JP6472914B2 - 脳状態の処置におけるアンジオテンシン - Google Patents

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Description

本出願は、2012年10月2日に出願された米国仮特許出願第61/708,793号、2012年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/720,299号の優先権の利益を請求し、これらの開示は、その全がいた本明細書によって援用される。
中枢神経系が適切に機能することは、いかなる動物においても不可欠である。特に、虚血性または出血性脳卒中によるものなどの脳への傷害は、劇的かつ致命的ともなり得る影響を及ぼす恐れがある。脳の損傷事象の処置または予防に対する妨げの1つは、脳の周辺の毛細管内皮細胞間にある密着結合の集合体である血液脳関門である。これらの結合は、物質の疎水性が高いか、または血液脳関門を特異的に通過して輸送されない限り、物質のほとんどが通過するのを防いでいる。その結果、静脈内または皮下投与によるものなどの従来的に好ましい経路を介して、治療物質を投与すること、および脳における治療効果を観察することが非常に難しい。
本発明は、とりわけ、以下に限定されないが、脳卒中、血管性認知症、および外傷性脳損傷を含む脳状態を処置するための方法および組成物を提供する。以下の実施例項目において記載されている通り、本発明は、一部には、アンジオテンシン(1−7)ペプチド(例えば、PanCyte)の全身投与、例えば皮下投与により、虚血性脳卒中のラットモデルにおける、神経学的および運動機能の改善をもたらすという、驚くべき発見に基づくものである。本発明の以前には、アンジオテンシン(1−7)は血液脳関門を通過することはないと考えられ、したがって、脳血管内(ICV)投与するか、またはAng(1−7)の過剰発現を引き起こすレンチウイルスにより、血液脳関門を通過することができる、造血幹細胞の感染などの複雑な方法を使用して投与しなければならなかった。Meccaら、Cerebroprotection by Angiotensin−(1−7) in Endothelin−1−Induced Ischaemic Stroke、(2011年)Exp Physiol.、2011年、96巻(10号):1084〜1096頁。全身的(例えば、皮下または静脈内のどちらか一方)経路を介したアンジオテンシン(1−7)ペプチドまたは非ペプチド性アンジオテンシン−(1−7)アゴニストの投与により、治療レベルが脳、特に傷害を受けた脳組織に到達し得ることを示したものは誰もいなかった。
一部の実施形態では、本発明は、脳状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に、全身投与によってアンジオテンシン(1−7)ペプチドを投与するステップを含む、脳状態を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明に適した全身投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、本発明に適した全身投与は、皮下投与である。一部の実施形態では、本発明に適した全身投与は、経口投与である。一部の実施形態では、本発明に適した全身投与は、脳室内投与を含まない。一部の実施形態では、脳状態は、脳卒中、血管性認知症、および外傷性脳損傷から選択される。一部の実施形態では、脳卒中は虚血性脳卒中である。一部の実施形態では、脳卒中は出血性脳卒中である。
一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、連続注入により投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、投与間隔を設けて投与される。例えば、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、1日3回、1日2回、1日1回、1週あたり2回、1週あたり1回、1か月あたり3回、1か月あたり2回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、1か月に1回、2か月毎に1回、3か月毎に1回、4か月毎に1回、5か月毎に1回、6か月毎に1回、不定期な間隔を設けて、投与することができる。
様々な実施形態は、異なる量のアンジオテンシン(1−7)ペプチドを使用することができるよう意図されている。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜1,000μg/kg/日(例えば、約1〜900μg/kg/日、1〜800μg/kg/日、1〜700μg/kg/日、1〜600μg/kg/日、1〜500μg/kg/日、1〜400μg/kg/日、1〜300μg/kg/日、1〜200μg/kg/日、1〜100μg/kg/日、1〜90μg/kg/日、1〜80μg/kg/日、1〜70μg/kg/日、1〜60μg/kg/日、1〜50μg/kg/日、1〜40μg/kg/日、1〜30μg/kg/日、1〜20μg/kg/日、1〜10μg/kg/日の範囲)の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜100μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1、2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000ug/kg/日から選択される有効用量で投与される。
様々なアンジオテンシン(1−7)ペプチドが、様々な実施形態において使用され得ることも意図されている。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、配列番号1の機能的等価体である。一部の実施形態では、機能的等価体は、直鎖状ペプチドである。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において見られる7個のアミノ酸に由来するアミノ酸を、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個含む配列を含んでおり、これらの少なくとも4個、5個、または6個のアミノ酸が、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において見られる、それらの相対位置を維持している。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、4〜25個のアミノ酸を含有する。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)のフラグメントである。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含有する。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、Asp−Arg−Val−Ser−Ile−His−Cys(配列番号6)のアミノ酸配列を有する。
一部の実施形態では、機能的等価体は、環状ペプチドである。一部の実施形態では、環状ペプチドは、アミノ酸の間に結合を含む。一部の実施形態では、結合は、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)中のTyr位およびPro位に対応する残基に位置している。一部の実施形態では、結合は、チオエーテル架橋である。一部の実施形態では、環状ペプチドは、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列と、他の点で同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、環状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)中のVal位がノルロイシン(Nle)に置き換わっているものを含む。一部の実施形態では、環状ペプチドは、以下の式Asp−Arg−Val−Ser−Ile−His−Cys(配列番号22)を有する4,7環化アンジオテンシン(1−7)である。一部の実施形態では、環状ペプチドは、以下の式
を有する4,7環化アンジオテンシン(1−7)である。
一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、プロテアーゼ抵抗性、血清安定性、および/またはバイオアベイラビリティを向上させるために、1つまたは複数の化学修飾を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の化学修飾は、ペグ化を含む。
一部の実施形態では、本発明は、以下に限定されないが、脳卒中、血管性認知症、および外傷性脳損傷を含む、脳状態を処置する方法であって、1種または複数の脳状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に、アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストを投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、非ペプチド性アゴニストである。一部の実施形態では、非ペプチド性アゴニストは、以下の構造
を有する化合物または薬学的に許容されるその塩である。
本出願において使用する場合、用語「約」および「およそ」は、等価なものとして使用される。約/およそを伴うまたは伴わずに本出願において使用される任意の数字は、当業者によって理解される、任意の正常な変動を包含することが意図される。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
脳状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に、静脈内または皮下への投与経路のどちらか一方によってアンジオテンシン(1−7)ペプチドを投与するステップ
を含む、脳状態を処置する方法。
(項目2)
前記脳状態が、脳卒中、血管性認知症、および外傷性脳損傷から選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記脳卒中が、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、またはそれらの組合せのいずれかである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが脳室内に投与されない、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、連続注入により投与される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり3回投与される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり2回投与される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり1回投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜1,000ug/kg/日の範囲の有効用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約50〜500ug/kg/日の範囲の有効用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜60ug/kg/日の範囲の有効用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、配列番号1の機能的等価体である、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記機能的等価体が、直鎖状ペプチドである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記直鎖状ペプチドが、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において見られる7個のアミノ酸に由来する少なくとも4個のアミノ酸を含む配列を含んでおり、前記少なくとも4個のアミノ酸が、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において見られる相対位置を維持している、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記直鎖状ペプチドが、4〜25個のアミノ酸を含有する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記直鎖状ペプチドが、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)のフラグメントである、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含有する、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記直鎖状ペプチドが、Asp−Arg−Val−Ser−Ile−His−Cys(配列番号6)のアミノ酸配列を有する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記機能的等価体が、環状ペプチドである、項目13に記載の方法。
(項目21)
前記環状ペプチドが、アミノ酸の間に結合を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記結合が、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)中のTyr位およびPro位に対応する残基に位置している、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記結合が、チオエーテル架橋である、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記環状ペプチドが、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列と、他の点で同一のアミノ酸配列を含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記環状ペプチドが、以下の式
を有する4,7環化アンジオテンシン(1−7)である、項目20に記載の方法。
(項目26)
前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、プロテアーゼ抵抗性、血清安定性、および/またはバイオアベイラビリティを向上させるために、1つまたは複数の化学修飾を含む、項目13に記載の方法。
(項目27)
前記1つまたは複数の化学修飾が、ペグ化を含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストが、非ペプチド性アゴニストである、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記非ペプチド性アゴニストが、以下の構造
を有する化合物または薬学的に許容されるその塩である、項目28に記載の方法。
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細説明において明らかとなる。しかし、詳細説明は、本発明の実施形態を示すが、例示目的に過ぎず、限定ではないことを理解すべきである。詳細説明から、本発明の範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになろう。
図1は、一過性中大脳動脈閉塞、および14日間または49日間のどちらかで、ある量のPanCyteを受けたラットに対して実施された、ステップ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図2は、一過性中大脳動脈閉塞、および14日間または49日間のどちらかで、ある量のPanCyteを受けたラットに対して実施された、前肢配置試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図3は、一過性中大脳動脈閉塞、および14日間または49日間のどちらかで、ある量のPanCyteを受けたラットに対して実施された、体揺れ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図4は、一過性中大脳動脈閉塞、および14日間または49日間のどちらかで、ある量のPanCyteを受けたラットに対して実施された、神経症状試験(修正神経スコア得点尺度(modified Neuroscore Scoring Scale))の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図5は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、TXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyteのいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、ステップ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図6は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、TXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyteのいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、前肢配置試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図7は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、TXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyteのいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、体揺れ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図8は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、TXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyteのいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、神経症状試験(修正神経スコア得点尺度)の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図9は、28日間、注射によりTXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyteを皮下投与された動物における、同側と対側との間の血液灌流比、および血管径を比較する代表的な棒グラフを示す。
図10は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、PanCyteまたはAVE0991のいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、ステップ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図11は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、PanCyteまたはAVE0991のいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、前肢配置試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図12は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、PanCyteまたはAVE0991のいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、体揺れ試験の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
図13は、一過性中大脳動脈閉塞、および28日間、PanCyteまたはAVE0991のいずれかの皮下投与を受けたラットに対して実施された、神経症状試験(修正神経スコア得点尺度)の結果を比較した代表的な棒グラフを示す。
