JP6475526B2 - 強磁性材スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特に垂直磁気記録方式を採用したハードディスクの磁気記録層の成膜に使用される強磁性材スパッタリングターゲットに関し、漏洩磁束密度が大きくマグネトロンスパッタ装置でスパッタする際に安定した放電が得られる非磁性材粒子が分散した強磁性材スパッタリングターゲットに関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、記録を担う磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe、あるいはNiをベースとした材料が用いられている。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層にはCoを主成分とするCoCr系やCoCrPt系の強磁性合金が用いられてきた。
また、実用化されている垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層には、Coを主成分とするCoCrPt系の強磁性合金と非磁性の無機物からなる複合材料が多く用いられている。このような磁性薄膜は、生産性の高さから、通常、上記の材料を成分とするスパッタリングターゲットをスパッタして作製される。
このようなスパッタリングターゲットの作製方法としては、溶解法や粉末冶金法が考えられる。どちらの手法で作製するかは、要求される特性によるので一概に言えないが、垂直磁気記録方式のハードディスクの記録層の形成に使用されるターゲットは、一般に粉末冶金法で作製される。これは、無機物粒子を合金素地中に均一に分散させる必要があるため、溶解法では作製することが困難だからである。
本出願人は、以前、CoCr系スパッタリングターゲットやCoCrPt系スパッタリングターゲットに関する発明を提供した(特許文献1〜3)。強磁性材ターゲットはマグネトロンスパッタ装置でスパッタした際、磁石からの磁束がターゲット内部を通過してしまうため漏洩磁束が少なく、安定した放電が困難という問題があったことから、上記の発明は、このような問題を解決するための手段を提供するものである。
ところが、近年ハードディスクは記録密度の向上に伴って、膜の磁気特性が良好な金属層にCrを含まない組成からなる強磁性材スパッタリングターゲットの研究、開発が進められている。これまでCrは必須成分となっていたことから、Crを含まない組成の強磁性材ターゲットがスパッタリングの際に、どのような特性を示すかは未知であり、特に漏洩磁束低下という強磁性材ターゲット特有の問題はこれまで全く議論されていなかった。
また、強磁性材スパッタリングターゲットでは、合金相中に分散した無機物粒子がスパッタ時に脱離して、パーティクルの発生の原因となることがあったが、近年のハードディスクドライブの記録密度の向上に伴い、磁気ヘッドの浮動量が小さくなっていることから、磁気記録媒体として許容されるパーティクルのサイズや個数は、一段と厳しく制限されるようになっており、このような問題にも対応していく必要がある。
国際公開WO2011/089760号 国際公開WO2012/081669号 国際公開WO2012/077665号
本発明は、上記問題を鑑みて、金属相にCrを含まない組成からなるスパッタリングターゲットにおいて、漏洩磁束を増加させて、マグネトロンスパッタ装置で安定した放電が得られるとともに、スパッタ時に発生するパーティクルを大幅に低減することができる磁気記録媒体用のスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。これにより、良質な磁気記録層の成膜が可能となり、磁気記録媒体の歩留まり等を改善することができる。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意研究を行った結果、焼結用の原料粉末の性状とその配合比率を調整することにより、漏洩磁束の大きく、また、パーティクルの発生の少ないターゲットが得られることを見出した。このような知見に基づき、本願は、下記の発明を提供する。
1)Ptが5mol%以上45mol%以下、残余がCoである組成の金属からなるスパッタリングターゲットであって、このターゲット組織が、金属素地(A)と前記(A)の中にPtからなる相(B)とを有しており、前記(B)の最短径が10〜150μmであることを特徴とする強磁性材スパッタリングターゲット。
2)Ptからなる相(B)が、スパッタリングターゲットに含有されるPtの50mol%以上であることを特徴とする上記1)記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
3)Ptからなる相(B)が、スパッタリングターゲットに含有されるPtの95mol%以上を含むことを特徴とする上記1)記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
4)炭素、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物の群から選択した1以上の無機物材を金属素地(A)中に含有することを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
5)前記無機物材がCr、Ta、Si、Ti、Zr、Al、Nb、B、Coの群から選択した1種以上の酸化物であり、ターゲット全体に対する当該無機物材の体積比率が22vol%〜40vol%であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
