JP6479573B2 - 変速機 - Google Patents
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Description
このような2軸構成の無段変速機では、セカンダリプーリのシャフトを中空とし、この中空のシャフトに、駆動輪に連結するドライブシャフト(車軸)を挿通させることで、セカンダリプーリのシャフトとデファレンシャルギヤとが同軸上に並ぶ第2軸を構成している。
しかし、本発明によれば、中空軸部と一体に回転する抑制部材の螺旋状の溝により、中空軸部が回転し潤滑油が必要なときには、ベアリングへの潤滑油の過剰な流入が抑制されるので、この分、第2油路へ潤滑油を多めに供給することができるので、第2油路を通して、変速機の潤滑が必要な部分に十分な量の潤滑油を供給することができる。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
また、以下の説明における軸方向とは、後述の第2軸心線10Bに沿った方向をいい、径方向とは、軸方向に対して垂直な方向をいう。
本発明の一実施形態に係る車両の駆動装置の構成を説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る車両の駆動装置の全体構成を説明する。
図1に示すように、駆動装置には、内燃機関(以下、エンジンとも言う)1と駆動輪3L,3Rとの間の動力伝達経路に、無段変速機構5と、前後進切替機能を備えた副変速機構(前後進切替機構)6と、差動機構7とが設けられている。そして、無段変速機構5と、副変速機構6とを備えて、本発明の一実施形態としての無段変速機100が構成されている。
以下、軸方向でボールベアリング8に挟まれた領域を、ボールベアリング8の軸方向内方と表記し、軸方向でボールベアリング8の軸方向内方から外れた領域を、ボールベアリング8の軸方向外方と表記する。また、プーリ軸5BSの固定プーリ5B1よりも駆動輪3L側をプーリ軸一端部5BSaと表記する。
ここで、エンジン1と、無段変速機構5のプライマリプーリ5Aとは、各々の軸心を第1軸線10A上に同軸に配置され、且つ第1軸線10Aの一方側(図中、右側)から他方側(図中、左側)に向かってこの順に配置されている。また、差動機構7,副変速機構6,及び無段変速機構5のセカンダリプーリ5Bは、各々の軸心を、第1軸線10Aと平行な第2軸線10B上に同軸に配置され、且つ第2軸線10Bの一方側から他方側に向かってこの順に配置されている。そして、ドライブシャフト2L,2R及び駆動輪3L,3Rも第2軸線10B上に同軸に装備され、上述したように、左側のドライブシャフト2Lは、セカンダリプーリ5Bのプーリ軸5BSに挿通されている。
本発明の要部を、図2を参照して説明する。
図2に示すように、セカンダリプーリ5Bの固定プーリ5B1の一端側(図2中左側)は、無段変速機構5の変速機ケースの一部を構成する側方カバー(以下、単にカバーともいう)51で覆われている。カバー51は、固定プーリ5B1寄りの部分(以下、カバー先端部という)51aにおいて、プーリ軸一端部5BSaを包囲している。また、カバー51は、プーリ軸一端部5BSaよりもベアリング8の軸方向外方において、径方向内側(ドライブシャフト2L側)に突出する突部51bを備えている。
開口52aには配管53がコネクタ53aを介して接続されており、供給路52には、油ポンプ(図示略)から配管53及びコネクタ53aを経て潤滑油が供給され、この潤滑油は、開口52bから、空間20へと供給される。
固定プーリ5B1のプーリ軸一端部5BSaの付け根には第2軸心線10Bと略直角をなす平面5B1bが形成されている。また、カバー先端部51aには、その径方向内側(ドライブシャフト2L側)に環状の平滑面51dが形成されると共に、平滑面51dの駆動輪3L(図1参照)側から平滑面51dに直交し径方向内方に向かって延在する平面51eが形成されている。そして、平面5B1b,プーリ軸一端部5BSaの環状外周面,平面51e及び平滑面51dとの相互間にベアリング8が嵌めこまれている。固定プーリ5B1は、このベアリング8を介してカバー51に回転可能に支持されている。
さらに言えば、ケース51と固定プーリ5B1との相互間に嵌めこまれたベアリング8を、プーリ軸一端部5BSaに螺合したナット9により固定することで、固定プーリ5B1がケース51から抜けないようにしている。
ナット9は、図3(a),(b)に示すように、六角筒形状のナット本体91と、ナット本体91の一端部周面から外周側に突設された円盤部92とを一体に備えて形成される。ナット本体91と円盤部92とは同心上に配置される。
ナット本体91は、他端部には壁面91bを備え、壁面91bの中央には開口91cが形成されている。開口91cは、内径に段差の付いた形状であり、扇形開口部91dと、この扇形開口部91dよりも大径の扇形開口部91eとが周方向に交互に並んだ形状のものである。
また、ナット本体91の内周面は、ネジ溝が形成されて雌ネジ部91hとして構成されており、プーリ軸一端部5BSaの雄ネジ5BSbに螺合される。
