JP6477747B2 - パワートレインの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エンジンと自動変速機とを備えたパワートレインの制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、車両に搭載された、複数の気筒を有するエンジンにおいて、燃費の向上を目的として、気筒休止運転を行うことが知られている。この気筒休止運転では、上記複数の気筒の一部が、作動している作動気筒となり、残りが、作動を休止している休止気筒となる。このような気筒休止運転から、例えば全気筒を作動させる全気筒運転に切り換える(つまり、上記休止気筒を作動復帰させて、作動気筒の数を増加させる)際には、その切換えの前後でエンジンの出力トルクが変化しないように(つまり、車両にショックが生じないように)、休止気筒の実際の作動復帰のタイミングで、作動気筒(休止気筒から作動復帰した気筒も含む)において、点火時期を遅角(リタード)するようにしている。
また、自動変速機がシフトアップする際には、気筒休止運転であっても全気筒運転であっても、該シフトアップにより車両にショックが生じないように、該シフトアップの開始動作に遅れて(具体的には、油圧による摩擦締結要素の実際の締結開始の少し前のタイミングで)、作動気筒において点火時期を遅角することで、エンジンの出力トルクを低下させるようにしている。このシフトアップの実行時における点火時期の遅角量は、通常、作動気筒の数の切換え(増加)の実行時における点火時期の遅角量よりも大きい。
ここで、特許文献1には、加速時での気筒休止運転中に、休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときには、自動変速機のシフトアップを実行した後に、休止気筒を作動復帰させることが開示されている。
ところで、上記複数の気筒のうちの一部が休止気筒であるとき(気筒休止運転中)において、自動変速機のシフトアップの実行時に、少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生した場合、上記特許文献1のように、自動変速機のシフトアップの完了後に、上記少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させるようにすれば、車両にショックが生じるのを容易に防止することができる。
しかし、この方法では、上記シフトアップの実行時における上記作動復帰要求の発生から上記休止気筒の実際の作動復帰が行われるまでの時間が、シフトアップの実行時でないときの上記作動復帰要求の発生から上記休止気筒の実際の作動復帰までの時間(例えば、作動復帰準備のために予め設定された所定時間(例えば100ms〜200ms程度))よりもかなり長くなってしまう。
一方、上記シフトアップの実行時における上記作動復帰要求の発生から上記休止気筒の実際の作動復帰までの時間を、上記所定時間と同程度に短くしようとすると、自動変速機のシフトアップの実行に伴ってエンジンの出力トルクが低下した状態で、上記休止気筒の実際の作動復帰が行われることになり、この場合、上記休止気筒の実際の作動復帰のタイミングで、作動気筒の点火時期の遅角量が、作動気筒の数の切換え(増加)時における値(つまり、シフトアップの実行時における遅角量よりも小さい値)となるため、シフトアップの実行時に低下していた出力トルクが、上記タイミングで急激に上昇する現象が生じる。この結果、車両にはかなり大きなショックが生じることになる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの複数の気筒のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において、自動変速機のシフトアップの実行時における上記エンジンの出力トルクの低下の実行前に、少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、車両にショックが出来る限り生じないようにしつつ、上記少なくとも1つの休止気筒の実際の作動復帰を早期に行えるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、車両に搭載されかつ複数の気筒を有するエンジンと、該エンジンと該車両の車輪との間の動力伝達経路上に介設された自動変速機とを備えたパワートレインの制御装置を対象として、上記エンジンの作動を制御するとともに、該エンジンの運転中に、作動している作動気筒の数を切り換えるエンジン制御手段と、上記自動変速機の変速制御を行う変速制御手段と、を備え、上記エンジン制御手段は、上記変速制御手段によるシフトアップの実行時に、該シフトアップの開始動作に遅れて上記エンジンの出力トルクを低下させるように構成されており、上記複数の気筒のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において、上記変速制御手段によるシフトアップの実行時における上記出力トルクの低下の実行前に、作動を休止している少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該少なくとも1つの休止気筒の実際の作動復帰のタイミングまで、上記エンジン制御手段による上記出力トルクの低下を制限するトルク低下制限手段を更に備えている、という構成とした。
上記の構成により、トルク低下制限手段によってエンジンの出力トルクの低下が制限されるので、休止気筒の実際の作動復帰のタイミングで、エンジンの出力トルクが急激に上昇することはなくなる。この結果、出力トルクの急上昇による車両のショックの発生を抑制することができる。ここで、シフトアップの実行時にエンジンの出力トルクの低下が制限されるので、シフトアップに伴って車両にショックが生じる可能性がある。しかし、上記タイミングの後は、出力トルクを徐々に低下させることができるようになるので、シフトアップに伴う車両のショックの発生を抑制することができる。また、例えば、トルク低下制限手段により出力トルクの低下が制限されるときには、シフトアップの実行時に休止気筒の作動復帰要求が発生しないときに比べて、シフトアップに要する時間を長くする(シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の締結をゆっくりと行う)ようにすれば、シフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制することができるようになる。したがって、車両にショックが出来る限り生じないようにしつつ、休止気筒の実際の作動復帰を、自動変速機のシフトアップの完了まで待つことなく、早期に行うことができるようになる。
