JP6472001B2 - 米類の評価方法及び評価装置 - Google Patents

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本発明は、米類の蒸米消化性、老化性等を定量的に評価することができる米類の評価方法及び評価装置に関する。
米の品質を事前にチェックすることができればそのメリットは非常に大きい。例えば酒造メーカーでは、事前に品質が分かれば品質が悪くても仕込みで対応することが可能であり、これにより酒質を一定品質以上に保つことができる。また米生産者は、酒造メーカーの要請に応じて栽培方法、品種を検討することができる。
米類の性状、品質を評価する方法は、これまでに多くの方法が提案されている。例えば米を粉砕し、水を加えて味覚センサを用いて電位を測定し、性状、品質を判定する方法(例えば特許文献1参照)、試料米に近赤外線を照射し、得られる二次微分スペクトルから成分含有率を算出する方法がある(例えば特許文献2参照)。また米のデンプンにおける硬さや粘り等の物理的特性をヨウ素吸収マルチスペクトル法を用いて推定する方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
酒米の特性についても種々の方法で評価されている。酒米の軟質米の評価は、一般的に酒米統一分析法の蒸米消化性試験(例えば非特許文献1参照)を用いて行われる。しかしながらこの方法については、以下の課題が指摘されている。酒米統一分析法の蒸米消化性試験は、水分調湿、精米の作業など多くの作業が必要であり、作業が煩雑である。また玄米量として最低150g以上が必要なため、一個体の玄米量が数gしか得られない育種の初期段階においては、酒米統一分析法の蒸米消化性試験を適用することができない。
蒸米消化性を予測する方法として、白米のアルカリ崩壊性により蒸米消化性を予測する方法がある(非特許文献2参照)。この方法は、精米した白米を1.4%のKOH溶液に24時間浸漬させたときの粒の崩壊度(アルカリ崩壊度)と蒸米消化性との相関関係に基づき、アルカリ崩壊度を測定し、蒸米消化性を予測するものである。
特開2009−14551号公報 特開平8−29335号公報 特開2005−345432号公報
酒米研究会,酒造用原料米全国統一分析法,平成8年10月15日 長沼孝多ら,山梨県産酒造米の登熟期気温と蒸米酵素消化性との関連,山梨県総合理工学研究機構研究報告書 第7号(2012),11頁
非特許文献2に記載の方法は、酒米統一分析法の蒸米消化性試験に比較して大幅に時間を短縮することができる。しかしながら非特許文献2に記載の方法は、アルカリ崩壊度を”全く溶けない”から”完全に溶解”までの10段階に区分し、その判定を目視で行っているため定量的な評価ができない。また蒸米消化性の評価を、玄米を用いて行うことができれば精米の手間が省けより好ましいが、このような方法はこれまで報告されていない。非特許文献2以外にも多くの方法が提案されているが、蒸米消化性、老化性、高温登熟の影響等を、少量の試料を用いて迅速にかつ定量的に評価することができる方法はない。
本発明の目的は、少量の試料で迅速に定量的な評価が可能な米類の評価方法及び評価装置を提供することである。
本発明は、試料である粒状の米類を糊化溶液に浸漬し米類を糊化させる糊化工程と、前記糊化工程後、溶液と未溶解の前記米類とを分離する分離工程と、前記分離工程で得られる溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出工程と、溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う評価工程と、を含むことを特徴とする米類の評価方法である。
本発明において、前記米類の特性値が、糊化開始温度、蒸米消化性、老化性であることを特徴とする。
また本発明において、前記試料は、胚乳部を露出させた玄米、又は搗精し、糠部を取り除いた白米であることを特徴とする。
また本発明において、前記糊化溶液が、アルカリ溶液であることを特徴とする。
また本発明において、前記糊化溶液が水酸化カリウム溶液であり、濃度が0.2mol/L以上0.4mol/L以下であることを特徴とする。
また本発明において、前記糊化溶液が、尿素溶液であることを特徴とする。
また本発明において、前記糊化溶液が尿素溶液であり、濃度が2mol/L以上6mol/L以下であることを特徴とする。
また本発明において、前記糊化工程を、15℃以上45℃以下の温度で行うことを特徴とする。
また本発明は、前記糊化工程において、内部にメッシュ状部材を装着した容器を使用し、前記試料を前記メッシュ状部材の上に置いた状態で糊化溶液に浸漬させ試料である米類を糊化させ、前記分離工程において、前記メッシュ状部材を取り除くことで溶液と未溶解の前記米類とを分離することを特徴とする。
また本発明において、前記分離工程と前記検出工程との間に、前記分離工程で得られる溶液にアルカリ溶液を添加し、さらに加熱する完全糊化工程を有し、前記検出工程は、前記分離工程で得られる溶液に代え、前記完全糊化工程後の溶液を用い、前記溶出デンプン量の検出は、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液を500nm以上620nm以下の波長で吸光度を測定することで行うことを特徴とする。
また本発明は、前記検出工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を検出し、前記評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことを特徴とする。
