JP6477007B2 - 板ばね及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、板ばね及びその製造方法に関する。
トラック等の車両の懸架機構には、衝撃吸収のための板ばねが使用されている。板ばねは、従来、JISばね鋼(C含有量:0.47〜0.64%)を用いて製造されており、その製造工程は、焼入れ処理及び焼戻し処理を含んでいる。焼入れ処理は、鋼の硬さを高めるために行われ、焼戻し処理は硬さを若干低減する影響が生じるものの、焼入れのままでの脆さを克服して靭性を高めるために従来から広く実施されている。
近年、トラックの軽量化ニーズに対応すべく、板ばね鋼のさらなる高硬度化が望まれている。板ばね鋼の高硬度化は同時に靭性低下を招くことが多く、これにより脆性的な折損のリスクが高まる。そのため、板ばね鋼の高硬度化と高靭性化を同時に達成することが望まれている。これまでの技術としては、例えば特許文献1に記載されているように、成分の最適化と結晶粒微細化によって、高強度と高靱性を併せ持つ板ばね鋼の提供を試みたものがある。しかし、特許文献1の発明に限らず、現在までの板ばねは、JIS鋼だけでなく開発鋼を含め、前述した通り、全て焼入れ焼戻し処理により必要な強度を確保しているのが実情である。
特公平3−68106号公報
特許文献1の板ばねを含め、従来から製造されている板ばねは、比較的炭素量が多いばね鋼を用い、焼入れ処理と焼戻し処理を必須として作製されている。そのため、従来の板ばねにおいては性能面では大きな問題がないものの、製造コストの面から見れば改善の余地がある。すなわち、トラック等の車両用の板ばねとしては、軽量化ニーズだけではなく、低コスト化も強く望まれている。低コスト化には、熱処理工程の省略が有効である。しかし、特許文献1の技術を含め従来の板ばねの製造において、熱処理工程の一部を省略することは必要な特性が確保できなくなることを意味するため、実際には困難である。
一方、硬度が高い割に高靭性化を可能とする方策としては、JIS鋼や従来開発されてきた板ばね用鋼よりも炭素量を低減させることが有効であるとされている。これは炭素量の低減によりマルテンサイト自体の靭性が向上するためである。この場合には、焼入れ処理後の焼戻し処理を省略し、製造コストを低減できる可能性がある。
しかしながら、炭素量が低い鋼であって焼入れたままで焼戻しを行わずに板ばねを製造した場合には、従来の高炭素で焼入れ焼戻し処理を行った板ばねと比べて、同等以上の靱性を確保できるものの、耐へたり性が大きく劣る。従って、板ばねとは別用途の部材である高い耐へたり性があまり要求されないスタビライザーなどの部品の場合には、焼戻しの省略が可能な場合もある。しかし、焼戻し省略を自動車用の板ばねに適用した場合、耐へたり性が低いことに起因して時間の経過と共に車高が低くなるという問題が生じ、そのままでは適用が困難である。従って、実際には、板ばねへの焼戻しの省略は、適用に至っていない。
本発明は、従来のばね鋼よりも炭素量が低く、焼戻し処理を省略した場合でも優れた耐へたり性を確保でき、高硬度を含む広い硬さ範囲で高い靱性を有する板ばねを製造可能な製造方法及びこの製造方法によって得られる板ばねを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.50%以下、Mn:0.40〜1.50%、S:0.025%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.60%以下、Al:0.100%以下、N:0.0200%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる化学成分を有する鋼材を準備し、
該鋼材を板ばねに加工した後、該板ばねに焼入れ処理を施し、
その後、焼戻し効果を得ることを目的とした処理を施すことなく、表層の永久歪みが0.15%以上となるように上記板ばねにセッチング処理を行うことを特徴とする板ばねの製造方法にある。
上記製造方法では、比較的低炭素の鋼材を素材として採用し、焼入れ処理後の焼戻し処理を省略し、その上で、上記特定のセッチング処理を積極的に採用する。即ち、表層の永久歪みが0.15%以上となるようにセッチング処理を行う。これにより、高硬度を含む広い硬さ範囲で高い靱性を確保できると共に、板ばねに必要な優れた耐へたり性を備えた板ばねを製造することが可能である。そして、得られた板ばねは、上記式1の関係を具備するものとなり、硬度、靱性、耐へたり性のバランスに優れ、軽量化ニーズに容易に対応可能となる。
実施例1における、試験片の(a)平面図、(b)A−A線矢視断面図。 実施例1における、セッチング処理方法を示す説明図。 実施例1における、セッチング処理をしている状態を示す説明図。 実施例1における、へたり量の測定方法を示す説明図。
