JP6474798B2 - 方法 - Google Patents

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Description

本発明は、IgGを精製するための改良された方法に関する。特に、該改良された方法は、従来の方法よりも高収量を実現する。
周知のとおり、免疫グロブリンは哺乳動物の免疫系において重要な役割を果たす。免疫グロブリンは、血漿、リンパ液および他の身体分泌物中に認められるBリンパ球によって産生される。ヒトにおいて、免疫グロブリンは血漿タンパク質の約20%を占める。免疫グロブリンの基本単位は、ジスルフィド結合で連結した2本の重鎖および2本の軽鎖を含むヘテロ四量体である。これらの鎖のそれぞれは、抗原結合部位を構成する可変領域をN末端に有し、免疫グロブリンのエフェクター機能を司る定常領域を有す。
免疫グロブリンには、異なる生化学的および生理学的特性を持つ主要な5種類のクラスがある:IgG(γ重鎖)、IgA(α)、IgM(μ)、IgD(δ)およびIgE(ε)。ヒトIgGは血漿中で最も豊富な免疫グロブリンであり、IgAは唾液、涙液ならびに気道および腸管の粘液のような外分泌物中の主要な抗体クラスである。IgMは、通常免疫グロブリンの基本単位の五量体として存在するヒトの循環器系内で抜きん出て物理的に最大の抗体であり、感染過程の早期に出現する。
当初、ヒト血漿由来のIgG製剤は様々な感染症の予防および治療に問題なく使用されていた。初期の製品は、比較的精製度の低い方法(crude process)(エタノール分画)で製造されており、ある程度の不純物や凝集体を含有するため筋肉内投与のみ可能であった。精製方法の改良によって、純度および品質が改善したため、静脈内投与に適したIgG製剤(IVIGと呼ばれる)が製造されるようになり、さらに皮下投与用の製剤(SCIGと呼ばれる)も開発された。
血漿からIgGを精製するために一般的に用いられる工業的方法は、Cohnが考案した原法(非特許文献1、2)に基づく方法であり、これは1940年代まで遡るもので、低温下での血漿タンパク質の分画沈殿によって行われる。イオン強度、pHおよび温度を管理した条件下でエタノールを漸進的に添加した(progressive addition)後、前記血漿分画法によって治療上有用な血漿タンパク質(凝固因子、アルブミン、免疫グロブリン、アンチトロンビンIII)の富化または濃縮した画分が得られる。Cohn分画法を適用した場合、IgGは画分II+III、I+II+IIIまたは改変したエタノール分画法(非特許文献3)を開発したKistlerとNitschmannの方法で得られた同等の沈殿物A(NA沈殿物と呼ばれる)から得られる。
1960年代、短鎖脂肪酸(C6〜C12)はα−およびβ−グロブリンと不溶性の複合体を形成するが、γ−グロブリンはそれ程容易に沈殿しないことが示された(非特許文献4)。
SteinbuchおよびAudran(非特許文献5)は、沈殿剤としてカプリル酸塩(すなわちオクタン酸塩、C8飽和脂肪酸)を用いたIgG精製方法に関して記述している。ヒト血漿を酢酸緩衝液で希釈して最終的にpH4.8とすると、免疫グロブリン以外の物質(Non−immunoglobulin)が沈殿した。激しく撹拌しながらカプリル酸塩を添加すると、IgG富化液が得られた。この純度および収量は、カプリル酸の量、pH、緩衝液のモル濃度および希釈係数にかかっている。
免疫グロブリン以外の大量の沈殿物は、pH4.5を下回らないわずかに酸性のpHで最もよく得られた。血漿とpH4.8の0.06M酢酸緩衝液を2:1で希釈した後、沈殿を開始させるため2.5重量%カプリル酸塩で処理した。この上清をDEAEセルロースによるバッチ吸着を行うことで、分離したIgG画分からさらに不純物を除去した。後にSteinbuch他が行った研究では、Cohnのエタノール画分IIIに存在する大部分のタンパク質およびリポタンパク質(免疫グロブリン以外)を沈殿させるため、カプリル酸を用いることが示されている(非特許文献6)。
同じ方法を、2.16重量%カプリル酸塩を用いて希釈したヒト血漿に適用した。(非特許文献7)。Habeeb他は、カプリル酸を用いた沈殿に続き、DEAEセルロースによる分画を行った。得られた血漿由来IgGは、基本的に凝集体、プラスミンおよびプラスミノーゲンを含まない。さらに、得られたIgGは抗補体活性が低く、保存中比較的安定していた。このため、カプリル酸塩を用いた沈殿工程は非常に有用であると認められており、血漿からIgGを製造する多くの最新の方法に導入された。
アルコール、PEGおよびカプリル酸による分画法の他、複数のクロマトグラフィー法が、IVIGを精製する基本的な分画法と組み合わせて用いられた。
