JP6477766B2 - イオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置 - Google Patents

イオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6477766B2
JP6477766B2 JP2017070160A JP2017070160A JP6477766B2 JP 6477766 B2 JP6477766 B2 JP 6477766B2 JP 2017070160 A JP2017070160 A JP 2017070160A JP 2017070160 A JP2017070160 A JP 2017070160A JP 6477766 B2 JP6477766 B2 JP 6477766B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
ion mobility
analyzer
chromatograph
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017070160A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017207472A (ja
Inventor
小強 張
小強 張
云清 黄
云清 黄
文剣 孫
文剣 孫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Publication of JP2017207472A publication Critical patent/JP2017207472A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6477766B2 publication Critical patent/JP6477766B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N30/00Investigating or analysing materials by separation into components using adsorption, absorption or similar phenomena or using ion-exchange, e.g. chromatography or field flow fractionation
    • G01N30/02Column chromatography
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • H01J49/009Spectrometers having multiple channels, parallel analysis
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/62Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating the ionisation of gases, e.g. aerosols; by investigating electric discharges, e.g. emission of cathode
    • G01N27/622Ion mobility spectrometry
    • G01N27/624Differential mobility spectrometry [DMS]; Field asymmetric-waveform ion mobility spectrometry [FAIMS]
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N30/00Investigating or analysing materials by separation into components using adsorption, absorption or similar phenomena or using ion-exchange, e.g. chromatography or field flow fractionation
    • G01N30/02Column chromatography
    • G01N30/62Detectors specially adapted therefor
    • G01N30/72Mass spectrometers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N30/00Investigating or analysing materials by separation into components using adsorption, absorption or similar phenomena or using ion-exchange, e.g. chromatography or field flow fractionation
    • G01N30/02Column chromatography
    • G01N30/86Signal analysis
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0031Step by step routines describing the use of the apparatus
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0036Step by step routines describing the handling of the data generated during a measurement
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • H01J49/0045Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn characterised by the fragmentation or other specific reaction
    • H01J49/005Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn characterised by the fragmentation or other specific reaction by collision with gas, e.g. by introducing gas or by accelerating ions with an electric field

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Description

(関連出願の相互参照)
本願は2016年4月8日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第N201610216645.8号に対する優先権を主張するものであり、当該出願の全体が参照によりここに組み込まれる。
本発明は概して言えばイオン分析の分野に関し、より詳しくは質量分析とイオン移動度分析の並行分析の方法及び装置に関する。
ここで行う背景説明は本発明の文脈を全体的に提示することを目的としている。背景技術の節で論じられる主題は、単に背景技術の節で言及されているというだけで従来技術であると推定すべきではない。同様に、背景技術の節で言及された又は背景技術の節の主題に関連した問題は、以前から従来技術において認識されていたと推定すべきではない。背景技術の節の主題は異なるアプローチを示すものに過ぎず、その各々がそれ自体で発明となり得る。本願に名前の挙がった発明者らの仕事であって背景技術の節に記載された範囲内のもの、及び、本願の記載のうち当該記載がなければ本願出願時における従来技術として認定できない部分は、明示的にも暗示的にも本発明に対する従来技術として認められるべきではない。
近年、イオン移動度分析装置とクロマトグラフ質量分析装置をタンデム式に連結して用いる技術が大きく発達してきている。イオン移動度分析にはクロマトグラフィ及び質量分析に対して直交した分離が行われるという特徴があるため、クロマトグラフィ−質量分析の分離能及びピーク容量を大幅に改善することができる。
典型的なドリフト管型イオン移動度分析装置では、例えばガス圧は1〜4Torr、長さは50〜100cm、全長にわたるドリフト電圧は2〜5kVであり、ドリフト時間はほとんどのイオンに対してミリ秒程度、スペクトルにおけるピーク幅はミリ秒又はサブミリ秒程度である。クロマトグラフ、イオン移動度分析装置及び質量分析装置を直列に接続した場合、イオン移動度分析装置の速さは前段に配置されたクロマトグラフの要求を完全に満たすことができる。一方、イオン移動度分析装置の後段に配置された質量分析装置は、移動度ピークをサンプリングするために非常に高速な動作が必要であるため、そこには通常、高速な飛行時間型質量分析装置しか使用できない。四重極マスフィルタやイオントラップ等、他の比較的低速な質量分析器では1つの全走査スペクトルを得るのに数十又は数百ミリ秒もの時間がかかり、イオン移動度分析装置と組み合わせるには低速過ぎる。一方、飛行時間型質量分析装置は高真空と長い飛行距離を必要とする。そのサイズは比較的大きく、価格は高い。加えて、飛行時間型質量分析装置の典型的な繰り返し数は5〜10kHzであり、イオン移動度分析装置におけるピークのサンプリング要求を満たすことはできるが、大量のデータが発生するため、データの処理や分析に困難が生じる。
上記欠点を克服するため、イオン移動度分析と質量分析の並行分析を行うことができる。これは同じ試料のイオン移動度スペクトルとマススペクトルを同時に取得することを意味する。複雑な試料の場合、このような技術では、いかにしてイオン移動度スペクトルにおけるピークをマススペクトルにおけるピークと相互に関連付けるか、つまり、いかにして同じ成分(同じイオン)に対するイオン移動度情報とそれに対応するm/z情報とを得るかが難題となる。特許文献1、2及び3に並行分析装置及び方法が開示されている。典型的なプロセスは次の通りである。まずイオン移動度スペクトルを得るために予備走査を行う。マススペクトル取得のための時間シーケンスを決定するためのピーク位置に応じて、通常は真空弁が相応に開閉される。前記時間シーケンスによりマススペクトルとイオン移動度スペクトルの対応関係が決まり、その結果、各分析物に対してm/z情報とイオン移動度情報の両方が同時に得られる。これらの特許文献に開示された方法では、第1に同期が必要であり、第2に正規化が必要である。ここでいう「正規化」とは、「同期化された」時間シーケンスに従って移動度スペクトルにおけるピークとマススペクトルにおけるピークを相互に関連付けることをいう。前記特許文献に開示された方法では前述のタンデム分析における問題を全て解決することはできない。前記特許文献において四重極ロッド型又はイオントラップ型分析器を採用すると、既知の化合物に的を絞った分析しかできないか、あるいは予備走査された移動度スペクトルにおけるピーク位置に応じて質量範囲を狭める必要がある。このことから、前記特許文献に開示された方法は完全な並行分析ではない。その方法のプロセスは「データ依存取得」に似たものである。
