画成する内周縁91fは、ニードルベアリング55が図2中左側に外れてしまわない高さに設定され(つまりニードルベアリング55の最外周部よりも軸心側まで延在し)、扇形開口部91eを画成する内周縁91gは、油路54を塞ぐことのない高さに設定されている。
なお、ナット9の締結は、ナット本体91の円盤部92よりも上の六角柱の部分をスパナなどの工具に嵌めこんで廻すことにより行う。
[3.作用・効果]
本発明の一実施形態の無段変速機によれば、ナット9に螺旋状の溝92bを形成することにより、油路54への潤滑油の供給量を確保して、油路54,54aを介して無段変速機の潤滑が必要な部分に十分な量の潤滑油を供給することができるようになる。
この理由を説明する。供給路52から空間20に供給された潤滑油は、ドライブシャフト2Lやプーリ軸一端部5BSaの回転による遠心力の影響を受ける。そして、この回転による遠心力が、ドライブシャフト2Lとプーリ軸5BSとの間に形成される油路54への供給方向とは逆に、径方向外側へ向かって潤滑油に作用する。このため、潤滑油は、油路54よりも外周側にあるベアリング8に過剰に流れやすくなり、ベアリング8の内部隙間からのリーク量が過剰になりやすい。そして、この分、油路54,54aを介してシーブ面5B1a,5B2aやボール54bへ潤滑油が流れにくくなる。
しかし、ベアリング8の手前(供給路52とベアリング8との間)に配置され、プーリ軸一端部5BSaと一体に回転するナット9の螺旋状の溝92bにより、潤滑油がベアリング8から離隔する方向へ誘導されるようになるので、ベアリング8へ向かう潤滑油の流れを抑制することができ、この分、プーリ軸5BSとドライブシャフト2Lと間の油路54へ潤滑油を多めに供給することができる。これにより、ベアリング8への潤滑油の供給量を適正量に保持しつつ、シーブ面5B1a,5B2aやボール54bへ十分な量の潤滑油を供給することができるようになる。
ナット9の螺旋状の溝92bは、図3(c)中において、矢印Cで示す方向に回転する場合は、ベアリング8への潤滑油の流れを抑制するが、矢印Cで示す方向と反対方向に回転する場合は、ベアリング8への潤滑油の流れを促進してしまう。
本実施形態では、図1に示すように、セカンダリプーリ5Bよりも動力伝達方向(エンジン1から駆動輪3L,3Rへと動力が伝達する方向)で下流側に、前後進切替機能を有した副変速機構6が装備されているので、プーリ軸5BS及びナット9の回転方向は、車両の前進時及び後進時の何れの場合も矢印Cで示す方向となる。
したがって、車両の前進時及び後進時の何れについても、ナット9の螺旋状の溝92bによって、ベアリング8への過剰な潤滑油の供給を防止できると共に、油路54を通して軸方向に十分な量の潤滑油を供給できる。
本実施形態では、ベアリング8を固定するためのナット9を本発明の抑制部材として構成している。換言すれば、ナット9と抑制部材とを一体に構成している。したがって、ナット9と抑制部材とを別々に構成する場合に較べて部品点数を削減できる。
[4.その他]
(1)上記実施形態では、変速機として、無段変速機構がベルト式無段変速機構である無段変速機の場合を説明したが、無段変速機構に、ベルト式のものに代えてチェーン式のものなど他の無段変速機構を用いてもよい。或いは、有段変速機に用いても良い。
要するに、本願発明は、回転軸の外周に配置された中空軸部を有する回転部材を、中空軸部の端部外周に配置されたベアリングを介して回転自在に支持し、回転軸の外周のベアリングの軸方向外方に形成された空間に供給された潤滑油を、中空軸部の内周と回転軸の外周との間の隙間及び中空軸部の内周から外周にわたって形成された孔部からなる油路に供給する変速機であれば適用できる。
(2)上記実施形態では、前後進切替機構(副変速機構6)を、セカンダリプーリ5Bよりも動力伝達方向下流側に装備したが、前後進切替機構(副変速機構6)を、エンジン1と無段変速機構5との間など、セカンダリプーリ5Bよりも動力伝達方向上流側に配置しても良い。
