JP6478411B2 - 経鼻的脳機能調整剤及び経鼻的に脳機能を調整する方法 - Google Patents

経鼻的脳機能調整剤及び経鼻的に脳機能を調整する方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の植物から抽出された抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤に関し、また、該経鼻的脳機能調整剤を投与して、経鼻的に脳機能を調整する方法に関する。
香料、精油等の植物から抽出された抽出物は、精神症状の対症療法として利用ができることが知られている。
しかしながら、その利用は対症療法に過ぎない場合が多く、その効果についても未知の部分が多く、事前検査等を用いてもその利益が得られるかどうかは不明であった。また、該効果の個人差も強く、誰にでも又は常に効果を奏するものか否かは明確ではなかった。
ただ、我が国では、そういった状況を差し引いても、医療に精油を用いるアロマセラピーについては行なわれている。
特許文献1には、特定の官能基を有する精油成分を含有するβ−セクレターゼ阻害剤を含有する老人性痴呆症の予防又は治療薬が記載されており、かかる精油成分は、クローブ油やティーツリー油に含まれるとしている。
また、特許文献2には、セージ精油を有効成分として含む嗅覚機能改善剤が記載されており、認知症患者に投与すれば有効であるとされている。
このように、精油及び香料は、その香りが、人体に感覚的に受容されることで、様々な作用を有すると考えられている。
しかしながら、その効果については、誰にでも又は常に効果を奏するものか否かは明確ではなく、上記の香り成分が、より効果的に用いられる手法については、検討が十分ではなかった。
また、香り成分の探索、香り成分の有効性の検討、香り成分の効果的な経鼻投与量の決定等についても十分ではなく、更に、脳の如何なる場所の如何なる機能の活性化、亢進抑制化、調整等の評価手法についても十分ではなく、更なる検討が必要であった。
このような状況の下、脳機能の活性化、亢進抑制化、調整等について、有効な評価手法によって裏付けられた経鼻的脳機能調整剤については、殆ど知られておらず、明確な裏付けがある経鼻的脳機能調整剤が望まれていた。
特開2010−254607号公報 特開2013−014537号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、精油、香料、抽出液等の「植物から抽出された物質」の未知なる作用を検索し、特に脳機能に対する種々の効果を確認し、脳機能を効果的に調整可能な新規な「植物から抽出された抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤」を提供することにあり、また、それを用いた経鼻的に脳機能を調整する方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の植物からの抽出物が、脳の局所的な調整を、再現性を持って行うことが可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は、「特定植物」から抽出された抽出物を有効成分として含有するものに、医療分野等に極めて有効な顕著な効果が初めて見出され、効果が規定された「経鼻的脳機能調整剤」として新たになされたものである。
すなわち、本発明は、嗅覚を利用して対象となる人の脳の特定の場所に作用して、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制する経鼻的脳機能調整剤であって、レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出されたレモングラスの抽出液を有効成分として含有するものであることを特徴とする経鼻的脳機能調整剤である。
以下、「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」を、単に「低温真空抽出法」と略記する。
また、本発明は、上記の経鼻的脳機能調整剤を、精神症状を呈する精神疾患又は全身性疾患を持つ患者に投与することによって、該患者の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法である。
また、本発明は、上記の経鼻的脳機能調整剤を、器質性の脳の変性を有する患者に投与することによって、該患者の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法である。
また、本発明は、上記の経鼻的脳機能調整剤を、疾患を持たない人に投与することによって、該人の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法である。
本発明によれば、前記問題点や上記課題を解決し、脳機能の活性化、亢進抑制、調整等について、例えば、脳の活動場所や該活動の程度等を含めた、脳機能の活動の評価手法によって明確に裏付けられた、有効な経鼻的脳機能調整剤を提供できる。
また、脳の活性化場所や程度、亢進抑制化場所や程度等が、明確に判明した有効な経鼻的脳機能調整剤を提供できる。
また、特定の疾患を持った人、特定の脳機能の活動を調整したい人等に、特異的に効果を奏する経鼻的脳機能調整剤を提供できる。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、脳を刺激し、脳の特定の箇所の血流を調整でき、これらは、短期的又は持続的に行われる。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、脳の特定の箇所の、血流量、血液量、「酸素が結合したヘモグロビンを含有する血液の量」、「酸素が結合したヘモグロビンを含有する血液と酸素が結合していないヘモグロビンを含有する血液の量の比率」等を調整できる。
また、主作用が香りによって得られることから、対象者にとって負担や副作用が少ない経鼻的脳機能調整剤を提供できる。
従って、本発明の経鼻的脳機能調整剤は、医薬品としてはもちろん、疾患を有さない人向けの予防薬、化粧品、アロマセラピー用品、芳香剤、介護用品等に用いることができ、また、健常者の更なる脳機能の活動調整等にも有効に用いることができる。
簡便な方法で、脳の局所的な調整を選択的に行うことができる薬剤は、本発明の経鼻的脳機能調整剤以外には存在しない。
また、本発明の経鼻的脳機能調整剤を投与し、特定の手法で脳神経疾患を評価するためのデータを提供したり、脳機能の活動を調整するためのデータを提供したりすることができる。
かかる、手法を用いれば、投与量の決定、投与時期の決定、投与方法の決定等にも有効である。
対象者の脳活動量の向上が可能であることから、本発明の経鼻的脳機能調整剤の利用で、作業量の向上等の認知機能の向上に繋がる。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、認知症等の精神症状を呈する精神科疾患又は全身性疾患を持つ患者、器質性の脳の変性を有する患者、疾患を持たないが罹患リスクを減少させたい人、脳機能の活動を調整したい健常者等に有効に用いることができる。