ここでいう「データ依存取得(data dependent acquisition; DDAと略す)」又は「データ非依存取得(data independent acquisition; DIAと略す)」は通常、例えば非特許文献1に記載のように、タンデム質量分析の分野で用いられる。DDA法では、単一のm/z値を持つ親イオンを選択して衝突解離に供することで娘イオンを生成し、その娘イオンに対する質量分析を行う。DIA法では、一定のm/z範囲、ときには全範囲の親イオンを選択し、コリジョンセルに送って解離させることで娘イオンを生成し、その娘イオンを全て質量分析に供する。各娘イオンを関係のある親イオンと相互に関連付けるには、より複雑なデータ後処理アルゴリズム(通常、デコンボリューションと呼ばれる)が必要である。DDA法に比べて、DIA法は感度、定量性能、及びダイナミックレンジの点で大幅に優れている。
現在、DIA法をタンデム分析のためのイオン移動度−質量分析に応用する研究は既に存在している。例えば、非特許文献2に報告がある。非特許文献3には更に、移動度スペクトルのピーク位置に応じて衝突エネルギーを最適化することで、より高い解離効率を得て定性及び定量分析性能を向上させることができると記載されている。
しかし、これらの方法は連続(タンデム)分析だけに限定されている。DIA法をイオン移動度−質量分析の並行分析に応用した者はまだいない。
米国特許第8,785,848号明細書 米国特許第9,024,255号明細書 米国特許第9,142,395号明細書
「プロテオミクス(Proteomics)」、2015、Vol.15、p.964-980 「ジャーナル・オブ・プロテオーム・リサーチ(J. Proteome Res.)」、2013、Vol.12、p.2323-2339 「ネイチャー・メソッズ(Nat. Methods)」、2014、Vol.11、p.167-170
故に、上記の欠陥や欠点に取り組むために当該技術において検討されていないことに対する要求が存在する。
本発明の一態様は、質量分析とイオン移動度分析における並行分析の方法であって、
試料をクロマトグラフ又はキャピラリ電気泳動装置による分離に供することを可能にし、
前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料をイオン化し、該試料を後段の装置に送り、イオン化された試料の少なくとも一部をイオン移動度分析装置により分析してイオン移動度スペクトルを取得する手順とイオン化された試料の少なくとも他の部分を質量分析装置により分析してマススペクトルを取得する手順とを備える分析に供し、その際に各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間は5秒以下であり、
前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置における同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いて前記イオン移動度スペクトルにおけるピークと前記マススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける手順を備えるデータ後処理を実行する
ことを特徴としている。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化の前に切り替え弁により2つの経路に分割され、該2つの経路の試料がイオン化され、分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ送られる。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが2つの異なるイオン入口を通ってそれぞれ前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に送られる。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンがイオン光学装置を通り、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送る。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置により分離され、次に前記質量分析装置により分析される。
一実施形態では、前記クロマトグラフがガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ又はイオンクロマトグラフである。
一実施形態では、前記イオン移動度分析装置がドリフト管型イオン移動度分析装置、微分型イオン移動度分析装置又はFAIMS(high-field asymmetric waveform ion mobility spectrometer)である。
一実施形態では、前記質量分析装置の質量分析器が四重極マスフィルタ、イオントラップ質量分析器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器、又はオービトラップ質量分析器である。
一実施形態では、前記質量分析装置の質量分析器が飛行時間型質量分析器である。
一実施形態では、前記質量分析装置がコリジョンセルを含むタンデム型質量分析装置である。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが衝突解離のためにコリジョンセルに入り、次にイオン光学装置を通過し、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送る。
一実施形態では、試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、前記コリジョンセル内で衝突解離を受けて生成されたイオンが、前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離された後、質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入る。
一実施形態では、試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離され、衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、そこで生成されたイオンが質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入る。
一実施形態では、前記デコンボリューションアルゴリズムが、ピアソンの相関係数アルゴリズム、相互相関スコアアルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、エントロピー最小化アルゴリズム、ドット積スコアアルゴリズム、及び最小全域木アルゴリズムのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせである。
一実施形態では、前記データ後処理が更に、前記マススペクトルに対して電荷数デコンボリューションを行うことでマススペクトルピークに対応する電荷数を求める手順を備える。
本発明の別の態様は、クロマトグラフ又はキャピラリ電気泳動装置と、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置の後段に配置されたイオン移動度分析装置と、前記クロマトグラフの後段に配置された質量分析装置と、前記イオン移動度分析装置及び前記質量分析装置に接続されたコンピュータとを備える、質量分析とイオン移動度分析の並行分析のための装置であって、
試料が前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離に供され、
該クロマトグラフ又は該キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化された後、後段の装置に送られ、イオン化された試料の少なくとも一部を前記イオン移動度分析装置により分析してイオン移動度スペクトルを取得する手順とイオン化された試料の少なくとも他の部分を前記質量分析装置 により分析してマススペクトルを取得する手順とを備える分析に供され、その際の各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間は5秒以下であり、
前記コンピュータが、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置における同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いて前記イオン移動度スペクトルにおけるピークと前記マススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける手順を備えるデータ後処理を実行する
ことを特徴としている。
一実施形態では、前記装置が前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置に接続された少なくとも1つの切り替え弁を更に備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化の前に前記切り替え弁により2つの経路に分割され、該2つの経路の試料がイオン化され、分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ送られる。
一実施形態では、前記装置が前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ接続された2つの異なるイオン入口を更に備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記2つの異なるイオン入口を通ってそれぞれ前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に送られる。
