JP6474343B2 - 渦電流探傷検査装置のプローブ及び渦電流探傷検査装置 - Google Patents
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Description
太陽光パネルのアルミニウム電極のクラックは、積雪や突風、雹など自然災害によって生ずることがあるが、輸送時、施工時、メンテナンス時の取り扱いなどの人為的な行為に起因することが多いと言われている。このクラックは、将来的に太陽光パネルの出力低下の起因となる可能性があり、太陽光パネルのクラックの有無を製造時はもとより、施工後に検査することは、太陽光発電を長期間継続するために重要なことである。
渦電流探傷装置は、交流電源に接続される励磁コイルによって磁場を被検査体内に形成して被検査体の表面に渦電流を発生させ、この渦電流に誘導された誘導磁場を検出コイルで検出するものである。被検査体のクラックの存在によって渦電流が影響を受け、渦電流による磁場が変動するので、この磁場の変動をクラック検出コイルで検出して傷の有無を判断するものである。
被検査体にクラックがあると、クラックが生じていない部位と比べて誘起される渦電流の流路が変化するため渦電流の振幅や位相が変化するので、この変化を検出してクラックを検出するものである。
太陽電池パネルへの渦電流の誘起や渦電流信号の検出は、太陽電池パネルに対向配置したコイルを用いて実施できるので、非接触でクラックの検出が可能であり、瞬時に検出することができる。
しかしながら、渦電流の変化はクラックによってだけで生じるものでなく、被検査体の周縁端部、(以下エッジという)によっても起きるので、エッジ近辺においてはエッジとクラックの区別がつけ難く、クラックを見逃すことがある。図2は検出コイルの電圧変化を示すオシロ波形図であり、波形Aがクラックによるものであり、波形Bがエッジによるものである。
単一コイルの電気的インピーダンス変動の観点から見ると、エッジは大きなクラックと等価である。つまり、渦電流探傷法においては、エッジ近傍に存在するクラックは、エッジと区別がつけ難いという欠点があり、従来エッジの近傍の範囲のクラックの検出は不可能であった。
本発明は、渦電流探傷法において、エッジに近接するクラックをエッジに影響されずにクラックを正確に検出できるようにするものである。
エッジ励磁コイルとクラック励磁コイルに印加する電流が逆向きなので、両励磁コイルの間の領域は、コイルに印加される電流によって誘起される磁界が逆向きとなって互いに打ち消しあうため被検査体の表面に渦電流が誘導されないため不感帯が形成されるのである。
最外側に配置したエッジ検出コイルでエッジを検出し、不感帯によって隔てられたクラック検出コイルがクラックを検出するので、エッジとクラックの混同が排除され、クラックを正確に検出することできるのである。
プローブのコイルは四角形で中心を共通とした4つのコイルからなり、外側から順にエッジ検出コイル、エッジ励磁コイル、クラック励磁コイル、そしてクラック検出コイルが配置されており、エッジ励磁コイルとクラック励磁コイルには逆向きに電流が印加されており、エッジ励磁コイルとクラック励磁コイルの間の領域は不感帯としてある。
このとき、クラック検出コイルとエッジの間には不感帯が存在するためクラック検出コイルはエッジを検出できないので、クラック検出コイルの電圧変動が検出されると、この電圧変動はエッジによるものでなくクラックであると判定できるので、エッジをクラックと誤認混同することがなく明確に区別することができ、エッジに近接したクラックを正確に検出することができるのである。
一例を挙げると、60〜100mm角の基板B上に、1.5〜3mm幅の四角形のコイル20、21、22、23を配置したものであり、励磁コイルと検出コイルの間隔は2mmであり、不感帯3の幅Sは4〜10mmである。
不感帯3は、エッジ励磁コイル21の内周からクラック励磁コイル22の外周までを指すものである。
なお、プローブ1(コイル)の大きさは、被検査体Aの大きさに応じて設計するものであり、太陽光パネルが被検査体の場合は、セルの大きさに応じて設計する。