また、本発明の経鼻的に脳機能を調整する方法を用いれば、対象者(例えば、精神症状を呈する精神疾患又は全身性疾患を持つ患者、器質性の脳の変性を呈する患者、又は疾患を持たない人)の脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することによって、脳機能の活動を調整することができる。
また、本発明は、脳神経疾患を治療したり、脳機能の活動を調整したりすることができ、本発明のデータを提供する方法を用いれば、投与量の決定、投与時期の決定、投与方法の決定等にも有効である。
脳活動量の向上が可能であることから、本発明の利用で、作業量の向上等の認知機能の向上が可能である。
本発明における抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器の一形態を示す拡大断面図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器内の撹拌羽根の構成の一形態を示す斜視図である。 カモミールからの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である(白に近づくほど脳の活動が賦活していることを示す)。 (a)頭部右側、(b)頭部左側、(c)頭部正面 グレープフルーツからの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である(白に近づくほど脳の活動が賦活していることを示す)。 (a)頭部右側、(b)頭部左側、(c)頭部正面 レモングラスからの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である(白に近づくほど脳の活動が賦活していることを示す)。 (a)頭部右側、(b)頭部左側、(c)頭部正面 パチュリからの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である(白に近づくほど脳の活動が賦活していることを示す)。 (a)頭部右側、(b)頭部左側、(c)頭部正面 フランキンセンスからの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である(白に近づくほど脳の活動が賦活していることを示す)。 (a)頭部右側、(b)頭部左側、(c)頭部正面 低温真空抽出法により抽出されたレモングラスをアルツハイマー認知症の対象者に投与した結果(認知機能障害の推移)を示すグラフである。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明は、嗅覚を利用して対象となる人の脳の特定の場所に作用して、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制する経鼻的脳機能調整剤であって、低温真空抽出法により抽出されたレモングラスの抽出液を有効成分として含有するものであることを特徴とする経鼻的脳機能調整剤である。
本発明は人の嗅覚を利用しているので、レモングラスから抽出された抽出物は「香り」を有する。
レモングラス(C.citratus)は、イネ科(Poaceae)のオガルカヤ属(Cymbopogon)に属する多年草である。
レモングラスの抽出は、該レモングラスの何れの組織から抽出してもよく、レモングラスの葉;茎;花弁等の花冠;萼;果実;種子;樹皮等の樹木;根等から抽出されるが、葉、茎から抽出することが好ましい。
香り成分を多く含む「レモングラスの組織」から抽出することが好ましい。また、レモングラスの複数の組織から抽出してもよい。
抽出に用いられるものは、十分乾燥したもの、全く乾燥をしないもの(生のままのもの)、中程度に乾燥したもの、の何れでもよいが、好ましくは、十分乾燥したものである。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、レモングラスから低温真空抽出法を用いて抽出した抽出液を有効成分として含有する。すなわち、レモングラスを、「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」(低温真空抽出法)により抽出されたレモングラスの抽出液を有効成分として含有する。
ここで、低温真空抽出法に供するレモングラスの形態、すなわち、レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌する前の形態については、低温真空抽出法に用いる装置に投入し易く、該装置に適応する形態であれば特に限定はないが、適度に切断されていることも好ましい。切断する場合は、切断後の長さは、0.5cm〜20cmが好ましく、1cm〜15cmがより好ましく、2cm〜10cmが特に好ましい。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、嗅覚を利用して対象となる人の脳の特定の場所に作用して、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制する経鼻的脳機能調整剤であって、低温真空抽出法を用いた、レモングラスから抽出された抽出物を有効成分として含有するものである。
ここで、「低温真空抽出法」とは、撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法である。以下、この抽出法を、単に「低温真空抽出法」と略記する。
低温真空抽出法では、有機溶媒、水、水蒸気等の抽出媒体を実質的に使用せず、低温で減圧して直接抽出することが好ましい。ここで「低温」とは、減圧しないで溶媒抽出するときの一般的温度より低い温度のことを言い、本発明の場合は、具体的には、(抽出容器の温度でも抽出器内の気体の温度でもなく)、レモングラスの温度が90℃以下の温度であることが好ましい。抽出温度については詳述する。
<破砕、撹拌、外部から熱を加えつつ減圧して抽出>
本発明の抽出液の製造方法では、好ましくは一旦乾燥がなされたレモングラスを、撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する。
<<抽出装置>>
図1は、本発明の抽出液の製造方法において、抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。本発明の趣旨の範囲内であれば、本発明の経鼻的脳機能調整剤は、図に示された装置で抽出されたものには限定されない。
1は、レモングラスを収容し、撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する容器であり、2は、容器1から出る蒸気を冷却する冷却槽である。
容器1は、攪拌羽根6を収容した下部半円筒部7と、その上に形成された上部角形部8とからなる。下部半円筒部7の周囲には、容器1の内部に熱を加える蒸気室9がある。