一実施形態では、前記装置が更にイオン光学装置を備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン光学装置を通り、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送る。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置により分離され、次に前記質量分析装置により分析される。
一実施形態では、前記クロマトグラフがガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ又はイオンクロマトグラフである。
一実施形態では、前記イオン移動度分析装置がドリフト管型イオン移動度分析装置、微分型イオン移動度分析装置又はFAIMS(high-field asymmetric waveform ion mobility spectrometer)である。
一実施形態では、前記質量分析装置の質量分析器が四重極マスフィルタ、イオントラップ質量分析器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器、又はオービトラップ質量分析器である。
一実施形態では、前記質量分析装置の質量分析器が飛行時間型質量分析器である。
一実施形態では、前記質量分析装置がコリジョンセルを含むタンデム型質量分析装置である。
一実施形態では、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、次にイオン光学装置を通過し、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送る。
一実施形態では、試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、前記コリジョンセル内で衝突解離を受けて生成されたイオンが、前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離されて、質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入る。
一実施形態では、試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離され、衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、そこで生成されたイオンが質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入る。
一実施形態では、前記デコンボリューションアルゴリズムが、ピアソンの相関係数アルゴリズム、相互相関スコアアルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、エントロピー最小化アルゴリズム、ドット積スコアアルゴリズム、及び最小全域木アルゴリズムのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせである。
一実施形態では、前記データ後処理が更に、前記マススペクトルに対して電荷数デコンボリューションを行うことでマススペクトルピークに対応する電荷数を求める手順を備える。
上記の通り、本発明により提供される質量分析及びイオン移動度分析の方法及び装置によれば、クロマトグラフにより試料が分離され、該クロマトグラフにより分離された試料がイオン化された後、後段の装置に送られ、イオン化された試料の少なくとも一部をイオン移動度分析装置により分析してイオン移動度スペクトルを取得する手順とイオン化された試料の少なくとも他の部分を質量分析装置により分析してマススペクトルを取得する手順とを備える分析に供され、その際の各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間は5秒以下であり、更に、前記クロマトグラフにおける同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いて前記イオン移動度スペクトルにおけるピークと前記マススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける手順を備えるデータ後処理が実行される。本発明は、質量分析装置をイオン移動度分析装置と組み合わせた場合に該質量分析装置に対する取得速度上の要求を大幅に緩和する。また、データ量が大幅に少なくなる。
本発明の要点は、質量分析装置とイオン移動度分析装置により一緒に検出されたクロマトグラフ流出物の信号に対し、数学的な処理方法によってデコンボリューションを実行することで、各分析物のイオン移動度とm/zの情報を組み合わせて多次元情報を得ることである。従来技術に比べて本発明には以下の利点がある。
1.本発明は、質量分析装置をイオン移動度分析装置と組み合わせた場合に該質量分析装置に対する取得速度上の要求を大幅に緩和する。質量分析装置の取得速度がクロマトグラフの溶出速度に追従できさえすればよいため、四重極型やイオントラップ型の質量分析器を含む現在のほぼ全てのタイプの質量分析器を用いることができる。また本装置は低コスト又は省スペースなものにすることができる。
2.本発明は分析のデータ量を効果的に低減させる。高速の飛行時間型質量分析装置を用いても、(ミリ秒程度ではなく)秒程度で蓄積されたマススペクトルを保存するだけでよいため、従来の方法に比べてデータ量を2桁又は3桁低減させることができる。
3.本発明は適用可能な範囲が広い。分析は並列で行われるため、クロマトグラフの多様さ、質量分析器の多様さ、又はイオン移動度分析器の多様さに制限がない。各タイプの分析器(又は分離器)を用いた場合の利点を、性能上の妥協をせずに維持することができる。これに対し、従来の方法では、あるタイプの質量分析器をイオン移動度分析器と組み合わせると問題が生じるのが普通である。
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の図面と関連付けられた後述の好ましい実施例の説明から明らかになるであろう。ただし、そこで説明される変形及び部分的変更は、開示された新規な考え方の主旨及び範囲から逸脱することなく変えることができる。
添付図面は本発明の一又は複数の実施例を示しており、文章による説明とともに本発明の原理を説明するためのものである。実施例の同一又は類似の要素を参照するために、全図面を通じて可能な限り同一の参照符号が用いられている。
本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の作業フローの概略図。 本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の一例の概略構造図。 本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の別の例の概略構造図。 本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の更に別の例の概略構造図。 本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の更に別の例の概略構造図。 本発明の第1実施例において、タンデム質量分析に応用されたイオン移動度分析と質量分析の並行分析の一例の概略構造図。 本発明の第2実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の作業フローの概略図。 本発明の第2実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の一例の概略構造図。
以下、本発明について、添付図面を参照しつつ、本発明の模範的な実施例を示して、より詳しく説明する。もっとも、本発明は多くの異なる形で具現化可能であって、ここに記載された実施例に限られると解釈すべきではない。むしろこれらの実施例は、この開示が綿密且つ完全なものになり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提示される。全体を通じて同じ参照符号は同じ要素を示している。
本明細書で用いられている用語は全体として、当該技術内、本発明の文脈内、及び各用語が用いられている個別の文脈内で通常の意味を有している。本発明の説明について実践者に追加の手引きを提供するため、本発明の説明で用いられるいくつかの用語について以下に又は本明細書の他の箇所で論じる。便宜上、いくつかの用語を例えば斜体及び/又は引用符で強調することがある。この強調の使用は用語の範囲及び意味に影響しない。用語の範囲及び意味は、強調の有無に関わらず、同じ文脈内では同じである。なお、同じ事物に2通り以上の言い方があり得る。従って、ここで論じる用語の一又は複数に対して別の言語及び同義語を用いてもよく、ある用語がここで詳述又は議論されるか否かは特に重要ではない。いくつかの用語には同義語が提示される。一又は複数の同義語が記述されていたとしても、他の同義語の使用が排除されることはない。ここに論じられる用語の例を含めて、本明細書内のいずれかの箇所で例を使用するのは説明のために過ぎず、本発明の範囲及び意味又は例示された用語の範囲及び意味を決して限定しない。同様に、本発明は本明細書に示されている様々な実施例に限定されない。
ある要素が別の要素の「上に(on)」あるというとき、それは該別の要素の上に直接あってもよいし、それらの間に介在する要素があってもよいことは分かるであろう。一方、ある要素が別の要素の「上に直接(directly on)」あるというとき、そこには介在する要素はない。本願で用いられる「及び/又は(and/or)」という用語は、関連する一又は複数の列挙項目のあらゆる組み合わせを含む。本願で用いられる単数形(a、an及びthe)は、単数であることが文脈から明らかな場合以外、複数形も含むことを意図している。
本願では様々な要素、構成部分、領域、層及び/又は部分を記述するために第1、第2、第3等の用語が用いられることがあるが、これらの要素、構成部分、領域、層及び/又は部分はそれらの用語により限定されるものではないことは分かるであろう。それらの用語は、ある要素、構成部分、領域、層又は部分を、別の要素、構成部分、領域、層又は部分から区別するために用いられているに過ぎない。従って、以下に第1の要素、構成部分、領域、層又は部分が論じられていたとしたら、本発明の教示から逸脱することなく、それを第2の要素、構成部分、領域、層又は部分と呼ぶことができる。
