A.第1実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施形態としての情報処理装置を適用した案内システムの概略構成を示す説明図である。案内システム10は、情報処理装置100とナビゲーション装置200とを備えている。情報処理装置100とナビゲーション装置200とは、互いにネットワークNWを介して接続されている。案内システム10では、ナビゲーション装置200に対して情報処理装置100から地図データベースを送信し、ナビゲーション装置200において受信された地図データベースに基づき経路を探索して表示することにより、経路を誘導する。なお、図1では、ナビゲーション装置200は1台であるが、1台に限らず、任意の複数台を用いてもよい。
図1に示すように、情報処理装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを備えている。制御部110は、情報処理装置100全体を制御する。制御部110は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有しており、CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、地物特定部111、案内データ生成部112、評価値設定部113、距離特定部114、視認性推定部115、および案内目印決定部116の各機能部として機能する。これらの各機能部111〜116が実行する詳細な処理内容については、後述する案内データ生成処理において説明する。
記憶部120は、ネットワークデータ格納部121と、地物データ格納部122と、案内データ格納部123と、設定データ格納部124とを備えている。本実施形態では、記憶部120は、ハードディスクにより構成されている。なお、ハードディスクに代えて、フラッシュメモリや、EEPROMなど、任意の記憶装置を採用してもよい。
ネットワークデータ格納部121は、道路をリンクおよびノードで表わしたネットワークデータを格納する。ネットワークデータは、具体的には、各リンクを形成する点列の座標や、車線数や、道路種別等の情報を表わすリンクデータと、各交差点や高速道路上の分岐点やインターチェンジなどのノードの名称や座標等の情報を表わすノードデータとを含む。ネットワークデータは、予め管理者によってネットワークデータ格納部121に格納されている。
地物データ格納部122は、地物データを格納する。地物データは、地物(道路や建物等)を描画するためのポリゴンデータであり、名称、形状、代表点、到着地点、属性などのデータを含む。名称は、地物の名称であり、例えば、ポリゴンに固有のIDを用いてもよい。形状は、地物のポリゴンの頂点を示す座標の列である。代表点は、地物の位置を表わす地点の座標を意味する。本実施形態では、地物の図心が代表点として設定されている。なお、地物の図心に代えて、地物近傍の任意の位置を、代表点として設定してもよい。到着地点とは、地物が目的地として指定される際に目的地の座標として設定される地点の座標を意味する。本実施形態では、地物の近くに位置する道路上の地点が、予め到着地点として設定されている。より具体的には、地物が建物である場合には、かかる建物の正面出入口から道路に出るための線と道路を表す形状とが接する点としての、建物の正面に面した道路上の地点であって、ネットワークデータにおいて対応する点を有するものが、到着地点として設定されている。なお、建物に隣接して駐車場が配置されている場合には、かかる駐車場への出入り口に面した道路上の地点を、到着地点として設定してもよい。地物データは、予め管理者によって地物データ格納部122に格納されている。
案内データ格納部123は、案内データを格納する。本実施形態の案内データは、案内対象となるノードを表すデータ(座標や幅員やノードの名称等)と、かかるノードを案内する際の目印となり得る地物(以下、「案内目印」と呼ぶ)を表わす案内目印データと、かかる案内目印の目印としての有用性の程度を示す有用性データとを含んでいる。これらのデータは、互いに対応付けられている。本実施例では、上記目印としての有用性の程度を数値で評価した評価値データとして案内データ格納部123に格納しているため、以降では、有用性データを「評価値データ」とも呼ぶ。前述の「目印としての有用性」とは、例えば、ノードから見易い位置に存在する、他の建物と識別し易い、目立つ看板等が掲げられている可能性が高い、といったように、目印として有効に利用され得る性質を意味する。なお、案内目印は、後述する案内データ生成処理において決定される。
設定データ格納部124は、案内データを生成する際に参照される各種条件を表わすデータ(テーブル)を格納する。図1では、設定データ格納部124に格納されているデータの例として、階数条件テーブルtbとが表わされている。なお、このようなテーブルtbに加えて、他のデータ(テーブル)も、予め設定データ格納部124に格納されている。
図2は、図1に示す階数条件テーブルtbの設定内容を示す説明図である。階数条件テーブルtbは、建物の建物面積が所定の上限値以下であるか否かという条件と、1階(または未設定)に設定されている物件数が1件であるか又は2件以上(N)であるか否かという条件とに応じて、案内目印の生成対象として採用するか否かが設定されている。具体的には、建物面積が上限値よりも大きく、かつ、1階(または未設定)に設定されている物件数がN件である場合には、「不採用」が設定されており、その他の場合には、いずれも「採用」が設定されている。なお、上述した建物の建物面積に関する所定の上限値は、予め管理者により設定され、設定データ格納部124に格納されている。建物面積が所定の上限値以下の建物については、敷地の外周に店舗等の施設が接している可能性が高い。このため、道路上のユーザからの視認性が高くなるので、このような建物あるいは建物内に存在する施設のデータ(地物データに属性情報として記録されているデータをいう。以下本段落において同じ)は、案内目印の生成対象として採用するように設定されている。これに対して、建物面積が所定の上限値よりも大きな建物は、道路に面しない施設を含んでいる可能性が高く、このような場合、これらの店舗等の施設は、道路上のユーザからの視認性が低くなるおそれがある。但し、1階または未設定における物件数が1つである、すなわち、店舗等の施設が1階に1つのみ存在しているビルであれば、1階部分において施設ごとに異なる看板が複数混在する蓋然性が低いといったことから、一見してそのビルであることを特定できるため、目印としての有用性が高いと考えられる。そこで、建物面積が所定の上限値よりも大きな建物のうち、1階または未設定における物件数が1つである建物については、「採用」が設定され、物件数が2以上の建物については、「不採用」が設定されている。
上述した各格納部121〜124に格納されているデータを、以降において、「地図データベース」と呼ぶ。
図1に示す通信部130は、ネットワークNWを介してナビゲーション装置200と通信を行なう。後述するように、情報処理装置100は、ナビゲーション装置200からの要求に応じて、地図データベースを通信部130からナビゲーション装置200に送信する。
図1に示すナビゲーション装置200は、携帯性に優れる装置であり、例えば、自動車に搭載され、カーナビゲーション装置として用いられる。なお、ナビゲーション装置200を携帯電話機により構成してもよい。ナビゲーション装置200は、GPS(Global Positioning System)ユニット224と、表示パネル225と、地図データベース格納部226と、制御部210と、通信部221と、操作部222とを備えている。
GPSユニット224は、GPSを構成する人工衛星から受信する電波に基づき、ナビゲーション装置200の現在位置を測位する。表示パネル225は、各種メニュー画面や地図情報等を表示する。本実施形態では、表示パネル225は、タッチパネルにより構成されている。地図データベース格納部226は、情報処理装置100から受信した地図データベースを格納する。本実施形態では、地図データベース格納部226は、ハードディスクにより構成されている。なお、ハードディスクに代えて、フラッシュメモリや、EEPROMなど、任意の記憶装置を採用してもよい。