下部半円筒部7の最下部の中央には、抽出後のレモングラスの破砕物を取り出す排出口10が設けられている。
前記上部角形部8の上部には、吸引される蒸気の排気口14が設けられ、この排気口14には、前記冷却槽2につながる配管16が接続されている。
前記上部角形部8の上部には、レモングラスの投入口17を設けると共に、その投入口17を塞ぐ蓋18を設けている。
本発明の抽出液の製造方法においては、レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うことが必須である。このようにしながら、抽出することで、新鮮な破砕面ができたら直ぐに抽出が可能になるので、有効な香気成分の熱分解等による変性を防ぐことができる。
上記破砕・撹拌は、可動刃及び/又は固定刃を備えた抽出装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図3は、前記攪拌羽根6の構成を示す斜視図であり、攪拌羽根6は、容器1の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器1の端壁20、21に回転可能に支持される左右の端板22、23と、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字形をなす羽根体24、25とによって構成することにより、中心軸を有しない構造に構成されている。
26は下部半円筒部7の内面に固着された複数の固定刃であり、羽根体24、25における固定刃26に対応する箇所には、羽根体24、25における固定刃26の部分を通過するための溝24a、25aが形成され、その溝の両側に、固定刃26との間でレモングラス31を切断するための可動刃24b、25bが形成されている。
なお、図3では、固定刃26と可動刃24b、25bとは、噛み合いが時間をずらして順次行なわれるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより攪拌羽根6の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
図2に示すように、下部半円筒部7の片側上部には、この上に載るレモングラス31が円滑に落ちるように、傾斜面30がある。
32は前記容器1内の真空度を計測する真空計、33、34は温度計であり、これらは抽出工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、抽出時のレモングラスの温度も間接的に測定するために設けられたものであり、また、抽出の開始と終了を判定するために設けられたものである。
<<抽出工程>>
この真空乾燥装置の操作・動作は、例えば、下記のように行なわれる。
まず、作業開始に当り、冷却槽2に冷却水が充填される。次いで、レモングラスを投入口17から容器1内に投入して蓋18を閉じる。そして、攪拌羽根6は、図1〜図3の矢印Rの方向に回転させ、容器1内のレモングラスを攪拌しながら、可動刃24b、25bと固定刃26との間でレモングラスを小さく破砕する。
レモングラスを破砕しながら抽出することで、新鮮な破砕面からの抽出が可能になり、香気成分の変性を防ぐことができる。
上記攪拌・破砕と同時に、蒸気室9内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。容器1に加えられた熱は、レモングラスに伝達され、レモングラス31が攪拌羽根6によって攪拌されることにより、抽出が促進される。この抽出は、レモングラス31が、可動刃24b、25bと固定刃26とによって破砕されて小さくなることによって更に促進される。
その際、蒸気室9内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調節して、レモングラスの温度を、後記する好ましい範囲にする。
エゼクタ、真空ポンプ等の減圧装置46で吸引することにより、容器1内の気体、すなわち、抽出液の蒸気及び空気は、配管16を通じて吸引され、容器1内のレモングラスに含まれている抽出液の蒸気と水の蒸発が始まる。
その際、減圧装置46で吸引する量や吸引力を調節して、抽出時の圧力(減圧度)を、後記する好ましい範囲にする。
容器1内の「レモングラスに含まれている抽出液の蒸気」及び「水蒸気」は、配管16を通して吸引され、冷却槽2に導入・液化されて、回収液となって回収槽41内に溜まる。
回収槽41内に、回収液(油層50及び水層51)が所定量まで貯まったら、減圧装置46での吸引を停止し、バルブ45を閉じ、弁49を開いて、回収液を回収する。回収液は、静置して分液をして、油層50及び水層51を、それぞれ抽出液として回収すればよい。
本発明の経鼻的脳機能調整剤の用途に応じて、油層50の抽出液を使用するか、水層51の抽出液を使用するかを選択することが好ましい。
また、油層が殆どない、又は、有効成分が水層(水相)に多い等の場合は、水層(水相)を使用することが好ましく、水層が殆どない、又は、有効成分が油層(油相)に多い等の場合は、油層(油相)を使用することが好ましい。また、用途に応じた薬効成分が多い方の層(相)を選択することが好ましい。
本願発明においては、好適な装置であるディフューザー(芳香拡散器)を用いて霧化させるために好適であること(ディフューザー適合性が高いこと)、脳の特定の場所の血流量、「酸素が結合したヘモグロビンを含有する血液」の量(比)を調整して、脳の機能を調整する効果が大きいこと、アルデヒド成分よりアルコール成分の含有比率が多いこと(実施例3参照)等のために、水層(水相、水性画分)を使用することが特に好ましい。
<<抽出条件>>
本発明の抽出液の製造方法においては、上記抽出の温度は特に限定されないが、レモングラスが55℃以下の温度を維持するように行うことが好ましい。より好ましくは、上記抽出を、レモングラスが20℃以上50℃以下の温度を維持するように行うことであり、特に好ましくは、25℃以上45℃以下であり、更に好ましくは、30℃以上40℃以下である。
下限が上記範囲の値であると、抽出時間を短くできるので、香気成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。また、香気成分を十分に抽出可能である。
本発明の抽出液の製造方法では、レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、下限が上記範囲の値であると、香気成分の分解・逸失が抑制される効果がより相乗される。
一方、上限が上記範囲の値であると、有効成分の熱による変性が防止でき、香気成分の分解を抑制しつつ、十分に香気成分を抽出できる。また、不必要な成分を抽出することがない。