本発明の図面に示される構造、割合及び大きさは全て、本発明の実行可能な制約条件を限定するためではなく、従来技術に精通した者が知得して読み取ることができるように明細書の開示内容と一致させるために用いられているものであって、技術的に重要な意味はなく、構造的な部分修正や比例関係の変更、サイズの調整を行っても、本発明により生じる効果及び達成される目的に影響を与えることなく、本発明に開示された技術内容によりカバー可能な範囲内に入るということに注意すべきである。なお、本明細書にいう「上の(upper)」、「下の(lower)」、「左の(left)」、「右の(right)」及び「一つの(one)」等の語は単に説明の便宜のためのものであって、本発明の実施範囲を限定するものではなく、相対的な関係を変更又は調節しても、技術的な内容を本質的に変えることはなく、本発明の実施範囲内にあるとみなされるべきである。
また、本願では、ある要素の他の要素に対する関係を図面に描かれた通り説明するために、「下側の(lower)」又は「底面の(bottom)」と「上側の(upper)」又は「上面の(top)」といった相対的な用語を用いることがある。相対的な用語は、図に描いた装置の向きに加えて、それと異なる向きも包含することを意図したものであることは分かるであろう。例えば、図の1つにおいて装置が逆さまになっている場合、ある要素の「下側」にあると説明された別の要素は、その図においては前者の要素の「上側」に向くことになる。故に、「下側の」という代表的な用語は、図面の個々の向きに応じて「下側の」と「上側の」の両方の向きを包含し得る。同様に、図の1つにおいて装置が逆さまになっている場合、ある要素の「下に(below又はbeneath)」あると説明された別の要素は、その図においては前者の要素の「上に(above)」向くことになる。故に、「下に」という代表的な用語は「上に」と「下に」の両方の向きを包含し得る。
更に、「備える(comprise又はcomprising)」、「含む(include又はincluding)」、「担持する(carry又はcarrying)」、「有する(has/have又はhaving)」、「含む(contain又はcontaining)」、「伴う(involve又はinvolving)」等の用語は無制限であること、即ち、あるものを含むがそれらに限定されないことを意味し、特許請求の範囲及び明細書で使用された場合、それらの用語は、述べられた特徴、領域、整数、手順、操作、要素及び/又は構成部分の存在を指定するが、他の一又は複数の特徴、領域、整数、手順、操作、要素、構成部分及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことは分かるであろう。
他に定義のない限り、本願で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は本発明が属する技術における当業者により普通に理解される意味と同じ意味を持つ。更に、一般に用いられている辞書で定義されているような用語は、関連技術及び本願の開示の文脈における当該用語の意味と一致する意味を持つものと解釈すべきであって、本願において明示的に定義されない限り、理想化された意味又は過度に定型的な意味に解釈されることはないということも分かるであろう。
本願で用いられる「大体(around)」、「約(about)」、「略(substantially)」又は「およそ(approximately)」は通例、与えられた値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味するものとする。本願で示される数量はおよその数量である。つまり、「大体」、「約」、「略」又は「およそ」という用語は、明示的な記述のない限り、推定が可能である。
本願で用いられる「A、B及びCの少なくとも1つ」という句は、非排他的論理和を用いた論理(A又はB又はC)を意味するものと解釈すべきである。ある方法の中にある一又は複数の手順が、本発明の原理を変えることなく、異なる順序で(又は同時に)実行されることがあることを理解すべきである。
これより本発明の実施例を添付図面と関連させて説明する。本発明の目的に従い、ここに具現化され且つ広く記述されている通り、本発明はイオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置に関する。
図1は本発明の第1実施例におけるイオン移動度分析と質量分析の並行分析の作業フローの概略図である。この作業フローは以下の手順を備える。分析の用意ができた試料100に対する前処理の後、クロマトグラフ101を用いたクロマトグラフィによる分離を行う。次に、質量分析装置103とイオン移動度分析装置104にそれぞれ入る2つの経路に試料を分割し、質量分析とイオン移動度分析をそれぞれ行うことで、マススペクトルとイオン移動度スペクトルをそれぞれ取得する。そして、前記クロマトグラフにおける同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いてイオン移動度スペクトルにおけるピークとマススペクトルにおけるピークを相互に関連付けるデータ後処理を実行する。このデータ後処理はコンピュータで仕上げることができる。
このフローでは、各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間が5秒未満、典型的には2秒未満となること、つまり、クロマトグラフピーク上に必要な数のサンプリング点が確保され、その結果、各スペクトルピーク(マスピーク又はイオン移動度ピーク)の抽出イオン電流(extracted ion current; XIC)クロマトグラフピークの形状の精度が確保できることが保証されてさえいればよい。
以下、図2〜5を詳細な説明のための例として挙げるが、本発明の範囲を限定する意図はない。
図2において、試料は液体クロマトグラフ201(LC)により分離される。分離された試料はスプリット弁や高速切り替え型六方弁等の弁202を通る。この弁は十分に分離された試料が質量分析装置203とイオン移動度分析装置204にそれぞれ入るようにするためのものである。ここで「それぞれ入る」とは、クロマトグラフィの溶出ピークにおける各サンプリング点(その周期はクロマトグラフピークの10分の1から20分の1で、通常は2秒未満)において試料の一部が質量分析装置203を通り、試料の一部がイオン移動度分析装置204を通る、という条件を満たす必要がある。よって、スプリット弁は完全にその要求を満たすことができる。切り替え弁を採用する場合、切り替え回数は毎秒1回以上である。本実施例では、典型的に、質量分析装置203とイオン移動度分析装置204がそれぞれ四重極マスフィルタとドリフト管型イオン移動度分析装置である。独立したイオン源205及び206が質量分析装置203とイオン移動度分析装置204のために採用されている。イオン源205で生成されたイオンは真空インターフェイス208を通って第1イオンガイドと第2イオンガイドに入った後、四重極マスフィルタ203に入って質量分析に供され、マススペクトルが得られる。イオン源206で生成されたイオンは別の真空インターフェイス209を通ってイオン移動度分析装置204の脱溶媒室2041に入った後、ドリフト管2042に入って移動度分析に供され、イオン移動度スペクトルが得られる。更にコンピュータ207においてデータ後処理が行われる。
他の実施例において、同一のイオン源が採用された場合、弁202は不要である。図3〜5に3つの異なる実施例を示す。図3に示した例では、クロマトグラフ301に接続されたイオン源302が大量のイオンを生成し、それらが2つの異なる真空インターフェイス308及び309(ここでは2本の細管)を通って質量分析装置303とイオン移動度分析装置304にそれぞれ入り、分析が行われて2つのスペクトルが得られ、コンピュータ307上でデータ後処理が行われる。ある例では図4に示したように、クロマトグラフ401に接続されたイオン源402により生成されたイオンが真空入口408を通ってイオン案内装置405に入る。このイオン案内装置405はT字状(又はY字状)のイオンガイドとすることができる。より具体的な構造としては、T字状(又はY字状)に配置された分割型多重極ロッドとし、そのT字状又はY字状の中央の端部が偏向用イオン案内装置406を通じてイオン移動度分析装置404又は質量分析装置403の一方に接続され、対向する2つの端部の1つがイオン移動度分析装置404又は質量分析装置403の他方に接続されたものとすることができる。本実施例は質量分析装置403が中央の端部と接続された実施例だけを示しているが、これに限られない。このイオン案内装置405は周期的にイオン搬送経路を変えることができる。ある時間にはイオンがイオン移動度分析装置404内のイオン移動度分析器に入るように送られ、分析に供されてイオン移動度スペクトルが得られる。またある時間にはイオンが質量分析装置403内の質量分析器に入るように送られ、分析に供されてマススペクトルが得られる。2つの異なる搬送経路は高速(ミリ秒、場合によってはマイクロ秒程度)で切り替え可能であり、2通りの取得の継続時間は事前に設定可能である。例えば、切り替えを1秒に2回とし、イオン移動度分析に100ミリ秒を使用し、残りの900ミリ秒を質量分析に使用し、最後にコンピュータ407上でデータ後処理を行う。別の実施例は、図5に示したように、質量分析装置503内の質量分析器がイオン移動度分析装置504のイオン移動度分析器の次段に配置され、イオン移動度分析器の検出器505が通過口を有するリング電極であり、検出器505が動作状態である(例えば非常に高い負の電圧が印加されている)間、イオンは検出器505に当たることができるが、検出器505が非動作状態のとき、イオンは検出器505を通り抜けて次段の質量分析装置503の質量分析器に入る。検出器505は動作状態と非動作状態の間で素早く切り替えられる。例えば、切り替えは1秒に2回とし、イオン移動度スペクトルを取得するために100ミリ秒だけ作動し、残りの900ミリ秒は作動せず、その間に次段ではマススペクトルを取得することが可能であり、最後にコンピュータ507上でデータ後処理を行う。