制御部210は、ナビゲーション装置200全体を制御する。制御部210は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有しており、CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、データ取得部211、優先順位設定部212、表示制御部213、経路探索部214、および経路案内部215の各機能部として機能する。これらの各機能部211〜215が実行する詳細な処理内容については、後述する案内データ生成処理において説明する。
通信部221は、ネットワークNWを介して情報処理装置100と通信を行なう。通信部221としては、例えば、移動体通信事業者の通信ネットワーク(移動体通信網)を構成する基地局と無線通信を行なう無線通信回路などにより構成される。
操作部222は、図示しないカーソルキーや表示パネル225(タッチパネル)からのユーザによる入力を受け付ける。このような入力としては、例えば、目的地の設定入力や表示パネル225に表示されるメニュー画面の切り替えの指示入力などが該当する。
上述した構成を備える本実施形態の案内システム10では、後述する案内データ生成処理が情報処理装置100において実行され、案内データが生成される。この案内データ生成処理により生成された案内データを用いて経路を誘導することにより、交差点等のノードにおける目印としてより有用な地物(建物等)を、ユーザに対して提示することができる。
以降では、地物として建物を例示して説明するが、建物に限らず、橋や塔や公園など、任意の構造物を地物として扱うことができる。なお、上述した表示制御部213、経路案内部215および表示パネル225は、請求項における目印提示部に相当する。また、表示パネル225は、請求項における表示部に相当する。
A2.案内データ生成処理:
図3は、第1実施形態における案内データ生成処理の手順を示すフローチャートである。案内システム10においては、ナビゲーション装置200における経路誘導が実行されるよりも前に、情報処理装置100において、案内データ生成処理が実行される。
情報処理装置100の地物特定部111は、地物データ格納部122に格納されている地物データに基づき、各地物(建物)の属性を特定する(ステップS105)。例えば、地物データが、複数のデータベースにより構成されている場合には、これら複数のデータベースから各地物に設定されている属性を特定する。
地物特定部111は、案内目印の生成対象となる地物(建物)の特定処理を実行する(ステップS110)。この処理は、案内目印として相応しくない建物を、案内目印の生成対象から除外して、案内目印として相応しい建物を抽出することを目的としている。
図4は、案内目印の生成対象となる地物の特定処理の詳細手順を示すフローチャートである。地物特定部111は、地物データにおいて各地物(建物)につき登録された店舗名等の属性情報を参照し、これらが有用性が高いと認められる所定のパターンに該当するか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、地物特定部111は、建物を表す地物データに属性情報として登録された店舗名等の施設の情報が、当該建物全体に対応するものであるか、または、前記施設の情報が当該建物の階層の一部分にのみ対応するものであって、かつ、当該建物の1階部分に対応するものであれば、当該地物は、有用性の高いと認められる所定のパターンに該当する建物であると判定する。ステップS205において所定のパターンに該当する建物ではない、すなわち、有用性が低いと認められるパターンの建物であると判定されると(ステップS205:NO)、当該地物はビル等の建物の上層部や地下に存在する可能性が高い為、地物特定部111は、当該地物(建物)を案内目印の生成対象から除外する(ステップS220)。
前述のステップS205において、各地物(建物)について、所定のパターンに該当する建物であると判定された場合(ステップS205:YES)、地物特定部111は、各地物(建物)が建物面積および階数に関する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS210)。具体的には、地物特定部111は、地物データ格納部122から各建物についての建物面積情報および階数情報を含む地物属性を読み出し、図2に示す階数条件テーブルtbの設定内容を参照して、当該建物が条件を満たすか否かを判定する。上述したように、階数条件テーブルtbには、建物面積と階数とに応じて、「採用」および「不採用」が設定されている。地物特定部111は、地物属性において設定されている建物面積および階数に基づき、階数条件テーブルtbにおいて設定されている値(採用又は不採用)を特定し、「採用」が特定されると、当該建物が建物面積および階数に関する所定の条件を満たすと判定し、「不採用」が特定されると、当該地物が建物面積および階数に関する所定の条件を満たさないと判定する。
前述のステップS210において、建物が建物面積および階数に関する所定の条件を満たさないと判定された場合(ステップS210:NO)、前述のステップS220が実行され、当該建物は案内目印の生成対象から除外される。これに対して、ステップS210において、建物が建物面積および階数に関する所定の条件を満たすと判定されると(ステップS210:YES)、地物特定部111は、当該地物(建物)を、案内目印の生成対象として設定する(ステップS215)。
図3に示すように、上述した案内目印の生成対象となる地物の特定処理(ステップS110)が完了すると、地物特定部111は、ネットワークデータに含まれる全てのノードのうち、順番に1つの注目ノードを特定して(ステップS115)、かかる注目ノードについて、案内目印候補の特定処理を実行する(ステップS120)。
図5は、案内目印候補の特定処理の手順を示すフローチャートである。距離特定部114は、地物データを利用して、前述のステップS110において案内目印の生成対象として設定された各地物(建物)と、注目ノードとの間の距離を算出する(ステップS305)。具体的には、各建物の代表点の座標と、注目ノードの座標とを利用して、これら2つの座標間の距離を算出する。地物特定部111は、ステップS305で算出された距離が、閾値以下であるか否かを判定する(ステップS310)。本実施形態では、ステップS310における所定の閾値として、予め90mが設定されて設定データ格納部124に格納されている。なお、90mに限らず、任意の距離を所定の閾値として設定してもよい。
前述のステップS310において、算出された距離(すなわち、建物と注目ノードとの距離)が所定の閾値以下ではない、すなわち、本実施形態では、90mよりも大きいと判定された場合(ステップS310:NO)、地物特定部111は、かかる地物(建物)を、案内目印候補から除外する(ステップS325)。注目ノードから所定の閾値以上の距離だけ離れた建物は、注目ノードからの視認性が低い。したがって、本実施形態では、このような建物は案内目印候補から除外している。これに対して、ステップS310において、算出された距離が所定の閾値以下であると判定された場合(ステップS310:YES)、地物特定部111は、注目ノードと地物(建物)との間に所定オブジェクトが有るか否かを判定する(ステップS315)。注目ノードと地物(建物)との間に所定オブジェクトが有ると判定されると(ステップS315:YES)、前述のステップS325が実行され、該当の建物は案内目印候補から除外される。これに対して、注目ノードと地物(建物)との間に所定オブジェクトが無いと判定されると(ステップS315:NO)、地物特定部111は、該当の地物(建物)を案内目印候補として特定する(ステップS320)。
上述したステップS315における所定オブジェクトとして、本実施形態では、橋、欄干、主要幹線道路、鉄道線路および水域が設定されている。このような所定オブジェクトが注目ノードとの間に存在するような建物は、注目ノードから比較的近くに位置していても、ユーザから視認され難い。例えば、注目ノードとの間に橋がある場合には、かかる橋を通る車両や橋自体により、建物が視認され難い。そこで、本実施形態では、このような所定オブジェクトが注目モードとの間に存在するような建物などを、案内目印候補から除外している。なお、所定オブジェクトとしては、これらのオブジェクトに限定されるものではなく、注目ノードとの間に存在した場合に、地物(建物など)の視認性を低減させるような任意のオブジェクトを採用してもよい。