本発明の抽出液の製造方法においては、上記抽出の減圧度は特に限定されないが、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことが好ましい。より好ましくは、101.3kPa(1気圧)に対し、85kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことであり、特に好ましくは、90kPa以上低い圧力であり、更に好ましくは、95kPa以上低い圧力である。
圧力が上記値であると(減圧度が上記であると)、低い温度での香気成分の抽出が可能になるので、有効成分の熱による変性が防止でき、香気成分の分解を抑制しつつ、十分に香気成分を抽出できる。また、抽出時間を短くできるので、香気成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。また、香気成分を十分に抽出可能となる。
本発明の抽出液の製造方法では、レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、減圧度が上記値のように低いと、香気成分の分解・逸失が抑制される効果がより相乗される。
<他の抽出方法との比較>
前記した通り、抽出方法には、本発明の低温真空抽出法以外にも、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、レモングラスを高温加熱するため香気成分が変性する、香気成分が散逸する等で、脳機能を調整するために有効な香りのする抽出物が十分に得られなかった。
また、溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い、溶媒が抽出液中に残留し、また、その溶媒を除去する際に香気成分も除去されてしまうことがあった。
圧搾法でも、抽出溶媒として用いた油性成分が抽出液中に残留し、また、その油性成分を除去することが不可能なことがあった。
超臨界抽出法では、適当な抽出溶媒がない、高圧を要するので高価な設備を必要とする等の問題点があった。
また、レモングラスを破砕・撹拌をしながらではなく、一旦破砕・撹拌をした後に抽出する方法では、脳機能を調整するために有効な香気成分が効率的に抽出できない場合があった。通常の減圧抽出法等のように、破砕・撹拌をしながらではなく加熱・減圧して抽出する方法では、脳機能を調整するために有効な香気成分が抽出できない場合があった。
また、レモングラスを「破砕しつつではなく」加熱・減圧して抽出する通常の減圧抽出法を含め、上記他の抽出方法では、レモングラスの組織や細胞の中に含まれている種々の成分が、香気成分と一緒に流出するため、脳機能を調整するために香気成分が効率的に抽出できない場合があった。
また、レモングラスから水分と共に香気成分を取り出すときに、レモングラスの中に含まれている他の成分が、香気成分と一緒に流出するが、水中で、他の成分が香気成分と接触するため、香気成分が変性を受ける場合があった。
また、例えば、実施例3で示すように、レモングラスからの抽出液の水相(水層)には、アルデヒド成分よりアルコール成分の含有比率が多いことが確認されており、本発明の抽出液の製造方法によると(低温真空抽出法によると)、従来の抽出方法では得ることができなかった香気成分や、得ることができなかった成分比率の香気成分を含有する抽出液が得られるので、経鼻的脳機能調整剤として効果を特に発揮する。
<抽出後の操作>
本発明における低温真空抽出法によると、水性画分(水層、水相)からは芳香水、油性画分(水層、油相)からは精油が得られる。
本発明においては、抽出後の操作は特に限定はされないが、同時に回収される不要成分は分離して除去することが好ましい。分離には、比重の違い等を利用した、デカンテーション、分液操作等が用いられる。
本発明においては、抽出物が、植物由来ではない成分を含有しない「芳香水又は精油」として得られるという特長もある。
低温真空抽出法以外の植物から香気成分を抽出し分離する方法としては、水蒸気蒸留法を用いて抽出して2層に分かれた上層を分離する方法;水に直接浸漬させて加熱蒸発させてその2層に分かれた蒸留成分から上層を分離する直接抽出法;溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法;油性成分を加えて圧搾することにより抽出する圧搾法;超臨界流体を用いて抽出する超臨界抽出法等が挙げられる。
植物から抽出された抽出物は、油溶性でも水溶性でもよい。また、精油(エッセンシャルオイル(essential oil))、樹脂、香料等でもよいが、好ましくは、水溶性の抽出液である。
水溶性の抽出液であれば、汎用の噴霧器(例えば、加湿器等)を利用して室内等に容易に噴霧させることができ、フィルター等が汚れないため、フィルター交換等のメンテナンスを頻繁にする必要がないという効果を有する。また、脳機能の活性化、亢進抑制、調整等に有効である、と言った効果が得られる。また、水溶性の抽出液は、油溶性の抽出液に比べて、1回の抽出工程でより多くの量を回収することができる。また、油溶性の抽出液に比べて匂いが薄いが、比較的心地よく感じるレベルの匂いの強度であり、医療現場や家庭で使いやすい。更に、容器や部品等の洗浄が容易である点で、油溶性の抽出液より優れている。
「経鼻的脳機能調整」とは、嗅覚を利用して対象となる人の脳の特定の場所に作用して、その「脳の特定の場所」の活動を賦活又は抑制することをいい、言い換えれば、香りを感知することによって感覚器が刺激され、その刺激が脳の特定の場所に作用して、その場所の活動を賦活若しくは抑制、又は、その場所を活性化若しくは過剰亢進抑制をすることをいう。
脳の特定の場所の活動の賦活や抑制は、例えば、その場所の血流量で検知される。従って、血流量で検知される場合、具体的には、「脳機能調整」とは、例えば、脳の特定の場所に作用して、その場所の血流量を増加させたり、逆に血流量を減少させたり、血流量が多い場所と少ない場所とのバランスをとったりする(例えば、均一化する等)ことをいう。
脳機能調整は、脳活動の量的で相対的な制御であり、脳の不必要な活動亢進の軽減、脳の血流量の減少等に起因する脳活動の低下の緩和又は治療である。
脳の特定の場所の活動の賦活や抑制は、例えば、その場所の「酸素が結合したヘモグロビン量」や、「酸素が結合したヘモグロビン量と酸素が結合していないヘモグロビン量との比率」で検知される。従って、血流量で検知される場合、具体的には、「脳機能調整」とは、脳の特定の場所に作用して、その場所の「酸素が結合したヘモグロビンを含有する血液」の量や比率を増加させたり、逆に該血液量や該血液比率を減少させたり、該血流量が多い場所と少ない場所とのバランスをとったりする(例えば、均一化する等)ことをいう。
脳機能調整は、脳活動の量的で相対的な制御であり、脳の不必要な活動亢進の軽減、脳の「酸素が結合したヘモグロビンを含有する血液」の量(比)の減少等に起因する脳活動の低下の緩和又は治療である。
本発明では、「酸素が結合したヘモグロビン量」又は「酸素が結合したヘモグロビンの、酸素が結合していないヘモグロビンに対する比率」を、単に「血液量」又は「血流量」と略記する場合がある。