6)添加元素としてB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Si、Alから選択した1元素以上を0.5mol以上10mol%以下含有することを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
本発明によれば、漏洩磁束の大きいターゲットとなり、マグネトロンスパッタ装置で使用したとき、不活性ガスの電離促進が効率的に進み、安定した放電が得られる。またスパッタリングの際に、発生するパーティクル量を大幅に低減することができる。これにより、成膜時における歩留まりを著しく向上することができるという優れた効果を有する。
実施例1のターゲットの研磨面を光学顕微鏡で観察したときの組織画像である。 比較例1のターゲットの研磨面を光学顕微鏡で観察したときの組織画像である。
本発明の強磁性材スパッタリングターゲットを構成する主要成分は、Ptが5mol%以上45mol%以下、残余がCoである組成の金属からなる。これらは、磁気記録媒体として必要とされる成分であるが、Ptを過剰に添加した場合には、磁性材としての特性が低下すること、また、Ptは高価であることから、添加量をなるべく低減することが生産コストからみて望ましいと言える。
前記Ptの添加に加え、さらに、添加元素としてB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Si、Alから選択した1元素以上を0.5mol%以上10mol%以下含有させることができる。配合割合は上記範囲内で様々に調整でき、いずれも有効な磁気記録媒体としての特性を維持することができる。すなわち、これらは磁気記録媒体としての特性を向上させるために、必要に応じて添加される元素である。
なお、0.5mol%以上10mol%以下の添加元素としてのB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Si、Alから選択した1元素以上は、基本的には金属素地(A)中に存在するものであるが、これらが後述のPt合金からなる相(B)の界面を介して、該相(B)中に若干拡散する場合がある。本願発明は、これらを包含するものである。
本願発明において重要なことは、ターゲットの組織が、金属素地(A)と、前記(A)の中に、Ptからなる相(B)を有していることである。この相(B)は、組成の異なる金属素地(A)よりも最大透磁率が低く、金属素地(A)からなる周囲の組織によって各々分離された構造になっている。このような組織を有するターゲットにおいて、漏洩磁束が向上する理由は現時点では、必ずしも明確ではないが、ターゲット内部の磁束に密な部分と疎な部分が生じ、均一な透磁率を有する組織と比較し静磁エネルギーが高くなるため、磁束がターゲット外部に漏れ出た方がエネルギー的に有利になるためと考えられる。
相(B)は、最短径が10μm以上、150μm以下、好ましくは15μm以上、150μm以下、さらに好ましくは、30μm以上150μm以下とするのが望ましい。ここで、相(B)の最短径は、ターゲットの観察面において、相(B)を内包する面積が最小となるような長方形を考え、その長方形の短辺の長さを最短径と定義する。またターゲットの観察面(視野面積:0.325mm)に存在するすべての相(B)のうち80%以上の個数が、上記最短径の数値範囲に含まれていれば、本発明の効果を得ることができるため、上記最短径の数値範囲は、観察面に存在する相(B)の80%以上の個数に対する数値範囲と定義する。
相(B)の最短径が10μm未満の場合、無機物粒子と混在している金属との粒サイズ差が小さくなるので、ターゲット素材を焼結させる際に相(B)と金属素地(A)との拡散が進む。そして、この拡散が進むことにより、相(B)が金属素地(A)に溶け込み、相(B)の識別が困難となる。一方、150μmを超える場合には、スパッタリングが進むにつれてターゲット表面の平滑性が失われ、パーティクルの問題が発生しやすくなることがある。
本発明での相(B)は、上記の通りPtからなる相であるが、金属素地(A)と組成が異なるので、焼結時の元素の拡散により、相(B)の組成から多少ずれてしまうことがある。しかしながら、相(B)の径(長径と短径のそれぞれ)を2/3に縮小したと仮定した場合の相似形の相の範囲内においてPtからなれば目的を達成することが可能である。本願発明は、これらのケースを含むものであり、このような条件でも本願発明の目的を達成できる。
相(B)が、ターゲットに含まれる一部のPtからなる(例えば、25mol%程度)場合であっても、それなりの効果を発揮できるが、相(B)による効果を十分に発揮させるために、ターゲット中のPtの50mol%以上、好ましくは75mol%以上、さらには好ましくは全量近傍(95mol%以上)が、相(B)に含まれるようにすることが望ましい。ターゲット中のPtを相(B)に多く存在させ、金属素地(A)中のPt量を減少させることで、磁性相と非磁性相による磁場の濃淡が明瞭になり、漏洩磁束をより向上できる。ここで、相(B)に含まれるPtの量は、エネルギー分散型X線分析(EDS分析)を用いて測定することができる。ターゲットの視野面積25μmにおいて、相(A)に含まれるPtの重量比を測定し(10点平均)、ターゲット全体におけるPtの相(B)に占める割合を、ターゲットの組成から逆算することで求めることができる、なお、視野は、相(B)の外縁からの最近接距離が10μm以上離れていることとする。
