JP6476637B2 - 電子レンジ加熱対応容器 - Google Patents
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Description
(1)前記コーティング層が、1〜25g/m 2 の量で形成されていること、
(2)カップ、トレイまたはパウチの形態を有していること、
(3)前記固形食品が、餅であること、
が好適である。
即ち、電子レンジ加熱によって餅等の固形食品が粘稠なべた付き易い状態となったとしても、食品としての安全性を損なうことなく、容器内面への付着を有効に防止することができ、容器から速やかに分離することができる。
例えば、電子レンジ加熱された固形食品を熱いまま取り出すときは勿論のこと、仮に冷えた状態で取り出すときにおいても、食品と容器内面との間には、コーティング層が介在しているため、食品が容器内面に付着することがない。
このように、本発明では、容器の内面、或いは、食品の表面に設けるコーティング層の量が少なくてもよいため、食品の風味への影響もより少なく、コストの面でも一層有利となる。
この容器に収容される食品1は、水分を含有している電子レンジによる加熱可能でな固形食品であり、一般には、電子レンジ加熱により粘稠でべた付き易い流動体となるもの、例えば、餅、うどん、そば、米飯などが代表的であり、特に餅は、加熱によりべた付くペースト状となるため、本発明が最も好適に使用される食品である。
容器3の材質は、電子レンジ加熱可能なもの、具体的には、マイクロ波透過性の非金属材料であれば特に制限されないが、一般的には、容器等の形態に成形が容易な熱可塑性プラスチックや紙が使用され、特に、後述するコーティング層5の保持性が良好な点で、熱可塑性プラスチックが好適である。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、容器3として使用することもできる。
本発明においては、容器3の内面(収容される食品1が接触する面)にコーティング層5が設けられるが、このようなコーティング層5は、融点が50〜95℃の範囲にある食用ワックス或いはまたは食用油脂により形成される。
即ち、食用ワックスは、所謂食品添加物として認可されているワックスであり、例えば植物ワックス或いは動物ワックスであって、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルであり、食用油脂は、植物由来の油脂であり、脂肪酸とグリセリンとのエステルであって、何れも撥水性が高く、電子レンジ加熱される食品1に対して極めて高い滑り性を示すばかりか、その融点が上記範囲内にあるため、コーティング層5は、室温では固体であるが、電子レンジ加熱されて水蒸気と接触するようになった状態では、液状となる。即ち、電子レンジ加熱された食品1は、液状状態のコーティング層5と接触するようになるため、該食品1とコーティング層5との接触面積は、コーティング層5が固体状態にある場合に比して、極めて大きくなっている。このため、コーティング層5を形成する食用ワックスや食用油脂の食品1に対する高い滑り性が最大限に発揮され、この結果、食品1が電子レンジ加熱された状態で粘稠なべた付き易い状態となったとしても、容器3の内面への食品1の付着が有効に防止され、食品1を容器3から速やかに分離することが可能となる。例えば、融点が上記範囲よりも低い場合には、電子レンジ加熱に際してのコーティング層5の液状化が速すぎてしまい、コーティング層5の垂れが生じてしまい、コーティング層5の食品1に対する滑り性を十分に発揮することができなくなってしまう。また、融点が上記範囲よりも高い場合には、電子レンジ加熱に際してのコーティング層5の液状化が不十分となってしまい、やはり、コーティング層5の食品1に対する滑り性を十分に発揮することができない。
食用ワックス;
カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋等の植物ワックス、蜜蝋等の動物ワックス。
食用油脂;
パーム油、ココナッツ油、カカオバター等の植物油脂。
本発明における容器3は、電子レンジによる加熱に際して、食品1から発生する水蒸気が効果的に排出される形態で電子レンジによる加熱が行われる限り、収容される食品の形態に応じて、種々の形態を採り得る。例えば、カップ、トレイ、パウチ(袋)の形態を有していてよい。
かかる容器3は、図3(a)の平面図から理解されるように、全体として矩形状の平面を有しており、図3(b)の半断面側面図に示されているように、底部10と、底部10から立ち上がっている胴部11と、胴部11の上端から外方に張り出しているフランジ部13とを備えており、底部10の中央部分には、電子レンジよる加熱に際しての熱変形を緩和するために上げ底部10aが形成されている。
例えば、蓋材を引き剥がした後に、電子レンジ加熱を行う場合には、通常のカップ容器に設けられるのと同様の形態を有していてもよく、この場合、蓋材は、内面の周縁部がヒートシール可能な樹脂で形成されている限り、アルミ箔等の金属箔で形成されていてもよい。