また本発明は、前記検出工程において、ろ紙等にヨウ素酸カリウムを固着させた試験紙、又はシリカゲルを塗布したガラス板にヨウ素酸カリウムを固着させた試験板を準備し、前記分離工程で得られる溶液に0.5%以上1.0%以下の亜硫酸水素ナトリウムを添加し、当該溶液と前記試験紙又は試験板とを接触させ試験紙又は試験板を呈色させ、呈色した試験紙又は試験板の色調から溶液中の溶出デンプン量を検出することを特徴とする。
また本発明は、前記検出工程において、溶出デンプン量に代え、呈色した試験紙又は試験板の色調を検出し、前記評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の試験紙又は試験板の色調と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことを特徴とする。
また本発明は、試料である粒状の米類を糊化溶液に浸漬させ米類を糊化させる糊化手段と、糊化された米類を溶液と未溶解の米類とに分離する分離手段と、溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出手段と、を含み、前記検出手段が検出するデータと米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことが可能なことを特徴とする米類の評価装置である。
また本発明において、前記検出手段が、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を測定する吸光度計であることを特徴とする。
本発明によれば、少量の試料で迅速に定量的な評価が可能な米類の評価方法及び評価装置を提供することができる。
本発明の第1の米類の評価方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の第1の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。 本発明の第1の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。 本発明の第1の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。 本発明の第1の米類の評価方法における糊化工程の糊化溶液の濃度と溶出デンプン量との関係を示すグラフである。 本発明の第1の米類の評価方法における糊化工程に適した糊化溶液の濃度及び糊化温度の範囲を示す図である。 ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の波長λと吸光度との関係を表すグラフである。 本発明の第2の米類の評価方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。 デンプン濃度とヨウ素デンプン呈色反応の吸光度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と糊化開始温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と糊化開始温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と糊化開始温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と糊化開始温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である吸光度と糊化開始温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と蒸米消化性(Brix)との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と出穂から20日間の平均気温との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と出穂から20日間の平均気温との関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と餅の硬さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と餅の硬さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と米粉パンの硬さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例である溶出デンプン量と炊飯米表面の硬さとの関係を示すグラフである。
図1は、本発明の第1の米類の評価方法の手順を示すフローチャートであり、図2〜図4は、本発明の第1の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。以下、図面に基づき本発明の第1の米類の評価方法及び評価装置について詳細に説明する。
本発明の第1の米類の評価方法は、試料である米類を糊化溶液に浸漬し米類を糊化させる糊化工程(ステップS1)と、糊化工程後、溶液と未溶解の米類(米残渣)とを分離する分離工程(ステップS2)と、分離工程で得られる溶液にアルカリ溶液を添加し、さらに加熱する完全糊化工程(ステップS3)と、完全糊化工程で得られる溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出工程(ステップS4)と、溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う評価工程(ステップS5)とを含む。