但し、この場合、ナット9の溝92bの螺旋の方向は、車両の前進時にベアリング8へ向かう潤滑油の流れを抑制する方向に設定する必要がある。車両の後進時には、ベアリング8へ向かう潤滑油の流れを抑制することはできないが、車両が後進する期間や距離は僅かであるので、ベアリング8への潤滑油の供給過剰や、油路54への(軸方向への)潤滑油の供給不足は実質的に問題とならない。或いは、車両の後進時には前進時よりも潤滑油の供給量を増加して、油路54への潤滑油の供給不足を解消するようにしても良い。この場合も、潤滑油の供給量を増加する期間は僅かであるので、実質的に問題とならない。
(3)上記実施形態では、ベアリング8を固定するためのナット9を本発明の抑制部材として構成したが、これに限定されない。
例えば、抑制部材を、ベアリング8を固定するためのナットとは別体としても良い。このような態様の具体例としては、上記実施形態におけるナット本体91と円盤部92とを別体として、ナット(ナット本体91)に抑制部材(円盤部92)を嵌合する態様や、ナットとは離隔して抑制部材を配置する態様が挙げられる。
或いは、ベアリング8を固定するための部材を、ナットに替えて嵌め込み式のものにして、この嵌め込み式の部材の外周に螺旋状の溝を設けて抑制部材としても良いし、嵌め込み式の部材とは別に、抑制部材を設けても良い。
1 内燃機関(エンジン)
2L,2R ドライブシャフト
5 無段変速機構
5A プライマリプーリ(駆動側プーリ)
5A1 固定プーリ(第1固定プーリ)
5A2 可変プーリ(第1可変プーリ)
5AS プーリ軸
5B セカンダリプーリ(従動側プーリ)
5B1 固定プーリ(第2固定プーリ)
5B1a,5B2a シーブ面
5B2 可変プーリ(第2可変プーリ)
5BS プーリ軸(中空軸部)
5C Vベルト(無端帯状体)
6 副変速機構(前後進切替機構)
8 ベアリング
9 ナット(抑制部材)
20 空間
51 側方カバー(変速機ケース)
52 供給路(第1油路)
52a 開口(供給路52の入口)
52b 開口(供給路52の出口)
54 油路
54a 孔部
92b 螺旋状の溝
100 無段変速機

Claims (4)

  1. 回転軸の外周に隙間を空けて配置された中空軸部を有し、前記回転軸に対して相対回転する変速機の回転部材と、
    前記回転軸及び前記中空軸部の外周に配置された変速機ケースと、
    前記変速機ケースに設けられ、前記中空軸部の端部の外周を回転自在に支持するベアリングと、
    前記変速機ケースに設けられ、前記回転軸の外周の前記ベアリングの軸方向外方に形成された空間に開口する第1油路と、
    前記隙間及び前記隙間と前記中空軸部の外周とを連通する孔部からなり、前記第1油路から前記空間内に供給された潤滑油を前記中空軸部の外周側に供給する第2油路と、
    前記ベアリングの軸方向外方の内輪側に配置され、前記中空軸部と一体回転するように設けられ、前記空間内の潤滑油が前記ベアリングへ流入することを抑制する螺旋状の溝が形成された抑制部材と、を有している
    ことを特徴とする、変速機。
  2. 前後進切替機構が、前記回転部材よりも動力伝達方向下流側に装備された
    ことを特徴とする、請求項1に記載の変速機。
  3. 前記変速機が、
    第1固定プーリ及び第1可動プーリを有する駆動側プーリと、
    両側に一体に中空のプーリ軸を有し、前記プーリ軸の一端側が前記ベアリングで軸支された第2固定プーリ、及び、前記プーリ軸の他端側に軸方向移動可能に装着された第2可動プーリを有する従動側プーリと、
    前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに巻き掛けられた無端帯状体とを備えた、無段変速機として構成され、
    前記回転部材が前記第2固定プーリにより構成され、
    前記中空軸部が前記プーリ軸により構成され、
    前記回転軸が車輪に連結された車軸により構成された
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の変速機。
  4. 前記抑制部材は、前記ベアリングの内輪を前記プーリ軸の一端側に固定するナットに一体的に設けられ、前記螺旋状の溝が前記ナットの外周に形成されている
    ことを特徴とする、請求項3に記載の変速機。
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