図3に示すように、案内目印候補の特定処理(ステップS120)が完了すると、評価値設定部113は、評価値設定処理を実行する(ステップS125)。評価値設定処理とは、各案内目印候補の地物(建物)に対して、目印としての有用性の評価値を設定する処理を意味する。
図6は、評価値設定処理の詳細手順を示すフローチャートである。以下に説明するように、本実施形態の評価値設定処理では、上述のステップS120により特定された各案内目印候補について、種々の観点から減点ポイントを特定し、最終的に得られた減点ポイントに応じて評価値が設定される。
図6に示すように、まず、評価値設定部113は、各案内目印候補について、地物データを参照して業態を特定し、特定された業態に応じて減点ポイントを設定する(ステップS405)。設定データ格納部124には、業態に応じた減点ポイントが設定されているテーブルが予め格納されており、評価値設定部113は、かかるテーブルを参照して、減点すべきポイントを特定する。このテーブルには、案内目印としての有用性の高い建物が用いられる可能性が高い業態に対して、小さな減点ポイントが設定されている。例えば、ガソリンスタンドや、全国的にチェーン展開しているレストランやコンビニエンスストアに対しては、小さな減点ポイントが設定されている。これに対して、個人事業(例えば、個人経営の接骨院)など、一見して特定が容易でない建物など、案内目印としての有用性の低い建物が用いられる可能性が高い業態に対して、大きな減点ポイントが設定されている。なお、具体的な減点ポイントとしては、例えば、最大で30点とし、最小で0点(減点無し)としてもよい。案内目印としての有用性の高い建物が用いられる可能性が高い業態の建物に対して、より小さな減点ポイントが設定されるので、かかる建物の評価値を高めることができる。
距離特定部114は、各案内目印候補と注目ノードとの間の距離を算出する(ステップS410)。このステップS410は、上述した案内目印候補の特定処理におけるステップS305と同様の処理である。したがって、ステップS305で算出された距離を利用して、ステップS410において、距離を算出(特定)してもよい。
評価値設定部113は、ステップS410で算出された距離がより短い案内目印候補ほどより小さな減点ポイントが設定されるように、各案内目印候補に減点ポイントを設定する(ステップS415)。ステップS415における減点ポイントの設定方法として、本実施形態では、注目ノードと案内目印候補との間の距離を3段階に分けて、予め各段階ごとに所定の減点ポイントを設定しておき、ステップS410で算出された距離がどの段階に属するかを判定して、減点ポイントを設定する方法が採用されている。具体的には、注目ノードと案内目印候補との間の距離が30メートル以内の段階には、予め10点が減点ポイントとして設定されており、注目ノードと案内目印候補との間の距離が30メートルよりも大きく、かつ、60メートル以下の段階には、予め20点が減点ポイントとして設定されており、注目ノードと案内目印候補との間の距離が60メートルよりも大きい(かつ、90メートル以下)の段階には、予め30点が減点ポイントとして設定されている。なお、注目ノードと案内目印候補との間の距離を区分する段数は、3(段階)に限らず、任意の数に設定してもよい。また、減点ポイントの数値は上述の、10点刻みとする態様に限らず、任意の数値に設定してもよい。
地物特定部111は、各案内目印候補のうち、注目ノードと直接接続されているリンク(以下、「直接リンク」と呼ぶ)上に、到着地点が設定されている建物(以下、「直接リンク対応地物」と呼ぶ)を特定する(ステップS420)。
図7は、リンク、ノード、および地物が含まれる地図を模式的に示す説明図である。図7では、地図上の或る領域を、16個のリンクL1,L2,L3,L4,L11,L12,L21,L22,L31,L32,L201,L202,L301,L302,L401,L402と、9個のノードN1,N2,N3,N11,N12,N13,N21,N22,N23と、4つの建物b1,b2,b3,b4とにより、模式的に表わしている。
ノードN2が注目ノードである場合、ノードN2は、4つのリンクL2,L3,L21,L22に直接接続されている。したがって、これら4つのリンクL2,L3,L21,L22は、本実施形態における直接リンクに相当する。なお、図7では、直接リンクを太い実線で表わし、直接リンクではない他のリンク(換言すると、ノードN2と直接接続されていないリンク)を細い実線で表わしている。
図7に示すように、ノードN2は、それぞれ4つのリンクによって区分けされた4つの区画(領域)AR1,AR2,AR3,AR4と接している。区画AR1は、4つのリンクL3,L22,L302,L32により区分けされている。区画AR2は、4つのリンクL301,L21,L3,L31により区分けされている。区画AR3は、4つのリンクL201,L11,L2,L21により区分けされている。区画AR4は、4つのリンクL2,L12,L202,L22により区分けされている。図7に示すように、区画AR4には、3つの建物b1,b2,b3が配置されている。また、区画AR4とリンクL12を挟んで反対側の区画には、建物b4が配置されている。これら4つの建物b1〜b4は、いずれも案内目印候補として設定されている。
図7に示すように、建物b1の到着地点Ab1は、リンクL12上に配置されている。建物b2の到着地点Ab2は、リンクL22上に配置されている。建物b3の到着地点Ab3は、リンクL2上に配置されている。建物b4の到着地点Ab4は、リンクL1上に配置されている。上述のように、2つのリンクL2,L22は、直接リンクであるので、2つの建物b2,b3は、直接リンク対応地物に該当する。これに対して、2つのリンクL1,L12は、直接リンクではないので、他の2つの建物b1,b4は、直接リンク対応地物に該当しない。
図6に示すように、上述のステップS420が完了して直接リンク対応地物が特定されると、評価値設定部113は、各案内目印候補のうち、直接リンク対応地物に該当しない案内目印候補に0よりも大きな所定の減点ポイントを設定する(ステップS425)。このステップS425では、直接リンク対応地物に該当する案内目印候補には減点ポイントが設定されない。換言すると、直接リンク対応地物に該当する案内目印候補には減点ポイントとして0ポイントが設定される。このように、直接リンク対応地物に該当する案内目印候補に減点ポイントを設定せず、直接リンク対応地物に該当しない案内目印候補に0点よりも大きな減点ポイントを設定する理由について、図8を用いて以下説明する。
図8は、案内目印候補に対する減点ポイントの設定の有無の理由を説明するための図である。図8(A)は、直接リンク対応地物に該当しない案内目印候補に対して所定の減点ポイントを設定する理由を説明するための図であり、図8(B)は、直接リンク対応地物に該当する案内目印候補に対して減点ポイントを設定しない理由を説明するための図である。図8(A)は、図7に示す領域の一部を切り出すと共に、3つの建物b2,b3,b4を省略した図を表わしている。図8(B)は、建物b1に代えて、建物bxが配置されている点において、図8(A)と異なり、他の構成は、図8(A)と同じである。建物bxは、到着地点Abxが、リンクL22に設定されている点において図8(A)に示す建物b1と異なり、配置位置、大きさ、輪郭などの他の構成は、建物b1と同じである。
上述したように、本実施形態では、地物が建物である場合、かかる建物の正面に面した道路上の地点が、当該建物の到着地点として設定されている。したがって、図8(A)に示すように、建物b1の正面部Fb1は、リンクL12に向いているため、建物b1の到着地点Ab1は、リンクL12に設定されている。リンクL12は、直接リンクではないため、建物b1の正面部Fb1は、ノードN2から視認される可能性が低い。一般に、建物の正面部は、看板等が配置されるために目印として利用され易い。そこで、上述のように、ノードN2から正面部Fb1が視認される可能性が低い建物b1は、目印としての有用性が低い。このため、本実施形態では、建物b1のような直接リンク対応地物に該当しない建物に対しては、0点よりも大きな減点ポイントを設定して評価値を相対的に低くするようにしている。