前記レモングラスは、アロマセラピーに用いられることが知られているが、本発明のように、上記で定義したような「経鼻的脳機能調整」が可能であり、嗅覚を利用して対象となる人の脳の特定の場所に作用する経鼻的脳機能調整剤として知られているものはない。
本発明は、レモングラスから抽出された抽出物を有効成分として含有するものに、前記したような、医療等に有効な顕著な効果を新たに見出して、「経鼻的脳機能調整剤」としてなされたものである。
脳機能を調整する「脳の特定の場所」は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、大脳辺縁系又は前頭眼窩野が好ましい。
特に、血液量の増加(活動の賦活)と血液量の減少(活動の抑制)が、画像(パターン)として制御し易い部分が好ましい。
前頭葉は、思考・判断等の精神作用や随意運動を司る等の役割を有する。
連合野は運動野と感覚野の間にあり、前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野、視覚前野と辺縁葉に分けられる。前頭連合野は、運動前野より前方の領域で、前頭眼野、前頭前野、眼窩野、前言語野からなる。
上記前頭葉の更なる特定の場所としては、上前頭回、中前頭回、下前頭回、中心前回、前頭極、直回、前部帯状回、一次運動野、前頭前野、若しくは、前頭眼窩野、又は、それらの近傍部が好ましい。
中でも、中心前回、前頭極、前頭前野、若しくは、前頭眼窩野、又は、それらの近傍部が、血液量の増加(活動の賦活)と血液量の減少(活動の抑制)の制御が、より容易である点で特に好ましい。
上記側頭葉の更なる特定の場所としては、上側頭回、中側頭回、下側頭回、紡錘状回、横側頭回、側頭極、一次聴覚皮質、ウェルニッケ野を含む言語野、若しくは、側頭頭頂接合部、又は、それらの近傍部が好ましい。
中でも、上側頭回、中側頭回、下側頭回、横側頭回、若しくは、側頭極、又は、それらの近傍部が、血液量の増加(活動の賦活)と血液量の減少(活動の抑制)の制御が、より容易である点で特に好ましい。
上記頭頂葉の更なる特定の場所としては、中心後回、上頭頂小葉、下頭頂小葉、楔前部、若しくは、中心傍小葉、又は、それらの近傍部が好ましい。
上記後頭葉の更なる特定の場所としては、楔部、舌状回、後頭極、若しくは、一次視覚野、又は、それらの近傍部が好ましい。
前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、大脳辺縁系又は前頭眼窩野において、本発明の経鼻的脳機能調整剤は、効果的に血流量を調整して脳の機能を調整できる。このような場所は、本発明の経鼻的脳機能調整剤を投与した際、近赤外分光分析法(NIRS)のパターンとして制御し易い。
また、上記した「更なる特定の場所」において、本発明の経鼻的脳機能調整剤は、より効果的に血流量を調整して脳の機能を調整できる。言い換えれば、近赤外分光分析法(NIRS)のパターンとして制御し易い。
また、本発明は、近赤外分光分析法(NIRS:Near-Infrared Spectroscopy、又は、fNIRS:functional Near-Infrared Spectroscopy)によって、脳の場所ごとの血液量を検知することによってなされたので、該「脳の特定の場所」は、NIRS等によって血流量が検知し易い場所であることが好ましい。
近赤外分光分析法(NIRS)は、近赤外光光トポグラフィー(「光トポグラフィー」は登録商標)とも呼ばれ、酸素ヘモグロビン(ヘモグロビンに酸素が結合したもの)及びヘモグロビンの濃度変化を脳の場所ごとに検知してマッピングすることができる。
図4〜8は、特定植物からの抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、脳の活動の賦活を示す近赤外分光分析法による図である。図4〜8の何れでも、(a)は左前頭眼窩野、(b)は右側頭部、(c)は左側頭部を示している。
それぞれの抽出物(を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤)を投与された対象者は、脳の前頭前野、側頭葉、頭頂葉を中心として、それぞれに特徴的で部位的に限定された調整作用を示す。図4〜8中の色の濃淡は、標準値を灰色として、黒に近づくほど脳の活動を抑制していることを示し、また、白に近づくほど脳の活動を賦活していることを示す。
カモミール、クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、パチュリ、フランキンセンス、ペッパー、ベルガモット、ベンゾイン、レモン、レモングラス、ミルラ、ユーカリ及びヒノキからの抽出物は、何れも脳の場所ごとの血液量の有意の増加(活動の賦活)又は血液量の有意の減少(活動の抑制)が検知できた。
一方、上記以外の植物(特定植物でない植物)からの抽出物は、実験した範囲内では、何れも脳の血液量の増加(活動の賦活)若しくは血液量の減少(活動の抑制)が検知できなかったか、又は、増加(賦活)幅若しくは減少(抑制)幅が小さかった。
図4はカモミール、図5はグレープフルーツ、図6はレモングラス、図7はパチュリ、図8はフランキンセンスから抽出された抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤を投与したときの、近赤外分光分析法による脳の活動の賦活を示す図である。図4〜8では、何れも脳の場所ごとの血液量(活動)の有意の増加(賦活)又は有意の減少(抑制)が検知できている。
図4は、カモミールから抽出された抽出物を投与した場合であるが、左前頭眼窩野、右側頭部及び左側頭部に、血液量(活動)の増加(賦活)が見られた。
図5は、グレープフルーツから抽出された抽出物を投与した場合であるが、前頭眼窩野全体において、強い血液量(活動)の増加(強い賦活)が見られた。
図6は、レモングラスから抽出された抽出物を投与した場合であるが、前頭眼窩野全体において、やや強い血液量(活動)の増加(やや強い賦活)が見られた。
図7は、パチュリから抽出された抽出物を投与した場合であるが、左側頭部において、強い血液量(活動)の減少(強い抑制)が見られ、右側頭部にやや強い血液量(活動)の減少(やや強い抑制)が見られた。
図8は、フランキンセンスから抽出された抽出物を投与した場合であるが、右側頭葉の上側頭回から下側頭回にかけて若干の血液量(活動)の増加(若干の賦活)が見られた。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、嗅覚を利用して対象となる人の脳に作用するものである。
本発明で、該対象となる人は、精神症状を呈する精神疾患又は全身性疾患を持つ患者であることが、治療の効果が奏され易いために好ましい。
言い換えると、本発明は、前記の経鼻的脳機能調整剤を、精神症状を呈する精神疾患又は全身性疾患を持つ患者に投与することによって、該患者の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法でもある。
また、該対象となる人は、器質性の脳の変性を有する患者であることも、治療の効果が奏され易いために好ましい。