一方、蓋材を付けたまま、電子レンジ加熱を行う場合には、蓋材は、全てオレフィン系樹脂等のプラスチック材料で形成されると同時に、ミシン目等の弱化線を形成しておき、電子レンジ加熱に先立って、蓋材の一部を破断して通気孔を形成しておくことが必要となる。さらに、この場合には、蓋材の内面にも、ヒートシールされる周縁部を除き、前述したコーティング層5を設けておくことが望ましい。電子レンジ加熱された食品が、蓋材の内面にも接触するからである。
各実験例にて使用したコーティング材(コーティング層形成材料)、食品、容器、及び付着性の評価方法は、次の通りである。
<コーティング材>
食用ワックス
カルナバワックス(融点:85℃)
ミツロウ(融点:65℃)
ライスワックス(融点:77℃)
ポリエチレンワックス(融点 110℃)
<容器>
樹脂製角型トレイ(内層:PP 中間層:酸素吸収剤 外層:PP)
紙製カップ(内層:PE 外層:紙)
<食品>
角餅(製品名:サトウの切り餅 パリッとスリット)
容器に食品(角餅)を入れ、電子レンジ1000Wにて30秒加熱し、取り出して10秒放熱し、手で餅を容器から取り出した。その時の餅の残存程度を下記基準にて評価した。
○:付着が無く、そのまま取り出せる。
△:少し付着し、取り出し時、餅が引っ掛かる。
×:付着が有り、取り出し時に餅が伸びる。
容器として樹脂製角形トレイを用い、コーティング材としてはライスワックスを用い、表1に示す量のコーティング層を形成した後、食品として角餅を入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行い、その結果を表1に示した。
容器内面へのコーティング層の形成は、以下のようにして行った。
即ち、コーティング材(ライスワックス)1gをエタノール100mlに溶かし、容器内面に表1に記載の必要量をスプレーにて吹き付け、乾燥させてコーティング層を形成した。
容器として紙製カップを用いた以外は、実験例1と全く同様にしてライスワックスによるコーティング層を形成し、角餅を入れての電子レンジ加熱を行い、付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
コーティング材としてカルナバワックスを用いた以外は実験例1と同様にしてコーティング層を形成し、角餅を入れての電子レンジ加熱を行って付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
コーティング材としてミツロウを用いた以外は実験例1と同様にしてコーティング層を形成し、角餅を入れての電子レンジ加熱を行って付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
コーティング材としてライスワックスを用い、表1に示す量のコーティング層を角餅に形成した。この角餅を、樹脂製角形トレイ(容器)に入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行い、その結果を表1に示した。
尚、角餅へのコーティング層の形成は、以下のようにして行った。
即ち、角餅を袋から出して、コーティング材(ライスワックス)1gをエタノール100mlに溶かした液を、表1記載の必要量をスプレーにて拭き付け、乾燥させてコーティング層を形成した。
容器として樹脂製角形トレイを用い、角餅を容器に入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行い、その結果を表1に示した。
コーティング材としてポリエチレンワックスを用いた以外は、実験例1と同様にして容器(樹脂製トレイ)の内面にコーティング層を形成し、この容器に角餅を入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
ライスワックス(コーティング材)のコーティング量を0.5g/m2に変更した以外は、実験例1と同様にして容器(樹脂製トレイ)の内面にコーティング層を形成し、この容器に角餅を入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
ライスワックス(コーティング材)のコーティング量を0.5g/m2に変更した以外は、実験例7と同様にして角餅にコーティング層を形成し、この角餅を容器(樹脂製トレイ)に入れ、電子レンジで加熱した後、付着性の評価を行った。その結果を表1に示した。
3:容器
5:コーティング層
10:底部
11:胴部
13:フランジ部
Claims (4)
- 電子レンジ加熱によって粘稠な状態となる固形食品が収容される電子レンジ加熱対応容器であって、該容器の内面に、融点が50〜95℃の範囲にある食用ワックスまたは食用油脂のコーティング層が設けられており、
電子レンジ加熱に際して液状となった該コーティング層によって粘稠な状態となった固形食品の容器の内面の付着が防止されることを特徴とする電子レンジ加熱対応容器。 - 前記コーティング層が、1〜25g/m2の量で形成されている請求項1に記載の電子レンジ加熱対応容器。
- 前記電子レンジ加熱対応容器が、カップ、トレイまたはパウチの形態を有している請求項1または2に記載の電子レンジ加熱対応容器。
- 前記固形食品が、餅である請求項1〜3の何れかに記載の電子レンジ加熱対応容器。
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