まず、上記の板ばねの製造方法において用いる鋼材の化学成分の限定理由について説明する。
C:0.15〜0.35%、
C(炭素)は、焼入れ後の硬さ向上による疲労強度向上に有効な元素である。C含有量が上記上限値よりも多い場合には、焼き戻ししないことを前提としている本発明の場合、硬さが高くなりすぎ、靱性が悪化するおそれがある。一方、C含有量が上記下限値よりも少ない場合には、板ばねとして使用するのに十分な硬さが得られないおそれがある。
Si:0.50%以下、
Si(ケイ素)は、製鋼時の脱酸材として不可欠な元素であり、焼入性の向上にも寄与するが、多量の含有が必要でない場合もあるので、特に下限値は限定しない。しかしながら、Siの含有量が上記上限値よりも多い場合には、熱処理時に脱炭の進行が加速し、表面硬度の低下及び疲労強度の低下を招くおそれがある。そのため、Si含有量は、好ましくは、0.30%以下、より好ましくは0.15%以下がよい。
Mn:0.40〜1.50%、
Mn(マンガン)は、焼入性向上に有効な元素である。Mn含有量が上記上限値よりも多い場合には、上記効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。一方、Mn含有量が上記下限値よりも低い場合には、Mn含有による焼入性向上効果が十分に得られないおそれがある。
S:0.025%以下、
S(硫黄)は被削性向上に有効である。S含有量が上記上限値よりも多い場合には、Mnと共に生成するMnSが粗大化しやすくなり、疲労強度の低下を招くおそれがある。
Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、
Cu(銅)及びNi(ニッケル)は、意図的に添加しなくても、不純物として含有される元素であるが、腐食疲労特性の向上にはある程度有効であるので、上記上限値までの含有であれば、添加する場合も含めて許容される。
Cr:1.60%以下、
Cr(クロム)は、焼入性向上に有効な元素であり、製造する板ばねの厚さに合わせて添加量が調整される元素である。ただし、Cr含有量が上記上限値よりも多い場合には、効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。
Al:0.100%以下
Al(アルミニウム)は、脱酸材として必要な元素であるが、脱酸の仕方によって必要な量が変化するので、特に下限は限定しない。Al含有量が多過ぎる場合には、粗大な酸化物系介在物が生成しやすくなるおそれがあるため、上限値を上記のごとく定める。
N:0.0200%以下、
N(窒素)は、本願の鋼材には積極的に添加する必要はないが、不純物として含有される元素である。N含有量が上記上限値よりも多い場合には、鋳造時に鋳片の割れを発生させるおそれがあるため、許容量を上記上限値に制限する。
上記鋼材の化学成分には、焼入性を向上させるため、さらに、B:0.0005〜0.0050%、及びTi:0.01〜0.20%を含有させることができる。
B:0.0005〜0.0050%、
B(硼素)は、鋼中に固溶した状態で焼入性向上に有効であるため添加することが好ましい。B含有量が上記上限値を超える場合には、靱性を低下させるおそれがある。一方、B含有量が上記下限値よりも少ない場合には、B添加による効果が十分に得られないおそれがある。
Ti:0.01〜0.20%、
Ti(チタン)は、Nと結合してTiNを形成し、BNの生成を抑制して焼入性を向上させる効果を発揮する。Ti含有量が上記上限値よりも多い場合には、効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。一方、Ti含有量が上記下限値よりも低い場合には、Ti含有による効果が十分に得られないおそれがある。
上記鋼材の化学成分には、さらに、Mo:0.30%以下、Nb:0.30%以下、及び、V:0.30%以下のうち、1種又は2種以上を含有させることもできる。
Mo:0.30%以下、
Mo(モリブデン)は、焼入性向上に有効な元素であり、必要に応じて適量添加できる任意添加の元素である。Mo含有量が上記上限値よりも多い場合には、効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。
Nb:0.30%以下、
Nb(ニオブ)は、微細な炭化物を生成し、焼入れ時のオーステナイト粒を微細化し、靱性を向上させる効果を発揮する元素であり、必要に応じて適量添加できる任意添加元素である。Nb含有量が上記上限値よりも多い場合には、効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。一方、Nb含有量が上記下限値よりも低い場合には、Nb含有による効果が十分に得られないおそれがある。
V:0.30%以下、