本発明によりイオン移動度スペクトルとマススペクトルを取得する作業フローは以上の通りである。以下、データ後処理の作業フローを説明する。本発明の要点は、イオン移動度スペクトルにおけるピークとマススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける又は対応させるためにデコンボリューションアルゴリズムを採用することにある。このようなアルゴリズムはDIA法に広く応用されており、親イオンと娘イオンの相互の関連付けに用いられている。一般化すれば、本発明では、イオン移動度スペクトルにおけるピークを「親イオン」に代わるピークとして、またマススペクトルにおけるピークを「娘イオン」のピークとして、それぞれ扱うことができる。故に、DIA法の場合と同様の方法を本発明に好適に用いることができる。一般的なアルゴリズムには、ピアソンの相関係数アルゴリズム、相互相関スコアアルゴリズム、k平均クラスタリングアルゴリズム、エントロピー最小化法、ドット積スコアアルゴリズム、最小全域木アルゴリズム等があるが、これらに限定されない。上記の各アルゴリズムはクロマトグラフィにおける成分の保持時間情報若しくはクロマトグラフィにおける溶出ピークプロファイルの情報のいずれか又は両方を利用する。
保持時間という概念はクロマトグラフィの基本的な概念である。「溶出ピークプロファイル」とは、クロマトグラフとイオン移動度分析装置を組み合わせて用いたときに、単一のクロマトグラフ溶出物に対応するイオン移動度ピークの強度が、該溶出した分析物の濃度に従って変化することを意味し、更に、クロマトグラフによる分離時間の全範囲において一又は複数のクロマトグラフィプロファイルが存在する。同様に、クロマトグラフによる分離時間の全範囲における単一のマスピークの強度変化もまた一又は複数のクロマトグラフィプロファイルを示す。
ピアソンの相関係数アルゴリズムを例に挙げると、イオン移動度ピークに対応するクロマトグラフピークの強度変化は順序ベクトル(ordered vector)とみなされる。同様に、同じクロマトグラフィ保持時間範囲内にあるマスピークに対応するクロマトグラフピークの強度変化も順序ベクトルとみなすことができる。2つのクロマトグラフィの類似度はこれら2つの順序ベクトルの間のピアソンの相関係数を計算することにより評価することができる。類似度が(ある閾値よりも)高ければ、イオン移動度ピークとマスピークは対応関係を有しているとみなされる。上記計算を複数回行うことで、この対応関係を全てのイオン移動度ピークとマスピークの間で求めることができる。
相互相関スコアアルゴリズムを例に挙げると、イオン移動度ピークに対応するクロマトグラフピークとマスピークに対応するクロマトグラフピークがクロマトグラフピークの保持時間の違いに応じてグループ化され、同じ保持時間を有する2種類のクロマトグラフピークが1つのグループに分類され、各グループは各イオン移動度ピークに対応する一又は複数のクロマトグラフピークと各マスピークに対応する一又は複数のクロマトグラフピークを含むことができる。そのグループ内のクロマトグラフピークの間の相互相関スコアが計算され、該グループ内の複数のクロマトグラフピークの相互相関スコアが所定の閾値より低い場合、そのクロマトグラフピークはノイズとして除去される。
複数のアルゴリズムの組み合わせを例に挙げると、あるイオン移動度ピークに対応する全てのマスピークが上記ピアソンの相関係数アルゴリズムで得られる。これらのマスピークは2つの特徴的なパラメータを持つ。一つはマスピークに対応するクロマトグラフピークの保持時間、もう一つはマスピークに対応するクロマトグラフピークとイオン移動度ピークに対応するクロマトグラフピークとの間のピアソンの相関係数である。これら2つの特徴的なパラメータに従って、マスピークがクラスタリングアルゴリズムを用いてクラスタ化され、分析される。マスピークは複数のクラスタに分割され、クラスタの質量中心におけるピアソンの相関係数が最も高い1つのクラスタが選択され、このようなクラスタ内にあるマスピークがイオン移動度ピークに対応する好適なマスピークとして利用できる。複数のアルゴリズムをデコンボリューションのために組み合わせることで、デコンボリューションの効果を高めることができ、干渉ピークの発生が少なくなる。
以上が本発明におけるデータ後処理プロセスである。例えばタンパク質やペプチドの分析において、もし多価イオンが含まれていれば、その多価イオンがエレクトロスプレイイオン化において生成され、追加の電荷デコンボリューションアルゴリズムを用いて荷電状態を求めることができる。追加のアルゴリズム処理はデータ後処理の前又は後に実行できる。こうしてスペクトルにおける各マスピークの電荷数が求められ、更に分子量が求められる。電荷デコンボリューションプロセスは本発明のデコンボリューションプロセスとは関係ないが、マスピークの荷電状態が求まれば、相関関係に従ってイオン移動度ピークの荷電状態も求めることができる。クロマトグラフィの保持時間、イオンの電荷数、分子量及びイオン移動度という情報を組み合わせることで、定性及び定量分析の性能を大きく向上させることができる。
本発明においては、マススペクトルの取得はイオン移動度の取得から独立して行われ、両者は後のデータ処理で相互に関連付けられるのみであることが分かる。故に、装置の速度やデータ取得等に関する要求は大幅に緩和される。上記の例で用いられているクロマトグラフ(101、201、301、401又は501)はガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ又はイオンクロマトグラフとすることができるが、例えばキャピラリ電気泳動、薄層クロマトグラフィ、ペーパークロマトグラフィ等、分離能力を有し且つイオン移動度分析装置及び質量分析装置と組み合わせて利用できる他の分析手段にまで拡大することもできる。上記の例で用いられている質量分析装置内の質量分析器は高速の飛行時間型質量分析装置とすることができるが、得られるマススペクトルの数がクロマトグラフのサンプリング点の要求を確実に満たすことができるのであれば、比較的低速の四重極マスフィルタ、イオントラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICR)、オービトラップ等としてもよい。上記の例で用いられているイオン移動度スペクトル分析装置はドリフト管型イオン移動度分析装置とすることができるが、得られるイオン移動度スペクトルの数がクロマトグラフのサンプリング点の要求を確実に満たすことができるのであれば、微分型イオン移動度分析装置(differential ion mobility spectrometer; DMA)、FAIMS(high-field asymmetric waveform ion mobility spectrometer)又はDMS等としてもよい。故に本発明は、従来技術では実現されていない、イオン移動度分析と質量分析の真の並行分析を実現する。また、本発明では、各種類の分析装置(例えば、イオン移動度分析装置と質量分析装置)を単独で使用した場合の利点を維持することが可能であり、相互に組み合わせた場合に必要となる性能上の妥協が避けられる。例えば、従来の方法では、ドリフト管と飛行時間型質量分析装置を直列接続で使用すると、ドリフト管の次段においてイオンのドリフト時間が余分に生じるため、イオン移動度の解像度が多少低下し、その結果、より複雑な補正プロセスが必要となるのが普通である。本発明では、イオン移動度分析装置が独立して作動するため、その解像度を保証するための追加的な補正は必要ない。別の態様として、イオン移動度分析装置とタンデム方式で用いた場合、飛行時間型質量分析装置内の飛行管より手前ではイオンの集群又は捕集は行わないのが普通である。そうでなければイオン移動度分解能が損なわれてしまう。しかし、イオンの集群又は捕集なしでは感度が低下してしまう。本発明では、イオンの集群又は捕集を行って高い感度を確保することができる。
「並行分析」とはデータ取得プロセスが並行的である又は繰り返し実行できるということを意味するに過ぎず、分析装置同士の相対的な配置は様々にすることができるということを指摘しておく必要がある。例えば、装置を図2及び3のように並列に配置したり、図4のようにT字状(又はY字状)にしたり、図5のようにタンデム方式に似た構成にすることもできる。なお、図5の場合、動作はなお並行的に(又は交互に)行われる、即ち、イオンの一部が質量分析に供され、イオンの一部がイオン移動度分析に供される、ということを指摘しておく必要がある。
本発明はタンデム質量分析(MS/MS)にも好適であり、またタンデム質量分析を実現する全ての手段に好適である。例えばイオントラップにおける解離、衝突誘起解離(CID)、電子捕獲解離(ECD)、電子移動解離(ETD)、赤外多光子解離(IRMPD)等が挙げられる。CIDを例に挙げると、2つの方法がある。一つは、コリジョンセルを質量分析装置の内部に配置し、イオン移動度分析装置と無関係にすることである。質量分析装置において親イオンスキャンを用いれば、イオン移動度スペクトルにおけるピークとマススペクトルにおける親イオンのピークを相互に関連付けることができる。娘イオンスキャンを用いれば、イオン移動度スペクトルにおける親イオンのピークとマススペクトルにおける娘イオンのピークを相互に関連付けることができるが、このやり方では娘イオンのイオン移動度情報が得られない。もう一つのやり方を図6に示す。コリジョンセル609がイオン移動度分析装置604と質量分析装置603の前段に配置されている。イオンは前段のイオン案内装置610からコリジョンセル609に入り、コリジョンセル609内で解離される。好ましくは、T字状(Y字状)のイオン案内装置605を通じて、イオンの一部が偏向用イオン案内装置606を通って質量分析装置603に入って質量分析に供され、イオンの他の部分がイオン案内装置605からイオン移動度分析装置604に入ってイオン移動度分析に供される。コンピュータ607においてデータ後処理が行われ、その結果、娘イオンのイオン移動度及び質量情報が同時に得られる。CIDを行わななければ親イオンのイオン移動度と質量情報が得られる。
更に、本発明の第2実施例における作業フローの概略図を図7に示す。この方法では、データ取得プロセスは並行的ではない場合がある。即ち、従来のクロマトグラフ−イオン移動度分析装置−質量分析装置の構成を採用することができる。この構成では、試料700がクロマトグラフ701、イオン移動度分析装置704及び質量分析装置703を順に通ることで、イオン移動度スペクトルとマススペクトルが得られる。そして、本発明に記載されたデータ後処理プロセスを採用することができる。デコンボリューションアルゴリズムにより、イオン移動度スペクトルのピークとマススペクトルのピークが相互に関連付けられる。故に、2つのスペクトルにおけるピークを時系列的な関係に従って「ハードウエア」から相互に関連付ける必要はない。この状況は特殊な「並行」分析とみなすことができる。いずれにせよ、このような装置及び方法も本発明の保護範囲に入る。