図2〜図4に示す米類の評価装置は、本発明の第1の米類の評価方法を実施するための装置であり、試料である米類を糊化溶液に浸漬させ米類を糊化させる糊化手段11と、糊化された米類を溶液と未溶解の米類(米残渣)とに分離する分離手段21と、分離工程で得られる溶液にアルカリ溶液を添加し、さらに加熱する完全糊化手段31と、溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出手段とを含む。
本発明の米類の評価方法では、粳米のみならず糯米も対象とすることができる。粳米及び糯米は、特定の品種のものに限定されるものではなく幅広く対象とすることができる。また粳米及び糯米の収穫時期、保管期間も特定のものに限定されるものではない。
本発明の米類の評価方法では、粳米、糯米の玄米又は白米を用いて評価する。白米は、搗精し、糠部を取り除いたものを使用する。玄米は、胚乳部を露出させた玄米を使用する。具体的には、玄米をナイフ等で半分に切断したもの、あるいは1/4に切断したものを使用することができる。玄米を切断することなく使用すると、糊化工程において、膨潤はするものの崩壊が生じないため本方法を適用することができない(図3(a)比較例参照)。
糊化工程(ステップS1)では、試料3である白米5又は半分に切断された玄米7を糊化溶液17に浸漬し、試料3を糊化させる。具体的には容器13内に試料3が通過しない範囲で目開きの大きいメッシュ部材15を装着し、糊化溶液17を所定量充填し、そこに所定量の試料3を投入する(図2(b)、(c)参照)。メッシュ部材15を装填するのは、糊化後の溶液19と未溶解の試料4とを分離するためである。
試料3と糊化溶液17との割合の一例を示せば、後述の実施例に示すように半粒の玄米10粒に対して、糊化溶液5mLである。但し、試料3と糊化溶液17との割合は、特定の数値に限定されるものではない。なお、半粒の玄米10粒の重量は、約0.10〜0.15gである。
試料3は、糊化溶液17に浸漬した状態で、15℃以上45℃以下の温度、好ましくは20℃以上40℃以下の温度、より好ましくは30℃で、温度を一定に保持し24時間放置し、糊化させる(図3(a)参照)。糊化工程において糊化溶液17に溶出するデンプン量(溶出デンプン量)は、温度に比例する。実験結果の一例を示せば、糊化温度15℃、30℃、45℃で溶出デンプン量は、大凡5mg/mL、10mg/mL、20mg/mLであった。このように溶出デンプン量の温度依存性は大きいので、糊化は、恒温槽、恒温室で行うことが好ましい。
糊化温度は、糊化工程で得られる溶液19がゼリー状とならない範囲で、溶出デンプン量が多い温度が好ましい。また操作等の点からは、温度が比較的低く、制御し易い温度が好ましい。後述のように糊化温度が15℃を下回ると溶出デンプン量が不足し、45℃を上回ると溶液19がゼリー状となる。溶出デンプン量及び操作性の点から20℃以上40℃以下の温度が好ましく、30℃がより好ましい。
糊化とは、生のデンプン(β−デンプン)に水を加えて加熱するとデンプンがα−デンプンに変化し、粘性を増すことをいう。本実施形態では、糊化溶液17、容器13及び糊化溶液17を15℃以上45℃以下にする手段が糊化手段11に該当する。
糊化溶液17にはアルカリ溶液又は尿素溶液を使用する。ここで使用可能な溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム,チオシアン酸カリウム、ヨードカリウム、硝酸アンモニア、塩化カルシウム、塩酸グアニジン、ジメチルスルホキシドの水溶液、尿素溶液が例示される。
中でも水酸化カリウム溶液及び尿素溶液を好適に使用することができる。水酸化カリウム溶液の濃度は、0.2mol/L以上0.4mol/L以下、好ましくは0.25mol/L以上0.3mol/L以下、より好ましくは0.27mol/Lである。尿素溶液の濃度は、2mol/L以上6mol/L以下、好ましくは3.0mol/L以上6.0mol/L以下、より好ましくは4.0mol/Lである。
水酸化カリウム溶液及び尿素溶液とも濃度が高くなるに従って溶出デンプン量が増加する。図5は、尿素溶液の濃度と溶出デンプン量との関係を示すグラフである。図5は、本発明の第1の米類の評価方法を用い、糊化工程において尿素溶液の濃度を変化させ溶出デンプン量を求めたものであり、試料3には、2種類の酒米を使用した。糊化温度は30℃である。
図5から、尿素溶液の濃度が2mol/Lを下回ると、デンプンは殆ど溶出しないため2種類の酒米の違いを評価することができない。一方、尿素溶液の濃度が6mol/Lを上回ると、溶出デンプン量はほぼ一定の値となるため尿素溶液の濃度を6mol/L以上とすることは不経済である。また尿素溶液の濃度が6mol/Lを上回ると、糊化後の溶液19がゼリー状となり好ましくない。
米類を評価するには、米毎の溶出デンプン量の差が大きいことが好ましく、分析精度の点からは溶出デンプン量の値が大きいことが好ましい。図5の場合、尿素溶液の濃度が3.0mol/L以上6.0mol/L以下の範囲において、酒米(1)及び酒米(2)の溶出デンプン量の差が大きく、尿素溶液の濃度が4.0mol/Lでは、酒米(1)及び酒米(2)の溶出デンプン量の差が大きく、かつ溶出デンプン量の値も大きい。
水酸化カリウム溶液の濃度と溶出デンプン量との関係は、尿素溶液と絶対値が異なるものの、尿素溶液とほぼ同じである。
図6は、実験データに基づき、糊化工程に適した糊化溶液17の濃度及び糊化温度の範囲を示す図である。図6(a)は糊化溶液が水酸化カリウム溶液の場合、図6(b)は、糊化溶液が尿素溶液の場合であり、図中斜線部分が糊化工程に適した範囲である。
糊化溶液17に水酸化カリウム溶液を使用する場合、水酸化カリウム溶液の濃度が0.4Mを上回ると糊化温度が15℃であっても糊化後の溶液19がゼリー状となる。同様に糊化温度が45℃を上回ると水酸化カリウム溶液の濃度を0.2Mとしても糊化後の溶液19がゼリー状となる。糊化工程で得られる溶液19がゼリー状となると、後工程である分離工程において、溶液19と未溶解の試料4との分離が非常に難しく、溶出デンプン量を精度よく検出することができない。
