JP3728400B2 - 改良型放射線治療の諸方法 - Google Patents
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Description
(関連出願の記載)
本出願は、1998年3月10日に出願された米国仮出願第60/077,382号、1998年4月29日に出願された第60/083670号、1998年4月9日に出願された第60/081,262号、1998年6月22日に出願された第60/090216号、1998年6月19日に出願された第60/090,096号、1998年9月11日に出願された第60/099,957号の一部同時係属出願である。
【0002】
(発明の背景)
放射線治療は現在、ガン性腫瘍を治療するもっとも有効な方法の1つである。しかし、放射線治療はその腫瘍の周囲を取り囲んでいる正常組織を損傷させる(米国特許第5,599,712号、全体を参考文献として本出願に組込む)。この損傷には、線維症、細胞外基質のリモデリング、血管損傷、異常血管新生、肺臓炎、アテローム発生、骨壊死、粘膜の炎症、免疫抑制、機能的障害を含めることができる(米国特許第5,616,561号、全体を参考文献として本出願に組込む)。これらの放射線誘発性副作用の結果、ガン治療に対してもっとも低いレベルの有効なものに放射線を限定することにより周囲の正常組織に対する放射線誘発性損傷を最少限度減らすよう諸技術が開発されてきた。放射線線量と治療の効果との間には直接的な関係があるため、この方法では治療の総体的な効果が妥協的に調整されている。
【0003】
ある種のガン患者に関しては、造血系への毒性が放射線線量の拡大の機会を制限していることがよくある(Watanabeら、British J.Haematol.94:619−627(1996))。放射線治療の反復または高線量サイクルが、重大な長期的な造血系の後遺症や骨髄疲弊につながる重篤な幹細胞欠乏に対する原因となっていることがある(Massら、Blood 91:441−449(1998))。こうした幹細胞欠乏は、巨核球、血小板、単球、好中球、リンパ球を含めた造血系統特定細胞の全範囲にわたる欠乏、またこうした欠乏の結果生じる合併症につながる。例えば、血小板値抑制(血小板減少症)に罹っている患者では、血餅を形成する能力がなくなることがもっとも直接的でまた深刻な結果であり、ガンに対する数多くの治療法が抱える潜在的に致命的な合併症である。こうしたガン患者は一般的には、血小板輸血に付き物のこの問題を考慮して治療される。ほかの疾患患者で頻繁に血小板輸血を必要とするのは、骨髄移植を行っている患者、または再生不良性貧血患者である。こうした手順で、血小板は正常供与体から血小板交換療法により得られる。大半のヒト血液成分と同様、輸血用の血小板は比較的保管寿命が短く、またヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの危険なウイルスに曝露されるかなりの危険に患者は曝される。
【0004】
造血増殖因子の投与は、放射線により誘発される短期間の副作用を軽減することがあるが、しかし長期にわたる造血系損傷の原因となると仮説が立てられてきた(Masseら、1998;Watanabeら、1996)。いくつかの研究では、複数の陰性造血系調整剤の同時投与が、細胞サイクルに入る始原細胞の数を減少することにより放射線治療誘発骨髄毒性を最小限度にすることができると示唆されている(Watanabeら、1996;Dunlopら、Blood 79:2221−2225(1992);Paukovitsら、Blood 81:1755−1761;Bogdenら、Annals N.Y.Acad.Sci.628:126−139(1991);Deegら、Ann.Hematol.74:117−122(1997);Masseら、1998)。この治療法は造血系幹細胞が、鎮静期に、とくに悪性細胞が増殖しているときには放射線関連の毒性からは比較的よく保護されているという仮定をベースにしている(Deegら、(1997))。
【0005】
骨髄には、造血系全体を再構築することができる多分化能幹細胞が含まれている。骨髄移植は白血病や重篤な再生不良性貧血を含むさまざまな治療しにくい造血系疾患を治療するのに使用されてきた(米国特許第5,186,931号、全体を参考文献として本出願に組込む)。典型的には、骨髄移植患者は白血球数をゼロに減らす放射線照射にかけられ、その後に骨髄移植が行われ、十分な数の正常白血球を産生することによって機能する。しかし、死亡、感染症、移植片対宿主疾患、放射線性腎炎、間質性肺炎などのさまざまな合併症が、移植から、移植後の正常白血球値への回復の間の期間に頻繁に起こる。
【0006】
これらの頻繁に起こる副作用の結果、骨髄移植患者の生存率を増加することと、またその患者の造血系の再構築を促進することの両方が可能になるような骨髄移植を支援する方法に関して満足できるものは、現在のところ、まったくない。
【0007】
放射線性腎症などの慢性放射線性組織損傷は、不可避性のものであり、進行性のものであり、また治療不可能であるとみられている(Moulderら、Bone Marrow Transplantation 19:729−735(1997))。後期組織損傷の進行性ならびに治療不可能性の性向は、その損傷が放射線照射時に生じ、その箇所が変えられないように固定される遺伝子損傷から結果的に生じる遅発性有糸分裂細胞死が原因となっていることに由来すると仮定されている(Moulderら、1997)。この見解の下、損傷の確率を減らす唯一の方法は、放射線線量を制限すること、またはリスクを有している臓器を遮蔽することによるものである。
【0008】
しかし、最近の成績からは、後期発症放射線性誘発組織損傷には、特定の臓器内にある実質細胞と血管細胞の間での複合的な、また機能的な相互作用が関与していることが示されている(Moulderら、1997)。慢性放射線性組織損傷のこのモデルでは、放射線曝露後の薬理学的介入が有効であることを示唆している。
【0009】
したがって、放射線治療の分野における進歩にもかかわらず、従来技術の方法は、放射線誘発組織損傷を最小限にし、また腫瘍放射線治療と骨髄移植の効果を改良するにはその実用性が限定されていることが判明している。そのため、放射線誘発性組織損傷を軽減し、また放射線治療の効果を改良するための改良型諸療法に対する需要がある。さらに、血小板輸血に依存していて同時発生的な減少を伴う血小板患者においては、内在性血小板を刺激する能力は、大いに利得がある。ガンに対する放射線治療または化学療法を受けている患者において血小板減少症を治す、または予防する能力は、こうした治療法をさらに安全にし、またその療法の効力を増加することができ、それによってより大きな抗ガン効果を生み出すことになる。
【0010】
(発明の要約)
1つの態様では、本発明は、放射線誘発性組織損傷を緩和し、骨髄移植を支援するように、放射線治療の効果を改良し、巨核球の産生と移動、血小板の産生を促進するための諸方法とキット類を提供し、各方法は、それを必要とする患者に対して、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片、その類似体、アンギオテンシンII(AII)、AII類似体、AII断片またはその類似体、またはAII AT2タイプ2受容体作用物質を投与することから成る。
【0011】
本発明のもう1つの態様では、改良型細胞培養培地とキットが、アンギオテンシノーゲン、AI、AI類似体、AI断片とその類似体、AII、AII類似体、AII断片とその類似体またはAII AT2タイプ2受容体作用物質の有効な分量の細胞培養培地に加えることから改良型が成る、巨核球と血小板の産生のために提供される。
【0012】
本発明のこれらの態様と他の態様は、以下の詳細な説明に照らして明らかにされる。
【0013】
(好適な実施態様の詳細な説明)
すべての参考文献の特許ならびに特許出願は、全体を参考文献として本出願に組込む。
【0014】