上記パワートレインの制御装置において、上記変速制御手段は、上記トルク低下制限部により上記出力トルクの低下が制限されるときには、上記シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、上記シフトアップに要する時間を長くするように構成されている、ことが好ましい。
このことにより、上記のようにシフトアップに要する時間を長くすることで、シフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制することができる。
以上説明したように、本発明のパワートレインの制御装置によると、エンジンの複数の気筒のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において、自動変速機のシフトアップの実行時における上記エンジンの出力トルクの低下の実行前に、少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該少なくとも1つの休止気筒の実際の作動復帰のタイミングまで、上記出力トルクの低下を制限するようにしたことにより、車両にショックが出来る限り生じないようにしつつ、休止気筒の実際の作動復帰を、自動変速機のシフトアップの完了まで待つことなく、早期に行えるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパワートレインPの制御装置における制御系及び動力伝達系の構成を示す。パワートレインPは、車両(ここでは、自動車)に搭載されたエンジン1と、該エンジン1と該車両の前輪6との間の動力伝達経路上に介設された自動変速機3とを備えている。
本実施形態では、エンジン1は、4つの気筒2を列状に有する直列4気筒エンジンであって、上記車両の前部のエンジンルームに気筒列方向が車幅方向(図1の左右方向)を向くように横置きに配置される。エンジン1の気筒列方向一側(本実施形態では、車両右側(図1の右側))に自動変速機3が連結されている。エンジン1の出力軸(クランク軸)は、自動変速機3の入力軸と連結されており、エンジン1の出力軸及び自動変速機3の入力軸が車幅方向に延びている。自動変速機3からの動力は差動装置4に伝達され、この差動装置4に伝達された動力が、左右のドライブシャフト5を介して、左右の前輪6(図1では、左側の前輪は省略)をそれぞれ駆動するようになっている。このように上記車両は、FF車であるが、FR車であってもよい。また、エンジン1は、複数の気筒2を有するものであれば、どのようなエンジンであってもよい。さらに、自動変速機1は、例えば前進6速又は8速の変速機であるが、これに限るものではない。
以下、4つの気筒2を、変速機3とは反対側(車両左側)から変速機3側(車両右側)へ向かって順に、1番気筒2a、2番気筒2b、3番気筒2c及び4番気筒2dという(これらを区別しない場合には、単に気筒2という場合もある)。
上記車両には、パワートレインP(エンジン1及び自動変速機3)の作動を制御する制御装置としてのコントロールユニット50が設けられている。このコントロールユニット50は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
コントロールユニット50には、上記車両のドライバーによるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ51からの信号と、上記車両の車速を検出する車速センサ52からの信号と、上記車両のシフトレバーのレンジ位置を検出するレンジ位置センサ53からの信号と、が入力されるようになっている。また、コントロールユニット50には、その他に、エンジン1の制御に必要な周知のセンサ(例えば、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ)からの信号が入力される。
コントロールユニット50は、上記入力した信号に基づいて、エンジン1の作動を制御するとともに、自動変速機3の作動を制御する(詳細には、自動変速機3内に設けられた、クラッチやブレーキといった複数の摩擦締結要素に供給する油圧を制御する)。
コントロールユニット50内には、エンジン1の作動を制御するエンジン制御部50a(エンジン制御手段)と、自動変速機3の変速制御を行う変速制御部50b(変速制御手段)と、後に詳しく説明するトルク低下制限部50c(トルク低下制限手段)と、後に詳しく説明するトルク増大部50eとが設けられている。
エンジン1は、該エンジン1の運転中に、4つの気筒2全てを作動させる全気筒運転と、4つの気筒2のうち2つの気筒2の作動を休止させて残りの2つの気筒2のみを作動させる気筒休止運転とに切り換えられるエンジンである。
本実施形態では、エンジン制御部50aは、上記全気筒運転中においては、排気行程(爆発行程)が、1番気筒2a、3番気筒2c、4番気筒2d及び2番気筒2bの順に行われるように、エンジン1の作動を制御する。また、エンジン制御部50aは、上記気筒休止運転中においては、全気筒2を排気行程(爆発行程)が互いに連続しない2つ気筒2からなる2組の気筒群に分けたときに、いずれか一方の組の気筒群の2つの気筒2を休止させる。本実施形態では、上記気筒休止運転中には、1番気筒2a及び4番気筒2dを休止させ、2番気筒2b及び3番気筒2cを作動させる。これとは逆に、2番気筒2b及び3番気筒2cを休止させ、1番気筒2a及び4番気筒2dを作動させるようにしてもよい。
このようにエンジン制御部50aは、エンジン1の運転中に、作動している作動気筒の数を切り換える(本実施形態では、作動気筒の数を、4つから2つに、又は、2つから4つに切り換える)。尚、上記気筒休止運転中における作動気筒の数が2つでなくてもよく、1つ又は3つであってもよい。また、全気筒2の数が4つよりも多い場合には、作動気筒の数を3つよりも多くすることができる。
本実施形態では、エンジン制御部50aは、エンジン1の運転領域が所定の運転領域にあるときには、上記気筒休止運転を行い、該運転領域が上記所定の運転領域外にあるときは、上記全気筒運転を行う。上記所定の運転領域は、例えば、エンジン1の負荷が所定負荷以下の領域(低負荷領域及び中負荷領域に相当する領域)である。
本実施形態では、上記気筒休止運転中に、エンジン1の1番気筒2a及び4番気筒2dにおいて、燃料噴射弁からの燃料噴射の停止と混合気を点火するための点火プラグへの通電の停止とを行うとともに、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作を停止させる。吸気バルブ及び排気バルブの開閉停止は、既に知られた弁停止機構によって実現することができる。このような弁停止機構は、例えば、回転カムとバルブとの間に揺動可能に介装されたロッカアームの揺動中心部に設けられて該ロッカアームを支持する支持部材(ラッシュアジャスタ)に設けたり、ロッカアームに設けたりすることができる。