最もよく用いられるクロマトグラフィー法は、イオン交換クロマトグラフィーであり、これはタンパク質およびイオン交換担体の両方における表面分布および電荷密度の利点を生かした方法である。陰イオン交換樹脂の表面は正電荷を帯びている。電荷密度は樹脂特有のものあり、通常pH(樹脂の実用範囲内)とは無関係である。典型的な陰イオン交換体は、正味の負電荷を有するタンパク質と結合する(すなわち溶液のpHがタンパク質の等電点を上回る場合)。実際には、1つのタンパク質表面は単一の電荷を示さず;むしろ正電荷、負電荷および中性域の寄せ集めである。表面構造は所定のタンパク質に特有であり、イオン強度およびpHなどの溶液条件の影響を受ける。この独自性は、各タンパク質が陰イオン交換樹脂と結合する、または陰イオン交換樹脂から放出される特定の条件を確立するために利用できる。これらの条件を確立することによって、表面特性または電荷特性がわずかにのみ異なるタンパク質を高収量(>95%)で効率的に分離できる。
クロマトグラフィーの樹脂担体が有する構造の改良によって、大規模なクロマトグラフィーを従来の精製方法に代わる実際的な方法とした。硬質樹脂によって、大容量を迅速に(<5時間)処理でき、高いリガンド密度によって、大容量処理に必要な性能が増大する。これらの要素は、高収量、生成物の純度および方法の簡易性とともに、大規模な製造においてクロマトグラフィーを用いるために好都合なものである。
特に、陽イオンおよび/または陰イオン交換クロマトグラフィーは、時に個々の工程で組み合わせてまたは直列に連結して、血漿またはその画分からIgGを精製するために用いられてきた(例えば特許文献1に記載されるように)。これらの方法の大半において、陰イオン交換クロマトグラフィーはネガティブモードで用いられ、すなわち、条件は混入タンパク質、例えば、IgA、IgM、アルブミン、フィブリノーゲン、トランスフェリンとの結合を可能にするために用いられる一方、IgGは非吸着画分に回収される。
IgG精製のため、カプリル酸塩を用いた沈殿後にイオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて用いることは、多くの刊行物に記載されている。SteinbuchおよびAudran(非特許文献5)は、カプリル酸塩による沈殿後、DEAEセルロースを用いてさらにIgGを精製することに関して記述している。Lebing他(特許文献2)は、IgM、IgA、アルブミンおよび他の不純物を除去するため、2本の陰イオン交換カラムを直列に連結して使用することに関して記述している。Lebing他は、カプリル酸塩を介した効果、すなわち沈殿とそれによるウイルス分離(virus partitioning)を用いたIgG以外のタンパク質の不可欠な低減および個々のインキュベーション工程において脂肪酸がエンベロープを持つウイルスを不活化する特性を組み合わせた。IgGを含有するペースト/沈殿物をpH4.2で溶解(reconstitution)させ、続いてpH5.2に調整してカプリル酸塩を添加することから開始する、いわゆる「pHスイング法」の重要性は、それがIgGを富化する手順に不可欠であり、IgG以外のタンパク質を効率的に低減するために必要であることで強調される。次に、IgAおよびIgMなど他の数種類の不純物ならびに前記カプリル酸塩を、上記イオン交換クロマトグラフィー工程で低減した。
特許文献3は、凝集体、血管作動性物質およびタンパク分解酵素を含有しない静脈内投与が許容されるIgG製剤の製造におけるカプリル酸の使用に関する。該方法は、イオン交換または疎水性マトリックスによるクロマトグラフィーを用いた精製前に、IgGを含有する出発物質を0.4%〜1.5%のカプリル酸と接触させることを含む。
精製方法の絶え間ない改良によって、この数年に渡るIgG製剤の発展が得られた。上記のとおり、最初のIgG製剤は、静脈内投与した場合に有害事象の発生が多過ぎたため、筋肉内使用にのみ適していた。静脈内使用に適したIgG製剤(IVIG)の第一世代は、出発物質(Cohn画分II)をペプシンで切断することにより製造された。この切断は、補体活性化などの重篤な有害事象の原因であり、初期製剤の静脈内投与を不可能とした免疫グロブリン凝集体の除去を目的として行われた。該方法にカラムクロマトグラフィー工程は含まれなかった。得られた製剤は、妥当な期間安定した状態を維持するため、凍結乾燥する必要があり、使用直前に溶解した。
IVIGの第二世代は、低い抗補体活性およびより高い安定性を持つ切断および修飾されていない免疫グロブリン分子をもとに製造され、80年代半ばに導入されたが、依然として凍結乾燥製剤の形態であった。このIVIGは、複数回のクロマトグラフィー工程を含む方法で精製された。ペプシンによる切断を避け、凝集体および粒子を沈殿させることによって除去し、イオン交換カラムクロマトグラフィー法でさらに精製した。
IVIGの第三世代については、ウイルス不活化に特化した工程が方法に含まれた。特に、精製方法の沈殿工程では多くのウイルスが除去されるにもかかわらず、血液製剤を投与された患者の中にはHIVに感染するものがおり、ウイルスの不活化およびこれらの製剤からのウイルス除去のためのさらに特化した工程が必要であった。
より高い純度および品質のタンパク質を得るため、安定した液体製剤を得るため、さらに患者に対するこれらの製剤の安全性および忍容性を改善するため、精製方法の改良が続けられている。さらに、皮下投与製剤が開発された。