言い換えると、本発明は、前記の経鼻的脳機能調整剤を、器質性の脳の変性を有する患者に投与することによって、該患者の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法でもある。
また、該対象となる人は、疾患を持たない人であって、疾患の罹患リスクを減少させるために予防的に投与される人であることも好ましい。
また、該対象となる人は、健常者であっても、脳機能の活動を調整するために投与される人であることも好ましい。
言い換えると、本発明は、前記の経鼻的脳機能調整剤を、疾患を持たない人に投与することによって、該人の脳の特定の場所に作用させて、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することを特徴とする経鼻的に脳機能を調整する方法でもある。
すなわち、本発明の経鼻的脳機能調整剤の投与対象は、健康対象であってもよく、疾病にかかっている対象であってもよい。
本発明の「経鼻的脳機能調整剤」や、「経鼻的に脳機能を調整する方法」や、「脳神経疾患を評価するためのデータを提供する方法」を用いることで、主として、大うつ病やうつ性神経症に代表される精神疾患群の精神症状の緩和、及び、認知症等に代表されるその他器質性の脳神経疾患の脳の活動の調整が行えて、効果的な治療に繋がる。
脳の特定の場所の機能を調整するということは、脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することの一種である(することに含まれる)。
精神疾患のうち、対象となる疾患としては、うつ病、うつ性神経症等の不安障害や気分障害を来す疾患全般が挙げられる。
更に、認知症には、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺等の変性性認知症;クロイツフェルト・ヤコブ病、HIV等の感染症に関連した認知症;等が挙げられる。
更に、これらの治療目的のみならず、予防目的にも用いられ、健常者であっても、脳機能の活動を調整するために用いられる。
従って、本発明は、経鼻的精神疾患予防治療剤でもあり、経鼻的うつ性神経症予防治療剤でもあり、経鼻的器質性脳変性予防治療剤でもあり、経鼻的認知症予防治療剤でもある。
本発明の経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与すれば、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、脳神経疾患を評価するためのデータが提供できる。
本発明によれば、経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与し、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、前記したような脳神経疾患を治療や予防ができ、また診断ができる。
また、本発明の経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与すれば、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、脳機能の活動を調整するためのデータが提供できる。
本発明によれば、経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与し、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、脳機能の活動を調整し、また診断ができる。
本発明の経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与すれば、近赤外分光分析法によって、脳の場所ごとの血液量を検知して、前記のようなマッピングする工程を有する脳機能の活動の判定又は調整方法が提供できる。
経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与することにより、近赤外分光分析法によって、脳の場所ごとの血液量を検知してマッピングする工程を有する脳機能の活動の判定又は調整方法を提供できる。
本発明の経鼻的脳機能調整剤の投与量は、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、脳活動量が有意に変化する量を判定することによって決定できる。
経鼻的脳機能調整剤の投与量は、近赤外分光分析法によって脳の血液量を検知することによって、脳活動量が有意に変化する量を判定することにより決めることができる。
例えば、近赤外分光分析法(NIRS)の測定画像のシグナル強度を表わす色の濃淡等を観察することによって、投与量を決定できる。
本発明は、脳神経疾患を治療するため又は脳機能の活動を調整するためのデータを提供する方法であって、経鼻的脳機能調整剤を経鼻的に投与し、近赤外分光分析法によって、脳の場所ごとの血液量を検知してマッピングすることを特徴とするデータを提供する方法でもある。
また、脳神経疾患を治療するため又は脳機能の活動を調整するためのデータであって、上記のようにマッピングすることによって得られた「香りによる脳活動変動マップ」でもある。
本発明の「香りによる脳活動変動マップ」は、精神症状を呈する精神科疾患若しくは全身性疾患を持つ患者;器質性の脳の変性を有する患者;脳機能の活動を調整したい若しくは精神疾患を予防したい健常者;等にとって有用である。
前記レモングラスはアロマセラピーに用いられる場合がある。しかしながら、一般的には、アロマセラピーが脳の活動量の調整を行うことによって効果を得ているとは考えられていない。また、たとえ、アロマセラピーが脳に作用すると考えられていたと仮定したとしても、アロマセラピーの場合は、脳の嗅脳や大脳辺縁系といった部分を、単に刺激すると通常は考えられていたはずであり、しかもその詳細は未知であったのだから、アロマセラピーによって、脳の活動が、更には脳の特定の場所が、調整されると考えられていたわけではない。その点から、本発明の経鼻的脳機能調整剤とアロマセラピー用材料とは異なるものである。
本発明は、レモングラスから抽出された抽出物を有効成分として含有するものに、前記したように、脳の特定部位に直接働きかけて、神経精神疾患等を中心とした諸処の疾患の治療・予防を含めた医療に有効な顕著な効果を新たに見出して、「経鼻的脳機能調整剤」としてなされたものである。
本発明の経鼻的脳機能調整剤の使用方法や対象への投与方法は経鼻的であればよく、公知の何れの方法で行ってもよいが、「本発明の経鼻的脳機能調整剤」を、水、エタノール、植物油、それらの混合溶媒等の溶媒で適当に希釈し、ディフューザー(芳香拡散器)を用いて霧化させることが好ましい。
特に好ましくは、投与量を調整することができる点から水、エタノール等の溶媒で希釈し、ディフューザーを用いて霧化させる方法である。