ラッシュアジャスタに設けた弁停止機構では、ラッシュアジャスタの上部が下部に対して相対移動可能に構成され、弁停止機構の非作動時においては、その相対移動が規制されることによって、ラッシュアジャスタの上部がロッカアームの揺動の支点となり、回転カムにより、ロッカアームに設けられたローラが下方に押圧されることでロッカアームが揺動して、ロッカアームがバルブを下方に押圧して開弁する。一方、弁停止機構の作動時においては、ラッシュアジャスタの上部が下部に対して相対移動するため、回転カムが上記ローラを下方に押圧すると、バルブの頂部がロッカアームの揺動の支点となり、バルブは閉弁されたまま、ロッカアームによってラッシュアジャスタの上部が下方に押圧される。
また、ロッカアームに設けた弁停止機構では、上記ローラがロッカアームに対して押圧の方向に相対移動可能にされ、弁停止機構の非作動時には相対移動が規制されるようにする。弁停止機構の作動時においては、上記ローラがロッカアームに対して相対移動するため、回転カムによってローラが押圧されたとき、ローラがロッカアームに対して相対移動し、これによりロッカアームは揺動しなくなる。
尚、エンジン1の気筒休止運転中に作動を休止している休止気筒(1番気筒2a及び4番気筒2d)において、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作を停止させる必要は必ずしもなく、上記休止気筒において、燃料噴射弁からの燃料噴射の停止、及び、点火プラグへの通電の停止を行うだけであってもよい。
エンジン制御部50aは、エンジン1の運転領域が上記所定の運転領域内から外に出たときに、上記気筒休止運転から上記全気筒運転に切り換える(つまり、上記休止気筒(1番気筒2a及び4番気筒2d)を作動復帰させて、作動気筒の数を増加させる)ことになる。
エンジン1の運転領域が上記所定の運転領域内から外に出たときに、先ず、エンジン制御部50aで、上記休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求(作動復帰要求信号)が発生する。この作動復帰要求の発生から、作動復帰準備のために予め設定された所定時間が経過したときに、休止気筒が実際に作動復帰して作動気筒となる。上記所定時間は、例えば、上記気筒休止運転中における2つの作動気筒(2番気筒2b及び3番気筒2c)でのトータルの点火回数が5〜10回となるような時間であって、具体的には100ms〜200ms程度である。上記所定時間は、エンジン1の回転数によって変化する。このエンジン1の回転数と所定時間との関係を表した回転数−所定時間マップが、上記メモリに記憶されている。
エンジン制御部50aは、上記気筒休止運転から上記全気筒運転に切り換える際には、その切換えの前後でエンジン1の出力トルクが変化しないように(つまり、上記車両にショックが生じないように)、休止気筒の実際の作動復帰のタイミングで、作動気筒(休止気筒から作動復帰した気筒も含む(つまり全気筒2))において、点火時期を遅角(リタード)する。上記タイミングの直後から、上記アクセル開度に対応した出力トルクとなるように、作動気筒への吸入空気量と点火時期の遅角量とを調整しながら(基本的には、吸入空気量及び遅角量を徐々に減少させる)、作動気筒の点火時期の遅角量を上記切換えの前の値に戻す。
変速制御部50bは、上記シフトレバーのレンジ位置が前進走行レンジ位置(例えばDレンジ位置)にあるときに、上記車両の走行状態(詳細には、アクセル開度センサ51からの信号及び車速センサ52からの信号)から、コントロールユニット50のメモリに予め記憶した変速マップを用いて変速段を決定して、その決定した変速段になるように、各摩擦締結要素の締結及び解放を制御する。
エンジン制御部50aは、自動変速機3がシフトアップする際(n速から(n+1)速に切り換える際)には、上記気筒休止運転であっても上記全気筒運転であっても、上記車両にショックが生じないように、作動気筒の点火時期を遅角して、エンジン1の出力トルクを低下させる。このシフトアップの実行時における点火時期の遅角量は、通常、上記気筒休止運転から上記全気筒運転への切換え時における点火時期の遅角量よりも大きい。本実施形態では、変速制御部50bが、上記車両にショックが生じないように予め設定された、出力トルクの低下量の要求値(以下、トルク低下要求値という)を、エンジン制御部50aに送信して、エンジン制御部50aが、このトルク低下要求値に基づいて作動気筒の点火時期を遅角する。
上記シフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下は、シフトアップの開始動作に遅れて行われる。すなわち、変速制御部50bでシフトアップ要求(シフトアップ要求信号)が発生したときから、予め設定された設定時間が経過したときに、変速制御部50bが上記トルク低下要求値をエンジン制御部50aに送信し、このトルク低下要求値を受けたエンジン制御部50aが、該トルク低下要求値に応じて出力トルクの低下を開始する。上記設定時間は、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の油圧室への油圧の供給により該摩擦締結要素が実際に締結を開始する前のタイミングでエンジン1の出力トルクの低下が開始しかつ実際の締結の開始時には既にエンジン1の出力トルクが上記トルク低下要求値に対応する出力トルクに達しているような時間に設定される。すなわち、上記車両にショックが生じるのは、上記摩擦締結要素が実際に締結を開始した以降であるので、このような時間に設定される。
トルク低下制限部50cは、4つの気筒2のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において(本実施形態では、1番気筒2a及び4番気筒2dが作動を休止している気筒休止運転中において)、変速制御部50bによるシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行前に、少なくとも1つの休止気筒(本実施形態では、2つの休止気筒)を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該少なくとも1つの休止気筒(本実施形態では、2つの休止気筒)の実際の作動復帰のタイミングまで、エンジン制御部50aによる上記出力トルクの低下を制限する。
本実施形態では、トルク低下制限部50cは、変速制御部50bがエンジン制御部50aにトルク低下要求値を送信するのを禁止することで、エンジン制御部50aによる上記出力トルクの低下を制限する。尚、これに限らず、トルク低下制限部50cが、トルク低下要求値を受けたエンジン制御部50aが上記出力トルクを低下させるのを禁止するようにしてもよい。