V(バナジウム)は、微細な炭化物を生成し、焼入れ時のオーステナイト粒を微細化し、靱性を向上させる効果を発揮する元素であり、必要に応じて適量添加できる任意添加元素である。V含有量が上記上限値よりも多い場合には、効果が飽和し、コスト上昇を招くおそれがある。
次に、上記製造方法では、上記の化学成分を有する鋼材を熱間圧延等で板材に加工する。その後熱間成形等で板ばね形状に加工した後、該板ばねに焼入れ処理を施す。焼入れ処理は、板ばねをオーステナイト領域まで加熱した後、水又は油焼入れすることにより行うことができる。また、この焼入れ処理は、板ばね成形時の熱を利用して行うこと、つまり、成形後の板ばねがオーステナイト領域にある間にそのまま焼入れ処理をすることもできる。
焼入れ処理の後には、焼戻し処理は実施しない。そして、焼入れ処理後の板ばねに対して上記セッチング処理を行う。セッチング処理は、板ばねを実際に使用する際に付与される最大応力よりも高い応力を付与することによって耐へたり性を向上させる処理である。従来でもセッチング処理自体は行われているが、その場合のセッチング処理後に残る永久歪みは非常に小さいレベル(表層の永久歪みが0.05%未満)の条件で行われるのが通常であった。それに対し、本発明では、このセッチング処理における変形量を、表層の永久歪みが0.15%以上となるレベルに設定する。これにより、上記板ばねに優れた耐へたり性を付与することができる。
上記セッチング処理によって付与する表層の永久歪みは、後述する実施例に示すごとく、セッチング処理によって変形を生じる部分の表面に歪みゲージを貼り付けて歪み量を測定し、セッチング前後の歪み量の差によって求めた値を用いる。
上記セッチング処理としては、上述のように表層の永久歪みが0.15%以上となる条件とするが、その上限値は、効果が飽和することと、セッチングによる板ばねの変形が大きくなり、最終形状の調整が難しくなるという理由から、1.0%とすることが好ましい。
セッチング処理方法としては、セッチング自体は従来通り曲げ変形を付与すればよく、温度は室温でもよいが、400度以下の範囲(特に200〜400℃)で加熱して実施することにより、より耐へたり性向上に効果的である。
また、上記焼入れ処理後、上記セッチング処理の前と後の少なくとも一方において、上記板ばねにショットピーニング処理を行うことが好ましい。この場合には、ショットピーニングにより、さらに疲労寿命特性を向上させることができる。
次に、上記製造方法においては、上記鋼材の炭素含有量[C](質量%)と、硬さ[HV](HV)とが、以下の式1の関係を具備することができる
式1:[HV]>−1900×[C]2+2600×[C]−100
上記式1は、従来の焼入れ焼戻し処理した場合と本発明の化学成分範囲を満足する鋼を焼入れした後焼戻し処理を省略した場合の板ばねの炭素含有量と硬さの関係の実験データを蓄積し、従来の板ばねでは満足しないが、本発明の板ばねでは満足する条件を式で表現したものである。従って、従来の焼入れ焼戻しありで製造した板ばねは式1を満足しないため、本発明の成分範囲とこの式1を具備することが、製造時に焼戻し処理を行わない場合であっても広い硬度範囲で高靱性を備える条件となる。
(実施例1)
上記板ばねの製造方法にかかる実施例につき、比較例と共に説明する。本例では、表1に示すごとく、成分組成が異なる複数種類の鋼材を準備して、板ばねを想定した試験片を作製し、その特性を評価した。特性評価は、表2に示す試験No.1〜15を行うための試験片を準備して行った。
Figure 0006477007
Figure 0006477007
試験No.1〜12において用いる試験片は次のように作製した。電気炉で溶解した溶鋼を用いて鋳塊を作製し、熱間の鍛伸加工によって幅70mm×厚み12mmの断面形状の板材を作製し、次いで、機械加工によって2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を作製すると共に、図1に示すごとく、幅30mm×厚み8mm×長さ300mmであり、側端部が半径4mm(R4)の円曲面である試験片8を作製した。次いで、これらの2種類の試験片に対して焼入れ処理のみ(焼戻しは省略)を施した。また、試験片8についてはショットピーニング処理を行った後、セッチング処理も施した。
本例での焼入れ処理の条件は、試験片を950℃に20分間保持した後、水冷する条件とした。また、ショットピーニングの条件は、φ1.0mmの鋼球を用い、アークハイトが0.4mmA、カバレージが200%という条件とした。
また、試験No.13〜15において用いる試験片は、上述した作製方法を基本として、焼入れ処理の後に従来と同様の焼戻し処理を追加して、上記と同様のシャルピー衝撃試験片と試験片8とを作製した。焼戻し条件は、保持温度は、試験No.13については350℃、試験No.14については450℃、試験No.15については550℃として、保持時間は全て60分間とした。また、試験No.13〜15用の試験片8についてもショットピーニング処理を行った後、セッチング処理を施したが、このセッチング処理の条件については後述する。なお、ショットピーニングの条件は、上記と同様とした。