今やIgG製剤は臨床的に応用されることが多い。従来の用途である原発性または後天性免疫不全、および感染症の治療に加え、これらの製剤は、自己免疫疾患およびCIDPなどの特定の神経疾患の治療にも有効であることが示されている。また、IgG製剤のさらなる治療的使用に焦点を当てた研究が著しく増加した。このため、IgG製剤の需要は増加した。今やIgG製剤は世界市場で需要が最も大きい血漿分画製剤である;2008年の需要は約82メートルトン(米国の37トン、欧州の21トンおよびアジアの17トンを含む)に達し、年率約7%で増加する傾向にあった(2013年の需要予測は110メートルトンである)(非特許文献8、9)。ヒト血漿は貴重で限られた原料であるため、製剤の品質を損なうことなく、現時点で可能な収量よりも高い収量が得られるよう、血漿からIgGを精製する方法のさらなる改良が必要である。従来の方法では、血漿1L当たりのIgG平均収量が3.7〜4.2gであり、これは血漿中に存在するIgGの55%に過ぎない。
WO99/64462 米国特許第5,886,157号 米国特許第5,164,487号
Cohn E.他、(1946年)、J Am Chem Soc、68、459〜475頁 Oncley他、(1949年)、J Am Chem Soc、71、541〜550頁 Kistler PおよびNitschmann HS、(1952年)、Vox Sang、7、414〜424頁 Chanutin他、(1960年)Arch.Biochem.Biophys.89;218頁 SteinbuchおよびAudran、(1969年)Arch.Biochem.Biophys.134、279〜284頁 Steinbuch他、(1973年)、Prep.Biochem.3、363〜373頁 Habeeb他、(1984年)Prep.Biochem.14、1〜17頁 The Worldwide Plasma Fractions Market 2008年 The Marketing Research Bureau,Inc. 2010年4月版
本発明は、製剤の品質を損なうことなく出発溶液(好ましくは血漿)1L当たりのIgGの収量を向上させる、IgGおよび他のタンパク質を含む血漿または他の溶液からIgGを精製するための改良された方法に関する。
本発明の第1の態様は、IgG、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含む溶液からの精製方法におけるIgGの収量を増加させる方法であって、
(a)IgG、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含み、pHが3.5〜5.2の間であり、総タンパク質濃度が少なくとも10g/Lである酸性溶液を用意すること;
(b)該溶液の伝導率を1.5mS/cm未満に維持しつつ、pHを5.2〜6.2に調整すること;
(c)該溶液を少なくとも15分間インキュベートすること;ならびに
(d)任意の沈殿物を除去すること
を含む前記方法である。
好ましくは、IgGを含む溶液は血漿由来の抗体を含み、より好ましくは、IgGを含む溶液はヒト血漿またはヒト脱クリオ血漿のエタノール分画によって得られる。本発明の別の好ましい実施形態では、IgGを含む溶液はオクタン酸沈殿から得た上清である。
通常、工程(a)における溶液は限外濾過ダイアフィルトレーションによって清澄化されている。工程(a)における溶液のpHは、好ましくは3.9〜5.0、より好ましくは3.9〜4.6、さらにより好ましくは3.9〜4.3である。工程(a)におけるタンパク質濃度は、好ましくは10〜50g/Lの間、より好ましくは20〜25g/Lの間である。
工程(b)において、pHは5.2〜6.2、好ましくは5.6〜6.0、より好ましくは5.8〜6.0に調整される。好ましくは、工程(b)におけるpH調整は、少なくとも1種の多水酸化アミン化合物(multi−hydroxylated amine compound)の添加によって行われる。pH調整は、好ましくは250mMを超える濃度、より好ましくは500mMを超える濃度、さらにより好ましくは750mMを超える濃度、最も好ましくは約1Mの濃度のトリスを用いて行われる。好ましくは、pH調整は少なくとも15分かけて行われる。工程(b)における伝導率は、1.5mS/cm未満、好ましくは1.2mS/cm未満、より好ましくは1.0mS/cm未満、さらにより好ましくは0.8mS/cm未満、最も好ましくは0.2〜0.5mS/cmの間である。最も好ましくは、工程(b)におけるpHは5.6〜6.0に調整され、伝導率は0.2〜0.5mS/cmの間である。
工程(c)におけるインキュベーション時間は、72時間まで、48時間まで、24時間まで、好ましくは12時間まで、より好ましくは6時間まで、最も好ましくは15分〜90分の間である。好ましくは、工程(c)におけるインキュベーションは室温で行われる。