定義
本発明が一層容易に理解されるよう、ある種の用語を、以下でまず定義する。以下の用語および他の用語に関する追加の定義が、本明細書全体にわたって記載されている。
動物:本明細書で使用する場合、用語「動物」とは、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」とは、任意の発達段階にあるヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」とは、任意の発達段階にある非ヒト動物を指す。ある種の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長動物、および/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物は、以下に限定されないが、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、魚、昆虫、および/または蠕虫を含む。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作されている動物、および/またはクローンであってもよい。
およそまたは約:本明細書で使用する場合、興味対象の1つまたは複数の値に適用される用語「およそ」または「約」は、明記されている参照値と同様の値を指す。ある種の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、他に明記されない、またはそうでない場合、文脈から明白でない限り、明記されている参照値のどちらかの方向(より大きいまたはより小さい)に、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の範囲内におさまる、一連の値を指す(そのような数が、可能な値の100%を超過する場合を除く)。
生物活性な:本明細書で使用する場合、「生物活性な」という言い回しは、生物系において、特に生物において活性を有する任意の作用剤の特徴を指す。例えば、生物に対して投与された場合に、その生物に対して生物的効果を有する作用剤は、生物活性であると考えられる。特定の実施形態では、ペプチドが生物活性である場合、ペプチドの少なくとも1種の生物活性を分担しているそのペプチドの一部分が、「生物活性な」部分と通常呼ばれる。ある種の実施形態では、ペプチドは、内在性の生物活性を有していないが、1つまたは複数の天然に存在するアンジオテンシン化合物の効果を阻害するペプチドが、生物活性であると考えられる。
脳状態−本明細書で使用する場合、「脳状態」とは、対象の脳の少なくとも一部分の傷害および/または機能不全をもたらす、任意の疾患、障害、または事象である。脳状態の非限定例には、脳卒中(虚血性と出血性の両方)、血管性認知症、および外傷性脳損傷が含まれる。
担体または賦形剤:本明細書で使用する場合、用語「担体」および「賦形剤」とは、医薬製剤の調製に有用である、薬学的に許容される(例えば、ヒトへの投与に安全かつ無毒性の)担体または希釈用物質を指す。例示的な賦形剤には、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌生理食塩水溶液、リンガー溶液、またはデキストロース溶液が含まれる。
剤形:本明細書で使用する場合、用語「剤形」および「単位剤形」とは、処置される患者用の治療剤の物理的な個別単位を指す。それぞれの単位は、所望の治療効果を生じるように計算された、所定量の活性物質を含有する。しかし、組成物の総投与量は、妥当な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されることが理解されよう。
投与レジメン:「投与レジメン」(または「治療レジメン」)とは、その用語を本明細書で使用する場合、通常、ある期間により分けられる、対象に個々に投与される単位用量一式(通常、2回分以上)のことである。一部の実施形態では、所定の治療剤は、1回または複数の用量を含み得る、推奨される投与レジメンを有する。一部の実施形態では、投与レジメンは、それらの各々が同じ長さの期間によって互いに分けられている、複数の用量を含み、一部の実施形態では、投与レジメンが、複数の用量、および個々の用量を分ける少なくとも2つの異なる期間を含む。一部の実施形態では、治療剤は、所定の期間にわたって継続的に投与される。一部の実施形態では、治療剤は、1日1回(QD)または1日2回(BID)、投与される。
機能的等価体または誘導体:本明細書で使用する場合、用語「機能的等価体」または「機能的誘導体」とは、アミノ酸配列の機能的誘導体の文脈においては、元の配列のそれと実質的に類似した生物活性(機能または構造のいずれか)を保持している分子を意味する。機能的誘導体または等価体は、天然の誘導体であってもよく、または合成により調製される。例示的な機能的誘導体には、1個または複数のアミノ酸の置換、欠失、または付加を有するアミノ酸配列が含まれるが、但し、タンパク質の生物活性は保存されている条件とする。置換するアミノ酸は、置換されるアミノ酸のそれと類似の物理化学特性を有するのが望ましい。望ましい類似の物理化学特性には、電荷、かさ高さ、疎水性、親水性などが含まれる。
改善する、向上する、または低減する:本明細書で使用する場合、用語「改善する」、「向上する」、もしくは「低減する」、または文法上の等価語は、本明細書に記載されている処置の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載されている処置の非存在下における1つの対照となる対象(または、複数の対照となる対象)における測定値などの、ベースライン測定値に対する値を指す。「対照となる対象」とは、処置されている対象とほぼ同じ年齢である、処置されている対象と同じ形態の疾患に罹患している対象のことである。
インビトロ:本明細書で使用する場合、用語「インビトロ」とは、多細胞生物内ではなく、人工環境において、例えば試験管中または反応容器中、細胞培養中などで行われる事象を指す。
インビボ:本明細書で使用する場合、用語「インビボ」とは、ヒトおよび非ヒト動物などの多細胞生物内で行われる事象を指す。細胞をベースとする系の文脈において、この用語は、生存細胞内で行われる事象を指すために使用されてもよい(例えば、インビトロ系の対語として)。
単離された:本明細書で使用する場合、用語「単離された」とは、(1)最初に産生された際に、関連していた少なくとも一部の構成要素から分離された(自然界における、および/または実験環境におけるかどうかにかかわらず)、ならびに/または(2)人間の手によって生成、調製および/もしくは製造された物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、それらが最初に関連していた他の構成要素の、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、または100%から分離されてもよい。一部の実施形態では、単離された作用剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%超、実質的に100%、または100%純粋である。本明細書で使用する場合、物質は、他の構成要素を実質的に含まない場合、「純粋」である。本明細書で使用する場合、用語「単離された細胞」とは、多細胞生物中に含有されていない細胞を指す。
予防する:本明細書で使用する場合、用語「予防する」または「予防」とは、疾患、障害、および/または状態の発生に関連して使用する場合、疾患、障害、および/または状態を発症するリスクを低減することを指す。「リスク」の定義を参照されたい。
ポリペプチド:本明細書で使用する用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して一緒に連結されているアミノ酸の連続鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために使用されるが、当業者は、この用語は長鎖に限定されないこと、およびペプチド結合を介して一緒に連結されている2個のアミノ酸を含む最小の鎖を指すことができることを理解するであろう。当業者に公知の通り、ポリペプチドはプロセシングされてもよく、かつ/または修飾されてもよい。
タンパク質:本明細書で使用する用語「タンパク質」とは、個別の単位として機能する1種または複数のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが個別の機能単位となっており、個別の機能単位を形成するために、他のポリペプチドと永続的または一時的な物理的関連性を必要としない場合、用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、互換的に使用することができる。個別の機能単位が、相互に物理的に関連する2種以上のポリペプチドから構成される場合、用語「タンパク質」とは、物理的にカップリングされており、かつ個別の単位として一緒に機能する、複数のポリペプチドを指す。
リスク:文脈から理解される通り、疾患、障害、および/または状態の「リスク」は、特定の個体が疾患、障害、および/または状態(例えば、脳卒中)を発症する見込みを含む。一部の実施形態では、リスクは、百分率として表現される。一部の実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、最大100%である。一部の実施形態では、リスクは、参照標本または参照標本の群に関連するリスクに対するリスクとして表現される。一部の実施形態では、参照標本または参照標本の群は、疾患、障害、状態、および/または事象(例えば、脳卒中)の公知のリスクを有する。一部の実施形態では、参照標本または参照標本の群は、特定の個体と同等の個体に由来する。一部の実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。
安定性:本明細書で使用する場合、用語「安定な」とは、治療剤が、長期間にわたり、その治療効力を維持する能力(例えば、所期の生物活性および/または物理化学的完全性のすべて、または大部分)を指す。治療剤の安定性、およびそのような治療剤の安定性を維持する医薬組成物の能力は、長期間(例えば、少なくとも1、3、6、12、18、24、30、36か月、またはそれ以上)にわたり、評価することができる。ある種の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、それと一緒に製剤化される1つまたは複数の治療剤を安定化することができるよう、あるいはその分解を遅延させるか防止することができるよう製剤化される。製剤の文脈において、安定な製剤は、その中の治療剤が、保管時および処理(凍結/解凍、機械的混合、および凍結乾燥など)中に、その物理的および/または化学的完全性、ならびに生物活性を本質的に保持するものである。
対象:本明細書で使用する場合、用語「対象」とは、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長動物)を指す。ヒトは、出生前および出生後の形態を含む。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は、患者とすることができ、患者とは、疾患の診断または処置のため、医療提供者を訪問するヒトを指す。用語「対象」は、本明細書では、「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患し得るか、または罹患しやすいが、疾患または障害の症状を示してもよく、または示さなくてもよい。
実質的に:本明細書で使用する場合、用語「実質的に」とは、興味対象の特徴または特性の、全体またはほぼ全体の範囲または程度を示す、質的状態を指す。生物学の分野にいる当業者は、生物学的および化学的現象が、あるとしても、完了するおよび/もしくは完全に向かって進む、または絶対的な結果を実現するもしくは回避することはまれであることを理解するであろう。したがって、用語「実質的に」とは、多くの生物学的および化学的現象において、本来備わっている完全性が欠如している可能性をとらえるために、本明細書において使用される。
〜に罹患している:疾患、障害、および/または状態「に罹患している」個体は、疾患、障害、および/または状態と診断されているか、またはそれらの1つもしくは複数の症状を示す。
〜に罹患しやすい:疾患、障害、および/または状態「に罹患しやすい」個体は、疾患、障害、および/または状態と診断されていない。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態の症状を示さないことがある。一部の実施形態では、疾患、障害、状態、または事象(例えば、虚血性脳卒中)に罹患しやすい個体は、1つまたは複数の以下のものが特徴となり得る。(1)疾患、障害、および/または状態の発症に関連する遺伝子の突然変異;(2)疾患、障害、および/または状態の発症に関連する遺伝子多型;(3)疾患、障害、および/または状態に関連するタンパク質の発現および/または活性の向上および/または減少;(4)疾患、障害、状態、および/または事象の発症に関連する習慣および/または生活スタイル、(5)移植を受けた、受ける予定である、または必要としている。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発症するであろう。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発症しないであろう。
治療有効量:本明細書で使用する場合、治療剤の「治療有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に投与されると、疾患、障害、および/または状態の症状を処置する、診断する、予防する、および/またはこれらの発病を遅延させるのに十分な量を意味する。治療有効量は、少なくとも1単位用量を含む投与レジメンによって、通常、投与されることは、当業者により理解されよう。
処置すること:本明細書で使用する場合、用語「処置する」、「処置」、または「処置すること」とは、部分的にまたは完全に、特定の疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を軽減する、寛解させる、緩和する、阻害する、予防する、それらの発病を遅延させる、それらの重症度を低減する、および/または発生率を低減するために使用される任意の方法を指す。処置は、疾患に関連する病変を発症するリスクを減少させるために、疾患の徴候を示さない、および/または疾患の初期徴候しか示さない対象に実施することができる。
本発明は、とりわけ、脳組織への傷害、またはその障害に起因する、脳状態を処置する、またはそのリスクを低減するための、改善された組成物および方法を提供する。
本発明の様々な態様は、以下の項目において詳細に記載されている。項目の使用は、本発明を限定することを意図するものではない。それぞれの項目は、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、他に明記されない限り、「および/または」を意味する。
脳状態
脳卒中
脳は、その酸素供給の妨害に対して非常に損傷を受けやすい。たった数秒続く無酸素および虚血が症状を引き起こし、この状態が数分間持続すれば、非可逆的な神経傷害を引き起こす恐れがある。したがって、脳卒中は、深刻な、長期間の能力障害の主な原因であり、米国では主な死因となっている。脳卒中はまた、医療産業における深刻な負担にもなっており、脳卒中による能力障害に対する総医療経費は、およそ年間530億ドルと見積もられている。
脳卒中には虚血性および出血性という2つのタイプがある。虚血性脳卒中は、脳組織に血液を供給する1つまたは複数の血管における妨害、例えばアテローム性動脈硬化の血栓(thrombii)または塞栓に起因する閉塞を含む。虚血性脳卒中(脳虚血)は、脳卒中全体のおよそ88%に相当し、虚血性脳卒中は脳血管損傷の最も一般的なタイプの1つになっている。脳内の虚血性状態は、速やかな神経死をもたらして、恒久的な感覚運動の欠陥に至らしめることが多い。出血性脳卒中は、本明細書では、頭蓋冠内部のあらゆる場所で血液が蓄積するものとして定義される。出血性脳卒中は、組織を分裂させるかまたは歪みを生じさせる恐れのある、膨張性血腫に起因する損傷を含む、多くの原因に起因し得る。
虚血性と出血性脳卒中の両方の処置における主な難関は、罹患組織に到達する治療物質の送達である。血液脳関門の有効性を考慮に入れると、脳組織に入り込んで影響を及ぼすことができる化合物はほとんどない。以前には、脳室内(ICV)送達を使用して、アンジオテンシン(1−7)などの化合物の送達を行わなければならなかった。驚くべきことに、以下に記載されている例示的なアンジオテンシン(1−7)ペプチドを含めた、本発明の実施形態は、改変した幹細胞などの複雑な送達システムを使用することなく、血液脳関門を通過させることができる。むしろ、一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、静脈内または皮下経路を介して、送達することができる。
血管性認知症
血管性認知症は、アルツハイマー病に次いで、2番目に一般的な認知症の形態である。血管性認知症は、虚血性もしくは出血性脳卒中により引き起こされるものなどの、脳における血液供給の問題、または脳内の病変の発症に至る他の原因に起因し得る。血管性認知症の他の原因には、脳アミロイド血管症、高コレステロール血症、糖尿病、または心臓血管の疾患が含まれる。1つまたは複数の脳卒中に起因する認知症はまた、根本原因に応じて、「単一梗塞による認知症」または「多発梗塞による認知症」としても公知である。
血管性認知症の処置は主に、抗血小板凝集阻害薬の使用および生活スタイルの変化(食事の変更、喫煙の停止など)によって、さらなる脳血管性病変を予防することに重点を置いている。ガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤も、この臨床シナリオにおいて使用するために調査されてきたが、このタイプの処置は、脳内のアセチルコリン機能の維持に関係があり、血液供給の改善および持続の回復または発生には関係しない。したがって、本発明の実施形態は、症状の管理または残存している組織源の最大化よりもむしろ、疾患の根底にある原因を改善することを目的とする、新規な静脈内および皮下治療を提示する。
外傷性脳損傷
後天性脳損傷の形態である外傷性脳損傷(TBI)は、突発的な外傷が脳に傷害をもたらす場合に起こる。TBIは、頭部を突然に、かつ激しく物にぶつけた場合(または、その反対)、または物が頭蓋骨に突き刺さり、脳組織に進入する場合に生じ得る。TBIの症状は、脳への傷害の程度に応じて、温和、適度、または重症になり得る。温和なTBIを有する人は、意識があることがあり、または数秒間もしくは数分間、意識喪失を受けることがある。温和なTBIの他の症状には、頭痛、混乱、意識もうろう、めまい、視力のかすみまたは疲れ目、耳鳴り、口内の不快な味、疲労または嗜眠、睡眠パターンの変化、行動または気分変化、および記憶、集中力、注意力、または思考の困難が含まれる。適度または重症なTBIの人は、これらの同じ症状を示し得るが、悪化する頭痛があることもあり、または、繰り返される嘔吐もしくは吐き気、痙攣もしくは発作、睡眠から起きることができないこと、片眼もしくは両眼の瞳孔の散大、不明瞭な発語、四肢中の脱力感もしくは無感覚、協調運動不全、および混乱、落ち着きのなさ、もしくは揺れの増加が無くならない。
TBIの処置は、主として、さらなる損傷または合併症を予防することに重点を置いている。TBIの処置において主に注意される点には、脳および身体のその他への適切な酸素供給を保証すること、適度の血流を維持すること、ならびに血圧を制御することが含まれる。多くの場合、TBI罹患者が安定後に受ける一次処置は、理学療法、作業療法、発語/言語療法、心理学/精神医学、および社会支援の領域における、個別に用意される処置プログラムを含む、リハビリテーションである。本発明の実施形態は、こうした患者に新規な処置を提供する。
アンジオテンシン(1−7)ペプチド
本明細書で使用する場合、用語「アンジオテンシン(1−7)ペプチド」とは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)と、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の任意の機能的等価体、アナログ、または誘導体の両方を指す。本明細書で使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」とは、互換的な用語であり、ペプチド結合によって一緒に結合している2個以上のアミノ酸を指す。本明細書で使用する場合、用語「ペプチド」および「ポリペプチド」には、直鎖状ペプチドと環状ペプチドの両方が含まれる。用語「アンジオテンシン(angiotensin)−(1−7)」、「アンジオテンシン(Angiotensin)−(1−7)」、および「Ang−(1−7)」は、互換的に使用される。