ここで、コントロールユニット50に、上記のようなトルク低下制限部50cが設けられていない場合に、気筒休止運転中においてシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行前に休止気筒の作動復帰要求が発生したときの、エンジン制御部50a及び変速制御部50bの動作について、図2により説明する。
時刻t1において、変速制御部50bで上記シフトアップ要求が発生し、これにより、変速制御部50bが、自動変速機3のシフトアップの実行を開始する。すなわち、締結を解除すべき摩擦締結要素の油圧室からは油圧のドレンを開始し、締結すべき摩擦締結要素の油圧室への油圧の供給を開始する。
続いて、時刻t2(>t1)において、エンジン制御部50aで、休止気筒(1番気筒2a及び4番気筒2d)の作動復帰要求が発生する。この時点では、シフトアップの実行時に行われる、エンジン1の出力トルクの低下は実行されていない。尚、図2の気筒休止運転と全気筒運転との切換えを示すグラフでは、作動復帰要求(作動復帰要求信号)については破線で示し、実際の作動復帰については実線で示す(図3〜図5においても同様)。
そして、時刻t1から上記設定時間が経過したときである時刻t3(>t2)において、変速制御部50bがエンジン制御部50aに対して、トルク低下要求値(ここでは、その値をTdとする)を送信する。尚、図2のトルク低下要求値のグラフでは、下側ほど、トルク低下要求値が大きくて、出力トルクを大きく低下させるように要求することを意味する。
エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値を受けて、出力トルクの低下を実行する。つまり、エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値に対応して、作動気筒(2番気筒2b及び3番気筒2c)の点火時期を遅角する。これにより、図2のトルクのグラフに示すように、エンジン1の出力トルク(実出力トルク)が時刻t3から低下していき、やがて上記トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルク(低下を実行しない場合の出力トルクからTdを引いた値)となる。
尚、図2のトルクのグラフで破線で示すものは、エンジン制御部50aで設定された最小許容トルクであって、上記トルク低下要求値により低下させた後の出力トルクが、該最小許容トルクよりも低下してはならないトルクである(図3〜図5においても同様)。このため、エンジン制御部50aは、出力トルクが上記最小許容トルクよりも小さくなるような上記トルク低下要求値であっても、出力トルクを上記最小許容トルクよりも小さい値にはしないようになされている。エンジン制御部50aで上記作動復帰要求が発生していなければ、上記トルク低下要求値(ここでは、Td)に対応する出力トルクは、上記最小許容トルクよりも大きく、これにより、エンジン1の出力トルクが、上記トルク低下要求値に対応する出力トルクまで低下することになる。
時刻t3から僅かな時間が経過すると、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結が開始され、これ以降、エンジン1の回転数が減少していく。この摩擦締結要素の実際の締結の開始時には既に、エンジン1の出力トルクが上記トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクとなっている。尚、ここでは、車両の加速時におけるシフトアップを想定しているので、上記摩擦締結要素の実際の締結の開始までは、エンジン1の回転数が上昇している。但し、図2のトルクのグラフにおいて、実出力トルクは、分かり易いように、出力トルクが上記トルク低下要求値により低下されない状態では、一定にしている(図3〜図5においても同様)。
時刻t2から上記所定時間が経過したときである時刻t4(>t3)で、休止気筒が実際に作動復帰して作動気筒となる。このとき、作動気筒の点火時期の遅角量を、気筒休止運転から全気筒運転への切換え時における値(つまり、シフトアップの実行時における点火時期の遅角量よりも小さい値)にする必要がある。したがって、上記最小許容トルクは、出力トルクの低下がない値にまで一気に上昇し、このため、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を行うことができなくなる。この結果、時刻t4で出力トルクが急上昇する。この急上昇により、図2では、出力トルク(実出力トルク)が、その低下がない値に対してオーバーシュートしている。
時刻t4の直後から、上述の如く、作動気筒への吸入空気量及び点火時期の遅角量が徐々に減少するので、これに連れて、上記最小許容トルクが徐々に小さくなっていく。したがって、エンジン制御部50aは、この最小許容トルクの減少に対応させて、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を実行する。つまり、出力トルクが上記最小許容トルクよりも小さくならないように、作動気筒(全気筒2)の点火時期を遅角させる。この結果、出力トルクが徐々に減少して、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクに近付く。尚、シフトアップの完了までに、出力トルクが、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクになる場合と、ならない場合(図2では、この場合を記載)とがある。
時刻t5(>t4)で、変速制御部50bによるシフトアップが完了して、エンジン1の回転数が再び上昇し始める。このとき、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値の送信がなくなり(トルク低下要求値が0であるとして送信してもよい)、これを受けて、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を終了させる。これにより、出力トルクが上昇する。
このように、コントロールユニット50にトルク低下制限部50cが設けられていない場合、時刻t4で、出力トルクが急上昇することになる。この結果、車両にはかなり大きなショックが生じることになる。
そこで、本実施形態では、このような出力トルクの急上昇により車両に大きなショックが発生するのを抑制するために、トルク低下制限部50cが設けられている。
コントロールユニット50にトルク低下制限部50cが設けられている場合に、気筒休止運転中においてシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行前に休止気筒の作動復帰要求が発生したときの、エンジン制御部50a、変速制御部50b及びトルク低下制限部50cの動作について、図3により説明する。