好ましくは、工程(d)における沈殿物は深層濾過によって除去される。沈殿物を除去する他の方法は、他の濾過法または遠心分離などでもよい。
工程(d)後、イオン交換クロマトグラフィーなど、クロマトグラフィー法のような追加の精製工程を行ってもよい。好ましくは、その樹脂に混入物を結合するが、IgGを結合しない条件下でイオン交換クロマトグラフィー工程が行われる。好ましくは、イオン交換クロマトグラフィーは陰イオン交換クロマトグラフィーである。好ましくは、溶液の伝導率をさらに調整することなく、イオン交換クロマトグラフィーを行う。
前記方法はウイルス不活化工程をさらに含むこともある。好ましくは、ウイルス不活化工程は低pH処理である。好ましくは、ウイルス不活化のための低pH処理は工程(a)の前に行われる。
本発明は、出発溶液、好ましくはIgG抗体、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含む従来の方法の中間体からの精製方法におけるIgGの収量を増加させる方法に関する。この方法は、以下の工程を含む:
(a)IgG、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含み、pHが3.5〜5.2の間、好ましくは4.0〜5.0、より好ましくは4.6〜4.8であり、総タンパク質濃度が少なくとも10g/L、好ましくは約10〜50g/L、より好ましくは約10〜40g/L、さらにより好ましくは15〜30g/L、最も好ましくは20〜25g/Lである酸性溶液を用意する工程。
IgGを含む組成物は、任意の原料でよく、好ましくはIgGを含む生体液である。好ましくは、IgGを含む組成物は、血液、血漿もしくは血清または血液、血漿もしくは血清由来のものである。しかし、本発明ではIgGを含む他の出発物質を用いてもよい。例えば、本発明の方法を用いて細胞培養上清のような他の生体液からでもIgGを富化することは可能である。
IgGを含む組成物は、ペーストまたは沈殿物の溶液、好ましくはCohn/Oncley他が記述している(FII+III)、(FI+II+III)もしくはFIIIまたはそれらの修飾物、またはKistlerとNitschmannの方法に記述される沈殿物A(PPT−A)、沈殿物B(PPT−B)および沈殿物G(PPT−G)またはそれらの修飾物のような,低温エタノール分画法から得られる画分であってもよい。
しかし、好ましくはIgGを含む溶液は、オクタン酸沈殿、ポリエチレングリコール沈殿および/または硫酸アンモニウム沈殿を用いて上記のエタノール画分または任意のIgGを含む中間体から開始してIgGを精製する際に得られる中間沈殿物の溶液または中間溶液である。血漿画分から開始する場合、オクタン酸沈殿はIgG富化中間体を製造するための好ましい方法である。SteinbuchおよびAudran((1969年)Arch.Biochem.Biophys.134、279〜284頁)が記述しているとおり、最終濃度を約5%(w/w)にするためオクタン酸を可溶化したエタノール沈殿物などの中間溶液に添加してもよい。より高濃度のオクタン酸を用いてもよい。オクタン酸は、pH、伝導率およびインキュベーション時間などを定義した条件下の室温でゆっくりと加えること。より高濃度のオクタン酸を用いる場合、さらにリン酸カルシウムを添加し、続いてインキュベーション時間を延長してもよい。免疫グロブリンの大部分、特にIgGは溶液中に残るが、夾雑タンパク質、脂質およびカプリル酸塩の沈殿物は形成される。沈殿したタンパク質、脂質およびカプリル酸塩は、室温(18℃〜26℃の間など)で濾過することによって除去してもよい。例えば、濾過助剤(例えば珪藻土を用いるが、他の濾過助剤を用いてもよい)の存在下で深層濾過を行ってもよい。前記溶液の濾過には全量濾過(normal flow filtration)を用いてもよい。しかし、沈殿物の除去および溶液の清澄化のための他の方法も考えられる。その後、清澄化した溶液は、pH、伝導率およびタンパク質濃度を調整するためにダイアフィルトレーション/限外濾過を行ってもよい。
好ましくは、出発溶液は、上記のとおり酸性条件で血漿または血漿画分からIgGを精製する際、限外濾過/ダイアフィルトレーションによって、すでに免疫グロブリンを富化し、かつ清澄化した中間溶液である。
沈殿物を出発物質として用いる場合、IgGは、沈殿物(処理画分または副画分)(process fraction or side fraction)を緩衝液に数時間再懸濁することによって沈殿物から抽出し得る。可溶化は、伝導率が好ましくは1〜15mS/cmの間、より好ましくは5〜15mS/cmの間の溶液を用いて行う。可溶化に用いる溶液のpHは、3.5〜6の間、好ましくは4.0〜5.5の間、より好ましくは4.5〜5.2の間、最も好ましくは約4.8である。例えば、可溶化はpH4.8で0.2M酢酸塩を用いて行ってもよい。しかし、当業者であればより適当な緩衝液を見出すことが可能である。緩衝液と沈殿物の割合は、約1:5〜1:10であってもよいが、他の割合でもよい。可溶化は、適当なミキサーを用いて強く撹拌しながら少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間かけて行う。