さらに本発明の強磁性材スパッタリングターゲットは、炭素、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物の群から選択した一種以上の無機物材料を、金属素地中に分散した状態で含有することができる。この場合、グラニュラー構造をもつ磁気記録媒体、特に垂直磁気記録方式を採用したハードディスクドライブの記録膜の材料に好適な特性を備える。さらに、前記無機物材料としては、Cr、Ta、Si、Ti、Zr、Al、Nb、B、Coから選択した1種以上の酸化物が有効であり、ターゲット全体に対しての当該無機物材料の体積比率を22〜40%とすることができる。非磁性材料粒子は金属素地(A)に分散しているのが基本であるが、ターゲット作製中に相(B)の周囲に固着する場合あるいは内部に含まれる場合もある。少量であれば、このような場合であっても、相(B)の磁気特性に影響を及ぼさず、目的を阻害することはない。
本発明において、ターゲット全体に対する無機物材料の体積比率は、各元素の重量比率と密度から算出する。
例えば、無機物材料としてTa(酸化物)を用いた場合、Ta(酸化物)のターゲット全体に対する重量比率をWTa(wt%)、その密度をDTa(g/cm)とし、ターゲット全体の密度をDAllとしたとき、ターゲット全体に対するTa(の酸化物)の体積比率は次式から算出することができる。
ターゲット全体に対するTa(酸化物)の体積比率(%)=Ta(酸化物)の体積(WTa/DTa)÷ターゲット全体の体積(1/DAll)×100
本発明の強磁性材スパッタリングターゲットは、粉末冶金法によって作製することができる。まず、金属元素又は合金の粉末(なお、相(B)を形成するためには、Pt粉は必須となる)、さらに必要に応じて添加金属元素の粉末や無機物材料の粉末を用意する。各粉末の作製方法は特に制限はないが、Pt粉末を除いたこれらの粉末は最大粒径が150μm以下のものを用いることが望ましい。
そして、これらの金属粉末及び合金粉末を所望の組成になるように秤量し、ボールミル等の公知の手法を用いて粉砕を兼ねて混合する。無機物粉末を添加する場合は、この段階で金属粉末及び合金粉末と混合すればよい。無機物粉末としては炭素粉末、酸化物粉末、窒化物粉末、炭化物粉末又は炭窒化物粉末を用意するが、無機物粉末は最大粒径が5μm以下のものを用いることが望ましい。一方、小さ過ぎると凝集しやすくなるため、0.1μm以上のものを用いることが望ましい。
このようにして得られた粉末を、真空ホットプレス装置を用いて成形・焼結し、所望の形状へ切削加工することで、本発明の強磁性材スパッタリングターゲットが作製される。なお、上記のPt粉末は、ターゲットの組織において観察される球形の相(B)に対応するものである。また、成形・焼結は、ホットプレスに限らず、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。焼結時の保持温度はターゲットが十分緻密化する温度域のうち最も低い温度に設定するのが好ましい。ターゲットの組成にもよるが、多くの場合、800〜1300℃の温度範囲にある。また、焼結時の加圧力は30〜50MPaであることが好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
実施例1では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径1μmのTiO粉末、平均粒径1μmのSiO粉末、平均粒径1μmのCr粉末、最短径が10〜150μmの範囲のPt粗粉を用意した。これらの粉末をターゲットの組成が73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)となるように、Co粉末48.82wt%、TiO粉末1.82wt%、SiO粉末2.05wt%、Cr粉末6.92wt%、Pt粗粉40.40wt%の重量比率で秤量した。
次に、Co粉末、TiO粉末、SiO粉末及びCr粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。さらに得られた混合粉末とPt粗粉をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーで10分間混合した。この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを、平面研削盤を用いて研削加工して直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のターゲットを得た。
漏洩磁束の測定はASTM F2086(Standard Test Model for Pass Through Flux of Circular Magnetic Sputtering Targets, Method 2)に則して実施した。ターゲットの中心を固定し、0度、30度、60度、90度、120度と回転させて測定した漏洩磁束密度を、ASTMで定義されているreference fieldの値で割り返し、100を掛けてパーテントで表した。そしてこれら5点について平均した結果を、平均漏洩磁束密度(PTF(%))として表1に記載した。表1に示す通り、実施例1のターゲットの平均漏洩磁束密度は46.7%であった。
実施例1のターゲットの研磨面を光学顕微鏡で観察したときの組織画像を図1に示す。図1において黒っぽく見えている箇所がTiO粒子、SiO粒子、Cr粒子の無機物粒子に対応する。図1の組織画像に示すように、実施例1においてきわめて特徴的なのは、無機物粒子が微細分散した金属素地の中に、無機物粒子を含まない大きな球形の相が分散していることである。また、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いてターゲットの構成元素を分析したところ、この相は、本願発明のPtからなる相(B)に相当するものであり、また、相(B)はターゲットに含有するPtの100mol%以上を含むものであった。