これに対して、図8(B)に示すように、建物bxの正面部Fbxは、リンクL22に向いているため、建物bxの到着地点Abxは、リンクL22に設定されている。リンクL22は、直接リンクであるため、建物bxの正面部FbxはノードN2から視認される可能性が高いので、建物bxは、目印としての有用性が高い。そこで、本実施形態では、建物bxのような直接リンク対応地物に該当する建物(地物)に対しては、減点ポイントを設定しないようにして(または減点ポイントとして0点を設定することにより)、評価値を相対的に高くするようにしている。
図6に示すように、上述のステップS425が完了すると、視認性推定部115は、各案内目印候補のリンク近傍交点を特定し、特定されたリンク近傍交点と注目ノードとの間における建物の有無を特定する(ステップS430)。評価値設定部113は、ステップS430において、注目ノードとリンク近傍交点との間において建物が存在すると特定された案内目印候補に、所定の減点ポイントを設定する(ステップS435)。
図9は、建物b1のリンク近傍交点を示す説明図である。図9は、図8(A)と同様に、図7に示す領域の一部を切り出すと共に、3つの建物b2,b3,b4を省略した図を表わしている。加えて、図9では、建物b1の代表点rp1と、建物b1のリンク近傍交点p1とを表わしている。
本実施形態において、リンク近傍交点は、案内目印候補の代表点から、直接リンクまたは直接リンクの延長上に配置されているリンクのうち、代表点に最も近いリンクまで垂線を引き、かかる垂線と案内目印候補(建物)の輪郭との交点として、設定される。このようなリンク近傍交点は、案内目印候補である建物の外周面において、直接リンクまたは直接リンクの延長上に配置されているリンクに比較的近い点に該当する。このため、リンク近傍交点は、案内目印候補の建物上の他の点に比べて注目ノードから視認し易い。
図9の例では、建物b1の代表点rp1に最も近い直接リンクまたは直接リンクの延長上のリンクは、リンクL22であるので、かかるリンクL22に代表点rp1から垂線PLを引き、この垂線PLと建物b1の輪郭との交点p1が、建物b1のリンク近傍交点として設定される。
図10は、4つの建物b1〜b4についてのリンク近傍交点と注目ノードとの間における建物の有無を示す説明図である。図10は、図9と同様に、図7に示す領域の一部を切り出すと共に、各建物b1〜b4に設定されている各リンク近傍交点と、注目ノードとを結ぶ線分(以下、「注目ノード接続線分」と呼ぶ)とを表わしている。なお、建物b1について設定されているリンク近傍交点p1は、図9に示すリンク近傍交点p1と同じである。建物b2には、リンク近傍交点p2が設定されている。同様に、建物b3にはリンク近傍交点p3が、建物b4にはリンク近傍交点p4が、それぞれ設定されている。
図10に示すように、建物b1のリンク近傍交点p1と注目ノードN2とを結ぶ線分Ls1は、いずれの建物とも交わっていない。したがって、建物b1については、注目ノードN2とリンク近傍交点p1との間において建物が存在しないと判定される。同様に、建物b3についても、注目ノードN2とリンク近傍交点p3とを結ぶ線分Ls3は、いずれの建物とも交わっていないため、注目ノードN2とリンク近傍交点p3との間において建物が存在しないと判定される。したがって、2つの建物(案内目印候補)b1,b3には、所定の減点ポイントが設定されない。これに対して、建物b2のリンク近傍交点p2と注目ノードN2とを結ぶ線分Ls2は、建物b1と交わる。このため、建物b2については、注目ノードN2とリンク近傍交点p2との間において建物が存在すると判定される。同様に、建物b4についても、注目ノードN2とリンク近傍交点p4とを結ぶ線分Ls4が建物b3と交わるため、注目ノードN2とリンク近傍交点p4との間に建物が存在すると判定される。したがって、2つの建物(案内目印候補)b2,b4には、所定の減点ポイントが設定される。このように、注目ノードとリンク近傍交点との間において建物が存在すると特定された案内目印候補について、所定の減点ポイントを設定する理由について、図11を用いて以下説明する。
図11は、注目ノードと各建物b1〜b4との距離の程度を示す説明図である。図11は、注目ノードN2を中心とする2つの破線の円を加えて記載した点において、図7に示す地図と異なり、他の構成は、図7に示す地図と同じである。
2つの建物b1,b4に着目すると、これらの建物b1,b4は、いずれも、注目ノードであるノードN2からの距離に応じて設定されている3つの段階のうち、注目ノードN2から2番目に遠い段階の領域(2つの破線の円に挟まれた領域)CA1に配置されている。また、建物b1の到着地点Ab1および建物b4の到着地点Ab4は、いずれも直接リンクとは異なるリンク上に設定されている。したがって、2つの建物b1,b4について設定されているステップS425までの間の減点ポイントは、互いに業態が同じであれば同じ値となる。しかしながら、図10に示すように、建物b1については、注目ノードN2とリンク近傍交点p1との間に建物が存在しないことから、注目ノードN2から視認される可能性が高く、目印としての有用性は比較的高い。これに対して、建物b4については、注目ノードN2とリンク近傍交点p4との間に建物b3が存在することから、注目ノードN2から視認される可能性は低く、目印としての有用性は比較的低い。このため、本実施形態では、上述したステップS430およびS435を実行することにより、注目ノードN2からの視認性を考慮して評価値が調整されるように、減点ポイントを設定している。換言すると、ステップS430を実行することによって注目ノードN2から各建物が視認可能であるか否かを推定し、ステップS435を実行することによって、視認可能であると推定される建物に対して減点ポイントを設定しないことによって比較的高い評価値を設定し、視認不可能であると推定される建物に対して0点よりも大きな所定の減点ポイントを設定することによって比較的低い評価値を設定するようにしている。
なお、本実施形態では、ステップS435で設定する減点ポイントは、ステップS415において注目ノードからの距離に応じた段階ごとに設定される減点ポイントのうち、隣接する段階の減点ポイントの差分よりも大きな値に設定されている。
図12は、ステップS415において設定される減点ポイントと、ステップS435で設定される減点ポイントの一例を示す説明図である。図12は、建物b10が配置されている点において、図11と異なり、他の構成は、図11と同じである。建物b10は、3つのリンクL4,L32,L402に一部が囲まれた区画に配置されている。建物b10は、注目ノードN2からの距離に応じて設定されている3つの段階のうち、注目ノードN2から3番目に遠い領域(最も外側の破線の円よりも外側の領域)CA2に配置されている。なお、建物b4については、注目ノードであるノードN2から2番目に遠い領域CA1に配置されている。図12では、これら2つの建物b10,b4に対して上述のステップS415において設定される減点ポイント(注目ノードとの間の距離に応じた減点ポイント)、およびステップS435において設定される減点ポイント(注目ノードとリンク近傍交点との間における建物の有無に応じた減点ポイント)を表わしている。具体的には、建物b10には、ステップS415において30点(−30)が設定され、ステップS435において0点(すなわち、減点ポイントが設定されていない)が設定されている。建物b4には、ステップS415において20点(−20)が設定され、ステップS435において15点(−15)が設定されている。