そして、エッジ励磁コイル21と、その内側のクラック励磁コイル22の間に間隔Sが設けてあって逆向きの電流が印加してあるので、被検査体Aの表面に誘起される渦電流は打ち消されることになって不感帯3が形成される。
この間隔Sの幅の不感帯3の存在によってクラック検出コイル23は、被検査体AのエッジA1に反応することがないので、エッジA1に近接した位置のクラックを検出することが可能となったのである。
不感帯3の幅Sは、余り狭くするとクラック検出コイル23がエッジA1に反応する恐れがあるので、不感帯3の幅Sは4〜10mm程度とするのが好ましく、被検査体の大きさやクラックの大きさに応じて不感帯3の幅を決定する。
励磁コイルに印加する電流の周波数は、特に限定するものでなく、特許文献1(特開2006−319303号公報)にも開示されているように1MHz以上の周波数を利用することができる。また、エッジ励磁コイルとクラック励磁コイルには同じ周波数を使用する。
必要に応じてエッジ励磁コイルとクラック励磁コイルの周波数を異なるものとしてもかまわない。
図3(1)に示すように、プローブ1のエッジ検出コイル20がエッジA1上に位置するときは、エッジ検出イル20は、エッジA1を検出しており、そして、不感帯3が存在するので、クラック検出コイル23はエッジA1に影響されることなくクラックを検出することができる。
図3(2)に示すように、エッジ検出コイル20がエッジA1より内側に離れて位置するときは、エッジ検出コイル20はエッジA1を検出せず、クラック検出コイル23は、クラックを検出することができる。この場合には、不感帯3を形成する必要がないので、エッジ励磁コイル21とクラック励磁コイル22に印加する電流の方向が逆向きでなくてもよい。
図3(3)に示すように、エッジ励磁コイル21がエッジA1の外側に位置し、エッジA1がエッジ励磁コイル21とクラック励磁コイル22の間に位置するとき、すなわち、不感帯3がエッジを跨いでいる状態のときは、不感帯3によってエッジA1の影響がクラック検出コイル23に及ばないため、よりエッジA1に近い部分までクラックが検出できるのである。
低摩擦係数樹脂としては、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂は、200℃の温度にも耐えることができ、耐熱性に優れていることから、被検査体のホットスポットにも耐えることができる。
また、センサーチャンバー41が使用によって摩耗した場合は、センサーチャンバー41を交換できるように、センサーチャンバー41はハウジング40に対して着脱可能としてある。
渦電流探傷装置4を太陽光パネル等の被検査体Aの上に載せ、スキャンすることによって検査する。クラックを検出すると、ブザーでクラック検出を知らせ、同時に、そのときのクラックとエッジのレベル(クラックの長さ)をLEDランプの点灯する数によって表示する。
クラックが1つだけで周辺に他のクラックが存在しない場合、検査に習熟した者であれば、30mmφのエリア内にクラックの位置を特定可能である。
20 エッジ検出コイル
21 エッジ励磁コイル
22 クラック励磁コイル
23 クラック検出コイル
3 不感帯
4 渦電流探傷装置
40 ハウジング
41 センサーチャンバー
A 被検査体(太陽光パネル)
A1 エッジ(被検査体の周縁部)
B 基板
Claims (4)
- 被検査体のエッジを検出する最外側のエッジ検出コイルと、その内側に順にエッジ励磁コイル、クラック励磁コイル、及びクラック検出コイルが設けてあり、エッジ励磁コイルとクラック励磁コイルには逆方向に励磁電流が印加されて両コイルの間に不感帯が形成されている渦電流探傷用プローブ。
- 請求項1において、コイルは、可撓性の基板上に設けてあり、被検査体の形状に追随可能である渦電流探傷用プローブ。
- 請求項1または2のいずれかの渦電流探傷用プローブを具備する、渦電流探傷検査装置。
- 請求項3において、低摩擦係数の樹脂製のセンサーチャンバーにプローブが収納してあり、センサーチャンバーはハウジングの底部に着脱自在としてある太陽光パネル用の渦電流探傷検査装置。
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