コントロールユニット50にトルク低下制限部50cが設けられていない場合と同様に、時刻t1において、変速制御部50bで上記シフトアップ要求が発生し、時刻t2において、エンジン制御部50aで休止気筒の作動復帰要求が発生する。
しかし、時刻t3では、トルク低下制限部50cによって、変速制御部50bからエンジン制御部50aに対して、図2の場合とは異なり、トルク低下要求値が送信されない。尚、図2と同じトルク低下要求値が送信されたと仮定した場合を、図3のトルク低下要求値のグラフに破線で示す。このようにエンジン制御部50aにトルク低下要求値が送信されないので、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を実行しない。したがって、時刻t3では、出力トルクが低下しない。
そして、コントロールユニット50にトルク低下制限部50cが設けられていない場合と同様に、時刻t3から僅かな時間が経過すると、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結が開始される。
続いて、時刻t4になると、休止気筒が実際に作動復帰して作動気筒となる。このとき、エンジン制御部50aは、作動気筒の点火時期を、気筒休止運転から全気筒運転への切換えの前後でエンジン1の出力トルクが変化しないように、シフトアップの実行時における点火時期の遅角量よりも小さい値でもって遅角する。これにより、出力トルクに或る程度の変動はあるものの、トルク低下制限部50cが設けられていない場合のような出力トルクの急上昇という現象は生じない。
時刻t4の直後から、変速制御部50bは、徐々に低下する最小許容トルクに対応するトルク低下要求値をエンジン制御部50aに送信する。これにより、トルク低下制限部50cが設けられていない場合と同様に、出力トルクが上記最小許容トルクよりも小さくならないように徐々に減少して、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクに近付く。シフトアップの完了までに、出力トルクが、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクになる場合(図3では、この場合を記載)と、ならない場合とがある。尚、変速制御部50bは、時刻t4の直後から、トルク低下要求値としてTdの値をエンジン制御部50aに送信してもよい。この場合、上記のように、エンジン制御部50aが、最小許容トルクの減少に対応させて、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を実行するので、出力トルクの変化は、変速制御部50bが最小許容トルクに対応するトルク低下要求値をエンジン制御部50aに送信する場合と同様となる。
時刻t5になると、トルク低下制限部50cが設けられていない場合と同様に、変速制御部50bによるシフトアップが完了する。このとき、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値の送信がなくなり(トルク低下要求値が0であるとして送信してもよい)、これを受けて、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を終了させる。
ここで、上記のように、トルク低下制限部50cが、シフトアップの実行時にエンジンの出力トルクの低下を制限するので、シフトアップに伴って車両にショックが生じる可能性がある。このようなシフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制するために、変速制御部50bは、トルク低下制限部50cにより上記出力トルクの低下が制限されるときには、シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、上記シフトアップに要する時間を長くする。
本実施形態では、変速制御部50bは、トルク低下制限部50cにより上記出力トルクの低下が制限されるときには、シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結の開始(厳密には、該開始よりも少し早いタイミング)から締結完了までの時間(図2及び図3では、エンジン1の回転数が低下しているときの時間)を長くする。すなわち、上記作動復帰要求が発生したときに、上記摩擦締結要素の油圧室への油圧を低下させて、上記時間を長くする。
図2における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間は、シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときと同じにしている。これに対して、図3における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間は、図2における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間よりも長くなっている。すなわち、トルク低下制限部50cにより上記出力トルクの低下が制限されるときには、上記摩擦締結要素の締結をゆっくりと行うことで、シフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制する。
トルク増大部50eは、4つの気筒2のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において(本実施形態では、1番気筒2a及び4番気筒2dが作動を休止している気筒休止運転中において)、変速制御部50bによるシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行中に、少なくとも1つの休止気筒(本実施形態では、2つの休止気筒)を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該少なくとも1つの休止気筒(本実施形態では、2つの休止気筒)の実際の作動復帰の直前まで、上記低下された出力トルクを徐々に増大させる。
本実施形態では、トルク増大部50eは、変速制御部50bがエンジン制御部50aに送信するトルク低下要求値を変更し、この変更されたトルク低下要求値がエンジン制御部50aに送信されるようにする。尚、これに限らず、トルク増大部50eは、トルク低下要求値が送信されたエンジン制御部50aが上記出力トルクを低下させる際に、その低下量を変更させるようにしてもよい。
ここで、コントロールユニット50に、上記のようなトルク増大部50eが設けられていない場合に、気筒休止運転中においてシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行中に休止気筒の作動復帰要求が発生したときの、エンジン制御部50a及び変速制御部50bの動作について、図4により説明する。