天然に存在するアンジオテンシン(1−7)
天然に存在するアンジオテンシン(1−7)(Ang−(1−7)とも呼ばれる)は、以下に示される7個のアミノ酸ペプチドである。
Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)
それは、レニン−アンジオテンシン系の一部であり、アンジオテンシノーゲンとしても公知である前駆体から変換されるものであり、アンジオテンシノーゲンは、主に肝臓によって構成的に産生され、血液循環の中に放出されるα−2−グロブリンである。アンジオテンシノーゲンは、セルピンファミリーのメンバーであり、レニン基質としても公知である。ヒトアンジオテンシノーゲンは、452個のアミノ酸長であるが、他の種は、様々なサイズのアンジオテンシノーゲンを有する。通常、最初の12個のアミノ酸は、アンジオテンシン活性にとって最も重要である。Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu10−Val11−Ile12(配列番号3)。
異なるタイプのアンジオテンシンは、様々な酵素の作用によって形成され得る。例えば、アンジオテンシン(1−7)は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の作用によって産生される。
Ang−(1−7)は、Mas受容体に対する内因性リガンドである。Mas受容体は、7つの膜貫通領域を含有するG−タンパク質共役型受容体である。本明細書で使用する場合、用語「アンジオテンシン−(1−7)受容体」は、Gタンパク質共役型Mas受容体を包含する。
本明細書で使用する場合、用語「天然に存在するアンジオテンシン(1−7)」には、天然源から精製された任意のアンジオテンシン(1−7)ペプチドおよび天然に存在するアンジオテンシン(1−7)と同一のアミノ酸配列を有する、任意の組換え産生されたかまたは化学的に合成されたペプチドが含まれる。
Ang−(1−7)の機能的等価体、アナログ、または誘導体
一部の実施形態では、本発明に適したアンジオテンシン(1−7)ペプチドは、天然に存在するAng−(1−7)の機能的等価体である。本明細書で使用する場合、天然に存在するAng−(1−7)の機能的等価体は、天然に存在するAng−(1−7)に対してアミノ酸配列の同一性を共有し、かつ天然に存在するAng−(1−7)と同じまたは類似する活性を実質的に保持する任意のペプチドを指す。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的等価体は、本明細書に記載されているか、もしくは当分野において公知の方法を使用して決定される血管新生促進活性、または一酸化窒素放出、血管拡張、内皮機能の改善、抗利尿、もしくは血管新生に正の影響を及ぼす、本明細書において議論されている他の特性の1つなどの活性を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的等価体は、本明細書に記載されているかまたは当分野において公知の様々なアッセイを使用して決定される、アンジオテンシン−(1−7)受容体(例えば、Gタンパク質共役型Mas受容体)に結合するか、またはそれを活性化することができる。一部の実施形態では、Ang−(1−7)の機能的等価体は、アンジオテンシン(1−7)アナログ、または誘導体、または機能的誘導体とも呼ばれる。
通常、アンジオテンシン(1−7)の機能的等価体は、天然に存在するAng−(1−7)に対してアミノ酸配列の類似性を共有する。一部の実施形態では、本発明によるAng−(1−7)の機能的等価体は、天然に存在するAng−(1−7)に見られる7個のアミノ酸に由来するアミノ酸を、少なくとも3個(例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個)含む配列を含有しており、この場合、少なくとも3個(例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または少なくとも7個)のアミノ酸が、それらが天然に存在するAng−(1−7)に見られる、それらの相対的な位置および/または間隔を維持している。
一部の実施形態では、Ang−(1−7)の機能的等価体は、天然に存在するAng−(1−7)のアミノ酸配列と少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、または90%)が同一な配列を含有する、任意のペプチドも包含する。アミノ酸配列同一性の百分率は、アミノ酸配列のアライメントによって決定することができる。アミノ酸配列のアライメントは、例えば、BLAST、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの、公的に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当分野の技術の範囲内にある様々な方法で実現することができる。当業者は、比較される完全長の配列に対して最大限のアライメントを実現するために必要とする任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。好ましくは、WU−BLAST−2ソフトウェアは、アミノ酸配列の同一性を決定するために使用される(Altschulら、Methods in Enzymology、266巻、460〜480頁(1996年);http://blast.wustl/edu/blast/README.html)。WU−BLAST−2では、いくつかの検索パラメータが使用され、これらのパラメータの大部分は、デフォルト値に設定されている。調整可能なパラメータは、以下の値により設定される:オーバーラップスパン(overlap span)=1、オーバーラップフラクション(overlap fraction)=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11。HSPスコア(S)およびHSP S2パラメータは、動的な値であり、特定の配列の組成に応じて、プログラム自体によって確立されるが、最小値は、上記に示されている通り、調整して設定することができる。
一部の実施形態では、Ang−(1−7)の機能的等価体、アナログ、または誘導体は、天然に存在するAng−(1−7)のフラグメントである。一部の実施形態では、Ang−(1−7)の機能的等価体、アナログ、または誘導体は、天然に存在するAng−(1−7)において、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含有する。Ang−(1−7)機能的等価体、アナログ、または誘導体は、置換、付加、および/または欠失によりアミノ酸配列を改変することによって作製することができる。例えば、天然に存在するAng−(1−7)(配列番号1)の配列内の1個または複数のアミノ酸残基は、類似した極性の別のアミノ酸によって置換することができ、これは機能的等価体として作用し、サイレント改変をもたらす。配列内のアミノ酸に対する置換は、アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択されてもよい。例えば、正に荷電している(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシン、およびヒスチジンが含まれる。非極性(疎水性)アミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。非荷電極性アミノ酸には、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。負に荷電している(酸性)アミノ酸には、グルタミン酸およびアスパラギン酸が含まれる。アミノ酸のグリシンは、非極性アミノ酸ファミリーまたは非荷電(中性)極性アミノ酸ファミリーのいずれかに含まれていてもよい。アミノ酸のファミリー内で行われる置換は、保存的置換であることが一般に理解される。例えば、ペプチド阻害剤のアミノ酸配列は、修飾または置換することができる。
Ang−(1−7)機能的等価体、アナログ、および誘導体の例は、以下の「例示的なアンジオテンシン(1−7)ペプチド」と題する項目に記載されている。
アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、任意の長さとすることができる。一部の実施形態では、本発明によるアンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、例えば、4〜25個のアミノ酸(例えば、4〜20個、4〜15個、4〜14個、4〜13個、4〜12個、4〜11個、4〜10個、4〜9個、4〜8個、4〜7個のアミノ酸)を含有することができる。一部の実施形態では、直鎖状ペプチドは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のアミノ酸を含有する。
一部の実施形態では、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、プロテアーゼ抵抗性、血清安定性、および/またはバイオアベイラビリティを向上させるために、1つまたは複数の修飾を含有する。一部の実施形態では、適切な修飾は、ペグ化、アセチル化、グリコシル化、ビオチン化、D−アミノ酸および/もしくは非天然アミノ酸による置換、ならびに/またはペプチドの環化から選択される。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」とは、その最も広範な意味において、ポリペプチド鎖の中に組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。ある種の実施形態では、アミノ酸は、一般的な構造HN−C(H)(R)−COOHを有する。ある種の実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。ある種の実施形態では、アミノ酸は、合成または非天然アミノ酸(例えばα,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸)であり、一部の実施形態では、アミノ酸はd−アミノ酸であり、ある種の実施形態では、アミノ酸はl−アミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然のペプチド中に両方が組み込まれているl−アミノ酸とd−アミノ酸の両方を含めて、天然に存在するペプチドにおいて一般に見出される20個の標準アミノ酸のいずれかを指す。「非標準」または「非慣用アミノ酸」とは、それが合成して調製されるか、または天然源から得られるかどうかにかかわらず、標準アミノ酸以外の、任意のアミノ酸を指す。本明細書で使用する場合、「合成または非天然アミノ酸」は、以下に限定されないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および/または置換体を含む、化学的に修飾されているアミノ酸を包含する。ペプチド中にカルボキシおよび/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、および/またはその活性に悪影響を及ぼすことなく、ペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって修飾することができる。非慣用または非天然アミノ酸の例には、以下に限定されないが、シトルリン、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルトレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン、およびN−メチル−アラニン(MeAla)が含まれる。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与していてもよい。用語「アミノ酸」は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指すことができる。それが遊離アミノ酸またはペプチドの残基を指すかどうかは、用語が使用されている文脈から明らかとなろう。
ある種の実施形態では、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、1個または複数のL−アミノ酸、D−アミノ酸、および/または非天然アミノ酸を含有する。
天然に存在するアミノ酸のみを含有するペプチドに加えて、ペプチド模倣薬またはペプチドアナログもまた、本発明によって包含される。ペプチドアナログは、鋳型ペプチドのそれと類似する特性を有する非ペプチド薬物として製薬産業において一般に使用されている。非ペプチド化合物は、「ペプチドミメティック」またはペプチド模倣薬と称される(Fauchereら、Infect. Immun.54巻:283〜287頁(1986年);Evansら、J. Med. Chem.30巻:1229〜1239頁(1987年))。治療上有用なペプチドと構造的に関連するペプチドミメティックは、等価なまたは増強された治療的または予防的効果をもたらすように使用することができる。一般に、ペプチド模倣薬は、天然に存在する受容体結合ポリペプチドなどのパラダイムポリペプチド(paradigm polypeptide)(すなわち、生物活性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似しているが、当分野において周知の方法による−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−CHSO−、−CH(OH)CH−、−COCH−などの結合によって、場合により置き換えられている1個または複数のペプチド結合を有する(Spatola、Peptide Backbone Modifications、Vega Data、1巻(3号):267頁(1983年);Spatolaら、Life Sci.38巻:1243〜1249頁(1986年);Hudsonら、Int. J. Pept. Res.14巻:177〜185頁(1979年);およびWeinstein. B.、1983年、Chemistry and Biochemistry, of Amino Acids, Peptides and Proteins、Weinstein編、Marcel Dekker、New−York)。そのようなペプチドミメティックは、より経済的な産生、より高い化学安定性、増強されている薬理学的特性(例えば、半減期、吸収、効力、効率など)、低下した抗原性などを含む、天然に存在するポリペプチドにまさる、有意な利点を有することがある。
Ang−(1−7)ペプチドはまた、ペプチドの正常な一部ではない、追加の化学部位を含有する、他のタイプのペプチド誘導体も含むが、但し、その誘導体は、ペプチドの所望の機能的な活性を保持していることを条件とする。そのような誘導体の例には、(1)アシル基が、アルカノイル基(例えば、アセチル、ヘキサノイル、オクタノイル)、アロイル基(例えば、ベンゾイル)、またはF−moc(フルオレニルメチル−O−CO−)などのブロック基とすることができる、アミノ末端または別の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、(2)カルボキシ末端または別の遊離カルボキシ基もしくは遊離ヒドロキシル基のエステル、(3)アンモニアまたは適切なアミンとの反応によって生成するカルボキシ末端または別の遊離カルボキシル基のアミド、(4)リン酸化誘導体、(5)抗体または他の生物的リガンドにコンジュゲートされている誘導体および他のタイプの誘導体、ならびに(6)ポリエチレングリコール(PEG)鎖にコンジュゲートされている誘導体が含まれる。
Ang−(1−7)ペプチドは、合成技法(例えば、完全固相合成法(exclusive solid phase synthesis)、部分的固相合成法、フラグメント縮合、古典的な溶液合成、ネイティブケミカルライゲーション)および組換え技法を含む、当業者に公知のペプチド合成のいかなる方法によっても得ることができる。例えば、ペプチドまたはペプチド誘導体は、固相ペプチド合成によって得ることができ、これは、手短に言えば、C−末端アミノ酸のカルボキシル基を樹脂(例えば、ベンズヒドリルアミン樹脂、クロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂)にカップリングし、連続的にN−α保護アミノ酸を添加することからなる。保護基は、当分野において公知のいかなるそのような基とすることができる。新たなアミノ酸の各々が成長中の鎖に添加される前に、該鎖に添加された前のアミノ酸の保護基が除去される。そのような固相合成法は、例えば、Merrifield、J. Am. Chem. Soc.85巻:2149頁(1964年);Valeら、Science 213巻:1394〜1397頁(1981年)により、米国特許第4,305,872号および米国特許第4,316,891号、Bodonskyら、Chem. Ind.(London)、38巻:1597頁(1966年);ならびにPiettaおよびMarshall、Chem. Comm.650頁(1970年)において、Lubellらの「Peptides」Science of Synthesis 21.11、Chemistry of Amides. Thieme、Stuttgart、713〜809頁(2005年)において概説されている技法により開示されている。適切な樹脂へのアミノ酸のカップリングは、当分野において周知でもあり、米国特許第4,244,946号において開示されている(Houver−Weyl、Methods of Organic Chemistry.、E22a巻、Synthesis of Peptides and Peptidomimetics、編集主任Murray Goodman、Thieme、Stuttgart. New York 2002年において概説されている)。
他に定義されていない限り、本明細書で使用されている科学用語および技術用語および命名は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、細胞培養、感染、分子生物学的方法などの手順が、当分野において使用される一般的な方法である。そのような標準的技法は、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001年;およびSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.、2001年などの参照手引書において見出すことができる。
Ang−(1−7)ペプチドの調製の任意の過程の間に、関係するいずれかの分子上の感受性反応基を保護することが望ましいことがある。これは、T.W. Greene & P.G.M. WutsによるProtective Groups In Organic Synthesis、1991年、John Wiley and Sons、New−York、ならびにSewaldおよびJakubkeによる、Peptides: chemistry and Biology、2002年、Wiley−VCH、Wheinheim、142頁において記載されているものなどの、従来の保護基によって実現することができる。例えば、αアミノ保護基には、アシル型保護基(例えば、トリフルオロアセチル、ホルミル、アセチル)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、シクロヘキシルオキシカルボニル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、フルオレニル−9−メトキシ−カルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、Cbz誘導体)、およびアルキル型保護基(例えば、トリフェニルメチル、ベンジル)が含まれる。アミノ酸側鎖の保護基には、ベンジル(ThrおよびSer用)、Cbz(Tyr、Thr、Ser、Arg、Lys)、メチルエチル、シクロヘキシル(Asp、His)、Boc(Arg、His、Cys)などが含まれる。保護基は、当分野において公知の方法を使用して、後続の好都合な段階で除去することができる。
さらに、Ang−(1−7)ペプチドは、保護基を含む有機相において、FMOCプロトコルに従って合成することができる。望ましくは、このペプチドは、C18クロマトグラフィーカラム上で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により収率70%で精製され、10〜60%のアセトニトリルグラジエントにより溶出される。ペプチドの分子量は、質量分析法によって確認することができる(Fields, G.B.「Solid−Phase Peptide Synthesis」、Methods in Enzymology、289巻、Academic Press、1997年において概説されている)。