また糊化温度が15℃を下回ると水酸化カリウム溶液の濃度を0.4Mとしても溶出デンプン量が非常に少なく、溶出デンプン量の検出精度が低下する。同様に、水酸化カリウム溶液の濃度が0.2Mを下回ると、糊化温度を45℃としても溶出デンプン量が非常に少なく、溶出デンプン量の検出精度が低下する。
溶出デンプン量の糊化溶液濃度依存性と溶出デンプン量の糊化温度依存性とを比較すると後者の方が大きいため、図6(a)の(A)の領域は、ゼリー状態になり易く、図6(a)の(C)の領域は、デンプン溶出量不足となり易い。なお、図6(a)の(B)の領域は、ゼリー状態、図6(a)の(D)の領域は、デンプン溶出量不足である、この点は、図6(b)の尿素溶液についても同じである。
以上のことから水酸化カリウム溶液を使用する場合、糊化温度が15℃以上45℃以下でかつ0.2M(mol/L)以上0.4M以下の水酸化カリウム溶液を用いることが好ましい。
糊化溶液17に尿素溶液を使用する場合も、図6(b)に示すように尿素溶液の濃度が6Mを超えるか、糊化温度が45℃を超えると糊化後の溶液19がゼリー状となり、分離工程において、溶液19と未溶解の試料4との分離が非常に難しく、溶出デンプン量を精度よく検出することができない。また糊化温度が15℃を下回るか、尿素溶液の濃度が2Mを下回ると溶出デンプン量が非常に少なく、溶出デンプン量の検出精度が低下する。
以上のことから尿素溶液を使用する場合、糊化温度が15℃以上45℃以下でかつ2M(mol/L)以上6M以下の尿素溶液を用いることが好ましい。
分離工程(ステップS2)では、糊化工程で得られる、溶液19と未溶解の試料4とを分離する。上記の通り糊化工程において、試料3は、メッシュ部材15内に充填されるので、メッシュ部材15を容器13から引き上げることで溶液19と未溶解の試料4とを簡単に分離することができる。本実施形態では、メッシュ部材15が分離手段21に該当する。
完全糊化工程(ステップS3)は、糊化工程で溶出したデンプン(溶出デンプン)が含まれている、分離工程で得られる溶液19にアルカリ溶液を添加し、さらに加熱し、溶液中の溶出デンプンを完全に糊化させる。完全糊化工程を省略し、分離工程(ステップS2)の後に、検出工程を実施してもよいが、アルカリ添加による強制糊化である完全糊化工程を実施することで、沈澱が起こらず安定的な測定が可能となる。
具体的には、分離工程で得られる溶液19に1N水酸化ナトリウム溶液を添加し、沸騰水中で10分間程度加熱し、完全糊化させる。その後に1Nの酢酸溶液を加えて中和する(図3(b)参照)。なお、分離工程で得られる溶液19は、白濁した溶液であり均質な状態ではない。このため1N水酸化ナトリウム溶液を添加する前に、超音波撹拌器又はホモジナイザー等を用いて十分に均質化させることが好ましい。本実施形態では、超音波撹拌器又はホモジナイザー等(図示省略)を含み、完全糊化工程で使用する薬剤及び加熱手段が、完全糊化手段31に該当する。
検出工程(ステップS4)は、完全糊化工程で得られる溶液32中の溶出デンプン量(デンプン濃度)を、ヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する。なお、完全糊化工程を省略するときには、分離工程で得られる溶液19中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する。このときも分離工程で得られる溶液19を超音波撹拌器又はホモジナイザー等を用いて十分に均質化させ使用することが好ましい。
溶出デンプン量の検出は、完全糊化工程で得られる溶液32にヨウ素−ヨウ化カリウム溶液を加え、ヨウ素デンプン反応(ヨウ素デンプン呈色反応)を行い(図4(a)、(b)参照)、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を測定することで行う。図7は、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の波長λと吸光度との関係を表すグラフである。図7の結果から、波長λ=500〜620nmの範囲で吸光度が高く、この範囲内で溶液の吸光度を測定することが好ましいことが分かる。
ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度とデンプン濃度との関係は、図10に示すように正比例の関係にあるので、溶液の吸光度を測定することで溶液中の溶出デンプン量を簡単に算出することができる。本実施形態では、ヨウ素−ヨウ化カリウム溶液、吸光度計、及びデンプン濃度と吸光度との関係式又はグラフが検出手段に該当する。
評価工程(ステップS5)は、溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う。後述の実施例にも示すように溶出デンプン量と糊化開始温度等との間には相関関係がある。(図11〜図14参照)。糊化開始温度は、生のデンプン(β−デンプン)に水を加えて加熱したときデンプンがα−デンプンに変化し、粘性が急激に立ち上がる時の温度であり、デンプン固有の物性値である。糊化開始温度の測定は、粘度測定装置であるRVA(ラピッドビスコアナライザー)を用いて行うことができる。
同様に、溶出デンプン量と蒸米消化性との間、溶出デンプン量と登熟温度との間には、後述の実施例に示すように相関関係がある(図16、図17、図18参照)。また糊化開始温度と糊化性、老化性、粳米、糯米の硬化度、蒸米消化性との間には相関関係があることが知られている。さらに糊化開始温度など米類の特性値と品質との間にも相関関係があり、例えば粳米に関しては,一般的に糊化開始温度が低い系統の食味値が高いと言われている。老化は、糊化デンプンの状態から水が抜け、β−デンプンの状態に戻ることをいう。