本発明は、放射線誘発性組織損傷を緩和し、骨髄移植を支援するために、放射線治療の効果を改良し、巨核球の産生と移動、血小板の産生を促進するための改良型治療の諸方法に対する需要を満たす。
【0015】
ここに定義されるように、「組織損傷の緩和」という用語は、損傷の減少だけを言っているのではなく、損傷からの組織の回復を含めて言う。ここに使用されているように、「組織」はいずれかの組織のタイプを言うが、またこれには造血幹細胞ならびに前駆細胞、白血球、血小板が含まれる。
【0016】
ここに定義されているように、「巨核球の移動」という用語は、骨髄から末梢への巨核球前駆体細胞の移動を言う。
【0017】
ここに定義されるように、「改良された血小板の産生」または「改良された巨核球の産生」という用語は、血小板または巨核球の数が関連している特定の哺乳動物において、血小板または巨核球の正常範囲より上に有意に上昇することを意味する。血小板または巨核球数の上昇は、時間依存的な状態のなかで起こり、またサイクル状態になり、増加し、その後定常化し、または減少し、あるいは定常化することがある。
【0018】
そうではないように示唆がなければ、「活性薬剤」という用語は、ここに使用されているように、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片とその類似体、アンギオテンシンII(AII)、AII類似体、AII断片またはその類似体、AII AT2タイプ2受容体作用物質から成る成分のグループを言う。
【0019】
本出願内で、そうではないことが明記されていない場合には、利用されている技術は、以下のようないくつかの周知の参考文献のいずれかのなかにみられる。すなわち、Sambrookら編『分子クローニング−ラボマニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)』(Cold Spring Harbor Laboratory Press刊、1989年)、『酵素学における諸方法(Methods in Enzymology)』の第185巻、D.Goeddel編「遺伝子発現技術(Gene Expression Technology)」、Academic Press社刊、カリフォルニア州サンジエゴ市、1991年、M.P.Deutshcerら編『酵素学における諸方法(Methods in Enzymology)』の「タンパク質精製ガイド(Guide to Protein Purification)」、Academic Press社刊、カルフォル二ア州サンジエゴ市、1990年、Innisら『PCRプロトコル−方法と適用ガイド(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)』、Academic Press社刊、カリフォルニア州サンディエゴ市、1990年、R.I.Freshney『動物細胞の培養−基本的技術のマニュアル(Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,2nd Ed.)』第2版、Liss社刊、ニューヨーク州ニューヨーク市、1987年、E.J.Murray編『遺伝子転移と発現プロトコル(Gene Transfer and Expression Protocols)』、109〜128ページ、Humana Press社刊、ニュージャージー州クリフトン市、Ambion1998カタログ(Ambion社、テキサス州オースチン市)である。
【0020】
DiZeregaに付与された米国特許第5,015,629号(参考文献として本出願に公開全体を組み込む)には、前述の増加に十分な分量でアンギオテンシンII(AII)のこうした組織に適用することから成る、損傷組織の治癒の割合を増加させるための方法が説明されている。損傷組織に対するAIIの適用は、損傷治癒の割合を有意に増加させ、さらに急速な再上皮化と組織の修復につながっている。AIIという用語は、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:1]を有するヒトならびにほかの種に存在するオクタペプチドを言う。アンギオテンシンの生物学的形成は、血漿基質アンギオテンシノーゲン上のレニンの作用により開始される。このように形成された物質は、AI(Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu[配列識別番号:37])からC−末端His−Leu残基を除去する変換酵素アンギオテンシナーゼによりAIIに変換されるアンギオテンシンI(AI)と呼ばれるデカペプチドである。AIIは、公知の昇圧剤であり、市販されていて入手可能である。損傷治癒におけるAIIIとAIII類似体と断片と同様、AII類似体と断片、AT2作用物質の使用法もまた、説明されている(米国特許第5,629,292号、米国特許第5,716,935号、国際出願第WO 96/39164号、すべての参考文献は、全体を参考として本出願に組込む)。
【0021】
AIIは、損傷修復に関与している培養細胞において有糸分裂誘発と走化性を増加させ、また、成長因子と細胞外基質の放出を増加させる(diZerega、米国特許第5,015,629号、Dzauら、J.Mol.Cell.Cardiol.21:S7(Supp III)1989;Berkら、Hypertension 13:305−14(1989);Kawaharaら、BBRC 150:52−9(1988);Naftilanら、J.Clin.Invest.83:1419−23(1989);Taubmanら、J.Biol.Chem 264:526−530(1989);Nakaharaら、BBRC 184:811−08(1992);StoufferとOwens、Circ.Res.70:820(1992);Wolfら、Am.J.Pathol.140:95−107(1992);BellとMadri、Am.J.Pathol.137:7−12(1990))。
【0022】
さらに、AIIはウサギの眼角膜およびニワトリ漿尿膜モデルにおける血管形成を示した(Fernandezら、J.Lab.Clin.Med.105:141(1985);LeNobleら、Eur.J.Pharmacol.195:305−6(1991))。したがって、AIIは血管新生、成長因子放出、再上皮化およびまたは細胞外基質の産生により損傷修復を促進することが考えられる。
【0023】
AIIはまた、細胞の成長と分化の両方に関係があるとされてきた(Meffertら、Mol.and Cellul.Endocrin.122:59(1996))。AII受容体の2つの主要なクラスであるAT1とAT2が同定されている(Meffert、1996)。AIIの成長促進効果は、AT1受容体による仲介に属し、一方、いくつかの証拠からAT2受容体がAIIの細胞分化効果の仲介に関与していることが示唆されている(Bedecsら、Biochem.J.325:449(1997))。
【0024】
AII受容体とAII受容体拮抗物質の効果は、両方のAII受容体サブタイプ(AT1とAT2)が損傷治癒において役割を果していることが示唆されている血管損傷と修復の2つの実験モデルで調べられた(Janiakら、Hypertension 20:737−45(1992);Prescottら、Am.J.Pathol.139:1291−1296(1991);Kauffmanら、Life Sci.49:223−228(1991);Viswanathanら、Peptides 13:783−786(1992);Kimuraら、BBRC 187:1083−1090(1992))。
【0025】
AII(1−7)(AII残基1−7)またはAIIのほかの断片に焦点を当てた数多くの研究がその活動を評価するために行われてきた。AII(1−7)がいくつか顕在化されているが、AIIにより顕在化されている効果の全部の範囲ではない。Pfeilschifterら、Eur.J.Pharmacol.225:57−62(1992);Jaiswalら、Hypertension 19(Supp.II):II−49−II−55(1992);EdwardsとStack、J.Pharmacol.Exper.Ther.266:506−510(1993);Jaiswalら、J.Pharmacol.Exper.Ther.265:664−673(1991);Jaiswalら、Hypertension 17:1115−1120(1991);Portsiら、Br.J.Pharmacol.111:652−6543(1994)を参照のこと。