なお、この雌ネジ部91hの内径は、前記扇形開口部91eの径(つまり開口91cの最大径)より大径である。
換言すれば、溝92bの螺旋方向は、ナット9の回転方向とは逆方向に向かって〔図3(c)に示す側面視では、下側になるほど〕ベアリング8から離隔するように傾斜する方向に設定されている。
なお、ナット9の締結は、ナット本体91の円盤部92よりも上の六角柱の部分をスパナなどの工具に嵌めこんで廻すことにより行う。
本発明の一実施形態の無段変速機によれば、ナット9に螺旋状の溝92bを形成することにより、油路54への潤滑油の供給量を確保して、油路54,54aを介して無段変速機の潤滑が必要な部分に十分な量の潤滑油を供給することができるようになる。
したがって、車両の前進時及び後進時の何れについても、ナット9の螺旋状の溝92bによって、ベアリング8への過剰な潤滑油の供給を防止できると共に、油路54を通して軸方向に十分な量の潤滑油を供給できる。
(1)上記実施形態では、変速機として、無段変速機構がベルト式無段変速機構である無段変速機の場合を説明したが、無段変速機構に、ベルト式のものに代えてチェーン式のものなど他の無段変速機構を用いてもよい。或いは、有段変速機に用いても良い。
要するに、本願発明は、回転軸の外周に配置された中空軸部を有する回転部材を、中空軸部の端部外周に配置されたベアリングを介して回転自在に支持し、回転軸の外周のベアリングの軸方向外方に形成された空間に供給された潤滑油を、中空軸部の内周と回転軸の外周との間の隙間及び中空軸部の内周から外周にわたって形成された孔部からなる油路に供給する変速機であれば適用できる。
例えば、抑制部材を、ベアリング8を固定するためのナットとは別体としても良い。このような態様の具体例としては、上記実施形態におけるナット本体91と円盤部92とを別体として、ナット(ナット本体91)に抑制部材(円盤部92)を嵌合する態様や、ナットとは離隔して抑制部材を配置する態様が挙げられる。
或いは、ベアリング8を固定するための部材を、ナットに替えて嵌め込み式のものにして、この嵌め込み式の部材の外周に螺旋状の溝を設けて抑制部材としても良いし、嵌め込み式の部材とは別に、抑制部材を設けても良い。
2L,2R ドライブシャフト
5 無段変速機構
5A プライマリプーリ(駆動側プーリ)
5A1 固定プーリ(第1固定プーリ)
5A2 可変プーリ(第1可変プーリ)
5AS プーリ軸
5B セカンダリプーリ(従動側プーリ)
5B1 固定プーリ(第2固定プーリ)
5B1a,5B2a シーブ面
5B2 可変プーリ(第2可変プーリ)
5BS プーリ軸(中空軸部)
5C Vベルト(無端帯状体)
6 副変速機構(前後進切替機構)
8 ベアリング
9 ナット(抑制部材)
20 空間
51 側方カバー(変速機ケース)
52 供給路(第1油路)
52a 開口(供給路52の入口)
52b 開口(供給路52の出口)
54 油路
54a 孔部
92b 螺旋状の溝
100 無段変速機
Claims (4)
- 回転軸の外周に隙間を空けて配置された中空軸部を有し、前記回転軸に対して相対回転する変速機の回転部材と、
前記回転軸及び前記中空軸部の外周に配置された変速機ケースと、
前記変速機ケースに設けられ、前記中空軸部の端部の外周を回転自在に支持するベアリングと、
前記変速機ケースに設けられ、前記回転軸の外周の前記ベアリングの軸方向外方に形成された空間に開口する第1油路と、
前記隙間及び前記隙間と前記中空軸部の外周とを連通する孔部からなり、前記第1油路から前記空間内に供給された潤滑油を前記中空軸部の外周側に供給する第2油路と、
前記ベアリングの軸方向外方の内輪側に配置され、前記中空軸部と一体回転するように設けられ、前記空間内の潤滑油が前記ベアリングへ流入することを抑制する螺旋状の溝が形成された抑制部材と、を有している
ことを特徴とする、変速機。 - 前後進切替機構が、前記回転部材よりも動力伝達方向下流側に装備された
ことを特徴とする、請求項1に記載の変速機。 - 前記変速機が、
第1固定プーリ及び第1可動プーリを有する駆動側プーリと、
両側に一体に中空のプーリ軸を有し、前記プーリ軸の一端側が前記ベアリングで軸支された第2固定プーリ、及び、前記プーリ軸の他端側に軸方向移動可能に装着された第2可動プーリを有する従動側プーリと、
前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに巻き掛けられた無端帯状体とを備えた、無段変速機として構成され、
前記回転部材が前記第2固定プーリにより構成され、
前記中空軸部が前記プーリ軸により構成され、
前記回転軸が車輪に連結された車軸により構成された
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の変速機。 - 前記抑制部材は、前記ベアリングの内輪を前記プーリ軸の一端側に固定するナットに一体的に設けられ、前記螺旋状の溝が前記ナットの外周に形成されている
ことを特徴とする、請求項3に記載の変速機。
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