あるいは、Ang−(1−7)ペプチドは、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を使用して、組換え系において調製することができる。ポリペプチドは、同じポリペプチド内に、上記修飾を2箇所以上、含有してもよいことが理解される。
ペプチドは、インビトロにおいて生物活性を誘発するのに有効なことがあるが、インビボにおけるそれらの有効性は、プロテアーゼの存在によって低下し得る。血清プロテアーゼは、特異的な基質要件を有する。この基質は、L−アミノ酸と開裂に対するペプチド結合の両方を有していなければならない。さらに、エキソペプチダーゼは、血清におけるプロテアーゼ活性の最も顕著な構成要素に相当し、通常、ペプチドの第1のペプチド結合に作用し、遊離N−末端を必要とする(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。この点を考慮すると、ペプチドの修飾版を使用するのが有利であることが多い。修飾ペプチドは、Ang−(1−7)の所望の生物活性を与える、元のL−アミノ酸ペプチドの構造的な特徴を保持するが、有利には、プロテアーゼおよび/またはエキソペプチダーゼによる開裂に対して容易に影響を受けない。
同じタイプのD−アミノ酸(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)を含むコンセンサス配列の1個または複数のアミノ酸の体系的な置換を使用して、より安定なペプチドを生成することができる。したがって、本発明のペプチド誘導体またはペプチド模倣薬は、順方向または逆方向の順序のどちらかで、すべてLのペプチド、すべてDのペプチド、またはD、Lのペプチドの混合とすることができる。ペプチダーゼがD−アミノ酸を基質として利用することができないので、N−末端またはC−末端のD−アミノ酸の存在により、ペプチドのインビボ安定性が向上する(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。逆方向のDペプチドは、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して、逆方向の配列で配置されているD−アミノ酸を含有するペプチドである。したがって、L−アミノ酸ペプチドのC−末端残基は、D−アミノ酸ペプチドにとってN−末端などになる。逆方向のD−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドと同じ二次的な立体配座を、したがって、同様の活性を保持するが、インビトロおよびインビボにおける酵素的分解に対してより抵抗性があり、したがって、元のペプチドよりも大きな治療効力を有することができる(BradyおよびDodson、Nature、368巻:692〜693頁(1994年);Jamesonら、Nature、368巻:744〜746頁(1994年))。同様に、逆方向のLペプチドは、標準的な方法を使用して生成することができ、この場合、親ペプチドのC−末端は、逆方向のLペプチドのN−末端の場所をとるようになる。重要な二次構造を有していない(例えば、短鎖ペプチド)、L−アミノ酸ペプチドの逆方向のL−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドの側鎖と同じ間隔および立体配座を保持しており、それ故に、多くの場合、元のL−アミノ酸ペプチドと同様の活性を有することが考えられる。さらに、逆方向のペプチドは、L−およびD−アミノ酸の組合せを含有してもよい。アミノ酸の間の間隔および側鎖の立体配座は保持され、これにより、元のL−アミノ酸ペプチドと同様の活性をもたらし得る。
ペプチドのN−末端またはC−末端残基に作用するペプチダーゼに対する抵抗性を与える別の有効な手法は、ペプチド末端に化学基を追加することであり、その結果、この修飾ペプチドは、もはやペプチダーゼに対する基質ではない。そのような化学修飾の1つは、一方または両方の末端におけるペプチドのグリコシル化である。ある種の化学修飾、特に、N−末端グリコシル化は、ヒト血清におけるペプチドの安定性を向上することが示されている(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。血清安定性を強化する他の化学修飾には、以下に限定されないが、アセチル基などの1〜20個の炭素の低級アルキルからなるN−末端アルキル基の追加、および/またはC−末端アミド基もしくは置換アミド基の追加が含まれる。特に、本発明は、N−末端アセチル基および/またはC−末端アミド基を有するペプチドからなる修飾ペプチドを含む。
ペプチドの部分配列(subsequence)における天然アミノ酸を天然に存在しないアミノ酸に置換すると、やはりタンパク質分解に対する抵抗性が付与され得る。そのような置換は、例えば、生物活性に影響を及ぼすことなく、N−末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する抵抗性を付与することができる。天然に存在しないアミノ酸の例には、α,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、C−α−メチルアミノ酸、β−アミノ酸、およびβ−メチルアミノ酸が含まれる。本発明において有用なアミノ酸アナログは、以下に限定されないが、β−アラニン、ノルバリン、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、オルニチン(orithine)、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、フェニルグリシン、o−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、および他の非慣用アミノ酸を含むことができる。さらに、天然に存在しないアミノ酸を有するペプチドの合成は、当分野において決まった手順である。
さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列の変異を含む、拘束性ペプチドは、当分野で周知の方法によって生成することができる(RizoおよびGierasch、Ann. Rev. Biochem.61巻:387〜418頁(1992年))。例えば、拘束性ペプチドは、ジスルフィド架橋を形成することができるシステイン残基を追加することによって生成され、それによって、環状ペプチドをもたらすことができる。環状ペプチドは、遊離N−末端またはC−末端を有しないように構築することができる。したがって、環状ペプチドは、エンドペプチターゼに対して影響を受け得るが、エキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対して影響を受けず、ペプチド末端において開裂しない。N−末端またはC−末端D−アミノ酸を有するペプチド、および環状ペプチドのアミノ酸配列は、それぞれ、N−末端もしくはC−末端D−アミノ酸残基の存在またはそれらの環式構造を除いて、それらが対応するペプチドの配列と、通常、同一である。
環状ペプチド
一部の実施形態では、天然に存在するAng−(1−7)の機能的等価体、アナログ、または誘導体は、環状ペプチドである。本明細書で使用する場合、環状ペプチドは、隣接していない2つの残基の間に分子内共有結合を有する。分子内結合は、主鎖と主鎖、側鎖と主鎖、または側鎖と側鎖の結合であってよい(すなわち、直鎖状ペプチドの末端官能基、および/または末端もしくは内部残基の側鎖官能基が、連結して環化を達成することができる)。通常の分子内結合には、ジスルフィド結合、アミド結合、およびチオエーテル結合が含まれる。こうしたペプチドに行うことができる多数の他の修飾と同様に、ポリペプチドを環化するための様々な手段が、当分野において周知である。一般的な議論に関すると、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第01/53331号および国際公開第98/02452号を参照されたい。こうした環式結合および他の修飾も、本発明の環状ペプチドおよび誘導体化合物に適用することができる。
本明細書に記載されている環状ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはそれらの任意に組み合わせた残基を含むことができる。アミノ酸は、天然源または非天然源に由来することができるが、但し、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基が、分子内に存在していることを条件とし、α−およびβ−アミノ酸が、一般に好ましい。環状ペプチドはまた、幅広い様々な側鎖修飾および/もしくは置換(例えば、メチル化、ベンジル化、t−ブチル化、トシル化、アルコキシカルボニル化など)を伴うかまたは伴わない、1個または複数の希アミノ酸(4−ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシリシンなど)、有機酸もしくはアミド、および/または一般的なアミノ酸の誘導体(エステル化(例えば、ベンジル、メチル、またはエチルエステル)もしくはアミド化されているC−末端カルボキシレートを有する、および/またはN−末端アミノ基の修飾(例えば、アセチル化もしくはアルコキシカルボニル化)を有するアミノ酸など)を含有することができる。適切な誘導体には、N−アセチル基(環化前に直鎖状ペプチドのN−末端に相当するアミノ基がアセチル化されているように)および/またはC−末端アミド基(すなわち、環化前の直鎖状ペプチドのカルボキシ末端がアミド化されている)を有するアミノ酸が含まれる。環状ペプチドと共に存在することができる、一般的なアミノ酸以外の残基には、以下に限定されないが、ペニシラミン、β,β−テトラメチレンシステイン、β,β−ペンタメチレンシステイン、β−メルカプトプロピオン酸、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトベンゼン、2−メルカプトアニリン、2−メルカプトプロリン、オルニチン、ジアミノ酪酸、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸、およびα,β−ジアミノプロピオン酸が含まれる。
N−アセチル化および/またはC−アミド化を伴うまたは伴わない直鎖状ペプチドの合成後に、当分野において周知の様々な技法のいずれかによって環化を実現することができる。一実施形態の範囲内では、反応性アミノ酸の側鎖間で結合が生成されてもよい。例えば、ジスルフィド架橋は、2個のチオール含有残基を含む直鎖状ペプチドから、様々な方法のいずれかを使用してペプチドを酸化することにより形成することができる。そのような一方法の範囲内では、塩基性または中性の水性媒体を使用し、数日間にわたるチオールの空気酸化により、ジスルフィド結合を生成することができる。このペプチドは高希釈で使用され、凝集および分子間の副反応を最小限にする。あるいは、IおよびKFe(CN)などの強酸化剤を使用して、ジスルフィド結合を形成させることができる。当業者は、Met、Tyr、Trp、またはHisの感受性側鎖を酸化しないように注意しなければならないということを認識するであろう。さらなる実施形態の範囲内では、環化は、アミド結合の形成によって実現することができる。例えば、ペプチド結合は、末端官能基(すなわち、環化前の直鎖状ペプチドのアミノ末端とカルボキシ末端)間で形成することができる。別のそのような実施形態の範囲内では、直鎖状ペプチドは、D−アミノ酸を含む。あるいは、環化は、N−末端アセチル基および/またはC−末端アミドを伴ってまたは伴うことなく、一方の末端と残基側鎖とを連結することによって、または2つの側鎖を使用することによって実施することができる。ラクタム結合を形成することができる残基には、リシン、オルニチン(Orn)、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸が含まれる。アミド結合を形成する方法は、当分野において一般に周知である。こうした一方法の範囲内では、カルボン酸とDCC、DIC、EDAC、またはDCCIとの反応によって、カルボジイミドを媒介とするラクタム形成を実施することができ、これにより、環化を完了するための遊離アミノ基と直ちに反応させることができるO−アシル尿素が形成する。あるいは、環化は、アジド法を使用して実施することができ、この場合、反応性アジド中間体が、ヒドラジドを経てアルキルエステルから生成する。あるいは、環化は、活性化エステルを使用して実施することができる。エステルのアルコキシ炭素上の電子吸引性置換基が存在していることにより、アミノリシスに対するそれらの感受性が向上する。p−ニトロフェノール、N−ヒドロキシ化合物、およびポリハロゲン化フェノールのエステルの高い反応性により、これらの「活性エステル」は、アミド結合の合成において有用となる。さらなる実施形態の範囲内では、チオール含有残基の側鎖と適切に誘導体化されているα−アミノ酸との間に、チオエーテル結合を形成することができる。例として、リシン側鎖は、カルボジイミドカップリング法(DCC、EDAC)により、ブロモ酢酸とカップリングし、次いで、上記のチオール含有残基のいずれかの側鎖と反応させて、チオエーテル結合を形成させることができる。ジチオエーテルを形成させるために、任意の2個のチオール含有側鎖を、DMF中で、ジブロモエタンとジイソプロピルアミンと反応させることができる。
例示的なアンジオテンシン−(1−7)ペプチド
ある種の態様では、本発明は、直鎖状アンジオテンシン−(1−7)ペプチドを提供する。上で議論されている通り、天然に存在するAng−(1−7)の構造は、以下の通りである。
Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号1)
本発明のペプチドおよびペプチドアナログは、以下の配列
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号4)
によって、一般に表すことができ、または薬学的に許容されるその塩である。
Xaaは、任意のアミノ酸またはジカルボン酸である。ある種の実施形態では、Xaaは、Asp、Glu、Asn、Acpc(1−アミノシクロペンタンカルボン酸)、Ala、MeGly(N,N−ジメチルグリシン)、Pro、Bet(ベタイン、水酸化1−カルボキシ−N,N,N−トリメチルメタンアミニウム)、Glu、Gly、Asp、Sar(サルコシン)、またはSuc(コハク酸)である。ある種のこうした実施形態では、Xaaは、AspまたはGluなどの負に荷電しているアミノ酸であり、通常Aspである。
Xaaは、Arg、Lys、Ala、Cit(シトルリン)、Orn(オルニチン)、アセチル化Ser、Sar、D−Arg、およびD−Lysである。ある種の実施形態では、Xaaは、ArgまたはLysなどの正に荷電しているアミノ酸であり、通常Argである。
Xaaは、Val、Ala、Leu、Nle(ノルロイシン)、Ile、Gly、Lys、Pro、HydroxyPro(ヒドロキシプロリン)、Aib(2−アミノイソ酪酸)、Acpc、またはTyrである。ある種の実施形態では、Xaaは、Val、Leu、Ile、またはNleなどの脂肪族アミノ酸であり、通常、ValまたはNleである。
Xaaは、Tyr、Tyr(PO)、Thr、Ser、homoSer(ホモセリン)、azaTyr(アザ−α−ホモ−L−チロシン)またはAlaである。ある種の実施形態では、Xaaは、Tyr、SerまたはThrなどのヒドロキシル置換アミノ酸であり、通常Tyrである。
Xaaは、Ile、Ala、Leu、norLeu、Val、またはGlyである。ある種の実施形態では、Xaaは、Val、Leu、Ile、またはNleなどの脂肪族アミノ酸であり、通常Ileである。
Xaaは、His、Arg、または6−NH−Phe(6−アミノフェニルアラニン(aminophenylalaine))である。ある種の実施形態では、Xaaは、ArgまたはHisなどの、完全にまたは部分的に正に荷電しているアミノ酸である。
Xaaは、Cys、Pro、またはAlaである。
ある種の実施形態では、Xaa〜Xaaの1つまたは複数が、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。ある種のこうした実施形態では、Xaa〜Xaaの1つまたは2つ以外のすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態では、Xaa〜Xaaのすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。
ある種の実施形態では、Xaaは、Nleである。Xaaが、Nleである場合、Xaa〜XaaおよびXaa4〜7の1つまたは複数は、場合により、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。ある種のこうした実施形態では、Xaa〜XaaおよびXaa4〜7の1つまたは2つ以外のすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態では、Xaa〜XaaおよびXaa4〜7のすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一であり、アミノ酸配列Asp−Arg−Nle−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号5)となる。
ある種の実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列Asp−Arg−Val−Ser−Ile−His−Cys(配列番号6)またはAsp−Arg−Val−ser−Ile−His−Cys(配列番号2)を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている直鎖状アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His(配列番号22)の配列を有するペプチドであり、この配列は、Ang(1−9)の配列と同一である。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、Ang(1−9)の誘導体である。Ang(1−9)誘導体を含む、例示的なAng(1−9)ペプチドの場合、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2012/0172301号を参照されたい。
一部の実施形態では、直鎖状アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、Ala−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro(配列番号23)のアミノ酸配列を有するペプチドである。配列番号23に由来する追加の配列は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、欧州特許出願第2,264,048号において見出すことができる。
例示的な環式アンジオテンシン(1−7)ペプチド
ある種の態様では、本発明は、AngにおけるTyr4位およびPro7位に相当するアミノ酸の側鎖間などの結合を含む環状アンジオテンシン−(1−7)(Ang−(1−7))ペプチドアナログを提供する。これらのペプチドアナログは、通常、7個のアミノ酸残基を含むが、開裂可能な配列も含むことができる。より詳細に以下に議論される通り、本発明は、フラグメント、および1個または複数のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されているアナログ(フラグメントを含む)を含む。そのようなアナログの一例は、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号6)であり、結合が、Ser4とCys7との間に形成される。
以下の項目は、4位および7位における残基を連結するチオエーテル結合に関する本発明の態様を説明するが、他の結合(上記の通り)が、チオエーテル架橋に置き換えられて、他の残基が環化し得ることを理解すべきである。チオエーテル架橋はまた、一硫化架橋とも、またはAla−S−Alaの場合、ランチオニン架橋とも呼ばれる。チオエーテル架橋含有ペプチドは、以下の式
の1つを有する2個のアミノ酸によって形成することができる。