【0026】
肺ガン患者の治療においては、AII誘発性高血圧は、放射線治療と組み合わせると有効であることが1つの予備的研究では示唆されているが(Katoら、Radiation Medicine 11:86−90(1993))、数多くの研究では、AIIの産生を仲介するアンギオテンシン変換酵素(ACE)の拮抗物質が、放射線性腎症、骨髄移植腎症、急性放射線性組織損傷を減らすのに有効であることが示されている(Moulderら、Int.J.Radiation Onc.Biol.Phys.27:93−99(1993);Moulderら、Bone Marrow Transpl.19:729−735(1997);Moulderら、Radiation Res.146:106−110(1996);Cohenら、J.Lab.Clin.Med.129:536−547(1997);Moulderら、Radiation Res.136:404−407(1993);Yoonら、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.30:873−878(1994);Wardら、Radiation Res.135:81−87(1993);Cohenら、Lab.Invest.75:349−360(1996);Cohenら、J.Lab.Clin.Med.124:371−380(1994);Gerarciら、Radiation Res.143:58−68(1995))。少なくとも1つの症例で、AIIによるAT1受容体の活性化の減少によりACE阻害薬の効果が直接的に引き起こされることが示されている(Moulderら、Radition Res.146:106−110(1996))。これらの結果から導き出されたのは、放射線性腎症の症例では、もっとも有効な治療はACE阻害薬使用の示唆であった(Moulderら、Bone Marrow Transplantation 19:729−735(1997))。
【0027】
さらに、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片およびその類似体、AII、AII類似体、AII断片またはその類似体、またはAII AT2タイプ2受容体作用物質は、造血幹細胞増殖の能力を有する刺激因子であることが最近示されている(米国特許出願第09/012,400号、全体を参考文献として本出願に組込む)。したがって、これらの組成物の使用は、放射線治療と一緒に使用される場合には、長期間の造血系組織損傷を引き起こすことが予想される(Masseら、1998;Watanabeら、1996)。
【0028】
上記のものすべてに基づくと、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片およびその類似体、AII、AII類似体、AII断片またはその類似体、またはAII AT2タイプ2受容体作用物質の使用が放射線誘発性ヒト損傷を減らすのに、または放射線治療の必要な患者を治療するのに有効であるとは予想されないであろう。
【0029】
これらの研究では、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片およびその類似体、AII、AII類似体、AII断片またはその類似体、またはAII AT2タイプ2受容体作用物質の使用が巨核球の産生および移動を刺激する、または血小板の産生を刺激することは教示または示唆されているものはまったくない。
【0030】
AT2受容体に対して選択的なペプチド作用物質(AIIはAT1によりもAT2に対して100倍高い親和性を有している)は、p−アミノフェニルアラニン6−AII[“(p−NH2−Phe)6−AII”]、Xaaがp−NH2−Pheである(SpethとKim、BBRC 169:997−1006(1990))Asp−Arg−Val−Ile−Xaa−Pro−Phe[配列識別番号:36]である(Cataliotoら、Eur.J.Pharmacol.256:93−97(1994);Brysonら、Eur.J.Pharmacol225:119−127(1992))。
【0031】
本発明により、とくに関心の対象となっている活性AI、AI類似体、AI断片およびその類似体、AII類似体、AIIの断片およびその類似体は、一般化学式Iの配列における基R1−R8の少なくとも3つの隣接アミノ酸から構成される1つの配列から成ることを特徴とする。
【0032】
一般式はR1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8であるが、
ここで、R1とR2が一緒になって式の1つの基を形成し、
X−RA−RB−となるが、
ここでは、XはHまたは1つから3つのペプチド基であり、
RAは、Asp、Glu、Asn、Acpc(1−アミノシクロペンタンカルボン酸)、Ala、Me2Gly、Pro、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH2)、Sucから適切に選択され、
RBは、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D−Arg、D−Lysから適切に選択され、
R3は、Val、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、Tyrから構成される基から選択され、
R4は、Tyr、Tyr(PO3)2、Thr、Ser、homoSer、Ala、azaTyrから構成される基から選択され、
R5は、Ile、Ala、Leu、norLeu、Val、Glyから構成される基から選択され、
R6は、His、Argまたは6−NH2−Pheであり、
R7はProまたはAlaであり、
R8は、末端Tyr基としてR4を含む配列を除いて、Phe、Phe(Br)、Ile、Tyrから構成される基から選択される。
【0033】
本発明の実施において有用なAT2作用物質の範疇内に入る化合物には、R6はp−NH2−Pheであるという制限を付けられた前述のAII類似体が含まれる。ペプチド薬剤に加えて、必要なAT2作用物質活性を有するさまざまな非ペプチド系薬剤(例えば、ペプチドミメティクス)がさらに、本発明により使用されることが企図されている。
【0034】
RAとRBについてのとくに好適な組み合わせは、Asp−Arg、Asp−Lys、Glu−Arg、Glu−Lysである。このクラスのとくに好適な実施態様には以下のものが含まれる。すなわち、
AII、AIIまたはAII(2−8)、Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:2];desl−AIIIまたはAIVとしても知られているAII(3−8)[配列識別番号:3];AII(1−7)、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro[配列識別番号:4];AII(2−7)、Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro[配列識別番号:5];AII(3−7)、Val−Tyr−Ile−His−Pro[配列識別番号:6];AII(5−8)、Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:7];AII(1−6)、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His[配列識別番号:8];AII(1−5)、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile[配列識別番号:9];AII(1−4)、Asp−Arg−Val−Tyr[配列識別番号:10];AII(1−3)、Asp−Arg−Val[配列識別番号:11]である。他の好適な実施態様には、以下のものが含まれる。すなわち、