建物b10には、ステップS415において、建物b4に比べて10点多くの減点ポイントが設定されている。しかしながら、ステップS435において、建物b10には減点ポイントが設定されず(換言すると、0点が設定され)、建物b4には、減点ポイントとして15点が設定されている。このため、これら2つのステップS415,435で設定される減点ポイントの合計を、建物b10と建物b4とで比較すると、建物b10については、30点(−30)であるのに対して、建物b4については、35点(−35)となり、建物b10の方がより少ない値となる。したがって、建物b10と建物b4とで、他のステップにおいて設定される減点ポイントが同じであれば、建物b10の方が、より高い評価値が設定されることとなる。これは、注目ノードにより近い段階に位置する案内目印候補(建物)であっても、注目ノードとの間に他の建物が存在する場合には、より遠き段階に位置し、かつ、注目ノードとの間に他の建物が存在しない案内目印候補に比べて案内目印としての有用性が低いと考えられることを反映している。このため、本実施形態では、ステップS435で設定する減点ポイントを、ステップS415において、注目ノードからの距離に応じた段階ごとに設定される減点ポイントのうち、隣接する段階の減点ポイントの差分よりも大きな値に設定している。
評価値設定部113は、各案内目印候補について、ステップS405〜S435において設定された減点ポイントの合計値を算出する(ステップS440)。
評価値設定部113は、ステップS440において算出された減点ポイントの合計値がより少ない案内目印候補に対して、より高い評価値が設定されるように、各案内目印候補に評価値を設定する(ステップS445)。本実施形態では、所定値から減点ポイントの合計値を差し引くことにより、評価値を設定する。所定値としては、任意の値を設定することができる。なお、評価値の設定方法としては、所定値から減点ポイントの合計値を差し引くことに代えて、減点ポイントの合計値の逆数を評価値として設定するなど、減点ポイントの合計値がより少ないほどより高い評価値となるような任意の方法を採用してもよい。
図3に戻って、評価値設定処理(ステップS125)が完了すると、案内目印決定部116は、案内目印決定処理を実行する(ステップS130)。案内目印決定処理とは、各ノードについて、各案内目印候補のうちから案内目印を決定する処理を意味する。
図13は、案内目印処理の手順を示すフローチャートである。まず、案内目印決定部116は、注目ノードに対して設定可能な案内目印の上限数を特定する(ステップS505)。本実施形態では、設定データ格納部124には、各ノードに対して設定可能な案内目印数の上限数が設定されているテーブルが予め格納されており、案内目印決定部116は、かかるテーブルを参照して、注目ノードに設定されている案内目印数の上限数を特定する。
案内目印決定部116は、同一建物に対して複数の案内目印候補が存在するケースを検索し、かかるケースが存在する場合には、これら複数の案内目印候補のうち、より高い評価値が設定されている案内目印候補に絞る(ステップS510)。具体的には、より高い評価値が設定されている案内目印候補を残存させ、残りの案内目印候補を、案内目印候補から除外する。同一建物に対して複数の案内目印候補が存在するケースとしては、例えば、同一の単独建物に対して、「コンビニエンスストア」という店舗カテゴリに基づく案内目印候補と、かかるコンビニエンスストアの具体的なチェーン店名称に基づく案内目印候補とが設定されているケースなどが該当する。
案内目印決定部116は、決定された案内目印数は上限数に達したか否かを判定し(ステップS515)、上限数に達していないと判定された場合、案内目印として決定されていない案内目印候補のうち、最も高い評価値が設定されている案内目印候補を、案内目印として決定する(ステップS520)。
案内目印決定部116は、ステップS520で決定された案内目印と同じ区画内に、他の案内目印候補が存在するか否かを判定し(ステップS525)、他の案内目印候補が存在すると判定された場合(ステップS525:YES)、当該他の案内目印候補に設定されている評価値を所定数だけ一律に低減させ(ステップS530)、上述したステップS515に戻る。これに対して、上述のステップS525において、他の案内目印候補が存在しないと判定された場合(ステップS525:NO)、前述のステップS515に戻る。
図14は、案内目印候補のうちから案内目印が決定される様子を模式的に示す説明図である。図14(A)は、最初の案内目印が決定される際の様子を示し、図14(B)は、二番目の案内目印が決定される様子を示す。なお、図14では、図7に示す各ノード、リンク、および建物のうち、4つのリンクL1,L4,L401,L402と建物b4を省略すると共に、新たな3つの建物b5,b6,b7を追加している。建物b5は、区画AR1に配置されている。建物b6は、区画AR2に配置されている。建物b7は、区画AR3に配置されている。各建物b1〜b7の輪郭(建物面)内の数字は、注目ノードがノードN2である場合の評価値を表わしている。
図14(A)に示すように、最初に案内目印を決定する際には、各建物b1〜b3,b5〜b7のうち、最も高い評価値が設定されている建物b3が案内目印として決定される。なお、建物b3は、案内目印として決定されたことにより案内目印候補から外れる。この建物b3が存在する区画AR4には、他の建物として、2つの建物b1,b2が存在している。このため、上述のステップS530が実行されると、図14(B)に示すように、これら2つの建物b1,b2の評価値は、それぞれ低減されている。なお、本実施形態では、ステップS530により低減される評価値は、10点である。ここで、図14(A)に示すように、建物b1の当初の評価値は、180点であり、最初に案内目印として決定された建物b3の評価値(190点)に次いで2番目に高い値である。しかしながら、図14(B)に示すように、建物b3が案内目印として決定された後、建物b1の評価値は、ステップS530により低減されて170点となったため、建物b6の評価値(175点)に次いで2番目に高い値となり、相対的に順位が低下している。これに対して、建物b6の評価値は、175点であり、各建物b1〜b7の当初の評価値のうち3番目に高い値であったが、ステップS530が実行された後は、建物b3を除き1番目に高い値となる。このため、図14(B)に示すように、建物b6は、2番目の案内目印として決定されることになる。
このように、本実施形態では、案内目印が決定されるたびに、当該案内目印が存在する区画と同じ区画に存在する他の案内目印候補の評価値を低減させることにより、他の区画に存在する案内目印候補が、案内目印として決定され易くしている。このようにすることで、注目ノードに対して特定の方向に案内目印が偏在することを抑制できるので、注目ノードであるノードN2に対して、4つの直接リンクL2,L3,L21,L22のいずれのリンクを通って接近した場合でも、案内目印を見つけ易くできる。
図13に示すように、上述のステップS515において、決定された案内目印数が上限数に達したと判定された場合(ステップS515:YES)、案内目印決定処理は終了する。
図3に示すように、案内目印決定処理(ステップS130)が完了すると、地物特定部111は、案内目印が決定されていない他のノードが存在するか否かを判定し(ステップS135)、他のノードが存在すると判定されると(ステップS135:YES)、前述のステップS115に戻る。これに対して、案内目印が決定されていない他のノードが存在しないと判定されると(ステップS135:NO)、案内データ生成部112は、各ノードに対して決定された案内目印(地物)を特定可能な情報と、各案内目印に設定されている評価値とを含む案内データを生成して、案内データ格納部123に格納する(ステップS140)。
A3.案内処理:
図15は、案内処理の手順を示すフローチャートである。案内処理とは、ユーザにより指定された地点まで経路誘導を行なう処理である。かかる案内処理は、ユーザがナビゲーション装置200において、経路誘導メニューを選択実行したことを契機として実行される。なお、本実施形態では、ナビゲーション装置200のデータ取得部211は、案内処理が開始されるよりも前に、予め情報処理装置100から地図データベースを取得して地図データベース格納部226に格納している。なお、予め地図データベースを地図データベース格納部226に格納することに代えて、案内処理の一手順として、情報処理装置100から地図データベースを取得して、地図データベース格納部226に格納してもよい。
ナビゲーション装置200の経路案内部215は、出発地および目的地を特定する(ステップS605)。例えば、ユーザが操作部222を利用して、出発地および目的地を設定した場合には、これら設定された出発地および目的地を特定する。また、出発地を「現在地」とするようにユーザによって指定された場合には、GPSユニット224を利用してナビゲーション装置200の現在地を特定し、かかる現在地を出発地として特定してもよい。