本発明の方法における次の工程では、工程(a)の溶液のpHを、さらに約5.2〜6.2、好ましくは5.4〜6.0、より好ましくは5.6〜6.0、さらにより好ましくは5.7〜5.9、最も好ましくは約5.8に調整する。pHの影響を受けない溶液の伝導率は、0.2〜1.5mS/cmの間などの1.5mS/cm未満、好ましくは0.2〜1.0mS/cmの間などの1.0mS/cm未満、さらにより好ましくは0.2〜0.8mS/cmの間などの0.8mS/cm未満、または0.5mS/cm未満で最も好ましくは0.2〜0.5mS/cmの間である。
好ましくは、pHおよび伝導率の調整に用いる試薬は、アミン化合物であるかアミン化合物を含む。好ましくは、アミン化合物は2−アミノ−1−エタノール(CNO)、ビス(ヒドロキシエチル)−アミン(C11NO)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(C15NO)、好ましくは(ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノ−トリ(ヒドロキシメチル)−メタン(C19NO)、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(C13NO)、1,3−ビス(トリ(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン(C1126)、最も好ましくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(C11NO)(トリス塩基)のような多水酸化アミン化合物である。
本発明者は、カルボキシル基の有無にかかわらず、多水酸化アミン化合物を使用することにより、二度目のpH調整(IgGの安定化)時のIgG損失が低減することを有利に発見した。伝導率を0.2〜0.5mS/cmなどの目標値で一定に保ちつつ、タンパク質混入物を沈殿させる。
次に、工程(c)で、前記IgGを含む溶液のインキュベートは、適当なミキサーを用いて激しく混合しながら少なくとも15分行う。当業者であれば、混合に用いる方法に応じ、工程に必要とされる時間を調整し得る。インキュベーション時間は72時間まで、好ましくは48時間まで、より好ましくは12〜24時間の間、最も好ましくは15分〜12時間の間であってもよい。しかし、他のインキュベーション時間でもよい;当業者であれば、インキュベーション時間がより短い場合は室温で行ってもよいが、インキュベーション時間がより長い場合は4〜8℃などのより低い温度で行う必要があることを認識していると思われる。
工程(d)で、工程(c)におけるpHシフトの際に形成されるタンパク質沈殿物は、例えば、室温(18〜26℃など)での深層濾過によって除去する。当業者には公知のとおり、深層濾過は濾過助剤の添加を必要とする。溶液の濾過には全量濾過を用いてもよい。しかし、他の濾過法、遠心分離などのタンパク質沈殿物を除去するための他の方法を用いてもよい。当業者であれば、沈殿物を除去するための他の適当な方法を熟知している。工程によってIgMおよびIgAが大幅に減少する。
次に、清澄化した溶液はIgGをさらに精製するための処理を行ってもよい。1つの好ましい選択肢は溶液を用いてイオン交換クロマトグラフィーを行うことである。好ましくは、IgGは流出液(flow−through)中に残るが、残存するIgA、IgMおよび他の混入物は結合させる条件下で溶液を陰イオン交換体に導入する。好ましくは、清澄化した溶液を直接カラムに導入してもよい。好都合にも、pHまたは伝導率を調整する必要はない。
工程で用いる陰イオン交換体は、強陰イオン交換体でも弱陰イオン交換体でもよい。好ましくは、陰イオン交換体は、第四級アンモニウム、第四級アミノエチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアミノエチルまたはジメチルアミノエチルのような陰イオン交換リガンドを含む。陰イオン交換体は、より好ましくはDEAE Sepharose FF、Q−Sepharose(HPおよびFF)、ANX Sepharose FF(低置換度および高置換度)、Capto Q、Capto Q XP、Capto DEAE、Source 30 Qおよび15 Q、最も好ましくはFractogel DEAEおよびMPHQから選択する。
上記のとおり、導入は、好ましくは残存するIgA、IgMおよび他の混入物を陰イオン交換体に結合させる条件下で行う。通常、陰イオン交換体は使用前に2種組合せ緩衝系(two buffer system)(平衡化緩衝液1および2)を用いて平衡化することが多く、その場合は平衡化緩衝液2を導入前に用いる。平衡化緩衝液は、用いた陰イオン交換体に適した一般的な緩衝系である。平衡化緩衝液1の伝導率は、10〜20mS/cmの間、より好ましくは11〜15mS/cmの間である。pHは、7〜8の間、より好ましくは7.1〜7.5の間である。適当な緩衝液の例は、リン酸塩もしくは酢酸塩の緩衝液またはそれらの組合せである。好ましくは、緩衝液はリン酸塩混合液(一塩基性および二塩基性)である。