Arg−norLeu−Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:12]と、Arg−Val−Tyr−norLeu−His−Pro−Phe[配列識別番号:13]である。本発明の請求範囲内に包含されているさらにもう1つの好適な実施態様は、配列Asp−Arg−Pro−Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:31]を有する1つのペプチドである。AII(6−8)、His−Pro−Phe[配列識別番号:14]とAII(4−8)、Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:15]もまたテストされ、有効ではないことが分かっている。
【0035】
本発明によるとくに好適な組成物の1つのクラスは、以下の一般構造を有するものから構成される。すなわち、
R1−Arg−R2−R3−R4−His−Pro−R5であるが、
ここでR1はHとAspから構成される基から選択され、
R2は、ValとProから構成される基から選択され、
R3は、TyrとTyr(PO3)2から構成される基から選択され、
R4は、Ala、Ile、Leu、norLeu、
R5は、Phe、Ile、または存在しない。
【0036】
このクラスのとくに好適な実施態様は、配列識別番号:1、配列識別番号:4、配列識別番号:18、配列識別番号:26、配列識別番号:31、配列識別番号:32、配列識別番号:34、配列識別番号:38から成る基から選択される。
【0037】
本発明によるとくに関心の対象となっている組成物のもう1つのクラスは、一般式IIのそうしたものである。
【0038】
一般式IIはR2−R3−R4−R5−R6−R7−R8であるが、
ここではR2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D−Arg、D−Lysから構成される基から選択され、
R3は、Val、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、Aib、AcpcとTyrから構成される基から選択され、
R4は、Tyr、Tyr(PO3)2、Thr、Ser、homeSer、azaTyrから構成される基から選択され、
R5は、Ile、Ala、Leu、norLeu、Val、Glyから構成される基から選択され、
R6は、His、Arg、または6−NH2−Pheであり、
R7は、ProまたはAlaであり、
R8は、Phe、Phe(Br)、Ile、Tyrから構成される基から選択される。
【0039】
一般式の組成物の1つのとくに好適なサブクラスは、以下の式を有する。すなわち、
R2−R3−Tyr−R5−His−Pro−Phe[配列識別番号:16]
ここではR2、R3およびR5は以前に定義された通りのものである。とくに好適には、式Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe[配列識別番号:2]のアンギオテンシンIIIである。他の好適な組成物には、構造式Arg−Val−Tyr−Gly−His−Pro−Phe[配列識別番号:17]とArg−Val−Tyr−Ala−His−Pro−Phe[配列識別番号:18]を有するペプチド(複数)である。
【0040】
断片AII(4−8)は繰り返し行われたテストにおいて有効ではなかった。これは、N−末端上に曝されているチロシンが原因となっていると考えられる。
【0041】
上記の式においては、アミノ酸残基に関する標準3文字略語が用いられる。逆であることが指示されていない場合には、アミノ酸のL−形態が意図されている。ほかの残基は以下のように略されている。
【0042】
【表1】
AIIとその類似体は、ガンマまたはベータターンのいずれかに適応することが示唆されている(Regoliら、Pharmacological Reviews 26:69(1974))。一般的には、位置R3、R5、R7にある中性側鎖は、基本的には受容体への結合および/または内在性活性を担っている位置R4、R6、R8にある活性基の間の適当な距離を維持することに関与している。位置R3、R5、R8にある疎水性側鎖もまたペプチドのコンフォメーション全体において重要な役割を果し、および/または仮説的疎水性ポケットの形成に貢献していることが考えられる。
【0043】
位置R2にあるアミノ酸上の適当な側鎖は、標的受容体の化合物の親和性に貢献し、および/またはペプチドのコンフォメーションにおいて重要な役割を果すことが考えられる。このため、ArgとLysはR2としてはとくに好適なものである。
【0044】
本発明の目的に則して言うと、R3はR5(ガンマターンモデルにおいて)またはR6(ベータターンモデルにおいて)とともに線形または非線形水素結合の形成に関与していると考えられている。R3はまた、ベータ逆平行構造(これはまた、可能性のある構造として提案されてきたものである)における第1ターンに参加することが考えられる。一般式Iにおけるほかの位置とは対照的に、ベータとガンマ分枝は、この位置では等しく有効であるようにみえる。さらに、水素単結合は比較的安定しているコンフォメーションを維持するには十分でありうる。したがって、R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Tyrから適切に選択されうる。もう1つの好適な実施態様においては、R3はLysである。
【0045】
R4に関しては、コンフォメーション分析からは、この位置(R3とR5にあるのと同様に)にある側鎖は、受容体の占有と刺激に欠かせないものと考えられている疎水性クラスターに貢献していることが示唆されている。このように、R4はTyr、Thr、Tyr(PO3)2、homoSer、Ser、azaTyrから好適に選択させる。この位置においては、Tyrは、フェノールヒドロキシルから水素を受け取ることができる受容体部位で水素結合を形成することが考えられるので、とくに好適である(Regoliら、(1974)、同上)。さらに好適な1つの実施態様では、R4はAlaである。
【0046】
位置R5においては、β脂肪族または脂環式鎖を伴うアミノ酸がとくに望ましい。したがって、Glyは位置R5においては適しているが、この位置におけるアミノ酸がIle、Ala、Leu、norLeu、Gly、Valから選択されることが好適とされる。
【0047】
本発明によるとくに関心の対象となっているAI、AI類似体、AI断片およびその類似体、AII、AII類似体、断片および断片の類似体においては、R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheである。ヒスチジンのイミダゾール環のユニークな特性(例えば、生理学的pHでのイオン化、プロトン供与体または受容体として作用する能力、芳香族特性)が、R6としてのその特定の有用性に貢献している。例えば、コンフォメーションモデルからは、Hisは水素結合形成に(ベータモデルにおいて)、または逆平行構造の第2ターンにおいて、R7の配向に影響を与えることにより、参加することが示唆されている。同様に、R7は、R8のもっとも望ましい配向を提供するためには、Proであるべきだと現在では考えられている。位置R8においては、疎水性とアニオンカルボキシル末端の両方が、受容体に対して、関心の対象である類似体の結合においてとくに有用であるようにみえる。したがって、TyrととくにPheは、本発明の諸目的には好適である。
【0048】
とくに関心の対象となっている類似体には、以下のものが含まれる。
【0049】
【表2】
本発明のポリペプチドは、以下に説明されている方法により合成されうる。すなわち、
