JP6478209B2 - 還元性有機物を利用した光触媒 - Google Patents

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本発明は、鉄還元能を有する還元性有機物と鉄との反応生成物を利用した光触媒に関する技術である。また、本発明は、当該光触媒を利用した有機物分解方法又は殺菌方法に関する技術である。
・従来の光触媒技術
光触媒は光を当てるだけで有機系の有害物質の分解や殺菌などに利用できることから、手軽で汎用性が高い技術として社会的ニーズが高まっている。
光触媒活性を示すものとして酸化チタンの他、タングステン、インジウム、バナジウム、銀、モリブデン、亜鉛、ガリウムリン、ガリウム、ヒ素などの金属化合物が知られているが、これらはいずれも400nm以下の紫外波長でのみしか光触媒活性を示さない物質である。これらのうち、酸化チタン以外の光触媒は非常に高価で毒性が強いなどの問題があることから実用化が進んでおらず、現段階で光触媒として実用化されているのは酸化チタンだけである。
酸化チタンは紫外線を吸収すると活性酸素を発生させ、有機物の分解や殺菌などの光触媒活性を示す。この効果を利用して、外壁に酸化チタンを塗装し汚れを付きにくくするなどの利用が進んでいる。
しかし、酸化チタンは400nm以上の可視光では光触媒活性を示さないため、蛍光灯などの可視光しか使用できない居住空間での殺菌・分解などには利用することができず、適用場面が限られているという問題があった。
また、可視光での光触媒活性を実現するために不純物を混入させる技術(ドーピング)が試みられているが(例えば、特許文献1,2等 参照)、加工技術が難しく非常に高価になるという問題がある。さらにドーピング技術で製造される光触媒の活性はとても弱いため、実用化に至っているものは存在しない状況である。
また、米国においては、酸化チタンは発癌物質の認定を受けている物質であり、酸化チタン自体の安全性が疑問視されているため、酸化チタンが利用可能な場面はかなり限定されたものとなっている。
以上の状況から、利用場面の限定を受けない安全性の高い光触媒であり、可視光で活性を示す安価な光触媒の開発が期待されていた。
特開平7-303835号公報 特開2006-305532号公報
本発明は、上記課題を解決し、有機物分解又は殺菌に利用可能であって、利用場面の限定を受けない安全性の高い光触媒であり、可視光を含む幅広い波長の光を吸収して活性を示す光触媒を、安価に提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、鉄還元能を有する還元性有機物, 又は, 前記還元性有機物の供給原料を、水存在下で鉄供給原料と混合して得た反応生成物に、強力な光触媒活性が付与されることを見出した。また、本発明者らは、当該光触媒活性が、紫外線だけでなく可視光や赤外線を照射した場合にも発揮される活性であることを見出した。さらに、本発明者らは、当該光触媒が物質として安定性を有するものであり、繰り返しての使用が可能であることを見出した。なお、当該光触媒の原料である鉄還元性有機物と鉄供給原料は、安価で身近な物質であり、人体や環境に対して安全性の高い原料であった。
そして、本発明者らは、当該光触媒を利用することによって、紫外線だけでなく可視光や赤外線を照射して有機物分解及び殺菌が可能となることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、[請求項1]に係る本発明は、光触媒を含有してなる有機物質分解剤であって、
前記光触媒が、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分としてなる光触媒であり、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物質分解剤に関するものである。
また、[請求項2]に係る本発明は、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒を活性成分として用いることを特徴とする、有機物質分解剤の製造方法であって、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物質分解剤の製造方法に関するものである。
また、[請求項3]に係る本発明は、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒と分解対象有機物を接触させ、紫外線、可視光、又は赤外線に属する波長の光を照射することを特徴とする有機物分解方法であって、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物分解方法に関するものである。
また、[請求項4]に係る本発明は、可視光又は赤外線に属する波長の光を照射する、請求項に記載の方法に関するものである。
また、[請求項5]に係る本発明は、光触媒を含有してなる殺菌剤であって、
前記光触媒が、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分としてなる光触媒であり、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌剤に関するものである。
また、[請求項6]に係る本発明は、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒を活性成分として用いることを特徴とする、殺菌剤の製造方法であって、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌剤の製造方法に関するものである。
また、[請求項7]に係る本発明は、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒と殺菌対象物を接触させ、紫外線、可視光、又は赤外線に属する波長の光を照射することを特徴とする殺菌方法であって、
前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌方法に関するものである。
また、[請求項8]に係る本発明は、可視光又は赤外線に属する波長の光を照射する、請求項に記載の方法に関するものである。

本発明の光触媒は、紫外線だけでなく可視光や赤外線を照射した場合にも活性を発揮する性質を有する。これにより本発明は、従来技術の酸化チタンでは利用が困難であった様々な用途での使用が期待される。例えば、通常の室内空間での利用が可能となる。
また、本発明の光触媒は、その原料である鉄還元性有機物としてポリフェノール類やアスコルビン酸を用いるものであるため、人体や環境に対して、安全性の高いものとなる。一方、従来技術である酸化チタンは、米国では発癌物質の認定を受けている物質であり普及の妨げとなっている。
この点、本発明の光触媒は、酸化チタンでは利用が困難であった様々な用途での使用が期待される。
また、本発明により、安価な原料(鉄化合物や植物体に含まれる還元性有機物など)のみを用いた簡便な手法により、優れた光触媒を提供することが可能となる。特に還元性有機物の供給原料として植物体抽出残渣(コーヒー粕や茶殻等)、植物乾留液(炭焼きの副産物)、植物搾汁液(ブドウジュースなど)などを用いた場合、特に安価に光触媒を製造することが可能となる。一方、従来技術である酸化チタンは10mgあたり数万円と極めて高価な資材である。