これらの式において、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、−H、アルキル基(例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル)、またはアラルキル基であり、これらのアルキル基およびアラルキル基は、1つまたは複数のハロゲン、−OH、または−NRR’基(RおよびR’は、独立して、−HまたはC〜Cアルキルである)によって場合により置換されている。ある種の実施形態では、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、−Hまたは−CHであり、こうした場合、すべて−Hである。
ある種の実施形態では、本発明は、式(I)によるチオエーテル架橋を含むAngアナログまたは誘導体を提供する。通常、R、R、RおよびRは、−Hおよび−CHから独立して選択される。式(I)によるチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、ランチビオティック酵素によってまたはジスルフィドの硫黄押出しによって、生成することができる。一例では、硫黄が押し出されるジスルフィドは、4位におけるD−システインおよび7位におけるL−システインによって、または4位におけるD−システインおよび7位におけるL−ペニシラミンによって、形成することができる(例えば、Galande、TrentおよびSpatola(2003年)、Biopolymers、71巻、534〜551頁を参照されたい)。
他の実施形態では、2個のアミノ酸の結合は、式(II)または式(III)において示されている架橋とすることができる。式(II)によるチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、4位におけるD−ホモシステインおよび7位におけるL−システインによって形成されるジスルフィドの硫黄押出しによって、作製することができる。同様に、式(III)にある通りのチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、4位におけるD−システインおよび7位におけるL−ホモシステインによって形成されるジスルフィドの硫黄押出しによって、作製することができる。
上で議論されている通り、本発明のAngアナログおよび誘導体は、長さおよびアミノ酸組成が変動する。本発明のAngアナログおよび誘導体は、好ましくは、生物活性を有するか、またはタンパク質分解により活性化され得る不活性前駆体分子である(10個のアミノ酸を有するアンジオテンシン(I)が、2個のアミノ酸の開裂によってどのように活性フラグメントに変換されるかなど)。Angアナログまたは誘導体のサイズは、変動し得るが、3〜7個のNle−チオエーテル環構造を含む「コア」の五量体セグメントが包含されている限り、通常、約5〜10個の間のアミノ酸である。本発明のアナログまたは誘導体のアミノ酸配列は、変動し得るが、通常、それが、生物活性であるか、またはタンパク質分解により活性化されている状態になることができることを条件とする。アナログまたは誘導体の生物活性は、放射性リガンド結合の検討、インビトロ細胞活性化アッセイ、およびインビボ実験を含む、当分野において公知の方法を使用して決定することができる。例えば、GodenyおよびSayeski(2006年)Am. J. Physiol. Cell. Physiol.291巻:C1297〜1307頁;Sarrら、Cardiovasc. Res.(2006年)71巻:794〜802頁;ならびにKoziarzら(1933年)Gen. Pharmacol.24巻:705〜713頁を参照されたい。
ペプチドの長さしか変動しない、Angアナログおよび誘導体は、以下を含む:
天然Ang−(1−7)(Asp−Arg−Val−Cyc−Ile−His−Cyc、配列番号7)から誘導される、[Cyc4−7]Ang−(1−7)と命名される4,7−環化アナログ
天然アンジオテンシンI(Ang−(1−10))(Asp−Arg−Nle−Cyc−Ile−His−Cyc−Phe−His−Leu10、配列番号8)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(1−10)と命名される4,7−環化アナログ;
天然アンジオテンシンII(Ang−(1−8))(Asp−Arg−Nle−Cyc−Ile−His−Cyc−Phe、配列番号9)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(1−8)と命名される4,7−環化アナログ;
天然アンジオテンシンIII(Ang−(2−8))(Arg−Nle−Cyc−Ile−His−Cyc−Phe、配列番号10)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(2−8)と命名される4,7−環化アナログ;
天然アンジオテンシンIV(Ang−(3−8))(Nle−Cyc−Ile−His−Cyc−Phe、配列番号11)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(3−8)と命名される4,7−環化アナログ;
天然Ang−(1−7)(Asp−Arg−Nle−Cyc−Ile−His−Cyc、配列番号12)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(1−7)と命名される4,7−環化アナログ;および
天然Ang−(1−9)(Asp−Arg−Nle−Cyc−Ile−His−Cyc−Phe−His、配列番号13)から誘導される、[Nle,Cyc4−7]Ang−(1−9)と命名される4,7−環化アナログ。
これらのアナログは、Cyc4−7部位として、式(I)〜(III)において示されているチオエーテル架橋の1つを有することができ、例えば、R〜Rがそれぞれ、−Hまたは−CHであり、通常−Hである場合などの、CycおよびCycが、式(I)によって表される。
天然アンジオテンシンペプチドのアミノ酸配列と比較して、Cyc4−7アナログの4位および7位のアミノ酸は修飾されて、上に示されているチオエーテル環構造の導入が可能になる。Angアナログの長さに加えて、3、4、および7以外の位置にあるアミノ酸は、天然に存在するペプチドと同じであるかまたは異なるものとすることができるが、但し、通常、アナログが、生物的機能を保持していることを条件とする。[Cyc4−7]Ang−(1−10)のような不活性前駆体のアナログに関すると、生物的機能とは、それを開裂して、生物活性なフラグメント(例えば、Ang−(1−8)またはAng−(1−7))にすることができるアンジオテンシン変換酵素に対するアナログの感受性またはフラグメント自体の生物活性の一方または両方を指す。ある種の実施形態では、本発明のAngアナログまたは誘導体は、内在性の機能を有していないが、1つまたは複数の天然に存在するアンジオテンシン化合物の効果を阻害する。
ある種の実施形態では、本発明のAngアナログは、式(IV)
Xaa−Xaa−Xaa−Cyc−Xaa−Xaa−Cyc(IV、配列番号14)
によって表される。
Xaaは、任意のアミノ酸であるが、通常、GluまたはAspなどの負に荷電しているアミノ酸であり、より典型的にはAspである。
Xaaは、ArgまたはLysなどの正に荷電しているアミノ酸であり、通常Argである。
Xaaは、Leu、Ile、またはValなどの脂肪族アミノ酸であり、通常、Valである。
Cycは、Cycと一緒になって、チオエーテル架橋を形成する。Cycは、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、通常、D−立体異性体とすることができる。Cyc(Cycと一緒になって)の例は、式(I)、(II)、および(III)において示されている。通常、式(I)、(II)、および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH、とりわけ−Hである。
Xaaは、Leu、Ile、またはValなどの脂肪族アミノ酸であり、通常、Ileである。
Xaaは、Hisである。
Cycは、式(I)、(II)または(III)におけるものなどの、Cycと一緒になってチオエーテル架橋を形成する。Cycは、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、通常、L−立体異性体とすることができる。Cyc(Cycと一緒になって)の例は、式(I)、(II)、(III)および(IV)において示されている。通常、式(I)、(II)、および(III)および(IV)におけるR基は、−Hまたは−CH、とりわけ−Hである。
ある種の実施形態では、Xaa〜Xaaの1つまたは複数(CycおよびCycを除く)が、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。ある種のこうした実施形態では、Xaa〜Xaaの1つまたは2つ以外のすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態では、Xaa〜Xaaのすべてが、天然に存在するAng−(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。
ある種の実施形態では、CycおよびCycは、Abu(2−アミノ酪酸)およびAla(アラニン)から独立して選択され、この場合、Alaは、少なくとも1つの位置に存在している。したがって、環状アナログは、−Ala−S−Ala−(式(I)、R〜Rは、それぞれ−Hである)、−Ala−S−Abu−(式(I)、R〜Rは−Hであり、Rは−CHである)、または−Abu−S−Ala−(式(I)、R、R、およびRは−Hであり、Rは−CHである)によって形成されるチオエーテル結合を有することができる。環状アナログの具体例は、−Abu−S−Ala−または−Ala−S−Ala−結合を含む。
ある種の実施形態では、本発明は、以下の構造図
によって表される、アミノ酸配列Asp−Arg−Val−Abu−Ile−His−Ala(配列番号15)またはアミノ酸配列Asp−Arg−Val−Ala−Ile−His−Ala(配列番号16)を有する、4位と7位との間にチオエーテル架橋を有するAng−(1−7)アナログを提供する。
ある種の実施形態では、本発明のAngアナログまたは誘導体は、式(V)
Xaa−Xaa−Nle−Cyc−Xaa−Xaa−Cyc−Xaa−Xaa−Xaa10(V、配列番号17)
によって表される。上で議論されている通り、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、およびXaa10の1つまたは複数が、ある種の実施形態において存在していない。例えば、(1)Xaa10が存在しない、(2)XaaおよびXaa10が存在しない、(3)Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない、(4)Xaaが存在しない、(5)XaaおよびXaa10が存在しない、(6)Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない、(7)Xaa、Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない、(8)XaaおよびXaaが存在しない、(9)Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない、(10)Xaa、Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない、または(11)Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、およびXaa10が存在しない。これらの実施形態のそれぞれの場合、残りのアミノ酸は、以下に記載される意味(value)を有する。
Xaaは、存在している場合、任意のアミノ酸であるが、通常、GluまたはAspなどの負に荷電しているアミノ酸であり、より典型的にはAspである。
Xaaは、存在する場合、ArgまたはLysなどの正に荷電しているアミノ酸であり、通常Argである。
Nleは、ノルロイシンである。
Cycは、Cycと一緒になって、チオエーテル架橋を形成する。Cycは、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、通常、D−立体異性体とすることができる。Cyc(Cycと一緒になって)の例は、式(I)、(II)、および(III)において示されている。通常、式(I)、(II)および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH、とりわけ−Hである。
Xaaは、Leu、Nle、Ile、またはValなどの脂肪族アミノ酸であり、通常、Ileである。
Xaaは、Hisである。
Cycは、式(I)、(II)または(III)におけるものなどの、Cycと一緒になってチオエーテル架橋を形成する。Cycは、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、通常、L−立体異性体とすることができる。Cyc(Cycと一緒になって)の例は、式(I)、(II)、および(III)において示されている。通常、式(I)、(II)および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH、とりわけ−Hである。
Xaaは、存在する場合、Pro以外のアミノ酸であり、通常、PheまたはIleである。ある種の実施形態では、Ileは、Ang(1−8)の阻害剤となる。ある種の実施形態では、Pheは、Ang(1−8)またはAng(1−10)の生物活性を維持している。
Xaaは、存在する場合、Hisである。
Xaa10は、存在する場合、脂肪族残基、例えば、Ile、Val、またはLeu、通常、Leuである。
ある種の実施形態では、Xaa〜Xaa10(Nle、Cyc、およびCycを除く)の1つまたは複数が、天然に存在するAng(Ang−(1−7)、Ang(1−8)、Ang(1−9)、Ang(1−10)、Ang(2−7)、Ang(2−8)、Ang(2−9)、Ang(2−10)、Ang(3−8)、Ang(3−9)、およびAng(3−10)を含む)における対応するアミノ酸と同一である。ある種のこうした実施形態では、Xaa〜Xaa10の1つまたは2つ以外のすべて(存在するものについて)が、天然に存在するAngにおける対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態では、Xaa〜Xaa10はすべて(存在するものについて)が、天然に存在するAngにおける対応するアミノ酸と同一である。
ある種の実施形態では、CycおよびCycは、Abu(2−アミノ酪酸)およびAla(アラニン)から独立して選択され、この場合、Alaは、少なくとも1つの位置に存在している。したがって、−Ala−S−Ala−(式(I)、R〜Rは、それぞれ−Hである)、−Ala−S−Abu−(式(I)、R〜Rは−Hであり、Rは−CHである)、または−Abu−S−Ala−(式(I)、R、RおよびRは−Hであり、Rは−CHである)によって形成されるチオエーテル結合を含む環状アナログが包含される。特定の環状アナログは、−Abu−S−Ala−または−Ala−S−Ala−結合を含む。
特に、本発明は、アミノ酸配列Asp−Arg−Nle−Abu−Ile−His−Ala(配列番号18)またはアミノ酸配列Asp−Arg−Nle−Ala−Ile−His−Ala(配列番号19)を有する、4位と7位との間にチオエーテル架橋を有する、Ang−(1−7)アナログまたは誘導体を提供する。
別の態様では、本発明は、Ang−(1−8)アンタゴニスト活性を有する、4位と7位との間にチオエーテル架橋を有するAng−(1−8)アナログまたは誘導体、特に、アミノ酸配列Asp−Arg−Nle−Abu−Ile−His−Ala−Ile(配列番号20)またはアミノ酸配列Asp−Arg−Nle−Ala−Ile−His−Ala−Ile(配列番号21)を有するAng(1−8)アナログまたは誘導体を提供する。
アルキル基は、完全に飽和されている直鎖または分岐非芳香族炭化水素である。通常、直鎖または分岐アルキル基は、1〜約20個、好ましくは、1〜約10個の炭素原子を有する。直鎖および分岐アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、およびオクチルが含まれる。C1〜C4直鎖または分岐アルキル基はまた、「低級アルキル」基とも呼ばれる。
アラルキル基は、アリール基によって置換されているアルキル基である。芳香族(アリール)基には、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環式芳香族基、ならびにイミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルなどのヘテロアリール基が含まれる。芳香族基には、炭素環式芳香環またはヘテロアリール環が1つまたは複数の他のヘテロアリール環と縮合している、縮合多環式芳香族環系も含まれる。例には、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、およびイソインドリルが含まれる。
Ang(1−7)受容体アゴニスト
一部の実施形態では、本発明は、脳状態を処置する方法であって、1種または複数の脳状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に、アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストを投与するステップを含む、方法を提供する。本明細書で使用する場合、用語「アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト」は、アンジオテンシン−(1−7)受容体、特にG−タンパク質共役型Mas受容体の機能に正の影響を及ぼす、いかなる分子も包含している。一部の実施形態では、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、直接または間接的に、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)活性を増強する、強化する、活性化する、および/または向上させる。一部の実施形態では、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、直接、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)と相互作用する。こうしたアゴニストは、例えば、タンパク質、化学化合物、低分子、核酸、抗体、薬物、リガンド、または他の作用剤を含む、ペプチドまたは非ペプチド性とすることができる。一部の実施形態では、本アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、非ペプチド性アゴニストである。
例示的なクラスのアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、1−(p−チエニルベンジル)イミダゾールである。これらの非ペプチド性アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの例は、式(VI)
によって表されるか、または薬学的に許容されるその塩である[式中、
は、ハロゲン、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルコキシ(1〜6個の炭素原子が、ヘテロ原子O、SまたはNHによって(好ましくは、Oによって)置き換えられている)、(C〜C)−アルコキシ(テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどの飽和環状エーテルによって置換されている)、O−(C〜C)−アルケニル、O−(C〜C)−アルキルアリール、またはアリールオキシ(無置換であるか、またはハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、およびトリフルオロメチルから選択される置換基によって置換されている)であり、
は、CHO、COOH、または(3)CO−O−(C〜C)−アルキルであり、
は、(C〜C)−アルキルまたはアリールであり、
は、水素、ハロゲン(クロロ、ブロモ、フルオロ)、または(C〜C)−アルキルであり、
Xは、酸素または硫黄であり、
Yは、酸素または−NH−であり、
は、水素、(C〜C)−アルキル、または(C〜C)−アルキルアリールであり、Yが−NH−である場合、Rは水素であり、
は、(C〜C)−アルキルである]。
ある種の実施形態では、Rが、COOHまたはCO−O−(C〜C)−アルキルである場合、Rはハロゲンではない。