固形相合成に関しては、J.M.StewartとJ.D.Young『固形相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)』、第2版、Pierce Chemical社刊、イリノイ州ロックフォード市、1984年、ならびに、J.Meienhofer『ホルモンタンパク質とペプチド(Hormonal Proteins and Peptides)』、第2巻、Academic Press社刊、ニューヨーク州ニューヨーク市、1973年を参照のこと。また、溶液合成に関しては、E.SchroderとK.Lubke『ペプチド(The Peptides)』第1巻、Academic Press社刊、ニューヨーク州ニューヨーク市、1965年、を参照のこと。前述の学術論文の開示は本出願に参考文献として組込む。
【0050】
一般的には、これらの方法には、成長するペプチド鎖に対する保護アミノ酸の連続付加が含まれる(米国特許第5,693,616号、全体を参考文献として本出願に組込む)。正常であれば、第1アミノ酸と何らかの側鎖基のアミノ基かまたはカルボキシル基かのいずれかが保護される。この保護アミノ酸はその後に、不活性固形支持体に付着されるか、または溶液のなかで利用されるか、また配列中の次のアミノ酸もまた、適切に保護されて、アミドリンケージの形成に基づいて分析できる条件下で加えられる。すべての所望されるアミノ酸が適切な配列のなかにリンクされた後、保護基といずれかの固形支持体は、粗ポリペプチドを供給するために除去される。ポリペプチドは最終的な産物を産生するため、好適にはクロマトグラフ上で脱塩化され、また精製される。
【0051】
1つの態様では、本発明はアンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI(AI)、AI類似体、AI断片とその類似体、アンギオテンシンII(AII)、AII類似体、AII断片またはその類似体、またはAII AT2タイプ2受容体作用物質(「活性薬剤」)の投与から成る、放射線曝露による組織損傷の緩和のための諸方法とキット類を提供する。
【0052】
もう1つの態様では、本発明は、電離放射線または非電離放射線により治療されている新生物疾患状態に苦しんでいる患者を治療するための改良型諸方法とキット類を提供するが、その改良された方法は連結療法から成り、それによって活性薬剤の有効な放射線保護量が提供される。
【0053】
もう1つの態様では、本発明は、放射線治療を必要とする患者を治療するための改良された諸方法とキット類を提供するが、その改良された方法は放射線治療と連結させた活性薬剤の投与から成る。
【0054】
本発明は治療、または事故によるX線、ガンマ線、またはベータ粒子曝露などの電離放射線曝露のいずれかのタイプに関して使用されるのに適当なものである。本発明の諸方法とキット類による治療に適している電離放射線曝露の実施例には、それらに限定されるわけではないが、臨床放射線治療、放射能活性トレーサーを使用する医学的診断法、ウラニウムやラドンなどの自然発生する電離放射線源への曝露、戦時曝露、原子力発電施設や医学ならびに調査研究所での職業的曝露などの事故による曝露が含まれる。本発明の方法とキットによる治療に適している非電離放射線曝露の実施例には、それらに限定されるわけではないが、紫外線、X線、マイクロ波、無線周波数波、電磁放射線が含まれる。
【0055】
実質的には、放射線誘発性組織損傷を受けやすいいずれかの組織は、本発明の活性薬剤の使用により保護を得ることができる。例えば、胸部組織が、対象となっている本発明の利得を享受するには非常に良好な候補である。放射線誘発性組織損傷は、放射線治療への過剰曝露の致命的な副作用でありうる。典型的には、放射線治療により治療されているガン性腫瘍を取り囲む正常胸部組織において線維症性反応がよく認められるため、外科治療を上回って放射線治療が有している美容上の長所が徐々にとり崩されている。これが短所となって、放射線治療後はより効果が少なく、またはさらに危険な治療を多くの患者に選びとらせるということになる。
【0056】
本発明はまた、放射線治療の反復または高線量を必要としている患者にはとくに適している。ある種のガン患者に関しては、造血系への毒性は頻繁に放射線線量の拡大の機会を制限する(Watanabeら、British J.Haematol.94:619−627(1996))。放射線治療の反復または高線量サイクルは、重大な長期にわたる造血系の後遺症や骨髄疲弊につながる重篤な幹細胞欠乏の原因となることもある。本発明の諸方法は、放射線治療と連結して使用される場合に、死亡率や血球数の改良のために提供される。
【0057】
皮膚曝露は、事故による放射線曝露においてはとくに一般的なものである。本発明の組成物は局所的な投与が可能であるため、とくに本発明の治療法にはこれは非常に良好な候補である。事故または治療により電離放射線または非電離放射線曝露後に放射線誘発性損傷を受けやすいほかの組織には、それらに限定されるわけではないが、肝臓、肺、胃腸管、腎臓、精巣、唾液腺、粘膜、脳が含まれる。
【0058】
もう1つの態様では、本発明は、それらを必要とする患者に対する活性薬剤の投与から成る骨髄移植を支援するための改良された諸方法とキット類を提供する。これらの化合物、インターロイキン(IL)−3、IL−1、IL−4、IL−5、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、抗ガン剤、抗ウイルス剤、抗生物質は、それらに限定されるわけではないが、補助的な薬剤と組み合わせて投与されうる。
【0059】
さらに1つの態様では、本発明は、放射線誘発性組織損傷を緩和し、また放射線治療の効能を改良するためのキット類を提供するが、そのキットは、放射線誘発性組織損傷を緩和し、または放射線治療の効能を改良するための本発明の活性薬剤の有効な用量と、治療法としての活性薬剤の有効な用量を使用するための指示書から成る。1つの好適な実施態様では、キットはさらに、上述されている補助薬剤などの製薬的に受入れ可能なキャリアから成る。もう1つの好適な実施態様では、キットはさらに、患者に対してその活性薬剤の送達のための手段から成る。こうした装置には、それらに限定されるわけではないが、注射器、基質およびミセル性溶液、包帯、創傷帯、エアゾールスプレー、脂質泡沫、経皮的パッチ、局所投与用薬剤、ポリエチレングリコール重合体、カルボキシメチルセルロース製剤、晶質製剤(例えば、生理食塩水、乳酸リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水など)、粘弾性物質、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが含まれる。薬剤送達の手段には、アンギオテンシノーゲン、AI、AI類似体、AI断片とその類似体、AII、AII類似体、AII断片またはその類似体またはAII AT2タイプ受容体作用物質が含まれるか、あるいは、その組成物とは別にして分離されて、その後に使用時にデリバリーの手段にそれが適用されるかのいずれかである。
【0060】
本発明の諸方法とキット類は、放射線誘発性組織損傷を緩和し、また放射線治療と骨髄移植の効能を改良することにより、放射線誘発性組織損傷と臨床放射線治療の両方の現在有用な治療法の有用性を有意に向上させる。
【0061】