以上のように溶出デンプン量と糊化開始温度など米類の特性値との間には、相関関係があるので、予め本方法を用いて米類の溶出デンプン量と糊化開始温度など米類の特性値との関係を取得し、以後、同一の条件で米類の溶出デンプン量を検出することで蒸米消化性など米類の特性値を算出することができ、さらにこの特性値から米類の評価を行うことができる。
予め取得したヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と溶出デンプン量、溶出デンプン量と糊化開始温度、蒸米消化性等との関係式をコンピュータ等にプログラミングしておけば、吸光度を測定することで簡単に蒸米消化性等を評価することができる。ヨウ素デンプン反応呈色液の吸光度を測定する吸光度計と上記コンピュータとを連結し、吸光度データを自動的に取り込むようにすればより簡単に蒸米消化性等を評価することができる。この場合、上記コンピュータが評価手段となる。
本発明の第1の米類の評価方法は、検出工程及び評価工程を以下のように変形することができる。検出工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を検出し、評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う。
ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度とデンプン濃度、溶出デンプン量と糊化開始温度など米類の特性値との間に相関関係があることは既に説明の通りである。よって、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と米類の特性値との間にも相関関係が生じる。この点は、後述の実施例で確認済である(図15参照)。このため溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度から米類の評価を行うことができる。
具体的には、予め本方法を用いてヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と米類の特性値との関係を取得する。これらの関係を取得後は、本方法を用いてヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を検出することで蒸米消化性など米類の特性値を算出することができ、さらにこの特性値から米類の評価を行うことができる。
図8は、本発明の第2の米類の評価方法の手順を示すフローチャートであり、図9は、本発明の第2の米類の評価方法を実施可能な評価装置の構成を示す図である。以下、本発明の第1の米類の評価方法及び図2〜図4に示す評価装置との相違点を中心に説明する。図2〜図4に示す評価装置と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第2の米類の評価方法は、試料3である米類を糊化溶液17に浸漬し米類を糊化させる糊化工程(ステップS11)と、糊化工程後、溶液19と未溶解の米類(米残渣)4とを分離する分離工程(ステップS12)と、分離工程で得られる溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出工程(ステップS13)と、溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う評価工程(ステップS14)とを含む。
第2の米類の評価方法で実施する糊化工程(ステップS11)、分離工程(ステップS12)は、第1の米類の評価方法で実施する糊化工程(ステップS1)、分離工程(ステップS2)と同一であり、評価工程(ステップS14)も第1の米類の評価方法で実施する評価工程(ステップS5)と基本的に同じである。一方、検出工程(ステップS13)は、溶出デンプン量を定量的に把握できる点では、第1の米類の評価方法の検出工程(ステップS4)と同じであるが、手法が大きく異なる。
検出工程(ステップS13)は、分離工程で得られる溶液19中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する工程であり、ここでは試験紙42又は試験板を用いて行う。試験紙42は、0.7%ヨウ素酸カリウム水溶液にろ紙の一種であるブロッティングペーパーを浸し、十分に浸漬させた後に風乾させたものである。一方、試験板は、シリカゲルを塗布したガラス板にヨウ素酸カリウムを固着させたものである。
溶出デンプン量の検出は、次の手順で行う。分離工程で得られる溶液19を酢酸で中和させた後、0.5〜1.0%の亜硫酸水素ナトリウムを添加する。この溶液33を、ヨウ素酸カリウム水溶液を固着させた上記試験紙42を約1cm角に切断したものにスポットする。試験紙42に溶液33をスポットするとヨウ素酸カリウムと溶液33中の亜硫酸イオンが反応してヨウ化物イオンが生成する。多量のヨウ素酸塩存在下での反応であるので、生成したヨウ化物イオンによりヨウ素が生成する。生成したヨウ素と溶液33中のデンプンが反応し、ヨウ素デンプン呈色反応が起こる。
呈色反応後の試験紙42の色調は、デンプン量に応じて色調が異なる、つまり呈色反応後の試験紙42の色調とデンプン量との間には相関関係があるので、予め作成したデンプン濃度と色調との関係から、溶出デンプン量を簡単に求めることができる。未使用の試験紙42は白色であり、呈色反応後の試験紙42の色調は、デンプン量が多い程、濃紫色となり、デンプン量が少ないほど赤紫色、ピンク色となる(図9(b))。