一部の実施形態では、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、以下の構造
によって表される、AVE0991、5−ホルミル−4−メトキシ−2−フェニル−1[[4−[2−(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)−5−イソブチル−3−チエニル]−フェニル]−メチル]−イミダゾールである。
別の例示的なクラスのアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、p−チエニルベンジルアミドである。これらの非ペプチドアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの例は、構造式(VII)
によって表されるか、または薬学的に許容されるその塩である[式中、
は、(C〜C)−アルキル(無置換であるか、またはNH、ハロゲン、O−(C〜C)−アルキル、CO−O−(C〜C)−アルキルおよびCOHから選択されるラジカルによって置換されている)、(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C)−アルキル−(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C10)−アリール(無置換であるか、またはハロゲンおよびO−(C〜C)−アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、(C〜C)−アルキル−(C〜C10)−アリール(アリールラジカルは無置換であるか、またはハロゲンおよびO−(C〜C)−アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、(C〜C)−ヘテロアリール、または(C〜C)−アルキル−(C〜C)−ヘテロアリールであり、
は、水素、(C〜C)−アルキル(無置換であるか、またはハロゲンおよびO−(C〜C)−アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C)−アルキル−(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C10)−アリール(無置換であるか、またはハロゲン、O−(C〜C)−アルキル、およびCO−O−(C〜C)−アルキルのなかから選択されるラジカルによって置換されている)、または(C〜C)−アルキル−(C〜C10)−アリール(無置換であるか、またはハロゲンおよびO−(C〜C)−アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)であり、
は、水素、COOH、またはCOO−(C〜C)−アルキルであり、
は、水素、ハロゲン、または(C〜C)−アルキルであり、
は、水素または(C〜C)−アルキルであり、
は、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルキル−(C〜C)−シクロアルキル、または(C〜C)−アルケニルであり、
Xは、酸素またはNHである]。
アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストのさらなる例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,235,766号において記載されている。
上記の様々なアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、薬学的に許容される塩として存在することができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、ペプチドまたは等価な化合物の所望の活性を保持しているが、好ましくは、ペプチドの活性またはペプチドを使用する系の他の構成要素の活性に悪影響を及ぼさない塩を指す。そのような塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などにより形成される酸付加塩である。塩はまた、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸などの有機酸により形成されてもよい。陽イオン性物質から形成される塩は、これらの無機酸および有機酸の共役塩基を利用してもよい。塩はまた、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケルなどの多価金属陽イオンにより、あるいはN,N’−ジベンジルエチレンジアミンもしくはエチレンジアミン、またはそれらの組合せから形成される有機カチオンにより形成されてもよい(例えば、タンニン酸亜鉛塩)。無毒性の、生理学的に許容される塩が好ましい。
塩は、この塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中または水などの溶媒中(これらの溶媒または媒体は、次に真空で、または凍結乾燥により除去される)、遊離酸または遊離塩基形態の生成物を、1当量以上の適切な酸または塩基と反応させることによる、あるいは存在している塩の陽イオンを適切なイオン交換樹脂上の別の陽イオンで交換することによるなどの従来的な手段によって形成することができる。
アルキル基は、完全に飽和している直鎖または分岐非芳香族炭化水素である。通常、直鎖または分岐アルキル基は、1〜約20個、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する。直鎖および分岐アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、およびオクチルが含まれる。C1〜C4直鎖または分岐アルキル基はまた、「低級アルキル」基とも呼ばれる。
アルケニル基は、1つまたは複数の二重結合を含む直鎖または分岐非芳香族炭化水素である。通常、直鎖または分岐アルケニル基は、2〜約20個、好ましくは2〜約10個の炭素原子を有する。直鎖および分岐アルケニル基の例には、エテニル、n−プロペニル、およびn−ブテニルが含まれる。
芳香族(アリール)基には、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環式芳香族基、ならびにイミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルなどのヘテロアリール基が含まれる。芳香族基には、炭素環式芳香環またはヘテロアリール環が1つまたは複数の他のヘテロアリール環と縮合している、縮合多環式芳香族環系も含まれる。例には、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、およびイソインドリルが含まれる。
アラルキル基は、アリール基によって置換されているアルキル基である。
製剤
本発明の方法によれば、本明細書に記載されている、本発明のAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、単独で(例えば、精製済みペプチドまたは化合物として)、または本明細書に記載されている組成物もしくは医薬の構成要素(例えば、疾患の処置のための医薬製造において)として、対象に投与することができる。本組成物は、生理学的に許容される担体または添加剤と一緒に製剤化して、医薬組成物を調製することができる。担体および組成物は、無菌とすることができる。製剤は、投与、例えば静脈内または皮下投与の形式に好適となるべきである。組成物の製剤化方法は、当分野で公知である(例えば、Remington’s Pharmaceuticals Sciences、第17版、Mack Publishing Co.(Alfonso R. Gennaro編集)(1989年)を参照されたい)。
適切な薬学的に許容される担体には、以下に限定されないが、水、塩の溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝生理食塩水、アルコール、グリセロール、エタノール、アラビアガム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロースまたはデンプンなど)、糖(マンニトール、スクロース、またはその他)、デキストロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(pyrolidone)など、およびそれらの組合せが含まれる。医薬調製物は、所望の場合、活性化合物と反応して有害とならないか、またはそれらの活性を妨害しない補助剤(例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色物質、および/または芳香物質など)と混合することができる。好ましい実施形態では、静脈内投与に適した水溶性担体が使用される。
本組成物または医薬は、所望の場合、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を少量含有することもできる。本組成物は、液状溶液、懸濁液、エマルション、徐放製剤、または粉末とすることができる。本組成物はまた、従来の結合剤およびトリグリセリドなどの担体と共に坐剤として製剤化することもできる。
本組成物または医薬は、ヒトに投与するようになされた医薬組成物として、決まった手順に従って製剤化することができる。例えば、好ましい実施形態では、静脈内投与向け組成物は、通常、無菌の等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、本組成物は、溶解補助剤、および注射部位における痛みを緩和するための局所麻酔薬を含んでもよい。一般に、成分は、別々または単位剤形中に一緒に混合されて供給される(例えば、乾燥した凍結乾燥散剤、またはアンプルなどの気密密封されている容器中の水不含濃縮製剤、または活性剤の量を示しているサシェ(sachette)として)。本組成物が注入によって投与されることになる場合、無菌医薬グレードの水、生理食塩水、またはデキストロース/水を含有している注入用ボトルに分注することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを用意し、投与前に、成分を混合することができる。
本明細書に記載されている、Ang(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、中性または塩形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの、遊離アミノ基と形成されるもの、および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものなどの、遊離カルボキシル基と形成されるものが含まれる。
本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニスト(または、本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストを含有している組成物もしくは医薬)は、任意の適切な経路によって投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、皮下投与される。本明細書で使用する場合、用語「皮下組織」とは、皮膚の直下にある、緩く、不規則な結合組織の層として定義される。例えば、皮下投与は、以下に限定されないが、大腿部、腹部、殿部、または肩甲部を含む領域に組成物を注射することにより実施することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、静脈内投与される。あるいは、本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニスト(または、本明細書に記載されているAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストを含有している組成物もしくは医薬)は、吸入、非経口、皮内、経皮、直腸、または経粘膜により投与することができる。所望の場合、2つ以上の経路を、同時に使用することができる。
一部の実施形態では、組成物は、治療有効量で、および/または特定の所望の転帰(例えば、虚血性脳卒中を処置するか、またはそのリスクを低減することにより)に相関する投与レジメンに従って投与される。
本発明に従って投与すべき具体的な用量または量は、例えば、所望の転帰の特質および/もしくは程度、投与経路および/もしくはタイミングの詳細、ならびに/または1種もしくは複数の特徴(例えば、体重、年齢、個人の経歴、遺伝的特徴、生活スタイルパラメータ、心臓欠損の重症度および/もしくは心臓欠損のリスクレベルなど、またはそれらの組合せ)に応じて、変わり得る。そのような用量または量は、当業者によって決定することができる。一部の実施形態では、適切な用量または量は、標準的な臨床技法に従って決定される。例えば、一部の実施形態では、適切な用量または量は、疾患重症度指数スコアを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%以上低下させるのに十分な用量または量である。例えば、一部の実施形態では、適切な用量または量は、疾患重症度指数スコアを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%低下させるのに十分な用量または量である。あるいは、または追加的に、一部の実施形態では、適切な用量または量は、投与すべき所望投与量または至適投与量の範囲または量を特定する手助けとなる、1種または複数のインビトロまたはインビボアッセイの使用により決定される。
様々な実施形態では、Ang(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、治療有効量で投与される。本明細書で使用する場合、用語「治療有効量」とは、本発明の医薬組成物に含有されている、治療剤の総量に基づいて、主に決定される。一般に、治療有効量は、対象に有意な利益(例えば、根本的な疾患または状態を処置する、変調する、治癒する、予防する、および/または寛解させる)を実現するのに十分である。一部の特定の実施形態では、投与されるべき適切な用量または量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムに由来する用量応答曲線から推定することができる。
様々な実施形態では、誘導体、アナログ、および/または塩を含めた、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストの治療有効投与量は、様々な量で存在し得る。例えば、一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドの治療有効量は、約10〜1000mg(例えば、約20mg〜1,000mg、30mg〜1,000mg、40mg〜1,000mg、50mg〜1,000mg、60mg〜1,000mg、70mg〜1,000mg、80mg〜1,000mg、90mg〜1,000mg、約10〜900mg、10〜800mg、10〜700mg、10〜600mg、10〜500mg、100〜1000mg、100〜900mg、100〜800mg、100〜700mg、100〜600mg、100〜500mg、100〜400mg、100〜300mg、200〜1000mg、200〜900mg、200〜800mg、200〜700mg、200〜600mg、200〜500mg、200〜400mg、300〜1000mg、300〜900mg、300〜800mg、300〜700mg、300〜600mg、300〜500mg、400mg〜1,000mg、500mg〜1,000mg、100mg〜900mg、200mg〜800mg、300mg〜700mg、400mg〜700mg、および500mg〜600mg)の範囲の量とすることができる。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、約10mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg以上の量で存在している。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、約1000mg、950mg、900mg、850mg、800mg、750mg、700mg、650mg、600mg、550mg、500mg、450mg、400mg、350mg、300mg、250mg、200mg、150mg、または100mg以下の量で存在している。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1回用量で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1日に提供される。
他の実施形態では、治療有効投与量は、例えば、約0.001mg/kg体重〜500mg/kg体重、例えば、約0.001mg/kg体重〜400mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜300mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜100mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜90mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜80mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜70mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜60mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜50mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜40mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜30mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜25mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜20mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜15mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜10mg/kg体重とすることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1回用量で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1日に提供される。
さらに他の実施形態では、治療有効投与量は、例えば、約0.001mg/kg体重〜約1mg/kg体重、例えば、約0.001mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約1mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.01mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約1mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.02mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約1mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.03mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約1mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.04mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約1mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約0.8mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約0.7mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重、約0.05mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重とすることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1回用量で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療有効量は、1日に提供される。