この点、本発明の光触媒は、酸化チタンの製造コストの問題を解決する技術となることが期待される。
本発明の光触媒は、食品、医療、公衆衛生、農業、環境浄化などの幅広い分野での殺菌や有機物分解に幅広く利用されることが期待される。
実施例5において、可視光を照射して大腸菌の殺菌試験を行った結果を示す写真像図である。図中の写真における青色呈色部分(白黒写真における黒色部分)は、大腸菌が存在する部分を示す。無色の部分は、大腸菌が存在しない部分を示す。 実施例6において、太陽光を照射して大腸菌の殺菌試験を行った結果を示す写真像図である。図中の写真における青色呈色部分(白黒写真における黒色部分)は、大腸菌が存在する部分を示す。無色の部分は、大腸菌が存在しない部分を示す。 実施例7において、太陽光を照射して大腸菌の殺菌試験を行った結果を示す写真像図である。図中の写真における青色呈色部分(白黒写真における黒色部分)は、大腸菌が存在する部分を示す。無色の部分は、大腸菌が存在しない部分を示す。
本発明は、鉄還元能を有する還元性有機物と鉄との反応生成物を利用した光触媒に関する技術である。また、本発明は、当該光触媒を利用した有機物分解方法又は殺菌方法に関する技術である。
[還元性有機物]
本発明の光触媒の製造には、「鉄還元能を有する還元性有機物」を原料として用いる。当該有機物を定義すると、還元力が強く三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する有機物と定義することができる。
当該有機物として具体的には、アスコルビン酸、ポリフェノール類等を挙げることができる。また、これらの化合物以外にも、植物体又はその加工品には鉄還元能を有する還元性有機物が多く含まれる場合があり、本発明の原料として好適に用いることができる。
ここで、‘アスコルビン酸’としては、アスコルビン酸のfree acidだけでなく、アスコルビン酸化合物(アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウムなど)を用いることもできる。
また、‘ポリフェノール類’としては、複数のヒドロキシ基を有するフェノール性分子を指す。ほとんどの植物に含有される化合物であり、フラボノイドやフェノール酸など様々の種類が知られている。具体的な化合物の例としては、カテキン(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなど)、タンニン酸、タンニン、クロロゲン酸、カフェイン酸、ネオクロロゲン酸、シアニジン、プロアントシアニジン、テアルビジン、ルチン、フラボノイド(ケルシトリン、アントシアニン、フラバノン、フラバノール、フラボノール、イソフラボンなど)、フラボン、カルコン類(ナリンゲニンカルコンなど)、キサントフィル、カルノシン酸、エリオシトリン、ノビレチン、タンジェレチン、マグノロール、ホノキオール、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン、カテコール、プロシアニジン、テアフラビン、ロズマリン酸、キサントン、ケルセチン、レスベラトロール、没食子酸、フロロタンニン、などが挙げられる。また、分子内にこれらの化合物を1以上有する化合物(例えば、これらの化合物を含む形で結合し高分子化した複合体)も挙げることができる。
また、ある果実から抽出したポリフェノール組成物については、その果実の名称を付したポリフェノールとして呼ぶこともある。例えば、ブドウの果実から抽出したポリフェノール組成物はブドウポリフェノールと呼ばれる。
本発明では、当該原料として上記のような化合物の精製品を用いた場合、光触媒の活性が高くなり好適である。
・還元性有機物の供給原料
本発明では、ポリフェノール類及び/又はアスコルビン酸を含有する植物体又はその加工品を、当該還元性有機物の供給原料として用いることができる。
ここで植物体としては、果実、種子、茎葉、芽、花、根、及び地下茎から選ばれる1以上に由来するものを挙げることができる。
例えば、‘アスコルビン酸’を多く含む植物体原料としては、トマト、ピーマン、唐辛子、冬瓜、ニガウリ、ズッキーニ、キュウリ、さやえんどう、かぼちゃ、なす、グリンピース、そらまめ、えだまめ、オクラ、アセロラ、柑橘類(レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、ネーブル、ゆず、きんかん、かぼす、夏みかん、はっさく、いよかん、ライム、温州ミカン、シークヮーサー、マンドリンなど)、柿、キウイフルーツ、パパイヤ、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ビルベリー、ハックルベリー、イチゴ、メロン、リンゴ、なし、西洋なし、いちじく、桃、スモモ、グァバ、ブドウ、プルーン、あけび、ドリアン、パイナップル、マンゴー、バナナ、サクランボ、ザクロ、スイカ、グミ、ビワ、カシス、栗、ライチ、ぎんなん、オリーブ、アボガド、茶、レタス、キャベツ、ケール、カラシナ、水菜、コマツナ、大根、かぶ、菜の花、白菜、チンゲンサイ、高菜、野沢菜、モロヘイヤ、ねぎ、野蒜、ニンニク、わけぎ、ニラ、タマネギ、エシャロット、しそ、あしたば、ツルムラサキ、クレソン、アスパラガス、バジル、セリ、セロリ、パセリ、ホウレン草、シュンギク、たけのこ、ブロッコリー、カリフラワー、サツマイモ、ジャガイモ、やまのいも、れんこん、かぶ、大根、芽キャベツ、海藻(海苔、ワカメ、昆布、アオサなど)などを挙げることができる。
また、‘ポリフェノール類’を多く含む植物体原料としては、ブドウ、イチゴ、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ビルベリー、ハックルベリー、リンゴ、ウメ、桃、スモモ、ナシ、西洋ナシ、サクランボ、柑橘類(レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、ネーブル、ゆず、きんかん、かぼす、夏みかん、はっさく、いよかん、ライム、温州ミカン、シークヮーサー、マンダリンなど)、ビワ、キウイフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、シシトウ、プルーン、柿、バナナ、メロン、ドラゴンフルーツ、コーヒー、クワ、クコ、カシス、カシュー、ガマズミ、グァバ、ザクロ、オリーブ、アサイー、アロニア、ナス、トマト、ブドウ、カカオ、大豆、黒大豆、小豆、サヤインゲン、落花生、黒胡麻、蕎麦、ダッタンソバ、コーヒー豆、ゴマ、紫キャベツ、茶葉、ウルシ、ヌルデ、シュンギク、ブロッコリー、サトウキビ、ホウレンソウ、コマツナ、ミツバ、オクラ、蕗、タマネギ、モロヘイヤ、シュンギク、ニンニク、紫タマネギ、アスパラガス、パセリ、ユーカリ、コーヒー、イチョウ、ミント、ウド、パパイヤ、シソ、ギムネマ・シルベスタ、センナ、タンポポ、スギナ、シダ(ワラビ、ゼンマイなど)、バナナ、カキ、ナラ、クヌギ、カエデ、セコイヤ、メタセコイヤ、マツ、スギ、ヒノキ、アカシア、アカメガシワ、タカノツメ、アマチャ、アケビ、ヤマウコギ、リョウブ、タムシバ、コブシ、サルナシ、シロモジ、クロモジ、コシアブラ、クサギ、ホオノキ、マタタビ、ユーカリ、グァバ、バナバ、ルイボス、ラフマ、クワ、クコ、クズ、メグスリノキ、ウリン、メルバオ、アオギリ、スオウ、ブラジルボク、メリンジョ、桃、サクラ、モクレン、イェルバ・マテ、メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ハマザクロ、ニッパヤシ、ヒルギダマシ、ヒルギモドキ、サキシマスオウノキ、ゴボウ、サツマイモ、紫イモ(紫色素を多く含有するサツマイモ)、ジャガイモ、ヤマイモ、タロイモ(サトイモ、エビイモなど)、ウコン、レンコン、コンニャク、海藻(海苔、ワカメ、昆布、アオサ、アラメ、サガラメなど)などを挙げることができる。