本発明のさらに1つの態様では、本発明の活性薬剤に曝露することにより巨核球の産生と移動、血小板の産生を増加させる方法が開示される。1つの実施態様では、全体を参考文献として本出願に組込む米国特許第5,178,856号に説明されているように、巨核球が骨髄から分離される。手短に言うと、骨髄は、無血清培地補給であるNutridoma−SP(Beohringer Manheim社、インディアナ州インディアナポリス市)で補給されるDulbecco培地(IMDM)のIscove変法により対象者の大腿骨から採取される。培養研究に関しては、単一細胞懸濁が、小さな針を通して段々に反復的排出により行われた。フローサイトメトリー対照に関しては、単細胞懸濁が100ミクロンメッシュを通してやさしく浸透されることにより行われる。好適には、接着細胞は、巨核球またはその始原細胞の数を豊富にするため、除去される。好適には、約0.1ng/mlと約10mg/mlの間の活性薬剤の存在下で湿り気のある空気のなかで37℃で2×106細胞/mlになるまで増殖培地に置かれる。細胞は、2日間と21日間の間の期間で増殖され、また細胞増殖はこの期間中のさまざまな時点で評価される。その後、必要な場合には培地の変更が行われる。1つの好適な実施態様では、、全体を参考文献として本出願に組込む米国特許第5,155,211号に説明されているように、フローサイトメトリーにより巨核球産生と移動、血小板産生が、巨核球倍数体化の程度により評価される。手短かに言うと、核における実質的な減少と同様に顆粒と拡張性表面結合開放細管膜系の所見では、巨核球集団が、多倍数化のプロセスを完了させたが、しかしまだ血小板特異的細胞血漿成分の最終的な補体の主要な部分を生成してはいなかったことを示している。
【0062】
もう1つの実施態様では、対象者は上記のように放射線照射され、また、放射線照射の前、放射線照射時、放射線照射後に活性薬剤が皮下注射される。血液サンプルは、白血球、巨核球、血小板の数をモニターするために活性薬剤の投与後にさまざまな時点で採取される。1つの好適な実施態様では、対象者は全身放射線照射で治療され、また、放射線照射前、放射線照射後に活性薬剤が皮下的に投与される(10μg/kg/日または100μg/kg/日)。白血球、巨核球、血漿版の数は好適には血球計で計数することにより測定され、その後に差動的形態分析が行われる。
【0063】
本発明の本態様のもう1つの実施態様では、造血前駆細胞が骨髄、末梢血または臍帯血から分離され、活性薬剤の存在下、適当な増殖条件下で培養される。巨核球産生は鑑別形態学的分析により培養の間、さまざまな時点で評価される。
【0064】
1つの好適な実施態様では、造血前駆細胞は、後腸骨稜から採取される骨髄吸引液から分離される(CaplanとHaynesworth、米国特許第5,486,359号)。CD34+造血前駆体細胞が、CD34に特異的なビオチン化モノクローナル抗体(Becton Dickinson社から入手可能、米国カリフォルニア州サニーベイル市)をストレプトアビジン親和性カラム(Ceprate SC、CellPro社、米国WA Bothell市)に付着させることにより吸引液から分離され、また、当該技術分野においては標準的な技術により、その吸引液をそのカラムを通過させ、その後には適当なカラム洗浄を行い、またストリッピングする。分離された細胞は培養培地のなかに懸濁され、また、好適には、本発明の約0.1ng/mlと約10mg/mlの間の活性薬剤の存在下で加温放置される。細胞は、8日間と21日間の間の期間、増殖され、巨核球産生が、増大したサイズと、この期間中のさまざまな時点で多倍数化を測定するために、位相差顕微鏡により評価される。
【0065】
本発明のさらに1つの実施態様では、ほかの増殖因子やサイトカインの存在下または存在しない場合かのいずれかで、活性薬剤に曝すことにより巨核球の産生と移動、血小板の産生を増加させる方法が開示される。こうした増殖因子とサイトカインの実施例には、それらに限定されるわけではないが、トロンボポイエチン、リンホカイン、インターロイキン−1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子ベータ、幹細胞因子が含まれる。
【0066】
1つのさらに好適な実施態様では、欠乏した造血系を再構築するために、活性薬剤の存在下で培養された巨核球および/または血小板がオートロガス移植に使用される。移植に先立って、細胞は、培養液のすべての痕跡を除去するために洗浄され、適当な培地に再懸濁され、その後、ペレット化され、数回洗浄される。最終回の洗浄の後、適当な培地のなかで0.7×106と50×106 細胞/mlの間で細胞は再懸濁され、また静注により対象者に再注入される。
【0067】
移植後、対象者の末梢血サンプルが、増加した巨核球倍数体と、血小板数が、標準的なフローサイトメトリーと細胞選別技術により評価される(Talmadgeら、同上)。
【0068】
本発明のもう1つの態様では、活性薬剤がin vivoにて巨核球の産生と移動、血小板の産生を増加するために使用される。巨核球の産生と移動、血小板の産生を増加させるのに使用するため、活性薬剤が、投与単位で、通常の製薬的に受入れ可能なキャリア、補助薬剤、媒体を含めた経口、非経口、吸引スプレーにより、直腸、または局所的にのいずれかの適当な経路により、投与されることが考えられる。本出願で使用されているように、非経口という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、腱内、髄腔内、頭蓋内、胸腔内、輸液技術、または腹腔内が含まれる。
【0069】
本発明のすべての態様の活性薬剤は、通常の製薬的に受入れ可能なキャリア、補助剤、媒体を含む投与量単位製剤で、経口、非経口、吸引スプレー、直腸、または局所的な投与を含めたいずれかの適当な経路により投与されることが考えられる。本出願で使用されているように、非経口という用語には、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、胸骨内、腱内、髄腔内、頭蓋内、胸腔内、輸液技術、または腹腔内が含まれる。
【0070】
本発明の活性薬剤は、固形形態(顆粒、粉末または坐薬を含む)または液状形態(例えば、溶液、懸濁液または乳濁液)で製造される。本発明の化合物は、さまざまな溶液において適用することができる。本発明により使用される適当な溶液は、無菌、溶解可能なペプチドの十分量であり、また提案した適用には有害ではない。この点に関しては、本発明の成分は非常に安定しているが、しかし、強い酸と塩基により加水分解される。本発明の成分は、pH5〜8で有機溶媒のなかで、また水性溶液のなかで可溶性である。
【0071】
活性薬剤は、滅菌などの通常の製薬的操作にかけられ、および/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などといった通常の補助薬剤を含むことがある。投与に関しては、活性薬剤は指示された投与経路に適当な、1つまたはそれ以上の補助剤と通常のやり方で組み合わされる。成分は乳糖、ショ糖、デンプン粉、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、滑石(タルク)、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸およびスルホン酸のナトリウムならびにカルシウム塩類、アカシア、ゲラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジン、および/またはポリビニルアルコールと混合させ、また通常の投与法にあわせて錠剤化、またはカプセル化されることがある。代替的には、本発明の成分は、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド状溶液、エタノール、コーン油、ピーナッツ油、綿種子油、ごま油、トラガカントガム、および/または各種緩衝液で溶解しうる。ほかの補助剤と投与方法は、製薬技術のなかでは周知のものである。キャリアまたは希釈剤には、グリセル一ステアリン酸またはグリセリル二ステアリン酸のみ、または、ワックスまたは当該技術分野では周知のほかの材料とともに、こういった時間遅延性(徐放性)材料が含まれる。
【0072】
局所投与に適した製剤には、皮膚を通して透過していくのに適している液体または半液体製剤(例えば、塗布剤、ローション、軟膏、クリームまたはパスタ剤)と、眼、耳、または鼻に投与するのに適している点滴剤が含まれる。
【0073】