さらに他の実施形態では、治療有効投与量は、例えば、約0.0001mg/kg体重〜0.1mg/kg体重、例えば約0.0001mg/kg体重〜0.09mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.08mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.07mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.06mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.05mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜約0.04mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.03mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.02mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.019mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.018mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.017mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.016mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.015mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.014mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.013mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.012mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.011mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.01mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.009mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.008mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.007mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.006mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.005mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.004mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.003mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.002mg/kg体重とすることができる。一部の実施形態では、治療有効用量は、0.0001mg/kg体重、0.0002mg/kg体重、0.0003mg/kg体重、0.0004mg/kg体重、0.0005mg/kg体重、0.0006mg/kg体重、0.0007mg/kg体重、0.0008mg/kg体重、0.0009mg/kg体重、0.001mg/kg体重、0.002mg/kg体重、0.003mg/kg体重、0.004mg/kg体重、0.005mg/kg体重、0.006mg/kg体重、0.007mg/kg体重、0.008mg/kg体重、0.009mg/kg体重、0.01mg/kg体重、0.02mg/kg体重、0.03mg/kg体重、0.04mg/kg体重、0.05mg/kg体重、0.06mg/kg体重、0.07mg/kg体重、0.08mg/kg体重、0.09mg/kg体重、または0.1mg/kg体重とすることができる。特定の個体のための有効用量は、個体の必要性に応じて、経時的に変えることができる(例えば、増量または減量)。
一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜1,000μg/kg/日(例えば、約1〜900μg/kg/日、1〜800μg/kg/日、1〜700μg/kg/日、1〜600μg/kg/日、1〜500μg/kg/日、1〜400μg/kg/日、1〜300μg/kg/日、1〜200μg/kg/日、1〜100μg/kg/日、1〜90μg/kg/日、1〜80μg/kg/日、1〜70μg/kg/日、1〜60μg/kg/日、1〜50μg/kg/日、1〜40μg/kg/日、1〜30μg/kg/日、1〜20μg/kg/日、1〜10μg/kg/日の範囲)の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜100μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1、2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000ug/kg/日から選択される有効用量で投与される。
投与スケジュール
様々な実施形態は、異なる投与レジメンを含むことができる。一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、連続注入によって投与される。一部の実施形態では、この連続注入は、静脈内である。他の実施形態では、連続注入は、皮下である。あるいはまたは追加的に、一部の実施形態では、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、2か月毎、毎月、毎月2回、3週間毎、2週間毎、毎週、毎週2回、毎週3回、毎日、毎日2回、または別の臨床的に望ましい投与スケジュールで投与される。単一の対象のための投与レジメンは、一定間隔である必要はないが、対象の必要性に応じて経時的に変えることができる。
併用療法
一部の実施形態では、Ang(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、併用療法の一部として使用されよう。1種または複数の脳状態のための公知の任意の治療物質または処置が、本明細書において開示されている、1種または複数のAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストと共に使用されてもよいと考えられる。併用療法として、1種または複数のAng(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストと共に使用することができる例示的な化合物には、以下に限定されないが、血栓溶解性化合物、抗酸化剤もしくは他の反応性酸素種剤、インターフェロンβ−1a(例えば、Avonex、Rebif、CinnoVex、ReciGen)、インターフェロンβ−1b(Betaseron)、酢酸グラチラマー(Copaxone)、ミトキサントロン(Novantrone)、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)(利用可能な最初の経口薬物)、およびテリフルノミド(Aubagio)、またはそれらの組合せが含まれる。
キット
一部の実施形態では、本発明は、Ang(1−7)ペプチド、アンジオテンシン(1−7)受容体アゴニスト、またはそれを含有する製剤を含有するキットまたは他の製造品をさらに提供し、その再構成(凍結乾燥である場合)および/または使用のための指示書を提供する。キットまたは他の製造品は、投与(例えば、皮下、吸入による)において有用な容器、注射器、バイアル、および任意の他の物品、デバイス、または機器を含むことができる。好適な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器(例えば、予め充填されている注射器)、アンプル、カートリッジ、リザーバ、またはlyo−jectを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。一部の実施形態では、容器は、予め充填されている注射器である。好適な予め充填されている注射器は、以下に限定されないが、焼成シリコーンコーティングを有するホウケイ酸ガラス注射器、吹付けシリコーンを有するホウケイ酸ガラス注射器、またはシリコーンを有していないプラスチック樹脂製注射器を含む。
通常、容器は、製剤、ならびに再構成および/または使用のための指示を表示することができる該容器上のラベル、またはその容器に付随したラベルを保持することができる。例えば、ラベルは、製剤が上記の濃度に再構成されることを表示することができる。ラベルはさらに、製剤が、例えば皮下投与に有用であること、または皮下投与向けであることを表示することができる。一部の実施形態では、容器は、Ang(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストを含有する、単回用量の安定な製剤を含有することができる。様々な実施形態では、単回用量の安定な製剤は、約15ml、10ml、5.0ml、4.0ml、3.5ml、3.0ml、2.5ml、2.0ml、1.5ml、1.0ml、または0.5ml未満の容量で存在する。あるいは、製剤を保持する容器は、製剤の繰り返し投与(例えば、2〜6回の投与)を可能にする、多目的のバイアルであってもよい。キットまたは他の製造品はさらに、好適な賦形剤(例えば、BWFI、生理食塩水、緩衝生理食塩水)を含む第2の容器を含んでもよい。賦形剤および製剤の混合に際して、再構成された製剤中の最終タンパク質濃度は、一般に、少なくとも1mg/ml(例えば、少なくとも5mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも20mg/ml、少なくとも30mg/ml、少なくとも40mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/ml、少なくとも100mg/ml)になろう。キットまたは他の製造品はさらに、使用のための指示書と共に、他の緩衝液、賦形剤、フィルター、針、注射器、および添付文書を含む、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料を含むことができる。一部の実施形態では、キットまたは他の製造品は、自己投与のための指示書を含んでいてもよい。
(実施例1)
PanCyteの連続投与
その病態生理学を理解し、かつ虚血性傷害の重症度を最小化するための治療戦略を特定する目的で、いくつかの動物モデルを使用して、脳虚血の検討が行われてきた。局所虚血は、局所的な脳梗塞を引き起こし、中大脳動脈閉塞(MCAO)によって誘発され得る。MCAOのラットモデルは、ヒトにおける半球梗塞のモデルとして認められている。MCAOの後、時間的かつ空間的な進展を伴う皮質梗塞および線条体梗塞が、中大脳動脈によってもたらされる血管領域内で起こる。
過去数年に、虚血性脳卒中のMCAOラットモデルを含む、脳卒中の動物検討の行動評価に関する多くの証拠が集められてきた。行動の改善は、潜在的な治療物質の有効性の検討に関する信頼できるパラメータであると思われる。
脳卒中の血管合併症に対する望ましい処置は、虚血組織中の血管新生を促進する、非侵襲的手段になると思われる。本発明の実施形態は、こうした治療的処置を提供する。内皮細胞の細胞表面上にアンジオテンシン(1−7)ペプチドが結合すると、アポトーシスからそれらの細胞が救われ、インビトロで、それらの細胞の増殖、移動、および微小血管の形成が誘発され得る。
この実施例では、MCAOラットモデルを使用し、容認されているいくつかの行動評価によって測定される閉塞後の機能改善において、アンジオテンシン(1−7)ペプチド、例えばPanCyteの用量依存的な効力を評価した。
動物の取り扱いは、国立衛生試験所(NIH)および実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)の指針に従って行った。動物は、プラスチック製ボトル中のペレット餌および飲料水を摂取し易くしたステンレス鋼製トップグリルを備えたポリエチレン製ケージ(5匹/ケージ)(35×30×15cmの寸法)に収容した。下敷き:蒸気滅菌した清潔なもみ殻(Harlan、Sani−chip、カタログ番号:2018SC+F)を使用し、下敷き材料は、少なくとも1週間に2回、ケージと一緒に交換した。この実施例では、合計60匹のラットを使用し、各ラットは、検討開始時におよそ300グラムであった。
動物は、市販のげっ歯類用餌(Teklad Certified Global 18%Protein Diet、カタログ番号:106S8216)を自由摂取させた。動物は、PharmaSeed’s SOP No.214(Water System)に従い、市の供給から得た、酸性化飲料水(2.5と3.5の間のpH)を自由摂取させた。動物は、空調して適度な新鮮な給気(最小でも15回の空気交換/時間)をフィルター(HEPA F6/6)にかけて、標準的な実験室状態下で収容した。動物は、空調管理環境中で飼育した。動物は、相対湿度範囲30〜70%および12時間の明暗サイクルを含め、およそ20〜24℃の温度範囲内で飼育した。動物は、到着時に検査し、死亡または罹患のなんらかの徴候について、毎日検査した。瀕死状態で発見された動物、重症の痛みを示す動物、および深刻な苦痛(呼吸困難、横臥位、痙攣、麻痺、または餌や水に到達できない)の徴候に耐えている動物は、人道的に安楽死させた。
この実施例のために、一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)の手順日を、本検討では、「1日目」として定義する。外科処置の当日に、70%NOと30%Oとの混合物中の4%イソフルランにより麻酔を誘発し、1.5〜2%イソフルランを用いて維持した。
tMCAO手順は、R.Schmid−Elsaesserらが記載した方法に従って実施した。手短に言えば、右側のCCA(総頸動脈)を頸部正中切開により暴露させ、その二分枝から頭蓋の底部にかけて、周辺神経および筋膜を含まぬよう注意して切断した。次に、ECA(外頸動脈)の後頭動脈枝を単離し、これらの枝を切断し、凝固させた。ECAをさらに、末梢方向に切断し、末梢の舌動脈枝および顎動脈枝と一緒に凝固させ、次にこれを分割した。ICA(内頸動脈)を単離し、隣接する迷走神経から注意深く分離し、5−0ナイロン縫合糸(SMI、ベルギー)を用いて、翼口蓋動脈をその元の位置近くで結紮した。次に、4−0絹縫合糸を授動したECA断端の周辺で緩く結び、長さ4cmの4−0モノフィラメントナイロン製縫合糸(火炎を用いることにより、縫合糸の先端を丸め、挿入前に、この縫合糸をポリシリンによりコーティングした)をECA近傍からICAに、次に、そこからウィリス環へ挿入し、MCAを効果的に閉塞した。外科的創傷を閉じ、動物はケージに戻されて、麻酔から回復させた。閉塞の1.5時間後に、再度麻酔をかけ、モノフィラメントを引き抜いて再灌流させ、外科的創傷を閉じて、ラットをケージに戻した。
動物に、再灌流後の24時間時に、修正を加えた修正神経症状評価尺度(Modified Neurological Rating Scale)(mNRS)を受けさせた。本検討では、総合得点が≧10を有する動物だけを含める。群間のラットの成績が類似している分布とするため、2日目にmNRS結果に従って、動物を試験群に割り振った。外科処置24時間後の2日目に開始し、各動物に、osmotic Alzet pumpを皮下に埋め込み、PanCyteの連続投与(PBS中の2.5mg/mlまたは25mg/ml、配列番号6)により処置する。群割振りに関しては表1を参照されたい。
ステップ試験(8日目、15日目、22日目、29日目、および36日目における評価)
動物は、ステップ試験における前肢運動喪失に関して試験した。動物を、抑制していない前足をテーブルに触れさせながら、片手でラットの両方の後肢、およびもう一方の手でモニターしない方の前肢を固定して保持した。動物をテーブル表面にそって、両方の前肢に対して順手方向および逆手方向へ、横向きに動かしながら(およそ5秒間で85cm)、ステップの調節回数を数えた。図1は、8、15、22、29および36日目における、ステップ試験の結果を示す。本試験において、4つの群、対照群(49日間、PBSのみ投与)、49日間のPanCyte50μg/kgの投与群、49日間のPanCyte500μg/kgの投与群、および、14日間のPanCyte50μg/kgの投与群を解析した。データは、PanCyteの投与を受けた各群は、対照動物と比べて、22日目までにラットの成績向上を享受したこと、およびこの効果は、統計的有意性の向上を伴って、36日目まで続いたことを示す。追加的に、49日間、用量50μg/kgのPanCyteにさらされた群は、15日目において、対照よりもかなり優れた成績を示した一方、49日間、500μg/kgのPanCyteまたは14日間、50μg/kgのPanCyteのどちらかにさらされた群は、改善する傾向を示しながらも、この特定の実験では、この時点において統計的に有意なレベルには到達しなかった。
前肢配置(8日目、15日目、22日目、29日目、および36日目における評価)
肢の配置試験は、前肢試験と後肢試験の両方に分けた。前肢配置試験の場合、試験者が、ラットをテーブル上面近くに保持して、ひげ、視覚、触覚、または固有受容感覚刺激に応答して、テーブル上面の前肢を配置するラットの能力を得点にした。同様に、後肢配置試験の場合、試験者が、触覚および固有受容感覚刺激に応答して、テーブル上面の後肢を配置するラットの能力を評価した。感覚入力の各モードに対して、別々の部分得点を取得して加算し、総得点を得た(前肢配置試験の場合:0=正常、12=最大障害;後肢配置試験の場合:0=正常;6=最大障害)。得点は、以下の通り、0.5ポイント増分で得た。前肢配置試験:ひげによる配置(0〜2)、視覚による配置−前方向(0〜2)、横方向(0〜2);触覚による配置−背面(0〜2)、側面(0〜2);固有受容感覚による配置(0〜2);合計0〜12。図2は、8、15、22、29および36日目における、前肢配置試験の結果を示す。本試験において、4つの群、対照群(49日間、PBSのみ投与)、49日間のPanCyte50μg/kgの投与群、49日間のPanCyte500μg/kgの投与群、および、14日間のPanCyte50μg/kgの投与群を解析した。データは、PanCyteの投与を受けた各群は、対照動物と比べて、この試験について、29日目までに成績の向上を享受したこと、およびこの効果は、36日目まで続いたことを示す。さらに、14日間、PanCyte50μg/kgにさらされた群は、対照動物よりもかなり優れた成績を示すことが15日目に始まった一方、別の処置群は、同じ傾向を示したが、この実験では、29日目まで統計的な有意性には到達しなかった。
体揺れ試験(8日目、15日目、22日目、29日目、および36日目における評価)
ラットを、その尾の基底部からおよそ1インチのところを保持した。次に、テーブルの表面から1インチ上に持ち上げた。ラットを垂直軸に保持し、左側または右側のどちらかに対して10°以下として定義した。ラットが垂直軸から片側にその頭を動かす毎に、揺れを記録した。別の揺れを試みる前に、ラットは、次の揺れを数えるために、垂直位に戻さなければならなかった。20回の揺れ総数を数えた。正常ラットは、通常、各側への揺れは等数となる。局所虚血後、ラットは、対側(この実施例では、左側)に揺れる傾向がある。体揺れ得点は、揺れ総数に対する右方向への百分率として表現する。図3は、8、15、22、29および36日目における、体揺れ試験の結果を示す。本試験において、4つの群、対照群(49日間、PBSのみ投与)、49日間のPanCyte50μg/kgの投与群、49日間のPanCyte500μg/kgの投与群、および、14日間のPanCyte50μg/kgの投与群を解析した。データは、対照群と比較して、PanCyteの投与を受けた各群は、36日目までに本試験に対する成績の改善を享受したことを示し、14日間のPanCyte50μg/kgの投与を受けた群は、本実験では、対照と比較して、29日目に統計的な有意性が始まることを示す。処置群はすべて、対照群と比較して、8日目に得点の改善傾向が始まることを示した。