当該供給原料としては、植物体を、乾燥物、搾汁液、抽出物(特に、水もしくは熱水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物)などの状態に加工したものを用いることができる。また搾汁液や抽出液をさらに乾燥物の状態にして用いることもできる。
乾燥物にする場合は、破砕、粉砕、粉末化などの処理を行うことが望ましい。また、鉄との反応効率の観点を考慮すると、粒子径の小さい粉末にしたものが好適である。
ここで抽出に用いる溶媒としては、アスコルビン酸の場合であれば水を用いることが好適である。ポリフェノール類であれば、水、熱水、エタノール、含水エタノールを用いることが好適である。
また、当該供給原料としては、植物体又はその加工品を水もしくは熱水で抽出し、その後に残った残渣についても好適に用いることができる。
また、植物体又はその加工品を還元状態で熱分解して得られる乾留液(植物乾留液)についても好適に用いることができる。
・原料コストが有利な植物体由来原料
本発明では、当該還元性有機物の供給原料として果実搾汁液、茎葉搾汁液、植物乾留液、コーヒー豆焙煎物、茶葉を原料として用いることにより、さらに低コストで光触媒を製造することが可能となり、経済的に有利な効果を期待することができる。
(a) 果実搾汁液
当該還元性有機物の供給原料としては、‘果実搾汁液’を用いることが好適である。果実搾汁に用いる果実の種類としては、上記段落に記載した果実を好適に用いることができる。特に、総ポリフェノール量の多いものが力価の点で好適である。また、原料コストの観点を踏まえると、ブドウ、バナナ、リンゴ、カキ、トマト、柑橘類などの搾汁液を用いることが好適である。
(b) 茎葉搾汁液
当該還元性有機物の供給原料としては、‘茎葉搾汁液’を用いることが好適である。茎葉搾汁に用いる植物の種類としては、上記段落に記載した植物体茎葉を好適に用いることができる。特に、総ポリフェノール量の多いものが力価の点で好適である。また、原料コストの観点を踏まえると、スギナ、ヒノキ、マツ、スギなどの搾汁液を用いることが好適である。
(c) 植物乾留液
当該還元性有機物の供給原料としては、‘植物乾留液’を用いることが好適である。当該原料には、ポリフェノール類が多く含まれることに加えて、フェノール類、有機酸、カルボニル類、アルコール類、アミン類、塩基性成分、その他中性成分などの多くの還元性有機物の分子が含まれると推測される。
ここで植物乾留液とは、還元状態の植物体を熱分解することによって得られる乾留液(粘りけのある褐色を呈する液体)を指す。外見は赤褐色〜暗褐色を呈する。原液のまま用いることもできるが、濃縮液、希釈液、これらの乾燥物として用いることも可能である。
植物乾留液として具体的には、木酢液、竹酢液、籾酢液などを挙げることができる。原料コストの観点からもこれらを好適に用いることができる。
(d) コーヒー豆焙煎物
当該還元性有機物の供給原料としては、‘コーヒー豆焙煎物’に由来する原料を用いることが好適である。当該原料には、ポリフェノール類が非常に多く含まれる。
本発明では、コーヒー豆焙煎物をそのままの状態で又は粉砕状態にして用いることができる。また、当該粉砕物を水又は熱水で抽出した成分(いわゆる淹れたコーヒーの成分)を用いることができる。また、水又は熱水で抽出した後の残渣(いわゆるコーヒー粕)を用いることができる。
特には、原料コストの観点を踏まえると、コーヒー成分抽出後に大量に廃棄される‘コーヒー粕’を用いることが最も好適である。
ここでコーヒー豆焙煎物とは、通常の方法に従ってコーヒー豆を焙煎したものであれば如何なるものも含まれる。いわゆる挽いた(粉砕した)コーヒー豆の状態もここに含まれる。また、コーヒー豆を粉砕したものを焙煎したものであってもよい。
ここでコーヒー豆としては、コーヒーノキであるCoffea arabica(アラビカ種)、C.canephora(ロブスタ種)、C.liberica(リベリカ種)の種子であれば如何なるものを用いることができる。なお、生のコーヒー豆であってもよいが、通常用いられるように乾燥保存されたものが好適である。原料コストの観点を踏まえると、工業的には、規格外のコーヒー豆を用いることが好ましい。
ここで焙煎としては、通常行われる如何なる方法を挙げることができ、例えば、直火焙煎、熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎、加熱水蒸気焙煎、低温焙煎などを挙げることができる。
また、粉砕としては、コーヒーミル、グラインダー、石臼などによって通常のコーヒー豆が挽かれた状態にすればよく、粗挽きから粉末化状態のものまで幅広く含むものである。鉄との反応効率の観点を考慮すると、表面積の大きい状態にした方が好適であるので、破砕、粉砕、粉末化等することが好適である。
(d) 茶葉
当該還元性有機物の供給原料としては、‘茶葉’に由来する原料を用いることが好適である。当該原料には、ポリフェノール類が非常に多く含まれる。
本発明では、茶葉をそのままの状態で又は粉砕状態にして用いることができる。また、当該粉砕物を水又は熱水で抽出した成分(いわゆる淹れた茶の成分)を用いることができる。また、水又は熱水で抽出した後の残渣(いわゆる茶殻)を用いることができる。特には、原料コストの観点を踏まえると、茶成分抽出後に大量に廃棄される‘茶殻’を用いることが最も好適である。
ここで茶葉とは、チャノキであるCamellia sinensisの茎葉を摘んだものであれば如何なるものも用いることができる。また摘み方は如何なる方法でもよいが、コストの観点を踏まえると、特に機械摘みが好適である。
なお、摘んだ茶葉は細胞の内容物が混ざり合って酸化発酵が起こるが、本発明では如何なる発酵段階の茶葉であっても用いることができる。例えば、加熱して酸化発酵を抑えた緑茶(煎茶、番茶、茎茶、ほうじ茶など)、;ある程度発酵させた青茶(ウーロン茶など)、;完全に発酵させた紅茶、;酸化発酵後にさらに麹菌発酵させた黒茶(プーアル茶など)、;などを用いることができる。好ましくは、緑茶、紅茶、ウーロン茶を挙げることができる。なお、原料コストの観点を踏まえると、工業的には、規格外の茶葉を用いることが好ましい。
また、鉄との反応効率の観点を考慮すると、表面積の大きい状態にした方が好適であるので、破砕、粉砕、粉末化等して用いることが好適である。
[鉄供給原料]
本発明では、鉄元素を供給する原料として、二価鉄の供給原料、三価鉄の供給原料、又は金属鉄の供給原料のいずれをも用いることができる。また、複数のものを混合して用いることもできる。
ここで、二価鉄の供給原料としては、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)など水溶性の鉄化合物、;炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)などの不溶性の鉄化合物を挙げることができる。