試験No.1〜15の試験片8に対するセッチング処理は、図2及び図3に示すごとく、表層の永久歪みの量が測定できる条件で実施した。図に示すごとく、セッチング処理を行う装置は、試験片8の両端を下面から支持する2つの下部支点51と、中央部近傍を上面から押圧する2つの上部支点52を備え、いわゆる4点曲げを実施可能な疲労試験装置を流用した。
本例では、図2に示すごとく、2つの下部支点51間の距離L1は240mmに設定し、2つの上部支点52間の距離L2は50mmに設定し、かつ、隣り合う下部支点51と上部支点52間の距離L3は95mmに設定した。そして、2つの上部支点52の間の中央、つまり、試験片8の長さ及び幅方向中央の上面には、表面の歪み量を測定するための歪みゲージ55を貼り付けた。2つの上部支点52の間の表面には、位置に関係なく同じ大きさかつ最も大きな曲げモーメントが負荷されることになるため、この歪みゲージ55を貼り付けた位置は、最も大きな圧縮歪みが生じる位置となる。歪みゲージ55には図示しないリード線を接続すると共にこのリード線を歪み測定装置に接続して、常時歪み量を測定可能な状態とした。
セッチング処理は、図3に示すごとく、下部支点51と上部支点52とが接近する方向に強い荷重を負荷して、試験片8に曲げ応力を付与することにより行った。そして、セッチング処理後において、試験片8への負荷を開放し、自然状態での永久歪み量を測定した。そして、試験No.1〜12の試験片8については、板材長手方向の圧縮永久歪み量が0.25%となるようにセッチング処理時の応力負荷時の変形量を調整した。また、試験No.13〜15の試験片8については、永久歪み量が極めて小さい(0.05%未満)従来のセッチング処理となるよう応力負荷時の変形量を調整した。また、これらのセッチング処理は、すべて室温にて行った。
<耐久疲労試験>
上述した方法によりセッチング処理を施した試験片8に対して、耐久疲労試験を実施した。この試験は、セッチング処理に用いた4点曲げ疲労試験装置を用いて実施した。なお、各試験片のC量等の成分の違いによって、硬さに大きな差異が生じ、疲労強度にも差異が生じる。そのため、硬さ水準別に負荷応力を3種類とした。より具体的には、表2に示すごとく、490±400MPa、637±500MPa、及び784±600MPaの3水準で調整した。耐久性については、耐久回数3万回以上の寿命を有している場合を合格、耐久回数3万回未満で折損した場合を不合格とした。なお、この合格条件は、従来から板ばねに使用されているJISのSUP9(鋼No.10)を使って焼入れ焼戻し、ショットピーニング及び従来の普通のセッチングを行って製造された板ばねの性能(試験No.13〜15)と比較して同等以上の性能とするという考え方で定めたものである。後述の他の特性の評価基準も、特に記載がないものは同様である。
<耐へたり性>
へたり量は、図4に示すごとく、試験片8の自然状態でのたわみ量Tを、耐久疲労試験の前後で測定し、その差の値とした。そして、耐へたり性の判定は、まず、上記の耐久疲労試験において耐久回数3万回以上の寿命を有している上で、耐久回数3万回実施後のへたり量が0.3mm以下である場合を合格、それ以外を不合格とする。耐久回数及びへたり量は、表2に示す。
<硬さ>
硬さは、上記セッチング処理後の試験片8の表面から板厚の1/4の深さの位置のビッカース硬さを測定した。なお、硬さは、設計応力によって必要な値は変化するので、特に合格基準はないが、少なくとも300HVであることが好ましい。硬さは、表2に示す。
<靱性>
靱性は、上述したUノッチ(ノッチ深さ2mm)の衝撃試験用試験片(図示略)を用いて衝撃試験を行った結果によって評価した。衝撃試験によって得られた衝撃値は、50J/cm2以上を合格とし、それ未満を不合格とする。衝撃値は、表2に示す。衝撃値は硬さが高いほど低くなる傾向があるが、50J/cm2であれば、板ばね部品として問題ない値となることから、上記値を合格基準とした。なお、この評価は、例えば、ショットピーニング及びセッチングを施した後の試料から上記と同様の衝撃試験用試験片を切り出して測定してもほぼ同様の結果が得られる。
表1及び表2から知られるごとく、上記特定の化学成分の範囲内にある鋼No.1〜8を用いた試験No.1〜8は、比較のための鋼No.10(SUP9)を従来法で製造した試験No.13〜15試験片における同等硬さのものと比較することにより、いずれも、従来と同等以上の性能を有しており、すべての評価において合格する水準であったことがわかる。特に衝撃値は、試験No.13のように従来法による板ばねは硬さが高いと大きく低下するが、本発明の実施例(試験No.1〜8)では全て50J/cm2以上を確保することがわかった。