図8はこのような特殊な並行分析の方法の優位性を説明するための本発明の第2実施例の一例を示している。この実施例は従来のクロマトグラフ−イオン移動度分析装置−飛行時間型質量分析装置の構成を実装している。従来の方法と異なるのはデータ処理プロセスだけである。従来の典型的な作業フローでは、まず液体クロマトグラフ801を通って試料が液体クロマトグラフにより分離された後、エレクトロスプレイイオン源802によりイオン化されることでイオンが生成される。イオンは大気圧インターフェイスを通ってイオン移動度分析装置804の脱溶媒室8041に入った後、ドリフト管8042内でイオン移動度に応じて分離される。イオン移動度スペクトルの各ピーク内のイオンは前段のイオン案内装置810を通ってコリジョンセル809に入り、ここで衝突により娘イオンを生成することができる、あるいは衝突なしで親イオンだけが搬送される。ここではタンデム質量分析は考慮しない。全てのイオンが質量分析装置803(本実施例では飛行時間型質量分析装置)に入り、質量分析に供される。飛行時間型質量分析装置は非常に高速であるため、通常、スペクトルにおけるイオン移動度ピーク毎に十分なサンプリング点(例えばミリ秒毎に1点)が確保され、それに対応するマススペクトルが得られる。従来なら、時間シーケンスが確定しているため、ピークを相互に関連付ける必要はない。問題はデータ量が膨大であることである。1つのマススペクトルのデータサイズを100kbとすると、1秒に100Mbのデータを記録する必要がある。一方、本発明の方法ならこの問題に対処できる。本方法でも同じ作業フローが採用される。即ち、イオンはまずドリフト管で分離された後、飛行時間型質量分析装置による質量分析に供される。ここで好ましくは、元の全マススペクトルを合計するという前処理がスペクトルに対して行われる。例えば、まず1秒の間に得られた1000個のマススペクトルを合計することができる。そして、元の1000個のマススペクトルを破棄して、合計のスペクトルだけを保存するのである。このプロセスは事後的なデータ処理ではなくリアルタイムで実行される。これは例えばFPGAで完了することができる。前処理の後、マスピークとイオン移動度ピークの間の相関関係は一時的に失われる。しかし、データ量は大幅に低減される。例えば、1000個のスペクトルを合計して1個のスペクトルにすればデータは3桁小さくなる。その後、データ後処理が行われ、デコンボリューションアルゴリズムを用いて合計マススペクトルにおけるピークとイオン移動度スペクトルにおけるピークが相互に関連付けられる。
本発明の模範的な実施例に関するここまでの説明は例証及び説明のために提示したものに過ぎず、全ての例を網羅したり、本発明をここに開示した厳密な形態に限定したりすることを意図したものではない。上記教示を踏まえて数多くの変更及び変形が可能である。
上記実施例は、意図する特定の用途に合わせて他の当業者が様々な修正を加えながら本発明及び各種実施例を利用できるように、本発明の原理及びその実際的な応用について説明するために選択され、記述されたものである。他の実施例は、本発明が関連する技術の当業者にとって、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく容易に分かるであろう。従って、本発明の範囲は、ここまでの記述やそこで説明した模範的な実施例ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。

Claims (30)

  1. 試料をクロマトグラフ又はキャピラリ電気泳動装置による分離に供することを可能にし、
    前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料をイオン化し、該試料を後段の装置に送り、イオン化された試料の少なくとも一部をイオン移動度分析装置により分析してイオン移動度スペクトルを取得する手順とイオン化された試料の少なくとも他の部分を質量分析装置により分析してマススペクトルを取得する手順とを備える分析に供し、その際に各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間は5秒以下であり、
    前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置における同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いて前記イオン移動度スペクトルにおけるピークと前記マススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける手順を備えるデータ後処理を実行する
    ことを特徴とする、質量分析とイオン移動度分析の並行分析の方法。
  2. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化の前に切り替え弁により2つの経路に分割され、該2つの経路の試料がイオン化され、分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが2つの異なるイオン入口を通ってそれぞれ前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンがイオン光学装置を通り、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置により分離され、次に前記質量分析装置により分析されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記クロマトグラフがガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ又はイオンクロマトグラフであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記イオン移動度分析装置がドリフト管型イオン移動度分析装置、微分型イオン移動度分析装置又はFAIMSであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記質量分析装置の質量分析器が四重極マスフィルタ、イオントラップ質量分析器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器、又はオービトラップ質量分析器であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記質量分析装置の質量分析器が飛行時間型質量分析器であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記質量分析装置がコリジョンセルを含むタンデム型質量分析装置であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが衝突解離のためにコリジョンセルに入り、次にイオン光学装置を通過し、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送ることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、前記コリジョンセル内で衝突解離を受けて生成されたイオンが、前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離された後、質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入ることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離され、衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、そこで生成されたイオンが質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入ることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  14. 前記デコンボリューションアルゴリズムが、ピアソンの相関係数アルゴリズム、相互相関スコアアルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、エントロピー最小化アルゴリズム、ドット積スコアアルゴリズム、及び最小全域木アルゴリズムのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記データ後処理が更に、前記マススペクトルに対して電荷数デコンボリューションを行うことでマススペクトルピークに対応する電荷数を求める手順を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. クロマトグラフ又はキャピラリ電気泳動装置と、
    前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置の後段に配置されたイオン移動度分析装置と、
    前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置の後段に配置された質量分析装置と、
    前記イオン移動度分析装置及び前記質量分析装置に接続されたコンピュータと
    を備える、質量分析とイオン移動度分析の並行分析のための装置であって、
    試料が前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離に供され、
    該クロマトグラフ又は該キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化された後、後段の装置に送られ、イオン化された試料の少なくとも一部を前記イオン移動度分析装置により分析してイオン移動度スペクトルを取得する手順とイオン化された試料の少なくとも他の部分を前記質量分析装置により分析してマススペクトルを取得する手順とを備える分析に供され、その際の各イオン移動度スペクトルと各マススペクトルを取得する時間は5秒以下であり、
    前記コンピュータが、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置における同一の分析物に対する保持時間又は溶出プロファイルにおける一致性に従ってデコンボリューションアルゴリズムを用いて前記イオン移動度スペクトルにおけるピークと前記マススペクトルにおけるピークを相互に関連付ける手順を備えるデータ後処理を実行する
    ことを特徴とする装置。