なお、当該二価鉄化合物のうち、水に不溶性の化合物であっても、上記還元性有機物のキレート能によって水溶化するため、本発明の鉄供給原料として直接用いることが可能である。
また、三価鉄の供給原料としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)などの水溶性の鉄化合物、;酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)などの不溶性の鉄化合物を挙げることができる。
また、三価鉄の化合物を多く含む天然原料としては、赤玉土、鹿沼土、ローム(アロフェン質の鉄分を多く含む土壌)、ラテライト(酸化鉄(III)を多く含む土壌)、ゲータイト(非結晶質の鉱物を含む土壌)などの土壌、;黄鉄鉱、白鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱など天然の鉄鉱石、;前記鉄鉱石が砂塵化した砂鉄、;ヘム鉄、貝殻などの生体由来の物質、;を挙げることができる。なお、土壌や鉄鉱石に含まれる三価鉄の化合物は、通常は水に対して不溶性を示すものが多い。
また、金属鉄の供給原料としては、製錬鉄や合金などの鉄材を挙げることができる。その他、錆びも原料として用いることができる。なお、これら金属鉄は、通常は水に対して不溶性を示す。
また、上記鉄化合物が水に溶解した二価鉄イオン及び/又は三価鉄イオンを含む水溶液を用いることもできる。
なお、上記鉄供給原料のうち、水に不溶性のものであっても、上記還元性有機物のキレート能によって鉄が水溶化するため、本発明の鉄供給原料として直接用いることが可能である。
これらのうち、本発明の光触媒を効率よく製造するためには、水溶性の鉄化合物を用いることが好適である。特には安価な塩化鉄、硫酸鉄などを用いることが好適である。なお、化合物の鉄の価数は、二価でも三価でもいずれのものでも使用可能である。
また、原料コスト及び安定供給の観点を踏まえて製造するためには、天然物である土壌(特に赤玉土、鹿沼土、ロームなど)、金属鉄を鉄供給原料として用いることが好適である。
[混合処理]
本発明では、前記還元性有機物(又は前記還元性有機物供給原料)と前記鉄供給原料(もしくは鉄イオン)を、水存在下で混合することによって鉄を二価の鉄イオンに変換し、それを配位する形で光触媒能を有する活性成分である反応生成物を得ることができる。
・原料の混合比率
原料の混合比率としては、前記還元性有機物, 又は, 還元性有機物の供給原料, の乾燥重量100重量部に対して、前記鉄供給原料を鉄元素の重量換算で0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上、特に好ましくは3重量部以上、一層好ましくは4重量部以上を含有するように混合すればよい。鉄元素の割合が少なすぎる場合(鉄元素に対して前記還元性有機物の混合割合が多すぎる場合)には、過剰に存在する還元性有機物がラジカル消去物質(スカベンジャー)として機能するため、光触媒活性を阻害する可能性がある。
また、鉄元素量の上限としては、鉄元素の重量換算で10重量部以下、好ましくは8重量部以下、より好ましくは6重量部以下を挙げることができる。鉄元素の割合が多すぎる場合(鉄元素に対して前記還元性有機物の混合割合が少なすぎる場合)には、鉄イオンを二価の状態で維持できなくなり光触媒活性が低下し、好ましくない。
・混合操作
本発明の混合操作は、水存在下において行うものである。ここで水存在下とは、還元性有機物と鉄が、水を媒質として反応できる条件であればよい。当該反応とは、具体的には、当該還元性有機物が鉄イオンを還元状態(二価鉄イオンであるFe2+の状態)にして、錯体を形成する反応であると推測される。
水の量としては、少なくとも前記原料の混合や攪拌が可能な液量であれば良く、原料(還元性有機物と鉄)の混合物が湿潤する程度の量であってもよい。
なお、水としては、当該反応が起こる条件のものであれば如何なるものも用いることができる。例えば、水道水、井戸水、地下水、河川水、脱イオン水、蒸留水、などを挙げることができる。
なお、還元性有機物の供給原料として、植物体搾汁や植物乾留液などを液体のままを用いる場合は、新たに媒質を添加することなく、直接鉄供給原料と混合して反応させることができる。
混合操作としては、単純な攪拌混合を行えばよいが、ミキサー、大型攪拌槽、ボルテックス、シェーカーなどによっても行うことができる。
ここで水の温度としては、水が液体状態である温度(例えば1気圧であれば1〜100℃)であればよい。
加熱を要さない室温程度(例えば10〜35℃)を採用することが可能であるが、加熱する場合、40℃以上、好ましくは50℃以上での加熱を行うことにより、反応生成物の生成が促進され好適である。温度の上限としては200℃(加圧加熱の場合)を挙げることができるが、製造コストの観点から、常圧条件での通常加熱での沸点である100℃以下、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは70℃以下で行うことが望ましい。なお、100℃以上の反応条件においては、還元性有機物の熱分解を抑制するために密閉容器内で行う方が好適である。
混合時間としては、還元性有機物と鉄が十分に接触するまで、おおよそ10秒以上行えばよいが、均一性を向上させるためには、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上の混合処理を行うことが望ましい。
また、上限としては、微生物の繁殖による有機物の腐敗を防止するため、10日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは5日以内、さらに好ましくは3日以内、特に好ましくは1日以内で行うことが望ましい。ただし滅菌処理を伴う場合は特に上限はない。
なお、鉄供給原料として不溶性の鉄化合物を用いた場合、混合後、反応時間を長くすることによって、反応生成物の量を増加させることが可能となる。
[光触媒]
上記工程を経て得られる反応生成物(還元性有機物と鉄との反応物)は、優れた光触媒活性を有する。当該反応生成物では、当該還元性有機物が鉄イオンを二価の状態(Fe2+の状態)にして、錯体を形成しているものと推測される。
上記工程にて得られる前記反応生成物は、反応後に得られた上清や含水状態の沈殿物のまま光触媒として用いることができる。また、上清や沈殿物をそれぞれ分離回収して、光触媒として用いることができる。また、上清及び/又は沈殿物の乾燥物(例えば、自然乾燥、焙煎など)や、前記乾燥物をさらに水に溶いた上清や懸濁物についても、光触媒として用いることが可能である。
・本発明の光触媒の特徴
当該反応生成物は、200〜1400nmという幅広い波長域の光を照射した場合にも、即ち、紫外線だけでなく可視光や赤外線を照射した場合にも、これらの光を吸収して優れた光触媒活性を発揮する性質を有する。
ここで、‘紫外線’とは、380nm以下の波長域の光を指す。また、‘可視光’とは、ヒトの目で見える波長域である波長380〜750nmの光を指す。具体的には、380〜450nm(紫色光)、450〜495nm(青色光)、495〜570nm(緑色光)、570〜590nm(黄色光)、590〜620nm(橙色光)、620〜750nm(赤色光)の波長域の光を指す。また、赤外線とは、750nm以上の波長域の光を指す。