(実施例2)
実施例2では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径1μmのTiO粉末、平均粒径1μmのSiO粉末、平均粒径1μmのCr粉末、最短径が10〜150μmの範囲のPt粗粉を用意した。
これらの粉末をターゲットの組成が73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)となるように、Co粉末48.82wt%、Pt粉末10.10wt%、TiO粉末1.82wt%、SiO粉末2.05wt%、Cr粉末6.92wt%、Pt粗粉30.30wt%の重量比率で秤量した。
次に、Co粉末、Pt粉末、TiO粉末、SiO粉末及びCr粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。さらに得られた混合粉末とPt粗粉をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーで10分間混合した。この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを、平面研削盤を用いて研削加工して直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のターゲットを得た。
このターゲットについて、実施例1と同様の方法で、平均漏洩磁束密度(PTF(%))を測定した。表1に示す通り、実施例3のターゲットの平均漏洩磁束密度は41.5%であった。また、実施例1と同様の方法で、ターゲットの構成元素を分析したところ、無機物粒子が微細分散した金属素地(A)の中に、無機物粒子を含まない大きな球形のPtからなる相(B)が分散しており、該相(B)は、ターゲットに含有するPtの75mol%以上を含むものであった。
(実施例3)
実施例3では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径1μmのTiO粉末、平均粒径1μmのSiO粉末、平均粒径1μmのCr粉末、最短径が10〜150μmの範囲のPt粗粉を用意した。
これらの粉末をターゲットの組成が73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)となるように、Co粉末48.82wt%、Pt粉末20.20wt%、TiO粉末1.82wt%、SiO粉末2.05wt%、Cr粉末6.92wt%、Pt粗粉20.20wt%の重量比率で秤量した。
次に、Co粉末、Pt粉末、TiO粉末、SiO粉末及びCr粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。さらに得られた混合粉末とPt粗粉をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーで10分間混合した。この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを、平面研削盤を用いて研削加工して直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のターゲットを得た。
このターゲットについて、実施例1と同様の方法で、平均漏洩磁束密度(PTF(%))を測定した。表1に示す通り、実施例2のターゲットの平均漏洩磁束密度は38.5%であった。また、実施例1と同様の方法で、ターゲットの構成元素を分析したところ、無機物粒子が微細分散した金属素地(A)の中に、無機物粒子を含まない大きな球形のPtからなる相(B)が分散しており、該相(B)は、ターゲットに含有するPtの50mol%以上を含むものであった。
(比較例1)
比較例1では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径1μmのTiO粉末、平均粒径1μmのSiO粉末、平均粒径1μmのCr粉末を用意した。これらの粉末をターゲットの組成が73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)となるように、Co粉末48.82wt%、Pt粉末40.40wt%、TiO粉末1.82wt%、SiO粉末2.05wt%、Cr粉末6.92wt%の重量比率で秤量した。
次に、Co粉末、Pt粉末、TiO粉末、SiO粉末及びCr粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを、平面研削盤を用いて研削加工して直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のターゲットを得た。
このターゲットについて、実施例1と同様の方法で、平均漏洩磁束密度(PTF(%))を測定した。表1に示す通り、比較例1のターゲットの平均漏洩磁束密度は36.6%であった。比較例1のターゲットの研磨面を、光学顕微鏡で観察したときの組織画像を図2に示す。図2において黒っぽく見えている箇所がTiO粒子、SiO粒子、Cr粒子の無機物粒子に対応する。なお、図2の組織画像に示すように、金属素地の中に大きな球形の相が分散することはなかった。
(比較例2)
比較例2では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径1μmのTiO粉末、平均粒径1μmのSiO粉末、平均粒径1μmのCr粉末、最短径が5〜10μmの範囲のPt粗粉を用意した。