  17. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置に接続された少なくとも1つの切り替え弁を更に備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化の前に前記切り替え弁により2つの経路に分割され、該2つの経路の試料がイオン化され、分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ送られることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置にそれぞれ接続された2つの異なるイオン入口を更に備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記2つの異なるイオン入口を通ってそれぞれ前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に送られることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  19. 更にイオン光学装置を備え、前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン光学装置を通り、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送ることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  20. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置により分離され、次に前記質量分析装置により分析されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  21. 前記クロマトグラフがガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ又はイオンクロマトグラフであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  22. 前記イオン移動度分析装置がドリフト管型イオン移動度分析装置、微分型イオン移動度分析装置又はFAIMSであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  23. 前記質量分析装置の質量分析器が四重極マスフィルタ、イオントラップ質量分析器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器、又はオービトラップ質量分析器であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  24. 前記質量分析装置の質量分析器が飛行時間型質量分析器であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  25. 前記質量分析装置がコリジョンセルを含むタンデム型質量分析装置であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  26. 前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置により分離された試料がイオン化され、生成されたイオンが衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、次にイオン光学装置を通過し、該イオン光学装置が前記イオンを分析のために前記イオン移動度分析装置と前記質量分析装置に周期的且つ交互に送ることを特徴とする請求項25に記載の装置。
  27. 試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、前記コリジョンセル内で衝突解離を受けて生成されたイオンが、前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離されて、質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入ることを特徴とする請求項25に記載の装置。
  28. 試料に対する前記クロマトグラフ又は前記キャピラリ電気泳動装置による分離とイオン化の後、生成されたイオンが前記イオン移動度分析装置内のイオン移動度分析器により分離され、衝突解離のために前記コリジョンセルに入り、そこで生成されたイオンが質量分析のために前記質量分析装置内の質量分析器に入ることを特徴とする請求項25に記載の装置。
  29. 前記デコンボリューションアルゴリズムが、ピアソンの相関係数アルゴリズム、相互相関スコアアルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、エントロピー最小化アルゴリズム、ドット積スコアアルゴリズム、及び最小全域木アルゴリズムのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  30. 前記データ後処理が更に、前記マススペクトルに対して電荷数デコンボリューションを行うことでマススペクトルピークに対応する電荷数を求める手順を備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
JP2017070160A 2016-04-08 2017-03-31 イオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置 Active JP6477766B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201610216645.8A CN107271575B (zh) 2016-04-08 2016-04-08 离子迁移谱和质谱并行分析的方法及装置
CN201610216645.8 2016-04-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017207472A JP2017207472A (ja) 2017-11-24
JP6477766B2 true JP6477766B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=59998263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017070160A Active JP6477766B2 (ja) 2016-04-08 2017-03-31 イオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10020174B2 (ja)
JP (1) JP6477766B2 (ja)
CN (1) CN107271575B (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3497435B1 (en) * 2016-08-15 2023-07-12 University Of Tasmania Inorganic ion detection system and methods
CN109830426B (zh) * 2017-11-23 2021-04-02 株式会社岛津制作所 质谱数据采集方法
GB201802917D0 (en) 2018-02-22 2018-04-11 Micromass Ltd Charge detection mass spectrometry
US10290482B1 (en) * 2018-03-13 2019-05-14 Agilent Technologies, Inc. Tandem collision/reaction cell for inductively coupled plasma-mass spectrometry (ICP-MS)
CN108414610A (zh) * 2018-05-09 2018-08-17 南开大学 一种基于单颗粒气溶胶质谱仪和ART-2a神经网络法的综合污染源成分谱构建方法
CN109462814A (zh) * 2018-11-28 2019-03-12 南京理工大学 基于最小生成树聚类算法的定位基站选择方法
CN111257484B (zh) * 2018-11-30 2021-04-02 中国科学院大连化学物理研究所 一种集束毛细管柱与飞行时间质谱结合检测香精的系统及其方法
CN109470800A (zh) * 2018-12-31 2019-03-15 聚光科技(杭州)股份有限公司 色谱分析方法
CN109580849B (zh) * 2019-01-25 2021-07-27 中国检验检疫科学研究院 一种测定中药口服液中指标性成分的方法
US10784093B1 (en) 2019-04-04 2020-09-22 Thermo Finnigan Llc Chunking algorithm for processing long scan data from a sequence of mass spectrometry ion images
CN110085505B (zh) * 2019-04-23 2020-06-02 中国科学院化学研究所 颗粒淌度质谱仪及颗粒的分析方法
CN110455907B (zh) * 2019-07-04 2022-04-19 昆山禾信质谱技术有限公司 基于飞行时间质量分析器的串联质谱数据分析方法
CN111223740B (zh) * 2020-01-19 2021-03-19 清华大学 调控质谱仪离子阱质量分析器中离子数量的方法及系统
CN111380944B (zh) * 2020-03-26 2023-04-14 湘潭大学 一种液相色谱与离子迁移谱联用分析仪
CN113552204B (zh) * 2020-04-02 2024-06-21 株式会社岛津制作所 质谱分析方法和质谱系统
CN113495112B (zh) * 2020-04-02 2024-05-28 株式会社岛津制作所 质谱分析方法和质谱系统
WO2021207494A1 (en) 2020-04-09 2021-10-14 Waters Technologies Corporation Ion detector
CN111739781B (zh) * 2020-07-03 2023-06-09 山东省分析测试中心 一种差分离子迁移谱-质谱联用装置及应用
CN113049663B (zh) * 2021-01-27 2023-10-20 中国科学院成都生物研究所 一维线材样品转储及质谱分析的装置和使用方法