当該反応生成物の光触媒活性は、紫外線を照射した時に極めて強い光触媒活性を示す。特に近紫外線である200〜380nmの波長の光においてのその活性の強さは、酸化チタンよりも遥かに大きな力価を示す。
また、当該反応生成物は、酸化チタンでは活性を示さない波長域である可視光及び赤外線を照射した時にも強い光触媒活性を示す。可視光では特に波長の短い紫色光〜青色光(380〜495nm)の波長域で強い活性を示す。赤外線では近赤外線である750〜1400nm(特に900〜1300nm付近、さらに特には1100〜1300nm付近)の波長域で強い活性を示す。このような可視光や赤外線での光触媒活性は、従来技術には見られない。
当該反応生成物は、照射された光エネルギーを吸収し、近傍の有機物質等を分解する活性を示す。当該活性は、光エネルギーによって励起した光触媒が発生させるラジカルによって奏される現象と推測される。
当該反応生成物は、光を連続的に照射した場合、照射している間は光触媒活性を連続して発揮する性質を有する。また、光照射を一度中断した場合においても、再度の照射によって光触媒活性が発揮される。即ち、当該反応生成物は、光触媒として繰り返して使用することが可能な資材である。
これは、当該反応生成物(当該還元性有機物のFe2+錯体)の分子内の共鳴構造が光エネルギーをFe2+に伝達して効率よくラジカルを発生させるとともに、自らの分子はラジカルによる攻撃を受けても共鳴構造によりスカベンジする安定した構造体であるためと推測される。
[光触媒の具体的な利用用途]
本発明の光触媒(還元性有機物と鉄の反応生成物)は、人体や環境に対して安全性が高い物質であるので、医薬、食品、公衆衛生、農業等、工業等、様々な用途に用いることができる。
例えば、前記還元性有機物として、アスコルビン酸やポリフェノール類を用いた場合、これらは食品由来の供給原料に由来する物質であるので、特に食品分野での使用が期待される。特にアスコルビン酸は無色透明のため好適である。
また、還元性有機物供給原料として、植物乾留液を用いた場合、当該成分はやや匂いを有する物質を含む。しかし、当該原料は非常に安価であるため、農業、医薬、公衆衛生等の分野での使用が期待される。
・有機物分解
本発明では、当該光触媒が有する有機物分解活性を利用して、有機物全般の分解が可能であるが、特に有機系の汚染物質や有害物質の分解に好適に用いることができる。即ち、環境浄化の一工程に有用に用いることができる。
ここで、汚染物質や有害物質としては、水質汚染、土壌汚濁、大気汚染を引き起こす物質をいう。例えば、生活排水、し尿水、工場排水、汚染された河川や湖沼水、ゴミ廃棄場の土壌、産業廃棄物、農地、工場跡地などに含まれる人体や環境に有害な有機系物質を挙げることができる。
分解対象となる具体的な有機物質としては、例えば、洗剤、飲食品残渣、し尿、糞便、農薬、悪臭物質、廃油、ダイオキシン、PCB、DNA、RNA、タンパク質など有機性廃棄物などを挙げることができる。
本発明の光触媒を有機物分解剤の活性成分として使用する場合、その形態としては、例えば、粉末、顆粒、シート状、ボード状、キューブ状、スポンジ状などの固形の形態を挙げることができる。また、濃縮液、液体アンプルなどの液体の形態を挙げることができる。また、粉末状の形態、賦型剤等と混ぜて固形にした形態、カプセルに充填する形態、ゲル状の形態なども挙げることができる。
本発明においては、当該光触媒を分解対象に噴霧、散布、添加、混合、塗布、練り込み等した後、光照射することによって有機物の分解を行うことができる。
光触媒の使用量としては、有機物分解作用が発揮される溶液濃度にして使用すればよい。例えば、鉄換算濃度で0.001ppm以上、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、さらに好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは0.5ppm以上、一層好ましくは1ppm以上、より一層好ましくは2.5ppm以上、さらに一層好ましくは5ppm以上、特に一層好ましくは5.5ppm以上、さらにより一層好ましくは10ppm以上、特にさらにより一層好ましくは20ppm以上となるように調製して使用することが望ましい。
また、上限としては特にないが、例えば、鉄換算濃度で40000ppm以下、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは750ppm、一層好ましくは500ppm以下を挙げることができる。
当該光触媒の分解効果は極めて強力であるため、難分解性の有機物(例えば塩基性フクシン)について効率良く分解することができる。例えば、100W/m2の光を照射する場合であれば、1日あたり少なくとも2.5mg/L以上、多い場合には35mg/L以上の有機物分解が可能である。
・殺菌
本発明の光触媒の強力な有機物分解作用を利用して、様々な分野の殺菌に用いることができる。当該殺菌対象として、具体的には、医療器具、病室の壁、患者の患部、衣服、寝具など、食品の製造機器のライン、食材、まな板、包丁等の台所用品、食器、便座、手すり、農機具、養液栽培の装置や養液などを挙げることができる。本発明の光触媒では、通常の酸化チタンを用いた殺菌方法と違って可視光や赤外線の照射使用が可能であるため、使用用途や使用場面が大幅に向上したものとなる。
また、殺菌可能な対象としては、バクテリアだけでなく、真核微生物、藻類、古細菌、ウイルス、ウイロイドなどの殺菌が可能である。
本発明の光触媒を殺菌剤の活性成分として使用する場合、その形態としては、例えば、粉末、顆粒、シート状、ボード状、キューブ状、スポンジ状などの固形の形態を挙げることができる。また、希釈液、濃縮液、液体アンプルなどの液体の形態を挙げることができる。また、粉末状の形態、賦型剤等と混ぜて固形にした形態、カプセルに充填する形態、ゲル状の形態なども挙げることができる。
本発明においては、当該光触媒を分解対象に噴霧、散布、添加、混合、塗布、練り込み等した後、光照射することによって殺菌を行うことができる。
光触媒の使用量としては、殺菌作用が発揮される溶液濃度にして使用すればよい。例えば、鉄換算濃度で0.001ppm以上、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、さらに好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは0.5ppm以上、一層好ましくは1ppm以上、より一層好ましくは2.5ppm以上、さらに一層好ましくは5ppm以上、特に一層好ましくは5.5ppm以上、さらにより一層好ましくは10ppm以上、特にさらにより一層好ましくは20ppm以上となるように調製して使用することが望ましい。
また、上限としては特にないが、例えば、鉄換算濃度で40000ppm以下、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは750ppm、一層好ましくは500ppm以下を挙げることができる。