放射線誘発性組織損傷を緩和し、また活性薬剤により放射線治療の効能を改良するための投与法は、損傷のタイプ、年齢、体重、性別、個人的な医学的状態、病態の重篤度、投与経路、用いている特定の成分を含めたさまざまな要素をベースにしている。したがって、その投与法は、広範にさまざまな形をとるが、しかし日常的に、標準的な方法を使用して医師が決定することができる。活性薬剤の0.1ng/kg体重と10mg/kg体重の間の程度の投与量が、本出願に開示されている使用方法すべてに有用である。
【0074】
治療方法もまた、損傷のタイプ、年齢、体重、性別、個人的な医学的状態、病態の重篤度、投与経路、用いられている特定の成分を含めた、さまざまな要素をベースにしており、治療されている疾患によりさまざまである。例えば、活性薬剤は放射線治療のコースに先立って30日間までの間に、また放射線曝露の後60日間までの間に腫瘍患者に投与される。その治療では、上述されているような投与量で日に1〜6回投与される。
【0075】
これらの実施態様のすべてにおいて、本発明の成分は、放射線曝露の前か、放射線曝露と同時にか、あるいは放射線曝露の後かのいずれかで投与することができる。
【0076】
1つの好適な実施態様では、本活性薬剤は、皮下的に投与される。本活性薬剤の活性成分の適切な皮下投与量は好適には、約0.1ng/kgと約10mg/kgの間で、放射線誘発性組織損傷を緩和するのに、新生物疾患に罹患している放射線治療患者の放射線保護効果を提供するのに、骨髄移植を支援するのに、巨核球の産生と移動、血小板の産生を促進するのに、十分な期間の間、日に2回投与される。1つのさらに好適な実施態様では、活性薬剤の濃度は、約100ng/kg体重と約10.0mg/kg体重の間である。1つのさらに好適な実施態様では、活性薬剤の濃度は約10μg/kg体重と約10.0mg/kg体重の間である。この投与方法は、対象となっている本発明の治療的利便性を最大限に拡大し、一方、必要とされる作用物質またはペプチドの量を最少限に抑える。こうした適用方法は、有害である可能性がある副作用だけではなく、コストも最少限に抑える。
【0077】
皮下投与に関しては、本活性成分は、0.0001%〜10%w/w、例えば、製剤の重量で1%〜2%から成ると考えられるが、最大限10%w/wまでであるが、しかし、好適には、5%w/wを超えない、またさらに好適には、製剤の0.1%〜1%から成る。
【0078】
本発明のもう1つの好適な実施態様では、本活性薬剤は局所的に投与される。適切な局所的投与と本製剤における活性成分濃度は、皮下投与に関して述べられたとおりである。
【0079】
本発明のすべての態様の1つの好適な実施態様では、本活性薬剤は、配列識別番号:1、配列識別番号:2、配列識別番号:3、配列識別番号:4、配列識別番号:5、配列識別番号:6、配列識別番号:7、配列識別番号:8、配列識別番号:9、配列識別番号:10、配列識別番号:11、配列識別番号:12、配列識別番号:13、配列識別番号:16、配列識別番号:17、配列識別番号:18、配列識別番号:19、配列識別番号:20、配列識別番号:21、配列識別番号:22、配列識別番号:23、配列識別番号:24、配列識別番号:25、配列識別番号:26、配列識別番号:27、配列識別番号:28、配列識別番号:29、配列識別番号:30、配列識別番号:31、配列識別番号:32、配列識別番号:33、配列識別番号:34、配列識別番号:35、配列識別番号:36、配列識別番号:37から構成されるグループから選択される。
【0080】
本発明の上記の態様のさらに好適な実施態様では、本活性薬剤の投与は、組織損傷放射線により影響を受けた領域に局所化される。
【0081】
本発明のもう1つの態様では、改良された細胞培養培地が、巨核球と血小板の産生のために提供され、その改良されたものは、本発明の本活性薬剤の約0.1ngと10mg/mlの間の有効な分量を細胞培養培地に加えることから成る。巨核球と血小板の産生を支援することができるいずれかの細胞培養培地は、本発明により使用することができる。こうした細胞培養培地には、これらに限定されるわけではないが、イーグルの基本培地、ダルベッコの変法イーグル培地、Iscoveの変法ダルベッコ培地、マッコイの培地、最少必須培地、F−10栄養混合、OptiMEM(登録商標)減血清培地、RPMI培地、マクロファージ−SFM培地またはそれらを組み合わせたものが含まれる。
【0082】
改良された細胞培養培地は、濃縮(すなわち、10倍×)か、または非濃縮形態かのいずれかで供給することができ、また、液体か、粉末か、または凍結乾燥したものかのいずれかのものとして供給することができる。細胞培養培地は、化学的に定義されているものか、または血清補給を含むものかのいずれかであると考えられる。培養培地は、GIBCO BRL社(メリーランド州ゲティスバーグ市)およびSigma社(ミズーリ州セントルイス市)などの多くの供給元から市販されており、入手可能である。
【0083】
1つのさらに好適な態様では、本発明は巨核球と血小板の産生のためのキット類を提供するが、そのキット類は本発明の本活性薬剤の巨核球と血小板の産生のために有効な分量と、細胞培養培地の補給用として使用するための指示書から成る。
【0084】
1つの好適な実施態様では、本キット類はさらに、細胞培養増殖培地から成る。巨核球と血小板の産生を支援することができるいずれかの細胞培養培地は、本発明により使用することができる。こうした細胞培養培地の実施例は上記に説明されている。細胞培養培地は、濃縮(すなわち、10倍×)か、または非濃縮形態かのいずれかで供給することができ、また、液体か、粉末か、または凍結乾燥したものかのいずれかのものとして供給することができる。細胞培養培地は、化学的に定義されているものか、または血清補給を含むものかのいずれかであると考えられる。
【0085】
1つのさらに好適な実施態様では、キットはさらに、細胞培養フラスコ、またはローラーボトル、または遠心分離試験管などの密封コンテナか、あるいは、細胞培養プレートまたはマイクロ力価プレート(Nunc社、イリノイ州ネイパービル市)などの非密封コンテナかのいずれかから成る、無菌コンテナから成る。
【0086】
もう1つの好適な実施態様では、キットはさらに、再構成される細胞増殖培地のなかに含めるための抗生物質補給から成る。適切な抗生物質補給の実施例には、これらに限定されるわけではないが、アクチモナイシンD、Fungizon(登録商標)、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、またはそれらを組み合わせたもの(GIBCO)が含まれる。
【0087】
本発明は、説明の目的のみが意図されている添付の実施例に参照することで、よりよい理解が得られることと思われるが、本出願に添付されている請求項による請求範囲により定義されているとおり、本発明の請求範囲を限定するように解釈すべきではない。
【0088】
実施例1 ラット死亡率と放射線照射後の白血球回復に対するAIIの効果
雌C57B1/6マウス(Jackson Labs社、メイン州バーハーバー市)が、600cGy全身放射線照射により照射された。AII(10μg/kg/日または100μg/kg/日)か、または生理食塩水(偽薬)かのいずれかのものによる皮下注射が放射線照射の2日前(−2日)、その日(0日)、または2日後(+2日)に開始され、その動物が放射線照射にかけられるか、または剖検されるまで継続された。放射線照射後のさまざまな時点で、マウスはMetofane(Pittman−Moore Animal Health社、ニュージーランド)により麻酔をかけられ、また、眼窩後洞経由で採血された。赤血球は0.3%アセト酸で洗浄され、また白血球数は血球計により数えて測定された。図1〜3に掲載されているデータは、放射線照射に先立つ2日間前に開始されたAIIの投与は、放射線照射から結果的に生じる死亡率に対して保護することはなかった(図1)が、しかし、放射線照射のその日のAII投与(図2)、または放射線照射後2日間のAII投与(図3)は実質的に生存率を増加させた。さらに、テストされた全期間でのAII投与は、循環白血球数を増加させた(図4〜6)。さらなる実験では、AII投与が巨核球の数を増加ざせたことを(図7〜9)、単球(図10〜12)、好中球(図13〜15)、リンパ球(図16〜18)の数を増加ざせたことが示されている。これらのデータは、in vivoに投与されたAIIが放射線照射後造血系回復を改良することができることを示している。