方法に含まれてもよい追加工程は、ナノ濾過、溶媒/洗剤処理、低pH処理または低温殺菌のようなウイルス不活化/除去工程である。当業者であれば、適当なウイルス不活化および除去方法を熟知していると思われる。これらの工程は方法における任意の適当な段階に含まれてもよい。
通常、安定化剤のような薬学的に許容される添加物を加えてもよい。
本発明の方法が問題なく行われる特に好ましい方法の1例は、低温エタノール分画法を含み、KistlerとNitschmannの方法による基礎分画法の中間体である沈殿物A、またはCohn他の方法で得られる沈殿物II+III(PPT II+III)および/または改変したKistler−Cohnの方法で得られる沈殿物I+II+IIIを用いる方法である。
これらの製造中間体は下記工程で基本的に処理する:
(1)オクタン酸(OA)分画、
(2)低pHインキュベーション、
(3)pHシフトおよび深層濾過、
(4)陰イオン交換クロマトグラフィー、
(5)ウイルス濾過、および
(6)限外濾過/ダイアフィルトレーションによる濃縮。
本発明における方法の改良には、下記の1つまたはそれ以上が含まれる。
(i)深層濾過前にpHを変更すること(pHシフト)で行う予備精製。該工程は、仕上げのクロマトグラフィー工程前に非常に低い伝導率で行い、IgAおよびIgMの大部分を沈殿させ、かつIgGの共沈を最小限に抑える;
(ii)陰イオン交換クロマトグラフィー工程に用いる緩衝系の変更。
有利に、pHシフトは(好ましくは)溶液の伝導率を上げることのないトリス緩衝液を用いて行う;したがって、深層濾過後に得られる濾液は、リン酸塩緩衝液などで適切に平衡化した陰イオン交換カラムに直接導入してもよい。低い伝導率は、該工程においてIgGの沈殿を減少させるために重要である。
該方法に両改良を加えた場合、IgG収量は、これらの改良を加えていない同じ方法と比較して少なくとも5%増加する。
本発明をここで例証する。実施例は、本発明の例証を意図しており、本発明を制限するものではない。下記の図に対する言及を行う。
工程(b)でのタンパク質収量(薄灰色棒)およびIgG収量(黒色棒)に対するpH調整の効果を示す棒グラフである。 3種類の異なる出発物質におけるIgG収量(黒色棒)または損失(灰色棒)に対するpH5.8へのpHシフトに用いたトリス濃度の効果を示す棒グラフである:(a)回収血漿由来の出発物質NA PPT、(b)原料血漿由来の出発物質NA PPT、(c)原料血漿由来のPPT II+III。
(a)SteinbuchおよびAudran((1969年)Arch.Biochem.Biophys.134、279〜284頁)による従来技術の方法。
凍結NA沈殿物(PPT)の一部を適量の酢酸ナトリウム緩衝液に再懸濁し、pHを4.8で一定に保ちつつ、NA PPT懸濁液を室温でIgGの大部分が溶解するまで数時間撹拌した。
脱脂は、オクタン酸(OA)を前記懸濁液に添加し、続く240分間のインキュベーションによって行われた。次に、リン酸カルシウムを添加し、前記懸濁液をさらに60〜90分間撹拌した。沈殿したタンパク質、脂質またはリポタンパク質複合体、およびこれらの条件下で沈殿した他の混入物を濾過によって除去した。
OA濾液をタンパク質濃度が3%に達するまで限外濾過し、続いて注射用蒸留水(WFI)を用いてダイアフィルトレーションを行った。ダイアフィルトレーション中、0.2mol/L塩酸を用いてpHを4.1に持続的にシフトさせた。ダイアフィルトレーション後、WFIを用いて前記タンパク質溶液をタンパク質20g/Lまで希釈し、pHを4.0±0.1に調整し、かつポリソルベート80(P80)23.5mg/kgを添加した。濾過および濾過後洗浄の後、pH4.0におけるインキュベーションをタンパク質濃度が約20g/L、37℃で数時間行った。次に、pH4でインキュベートした物質を室温まで冷却した。
NaOHを用いてpHを6.5まで上げ、続いて約90分間インキュベーションを行った。pH調整およびインキュベーションによって、大部分のIgAおよびIgMを沈殿させることで除去した。沈殿した不純物を濾過によって除去した。伝導率の調整後、澄明溶液をインラインで濾過し、調整、10mM酢酸ナトリウムを用いたpH6.5への平衡化、および強陰イオン交換体(Macroprep High Performance;MPHQ)の充填を行ったカラムに導入した。所定の条件下で、IgGは流出液および洗浄画分中に認められるが、残存するIgAおよびIgMは他のタンパク質不純物とともに陰イオン交換(AIEX)樹脂に結合した。回収時、IgGを含む前記AIEXの流出液および洗浄画分のpHを4.8±0.1まで下げ、その値で維持した。