評価工程(ステップS14)は、第1の米類の評価方法の評価工程(ステップS5)と同様に、溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う。試験板を用いる場合も、試験紙42を用いる場合と変わりない。
第2の米類の評価方法も検出工程及び評価工程を以下のように変形することができる。検出工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の試験紙42又は試験板の色調を検出し、評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の試験紙42又は試験板の色調と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う。第2の米類の評価方法の変形法と第1の米類の評価方法の変形法とは、同じ技術的思想に基づくものである。
以上、本発明の第1、第2の米類の評価方法及び評価装置の説明から分かるように、本発明の米類の評価方法は、少量の米を用いて評価することができる。このため育種の初期段階の米の評価もできる。また評価に要する時間は、糊化工程に24時間必要であるが、他の工程は短時間で済み、全体でも24時間強の時間で評価できる。
また本発明の米類の評価方法は、試料が白米のみならず玄米でもよいので精米の必要がなく容易に実施することができる。さらに操作が簡単であり、それに使用する機器、器具、薬剤も特殊なものを必要としないため実施し易い。特に試験紙42、試験板を使用する第2の米類の評価方法は、キット化も容易であり、誰でも容易に使える。
本発明は、酒米の軟質性、粳米の老化度、糯米の硬化度、米粉パンなど米粉利用食品の硬化度などの物性値を推定する用途として利用可能であり、登熟期の気温上昇による米の品質の年次変動や、品種間差を把握することが可能となる。清酒メーカーにおいては、原料利用率の確保や酒質の安定に寄与することが期待され、米の流通業者、製粉メーカーにおいては老化防止方法の適用など、最適な原料利用方法や用途を選択することが可能となる。また、時間が経過した時の炊飯米の老化性の評価にも本発明を適用することができる。これらの点については、後述の実施例に記載の通りである。
デンプン量と吸光度の関係
精製米澱粉を1.0448g分取し、水酸化カリウム溶液で溶解し、同溶液で50mLに定容した(原液)。原液を用い、水酸化カリウム溶液で希釈系列を作成した。それぞれを0.5mL分取し、1N水酸化ナトリウム溶液を添加後、沸騰水中で完全糊化した。その後、1N酢酸溶液で中和し、ヨウ素−ヨウ化カリウム溶液で呈色反応を行った後、25mLに定容し、520nmで吸光度測定を行い、デンプン量との関係を調べた。デンプン濃度と吸光度の関係をグラフ(図10)で示し、次の計算式を得た。
Y=12.45X・・(1)
ここでX=吸光度
Y=デンプン濃度(mg/mL)
溶出デンプン量(崩壊度)と糊化開始温度
糊化開始温度は、米粉に蒸留水を懸濁して、撹拌しながら加熱し、粘度を測定した時の粘度値が立ち上がる時の温度であり、デンプン固有の物性値である。ここではRVA(ラピッドビスコアナライザー)を用いて測定を行った。試料には、溶出デンプン量定量には、8種類の玄米と7種類の白米を使用した。また、RVA測定には、70%精白米粉を用いた。
メッシュ状部材を装着した細胞培養用プレートを6個準備し、各細胞培養用プレートにカッターナイフなどで半粒にした玄米10粒を充填し、メッシュ状部材内で1.7%(0.3mol/L)水酸化カリウム溶液または4M尿素溶液5mLに浸漬し、30℃で24時間反応させた。メッシュ状部材を取り除くことで溶液と未溶解の米とを分離し、6個の溶液を1つにまとめ超音波撹拌装置(超音波発生器)で均一化した後0.5mL分取した。その後、1N水酸化ナトリウム溶液を1.0mL添加し、沸騰水中で10分間完全糊化させた後、1N酢酸溶液1.5mLを加えて中和し、ヨウ化カリウム−ヨウ素溶液を200μL加え、呈色反応を行い、蒸留水で25mLに定容した。定容量は25mLを基本とするが、デンプン溶出量に応じて測定し易い量に変更することができる。
波長λ=520nmで吸光度を測定し、式(1)の関係式を用いて溶出デンプン量を求め、RVA(ラピッドビスコアナライザー)で測定した糊化開始温度との関係をグラフ(図11)で示した。以下の実験においても溶出デンプン量は、基本的に、波長λ=520nmで吸光度を測定し、式(1)の関係式を用いて算出した。
70%精白米についても玄米と同じ要領で、糊化開始温度と溶出デンプン量との関係を得た(図12)。
図11及び図12に示されるように糊化開始温度は、溶出デンプン量に逆比例した。糊化開始温度と溶出デンプン量との間には、相関関係が見られ、溶出デンプン量を検出することで糊化開始温度を得ることができる。
図13は、図11の結果を重量補正したものである。図13の横軸、千粒重溶出デンプン量(mg/mL)は、各半粒玄米の1000粒の重量を測定し、図11の溶出デンプン量をその重量で除算し、半粒玄米の1000粒の平均重量を乗算し求めた。
また図11及び図13に示すように重量補正前後で結果が殆ど変化ないことが分かる。これは、玄米が異なっても玄米の重量が殆ど変らないことを示していると言える。実際に8種類の半粒の玄米1000粒の重量を測定したところ、12.33〜13.81gであり、平均重量は13.04g、重量のばらつき(偏差)は6%程度であった。
玄米が異なっても玄米の重量が変らなければ、本発明の米類の評価方法を実施する際に、試料の重量を測定する必要がなく、個数を一致させるだけでよいのでより簡単に米類の評価を行うことができる。