mNRS評価(1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、および36日目における評価)
修正神経症状評価尺度(mNRS)は、投与された薬物/用量を知らない個体により実施した(盲検試験)。実施したmNRSは、可能な点数0〜18点の尺度で神経得点にすることができる。より高い得点を有する動物は、より低い得点のラットよりも重症な症状および能力障害があることを示した。図4は、1、8、15、22、29および36日目における、mNRS評価の結果を示す。本試験において、4つの群、対照群(49日間、PBSのみ投与)、49日間のPanCyte50μg/kgの投与群、49日間のPanCyte500μg/kgの投与群、および、14日間のPanCyte50μg/kgの投与群を解析した。データは、PanCyteの投与を受けた各群が、対照群と比較して、29日目までに、本試験に対して成績の改善を享受したことを示す。29および36日目に加えて、49日間のPanCyte50μg/kgの投与群は、8および15日目において統計的に成績が改善することを示しており、また49日間のPanCyte500μg/kgの投与群は、本実験では、22日目において統計的に成績が改善することを示した。
(実施例2)
TXA127、PanCyte、または直鎖状PanCyte投与の比較
動物モデル、外科処置手順、ならびに動物の世話の手順、および条件は、特に指定しない限り、実施例1に関して上で記載した通りとした。本実施例において、合計105匹の動物を使用し、表2は、本検討の群割振りを示す。
動物に、再灌流後の24時間時に、修正を加えた修正神経症状評価尺度(mNRS)を受けさせた。本検討では、総合得点が≧10を有する動物だけを含めた。群間のラットの成績が類似している分布とするため、2日目にmNRS結果に従って、動物を試験群に割り振った。外科処置の24時間後の2日目に開始し、群4、5および7の動物は、皮下にosmotic Alzet pumpを埋め込み、500μg/kgのTXA127(配列番号1)、500μg/kgのPanCyte(環化、配列番号6)、または50μg/kgの直鎖状PanCyte(配列番号6)のいずれかにより処置した。群2、3および6の動物は、毎日の注射により、500μg/kgまたは1,000μg/kgのTXA127、または500μg/kgのPanCyteの皮下投与を受けた。群1の動物は、PBS(ビヒクル)の皮下注射により毎日処置した。
ステップ試験(手術前、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、および49日目の評価)
動物は、ステップ試験(ST)における前肢運動喪失に関して試験した。動物を、抑制していない前足をテーブルに触れさせながら、片手でラットの両方の後肢、およびもう一方の手でモニターしない方の前肢を固定して保持した。動物をテーブル表面にそって、両方の前肢に対して順手方向および逆手方向へ、横向きに動かしながら(およそ5秒間で85cm)、ステップの調節回数を数える。図5は、TXA127、PanCyteまたは直鎖状PanCyteによる処置により、ビヒクル対照条件と比較して、外科処置後の21日目までに、すべての実験条件において処置したラットの成績が著しく改善することを示す。改善傾向は、外科処置後、早くも14日目で観察される。直鎖状PanCyteは50ug/kgしか投与しなかったが、その結果は、実質的に、TXA127またはPanCyteの10倍に等しいことに留意すべきである。
前肢配置(手術前、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、および49日目における評価)
前肢配置試験の場合、ラットをテーブル上面近くに保持して、ひげ、視覚、触覚、または固有受容感覚刺激に応答して、テーブル上面の前肢を配置するラットの能力を得点にした(0=正常、12=最大障害)。得点は0.5ポイント増分で示した(以下を参照されたい)。通常、脳卒中後の最初の1か月間に、ゆっくりとした定常的な肢の配置行動の回復がある。図6は、処置条件のすべてにおいて、ビヒクル対照と比べて成績の有意な改善が観察され、これは14日目に始まり、検討期間を通じて継続したことを示す。他の実験群よりもかなり少ない用量の薬剤にさらされているにもかかわらず、直鎖状PanCyteの群は、特に35日目以降、最良の成績を有したように、やはり思われる。
体揺れ(手術前、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、および49日目における評価)
各ラットを、その尾の基底部からおよそ1インチのところを保持した。次に、テーブルの表面から1インチ上に持ち上げた。ラットを垂直軸に保持し、左側または右側のどちらかに対して10°以下として定義した。ラットが垂直軸から片側にその頭を動かす毎に、揺れを記録した。別の揺れを試みる前に、ラットは、次の揺れを数えるために、垂直位に戻さなければならなかった。20回の揺れ総数を数えた。正常ラットは、通常、各側への揺れは等数となる。局所虚血後、ラットは、対側(この場合、左側)に揺れる傾向がある。体揺れ得点は、揺れ総数に対する右方向への百分率として表現する。多くの場合、脳卒中後の最初の1か月間に、体揺れ得点が自発的に、一部回復する(50%に向かう)。図7は、1,000μg/kgのTXA127、TXA Alzet、PanCyte Alzet、500μg/kgのPanCyte、および直鎖状PanCyteの群はすべて、ビヒクル対照と比較して、28日目までに成績の顕著な改善を示したことを示す。500μg/kgのTXA127の群は、35日目まで顕著な結果を示さなかった。1,000μg/kgのTXA127、TXA Alzet、PanCyte Alzet、および直鎖状PanCyteの群はすべて、21日目までに改善を示し、またすべての実験群は、14日目までに改善する傾向を示した。49日目に、TXA1,000g/kg、TXA Alzet、および直鎖状PanCyteの群は各々、ほとんど正常(無損傷)レベルの成績を示すように思われた。
mNRS評価(手術前、1日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、および49日目における評価)
修正神経症状評価尺度(mNRS)は、投与された薬物/用量を知らない個体により実施した(盲検試験)。実施したmNRSは、可能な点数0〜18点の尺度で神経得点にすることができる。より高い得点を有する動物は、より低い得点のラットよりも重症な症状および能力障害があることを示した。図8は、各実験群は、ビヒクル対照と比較して、14日目までに成績が著しく改善することを示したことを示す。観察された成績の向上は、本検討の期間、維持された。
これらの結果は、TXA127、PanCyte、および直鎖状PanCyteはすべて、脳卒中後の動物の成績を劇的に改善する能力を有する、強力な治療候補であることを示す。上で議論されている成績の有益性に加えて、50日目に、非Alzet群の各々において、レーザードップラーを使用し、血流および血管径を公知のプロトコルに従い測定した。結果が図9に示されており、評価した処置群すべての動物が、対照動物と比べて、50日目までに、血管径および血流の有意な増加を示したことを示す。特に、直鎖状PanCyteは、本実施例において試験した他の有効な処置をしのぐことさえある、治療可能性の有意な改善があるように思われる。これらの結果は、PanCyteと直鎖状PanCyteとの間には、PanCyteが環化している一方、直鎖状PanCyteはそうではないという差異があるだけのように思われるので、これらの結果は特に驚くものである。ペプチドの環化は、プロテアーゼ分解に対してより抵抗性を高めることにより、インビボにおけるペプチドの有効性を一層高めることができると、通常考えられている。しかし、直鎖状PanCyteは、本実施例においては、50μg/kgの低用量(PanCyte500μg/kgとの比較)で、ほとんど同等の有効性がある。
(実施例3)
PanCyteおよびAVE0991投与の比較
動物モデル、外科処置手順、ならびに動物の世話の手順、および条件は、特に指定しない限り、実施例1に関して上で記載した通りとした。本実施例において、合計75匹の動物を使用し、表3は、本検討の群割振りを示す。
動物に、再灌流後の24時間時に、修正神経症状評価尺度(mNRS)を受けさせた。本検討では、総合得点が≧10を有する動物だけを含めた。群間のラットの成績が類似している分布とするため、2日目にmNRS結果に従って、動物を試験群に割り振った。外科処置の24時間後の2日目に開始し、群2、3および4の動物は、毎日の注射により、PanCyteまたはAVE0991の皮下投与を受けた。群5の動物は、1日2回、強制経口投与によって投与されるAVE0991を受け、群1(ビヒクル対照)の動物は、毎日の注射により、皮下投与されるビヒクルにより処置した。
ステップ試験(手術前、15日目、22日目、および29日目における評価)
動物は、ステップ試験(ST)における前肢運動喪失に関して試験した。動物を、抑制していない前足をテーブルに触れさせながら、片手でラットの両方の後肢、およびもう一方の手でモニターしない方の前肢を固定して保持した。動物をテーブル表面にそって、両方の前肢に対して順手方向および逆手方向へ、横向きに動かしながら(およそ5秒間で85cm)、ステップの調節回数を数える。図10は、PanCyteとAVE0991による処置の両方が、ビヒクル対照と比べて、15日目までに明白な改善傾向を伴いながら22日目までに有意に改善し、29日目まで続いたことを示す。
前肢配置(手術前、15日目、22日目、および29日目における評価)
前肢配置試験の場合、ラットをテーブル上面近くに保持して、ひげ、視覚、触覚、または固有受容感覚刺激に応答して、テーブル上面の前肢を配置するラットの能力を得点にした(0=正常、12=最大障害)。得点は0.5ポイント増分で示した(以下を参照されたい)。通常、脳卒中後の最初の1か月間に、ゆっくりとした定常的な肢の配置行動の回復がある。図11は、PanCyteとAVE0991による処置の両方が、ビヒクル対照と比べて、22日目までに成績の有意な改善をもたらし、29日目まで続いたことを示す。50mkgのAVE0991を受けた動物は、15日目までに成績の統計的に有意な改善を示した一方、10倍ものAVE0991(500mkg)を含めた、その他の群は、改善する傾向を示すに過ぎなかったことに留意されたい。
体揺れ(手術前、15日目、22日目、および29日目における評価)
各ラットを、その尾の基底部からおよそ1インチのところを保持した。次に、テーブルの表面から1インチ上に持ち上げた。ラットを垂直軸に保持し、左側または右側のどちらかに対して10°以下として定義した。ラットが垂直軸から片側にその頭を動かす毎に、揺れを記録した。別の揺れを試みる前に、ラットは、次の揺れを数えるために、垂直位に戻さなければならなかった。20回の揺れ総数を数えた。正常ラットは、通常、各側への揺れは等数となる。局所虚血後、ラットは、対側(この場合、左側)に揺れる傾向がある。体揺れ得点は、揺れ総数に対する右側への百分率として表現する。図12は、PanCyteまたはAVE0991(強制経口投与による)による処置は、ビヒクル対照と比べて、22日目までに有意な改善を示したことを示す。皮下投与したAVE0991は、22日目までに改善する傾向を示した。
mNRS評価(手術前、2日目、15日目、22日目、および29日目における評価)
修正神経症状評価尺度(mNRS)は、投与された薬物/用量を知らない個体により実施した(盲検試験)。実施したmNRSは、可能な点数0〜18点の尺度で神経得点にすることができる。より高い得点を有する動物は、より低い得点のラットよりも重症な症状および能力障害があることを示した。図13は、PanCyteおよびAVE0991(強制経口投与による)の投与により、22日目までに成績が有意に改善した一方、皮下投与したAVE0991は、ビヒクル対照と比べて、改善する傾向を示したことを示す。29日目までに、処置群はすべて、ビヒクル対照と比較して、成績が顕著に改善することを示した。処置群はすべて、早くも15日目に改善する傾向を示した。
本実施例は、AVE0991がやはり、脳卒中の処置の強力な治療候補となり、処置の2〜3週間以内に、対象を回復させる大きな有益性を実現することを示す。
均等物および範囲
当業者は、決まった手順の実験だけを使用して、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上の詳細説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲において説明される。

Claims (41)

  1. アミノ酸配列Asp −Arg −Val −Tyr −Ile −His −Pro (配列番号1)を含む直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドを含む、脳卒中または外傷性脳損傷を処置するための組成物であって、全身投与によって前記組成物が脳卒中または外傷性脳損傷に罹患している対象に投与されることを特徴とし、前記全身投与が脳室内投与ではない、組成物。
  2. 前記脳卒中が、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、またはそれらの組合せのいずれかである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、連続注入により投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり3回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり2回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり1回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜1,000μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約50〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、直鎖状ペプチドである、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、環状ペプチドである、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記環状ペプチドが、アミノ酸の間に結合を含む、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記結合が、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)中のTyr 位およびPro 位に対応する残基に位置している、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記結合が、チオエーテル架橋である、請求項12に記載の組成物。
  15. 前記環状ペプチドが、以下の式

    を有する4,7環化アンジオテンシン(1−7)である、請求項11に記載の組成物。
  16. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、プロテアーゼ抵抗性、血清安定性、および/またはバイオアベイラビリティを向上させるために、1つまたは複数の化学修飾を含む、請求項1に記載の組成物。
  17. 前記1つまたは複数の化学修飾が、ペグ化を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記全身投与が、静脈内投与、皮下投与、吸入、皮内投与、経皮投与、経粘膜投与、および/または経口投与から選択される、請求項1に記載の組成物。
  19. 前記全身投与が静脈内投与である、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記全身投与が皮下投与である、請求項18に記載の組成物。
  21. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが毎日投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  22. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが毎日2回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  23. アミノ酸配列Asp −Arg −Val −Tyr −Ile −His −Pro (配列番号1)を含む直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドを含む、脳卒中または外傷性脳損傷を処置するための組成物であって、経口投与によって前記組成物が脳卒中または外傷性脳損傷に罹患している対象に投与されることを特徴とする、組成物。
  24. 前記脳卒中が、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、またはそれらの組合せのいずれかである、請求項23に記載の組成物。
  25. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、連続注入により投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  26. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり3回投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  27. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり2回投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  28. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、1か月あたり1回投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  29. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜1,000μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  30. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約50〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  31. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  32. 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、直鎖状ペプチドである、請求項23に記載の組成物。
  33. 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、環状ペプチドである、請求項23に記載の組成物。
  34. 前記環状ペプチドが、アミノ酸の間に結合を含む、請求項33に記載の組成物。
  35. 前記結合が、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)中のTyr 位およびPro 位に対応する残基に位置している、請求項34に記載の組成物。
  36. 前記結合が、チオエーテル架橋である、請求項34に記載の組成物。
  37. 前記環状ペプチドが、以下の式

    を有する4,7環化アンジオテンシン(1−7)である、請求項33に記載の組成物。
  38. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、プロテアーゼ抵抗性、血清安定性、および/またはバイオアベイラビリティを向上させるために、1つまたは複数の化学修飾を含む、請求項23に記載の組成物。
  39. 前記1つまたは複数の化学修飾が、ペグ化を含む、請求項38に記載の組成物。
  40. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが毎日投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  41. 前記直鎖状または環状アンジオテンシン(1−7)ペプチドが毎日2回投与されることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
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