ウイルスは、0.1μmでの予備濾過後にインラインでナノ濾過を行って除去した。ウイルス除去後の濾液(virus filtrate)は、ポリエーテルスルホン膜を用いてタンパク質濃度2〜3%まで濃縮し、WFIを用いてダイアフィルトレーションを行った。ダイアフィルトレーション中、pHを4.1に持続的にシフトさせた。その後、前記溶液をタンパク質含有量が105〜135g/Lになるまで濃縮した。原薬をIgGが100g/Lになるまで希釈し、L−プロリン250mmol/L(最終濃度)で安定化させ、pHを4.80±0.10に維持した。製剤化原薬(formulated bulk)は0.2μm膜フィルターを通して粒子を濾過した。
(b)pHシフトおよびクロマトグラフィー緩衝系の最適化を含む改良した方法
本発明によるpHシフト工程およびクロマトグラフィー緩衝系の最適化を組み込むことによって、(a)に記載された方法を改良した。
NA PPTに、上記のとおりOA沈殿および低pHウイルス不活化を含む処理を行った。
次に、低pH4でインキュベートした溶液のpHを、1Mトリス緩衝液を用いてpH5.8に調整した。pH調整は90分かけて行い、続いて室温で90分間インキュベーションを行った。次に、形成された沈殿物を濾過によって除去した。請求項1の工程(b)に記載されたとおり、pHを約5.8および伝導率を約0.2〜0.5mS/cmなど、pHおよび伝導率を一定に保った。
リン酸塩緩衝液(0.12Mリン酸塩、pH7.3±0.2)を用いた調整および(5mMリン酸塩+10mM酢酸塩、pH6.0±0.1)を用いた平衡化の後、強陰イオン交換体(Macroprep High Performance;MPHQ)を充填したクロマトグラフィーカラムに樹脂1Lに対してタンパク質180g以下を70〜130cm/時間の直線流速で導入した。所定の条件下で、IgGは流出液および洗浄画分中に認められるが、残存するIgAおよびIgMは他のタンパク質不純物とともに陰イオン交換(AIEX)樹脂に結合した。回収時、IgGを含む前記AIEXの流出液および洗浄画分のpHを4.8±0.1まで下げ、その値で維持した。
下記の工程は(a)に記載されたとおりに行われた。
収量比較(従来の方法対改良した方法)
同じ出発中間体からのタンパク質収量に関する2つの方法の比較は表1〜3に示す。低pHインキュベーション(pH4)後のIgG収量を100%に設定した。
方法の差異および収量の増加を原因として、製剤の純度に大きな違いが生じることはなかったことが示された。
本実施例は、IgG収量に対するトリス緩衝液を用いた様々なpHへの調整の影響と、従来の6.5へのpHシフトの影響との比較を示す。
実施例1に記載されたとおり、PPT−NAから開始し、低pH4でインキュベートした溶液を上記のとおり作成した。1kgずつ8つに分割し、それぞれ1Mトリス緩衝液を用いてpH5.2;5.4;5.6;5.8;6.0;6.2;6.4に調整した。最後の区分のpHは、従来の方法に従って0.2M NaOHを用いて調整した。上記のとおり、pH調整は90分かけて行い、続いて室温で90分間インキュベーションを行った。次に、形成された沈殿物を濾過によって除去した。次に、実施例1(b)に記載されたとおり、濾液をAIEXカラムに導入した。導入した各溶液のタンパク質およびIgGの収量を比較した。結果は図1に示す。IgG収量に対する様々なpHシフトでの1Mトリス緩衝液の影響と、実施例1(a)に記載されたとおり従来技術の方法で用いられた0.2M NaOHの影響とを比較したところ、1Mトリス緩衝液を用いた大幅なpHシフト(pH:5.2〜6.2)でIgG収量の損失が最小限になることが示唆された。
本実施例は、5.8への望ましいpHシフトに用いたトリス緩衝液濃度の影響を示す。低pH4でインキュベートした溶液から開始し、1M;0.5Mおよび0.25Mのトリス緩衝液をそれぞれ用いてpHを4〜5.8までシフトさせた。
結果は図2に示す。出発物質(原料血漿由来PPT−II+III、NA、または回収血漿由来NA)に関係なく、用いたトリス緩衝液のモル濃度が増加するとIgG損失は低減した。
本実施例は、IgG収量に対する工程(b)でpH調整に用いた様々な試薬(アミン化合物、好ましくは多水酸化アミン化合物を含む)の影響を示す。
下記試薬を用いた:2−アミノ−1−エタノール(CNO)、ビス(ヒドロキシエチル)−アミン(C11NO)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(C15NO)、好ましくはビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノ−トリス(ヒドロキシメチル)−メタン(C19NO)、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(C13NO)、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン(C1126)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(C11NO)(トリス塩基)、およびこれらの試薬の組合せ。