経路案内部215は、ステップS605で特定された目的地に対する到着地点を特定する(ステップS610)。上述したように、地図データベースに含まれる地物データには、各地物(建物など)に対して到着地点が予め設定されている。そこで、本実施形態では、経路案内部215は、地図データベース格納部226に格納されている地図データベースを利用して、目的地に対する到着地点を特定する。
経路探索部214は、出発地から目的地(到着地点)に対する経路探索を行ない、経路を決定する(ステップS615)。なお、複数の経路を抽出して表示パネル225に表示して、ユーザに利用する経路を決定させてもよい。
経路探索部214は、GPSユニット224を利用してナビゲーション装置200の現在位置を特定する(ステップS620)。経路案内部215は、ネットワークデータおよび地物データに基づき、経路および現在地を表示パネル225に表示させることにより、経路誘導処理を実行する(ステップS625)。経路誘導中において、左折または右折を行なうべき交差点など、目的地以外にユーザに対して案内すべきノード(以下、「案内対象ノード」と呼ぶ)にナビゲーション装置200が近づくと、ナビゲーション装置200において案内目印表示処理が実行される(ステップS630)。なお、案内対象ノードとしては、右折または左折すべき交差点に限らず、予めユーザによって設定された任意のノードであってもよい。また、進行中の経路が正しいことをユーザに確信させるために、直進する道路上の各ノードを、案内対象ノードとしてもよい。
図16は、第1実施形態における案内目印表示処理の手順を示すフローチャートである。経路案内部215は、地図データベース格納部226に格納されている案内データのうち、案内対象ノードに設定されている案内目印に関するデータを取得する(ステップS705)。
経路案内部215は、案内対象ノードにおける通常表示上限数を特定する(ステップS710)。通常表示上限数とは、案内対象ノードに対して通常表示モードにて表示する案内目印の上限数を意味する。通常表示モードについては、後述する。本実施形態では、地図データベースには、各ノードに通常表示上限数が設定されているテーブルが含まれており、経路案内部215は、かかるテーブルを参照して、案内対象ノードにおける通常表示上限数を設定する。なお、上述した各ノードに通常表示上限数が設定されているテーブルに代えて、直接リンクの幅員に応じて通常表示上限数が設定されているテーブルを地図データベースに含ませておき、かかるテーブルを参照して、案内対象ノードの直接リンクのうち最も幅員の大きなリンクの幅員や、直接リンクの平均幅員などに基づき、通常表示上限数を特定してもよい。
図16に示すように、経路案内部215は、案内対象ノードに設定されている案内目印数が、ステップS710で特定された通常表示上限数よりも多いか否かを判定する(ステップS715)。案内対象ノードに設定されている案内目印数が通常表示上限数よりも多くない(すなわち、案内目印数が通常表示上限数以下である)と判定された場合(ステップS715:NO)、経路案内部215は、表示制御部213を制御して、案内対象ノードに設定されているすべての案内目印を表示パネル225に通常表示する(ステップS735)。
これに対して、前述のステップS715において、案内対象ノードに設定されている案内目印数が通常表示上限数よりも多いと判定された場合(ステップS715:YES)、優先順位設定部212は、案内対象ノードに設定されている各案内目印について、評価値に基づき優先順位を特定する(ステップS720)。具体的には、より高い評価値の案内目印に対してより高い順位となるような優先順位を特定する。
経路案内部215は、表示制御部213を制御して、案内対象ノードに設定されている案内目印のうち、優先順位の高い案内目印から順に、通常表示上限数分の案内目印を表示パネル225に通常表示する(ステップS725)と共に、残りの案内目印を、通常表示された案内目印と比較して視認性が低い態様(以下、「低視認性態様」と呼ぶ)で表示パネル225に表示する(ステップS730)。本実施形態において、通常表示とは、案内目印のアイコンを所定の色にて塗りつぶして表示させて、背景が見えない(透過しない)態様で表示させることを意味する。また、本実施形態において、低視認性態様とは、案内目印のアイコンを、背景を透過するように表示させることを意味する。このような表示態様の違いにより、通常表示する案内目印をより強調させることができる。
図17は、第1実施形態における案内目印の表示例を示す説明図である。図17では、図14に示す各ノード、リンク、および建物と同じノード、リンク、および建物が表わされている。なお、表示パネル225には、例えば、建物b1は、建物b1のアイコンとして表示されるが、説明の便宜上、建物b1のアイコンに対しても建物b1と同じ符号(b1)を付し、以下では、建物b1のアイコンを単に「建物b1」と呼ぶ。図17では、ノードN2に近づいた場合に表示パネル225に表示される案内目印を示している。なお、図17に示すように、表示パネル225には、案内目印に加えて、リンクおよびノードが表示されている。なお、図17では、ノードN2が案内対象ノードであり、通常表示上限数として「3」が設定されている場合の表示例を表わしている。
案内対象ノードであるノードN2に対して、案内目印として6つの建物b1〜b3,b5〜b7が設定されている。このため、図17に示すように、6つの建物b1〜b3,b5〜b7のうち、3つの建物b1,b3,b6は通常表示され、残りの3つの建物b2,b5,b7は、低視認性態様にて表示されている。
このような案内目印の表示態様により、ユーザは、ノードN2に近づく際に、通常表示されている3つの建物(案内目印)b1,b3,b6により注意を払うことになり、これら3つの建物を探してノードN2を特定することができる。これら3つの建物は、比較的評価値の高い目印であるので、目印としての有用性が比較的高い。したがって、ユーザは、これらの案内目印の示す実際の建物を見つける可能性が高く、ノードN2を特定できる可能性を高めることができる。また、これら3つの案内目印b1,b3,b6によってもノードN2が特定できない、或いは、近づいて行く交差点がノードN2であることを確信できなかったとしても、他の3つの案内目印b2,b5,b7が表示されているので、ユーザは、これらの案内目印b2,b5,b7によってノードN2を特定でき、または、ノードN2であることを確信し得る。加えて、6つの建物b1〜b3,b5〜b7のいずれもが通常表示される構成に比べて、ノードN2の近傍に建物が密集して表示されてしまい、建物やノードが見えづらくなることを抑制できる。
図15に示すように、経路案内部215は、目的地(到着地点)に到着したか否かを判定し(ステップS635)、到着していないと判定された場合には、上述のステップS620に戻り、到着したと判定された場合には、案内処理を終了する。
以上説明した第1実施形態の案内システム10では、情報処理装置100において、各案内目印に対して目印としての有用性の程度を表わす評価値を設定するので、ナビゲーション装置200において案内目印を表示させる際に、かかる評価値を用いて、各案内目印の強調の程度を制御できる。加えて、案内目印数が通常表示上限数を超えている場合に、評価値の高い案内目印を通常表示させ、評価値の低い案内目印を低視認性態様により表示するので、数多くの案内目印が設定されているノードにおいて、目印としての有用性の高い案内目印を強調することができる。したがって、案内目印を表示させる或いは表示させないという二者択一的な表示制御とは異なり、どの案内目印を優先して探せばよいかをユーザに提示(指示)できると共に、多くの案内目印を表示させつつも、表示内容が煩雑となって案内目印が見えづらくなることを抑制できる。
また、各案内目印候補のうち、直接リンク対応地物に対して減点ポイントを設定せず、直接リンク対応地物に該当しない候補に対して所定の減点ポイントを設定するので、直接リンク対応地物の評価値を高めて、案内目印として決定され易くできる。このため、注目ノードから正面部が視認される可能性の高い建物などを案内目印として決定し易くできるので、目印としての有用性の高い建物などを、案内目印に設定することができる。