EP4047371A1 (en) * 2021-02-18 2022-08-24 Thermo Fisher Scientific (Bremen) GmbH Method and apparatus for analysing samples of biomolecules using mass spectrometry with data-independent acquisition
CN113533581B (zh) * 2021-08-11 2022-08-02 贵州中烟工业有限责任公司 基于信息熵分析物质质量的方法及计算机可读存储介质
CN113791154B (zh) * 2021-09-17 2023-06-23 天津中医药大学 一种血必净注射液中化学成分鉴定的方法
CN114420215B (zh) * 2022-03-28 2022-09-16 山东大学 基于生成树的大规模生物数据聚类方法及系统

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2912105B2 (ja) * 1993-01-06 1999-06-28 レンゴー 株式会社 複数系のガスサンプリング方法及び装置
US6017693A (en) * 1994-03-14 2000-01-25 University Of Washington Identification of nucleotides, amino acids, or carbohydrates by mass spectrometry
US5905258A (en) * 1997-06-02 1999-05-18 Advanced Research & Techology Institute Hybrid ion mobility and mass spectrometer
CA2472271A1 (en) * 2002-01-03 2003-07-17 Gary M. Hieftje Simultaneous acquisation of chemical information
EP1690074A2 (en) * 2003-11-25 2006-08-16 Sionex Corporation Mobility based apparatus and methods using dispersion characteristics, sample fragmentation, and/or pressure control to improve analysis of a sample
US8581178B2 (en) * 2005-05-24 2013-11-12 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Combined mass and differential mobility spectrometry and associated methods, systems, and devices
US8785848B2 (en) * 2007-07-11 2014-07-22 Excellims Corporation Parallel ion mass and ion mobility analysis
JP5643511B2 (ja) * 2006-09-28 2014-12-17 スミスズ ディテクション インコーポレイティド マルチ検出器によるガス同定システム
GB0624679D0 (en) * 2006-12-11 2007-01-17 Shimadzu Corp A time-of-flight mass spectrometer and a method of analysing ions in a time-of-flight mass spectrometer
JP5425798B2 (ja) * 2007-11-06 2014-02-26 ジ アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ ザ ユニバーシティ オブ アリゾナ ガス中の蒸気としての化合物を分析するための高感度イオン検出装置及び方法
EP2422354B1 (en) 2009-04-21 2020-12-16 Excellims Corporation Intelligently controlled spectrometer methods and apparatus
GB0907619D0 (en) * 2009-05-01 2009-06-10 Shimadzu Res Lab Europe Ltd Ion analysis apparatus and method of use
US8242440B2 (en) * 2009-05-01 2012-08-14 Thermo Finnigan Llc Method and apparatus for an ion transfer tube and mass spectrometer system using same
US8389929B2 (en) * 2010-03-02 2013-03-05 Thermo Finnigan Llc Quadrupole mass spectrometer with enhanced sensitivity and mass resolving power
GB201019337D0 (en) * 2010-11-16 2010-12-29 Micromass Ltd Controlling hydrogen-deuterium exchange on a spectrum by spectrum basis
JP6122386B2 (ja) * 2010-12-17 2017-04-26 サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー データ収集システムおよび質量分析方法
CN103367090B (zh) * 2012-03-30 2016-12-21 岛津分析技术研发(上海)有限公司 离子分析器以及离子分析方法
US9472390B2 (en) * 2012-06-18 2016-10-18 Leco Corporation Tandem time-of-flight mass spectrometry with non-uniform sampling
DE112013003813T5 (de) * 2012-07-31 2015-05-13 Leco Corporation Ionenmobilitätsspektrometer mit hohem Durchsatz
CN104008950B (zh) * 2013-02-25 2017-09-08 株式会社岛津制作所 离子产生装置以及离子产生方法
JP2013254752A (ja) * 2013-09-25 2013-12-19 Shimadzu Corp 液体クロマトグラフ質量分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20170294295A1 (en) 2017-10-12
JP2017207472A (ja) 2017-11-24
US10020174B2 (en) 2018-07-10
CN107271575B (zh) 2020-01-14
CN107271575A (zh) 2017-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6477766B2 (ja) イオン移動度スペクトルとマススペクトルの並行分析の方法及び装置
CN108389772B (zh) 基于高分辨率ms1的量化
CN107636795B (zh) 过采样的飞行时间质谱
US10373815B2 (en) Methods of resolving artifacts in Hadamard-transformed data
US12027358B2 (en) Mass spectrometry analysis method and mass spectrometry system
US20230343575A1 (en) Ion separator
WO2018026591A2 (en) Systems and methods for integrating ion mobility and ion trap mass spectrometers
WO2013143368A1 (zh) 离子分析器以及离子分析方法
CN113552204B (zh) 质谱分析方法和质谱系统
US20160005581A1 (en) Multiple ion gate method and apparatus
US20180166268A1 (en) Ionization and ion introduction device for mass spectrometer
US10371665B2 (en) Mobility selective attenuation
EP2850638B1 (en) Method of ms/ms mass spectrometry
Verenchikov et al. Multiplexing in multi-reflecting TOF MS
WO2015118321A1 (en) Optimized multiple reaction monitoring or single ion recording method
EP3557241A1 (en) Mass spectrometry device
CN114720603B (zh) 优化的目标分析
WO2004111609A2 (en) Methods for accurate component intensity extraction from separations-mass spectrometry data
US10741372B2 (en) Tandem mass spectrometer and program for the same
EP3069372B1 (en) Method of associating precursor and product ions
CN109844522B (zh) 具有真空紫外检测器和质谱仪或离子迁移谱仪的气相色谱仪
WO2024224443A1 (ja) 質量分析方法及び質量分析装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190121

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6477766

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151