実施例1に記載されたとおり、PPT−NAから開始し、低pH4でインキュベートした溶液を上記のとおり作成した。1kgずつ8つに分割し、上記試薬の1M溶液を用いて5.75〜5.85にpHを調整した。最後の区分のpHは、従来の方法に従って0.2M NaOHを用いて調整した。上記のとおり、pH調整は90分かけて行い、続いて室温で90分間インキュベーションを行った。次に、形成された沈殿物を濾過によって除去した。各濾液のIgGの収量を比較した。
結果は図4に示す。本結果は、IgG収量に対する工程(b)でpHシフトに用いた様々な試薬(1M溶液)の影響と、従来技術の方法で用いられた0.2M NaOHの影響との比較を示す。本結果は、様々なアミン化合物を用いることで、従来技術の方法と比較してIgG収量が増加することを示唆する。特に、多水酸化アミン化合物を用いることは有利である。

Claims (20)

  1. IgG、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含む溶液からの精製方法におけるIgGの収量を増加させる方法であって、
    (a)IgG、他の免疫グロブリンおよび/または他のタンパク質混入物を含み、pHが3.5〜5.2の間であり、総タンパク質濃度が少なくとも10g/Lである酸性溶液を用意すること;
    (b)該溶液の伝導率を1.5mS/cm未満に維持しつつ、pHを5.2〜6.2に調整すること;
    (c)該溶液を少なくとも15分間インキュベートすること;ならびに
    (d)任意の沈殿物を除去すること
    を含み、
    工程(b)におけるpH調整は、カルボキシル基の有無にかかわらず、少なくとも1種の多水酸化アミン化合物の添加によって行われる、前記方法。
  2. IgGを含む溶液は血漿由来の抗体を含む、請求項1に記載の方法。
  3. IgGを含む溶液はヒト血漿またはヒト脱クリオ血漿のエタノール分画によって得られる、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. IgGを含む溶液はオクタン酸沈殿から得た上清である、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(a)における溶液は限外濾過ダイアフィルトレーションによって清澄化されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(a)における溶液のpHは、3.9〜5.0である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(a)におけるタンパク質濃度は、10〜50g/Lの間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(b)におけるpHは5.6〜6.0に調整される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程(b)における伝導率は、250mMを超える濃度のトリスを用いて調整される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程(b)における伝導率は、1.0mS/cm未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程(b)におけるpHは5.6〜6.0に調整され、伝導率は0.2〜0.5mS/cmの間である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 工程(c)におけるインキュベーション時間は、72時間までである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(c)におけるインキュベーションは室温で行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 工程(d)における沈殿物は深層濾過によって除去される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 工程(d)後、その樹脂に混入物を結合するが、IgGを結合しない条件下でイオン交換クロマトグラフィー工程が行われる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. イオン交換クロマトグラフィーは陰イオン交換クロマトグラフィーである、請求項15に記載の方法。
  17. 溶液の伝導率をさらに調整することなく、イオン交換クロマトグラフィーを行う、請求項15または請求項16に記載の方法。
  18. ウイルス不活化工程をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. ウイルス不活化工程は低pH処理である、請求項18に記載の方法。
  20. 低pH処理は工程(a)の前に行われる、請求項19に記載の方法。
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