当該光触媒の殺菌効果は極めて強力であるため、例えば表面殺菌の場合、太陽光照射を数分程度、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上の処理によって、十分な殺菌効果が発揮される。
また、LEDや蛍光灯等の比較的弱い光を照射する場合であっても、1時間以上、好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上の処理によって十分な殺菌効果が発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]『還元性有機物を含む原料』
三価鉄を二価鉄に還元する活性を有するかを検証することで、各種原料が還元性有機物であるかを判定した。
(1)「鉄還元能の検証」
表1に示す各原料のそれぞれ100重量部(乾燥重量換算)に対して、鉄元素換算で同重量の塩化鉄(III)を含む各水溶液(0.1wt%各原料, 0.1wt%塩化鉄溶液)を調製し、室温で数分静置した。その後、各水溶液にジピリジル2g/L、酢酸100g/Lとなるように添加混合して、呈色反応の有無を調べた。ここで、ジピリジルは、三価の鉄とは反応せず無色のままであるが、二価鉄と反応した時に赤色に呈色する物質である。二価鉄の検出に用いられる。 また、対照として、0.1wt%塩化鉄(III)水溶液を調製し、同様の操作を行った。結果を、表1に示した。
その結果、植物体に由来する各種原料(試料1-1〜1-8)、ポリフェノール類(試料1-9〜1-13)、アスコルビン酸(試料1-14)を添加した溶液では、赤色を呈した。即ち、これらの原料には、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する作用を有する還元性有機物を含む原料であることが示された。また、ここで還元された二価鉄は、二価鉄の状態で安定的に維持されることが示された。
一方、クエン酸(試料1-15)を添加した溶液では、溶液は無色のままであった。即ち、これらの原料には、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有さない原料であることが示された。
(2) 考察
この結果から、ポリフェノール類とアスコルビン酸は、鉄還元能を有する還元性有機物であることが示された。また、植物体に由来する各種原料(特にポリフェノール類を多く含む原料)は、鉄還元能を有する還元性有機物の供給原料となることが示された。また、二価鉄イオンが安定的に維持されることから、当該還元性有機物は二価鉄イオンの錯体構造を形成しているものと推測された。
一方、クエン酸は、還元性を示すキレート剤として知られている物質であるが、鉄に対する還元能を有さないことが示された。
[実施例2]『光触媒活性を励起する波長』
茶殻又はコーヒー粕を原料として‘還元性有機物と鉄との反応生成物’を調製し、当該物質の光触媒活性を検討した。
(1)「光触媒活性の測定」
茶殻(茶葉の熱湯抽出残渣)又はコーヒー粕(焙煎コーヒー豆粉砕物の熱湯抽出残渣)の100重量部(乾燥重量換算)に対して、鉄元素換算で4重量部の塩化鉄(III)(FeCl3)を混合し、両者の合計量の倍の重量の水を加え、98℃で1時間加熱処理し反応生成物を得た。濾過して得られた濾液をそれぞれ「茶葉成分・鉄」(試料2-1)又は「コーヒー豆焙煎物成分・鉄」(試料2-2)とした。また、比較試料として酸化チタン(TiO:酸化チタン(IV)アナタゼ型, 粒子サイズ100〜300nm, WAKO製)(比較2-1)を準備した。
次いで、各試料又は比較試料を鉄元素換算(酸化チタンについてはチタン元素換算)で35ppmになるように加えた3.5ppm塩基性フクシン水溶液を、試料ごとに複数調製した。各水溶液に波長の異なるLEDを24時間照射して静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。ここでLEDの照射強度は、紫外線(375nm)については1mW/cmで行った。可視光(青色光(470nm), 緑色光(525nm), 黄色光(570nm), 赤色光(660nm))、及び、赤外線(940nm, 1200nm)の照射強度については、光量子密度100μmol/m/secにて行った。また、塩基性フクシンの定量は540nmの吸光度を測定することで行った。なお、対照として暗黒条件に24時間静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。
540nmの吸光度(塩基性フクシンの定量結果)を測定し、分解率を算出して表2-A〜2-Dに示した。
その結果、「茶葉成分・鉄」(試料2-1)又は「コーヒー豆焙煎物成分・鉄」(試料2-2)を添加した溶液では、紫外線(375nm)だけでなく、可視光(470nm, 525nm, 570nm, 660nm)や赤外線(940nm, 1200nm)を照射した場合でも、塩基性フクシン(難分解性有機物)の分解が認められた。
具体的には、「茶葉成分・鉄」(試料2-1)を添加した場合、可視光及び赤外線(特に波長の長い赤外線である1200nm)を照射することで強い分解活性が認められた。特に、紫外線を照射した場合、照射開始から6時間以内の短時間の間での急激な分解が確認された。
また、「コーヒー豆焙煎物成分・鉄」(試料2-2)を添加した場合でも、可視光照射による分解活性が認められた。特に赤外線(特に波長の長い1200nm)を照射することで強い活性が認められた。また、特に紫外線を照射した場合、照射開始から6時間以内の短時間の間での極めて急激な分解が認められた。
一方、比較試料である酸化チタン(比較2-1)を添加した場合では、紫外波長である375nmを照射した場合にのみ塩基性フクシンの分解が認められた。なお、可視光以上の波長(>470nm)では塩基性フクシンの分解は全く認められなかった。即ち、酸化チタンの光触媒活性は、紫外線を照射した場合でしか確認されなかった。
(2)「考察」
以上の結果から、茶殻又はコーヒー粕を原料として調製した還元性有機物と鉄との反応生成物は、強い光触媒能を有することが明らかになった。特に、当該反応生成物には、酸化チタン(従来の光触媒)では反応しない波長である可視光及び赤外線を照射した場合にも、強い光触媒活性を発揮することが示された。
これらの反応生成物が有する光触媒活性は、紫外線と赤外線(特に波長の長い赤外線)を照射した場合に特に強い値を示した。特に紫外線を照射した場合、酸化チタンよりも急激で強い光触媒活性が短時間で発揮されることが示された。
[実施例3]『各種還元性有機物での検討』
各種還元性有機物と鉄との反応生成物を調製した場合においても、光触媒活性が認められるかを検討した。
(1)「光触媒活性の測定」
アスコルビン酸、ブドウポリフェノール、カテキン、クロロゲン酸、カフェイン酸、タンニン酸、又は籾酢液のそれぞれ100重量部(乾燥重量換算)に対して、鉄元素換算で4重量部の塩化鉄(III)(FeCl)を混合し、両者の合計量の倍の重量の水を加え、98℃で1時間加熱処理し、表3に示す反応生成物を得た(試料3-1〜3-7)。また、比較試料として酸化チタン(TiO:酸化チタン(IV)アナタゼ型, 粒子サイズ100〜300nm, WAKO製)を準備した(比較3-1)。