一方、試験No.9は、鋼No.9のC含有量が比較的高いことにより、靱性が低下し、衝撃値が低くなった。
試験No.10は、従来鋼であるSUP9を用いた場合であるが、C含有量が本発明に比べて高く、本来焼戻し処理を行って製造されているにもかかわらず、焼戻し処理を省略したため、衝撃値が著しく低くなった。そして、セッチング処理時に折損してしまい、耐久試験はできなかった。
試験No.11は、鋼No.11のC含有量が低すぎ、十分な硬さが得られず、疲労寿命も満足しなかった。
試験No.12は、鋼No.12のS含有量が高すぎ、MnSが増加した影響で、疲労寿命が低下した。
(実施例2)
次に、実施例1における鋼No.1を用い、ショットピーニングの有無及びセッチング条件の変更による影響を評価する試験(試験No.16〜23)を行った。各試験に用いた試験片は、ショットピーニングの有無及びセッチング条件の変更以外は、実施例1と同じ条件で作製した。そして、セッチング処理後の試験片に対して、実施例1と同様に耐久試験等を実施し、評価した。評価結果を表3に示す。
また、本例でも、比較のために、従来のばね鋼SUP9(鋼No.10)を準備し、焼入れ処理後焼戻し処理を行う条件で試験片を作製し、同様な評価(試験No.23)を行った。セッチング処理を従来通りの方法にて行う点については前記と同様である。なお、耐久試験時の負荷応力は、実施例2では硬さ水準に大きな差異のない試験片にて実験していることから、全て、637±500MPaとした。評価結果を表3に示す。
Figure 0006477007
表3から知られるごとく、試験No.16及び試験No.18〜22は、ショットピーニングの有無にかかわらず、適正なセッチング条件を採用しているために、比較のために同時に評価した従来鋼SUP9(鋼No.10)の試験No.23の結果と比較して耐久性、耐へたり性について同等以上の結果となり、全ての評価において合格した。また、衝撃値については、従来鋼SUP9(鋼No.10)を焼入れ焼き戻しした試験No.23と比べて大きく改善されていることが確認できた。一方、試験No.17では、衝撃値、耐久試験の結果は問題なかったが、セッチング処理による永久歪みの量が0.03%と従来と同程度であったため耐へたり性が大幅に悪化した。
この結果より、本発明により製造した板ばねは、炭素量を低めとし、大きな永久歪みが生じるセッチング処理をすることによって、焼入れ処理後の焼戻し処理を省略しているにもかかわらず、従来焼入れ焼戻し処理を施した板ばねと同等以上の耐久性、耐へたり性を確保できることが分かった。
51 下部支点
52 上部支点
55 歪みゲージ
8 試験片

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.50%以下、Mn:0.40〜1.50%、S:0.025%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.60%以下、Al:0.100%以下、N:0.0200%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる化学成分を有する鋼材を準備し、
    該鋼材を板ばねに加工した後、該板ばねに焼入れ処理を施し、
    その後、焼戻し効果を得ることを目的とした処理を施すことなく、表層の永久歪みが0.15%以上となるように上記板ばねにセッチング処理を行うことを特徴とする板ばねの製造方法。
  2. 上記焼入れ処理後、上記セッチング処理の前と後の少なくとも一方において、上記板ばねにショットピーニング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の板ばねの製造方法。
  3. 上記鋼材の化学成分は、さらに、B:0.0005〜0.0050%、及びTi:0.01〜0.20%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の板ばねの製造方法。
  4. 上記鋼材の化学成分は、さらに、Mo:0.30%以下、Nb:0.30%以下、及び、V:0.30%以下のうち、1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板ばねの製造方法。
  5. 上記鋼材の炭素含有量[C](質量%)と、硬さ[HV](HV)とが、以下の式1の関係を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の板ばねの製造方法
    式1:[HV]>−1900×[C]2+2600×[C]−100
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