また、ディフューザーを用いて霧化させる方法の他に、本発明の経鼻的脳機能調整剤を、キャンドル、電球等の熱で温めて空気中に拡散させる方法、ティッシュペーパー等の紙、ハンカチ等の布等に染み込ませて空気中に拡散させる方法、水と混合して空気中に霧として拡散させる方法、振動によって空気中に拡散させる方法等も使用することができる。また、風呂に入れて使用したり、キャリアオイルで希釈して、マッサージに使用したりすることもできる。
また、「レモングラスから抽出された抽出物」又は「それを希釈したもの」を、フェルト、ガーゼ、不織布等に染みこませたものを、対象が嗅ぐようにしてもよいし、室内に置いて人が嗅げるようにしておいてもよい。
また、それらを加熱により蒸散させてもよいし、身に着けるものに付着させて使用してもよい。また、それらを身につけるものの何れかの原料に含有させてもよい。
投与量や投与時間は、1回に1秒〜3時間が好ましく、10秒〜60分がより好ましく、1分〜10分が特に好ましい。
また、投与頻度は、3時間〜10日に1回が好ましく、6時間〜3日に1回がより好ましく、12時間〜1日に1回が特に好ましい。
なお、本発明の経鼻的脳機能調整剤の対象への投与方法は、上記に限定されないことはいうまでもない。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、レモングラス以外からの抽出物を1種類又は複数種類含んでいてもよい。該経鼻的脳機能調整剤に、脳機能を調整する作用を有する抽出物を含有させることも好ましく、例えば、カモミール、クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、パチュリ、フランキンセンス、ペッパー、ベルガモット、ベンゾイン、レモン、ミルラ、ユーカリ及びマジュラムよりなる群から選択された少なくとも1つの植物から抽出された抽出物を含有させることが好ましい。
また、本発明の経鼻的脳機能調整剤は、吸入用製剤に通常使用される他の成分も適宜含んでいてもよい。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、医薬品、医薬部外品、気化吸引用剤、外用組成物、調合香料、化粧品、浴剤、繊維等に利用できる。これらの用途に使用するときには、そこに、要すれば種々の添加剤を配合して用いることができる。
<作用>
本発明において、低温真空抽出法により抽出されたレモングラスの抽出液が、嗅覚によって(臭いを嗅ぐことによって)、脳の特定の場所の脳機能を調整することができる作用・原理は明らかではなく、また、本発明は、かかる作用・原理の範囲に限定されるわけではないが、以下のことが考えられる。
すなわち、低温真空抽出法は、「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」であり、抽出工程において不純物が含まれることはない。また、従来の抽出法と比較して低い温度で抽出するため、従来の抽出方法では抽出され難い成分(熱に弱い成分や揮発成分等)を抽出することができ、該成分に脳の特定の場所の脳機能を調整する作用があることにより、本発明の前記効果が表れたと考えられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
一般健常者に対し、カモミール(Matricaria recutita)、クラリセージ(Salvia sclarea)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)、サイプレス(Cupressus sempervire)、サンダルウッド(Santalum album)、パチュリ(Pogostemon cablin)、フランキンセンス(Boswellia carterii)、ペッパー(Piper nigrum)、ベルガモット(Citrus bergamia)、ベンゾイン(Styrax benzoin)、レモン(Citrus limon)、レモングラス(Cymbopogon citratus)、ミルラ(Commiphora myrrha)、ユーカリ(Eucalyptus)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)、マジュラム(Origanum majorana)からそれぞれ抽出された抽出物、及び、汗様臭、ニンニク様臭、プロポリス様臭、都市ガス様臭を投与し、脳機能の変化について検討した。
それぞれの植物からの抽出は、水蒸気蒸留、圧搾抽出又は溶媒抽出によって、植物ごとに好ましい方法で行った。
得られた精油を原液とし、エアーコンプレッサーによって揮発した精油又は香料を、芳香曝露用に作成された装置によって、被験者の鼻腔内に30秒流入させることによって対象に投与した。
該装置は、精油等の抽出物を入れたチャンパーに、コンプレッサーから空気を通し、その空気を被験者の装着するガスマスクに流し込めるようにしたものであり、従って、自然蒸散した香りを、空気で被検者に曝露するようになっているものである。
経鼻的脳機能調整剤を、健常者12名(男性9名、女性3名、mean±SD=33.20±15.19歳)を全体の被験者として検討した。
投与後、1秒以内〜15分以内に、近赤外光光トポグラフィー装置(SMARTNIRS:島津製作所社製)を用い、近赤外分光分析法により、頭皮上から非侵襲的にマッピングした。
その結果、カモミール、クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、パチュリ、フランキンセンス、ペッパー、ベルガモット、ベンゾイン、レモン、レモングラス、ミルラ、ユーカリ、マジュラム及びヒノキにおいて、脳のそれぞれ特定の場所において、血液量(活動)の増加(賦活)、及び/又は、血液量(活動)の減少(抑制)が見られた。
一方、評価したそれ以外の植物からの抽出物(アロマセラピー用として知られているものも含む)、及び、汗様臭、ニンニク様臭、プロポリス様臭、都市ガス様臭等のような特に単一の香料の場合は、脳の特定の場所において、血液量(活動)の増加(賦活)、及び/又は、血液量(活動)の減少(抑制)が見られなかったか、又は、見られても極めて少ないものであった。
図4〜8に、カモミール、グレープフルーツ、レモングラス、パチュリからの抽出物の結果を示す。
また、図8に、血液量の増加や減少が見られたが、著しくは見られなかったフランキンセンスからの抽出物の結果を示す。
このように、効果が高いもの、低いもの、中間的なもの等、本発明の効果の有無のほかに、程度の差も見られた。
本発明の経鼻的脳機能調整剤は、脳の局所的な機能調整作用を持つことが示された。本発明の経鼻的脳機能調整剤は、脳の特定の場所の血液量(活動)を調整(増加させたり減少させたり)して、脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制することが示された。
実施例2
次に、収穫したレモングラスを乾燥機に入れて、空気中で、30〜50℃で24時間乾燥した。
乾燥したレモングラスは、図1〜3に示した容器に入れて抽出を行った。
抽出条件は以下であった。