次いで、各試料又は比較試料を鉄元素換算(酸化チタンについてはチタン元素換算)で5.5ppmになるように加えた3.5ppm塩基性フクシン水溶液を複数調製した。水溶液に、波長の異なるLEDを24時間照射して静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。塩基性フクシンの定量及びLEDの照射は、実施例2と同様にして行った。また、対照として暗黒条件に24時間静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。
540nmの吸光度(塩基性フクシンの定量結果)を測定し、分解率を算出して表3-A〜3-Dに示した。
その結果、各種還元性有機物と鉄との反応生成物を添加した溶液では、紫外線(375nm)、可視光(470nm, 525nm, 570nm, 660nm)、赤外線(940nm, 1200nm)のいずれの波長の光を照射した場合でも、塩基性フクシンの分解が認められた。即ち、可視光及び赤外線(特に波長の長い赤外線である1200nm)を照射することで強い分解活性が認められた。また、紫外線を照射すると短時間の間に急激な分解活性が確認された。
特に、可視光及び赤外線を照射した場合では、カテキン、クロロゲン酸、カフェイン酸、タンニン酸等のポリフェノールと鉄との反応生成物に強い光触媒活性が認められた(試料3-3〜3-6)。また、紫外線を照射した場合では、全ての反応生成物試料に特に強い光触媒活性が認められた(試料3-1〜3-7)。
一方、比較試料である酸化チタンを添加した場合、可視光及び赤外線を照射した時には分解活性は認められず、紫外線を照射した時にしか分解活性が確認されなかった(比較3-1)。また、その分解速度は直線的で緩やかであった。
(2)「考察」
以上の結果から、当該光触媒活性は、鉄還元能を有する還元性有機物と鉄との反応生成物に共通に見られる性質であると推測された。特に、酸化チタン(従来の光触媒)では反応しない波長である可視光及び赤外線を照射した場合において、光触媒活性を発揮することが示された。
また、可視光及び赤外線を照射した時の光触媒活性は、本発明の反応生成物に強く保持される性質であることが示された。
[実施例4]『鉄還元能を有さない有機物との比較』
鉄還元能を有さない各種有機物と鉄との反応生成物を調製した場合に、光触媒活性が認められるかを検討した。
(1)「光触媒活性の測定」
アスコルビン酸、ブドウポリフェノール、カテキン、クロロゲン酸、カフェイン酸、又は籾酢液のそれぞれ100重量部(乾重換算)に対して、鉄元素換算で4重量部の塩化鉄(III)(FeCl)を混合し、両者の合計量の倍の重量の水を加え、98℃で1時間加熱処理し、表4に示す反応生成物を得た(試料4-1〜4-6)。また、比較試料として塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、EDTA鉄(III)、クエン酸鉄(III)、酸化チタン(TiO:酸化チタン(IV)アナタゼ型, 粒子サイズ100〜300nm, WAKO製)を準備した(比較4-1〜4-5)。
次いで、各試料又は比較試料を鉄元素換算(酸化チタンについてはチタン元素換算)で5.5ppmになるように加えた3.5ppm塩基性フクシン水溶液を複数調製した。水溶液に、可視光(赤色光:660nm、光量子密度100μmol/m/sec)のLEDを24時間照射して静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。塩基性フクシンの定量及びLEDの照射は、実施例2と同様にして行った。また、対照として暗黒条件に24時間静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。
540nmの吸光度(塩基性フクシンの定量結果)を測定し、分解率を算出して表4に示した。
その結果、可視光波長である660nmを照射した場合、各種還元性有機物と鉄との反応生成物(試料4-1〜4-6)を添加した溶液では、塩基性フクシンの分解が認められた。
それに対して、比較試料である各種鉄化合物又は酸化チタンを添加した場合では、塩基性フクシンの分解は確認されなかった(比較4-1〜4-5)。特に、鉄還元能を有さない有機物と鉄との錯体であるEDTA鉄(III)(比較4-3)、クエン酸鉄(III)(比較4-4)を添加した場合においても塩基性フクシンの分解が確認されなかった。
(2)「考察」
以上の結果から、当該光触媒活性は、「鉄還元能を有さない有機物」の鉄錯体(反応生成物)では全く発揮されないことが示唆された。このことから、還元性有機物と鉄との反応生成物が有する光触媒活性は、「鉄還元能を有する還元性有機物」と鉄との反応生成物に特異的な性質であることが示唆された。
[実施例5]『可視光照射による殺菌効果』
上記還元性有機物と鉄との反応生成物を用いて、可視光を照射した大腸菌の殺菌が可能かを検証した。
(1)「殺菌試験」
茶殻(茶葉の熱湯抽出残渣)の100重量部(乾燥重量換算)に対して、鉄元素換算で4重量部の塩化鉄(III)(FeCl3)を混合し、両者の合計量の倍の重量の水を加え、98℃で1時間加熱処理し反応生成物を得た。濾過して得られた固形分をそれぞれ「茶葉成分・鉄」(試料5-1)とした。また、比較試料として酸化チタン(TiO:酸化チタン(IV)アナタゼ型, 粒子サイズ100〜300nm, WAKO製)(比較5-1)を準備した。
大腸菌(ATCC1124)の10cfu/mL懸濁液に、鉄元素換算(酸化チタンの場合はチタン元素換算)で表5に示す濃度の試料を添加混合し、可視光(青色光:470nm, 光量子密度50μmol/m/sec)を24時間照射した。その後、大腸菌検定プレートに塗布し、大腸菌の生存数を調べた。また、対照として、大腸菌のみを同様に塗布して同様の実験を行った。結果を図1に示した。また、殺菌力の有無を2段階(「+」:殺菌力あり、「−」:殺菌力なし)で評価し、表5に示した。
この結果、茶葉成分・鉄(濾過後の固形分)を鉄元素換算にて20ppm以上添加して可視光を照射することによって、大腸菌を死滅させることができることが示された(試料5-1)。
一方、比較試料である酸化チタンを添加した場合では、高濃度で添加した場合であっても、可視光照射による大腸菌の減少を全く確認することができなかった(比較5-1)。
(2)「考察」
以上の結果から、鉄還元能を有する還元性有機物と鉄との反応生成物を用いて可視光のみを照射することによって、光触媒活性による殺菌作用が十分に奏されることが示された。また、20ppmという濃度で添加した場合でも殺菌効果は十分に発揮されることが確認された。また、当該光触媒活性は、反応液の固形部分にも強い活性があることが示された。(実施例2では、反応液の濾液の方に強い活性があることが示されている。)
一方、酸化チタンを用いた場合、可視光のみを照射しただけでは光触媒活性が発揮されず、殺菌作用が全く奏されないことが示された。
[実施例6]『太陽光照射による殺菌効果』
上記還元性有機物と鉄との反応生成物を用いて、太陽光を照射した大腸菌の殺菌が可能かを検証した。
(1)「殺菌試験」
茶殻(茶葉の熱湯抽出残渣)又はコーヒー粕(焙煎コーヒー豆粉砕物の熱湯抽出残渣)の100重量部(乾燥重量換算)に対して、鉄元素換算で4重量部の塩化鉄(III)(FeCl3)を混合し、両者の合計量の倍の重量の水を加え、98℃で1時間加熱処理し反応生成物を得た。濾過して得られた固形分をそれぞれ「茶葉成分・鉄」(試料6-1)又は「コーヒー豆焙煎物成分・鉄」(試料6-2)とした。また、比較試料として酸化チタン(TiO:酸化チタン(IV)アナタゼ型, 粒子サイズ100〜300nm, WAKO製)(比較6-1)を準備した。