これらの粉末をターゲットの組成が73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)となるように、Co粉末48.82wt%、TiO粉末1.82wt%、SiO粉末2.05wt%、Cr粉末6.92wt%、Pt粗粉40.40wt%の重量比率で秤量した。
次に、Co粉末、Pt粉末、TiO粉末、SiO粉末及びCr粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。さらに得られた混合粉末とPt粗粉をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーで10分間混合した。この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを、平面研削盤を用いて研削加工して直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のターゲットを得た。
このターゲットについて、実施例1と同様の方法で、平均漏洩磁束密度(PTF(%))を測定した。表1に示す通り、比較例2のターゲットの平均漏洩磁束密度は37.0%であった。また、無機物粒子が微細分散した金属素地(A)の中に、無機物粒子を含まないPtからなる相(B)は観察されなかった。
実施例1〜3において、金属素地(A)と該金属素地(A)に包囲された直径50〜100μm(組織写真確認)の範囲にある相(B)の存在が認められた。そして相(B)はPtからなる相であることが確認された。こうした組織構造が漏洩磁束を向上させるために非常に重要な役割を有することが分かる。上記実施例では、73Co−18Pt−2TiO−3SiO−4Cr(mol%)の組成の例を示しているが、これらの組成比を、本願発明の範囲内で変更した場合でも、同様の効果を確認している。
また、添加元素としてB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Si、Alから選択した1元素以上含有させることができ、いずれも有効な磁気記録媒体としての特性を維持することができる。すなわち、これらは磁気記録媒体としての特性を向上させるために、必要に応じて添加される元素であり、特に実施例に示さないが、本願実施例と同等の効果を確認している。さらに、上記実施例では、Ti、Si、Crの酸化物を添加した例を示しているが、このほかTa、Zr、Al、Nb、B、Coの酸化物も同等の効果を有する。さらに、これらについては、酸化物を添加した場合を示しているが、これらの窒化物、炭化物、炭窒化物、さらには炭素を添加した場合も、酸化物添加と同等の効果を得ることができることを確認している。
本発明は、強磁性材スパッタリングターゲットの組織構造を調整し漏洩磁束を飛躍的に向上させることを可能とする。したがって、本発明のターゲットを使用すれば、マグネトロンスパッタ装置でスパッタリングする際に安定した放電が得られる。磁気記録媒体の磁性体薄膜、特にハードディスクドライブ記録層の成膜に使用される強磁性材スパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (6)

  1. Ptが5mol%以上45mol%以下、残余がCoである組成の金属からなるスパッタリングターゲットであって、このターゲット組織が、金属素地(A)と前記(A)の中にPtからなる相(B)とを有しており、前記(B)の最短径が10〜150μmであることを特徴とする強磁性材スパッタリングターゲット。
  2. Ptが5mol%以上45mol%以下、残余がCoである組成の金属と、炭素、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物の群から選択した1以上の無機物材とからなるスパッタリングターゲットであって、このターゲット組織が、金属素地(A)と前記(A)の中にPtからなる相(B)と前記無機物材とを有しており、前記(B)の最短径が10〜150μmであることを特徴とする強磁性材スパッタリングターゲット。
  3. Ptが5mol%以上45mol%以下、添加元素としてB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Si、Alから選択した1元素以上を0.5mol%以上10mol%以下、残余がCoである組成の金属と、炭素、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物の群から選択した1以上の無機物材とからなるスパッタリングターゲットであって、このターゲット組織が、金属素地(A)と前記(A)の中にPtからなる相(B)と前記無機物材とを有しており、前記(B)の最短径が10〜150μmであることを特徴とする強磁性材スパッタリングターゲット。
  4. 前記無機物材がCr、Ta、Si、Ti、Zr、Al、Nb、B、Coの群から選択した1種以上の酸化物であり、ターゲット全体に対する当該無機物材の体積比率が22vol%〜40vol%であることを特徴とする請求項2又は3に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
  5. Ptからなる相(B)が、スパッタリングターゲットに含有されるPtの50mol%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
  6. Ptからなる相(B)が、スパッタリングターゲットに含有されるPtの95mol%以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の強磁性材スパッタリングターゲット。
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