また、注目ノードとの間の距離がより短い案内目印候補に対して、より小さな減点ポイントが設定されるので、注目ノード近傍から視認され易い(見つかり易い)案内目印候補に対して、より高い評価値を設定することができる。このため、注目ノード近傍から視認され易い案内目印候補を、案内目印として決定され易くできる。
また、注目ノードとリンク近傍交点との間に他の建物が存在しない案内目印候補に対して減点ポイントを設定せず、かかる間に他の建物が存在する案内目印候補に所定の減点ポイントを設定するので、注目ノードとリンク近傍交点との間に他の建物が存在せず、注目ノードから直接視認できる可能性の高い案内目印候補の評価値を高めて、案内目印として決定され易くできる。
また、各案内目印候補の注目ノードからの視認性を推定する際に(ステップS430を実行する際に)、注目ノードを端点とする線分の他端をリンク近傍交点としている。リンク近傍交点は、直接リンクまたは直接リンクの延長上に配置されているリンクに比較的近い点に該当する。このため、かかるリンク近傍交点は、案内目印候補である建物などにおける他の点に比べて注目ノードから視認し易いので、注目ノードからの案内目印候補の視認性を推定するのにより好ましい。それゆえ、案内目印候補の注目ノードからの視認性をより正確に推定できる。
また、案内目印を決定する際に、案内目印候補から案内目印が決定されるたびに、決定された案内目印と同じ区画に存在する他の案内目印候補の評価値を低減させるので、かかる区画から次の案内目印が決定されることを抑制できる。このため、ノードに対して特定の方向(区画)に案内目印が偏在することを抑制できるので、ノードに対していずれの直接リンクを通って接近する場合であっても、案内目印を見つけ易くできる。
また、評価値設定処理のステップS435で設定する減点ポイントは、ステップS415において注目ノードからの距離に応じた段階ごとに設定される減点ポイントのうち、隣接する段階の減点ポイントの差分よりも大きな値に設定されている。このため、ノードから比較的大きく離れている建物などであっても、ノードから直接視認できる可能性が高く、目印としてより有用性の高い建物などを、案内目印として決定され易くできる。
また、低視認性態様の表示として、案内目印のアイコンを、背景を透過させるような表示としているので、通常表示された案内目印のアイコンをより強調させることができる。
B.第2実施形態:
図18は、第2実施形態における案内目印表示処理の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の案内システムは、案内目印表示処理の手順において、第1実施形態の案内システム10と異なる。第2実施形態の案内システムのシステム構成および他の処理の手順については、第1実施形態の案内システム10と同じであるので、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態の案内目印表示処理は、ステップS730に代えて、ステップS730aを実行する点において、図16に示す第1実施形態の案内目印表示処理と異なり、他の手順は、第1実施形態の案内目印表示処理と同じである。
上述したステップS725が実行されて、優先順位の高い案内目印から順に、通常表示上限数分の案内目印が表示パネル225に表示されると、経路案内部215は、表示制御部213を制御して、残りの案内目印を、より低い評価値の案内目印ほど、より低い視認性を有するような態様で表示パネル225に表示する(ステップS730a)。具体的には、経路案内部215は、より低い評価値の案内目印について、そのアイコンの透過度をより高くなるように制御して、表示パネル225に表示する。
図19は、第2実施形態における案内目印の表示例を示す説明図である。図19に示す表示例は、3つの建物b2,b5,b7の表示態様において、図17に示す第1実施態様における表示例と異なり、他の構成は、図17に示す表示例と同じである。なお、図19では、説明の便宜上、3つの建物b2,b5,b7の内部に、それぞれ評価値を示している。
優先順位の1位から3位までの3つの建物b1,b3,b6は、いずれも通常表示されているので、互いに同一の表示態様で表示されている。これに対して、優先順位の低い(すなわち、評価値が低い)3つの建物b2,b5,b7は、互いに異なる態様にて表示されている。具体的には、これら3つの建物b2,b5,b7のうち、最も低い評価値(優先順位)の建物b2の透過度が最も高く、2番目に低い評価値の建物b5の透過度が2番目に高く、3番目に低い評価値の建物b7の透過度が3番目に高くなるように、各建物b2,b5,b7の透過度が制御されて、3つの建物b2,b5,b7が表示されている。なお、これら3つの建物b2,b5,b7のうちで最も透過度の低い建物b7であっても、若干背景が透過して見える。したがって、建物b7の透過度は、優先順位(透過度)が第1位から第3位までの3つの建物b1,b3,b6の透過度よりも高い。
このような表示態様により、第1実施形態と同様に、優先順位が上限数以内である3つの建物b1,b3,b6をより強調して表示できる。加えて、残りの3つの建物b2,b5,b7について、より評価値の低い建物の透過度がより高くなるように表示されるので、これら3つの建物において、より評価値の高い建物をより強調させることができる。したがって、ユーザは、通常表示されている案内目印を特定できなかった場合に、いずれの案内目印を優先的に捜せばよいかを容易に理解できる。
C.変形例:
C1.変形例1:
各実施形態では、低視認性態様は、案内目印である建物のアイコンを、背景を透過するように表示することを意味していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、建物などのアイコンの大きさ、明度、彩度などを調整して、通常表示に比べて視認性を低減させてもよい。また、例えば、通常表示においては、建物などのアイコンを立体的に表示させるのに対して、低視認性態様の表示では、建物などのアイコンを平面的に表示させることにより、低視認性態様を実現してもよい。すなわち、一般には、低視認性態様として、通常表示に比べて視認性を低減可能な任意の表示態様を、採用してもよい。
C2.変形例2:
各実施形態では、表示パネル225に表示させる案内目印として、案内目印の建物などのアイコンを表示させていたが、かかるアイコンに代えて、または、かかるアイコンに加えて、案内目印の少なくとも一部の属性を表示させてもよい。例えば、建物のアイコンと共に、建物の名称や、建物の業種、施設のサムネイル画像や、上述した評価値や、上述した優先順位を表示させてもよい。
C3.変形例3:
各実施形態では、例えば、図17に示す建物b1,b3,b6のように、通常表示の建物は、いずれも同一の態様(通常表示)で表示されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、通常表示する建物のうち、より高い評価値の建物をより強調して表示してもよい。具体的には、通常表示する建物のうち、より高い評価値の建物は、より彩度の高い色により表現してもよい。また例えば、より高い評価値の建物の輪郭をより太く表示してもよい。
C4.変形例4:
各実施形態では、通常表示させる案内目印の上限数が設定されていたが、かかる上限数を省略してもよい。この構成においては、すべての案内目印に対して、評価値に応じた優先順位を定め、より高い優先順位の案内目印を、より強調して表示することが好ましい。例えば、第2実施形態において低視認性態様で表示される他の案内目印(建物b2、b5,b7)のように、より高い優先順位の案内目印がより低い透過度で表わされるような表示方法を採用してもよい。
C5.変形例5:
各実施形態では、案内目印を表示パネル225に表示していたが、表示に代えて、または、表示に加えて、音声案内してもよい。この構成においても、各案内目印に対して評価値が設定されているので、かかる評価値に応じて出力する音声案内の内容を異ならせることができる。例えば、評価値の高い案内目印に対しては、「この先、右折予定の交差点の近くにコンビニエンスストアが見えます」といった内容を音声出力し、評価値の低い案内目印に対しては、「この先、右折予定の交差点の近くにおいて、位置によっては、病院が見えるかもしれません」といった内容を音声出力してもよい。すなわち、一般には、案内目印の少なくとも一部を、より高い評価値の案内目印をより強調して提示可能なシステムを、本発明の案内システムとして採用してもよい。