時刻t11において、変速制御部50bで上記シフトアップ要求が発生し、これにより、変速制御部50bが、自動変速機3のシフトアップの実行を開始する。すなわち、締結を解除すべき摩擦締結要素の油圧室からは油圧のドレンを開始し、締結すべき摩擦締結要素の油圧室への油圧の供給を開始する。
続いて、時刻t11から上記設定時間が経過したときである時刻t12において、変速制御部50bがエンジン制御部50aに対して、トルク低下要求値(ここでは、その値をTdとする)を送信する。
エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値を受けて、出力トルクの低下を実行する。つまり、エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値に対応して、作動気筒(2番気筒2b及び3番気筒2c)の点火時期を遅角する。これにより、図4のトルクのグラフに示すように、エンジン1の出力トルク(実出力トルク)が時刻t12から低下していき、やがてトルク低下要求値(Td)に対応する出力トルク(低下を実行しない場合の出力トルクからTdを引いた値)となる。
時刻t12から僅かな時間が経過すると、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結が開始され、これ以降、エンジン1の回転数が減少していく。この摩擦締結要素の実際の締結の開始時には既に、出力トルクが上記トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクとなっている。
時刻t13(>t12)において、エンジン制御部50aで、休止気筒(1番気筒2a及び4番気筒2d)の作動復帰要求が発生する。すなわち、シフトアップの実行時に行われる、エンジン1の出力トルクの低下の実行中に、上記作動復帰要求が発生する。しかし、トルク増大部50eが設けられていないので、出力トルクは、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクのままである。
時刻t13から上記所定時間が経過したときである時刻t14で、休止気筒が実際に作動復帰して作動気筒となる。このとき、図2の場合と同様に、上記最小許容トルクが、出力トルクの低下がない値にまで一気に上昇し、このため、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を行うことができなくなる。この結果、時刻t14で出力トルクが急上昇する。この急上昇により、図4では、出力トルク(実出力トルク)が、その低下がない値に対してオーバーシュートしている。
時刻t14の直後から、上述の如く、作動気筒への吸入空気量及び点火時期の遅角量が徐々に減少するので、これに連れて、上記最小許容トルクが徐々に小さくなっていく。したがって、エンジン制御部50aは、この最小許容トルクの減少に対応させて、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を実行する。つまり、出力トルクが上記最小許容トルクよりも小さくならないように、作動気筒(全気筒2)の点火時期を遅角させる。この結果、出力トルクが徐々に減少して、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクに近付く。尚、シフトアップの完了までに、出力トルクが、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクになる場合と、ならない場合(図4では、この場合を記載)とがある。
時刻t15(>t14)で、変速制御部50bによるシフトアップが完了して、エンジン1の回転数が再び上昇し始める。このとき、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値の送信がなくなり(トルク低下要求値が0であるとして送信してもよい)、これを受けて、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を終了させる。これにより、出力トルクが上昇する。
このように、コントロールユニット50にトルク増大部50dが設けられていない場合、時刻t14で、出力トルクが急上昇することになる。この結果、車両にはかなり大きなショックが生じることになる。
そこで、本実施形態では、このような出力トルクの急上昇により車両に大きなショックが発生するのを抑制するために、トルク増大部50dが設けられている。
コントロールユニット50にトルク増大部50dが設けられている場合に、気筒休止運転中においてシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行中に気筒の作動復帰要求が発生したときの、エンジン制御部50a、変速制御部50b及びトルク低下制限部50cの動作について、図5により説明する。
コントロールユニット50にトルク増大部50dが設けられていない場合と同様に、時刻t11において、変速制御部50bで上記シフトアップ要求が発生し、これにより、変速制御部50bが、自動変速機3のシフトアップの実行を開始する。
時刻t11から上記設定時間が経過したときである時刻t12において、変速制御部50bがエンジン制御部50aに対して、トルク低下要求値(Td)を送信する。エンジン制御部50aが、このトルク低下要求値(Td)を受けて、出力トルクの低下を実行する。これにより、図5のトルクのグラフに示すように、エンジン1の出力トルク(実出力トルク)が時刻t12から低下していき、やがてトルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクとなる。
コントロールユニット50にトルク増大部50dが設けられていない場合と同様に、時刻t12から僅かな時間が経過すると、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結が開始される。
続いて、時刻t13(>t12)において、エンジン制御部50aで、休止気筒(1番気筒2a及び4番気筒2d)の作動復帰要求が発生する。これにより、トルク増大部50dが、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値をTdから徐々に減少させて、上記トルク低下要求値を受けたエンジン制御部50aにより低下された出力トルクを徐々に増大させる。