大腸菌(ATCC1124)の懸濁液(10cfu/mL)に、鉄元素換算(酸化チタンの場合はチタン元素換算)で5.5ppmの濃度で表6に示す試料を添加混合し、太陽光(放射照度763W/m, UV(A+B)3.28mW/cm、光量子密度1514μmol/m/sec)を10分間照射した。その後、大腸菌検定プレートに塗布し、大腸菌の生存数を調べた。また、対照として、大腸菌のみを同様に塗布して同様の実験を行った。結果を図2に示した。また、殺菌力の有無を2段階(「+」:殺菌力あり、「−」:殺菌力なし)で評価し、表6に示した。
その結果、反応生成物である茶葉成分・鉄(濾過後の固形分)又はコーヒー豆焙煎物成分・鉄(濾過後の固形分)を添加して太陽光を照射することによって、大腸菌を死滅させることができることが示された(試料6-1, 6-2)。当該殺菌作用は、鉄元素換算で5.5ppmという極めて低濃度の添加でも十分な効果が奏されることが示された。また、太陽光の照射時間は、10分間という極めて短時間でも十分な効果が奏されることが示された。
一方、比較試料である酸化チタンを添加した場合、試料2-1, 2-2と同条件での太陽光を照射しただけでは、大腸菌が大量に生存していた(比較6-1)。
(2)「考察」
この結果から、還元性有機物と鉄との反応生成物を用いて太陽光を照射することによって、極めて強力な光触媒活性による殺菌作用が奏されることが示された。また、5.5ppmという極めて低濃度で添加し、10分間の照射を行った場合でも、十分な殺菌効果が発揮されることが確認された。
一方、酸化チタンを用いた場合、太陽光を短時間で照射しただけでは光触媒活性が十分に発揮されず、殺菌作用が不十分であることが示された。
[実施例7]『太陽光を連続して複数回照射した場合の殺菌効果』
上記還元性有機物と鉄との反応生成物を用いて、太陽光を連続して複数回照射した場合でも大腸菌の殺菌が可能かを検証した。
(1)「連続殺菌試験」
実施例6で調製したコーヒー豆焙煎物成分・鉄(試料6-1:濾過後の固形分)30mgを、滅菌水300mLに添加して混合し、密封可能なペットボトルに封入した。当該ペットボトルに大腸菌(ATCC1124)の懸濁液(3.5×10cfu/mL)を90μL添加し、太陽光を10分間照射した。照射後の菌液1mLを採取した。
その1時間後、当該ペットボトルに上記と同量の大腸菌懸濁液を再度添加し、2回目の太陽光照射を10分間行い、照射後の菌液1mLを採取した。さらにその1時間後、当該ペットボトルに上記と同量の大腸菌懸濁液を再度添加し、3回目の太陽光照射を10分間行い、照射後の菌液1mLを採取した。
採取した各菌液を大腸菌検定プレートに塗布し、大腸菌の生存数を調べた。また、対照として、大腸菌のみを同様に塗布して同様の実験を行った。結果を図3に示した。また、殺菌力の有無を2段階(「+」:殺菌力あり、「−」:殺菌力なし)で評価し、表7に示した。
その結果、反応生成物であるコーヒー豆焙煎物成分・鉄を加えた溶液では、一度光触媒活性による殺菌を行った後においても、再度光を照射するだけで連続3回の大腸菌の殺菌が可能なことが示された。また、1〜3回目のいずれの殺菌後の試料においても大腸菌は完全に死滅していたことから、連続使用による光触媒活性の力価減少は認められなかった。
(2)「考察」
この結果から、還元性有機物と鉄との反応生成物の光触媒活性は、一度の光触媒反応で失われる活性ではないことが示された。即ち、当該反応生成物は、光触媒活性として長時間安定して繰り返して使用可能な物質であることが示された。
なお、当該性質は、当該反応生成物(当該還元性有機物のFe2+錯体)が安定した構造体であることに起因する性質であると推測された。
本発明の光触媒は、食品、医療、公衆衛生、農業、環境浄化などの幅広い分野での殺菌や有機物分解に幅広く利用されることが期待される。

Claims (8)

  1. 光触媒を含有してなる有機物質分解剤であって、
    前記光触媒が、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分としてなる光触媒であり、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物質分解剤。
  2. 三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒を活性成分として用いることを特徴とする、有機物質分解剤の製造方法であって、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物質分解剤の製造方法。
  3. 三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒と分解対象有機物を接触させ、紫外線、可視光、又は赤外線に属する波長の光を照射することを特徴とする有機物分解方法であって、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする有機物分解方法。
  4. 可視光又は赤外線に属する波長の光を照射する、請求項に記載の方法。
  5. 光触媒を含有してなる殺菌剤であって、
    前記光触媒が、三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分としてなる光触媒であり、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌剤。
  6. 三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒を活性成分として用いることを特徴とする、殺菌剤の製造方法であって、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌剤の製造方法。
  7. 三価鉄を二価鉄に還元する作用を有する還元性有機物、及び、鉄供給原料を、40℃〜100℃で10秒〜10日間の条件で、水存在下にて混合し、得られた前記還元性有機物のFe 2+ 錯体を含む反応生成物を活性成分として用いることにより光触媒を得て、当該光触媒と殺菌対象物を接触させ、紫外線、可視光、又は赤外線に属する波長の光を照射することを特徴とする殺菌方法であって、
    前記還元性有機物が、アスコルビン酸であり、
    前記鉄供給原料が、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)から選ばれる二価鉄の供給原料;塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)から選ばれる三価鉄の供給原料;から選ばれる1以上のものであり、
    前記混合が、前記還元性有機物の乾燥重量100重量部に対して、鉄元素の重量換算で0.1〜10重量部含有するように前記鉄供給原料を混合するものであり、かつ、
    過酸化水素を用いないこと、を特徴とする殺菌方法。
  8. 可視光又は赤外線に属する波長の光を照射する、請求項に記載の方法。
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