C6.変形例6:
各実施形態では、予め情報処理装置100において案内データを生成しておき、案内処理が開始される以前に、案内データを含む地図データベースをナビゲーション装置200に送信して格納しておいたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ナビゲーション装置200において、経路誘導処理を実行している途中において案内対象ノードに近づいた際に、ナビゲーション装置200から情報処理装置100に対して案内目印の生成を依頼し、かかる依頼に基づき情報処理装置100において案内目印が決定されてもよい。そして、情報処理装置100からナビゲーション装置200に決定された案内目印に関するデータを送信し、ナビゲーション装置200において受信したデータに基づき、案内目印表示処理を行ってもよい。
C7.変形例7:
各実施形態では、経路探索を行う機能部(経路探索部214)は、ナビゲーション装置200が備えていたが、ナビゲーション装置200に代えて情報処理装置100が備えていてもよい。この構成では、例えば、案内処理のステップS605を、各実施例と同様にナビゲーション装置200において実行し、特定された出発地および目的地の座標を情報処理装置100に送信してもよい。そして、情報処理装置100において、受信された出発地および目的地の座標に基づき、到着地点の特定(ステップS610)および経路探索(ステップS615)を実行してもよい。更に、探索して得られた経路を示す情報を情報処理装置100からナビゲーション装置200に送信して、ナビゲーション装置200において、ステップS620以降の処理を行うようにしてもよい。このような構成により、ナビゲーション装置200における処理負荷を軽減でき、ナビゲーション装置200の製造コストの低減や小型化を実現できる。
C8.変形例8:
各実施形態では、各地物に対して到着地点が設定されていたが、少なくとも一部のエリアの地物に対して到着地点が設定されない構成を採用してもよい。かかる構成では、図6に示す評価地設定処理におけるステップS425の処理を省略してもよい。到着地点が設定されていない地物については、かかる地物が直接リンク対応地物に該当するか否かを判定できない。そこで、この場合、当該エリアの地物については、ステップS425を省略して、一律に減点ポイントを設定しないようにしてもよい。
C9.変形例9:
各実施形態では、図13に示す案内目印決定処理のステップS505において、注目ノードに対して設定可能な案内目印の上限数を特定する方法として、予め各ノードに対して設定可能な案内目印の上限数が設定されているテーブルを参照して特定していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、設定データ格納部124にリンクの幅員と上限数とを対応付けるテーブルを予め格納しておき、注目ノードの直接リンクのうち、最も幅員の大きなリンクの幅員を特定して、かかる幅員に基づき、前述のテーブルを参照して、注目ノードに対して設定可能な案内目印の上限数を特定してもよい。また、直接リンクの平均幅員を特定し、かかる平均幅員に基づき、前述のテーブルを参照して、注目ノードに対して設定可能な案内目印の上限数を特定してもよい。これらの構成においては、より大きな幅員に対してより大きな上限数を対応付けてもよい。より大きな幅員のリンク上のノードの近傍には、より多くの案内目印が存在し得る。このため、より大きな幅員に対してより大きな上限数を対応付けることにより、より多くの案内目印候補を案内目印として決定させて、提示させることができる。なお、上述したステップS505で用いられたテーブル(各ノードに対して設定可能な上限数が予設定されているテーブル)においても、予めより大きな幅員のリンク上のノードに対して、より大きな上限数を設定してもよい。
同様にして、各実施形態の案内目印表示処理におけるステップS710において用いられたテーブル(各ノードに通常表示上限数が設定されているテーブル)、およびその変形例のテーブル(直接リンクの幅員に応じて通常表示上限数が設定されているテーブル)についても、より大きな幅員のリンク上のノード又はより大きな幅員に対して、より多くの上限数を設定してもよい。このような構成により、付近により多くの案内目印が存在し得るノードに対してより多くの案内目印を表示できる。このため、ユーザは、案内対象ノードを容易に特定できる。
C10.変形例10:
各実施形態では、図13に示す案内目印決定処理のステップS530において、案内目印として決定された案内目印候補と同一の区画に存在する他の案内目印候補の評価値を一律に所定値だけ低減させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、案内目印として決定された案内目印候補が存在する区画を除く他のすべての区画に存在する案内目印候補の評価値を、一律に所定値だけ上昇させてもよい。このような構成であっても、各実施形態と同様に、案内目印が決定された場合に、次の案内目印が他の区画の案内目印候補から選ばれ易くできる。すなわち、一般には、案内目印が決定されるたびに、決定された案内目印と同じ区画に配置されている案内目印候補の評価値を、他の区画に配置されている案内目印候補の評価値に対して相対的に低減させてもよい。
また、各実施形態における案内目印決定処理のステップS525およびS530と同様の処理を、案内目印表示処理に採用してもよい。具体的には、図16および図18に示す案内目印表示処理において、ステップS720に代えて、以下の処理を実行してもよい。すなわち、評価値の高い順に、第1位から順番に優先順位が設置されるたびに、優先順位が設定された案内目印が配置されている区画と同じ区画に配置されている案内目印の評価値を、他の区画に配置されている案内目印の評価値に対して相対的に低減させる処理を行ってもよい。このようにすることで、次の優先順位を設定する際に、先の順位が設定されている案内目印の配置されている区画とは異なる他の区画の案内目印に、次の優先順位が設定され易くできる。このため、案内対象ノードに対して特定の方向(区画)に案内目印が偏在することを、より確実に抑制できる。すなわち、一般には、優先順位が設定されるたびに、優先順位が設定された案内目印と同じ区画に配置されている案内目印候補の評価値を、他の区画に配置されている案内目印の評価値に対して相対的に低減させてもよい。
また、各実施形態における案内目印決定処理のステップS525およびS530を省略してもよい。この構成では、各実施形態に比べて、案内目印が同一の区画に偏在する可能性が高い。そこで、この構成においては、上述したステップS720の変形例と同様の処理を、ステップS720に代えて実行することが好ましい。
C11.変形例11:
各実施形態の評価値設定処理におけるステップS430では、各案内目印候補(建物など)の注目ノードからの視認性を推定するために、注目ノードとリンク近傍交点との間における建物などの有無を特定していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、注目ノードと各案内目印候補の代表点との間における建物の有無を特定することにより、各案内目印候補(建物など)の注目ノードからの視認性を推定してもよい。すなわち、一般には、各案内目印候補(建物など)の注目ノードからの視認性を推定可能な任意の方法を採用してもよい。
C12.変形例12:
各実施形態では、案内データは、各ノードを案内する際の案内目印を表す案内目印データを含んでいたが、各ノードに限らず、ユーザにより指定された地点や、各リンクの中央地点などを案内する際の案内目印を表すデータを含んでもよい。すなわち、一般には、案内データは、所定地点を案内する際の案内目印を表す案内目印データを含んでもよい。この構成では、各ノードに加えて、または、各ノードに代えて、ユーザにより指定された地点や、各リンクの中央地点などの所定地点について、上述した案内データ生成処理が実行される。
C13.変形例13:
各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。