本実施形態では、トルク増大部50dは、上記作動復帰要求が発生したとき、エンジン1の制御に用いられるエンジン回転数センサからのエンジン1の回転数に基づいて、上記回転数−所定時間マップから上記所定時間の値(つまり、上記作動復帰要求の発生時から休止気筒の実際の作動復帰までの時間(t14−t13))を取得して、Tdの値を該所定時間で割った値である、トルク低下要求値の減少速度を計算し、その減少速度(一定の減少速度)でもって、トルク低下要求値を減少させる。出力トルクの増大速度(出力トルクの単位時間当たりの増大量)は、トルク低下要求値の減少速度と略同じであり(厳密には、応答遅れ等の影響によって異なる)、その増大速度(一定の増大速度)でもって、出力トルクを徐々に増大させることになる。トルク低下要求値の減少速度(出力トルクの増大速度)は、上記所定時間の変化に応じて変更されることになる。すなわち、トルク増大部50dは、上記作動復帰要求の発生時から上記休止気筒の実際の作動復帰までの時間に応じて、出力トルクの単位時間当たりの増大量を変更することになる。
上記トルク増大部50dによる出力トルクの増大により、時刻t14の直前で、トルク低下要求値が略0となり、出力トルクの低下はなくなることになる。つまり、時刻t14の直前で、トルク低下制限部50cによる出力トルクの低下を制限したときと同様に、出力トルクの低下がない状態になっている。但し、図5に示すように、出力トルク(実出力トルク)は、多少オーバーシュートする。尚、出力トルクを、低下がない値まで増大させる必要は必ずしもなく、或る程度低下した値(低下がない値に出来る限り近いことが好ましい)まで増大させるようにしてもよい。このことは、特に上記所定時間が短い場合に有効であり、トルク低下要求値の減少速度(出力トルクの増大速度)が大きくなり過ぎるのを防止することができる。すなわち、トルク低下要求値の減少速度(出力トルクの増大速度)を、所定速度以下に制限する。
時刻t13から上記所定時間が経過したときである時刻t14で、休止気筒が実際に作動復帰して作動気筒となる。このとき、エンジン制御部50aは、作動気筒の点火時期を、気筒休止運転から全気筒運転への切換えの前後でエンジン1の出力トルクが変化しないように、シフトアップの実行時における点火時期の遅角量よりも小さい値でもって遅角する。これにより、出力トルクに或る程度の変動はあるものの、トルク増大部50dが設けられていない場合のような出力トルクの急上昇という現象は生じない。すなわち、トルク増大部50dにより、休止気筒が実際に作動復帰するのに先だって、比較的緩やかな上記増大速度でもって出力トルクを増大させておくことで、休止気筒が実際に作動復帰するときに出力トルクの急上昇が生じなくなって、車両に大きなショックが生じるのを防止する。
時刻t14の直後から、変速制御部50bは、徐々に低下する最小許容トルクに対応するトルク低下要求値をエンジン制御部50aに送信する。これにより、トルク増大部50dが設けられていない場合と同様に、出力トルクが上記最小許容トルクよりも小さくならないように徐々に減少して、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクに近付く。シフトアップの完了までに、出力トルクが、トルク低下要求値(Td)に対応する出力トルクになる場合(図5では、この場合を記載)と、ならない場合とがある。尚、変速制御部50bは、時刻t14の直後から、トルク低下要求値としてTdの値をエンジン制御部50aに送信してもよい。この場合、上記のように、エンジン制御部50aが、最小許容トルクの減少に対応させて、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を実行するので、出力トルクの変化は、変速制御部50bが最小許容トルクに対応するトルク低下要求値をエンジン制御部50aに送信する場合と同様となる。
時刻t15になると、トルク増大部50dが設けられていない場合と同様に、変速制御部50bによるシフトアップが完了する。このとき、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値の送信がなくなり(トルク低下要求値が0であるとして送信してもよい)、これを受けて、エンジン制御部50aは、変速制御部50bからの要求による出力トルクの低下を終了させる。
ここで、上記のように、トルク増大部50dにより、シフトアップの実行時にエンジン1の出力トルクが増大されるので、シフトアップに伴って車両にショックが生じる可能性がある。このようなシフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制するために、変速制御部50bは、トルク増大部50dにより上記出力トルクが増大されるときには、上記シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、上記シフトアップに要する時間を長くする。
本実施形態では、変速制御部50bは、トルク増大部50dにより上記出力トルクが増大されるときには、シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の実際の締結の開始(厳密には、該開始よりも少し遅いタイミング)から締結完了までの時間(図4及び図5では、エンジン1の回転数が低下しているときの時間)を長くする。すなわち、上記作動復帰要求が発生したときに、上記摩擦締結要素の油圧室への油圧を低下させて、上記時間を長くする。図4における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間は、シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときと同じにしている。これに対して、図5における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間は、図4における、エンジン1の回転数が低下しているときの時間よりも長くなっている。すなわち、トルク増大部50dにより上記出力トルクが増大されたときには、上記摩擦締結要素の締結をゆっくりと行うことで、シフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制する。
次に、コントロールユニット50におけるアップシフト時の制御動作について、図6のフローチャートに基づいて説明する。尚、図6では、変速制御部50bによる摩擦締結要素の締結及び解除のための油圧制御については省略している。
ステップS1で、全気筒運転中であるか否か(全気筒2が作動気筒であるか否か)を判定する。このステップS1の判定がNOであるとき、つまり、上記作動復帰要求から休止気筒の実際の作動復帰までの間の気筒休止運転中(以下、気筒切換中という)であるか、又は、該気筒切換中ではない気筒休止運転中であるときには、ステップS7に進む一方、ステップS1の判定がYESであるときには、ステップS2に進む。