(1)レモングラスの温度:30〜40℃
(2)容器内の設定温度:30〜40℃
(3)圧力:101.3kPa(1気圧)に対し、93〜97kPa低い圧力
(4)撹拌羽根(可動刃)の回転数:4rpm(回転/分)
回収槽41に溜まった回収液のうち、水層(水相)51の液を目的の抽出液とした。
実施例3
低温真空抽出法によって抽出されたレモングラス抽出液と、水蒸気蒸留法によって抽出されたレモングラス抽出液に含まれる成分の違いを、ガスクロマトグラフィー法を用いて比較した。
結果を表1に示す。表1中、「%」は「質量%」、「RT」は「保持時間(Retention Time)」を示す。
水蒸気蒸留法によって抽出されたレモングラス抽出液に含まれる主要の4成分のうちの78%が、アルデヒド型の成分(ネラール及びゲラニアール)であり、12%がアルコール型の成分(ネロール及びゲラニオール)であることがわかった。
一方、低温真空抽出法によって抽出されたレモングラス抽出液に含まれる主要の4成分のうち、アルコール型の成分が39%であり、水蒸気蒸留法によって抽出されたものと比較して、多く含まれていることがわかった。
また、アルコール型の成分の方が、アルデヒド型の成分と比較して、毒性・刺激がなく安全であり、鎮静作用を有すると言われている。
実施例4
低温真空抽出法で抽出されたレモングラス抽出液による知能機能(認知機能)の改善について検討を行った。
介護老人保健施設の食堂の壁面に市販の超音波式加湿器を設置し、該加湿器を用いて、上記レモングラス抽出液を対象者に投与した。介護老人保健施設の施設入居者19名(平均年齢±標準偏差;83.2±8.61歳)を対象者とした。本人からインフォームド・コンセントを得ることが難しい場合は、その保護者に説明の上、保護者から同意を得た。
投与時間は毎日2時間程度であり、16週間行った。上記レモングラス抽出液を投与した結果の検討のために、GBSスケール日本語版(GBSS−J、日本語版老年期認知症評価尺度)を実施し、GBSS−Jの下位項目群についても実施を行った(Homma A,Niina R,Ishii T and Hasegawa K:Alzheimer Dis Assoc Disord 5:40-48,(1991))。
上記対象者19名中、軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症と診断された4名(平均年齢±標準誤差;85.53±3.00歳)について、GBSS−J−A(知的機能評価)を実施した結果を、図9に示す。図9のグラフの縦軸は、数字が大きい程、知的機能(認知機能)障害が悪化していることを示している。
その結果、試験開始後、8週〜16週で、試験開始前と比較して、有意に認知機能障害の改善が見られた。このことから、該レモングラス抽出液には、認知機能障害の進展を抑制する作用があることが示唆された。
以上の実施例の結果より、脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制する経鼻的脳機能調整剤であって、レモングラスから低温真空抽出法により抽出された抽出液、特に水相の抽出液(水層の成分)を有効成分として含有するものは、極めて有用であることがわかった。
本発明の特定植物から抽出された抽出物を有効成分として含有する経鼻的脳機能調整剤は、脳の局所的な機能の調整に優れているため、医薬品の分野にはもちろんのこと、アロマセラピー用品、芳香剤、介護用品、化粧品等の分野においても広く利用されるものである。
本願は、2013年8月21日に出願した日本の特許出願である特願2013−171088に基づくものであり、それらの出願の全ての内容はここに引用し、本発明の明細書の開示として取り込まれるものである。
1 容器
2 冷却槽
6 攪拌羽根
7 下部半円筒部
8 上部角形部
9 蒸気室
10 排出口
14 排気口
16 配管
17 投入口
18 蓋
20 端壁
21 端壁
22 端板
23 端板
24 羽根体
24a 溝
24b 可動刃
25 羽根板
25a 溝
25b 可動刃
26 固定刃
30 傾斜面
31 レモングラス
32 真空計
33 温度計
34 温度計
41 回収槽
45 バルブ
46 減圧装置
49 弁
50 油層
51 水層
R 回転方向

Claims (7)

  1. 嗅覚を利用して対象となるアルツハイマー型認知症の人の脳の特定の場所に作用して、該脳の特定の場所の血流量を調整して、該脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制するアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法であって、
    レモングラスを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、抽出媒体を使用せず、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出されたレモングラスの抽出液の水相を有効成分として含有するものであることを特徴とするアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  2. 上記抽出、レモングラスが55℃以下の温度を維持しつつ行う請求項1に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  3. 上記抽出、レモングラスが20℃以上50℃以下の温度を維持しつつ行う請求項1又は請求項2に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  4. 上記抽出、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行う請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  5. 上記破砕しながらの撹拌、可動刃及び/又は固定刃を備えた抽出装置内で行う請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  6. アルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤が、ネロール、ネラール、ゲラニオール及びゲラニアールを含有し、そのうち、ゲラニオールがゲラニアールより多く含有されている請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
  7. アルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤が、ディフューザー用又は噴霧器用である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載のアルツハイマー型認知症の症状改善用の経鼻的脳機能調整剤の製造方法。
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