糯米玄米半粒を用い、上記と同様の方法で糯米についても溶出デンプン量(崩壊度)と糊化開始温度との関係を求め、結果を図14に示した。また図15には、溶出デンプン量に代え、吸光度と糊化開始温度との関係を示した。糯米についても図14に示されるように糊化開始温度は、溶出デンプン量に逆比例した。また図15に示されるように糊化開始温度は、吸光度に逆比例した。
蒸米消化性と崩壊度
蒸米消化性は、蒸米の麹菌の酵素での溶けやすさを示す指標である。崩壊度については玄米半粒(7種類)、水酸化カリウムを用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法で溶出デンプン量を得た。蒸米消化性試験は、酒造用原料米全国統一分析法を適用し、蒸し後の老化時間を3時間、6時間、24時間と変えた時の酵素による消化性をそれぞれBrix(%)値で求めた。結果を図16に示した。
図16に示すようにBrix値は、溶出デンプン量に正比例した。また同じ品種で比較した場合、老化時間が短い程、Brix値は上昇した。
出穂気温と崩壊度のデータ
同じ品種の栽培圃場(ハウス内とハウス外)が異なる酒米を用い、崩壊度については玄米半粒、水酸化カリウムを用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法で溶出デンプン量を得た。出穂から20日間(登熟20日間)の平均気温と溶出デンプン量との関係をグラフ(図17)に示した。出穂から20日間の気温の平均値は、圃場(ハウス内)での栽培では、ハウス内に設置した温度計で測定した出穂から20日間の気温の平均値であり、圃場(ハウス外)での栽培では、アメダスデータベースより算出した出穂から20日間の平均気温である。
同じ品種の栽培圃場が異なる粳米を用い、崩壊度については玄米半粒、水酸化カリウムを用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法でλ=540nmの吸光度を得た。出穂から20日間の平均気温と吸光度の関係をグラフ(図18)で示した。
図17及び図18に示すように出穂から20日間の平均気温(登熟温度)と溶出デンプン量とは逆比例した。図17、図18及び図11〜図13の結果から登熟温度が高い程、溶出デンプン量が低く、糊化開始温度が高いことが分かる。一般的に糊化開始温度が低い系統の食味値が高いと言われており、溶出デンプン量を検出することで高温登熟の影響を評価することができる。また図17及び図18から分かるように米の品種が異なると平均気温に対する吸光度(溶出デンプン量)は、大きく異なる。
餅の硬化性と崩壊度
ここで、餅の硬化性は、つきあがりから低温下で保存した時の最大荷重と定義した。崩壊度については糯米玄米半粒、1.4%水酸化カリウム、4M尿素溶液を用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法でλ=520nmの吸光度を測定し、溶出デンプン量を求めた。
餅の作成及び物性測定については次のとおりである。玄米水分を13%に調湿した後、精米機で歩留り90(±0.5)%まで搗精した精白米を製粉し用いた。ビーカーにもち米粉を21g分取し,蒸留水21mLを加えて練って均一にしたものを40g分取し、団子状に丸めてアルミカップの中央に置き、蓋をして60分間蒸した。蒸しあがり後、熱いうちに均一の厚みになるようにおもしを置いて成形し、30分間室温で放冷させた後、冷蔵庫内(4℃)で老化させた。物性測定は5mmのプランジャーで1mm/secの速度で70%まで押し当てた時の最大荷重をもちの硬さとして測定した。6か所測定し、平均値を求めた。
結果を図19、図20に示した。図19は、4M尿素溶液を使用し、図20は、1.4%水酸化カリウムを使用し溶出デンプン量を求めた。図19及び図20に示されるように餅の硬化性は、溶出デンプン量に逆比例した。餅の硬化性と溶出デンプン量との間には、相関関係が見られることから、糯米の溶出デンプン量を検出することで餅の硬化性を得ることができる。
米粉パンの硬化性と崩壊度
ここで米粉パンの硬化性は、焼きあがりから20℃で3日間保存した時のパンの硬さと定義した。崩壊度についてはうるち米玄米半粒、1.7%水酸化カリウムを用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法でλ=520nmの吸光度を測定し、溶出デンプン量を求めた。
米粉パンの作成及び物性測定については次のとおりである。玄米水分を13%に調湿した後、精米機で歩留り90(±0.5)%まで搗精した精白米を製粉し用いた。表1の配合(粉類の2割を米粉とする)で米粉入りパン1斤を焼き、放冷後ビニール袋に入れ20℃で保存した。3日後にクラム(白い部分)を4cm×4cm×2cmに切り出し、硬さを測定した。6個測定し、平均値を求めた。20mmのプランジャーで1mm/secの速度で25%まで押し当てた時の最大荷重を硬さとして測定した。
結果を図21に示した。図21に示されるように米粉パンの硬化性は、溶出デンプン量に逆比例した。米粉パンの硬化性と溶出デンプン量との間には、相関関係が見られることから、原料(原料の一部)粳米の溶出デンプン量を検出することで米粉パンの硬化性を得ることができる。
炊飯米の老化性と崩壊度
崩壊度については、うるち米玄米半粒、1.7%水酸化カリウムを用い、30℃で24時間反応させ、上記と同様の方法でλ=520nmの吸光度を測定し、溶出デンプン量を求めた。
炊飯米の作成及び物性測定については次のとおりである。玄米水分を13%に調湿した後、精米機で歩留り90(±0.5)%まで搗精した精白米を用いた。精白米8gをアルミ製カップ(φ5cm、深さ2.5cm)に入れた後、精白米の1.4倍(重量)の蒸留水をカップに加え、電子ジャー炊飯器の中で1時間放置した。釜の底に蓋を敷き、水を80g加え、炊飯した。炊飯後、1時間蒸らした後、ラップを被せ、成型機で炊飯米が一定厚になるよう圧縮成型したものを、チャック付き袋に一つずつ入れ、15℃で24時間老化させた。物性測定は18mmのプランジャーで1mm/secの速度で23%まで押し当てた時の最大荷重を炊飯米の表面の硬さとして測定した。いずれの試料についても3回の炊飯を行い、平均値を求めた。