上記ステップS2では、全気筒運転から気筒休止運転への切換え(1番気筒2a及び4番気筒2dの作動を休止する)を禁止し、次のステップS3で、出力トルク低下条件が成立したか否か(ここでは、エンジン制御部50aが変速制御部50bからのトルク低下要求値を受けたか否か)を判定する。
上記ステップS3の判定がYESであるときには、ステップS4に進んで、エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値に応じてエンジン1の出力トルクを低下させ、しかる後にステップS5に進む。一方、上記ステップS3の判定がNOであるときには、そのままステップS5に進む。
上記ステップS5では、シフトアップが完了したか否かを判定する。このステップS5の判定がNOであるときには、上記ステップS1に戻る一方、ステップS5の判定がYESであるときには、ステップS6に進んで、全気筒運転から気筒休止運転への切換えを許可して、当該アップシフト時の制御動作を終了する。
上記ステップS1の判定がNOであるときに進むステップS7では、上記気筒切換中であるか否かを判定する。このステップS7の判定がNOであるときには、ステップS11に進む一方、ステップS7の判定がYESであるときには、ステップS8に進む。
上記ステップS8では、エンジン制御部50aによる出力トルクの低下を実行中であるか否かを判定する。このステップS8の判定がNOであるとき(図3の時刻t2と時刻t4との間の時刻であるとき)には、ステップS9に進んで、トルク低下制限部50cが上記出力トルクの低下を制限し、しかる後に上記ステップS5に進む。
尚、上記ステップS7の判定がYESであるときには、シフトアップの実行時に締結される摩擦締結要素の油圧室への油圧を低下させ、この油圧が低下した状態を、当該シフトアップの完了まで継続する。
一方、上記ステップS8の判定がYESであるとき(図5の時刻t13と時刻t14との間の時刻であるとき)には、ステップS10に進んで、トルク増大部50dが、変速制御部50bからエンジン制御部50aへのトルク低下要求値を、Tdから徐々に減少させ(出力トルクを徐々に増大させ)、しかる後に上記ステップS5に進む。
上記ステップS7の判定がNOであるとき、つまり、上記気筒切換中ではない気筒休止運転中であるときには、ステップS11に進んで、上記ステップS3と同様に、出力トルク低下条件が成立したか否か(ここでは、エンジン制御部50aが変速制御部50bからのトルク低下要求値を受けたか否か)を判定する。
上記ステップS11の判定がYESであるときには、ステップS12に進んで、上記ステップS4と同様に、エンジン制御部50aが、上記トルク低下要求値に応じてエンジン1の出力トルクを低下させ、しかる後にステップS5に進む。一方、上記ステップS11の判定がNOであるときには、そのまま上記ステップS5に進む。
したがって、本実施形態では、トルク低下制限部50cが、エンジン1の気筒休止運転中において、変速制御部50bによるシフトアップの実行時におけるエンジン1の出力トルクの低下の実行前に、休止気筒(本実施形態では、1番気筒2a及び4番気筒2d)を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該休止気筒の実際の作動復帰のタイミングまで、エンジン制御部50aによる上記出力トルクの低下を制限するようにしたので、休止気筒の実際の作動復帰のタイミングで、エンジン1の出力トルクが急激に上昇することはなくなる。この結果、出力トルクの急上昇による車両のショックの発生を抑制することができる。
また、上記タイミングの後は、上記最小許容トルクの減少に対応させて、出力トルクを徐々に低下させるので、シフトアップの実行時にトルク低下制限部50cによりエンジン1の出力トルクの低下が制限されたとしても、シフトアップに伴う車両のショックの発生を抑制することができる。
特に、本実施形態では、エンジン1の出力トルクの低下が制限されるときには、シフトアップの実行時に休止気筒の作動復帰要求が発生しないときに比べて、シフトアップに要する時間を長くするので、シフトアップの実行時にトルク低下制限部50cによりエンジン1の出力トルクの低下が制限されたとしても、シフトアップに伴う車両のショックの発生を出来る限り抑制することができるようになる。
よって、車両にショックが出来る限り生じないようにしつつ、休止気筒の実際の作動復帰を、自動変速機のシフトアップの完了まで待つことなく、早期に行うことができるようになる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、車両に搭載されかつ複数の気筒を有するエンジンと、該エンジンと該車両の車輪との間の動力伝達経路上に介設された自動変速機とを備えたパワートレインの制御装置に有用である。
P パワートレイン
1 エンジン
2 気筒
3 自動変速機
6 前輪(車輪)
50 コントロールユニット(制御装置)
50a エンジン制御部(エンジン制御手段)
50b 変速制御部(変速制御手段)
50c トルク低下制限部(トルク低下制限手段)
1 エンジン
2 気筒
3 自動変速機
6 前輪(車輪)
50 コントロールユニット(制御装置)
50a エンジン制御部(エンジン制御手段)
50b 変速制御部(変速制御手段)
50c トルク低下制限部(トルク低下制限手段)
Claims (2)
- 車両に搭載されかつ複数の気筒を有するエンジンと、該エンジンと該車両の車輪との間の動力伝達経路上に介設された自動変速機とを備えたパワートレインの制御装置であって、
上記エンジンの作動を制御するとともに、該エンジンの運転中に、作動している作動気筒の数を切り換えるエンジン制御手段と、
上記自動変速機の変速制御を行う変速制御手段と、を備え、
上記エンジン制御手段は、上記変速制御手段によるシフトアップの実行時に、該シフトアップの開始動作に遅れて上記エンジンの出力トルクを低下させるように構成されており、
上記複数の気筒のうちの一部が作動を休止している気筒休止運転中において、上記変速制御手段によるシフトアップの実行時における上記出力トルクの低下の実行前に、作動を休止している少なくとも1つの休止気筒を作動復帰させる作動復帰要求が発生したときに、該少なくとも1つの休止気筒の実際の作動復帰のタイミングまで、上記エンジン制御手段による上記出力トルクの低下を制限するトルク低下制限手段を更に備えていることを特徴とするパワートレインの制御装置。 - 請求項1記載のパワートレインの制御装置において、
上記変速制御手段は、上記トルク低下制限部により上記出力トルクの低下が制限されるときには、上記シフトアップの実行時に上記作動復帰要求が発生しないときに比べて、上記シフトアップに要する時間を長くするように構成されていることを特徴とするパワートレインの制御装置。
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