【0089】
実施例2 放射線照射後の白血球と血小板の数に対するAIIとAII類似体/断片の効果
動物は実施例1におけるように、放射線照射されて治療されたが、しかし、10μg/kg/日かまたは100μg/kg/日かのいずれかの1回の皮下注射によるのみで0日目に開始され、研究が終わるまで続けられた。AIIの類似体と断片(表3参照)は、放射線照射後に白血球と血小板の数がに関して、その効果を評価された。そのデータは図20と21に示されており、またペプチドがこれらの血液構成要素の両方の産生を増加させることを示している。
【0090】
【表3】
実施例3 致死量放射線照射後骨髄移植を受けたマウスの生存率に対するAIIの効果
供与体C57B1/6マウス(雌、6〜8週齢)が600cGy全身照射により放射線照射された。放射線照射のその日に開始し、そのマウスは、生理食塩水(0.1ml)か、または20μg/mlアンギオテンシンII(0.1ml、100μg/kg)か、のいずれかを14日間皮下的に受けた。この期間の終わりに、骨髄が大腿骨から採取血により移植され、トリパンブルーの存在下で、生存可能な核形成細胞の数を血球計上で光学顕微鏡下に数えられて測定された。
【0091】
これらの供与体骨髄細胞はその後に、2種類の濃度、すなわち、1×106または1×105細胞/マウスで致死量放射線照射(900cGy全身放射線照射)された放射線照射受容体マウス(雌、C57B1/6、6〜8週齢)のなかに静脈内注射された。
【0092】
注射後、その受容体マウスは、生理食塩水または100μg/kgのAIIを、脂肪またはテストの終わりまで皮下的に受けた。全体としてのこの研究の設計は以下のとおりである。
【0093】
【表4】
マウスの生存率と循環白血球数が、骨髄移植後の時間関数として測定された。そのデータは図22〜24に呈示されており、またAII治療が、放射線照射後骨髄移植を受けたマウスにおいて生存率と白血球数の両方を増加させたことを示している。供与体骨髄細胞と受容体マウスの両方をAIIにより治療することによりもっとも大きな利益が得られた。
【0094】
本発明の諸方法とキット類は、患者の生存率を増加させ、また患者の造血系の再構築を促進することにより、骨髄移植だけではなく、放射線誘発性組織損傷を緩和し、また放射線治療の効能を改良することにより、放射線誘発性組織損傷と臨床放射線治療の両方に関して現在有用な治療法の有用性を有意に向上させる。同様に、巨核球と血小板の産生のための方法を提供することにより、本発明は、巨核球の産生と移動、血小板の産生を減少に導く臨床ガン治療と骨髄移植、そのほかの病態を大幅に増強することになるであろう。
【0095】
本発明の方法はまた、トランスフェクションされた巨核球を急速に増殖させる1つのさらに効率的な手段を提供することにより、造血障害における遺伝子治療のための媒体として、巨核球の潜在的な有用性を増大させる。
【0096】
本発明は、示され、また説明されている操作の正確な詳細、あるいは正確な化合物、組成物、方法、手順または実施態様に限定されるべきものではなく、明らかな変更と同等のものが当該技術分野に熟練している者には明白であろうし、また本発明はしたがって、添付されている請求項による完全な請求範囲によってのみ限定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後マウス死亡率に対する効果を示すグラフ。
【図2】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後マウス死亡率に対する効果を示すグラフ。
【図3】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後マウス死亡率に対する効果を示すグラフ。
【図4】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後の白血球数に対する効果を示すグラフ。
【図5】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後の白血球数に対する効果を示すグラフ。
【図6】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後の白血球数に対する効果を示すグラフ。
【図7】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後の巨核球数に対する効果を示すグラフ。
【図8】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後の巨核球数に対する効果を示すグラフ。
【図9】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後の巨核球のパーセンテージに対する効果を示すグラフ。
【図10】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後の単球数に対する効果を示すグラフ。
【図11】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後の単球数に対する効果を示すグラフ。
【図12】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後の単球数に対する効果を示すグラフ。
【図13】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後の好中球数に対する効果を示すグラフ。
【図14】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後の好中球数に対する効果を示すグラフ。
【図15】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後の好中球数に対する効果を示すグラフ。
【図16】 曝露2日前のAII治療の、放射線照射後のリンパ球数に対する効果を示すグラフ。
【図17】 曝露当日のAII治療の、放射線照射後のリンパ球数に対する効果を示すグラフ。
【図18】 曝露2日後のAII治療の、放射線照射後のリンパ球数に対する効果を示すグラフ。
【図19】 AII類似体と断片治療の放射線照射後の白血球数に対する効果を示すグラフ。
【図20】 AII類似体と断片治療の放射線照射後の血小板数に対する効果を示すグラフ。
【図21】 致死量放射線照射後に骨髄移植を受けたマウスの生存率に対するAIIの効果を示すグラフ。
【図22】 AII類似体と断片治療の放射線照射後白血球数に対する効果を示すグラフ。
【図23】 致死量放射線照射後に骨髄移植を受けたマウスの血液中の白血球数に対するAIIの効果を示すグラフ。
【図24】 致死量放射線照射後に骨髄移植を受けたマウスの血液中の白血球数に対するAIIの効果を示すグラフ。
【配列表】
Claims (7)
- 放射線治療後の白血球回復の改善、および放射線治療後の血小板産生の改善のうち、1つ以上のための薬剤組成物であって、配列識別番号:4、配列識別番号:18、配列識別番号:31、配列識別番号:38で構成される群から選択される少なくとも1つの活性薬剤を用いて調製される薬剤組成物。
- 放射線治療後の白血球回復の改善のための、請求項1に記載の薬剤組成物。
- 放射線治療後の血小板産生の改善のための、請求項1に記載の薬剤組成物。
- 該活性薬剤が配列識別番号:4である、請求項2または3のいずれかに記載の薬剤組成物。
- 該活性薬剤が配列識別番号:18である、請求項2または3のいずれかに記載の薬剤組成物。
- 該活性薬剤が配列識別番号:31である、請求項2または3のいずれかに記載の薬剤組成物。
- 該活性薬剤が配列識別番号:38である、請求項2または3のいずれかに記載の薬剤組成物。
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