結果を図22に示した。図22に示されるように炊飯米表面の硬さは、溶出デンプン量に逆比例した。炊飯米表面の硬さと溶出デンプン量との間には、相関関係が見られることから、粳米の溶出デンプン量を検出することで炊飯米表面の硬さを得ることができる。
3 試料
4 未溶解の試料
5 白米
7 玄米
11 糊化手段
13 容器
15 メッシュ部材
17 糊化溶液
19 糊化後の溶液
21 分離手段
31 完全糊化手段
32 完全糊化工程で得られる溶液
33 溶液
42 試験紙

Claims (15)

  1. 試料である粒状の米類を糊化溶液に浸漬し米類を糊化させる糊化工程と、
    前記糊化工程後、溶液と未溶解の前記米類とを分離する分離工程と、
    前記分離工程で得られる溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出工程と、
    溶出デンプン量と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行う評価工程と、
    を含むことを特徴とする米類の評価方法。
  2. 前記米類の特性値が、糊化開始温度、蒸米消化性、老化性であることを特徴とする請求項1に記載の米類の評価方法。
  3. 前記試料は、胚乳部を露出させた玄米、又は搗精し、糠部を取り除いた白米であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の米類の評価方法。
  4. 前記糊化溶液が、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  5. 前記糊化溶液が水酸化カリウム溶液であり、濃度が0.2mol/L以上0.4mol/L以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  6. 前記糊化溶液が、尿素溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  7. 前記糊化溶液が尿素溶液であり、濃度が2mol/L以上6mol/L以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  8. 前記糊化工程を、15℃以上45℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  9. 前記糊化工程において、内部にメッシュ状部材を装着した容器を使用し、前記試料を前記メッシュ状部材の上に置いた状態で糊化溶液に浸漬させ試料である米類を糊化させ、
    前記分離工程において、前記メッシュ状部材を取り除くことで溶液と未溶解の前記米類とを分離することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  10. 前記分離工程と前記検出工程との間に、前記分離工程で得られる溶液にアルカリ溶液を添加し、さらに加熱する完全糊化工程を有し、
    前記検出工程は、前記分離工程で得られる溶液に代え、前記完全糊化工程後の溶液を用い、前記溶出デンプン量の検出は、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液を500nm以上620nm以下の波長で吸光度を測定することで行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  11. 前記検出工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を検出し、
    前記評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  12. 前記検出工程において、ろ紙等にヨウ素酸カリウムを固着させた試験紙、又はシリカゲルを塗布したガラス板にヨウ素酸カリウムを固着させた試験板を準備し、前記分離工程で得られる溶液に0.5%以上1.0%以下の亜硫酸水素ナトリウムを添加し、当該溶液と前記試験紙又は試験板とを接触させ試験紙又は試験板を呈色させ、呈色した試験紙又は試験板の色調から溶液中の溶出デンプン量を検出することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の米類の評価方法。
  13. 前記検出工程において、溶出デンプン量に代え、呈色した試験紙又は試験板の色調を検出し、
    前記評価工程において、溶出デンプン量に代え、ヨウ素デンプン呈色反応後の試験紙又は試験板の色調と米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことを特徴とする請求項12に記載の米類の評価方法。
  14. 試料である粒状の米類を糊化溶液に浸漬させ米類を糊化させる糊化手段と、
    糊化された米類を溶液と未溶解の米類とに分離する分離手段と、
    溶液中の溶出デンプン量をヨウ素デンプン呈色反応を用いて検出する検出手段と、を含み、
    前記検出手段が検出するデータと米類の特性値との相関関係に基づき米類の評価を行うことが可能なことを特徴とする米類の評価装置。
  15. 前記検出手段が、ヨウ素デンプン呈色反応後の溶液の吸光度を測定する吸光度計であることを特徴とする請求項14に記載の米類の評価装置。
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